JPH1068880A - マクロ機構を有する収差可変光学系 - Google Patents

マクロ機構を有する収差可変光学系

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JPH1068880A
JPH1068880A JP8244286A JP24428696A JPH1068880A JP H1068880 A JPH1068880 A JP H1068880A JP 8244286 A JP8244286 A JP 8244286A JP 24428696 A JP24428696 A JP 24428696A JP H1068880 A JPH1068880 A JP H1068880A
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lens
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Haruo Sato
治夫 佐藤
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分大きな画角を有し、シャープな画質状態
を挟んで球面収差を負の値から正の値まで連続的に変化
させることのできる、マクロ領域まで合焦が可能な収差
可変光学系。 【解決手段】 マスターレンズ群GM は、正屈折力の第
1部分レンズ群L1 と、負屈折力の第2部分レンズ群L
2 と、正屈折力の第3部分レンズ群L3 とを有する。コ
ンバータレンズ群GC は、正レンズ成分LP と、負レン
ズ成分LN とを有する。そして、正レンズ成分LP と負
レンズ成分LN との軸上空気間隔Dを変化させることに
より主に球面収差を変化させる。また、マスターレンズ
群GM は前群GA と後群GB とを有し、前群GA と後群
B とを互いに独立に移動させることによって近距離物
体への合焦を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマクロ機構を有する
収差可変光学系に関し、特に、マクロ領域まで合焦が可
能で、画角が比較的大きく且つ明るいソフトフォーカス
画像を得ることのできるバリアブルソフトフォーカスレ
ンズや、ボケ味を良好に補正する機能を有するボケ味可
変光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ソフトフォーカス(軟調描写)の
効果を得ることのできる光学系が古くから知られてい
る。特に、ソフトフォーカスの効果を連続的に変化させ
ることが可能な光学系、すなわちバリアブルソフトフォ
ーカスレンズは、近年のソフトフォーカスレンズの主流
になっている。たとえば、特開昭52−76921号公
報には、比較的画角の小さいテッサータイプやトリプレ
ットタイプをマスター部分に使用し、その後方に負のメ
ニスカスレンズを付加し、マスター部分と負メニスカス
レンズとの間隔を変化させることによって球面収差を連
続的に変化させる光学系が開示されている。
【0003】また、特開昭53−109626号公報に
は、マスター部分にガウスタイプを使用して大口径化
し、その後方に負のメニスカスレンズ成分を付加し、マ
スター部分と負メニスカスレンズとの間隔を変化させる
ことによって球面収差を連続的に変化させる光学系が開
示されている。さらに、ソフトフォーカスの効果を得る
こととは目的が異なるが、主に球面収差を連続的に発生
させることによってアウトフォーカス部分の描写を変化
させる光学系が特開平1−259314号公報に開示さ
れている。この公報に開示の光学系は、ソフトフォーカ
スと類似の効果を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開昭52−7692
1号公報および特開昭53−109626号公報に開示
されたバリアブルソフトフォーカスレンズでは、いわゆ
るシャープな画質が得られるポジション(すなわちノー
マルモードのレンズ位置状態)を有し、所定の可変間隔
を変化させることによって球面収差を連続的に発生させ
る効果を有する。しかしながら、画角(2ω)が28°
程度と小さく、美しいソフトフォーカスイメージやデフ
ォーカスイメージを得るために必要なコマ収差の対称性
が良くなかった。また、シャープな画質が得られるポジ
ションから、負の球面収差および正の球面収差のうちの
いずれか一方しか発生させることができなかった。仮
に、逆の符号の球面収差を無理に発生させようとする
と、コマ収差の対称性がさらに悪化し、美しいソフトフ
ォーカスイメージやデフォーカスイメージを得ることが
できないばかりか、最終的にはレンズ成分が機械的に干
渉する可能性もあり、実現困難であった。
【0005】また、特開昭52−76921号公報に
は、マスターレンズ群の後方に正の屈折力を有するコン
