JPH10196651A - リニアガイド装置 - Google Patents

リニアガイド装置

Info

Publication number
JPH10196651A
JPH10196651A JP338497A JP338497A JPH10196651A JP H10196651 A JPH10196651 A JP H10196651A JP 338497 A JP338497 A JP 338497A JP 338497 A JP338497 A JP 338497A JP H10196651 A JPH10196651 A JP H10196651A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lubricant
guide rail
polymer member
containing polymer
slider
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP338497A
Other languages
English (en)
Inventor
Shunichi Yabe
俊一 矢部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP338497A priority Critical patent/JPH10196651A/ja
Publication of JPH10196651A publication Critical patent/JPH10196651A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Bearings For Parts Moving Linearly (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間メンテナンスを必要としないリニアス
ライダ装置を提供する。 【構成】 案内レール(1)を跨ぐスライダ(2)のエ
ンドキャップ(2B)とサイドシール(10)との間に
潤滑剤含有ポリマ部材(11)を設け、潤滑剤含有ポリ
マ部材(11)の内面と案内レール(1)との接触面積
を所定の範囲内に制限して、案内レール(1)への潤滑
剤の過度の供給を抑制し、長期間安定した潤滑剤供給を
図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、工作機械、産業
用機械等に用いられるリニアガイド装置に関し、特に、
内蔵した潤滑剤含有ポリマ部材から案内レールに潤滑剤
が供給されるように改良したリニアガイド装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、一般的に使用されるリニアガイド
装置としては、例えば図13に示すように、外面に転動
体転動溝3を有して軸方向に延びる案内レール1と、そ
の案内レール1を跨いで組付けられたスライダ2を備え
たものが知られている。スライダ2はスライダ本体2A
とその両端部に取付けられたエンドキャップ2Bとから
なり、スライダ本体2Aは両袖部4の内面側に案内レー
ル1の転動体転動溝3に対向する図示されない転動体転
動溝を有すると共に、袖部の肉厚部分を軸方向に貫通す
る図外の転動体戻し路を有している。一方、エンドキャ
ップ2Bは、スライダ本体2Aの転動体転動溝とこれに
平行な転動体戻し路とを連通させる図示されない湾曲路
を有しており、それらの転動体転動路と転動体戻し路と
両端の湾曲路とで転動体の循環回路が形成れている。そ
の転動体の循環路内には例えば鋼球からなる多数の転動
体が装填されている。エンドキャップ2Bの端面にはグ
リースニップル7が設けられている。
【0003】案内レール1に組付けられたスライダ2
は、対向する両転動体転動溝内の転動体の転動を介して
案内レールに沿い滑らかに移動し、その移動中、転動体
はスライダ内の転動体循環路を無限循環する。
【0004】上述したスライダ2には、案内レール1と
の隙間の開口をシールする防塵用シール装置として、図
14に示すように両端(各エンドキャップ2Bの端面)
にシール装置であるサイドシール5、下面にアンダーシ
ール6が装着されている。これ等従来のシールは一般的
にはNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)等のゴ
ム製のものが用いられている。
【0005】また、スライダ2の内部には、通常、潤滑
剤としてグリースが充填されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来のリニアガイド装置では、案内レール1に
沿ったスライダ2の走行に伴って、スライダ2内部に装
填されたグリースがスライダ2の外部へはき出されて、
徐々に減少していき、最終的には枯渇する。特に、木材
切屑等の吸油性粉塵がかかるような環境でリニアガイド
装置を使用すると、より早期にグリースが枯渇する。グ
リースが不足するとサイドシール5やアンダーシール6
のリップ部が磨耗し、切削粉等の異物がスライダ内部に
侵入し易くなって好ましくない。これを防止するため
に、グリースニップル7から定期的にグリースを補充す
