JP2007284504A - 樹脂組成物およびそれを用いた包装材 - Google Patents
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Abstract
耐熱性、防湿性および遮光性、即ち光線の遮蔽性に優れるとともに引裂きし易く、包装材として、特に食品用の包装材として好適な樹脂組成物を提供すること並びに、該樹脂組成物を成形して得られる包装材および食品用包装材を提供することにある。
【解決手段】
特定の構造を有する環状オレフィン系重合体および特定のα−オレフィン系重合体を特定量含む樹脂組成物並びに、該樹脂組成物を成形して得られる包装材および食品用包装材を提供する。
【選択図】なし
Description
さらに、食品用包装材として、加熱滅菌時の寸法安定性を保持するためには、結晶性樹脂であるプロピレン系重合体では限界があり、長期保存のための耐湿性においても、従来のプロピレン系重合体では十分ではなく、樹脂を延伸操作により配向させることで耐湿性を改善する試みもされているが、十分満足できる耐湿性が得られず、特に内容物が食品である場合、賞味期限が短くなる問題がある。
[1]一般式(1)で表わされる環状オレフィン系重合体(A)15〜70質量部および、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる1種のα−オレフィン(オレフィンb)の含有量が90質量%以上であり、オレフィンbの含有量が100質量%未満の場合は残りがオレフィンb以外の1種以上のオレフィンであるα−オレフィン系重合体(B)30〜85質量部を含む樹脂組成物の提供。
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の実数である。
R1は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である。
R2は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
R3は、炭素原子数2〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。
Qは、COOR4である。R4は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
なお、R1、R2、R3およびQは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
[3]環状オレフィン系重合体(A)が、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンおよびエチレンからなる共重合体である、前記[1]に記載の樹脂組成物の提供。
[4]環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度が85〜200℃である、前記[1]〜[3]に記載の樹脂組成物の提供。
[5]オレフィンb以外のオレフィンが、炭素原子数2〜14のオレフィンから選ばれるオレフィンb以外の1種以上のオレフィンである、前記[1]〜[4]に記載の樹脂組成物。
[6]α−オレフィン系重合体(B)が、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる1種のオレフィンの単独重合体である、前記[1]〜[4]に記載の樹脂組成物の提供。
[8]環状オレフィン系重合体(A)の、ASTM D1238に準拠して温度260℃、荷重2.16kg条件下で測定したメルトフローレート(MFR1)が0.5〜50g/10分であり、α−オレフィン系重合体(B)の、ASTM D1238に準拠して温度230℃、荷重2.16kg条件下で測定したメルトフローレート(MFR2)が0.5〜50g/10分であり、MFR1とMFR2との比率(MFR1/MFR2)が0.01〜100である、前記[1]〜[7]に記載の樹脂組成物の提供。
[9]JIS P8116に準拠して測定した引き裂き強度がMD方向で45N/cm以下およびTD方向で145N/cm以下並びに、JIS K7105に準拠して厚さ100μmのシートで測定したHazeが55%以上である、前記[1]〜[8]に記載の樹脂組成物の提供。
[10]前記[1]〜[9]に記載の樹脂組成物を成形して得られる包装材の提供。
[11]前記[1]〜[9]に記載の樹脂組成物を成形して得られる食品用包装材の提供。
[12]前記[11]に記載の食品用包装材である、鏡餅用包装材を提供することである。
また、顔料または無機固体粒子を使用することなく、色斑のない優れた遮光性を有する包装材を得ることができ、内容物の光による劣化を防止することができる。従って食品用包装材向け、特に鏡餅などの包装材として好適に使用できる。
[環状オレフィン系重合体(A)]
本発明で使用する環状オレフィン系重合体(A)は、下記一般式(1)
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の実数である。
R1は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である。
R2は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。 R3は、炭素原子数2〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。
Qは、COOR4である。R4は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
なお、R1、R2、R3およびQは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