バータレンズ群を設置し、コンバータレンズ群中の空気
間隔を変化させることによって球面収差を変化させる光
学系が開示されている。しかしながら、マスターレンズ
群にテッサータイプやトリプレットタイプを使用し、コ
ンバータレンズ群のパワー(屈折力)を正にした場合、
同様の焦点距離を有する場合、全長をよりコンパクトに
することができない。なお、この光学系では、マスター
レンズ群の一部を移動させて合焦を行う部分フォーカス
方式を採用している。しかしながら、シャープな画質が
得られるべきノーマルモードにおいて、近距離物体への
合焦に伴う収差変動が大きく、マクロ領域(たとえば撮
影倍率が1/4倍以上の領域)までの合焦を良好に行う
ことができなかった。
【0006】さらに、特開平1−259314号公報に
開示された光学系においては、球面収差を変化させるた
めの可変間隔が最も物体側に設けられている。その結
果、美しいソフトフォーカスイメージやデフォーカスイ
メージを得るために必要なコマ収差の対称性を得ること
ができなかった。また、美しいソフトフォーカスイメー
ジを得るのに十分な大きさの球面収差量を得ることがで
きなかった。なお、この光学系では、像側のレンズ群を
移動させて合焦を行うリアーフォーカス方式を採用して
いる。しかしながら、フォーカシング群(合焦のために
移動するレンズ群)のレンズ径およびフォーカシング移
動量(合焦のための移動量)が比較的大きく、マクロ領
域(たとえば撮影倍率が1/4倍以上の領域)までの合
焦を良好に行うことができなかった。
【0007】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたも
のであり、十分大きな画角を有し、シャープな画質状態
を挟んで球面収差を負の値から正の値まで連続的に変化
させることのできる、マクロ領域まで合焦が可能な収差
可変光学系を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明においては、物体側から順に、正の屈折力を
有するマスターレンズ群GM と、負の屈折力を有するコ
ンバータレンズ群GCとを備え、前記マスターレンズ群
M は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分
レンズ群L1 と、負の屈折力を有する第2部分レンズ群
2 と、正の屈折力を有する第3部分レンズ群L3 とを
有し、前記コンバータレンズ群GC は、物体側から順
に、正の屈折力を有するレンズ成分LP と、負の屈折力
を有するレンズ成分LN とを有し、前記正レンズ成分L
P と前記負レンズ成分LN との間に形成される空間は開
口絞りに対して凹面を向け、前記正レンズ成分LP と負
レンズ成分LN との軸上空気間隔Dを変化させることに
より主に球面収差を変化させる収差可変光学系であっ
て、前記マスターレンズ群GM は、物体側から順に、前
群GA と後群GB とを有し、前記前群GA と前記後群G
B とを互いに独立に移動させることによって近距離物体
への合焦を行うことを特徴とする収差可変光学系を提供
する。
【0009】本発明の好ましい態様によれば、近距離物
体への合焦に際して、前記前群GAと前記後群GB との
空気間隔は増大する。また、前記前群GA の合焦のため
の移動量をMA とし、前記後群GB の合焦のための移動
量をMB としたとき、 0<MA /MB <10 の条件を満足することが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】まず、本発明の基本的な構造につ
いて説明する。本発明においては、比較的大きい画角お
よび比較的大きい口径を確保することが可能なレンズタ
イプ(例えば、いわゆるクセノタータイプやガウスタイ
プに代表される光学系)をマスターレンズ群GM に使用
し、色収差を含む諸収差を十分に補正している。そし
て、コンバータレンズ群GC によってテレ比をかけ、小
型化しつつ、且つバリアブルソフトフォーカスのための
レンズ群移動やデフォーカスイメージコントロールのた
めのレンズ群移動に十分なバックフォーカスを確保して
いる。
【0011】なお、「デフォーカスイメージコントロー
ル」は、撮影している被写体そのものの像面上における
解像およびコントラストがあまり変化しない程度に収差
(特に球面収差)を変化させ、その結果、作画写真の描
写性(特に前ボケ、後ボケによるボケ味)を変化させる
作用を有する。この時、収差の変化のさせ方によって、
前ボケに明瞭な変化を与えるか、あるいは後ボケに明瞭
な変化を与えるかの選択が可能である。
【0012】一方、「ソフトフォーカス」では、収差
(特に球面収差)を大きく変化させて、画面全体の主に
各周波数成分に対応するコントラストを低下させる。そ
の結果、ソフトフォーカスは、いわゆる軟調描写と呼ば