るメンテナンスが必要となる。リニアガイド装置は自動
車製造設備等の搬送装置や各種の産業用機械設備に多数
用いられており、メンテナンス期間の長期化が求められ
ている。
【0007】よって、本発明はグリース補給等のメンテ
ナンスを長期間必要としないリニアガイド装置を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のリニアガイド装置は、外面に転動体転動溝
を有して軸方向に延びる案内レールにスライダが遊嵌さ
れ、該スライダは上記案内レールの転動体転動溝に対向
する負荷転動体転動溝及びこの負荷転動体転動溝の両端
部に湾曲路を介して連結された転動体戻し路からなる転
動体循環路を備え、該転動体循環路に上記案内レールに
沿って上記スライダを相対移動させる多数の転動体が装
填されるリニアガイド装置において、上記スライダに潤
滑剤を含有する合成樹脂からなる潤滑剤含有ポリマ部材
を設け、上記潤滑剤含有ポリマ部材の内面を上記案内レ
ールに接触させて上記潤滑剤含有ポリマ部材から接触面
を介して上記案内レールへ潤滑剤を供給すると共に、上
記接触面の面積が上記内面の上記案内レールへの投影面
積よりも小さくなるようにした、ことを特徴とする。
【0009】好ましくは、上記接触面積の上記内面の上
記案内レールへの投影面積に対する比率を1/100〜
1/2の範囲内とするのが具合が良い。
【0010】また、上記潤滑剤含有ポリマ部材を上記ス
ライダの一方若しくは両方の端面に少なくとも2枚以上
配設し、その中の少なくとも1枚の潤滑剤含有ポリマ部
材にはワックスを含有させることが好ましい。
【0011】
【作用】本発明は、潤滑剤含有ポリマ部材の案内レール
への接触面積を、潤滑剤含有ポリマ部材の案内レールに
対向する内面の案内レールへの投影面積(以下、投影面
積という)よりも小さい、所定範囲内の比率の面積にし
ているので、接触面積と投影面積を等しくした場合に比
べて、スライダの走行に伴って案内レールとの摩擦熱に
よって温度上昇する面積が減少する。潤滑剤含有ポリマ
部材から放出される単位時間当りの潤滑剤量(潤滑剤の
放出率)は部材温度が高いほど多いので、放出潤滑剤の
累計が潤滑剤含有ポリマ部材から放出可能な最大潤滑剤
量に達する時間は早くなる。温度上昇する面積が小さい
方がそれだけ潤滑剤の放出率が低くなり、最大潤滑剤量
に達する時間を長くすることができる。それによって、
より長期間に渡って潤滑剤の供給が継続され、充填グリ
ースが消失した時点でもリニアガイドの潤滑を保つこと
が出来、グリース補給期間の延長、ひいては一定期間の
メンテナンスフリー化が可能になる。また、潤滑剤含有
ポリマ部材をスライダの各端面に2枚以上設けたり、定
期的な交換を行えば、より一層のグリース補給期間の延
長も可能となる。
【0012】
【実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照
して説明する。なお、従来例と対応する部分には同一符
号を付している。
【0013】図1乃至図4は、第1の実施の形態を示す
もので、スライダの両端面に各一つずつ潤滑剤含ポリマ
部材を配設したリニアガイド装置である。
【0014】まず、装置の構成を説明すると、このリニ
アガイド装置は、図1の斜視図に示すように、外面に転
動体溝3,3’を有して軸方向に延びる案内レール1
と、その案内レール1を跨いで組付けられたスライダ2
を備えている。スライダ2はスライダ本体2Aとその両
端部に取付けられたエンドキャップ2Bとからなり、ス
ライダ本体2Aは両袖部4の内側面に案内レール1の転
動体転動溝3,3’に対向する図示されない転動体転動
溝を有すると共に、袖部の肉厚部分を軸方向に貫通する
図外の転動体戻し炉を有している。一方、エンドキャッ
プ2Bは、スライダ本体2Aの転動体転動溝とこれに平
行な転動体戻し路とを連通させる図示されない湾曲路を
有しており、それ等の転動体転動溝と転動体戻し路と両
端の湾曲路とで転動体の循環路が形成されている。その
転動体の循環路内には、例えば鋼球からなる多数の転動
体が装填されている。案内レール1に組付けたスライダ
2は、対向する両転動体転動溝内の転動体の転動を介し
て案内レールに沿い滑らかに移動し、その移動中、転動
体はスライダ内の転動体循環路を無限循環するようにな
っている。
【0015】スライダ2の前後両端の各エンドキャップ
2Bの端面には、案内レール1との間の間口をシールす
るサイドシール10が取付けてある。そして、このサイ
ドシール10に重ねて、図2の分解斜視図に示すよう
に、潤滑剤供給部材としての潤滑剤含有ポリマ部材11
が、補強板20との間に挟んで組付けられている。な
お、7は必要に応じてスライダ2の内部の転動体にグリ
ースを供給するためのグリースニップルである。
【0016】上述したサイドシール10は、エンドキャ
ップ2Bの外形に合わせた略「コ」の字状の鋼板と、こ
の鋼板と相似の形状を有してその外面に一体的に成形さ
れたニトリルゴムとから構成されている。そして、案内
レール1と接触するシールリップ部Lは、スライダ2と
案内レール1との隙間をシール出来るように、その案内