で表される一種又は二種以上の構造を有する環状オレフィン系重合体を用いることができる。
[1]R1は、構造中に少なくとも1箇所の環構造を持つ基である。
[2]R3は、このR1を含む構造単位の例示(n=0の場合)として、例示構造(a),(b),(c);
[3]nが0である。
[4]y/xが、それぞれモル基準で、5/95≦y/x≦95/5、さらに好ましくは20/80≦y/x≦65/35を満たす実数である。
[5]R2は、水素原子または−CH3である。
なお、R2は1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
[6]Qが、−COOHまたは、−COOCH3基である。
環状オレフィン系重合体(A)として、好ましくは、下記一般式(2)で表される一種または二種以上の構造からなり、上記のような好ましい条件を必要に応じ組み合わせて用いられる。
[1]R1基が、一般式(3);
[2]R2は、水素原子である。
[1]R1は、構造中に少なくとも1箇所の環構造を持つ基である。
[2]R3は、このR1を含む構造単位の例示(n=0の場合)として、少なくとも上記例示構造(b)を含む。
[3]nが0である。
[4]y/xが、それぞれモル基準で、0/100≦y/x≦80/20、さらに好ましくは0/100≦y/x≦50/50を満たす実数である。
[5]R2は、水素原子または−CH3である。
なお、R2は1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
[6]Qは、COOR4であり、R4は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。なお、Qは1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
環状オレフィン系重合体(A)である環状オレフィンの開環重合体として、好ましくは、下記一般式(4)で表される一種または二種以上の構造からなり、上記のような好ましい条件を必要に応じ組み合わせて用いられる。
[1]R1基は、下記例示のいずれかである。
[2]R2基は、水素原子である。
環状オレフィン系重合体の重合のタイプは本発明において全く制限されるものではなく、ランダム共重合、ブロック共重合、交互共重合、開環重合等の公知の様々な重合タイプを適用することができる。
また本発明で用いられる環状オレフィン系重合体(A)は、本発明の樹脂組成物から得られる包装材の良好な物性を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し構造単位を有していてもよい。その共重合比は限定されないが、好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。上記数値以下であると、耐熱性を損なうことがなく、耐熱性に優れた包装材を得ることができる。また、共重合の種類は限定されないが、ランダムコポリマーであることが好ましい。
環状オレフィン系重合体(A)の分子量は限定されるものではないが、分子量の代替指標として、ASTM D1238に準拠して、温度260℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフロレート(以下「MFR1」という)は、0.5〜50g/10分、好ましくは1〜30g/10分あり、さらに好ましくは2〜30g/10分、特に好ましくは2〜25g/10分である。
環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度は85℃〜200℃の範囲のものが用いられる。中でも、100℃〜180℃、さらに100〜150℃の範囲のものが好ましい。ガラス転移温度が前述の下限値以上であれば、包装材の使用環境が高温となる状況下においても信頼性に優れた包装材を提供することができる。さらに、食品用包装材として使用する際の加熱殺菌に耐え得る十分な耐熱性を包装材に付与することができる。またガラス転移温度が前述の上限値以下であれば、溶融成形性に優れる。つまり、上記範囲のガラス転移温度を有する環状オレフィン系重合体を用いることにより、これらの特性のバランスに優れる。
本発明の環状オレフィン系重合体(A)の製造方法を説明する。
本発明の環状オレフィン系重合体(A)は、前記一般式(1)で表わされる一種または二種以上の構造を有し、本発明において全く制限されるものではなく、ランダム共重合、ブロック共重合、交互共重合、開環重合等を適用することができる。以下、ランダム共重合体、開環重合体、開環重合体の水素添加物の製造方法について説明する。
環状オレフィン系重合体(A)がエチレンと環状オレフィンとのランダム共重合体の場合は、エチレンと後述する式[I]または[II]で表される環状オレフィンとを用いて特開平7−145213号公報に開示された製造方法により製造することができる。これらのうちでも、この共重合を炭化水素系溶媒中で行い、触媒として該炭化水素系溶媒に可溶性のバナジウム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される触媒を用いてエチレンと環状オレフィンとのランダム共重合体を製造することが好ましい。
以下、下記式[I]または[II]で示される環状オレフィン単量体について説明する。
R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。ここでハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
上記のような式[I]または[II]で示される環状オレフィン単量体を、より具体的に下記に例示する。
一例として、
シクロペンタジエン-アセナフチレン付加物、
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、