れるフレアーによるいわゆるかぶりを発生させた状態を
作り出す作用を有する。したがって、ソフトフォーカス
では、撮影している被写体そのものの像面上における各
周波数成分に対応するコントラストが実質的に変化する
ことになる。
【0013】また、本発明では、マスターレンズ群GM
において前群GA と後群GB とを設定し、前群GA と後
群GB とを互いに独立に移動させる(フローティングさ
せる)ことにより合焦を行う。このため、収差構造的に
も、マスターレンズ群GM とコンバータレンズ群GC
を分離しておく適度な独立させた収差補正状態を確保す
る必要がある。また、コンバータレンズ群GC が負のパ
ワー(屈折力)を有することにより光学系全体の焦点距
離よりもマスターレンズ群GM の焦点距離が短くなるた
め、全体繰り出し方式に比較して合焦のための移動量が
相対的に小さくなるので好ましい。
【0014】また、本発明では、マスターレンズ群GM
とコンバータレンズ群GC とを明確に分離することによ
って、主に球面収差を変化させるための可変空気間隔D
を瞳(または開口絞り)から遠ざけることができる。こ
うして、正レンズ成分LP および負レンズ成分LN に対
する射出斜光線および入射斜光線が光軸からより離れる
ため、正レンズ成分LP および負レンズ成分LN に対す
る偏角が大きくなり、上下光線で比較的近い偏角の大き
さを実現することができる。したがって、画面の周辺部
分まで対称性の良いフレアーが発生し、良好な点像を得
ることができる。
【0015】特に、本発明の光学系のように、大画角を
有するソフトフォーカスレンズやボケ味可変光学系の場
合、対称性の良いフレアーが発生することは、球面収差
の発生量の大小と同様に重要なファクターの一つであ
る。また、本発明では、正レンズ成分LP と負レンズ成
分LN との間に形成される空間すなわち空気レンズが開
口絞りに対して凹面を向けた構造になっている。これ
は、主に球面収差を変化させるために軸上空気間隔Dを
変化させる際に像面湾曲やコマ収差の非対称成分の発生
を極力抑え、且つレンズ群の少ない移動量によって高次
収差を含む球面収差を発生させるためである。
【0016】以下、本発明の各条件式について説明す
る。本発明においては、次の条件式(1)を満足するこ
とが好ましい。 0<MA /MB <10 (1) ここで、 MA :前群GA の合焦のための移動量 MB :後群GB の合焦のための移動量
【0017】条件式(1)は、マスターレンズ群GM
の前群GA のフォーカシング移動量と後群GB のフォー
カシング移動量との比について適切な範囲を規定してい
る。本発明の場合、基本的には、前群GA および後群G
B はともに正のパワーを有することが望ましい。また、
近距離物体への合焦時に、前群GA と後群GB との空気
間隔が広がることが収差補正上望ましい。しかしなが
ら、収差バランスの取り方によっては、他の解も存在す
る可能性がある。
【0018】条件式(1)の下限値を下回ることは、合
焦に際して前群GA が静止していることを意味し、後群
B によるリアーフォーカス方式を採用していることを
意味する。この場合、前述のように、マクロ領域まで合
焦可能にするには前群GA と後群GB との空気間隔を非
常に大きくする必要があり、マクロ領域までの合焦が実
質的に不可能になる。仮に、フォーカシング群のパワー
を著しく大きくしてフォーカシング移動量を減少させて
も、近距離物体への合焦に際して像面湾曲などの諸収差
が大きく変動してしまう。なお、条件式(1)の下限値
を0.5に設定すると、近距離合焦に伴う収差変動をさ
らにバランス良く補正することができる。また、条件式
(1)の下限値を1.0に設定すると、近距離合焦に際
して前群GA と後群GB との空気間隔が広がることにな
り、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0019】逆に、条件式(1)の上限値を上回ると、
後群GB のフォーカシング移動量が前群GA のフォーカ
シング移動量に比べて著しく小さくなる。その結果、近
距離合焦時に前群GA と後群GB との空気間隔が非常に
大きくなり、近距離合焦時における周辺光量が減少す
る。また、ソフトフォーカス時にも周辺部において良好
な点像分布が得られなくなり、近距離合焦に伴う収差変
動も増大してしまうので好ましくない。なお、条件式
(1)の上限値を6に、さらに好ましくは4に設定する
ことにより、本発明の効果を更に良好に発揮することが
できる。
【0020】また、本発明においては、次の条件式
(2)を満足することが望ましい。 0.2<fA /fB <6 (2) ここで、 fA :前群GA の焦点距離 fB :後群GB の焦点距離
【0021】条件式(2)は、マスターレンズ群GM
の前群GA のパワーと後群GB のパワーとの比について