レール1の断面形状に合わせて案内レール1の上面1a
及び外側面1bに摺接可能な形状、より具体的には、転
動体転動溝3,3’にも摺接可能な形状に成形されてい
る。また、このサイドシール10の両袖部に、取付ネジ
貫通用の貫通孔10a,10bが形成されると共に、両
袖部を連結する連結部には、グリースニップル用の貫通
孔10cが形成されている。
【0017】上述した潤滑剤含有ポリマ成形品からなる
潤滑剤含有ポリマ部材11は、例えば低分子量ポリエチ
レン(分子量1×104〜5×105)21重量%と超高
分子量ポリエチレン(分子量1×106〜5×106)9
重量%からなるポリエチレンに、潤滑剤としてのパラフ
ィン系鉱油70重量%を含有させたものを原料とし、こ
れを射出成形機を用い一度可塑化(溶解)させた後、所
定の金型に注入して加圧しつつ冷却固定させて成形され
ている。
【0018】潤滑剤含有ポリマ部材11の形状は、図3
の拡大斜視図に示すように、エンドキャップ2Bの外形
に合わせた略「コ」の字状で所定の厚みを有している。
その内面の形状は、図4の断面図に示すように、段差が
あり、案内レール1の横断面の外形形状に一致させて案
内レール1に接触している部分s1と、案内レール1の
外形形状よりも一回り大きく、案内レール1に非接触の
部分s2とからなる。接触部分s1の面積S1と非接触部
分s2の面積S2の比率は、例えば、3:7になってい
る。ここで、案内レール1への投影面積Sは面積S1+
S2となる。接触部分は、案内レール1の上面1a及び
側面1bに沿う形状に形成されると共に、案内レール1
の上の転動体転動溝3’に対応する突部11d,11
e、下の転動体転動溝3に対応する突部11f,11g
がそれぞれ形成されて、案内レール1の横断面外形形状
に整合させてある。
【0019】また、潤滑剤含有ポリマ部材11の両袖部
に、スライダのエンドキャップ2Bへの取付ネジの貫通
用の一部が軸方向に切開された貫通孔11a,11bが
形成されると共に、それ等両袖部を連結する連結部に
は、グリースニップル用の一部が軸方向に切開された貫
通孔11cが形成されている。そして、これ等の貫通孔
11a,11b及び11cのそれぞれには、図2に示す
ように、リング状スリーブ部材11A,11B及び11
Cが嵌め込まれるようになっている。このリング状スリ
ーブ部材11A,11B及び11Cは、潤滑剤含有ポリ
マ部材11の厚みより若干長い長さとされた短い円筒状
の部材であり、その外径は、貫通孔11a,11b及び
11cに容易に嵌め込める程度の寸法となっており、潤
滑剤含有ポリマ部材11の装着時にネジの締付けで圧縮
されて含有潤滑剤が絞り出されることがないようにして
いる。
【0020】また、スリーブ11A,11B及び11C
の外径は、貫通孔11a,11b及び11cよりも大き
くなされている。このように、スリーブ径を大きくする
と、潤滑剤含有ポリマ部材11の内面を絶えず案内レー
ル1の外面に押付けて密着させることができ、しみ出し
てくる潤滑剤を安定的に供給することができる。
【0021】補強板20は、エンドキャップ2Bの外形
に合わせた略「コ」の字形状の鋼板又は合成樹脂であ
る。その両袖部に取付けネジ21a,21bの貫通用の
貫通孔22a,22bが形成されると共に、それ等両袖
部を連結する連結部にはグリースニップル7用の貫通孔
22cが形成されている。なお、この補強板20は、案
内レール1とは非接触である。
【0022】潤滑剤含有ポリマ部材11は、通常、サイ
ドシール10及び補強板20に重ねてサンドイッチ状に
挟むように組付ける。しかし、潤滑剤含有ポリマ部材1
1は案内レールの外面に密着してサイドシール10と同
様のシール機能をも果し得るから、場合によっては、サ
イドシール10の代りに補強板20を使用しても良く、
又は補強板20を潤滑剤含有ポリマ部材の表面のみに重
ね、背面はエンドキャップ2Bの端面に直接当てるよう
にして装着しても良い。
【0023】この実施の形態では、これ等サイドシール
10,潤滑剤含有ポリマ部材11,補強板20の三者
が、取付用ネジ21a,21bをサイドシール10の貫
通孔10a,10bと潤滑剤含有ポリマ部材11のスリ
ーブ部材11A,11Bと補強板20の貫通孔20a,
20b及びエンドキャップ2Bのネジ貫通孔を通してス
ライダ2Aの取付用ネジ孔に螺合することにより、エン
ドキャップ2Bと一体に重ねて本体2Aに固定される。
【0024】次に、潤滑剤含有ポリマ部材の材料につい
て詳細に説明する。潤滑剤含有ポリマ部材は、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペン
テン等の基本的に同じ化学構造を有するポリオフィン系
樹脂の群から選定した合成樹脂に、潤滑剤としてポリα
−オレフィン油のようなパラフイン系炭化水素油、ナフ
テン系炭化水素油、鉱油、ジアルキルジフェニルエーテ
ル油のようなエーテル油、フタル酸エステルのようなエ
ステル油等のいずれかを単独若しくは混合油の形で混ぜ
て調整した原料を、射出成形により成形したものであ
り、潤滑剤の中に予め酸化防止剤、錆止め剤、摩擦防止
剤、泡消し剤、極圧剤等の各種添加剤を加えたものでも
良い。
【0025】上述した潤滑剤含有ポリマ部材の組成比