1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンなどのビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン誘導体などを例示することができる。
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、10−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセンなどのトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン誘導体、
さらに他の誘導体として、アセナフチレンとシクロペンタジエンとの付加物などが挙げられる。
ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、およびその誘導体、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13 ]−4,10−ペンタデカジエンなどのペンタシクロペンタデカジエン化合物、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、およびその誘導体、
ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14 ]−4−ヘキサデセン、およびその誘導体、
ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、およびその誘導体、
ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、およびその誘導体、
ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、およびその誘導体、
オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17 ]−5−ドコセン、およびその誘導体、
ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]−5−ペンタコセン、およびその誘導体、
ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]−6−ヘキサコセン、およびその誘導体などが挙げられる。
環状オレフィン系重合体(A)が開環重合体の場合は、特開平9−176397号公報、特開平7−324108号公報に開示された製造方法により製造することができる。例えば、上述する式[I]で表される環状オレフィン単量体を開環重合触媒の存在下に、重合又は共重合させることにより製造することができる。
式[I]で表される環状オレフィン単量体としては、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエンを用いることが好ましい。
開環重合体の水素添加物を製造するには、通常の方法により、上記の開環重合体の炭素−炭素間の二重結合の少なくとも一部を水素添加することにより行われる。開環重合体を水素添加処理する方法は特に限定されるものではなく、有機溶媒中において、水素添加触媒の存在下に、開環重合体を水素添加処理することで行うことができる。
ニッケルの担持量は、20〜80質量%、好ましくは30〜60質量%である。パラジウム、白金の担持量は、0.1〜10質量%、好ましくは2〜7質量%である。形状は、粉末、固体など特に限定なく、使用する装置等に合わせて用いれば良い。
充填塔または棚段塔式反応器(a)では、触媒粒子を充填した塔中で、溶液状態の開環重合体を含む樹脂組成物と水素ガスとが十字流接触、向流接触または並流接触する。
固定触媒反応器(b)は、等温層式、断熱層式、多段断熱層式、自己熱交換式、外部熱交換式などに分けられるが、本発明の水素化反応にはいずれのタイプも使用できる。固定触媒反応器(b)の代表的な例としては、J. H. Gary およびG. E. Handwerk:ペトロリウム・リファイニング・テクノロジー・アンド・エコノミクス(1975)p74に記載されるようなタイプの反応器、すなわち、底部にセラミックボールが充填され、その上の反応器中心部に触媒粒子が充填され、反応器の頂端から溶液状態の開環重合体を含む樹脂組成物とガスとの混合物が供給され、反応器の下端から反応生成物が排出されるように構成された反応器が挙げられる。
金網または薄層触媒反応器(c)は、触媒として数枚〜数十枚の金網または粒状触媒を薄層として装着した反応器である。溶液状態の開環重合体を含む樹脂組成物の流し方によってラジアルフロー式とパラレルフロー式とに区分されるが、いずれの方式であってもよい。
また圧力は、1〜50kg/cm2、好ましくは1〜30kg/cm2、更に好ましくは1〜20kg/cm2である。また反応時間は使用する水素添加触媒にもよるが、1時間以下、好ましくは30分以下である。
本発明で用いられるα−オレフィン系重合体(B)は、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる1種のα−オレフィン(オレフィンb)の含有量が90質量%以上であればよく、オレフィンbの含有量が100質量%未満の場合は、残りがオレフィンb以外のオレフィンである。
またオレフィンb以外のオレフィンとしては、炭素原子数2〜14のオレフィンから選ばれるオレフィンb以外の1種以上のオレフィンであることが好ましい。
具体的には、オレフィンb由来の構成単位を90質量%以上、100質量%未満、好ましくは90〜99質量%、さらに好ましくは95〜99質量%および、オレフィンb以外のオレフィン由来の構成単位を0質量%を越えて10質量%以下、好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%の量で含む共重合体である。