適切な範囲を規定している。本発明のように、大口径を
有し且つ大画角を有する収差可変光学系の場合、マスタ
ーレンズ群GM として対称性の良い光学系を採用するこ
とが望ましい。また、前群GA のパワーと後群GB のパ
ワーとの比を適切な値に設定することが、収差補正上望
ましく、さらにコンパクト化および低コスト化のために
も望ましい。なお、条件式(2)では、条件値の中心値
が1.0(すなわちfA =fB )よりも大きい値(すな
わちfA >fB )を有するような範囲の設定をしてい
る。これは、マスターレンズ群GM 全体としてのパワー
配置を弱いテレフォトタイプにするためである。歪曲収
差等の諸収差のバランスおよびバックフォーカスの確保
を考慮すると、マスターレンズ群GM は条件式(2)の
範囲を満足することが望ましい。
【0022】条件式(2)の下限値を下回ると、前群G
A のパワーが著しく大きくなり、結果的に球面収差の増
大を招くので好ましくない。また、バックフォーカスが
より短くなり、ソフトフォーカス時に大きな収差変化量
を得るための移動量を確保することができなくなるので
好ましくない。また、テレ比がより増加する方向であ
り、正の歪曲収差の増大を招き、好ましくない。なお、
条件式(1)の下限値を0.5に、さらに好ましくは1
に設定することにより、本発明の効果をより十分に発揮
することができる。逆に、条件式(2)の上限値を上回
ると、後群GB のパワーが著しく大きくなる。その結
果、対称性のバランスが著しく悪化し、球面収差や高次
の諸収差が悪化し、シャープな画質が得られるべきノー
マルモードにおける性能が著しく悪化し、大口径化およ
び大画角化を実現することができなくなってしまう。な
お、条件式(2)の上限値を5に、さらに好ましくは3
に設定することにより、本発明の効果をより十分に発揮
することができる。
【0023】また、本発明においては、次の条件式
(3)を満足することが好ましい。 −1<fM /fC <0 (3) ここで、 fM :無限遠合焦状態におけるマスターレンズ群GM
焦点距離 fC :無限遠合焦状態で且つ球面収差の発生量が最も少
ないレンズ位置状態におけるコンバータレンズ群GC
焦点距離
【0024】条件式(3)は、マスターレンズ群GM
焦点距離fM とコンバータレンズ群GC の焦点距離fC
との比について適切な範囲を規定している。条件式
(3)の下限値を下回ると、マスターレンズ群GM の焦
点距離fM が一定である場合、コンバータレンズ群GC
のパワーが著しく大きくなる。その結果、同一の焦点距
離を有するには、物体側主点と像側主点との間隔HH’
を長くする必要があるため、コンバータレンズ群GC
大型化してしまう。また、結果的にバックフォーカスが
極端に短くなり、一眼レフカメラ等に使用することがで
きなくなってしまう。なお、条件式(3)の下限値を−
0.5に、さらに好ましくは−0.4に設定することに
より、光学系の小型化をさらに進めることができる。
【0025】一方、条件式(3)の上限値を上回ること
は、条件式(3)が正の値をとること、すなわちコンバ
ータレンズ群GC が正屈折力のレンズ群となることを意
味する。前述したように、本発明では、大画角化および
大口径化が可能で、負方向および正方向の双方向に十分
な球面収差量を得ることができ、且つ高画質のポジショ
ン(諸収差の発生が少なくシャープな画質が得られるレ
ンズ位置状態)を有する光学系を実現するために、コン
バータレンズ群GC を負屈折力のレンズ群で構成するこ
とによって、小型で、十分なバックフォーカスを確保
し、諸収差を良好に補正している。条件式(3)の上限
値を上回ると、本発明の所要の構造から大きく外れて、
テレフォトタイプのパワー配置を確保することができな
い。その結果、小型化に不利になるばかりか、合焦時の
移動量が増大する傾向があり、好ましくない。なお、条
件式(3)の上限値を−0.01に、さらに好ましくは
−0.12に設定することにより、本発明の効果をさら
に良好に発揮することができる。
【0026】また、本発明においては、次の条件式
(4)を満足することが望ましい。 0<fN /fC <1 (4) ここで、 fN :負レンズ成分LN の焦点距離
【0027】条件式(4)は、負レンズ成分LN の焦点
距離fN とコンバータレンズ群GCの焦点距離fC との
比について適切な範囲を規定している。条件式(4)の
下限値の近傍において、コンバータレンズ群GC のパワ
ーが一定であれば、負レンズ成分LN のパワーが強くな
り過ぎて、シャープな画質が得られるべきポジションす
なわちノーマルモードにおいて諸収差を良好に補正する
ことが困難になる。また、構成レンズ枚数を増大させる
等の対策により諸収差の良好な補正が可能になったとし
ても、偏心に対する敏感度が著しく高くなり、製造が困
難になる。