は、全重量に対してポリオレフィン系樹脂20〜80重
量%、より好ましくは、20〜50重量%、潤滑剤80
〜20重量%、より好ましくは、80〜50重量%であ
る。ポリオレフイン系樹脂が20重量%未満の場合は、
あるレベル以上の硬さ、強度が得られ難い。また、ポリ
オレフイン系樹脂が80重量%を越える場合(つまり、
潤滑剤が20重量%未満の場合)は、潤滑剤の供給が少
なくなり、リニアガイド装置のメンテナンスフリー化が
困難となる。実用的には、潤滑剤50〜80重量%(ポ
リオレフィン系樹脂50〜20重量%)が潤滑剤の供給
が豊富であり、供給能力が長期間保てるので好適であ
る。
【0026】上述した合成樹脂の群は、基本構造は同じ
でその平均分子量が異なっており、700〜5×106
の範囲に及んでいる。その中で、平均分子量700〜1
×104というワックス(例えば、ポリエチレンワック
ス)に分類されるものと、平均分子量1×104〜1×
106という比較的低分子量のものと、1×106〜5×
106という超高分子量のものとを、単独若しくは必要
に応じて混合して用いる。比較的低分子量のものと潤滑
剤の組合わせによって、ある程度の機械的強度、潤滑剤
供給能力、保油性をもつ潤滑剤含有ポリマ部材が得られ
る。その中の比較的低分子量のものの一部を、ワックス
に分類されるものに置換えると、ワックスに分類される
ものと、潤滑油との分子量が小さいために潤滑油との親
和性が高くなり、結果として保油性が大きくなり、潤滑
剤供給能力は低下する(それによって、より長期間に渡
って潤滑剤を供給することが可能となる)。また、その
反面、機械的強度は低下する。ワックスとしては、ポリ
エチレンワックスのようなポリオレフィン系樹脂の他、
融点が100〜130℃以上の範囲にある炭化水素系の
物(例えば、パラフィン系合成ワックス)であれば使用
できる。それに対して、超分子量のものに置換えると、
超高分子量のものと潤滑油との分子量の差が大きいた
め、潤滑油との親和性が低くなり、結果として、保油性
が悪くなり、潤滑剤供給能力は上昇する(それにより、
比較的短期間に潤滑剤が供給される)。また、機械的強
度も上昇する。
【0027】射出成形性、機械的強度、潤滑剤供給能
力、保油性のバランスを考慮すると、潤滑剤含有ポリマ
部材の組成比は、ワックスに分類されるもの0〜5重量
%、比較的低分子量のもの5〜48重量%、超高分子量
のもの2〜10重量%であって、かつ3つの樹脂分の合
計が20〜50重量%(残りが潤滑剤80〜50重量
%)となるような範囲が好適である。
【0028】リニアガイド装置の長期メンテナンスフリ
ー化を達成するために、スライダ端面に配設する潤滑剤
含有ポリマ部材は、スライダの一方若しくは両方の端面
に少なくとも2枚以上配設し、その中の少なくとも1枚
の潤滑剤含有ポリマ部材にワックスを含有させたものを
使用しても良い。ワックスを含有させた潤滑剤含有ポリ
マ部材を使用することで潤滑剤供給期間が長くなり、グ
リース補給等のメンテナンスを長期間省略することが可
能になる。
【0029】また、潤滑剤含有ポリマ部材の案内レール
への接触面積は、潤滑剤含有ポリマ部材内面の案内レー
ルへの投影面積より小さくなっている。より具体的に
は、投影面積に対する接触面積の割合は、1/100〜
1/2の範囲が好ましく、1/100未満では、接触面
積が小さすぎて案内レールへ供給される潤滑剤量が少な
く、リニアガイドを潤滑する必要油量を確保するのが難
しくなる。それに対して1/2を越える場合は、潤滑剤
含有ポリマ部材の案内レールへの接触部がスライダの走
行に伴って発生する摩擦熱によって発熱し、発熱温度の
絶対値が大きく、それにより、潤滑剤の供給量が多くな
って潤滑剤の供給期間は短くなる。また、1/2を越え
て接触している場合は、接触部から非接触部へ熱が伝わ
りやすく、それによって放出される潤滑剤量は全面接触
している場合とそれ程差はなく、接触面積を小さくした
効果が小さい。
【0030】潤滑剤含有ポリマ部材の機械的強度を向上
させるため、上述のポリオレフィン系樹脂に、以下のよ
うな熱可塑性及び熱硬化性樹脂を添加したものでもよ
い。
【0031】熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリ
カーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェ
ニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエー
テルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリスチレ
ン、ABS樹脂等の各樹脂を使用することができる。
【0032】熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステ
ル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポ
リイミド樹脂、エポキシ樹脂等の各樹脂を使用すること
が出来る。
【0033】これ等の樹脂は、単独又は混合して用いて
も良い。
【0034】更に、ポリオレフィン系樹脂とそれ以外の