また、α−オレフィン系重合体(B)を構成する、オレフィンbとしてより具体的には、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチルー1−ヘキセン、4,4−ジメチルー1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチルー1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ、特にプロピレンおよび1−ブテンが好ましい。
また、オレフィンb以外のオレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等が挙げられ、これらのオレフィンを一種単独または二種以上組み合わせて用いることができる。
さらに、本発明においては、α−オレフィン系重合体(B)としては、特にオレフィンbの単独重合体が好ましく、その中でもプロピレンおよび1−ブテンの単独重合体であると、良好な遮光効果が得られることから好ましい。
MFR2が前述の下限値以上では、本発明の樹脂組成物を成形して得られる包装材の引き裂き強度を低くすることができ、引き裂きし易い優れた特性を得ることができる。一方、MFR2が前述の上限値以下であると、本発明の樹脂組成物をシート、容器などの包装材に成形するに際して、良好な厚薄精度を得ることができる。特に押出成形、ブロー成形およびインフレーション成形等の成形方法で得られる成形体の良好な厚薄精度を得るためには、MFR2は50g/10分以下であることが好ましい。
また、市場からもプライムポリマー社製、プライムポリプロ、プライムTPO、住友化学社製、住友ノーブレン、スミチック、エクセレン、日本ポリプロ社製、ノバテックPP、ウインテック、ニューコン、ニューストレイン、サンアロマー社製、サンアロマー等として容易に入手することができる。
本発明の実施形態において、環状オレフィン系重合体(A)および、α−オレフィン系重合体(B)以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、他の任意成分として、例えば添加剤、酸化防止剤、架橋剤、架橋助剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、鉱物油系軟化剤、石油樹脂、ワックス、充填材などを含有していてもよい。
これらは2種以上組み合わせて用いてもよく、たとえばテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンとステアリン酸亜鉛またはステアリン酸カルシウムとを組合わせて用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、前記一般式(1)で表わされる環状オレフィン系重合体(A)およびα−オレフィン系重合体(B)を含む樹脂組成物である。本発明の樹脂組成物を構成する環状オレフィン系重合体(A)の含有量は、15〜70質量部、好ましくは20〜60質量部、さらに好ましくは21〜60質量部、特に好ましくは21〜40質量部である。
ここで、環状オレフィン系重合体(A)およびα−オレフィン系重合体(B)の合計量は100質量部である。
環状オレフィン系重合体(A)とα−オレフィン系重合体(B)とが上記範囲内であると、本発明の樹脂組成物に優れた耐熱性、防湿性および遮光効果を付与することができる。
また、波長400〜700nmにおける全光線透過率は90%未満であることが好ましい。
包装材とは、内容物を輸送、保管および保存等行なうに際して使用される包装用の材料である。包装する内容物の種類にもよるが、包装材としては防湿性、直射日光等の光線による内容物の劣化を防止するための遮光性、および内容物を開封する際に、包装材が容易に引き裂ける特性等が必要である。
また本発明の包装材は、防湿性に優れ、遮光性に優れることから内容物の直射日光等の光線による劣化を防止することができ、さらに引き裂き強度が低く、引き裂きし易い特性を有することから、切削用具を使用しなくても容易に、しかも安全に内容物を開封することができ、包装材として好適に使用することができる。
食品用包装材とは、内容物である食品を輸送、保管および保存等を行なう際に使用される包装用の材料である。食品用包装材としては、内容物の劣化を防止するための防湿性、遮光性が必要であり、また加熱殺菌等行なう際の耐熱性も必要となる。さらに内容物と食品包装用材とが接する場合には、特に該食品用包装材からの溶出物、即ち食品用包装材から内容物である食品への移行物が少ない等の安全衛生性が重要である。
鏡餅用包装材とは、鏡餅を輸送、保管および保存する際に使用する包装材である。鏡餅用包装材としては、射出成形法、あるいはブロー成形法などで得られた鏡餅の形状に合わせた容器状のものが挙げられる。また押出成形、シート成形、インフレーション成形、T−ダイ成形などで得られるシート状の成形品を、真空成形あるいは圧空成形等で成形して得られる容器状のものが挙げられ、鏡餅全体を覆うもの、あるいは鏡餅の上面、側面のみ覆うものと底面を別途成形したものとを合わせた容器状等の形状を有するものである。
本発明の樹脂組成物を成形して得られる鏡餅用包装材は、防湿性に優れ、遮光性に優れることから内容物である食品の直射日光等による劣化を防止することができ、内容物である鏡餅を長期間保存することができる。また本発明の樹脂組成物は白色であることから、成形時に白色顔料あるいは無機固体粒子の添加を必要とせず、成形に際してダイス手前のスクリーンの目詰まりを生じ難く、長期間の連続生産が可能である。また、顔料あるいは無機固体粒子を使用しないことから比重が軽く、包装材を軽量化することができる。さらに、引き裂き強度が低く、引き裂きし易いことから、切削用具を使用しなくても容易に開封することができる。