樹脂とをより均一な状態で分散させるために、必要に応
じて適当な相溶化剤を加え合っても良い。
【0035】また、機械的強度を向上させるために、充
填剤を添加しても良い。例えば、炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカーやホウ酸ア
ルミニウムウィスカー等の無機ウィスカー類、あるいは
ガラス繊維やアスベスト、金属繊維等の無機繊維類及び
これ等を布状に編組したもの、また有機化合物では、カ
ーボンブラック、黒鉛粉末、カーボン繊維、アラミド繊
維やポリエステル繊維等を添加しても良い。
【0036】更に、ポリオレフイン系樹脂の熱による劣
化を防止する目的で、N,N’−ジフェニル−P−フェ
ニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4−エチル
−6−t−ブチルフェノール)等の老化防止剤、また光
による劣化を防止する目的で、2−ヒドロキシ−4−n
−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ
−3’−第三−ブチル−5’−メチル−フェニール)−
5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤を添加
しても良い。
【0037】以上の全ての添加剤(ポリオレフィン+油
以外)の添加量としては、添加剤全体として、成形原料
全重量の20重量%以下であることが、潤滑剤の供給能
力を維持する上で好ましい。
【0038】なお、スライダの端面に配設した潤滑剤含
有ポリマ部材の外側に、更に、ニトリルゴムなどのゴム
材料と芯金を一体化したシール装置を設けても良い。潤
滑剤含有ポリマ部材から供給される潤滑剤は、リニアガ
イド装置自体の潤滑に使われる他、シール装置のゴムリ
ップ部の潤滑にも使われ、ゴムリップ部の磨耗を低減し
シール性を維持することにも作用する。
【0039】次に、第2の実施の形態について図5及び
図6を参照して説明する。両図において図1と対応する
部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略す
る。
【0040】この実施の形態では、補強板20と潤滑剤
含有ポリマ部材との間に、もう一枚ずつ潤滑剤含有ポリ
マ部材12が設けられている。潤滑剤含有ポリマ部材1
2は、接触部と非接触部の比率が1:9で更に、以下の
ように、ワックスを含有した組成になっている。 超高分子量ポリエチレン : 4重量% 低分子量ポリエチレン : 21重量% ポリエチレンワックス : 5重量% 鉱油 : 70重量% ワックス入の潤滑剤含有ポリマ部材12を併設したこと
で、リニアガイド装置の走行初期のみならず、長期間に
渡って潤滑油の供給量が豊富になり、更に、グリース補
給等のメンテナンスの期間延長(長期メンテナンスフリ
ー化)に効果的である。
【0041】ワックスとしては、ポリエチレンワックス
のようなポリオレフイン系樹脂の他、融点が100〜1
30℃以上の範囲にある炭化水素系のもの(例えば、パ
ラフィン系合成ワックス)であれば使用できる。
【0042】次に、上述したリニアガイド装置の耐久性
評価試験について説明する。まず、供試体として、潤
滑剤含有ポリマ部材を有しない従来例(供試体1)、
潤滑剤含有ポリマ部材が案内レールに100%接触する
ようにした比較例(供試体2)、潤滑剤含有ポリマ部
材が案内レールに30%接触するようにした第1の実施
の形態(供試体3)、潤滑剤含有ポリマ部材を更に追
加した第2の実施の形態(供試体4)、の4つの種類の
リニアガイド装置について耐久性試験を行った。いずれ
のリニアガイド装置にもグリースをフルに充填した。
【0043】これ等4つの供試体を、木材切屑が堆積し
た環境下で、送り速度平均24m/分で試験走行し、破
損に至るまでの走行距離を求めた。その結果を図7に示
す。
【0044】同図においては、供試体1の破損に至るま
での走行距離を1として、各供試体の走行距離の相対値
を表している。
【0045】これより、潤滑剤含有ポリマ部材を有する
供試体2の走行距離は供試体1の2.3倍に延び、更
に、潤滑剤含有ポリマ部材の案内レールへの接触面積を
小さくした供試体3の走行距離は3.0倍に延びること
が確認された。また、ワックス入りの潤滑剤含有ポリマ
部材を更に併設する供試体4では走行距離は4倍にも延
びている。
【0046】第3及び第4の実施の形態を図8及び図9
に示す。この実施の形態では、潤滑剤含有ポリマ部材1
1の案内レールとの接触部分が内面の略中央に設けられ
ている。該内面の案内レールに対向する対向面の接触部
と非接触部の面積比は3:7に設定されている。図9の
構成では、中央の接触部の両側の非接触部に更にテーパ
が施されている。この場合の、テーパ面や案内レールに
対して垂直な面を含む内面全体の面積は、内面の案内レ
ール1への投影面積Sよりも大きい値となっている。
【0047】第5の実施の形態を図10を参照して説明
する。この実施の形態では、潤滑剤含有ポリマ部材11
の案内レール1と対向する内面に、断面が楔状の接触部
(シール)を形成している。潤滑剤含有ポリマ部材11
が案内レールに挿入されると、図に示すように、楔状の
接触部が屈曲していわゆるスクレーバ(かき取り機)の
役割をも果す。この屈曲状態において、接触部の面積
は、例えば、投影面積の5%(1/20)となるように
なされる。
【0048】この実施の形態によれば、潤滑剤含有ポリ
マ部材を用いて木屑等に対するシール性を向上すること
が可能となる。
【0049】第6及び第7の実施の形態をそれぞれ図1
1及び図12を参照して説明する。これ等の実施の形態
では、潤滑剤含有ポリマ部材11の内面に断面が楔状の
接触部(シール)を複数備えている。
【0050】図11に示す第6の実施の形態では、潤滑
剤含有ポリマ部材11の内面の両端部に接触部が形成さ
れている。この例では、接触面積S1,S1は投影面Sの
10%(1/10)になるようになされている。この構
成では、更にシール性が向上する。また、両側に接触部
が形成されるので、両接触部、潤滑剤含有ポリマ部材対
向面、案内レール1で囲まれる空間Vに、放出された潤
滑剤が溜りやすく、案内レールに付着する潤滑剤の量を
実質的に増やすことが可能となる。
【0051】図12に示す第7の実施の形態では、潤滑
剤含有ポリマ部材11の内面に断面が楔状の接触部を3
つ形成されている。更なるシール性の向上が図られる。
この例では、接触面積は内面の投影面積の15%(3/
20)になるようになされている。潤滑剤含有ポリマ部
材11と案内レール1との相互間に形成される空間V1
及びV2には潤滑剤が溜りやすいので、案内レールに付
着する潤滑剤の量を実質的に増やすことが可能となる。
【0052】以上説明した本発明の実施の形態によれ
ば、潤滑剤含有ポリマ部材の案内レールへの接触面積
が、潤滑剤含有ポリマ部材の案内レールへの投影面積よ
りも小さくなるようにしたので、内面の全面が案内レー
ルに接触するようにした場合の構成に比べて、潤滑剤の
放出率を低く抑制し、長期間に渡って潤滑剤を供給する
ことが可能となる。このため、グリース補給等のメンテ
ンス期間を延すことが可能となる。
【0053】また、潤滑剤含有ポリマ部材の案内レール
への投影面積に対する接触面積の割合を一定範囲内に限
定することで、必要な程度で潤滑剤の供給を図り、潤滑
剤の長期間安定供給の確保が可能となる。
【0054】また、潤滑剤含有ポリマ部材をスライダの
一方若しくは両方の端面にそれぞれ2枚以上設け、その
中の少なくとも一枚をワックスを含有した潤滑剤含有ポ
リマ部材としすることで、潤滑剤の供給の絶対量の増加
と、供給期間の延長との両立が図られる。従って、メン
テナンス期間を大幅に延すことが可能となる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のリニアガ
イド装置によれば、潤滑剤含有ポリマ部材の案内レール
への接触面積が、潤滑剤含有ポリマ部材の案内レールに
対向する内面の案内レールへの投影面積よりも小さくな
るようにしたので、潤滑剤の放出率を抑制し、長期間に
渡って潤滑剤を供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のリニアガイド装置
を説明する斜視図である。
【図2】本発明のリニアガイド装置に用いられる潤滑剤
含有ポリマ部材の取付け状態を説明する分解斜視図であ
る。
【図3】潤滑剤含有ポリマ部材を説明する斜視図であ
る。
【図4】潤滑剤含有ポリマ部材11の内面の案内レール
1に接触する接触面S1と非接触面S2とを説明する部分
断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態のリニアガイド装置
を説明する斜視図である。
【図6】潤滑剤含有ポリマ部材12の内面の案内レール
1に接触する接触面と非接触面とを説明する部分断面図
である。
【図7】供試体の試験結果を説明する説明図である。
【図8】潤滑剤含有ポリマ部材内面の略中央部が案内レ
ールに接触する実施態様を説明する部分断面図である。
【図9】潤滑剤含有ポリマ部材内面の略中央部が案内レ
ールに接触し且つ内面の非接触面にテーパが形成される
実施態様を説明する部分断面図である。
【図10】潤滑剤含有ポリマ部材内面の一方の側端部近
傍に案内レールに潤滑剤を供給しかつ潤滑剤含有ポリマ
部材と案内レール相互間の隙間を遮蔽するシール部材が
形成される実施態様を説明する部分断面図である。
【図11】潤滑剤含有ポリマ部材内面の両方の側端部近
傍の各々に案内レールに潤滑剤を供給しかつ潤滑剤含有
ポリマ部材と案内レール相互間の隙間を遮蔽するシール
部材が形成される実施態様を説明する部分断面図であ
る。
【図12】潤滑剤含有ポリマ部材内面に案内レールに潤
滑剤を供給しかつ潤滑剤含有ポリマ部材と案内レール相
互間の隙間を遮蔽する3つのシール部材が形成される実
施態様を説明する部分断面図である。
【図13】従来のリニアガイド装置の例を説明する斜視
図である。
【図14】従来のリニアガイド装置の下側面を説明する
斜視図である。
【符号の説明】
1 案内レール 2 スライダ 2B エンドキャップ 3,3’ 転動体転動溝 10 サイドシール 11 潤滑剤含有ポリマ部材 12 潤滑剤含有ポリマ部材 20 補強板