環状オレフィン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR1)は、ASTM D1238に準拠して、温度260℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。
α−オレフィン系重合体(B)のメルトフローレート(MFR2)は、ASTM D1238に準拠して、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。
環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度は、SEIKO電子工業(株)製DSC−20を用いて、昇温速度10℃/分で測定した。
JIS P8116に準拠して、T−ダイ付き単軸押出機で成形して得られた、厚さ100μmのシートの押出方向(以下「MD方向」という。)およびシートの押出方向に対して直角方向(以下「TD方向」という。)の引き裂き強度を室温で測定した。
また、官能評価も実施した。上記、厚さ100μmのシートをMD方向に手で引き裂いて以下の基準に基づき判定し、レベル3以上で実用上問題ないと判断した。
[基準]
レベル1:かなり力を入れないと引き裂くことができない。
レベル2:少し力を入れると引き裂くことができるが、切れ目はまっすぐではない。
レベル3:比較的容易に引き裂くことができ、比較的切れ目がまっすぐである。
レベル4:容易に引き裂くことができ、切れ目がまっすぐである。
JIS K7105に準拠して、T−ダイ付き単軸押出機で成形して得られた、厚さ100μmのシートのHAZEを室温で測定した。
遮光性において、HAZEが55%以上で実用上問題ないと判断した。
JIS K7105に準拠して、T−ダイ付き単軸押出機で成形して得られた、厚さ100μmのシートの、波長400〜700nmにおける全光線透過率を室温で測定した。遮光性において、全光線透過率が90%未満で実用上問題ないと判断した。
JIS Z0208に準拠して、T−ダイ付き単軸押出機で成形して得られた、厚さ100μmのシートの水蒸気透過率を、温度40℃、相対湿度90%の条件下で測定した。
耐熱性を確認するために、T−ダイ付き単軸押出機で成形して得られた、厚さ100μmのシートを、空気中、温度85℃のオーブンで35分間加熱した前後のシートの形状変化を、目視にて確認した。
実用上目視で形状変化がないこと(レベル3)で問題ないと判断した。
[基準]
レベル1:外観上、形状変形が著しく大きい。
レベル2:外観上、形状変形が認められる。
レベル3:外観上、形状変形が認められない。
ガラス転移温度105℃、MFR1が22g/10分の(A)エチレン・テトラシクロドデセン共重合体30質量部および、MFR2が7g/10分の(B)ポリプロピレンホモポリマー70質量部を混合し、二軸押出機((株)日本製鋼所広島製作所製TEX44)を使用して、シリンダー温度230℃、ダイス温度230℃、スクリュー回転数150rpmで溶融混合し、ペレタイザーにてペレット化を行った。得られたペレットを用いて、T−ダイ成形機(テクノベル社製SZW20−25MG:T−ダイ装備の単軸押出機)にて、厚み約100μmのシートを成形した。得られたシートを用いて、引き裂き強度、全光線透過率、HAZE、水蒸気透過率および、加熱試験の評価を行った。結果を表1に示す。
ガラス転移温度105℃、MFR1が22g/10分の(A)エチレン・テトラシクロドデセン共重合体60質量部および、MFR2が7g/10分の(B)ポリプロピレンホモポリマー40質量部を使用した以外は、実施例1と同様にし、シートを成形して、各物性を評価した。結果を表1に示す。
ガラス転移温度145℃、MFR1が7g/10分の(A)エチレン・テトラシクロドデセン共重合体21質量部および、MFR2が3g/10分の(B)ポリプロピレンホモポリマー79質量部を使用した以外は、実施例1と同様にし、シートを成形して、各物性を評価した。結果を表1に示す。
ガラス転移温度105℃、MFR1が22g/10分の(A)エチレン・テトラシクロドデセン共重合体21質量部および、MFR2が15g/10分の(B)ポリプロピレンホモポリマー79質量部を使用した以外は、実施例1と同様にし、シートを成形して、各物性を評価した。結果を表1に示す。
ガラス転移温度105℃、MFR1が9.5g/10分の(A)ジシクロペンダジエンの開環重合体の水素添加物(日本ゼオン株式会社製 ゼオノア1020R)30質量部および、MFR2が7g/10分の(B)ポリプロピレンホモポリマー70質量部を使用した以外は、実施例1と同様にし、シートを成形して、各物性を評価した。結果を表1に示す。
ガラス転移温度105℃、MFR1が22g/10分の(A)エチレン・テトラシクロドデセン共重合体30質量部および、MFR2が49g/10分の(B)ポリブテン70質量部を使用した以外は、実施例1と同様にし、シートを成形して、各物性を評価した。結果を表1に示す。
ガラス転移温度145℃、MFR1が7g/10分の(A)エチレン・テトラシクロドデセン共重合体25質量部および、MFR2が20g/10分の(B)ポリプロピレンホモポリマー75質量部を使用した以外は、実施例1と同様にし、シートを成形して、各物性を評価した。結果を表1に示す。
ガラス転移温度105℃、MFR1が22/10分の(A)エチレン・テトラシクロドデセン共重合体30質量部および、MFR2が7g/10分の(B)ポリロピレンランダムポリマー(エチレン含量2.2wt%、ブテン含量1.5wt%)70質量部を使用した以外は、実施例1と同様にし、シートを成形して、各物性を評価した。結果を表1に示す。
ガラス転移温度90℃、MFR1が30g/10分の(A)エチレン・テトラシクロドデセン共重合体30質量部および、MFR2が2g/10分の(B)ポリプロピレンホモポリマー70質量部を使用した以外は、実施例1と同様にし、シートを成形して、各物性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1に記載の樹脂組成物を用いて厚み650μmのシートを成形した。ここで得られたシートを用いて圧空成形により、鏡餅用容器を成形したところ、良好な成形性を得ることができた。
また、得られた容器を用いて、引き裂き強度を測定したら官能評価でレベル3であった。また、光学特性では、HAZEが83%、光線透過率が78%であった。さらに、温度85℃、35分間の加熱試験を実施したが容器の変形は認められなかった。
ガラス転移温度145℃、MFR1が7g/10分の(A)エチレン・テトラシクロドデセン共重合体10質量部および、MFR2が2g/10分の(B)ポリプロピレンホモポリマー90質量部を使用した以外は、実施例1と同様にし、シートを成形して、各物性を評価した。結果を表2に示す。
MFR2が2g/10分の(B)ポリプロピレンホモポリマーのみを使用した以外は、実施例1と同様にし、シート成形して、各物性を評価した。結果を表2に示す。
ガラス転移温度105℃、MFR1が22g/10分の(A)エチレン・テトラシクロドデセン共重合体21質量部および、MFR2が2g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン(密度923kg/m3)79質量部を使用した以外は、実施例1と同様にシートを成形して、各物性を評価した。結果を表2に示す。
ガラス転移温度105℃、MFR1が22g/10分の(A)エチレン・テトラシクロドデセン共重合体のみを使用した以外は、実施例1と同様にシートを成形して、各物性を評価した。結果を表2に示す。
ガラス転移温度105℃、MFR1が22g/10分の(A)エチレン・テトラシクロドデセン共重合体30質量部および、MFR2が5.4g/10分のエチレン・プロピレン共重合体(密度867kg/m3エチレン含量20wt%)70質量部を使用した以外は、実施例1と同様にシートを成形して、各物性を評価した。結果を表2に示す。
Claims (12)
- 一般式(1)で表わされる環状オレフィン系重合体(A)15〜70質量部および、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる1種のα−オレフィン(オレフィンb)の含有量が90質量%以上であり、オレフィンbの含有量が100質量%未満の場合は残りがオレフィンb以外の1種以上のオレフィンであるα−オレフィン系重合体(B)30〜85質量部を含む樹脂組成物。
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の実数である。
R1は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である。
R2は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
R3は、炭素原子数2〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。
Qは、COOR4(R4は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)である。
R1、R2、R3およびQは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。) - 環状オレフィン系重合体(A)が、環状オレフィンの開環重合体またはその水素添加物である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 環状オレフィン系重合体(A)が、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンおよびエチレンからなる共重合体である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度が85〜200℃である、請求項1〜3に記載の樹脂組成物。
- オレフィンb以外のオレフィンが、炭素原子数2〜14のオレフィンから選ばれるオレフィンb以外の1種以上のオレフィンである、請求項1〜4に記載の樹脂組成物。
- α−オレフィン系重合体(B)が、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる1種のオレフィンの単独重合体である、請求項1〜4に記載の樹脂組成物。
- α−オレフィン系重合体(B)が、プロピレンの単独重合体である、請求項1〜4に記載の樹脂組成物。
- 環状オレフィン系重合体(A)の、ASTM D1238に準拠して温度260℃、荷重2.16kg条件下で測定したメルトフローレート(MFR1)が0.5〜50g/10分であり、α−オレフィン系重合体(B)の、ASTM D1238に準拠して温度230℃、荷重2.16kg条件下で測定したメルトフローレート(MFR2)が0.5〜50g/10分であり、MFR1とMFR2との比率(MFR1/MFR2)が0.01〜100である、請求項1〜7に記載の樹脂組成物。
- JIS P8116に準拠して測定した引き裂き強度がMD方向で45N/cm以下およびTD方向で145N/cm以下並びに、JIS K7105に準拠して厚さ100μmのシートで測定したHazeが55%以上である、請求項1〜8に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜9に記載の樹脂組成物を成形して得られる包装材。
- 請求項1〜9に記載の樹脂組成物を成形して得られる食品用包装材。
- 請求項11に記載の食品用包装材である、鏡餅用包装材。
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