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外面に転動体転動溝を有して軸方向に延び
    る案内レールにスライダが遊嵌され、該スライダは前記
    案内レールの転動体転動溝に対向する負荷転動体転動溝
    及びこの負荷転動体転動溝の両端部に湾曲路を介して連
    結された転動体戻し路からなる転動体循環路を備え、該
    転動体循環路に前記案内レールに沿って前記スライダを
    相対移動させる多数の転動体が装填されるリニアガイド
    装置において、 前記スライダに潤滑剤を含有する合成樹脂からなる潤滑
    剤含有ポリマ部材を設け、前記潤滑剤含有ポリマ部材の
    内面を前記案内レールに接触させて前記潤滑剤含有ポリ
    マ部材から接触面を介して前記案内レールへ潤滑剤を供
    給すると共に、前記接触面の面積が前記内面の前記案内
    レールへの投影面積よりも小さくなるようにした、 ことを特徴とするリニアガイド装置。
JP338497A 1997-01-10 1997-01-10 リニアガイド装置 Pending JPH10196651A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP338497A JPH10196651A (ja) 1997-01-10 1997-01-10 リニアガイド装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP338497A JPH10196651A (ja) 1997-01-10 1997-01-10 リニアガイド装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10196651A true JPH10196651A (ja) 1998-07-31

Family

ID=11555873

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP338497A Pending JPH10196651A (ja) 1997-01-10 1997-01-10 リニアガイド装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10196651A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107429739A (zh) * 2015-03-31 2017-12-01 日本精工株式会社 供油装置和直线运动引导装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107429739A (zh) * 2015-03-31 2017-12-01 日本精工株式会社 供油装置和直线运动引导装置
US10107336B2 (en) 2015-03-31 2018-10-23 Nsk Ltd. Oil supply device and linear motion guide device
CN107429739B (zh) * 2015-03-31 2020-10-30 日本精工株式会社 供油装置和直线运动引导装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5694811A (en) Linear motion machine with a lubricant supply member
US6752245B2 (en) Feed screw device
JP3687755B2 (ja) 潤滑剤含有ポリマ潤滑リニアガイド装置
KR100337408B1 (ko) 안내장치의 방진구조
US20050252324A1 (en) Ball screw device
US6550968B2 (en) Sealing device for linear guide apparatus
JP5589411B2 (ja) 直動案内軸受装置及び搬送装置
US5558448A (en) Rolling bearing
JP3796972B2 (ja) ボールねじ用の潤滑装置
JPH1078032A (ja) 潤滑剤含有ポリマによる潤滑リニアガイド装置
US6572269B2 (en) Bearing apparatus
JPH07103230A (ja) 潤滑剤含有ポリマ潤滑のミニアチュアリニアガイド装置
JP3344146B2 (ja) 潤滑剤含有ポリマ潤滑リニアガイド装置
JPH10196651A (ja) リニアガイド装置
JPH1078033A (ja) リニアガイド装置
JPH09303392A (ja) 潤滑剤供給装置付き直動案内軸受装置
JP2003269455A (ja) 滑り軸受
JPH11311246A (ja) リニアガイド
JP5772158B2 (ja) 直動装置
JPH1182502A (ja) 直動案内軸受装置
JP2004205016A (ja) 直動装置
JP4069262B2 (ja) 木工用リニアガイド装置
JP3365170B2 (ja) 直動案内軸受装置
JP2002168248A (ja) 直動装置
JP2001355633A (ja) 潤滑剤溜まりを有するリニアガイド装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050214

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20050216

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20050414

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060407

A521 Written amendment

Effective date: 20060607

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060703

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20060707

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20060804

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080201