【0028】更に、条件式(4)の下限値を下回ること
は、条件式(4)が負の値をとること、すなわち負レン
ズ成分LN およびコンバータレンズ群GC のうちのいず
れか一方が正の屈折力を有することを意味する。その場
合、前述したように、本発明の効果を発揮するための所
要の構成および方式を満足しないため、大画角化および
大口径化が可能で、負方向および正方向の双方向に十分
な球面収差量を得ることができ、且つ高画質のポジショ
ンを有する光学系を実現することができない。なお、条
件式(4)の下限値を0.05に、さらに好ましくは
0.1に設定することにより、本発明の効果を更に良好
に発揮することができる。
【0029】一方、条件式(4)の上限値を上回ると、
コンバータレンズ群GC のパワーが一定である場合、負
レンズ成分LN のパワーが弱くなり過ぎて、球面収差の
変化量を十分に得ることができなくなってしまう。仮
に、レンズ群の移動量を著しく大きくすることにより球
面収差の変化量を十分に得ようにすると、光学系の全長
の変化が増大し、バリソフトフォーカスモード中で結果
的にバックフォーカスが著しく短くなるポジションがで
きてしまうので好ましくない。また、バックフォーカス
が短くなるポジションとは反対の符号の球面収差を発生
させるバリソフトフォーカスモード中では、レンズ成分
P とレンズ成分LN とが機械的な干渉を起こし、結果
的に球面収差の変化量を十分に得ることができなくな
る。なお、条件式(4)の上限値を0.6に、さらに好
ましくは0.4に設定することにより、球面収差の変化
量をさらに十分に得ることができる。
【0030】また、本発明においては、次の条件式
(5)を満足することが望ましい。 −10<νN −νP <30 (5) ここで、 νN :負レンズ成分LN 中の負レンズのアッベ数 νP :正レンズ成分LP 中の正レンズのアッベ数
【0031】条件式(5)は、負レンズ成分LN 中の負
レンズのアッベ数νN と正レンズ成分LP 中の正レンズ
のアッベ数νP との差について適切な範囲を規定してい
る。コンバータレンズ群GC は、マスターレンズ群GM
とは独立した負の屈折力を有するレンズ群である。した
がって、光学系全体の色収差を考慮すれば、コンバータ
レンズ群GC 内で色消しがなされていることが望まし
い。すなわち、基本的には、一般の負レンズ群の色消し
と同様に、負レンズが低分散の光学材料で構成され、正
レンズが高分散の光学材料で構成されていることが望ま
しい。本発明の光学系の場合、正レンズ成分LP と負レ
ンズ成分LN との間の空気間隔Dを変化させる。このた
め、2つのレンズ成分の間にあまり大きな分散差を設定
すると色収差が変動してしまうので、2つのレンズ成分
の間には適当な分散差を与えることが望ましい。
【0032】条件式(5)の下限値を下回る場合、すな
わち負レンズの方が正レンズよりも分散が著しく大きく
なった場合、一般の負レンズ群の色消しと反対の組み合
わせになった場合、色収差の変動が増大し、満足な光学
性能を得ることができなくなる。なお、本発明の光学系
の場合、マスターレンズ群GM の構成が色収差の補正に
十分な自由度を有している。このため、一般的な負レン
ズ群の色消しとは逆の硝材の使い方をした組み合わせ、
すなわち負レンズの方が正レンズよりも若干量だけ分散
が大きいような構成(高分散になる構成)も可能になっ
ている。なお、条件式(5)の下限値を−7に、さらに
好ましくは−5に設定することにより、さらに良好な色
消しが可能になる。さらに、条件式(5)の下限値を−
2.5に設定すると、本発明の効果をさらに十分に発揮
することができる。
【0033】逆に、条件式(5)の上限値を上回る場
合、すなわち正レンズの方が負レンズよりも分散が著し
く大きくなり、レンズ成分LP とレンズ成分LN との間
の空気間隔Dの変化に伴って色収差が変動するので好ま
しくない。なお、条件式(5)の上限値を25に、さら
に好ましくは15に設定することにより、さらに良好な
色消しが可能になる。さらに、条件式(5)の上限値を
10に設定すると、本発明の効果をさらに十分に発揮す
ることができる。
【0034】また、本発明においては、次の条件式
(6)を満足することが望ましい。 −1<(rb −ra )/(rb +ra )<0 (6) ここで、 ra :正レンズ成分LP 中の最も像側に位置する正レン
ズの像側の面の曲率半径 rb :負レンズ成分LN 中の最も物体側に位置する負レ
ンズの物体側の面の曲率半径
【0035】条件式(6)は、正レンズ成分LP と負レ
ンズ成分LN との間に形成される空気レンズの形状因子
(シェイプファクター)の逆数について適切な範囲を規
定している。条件式(6)の下限値を下回る場合、空気
レンズの形状が像側に凸面を向けた平凸形状から両凸形
状になる。その場合、空気間隔Dを変化させることによ
り、球面収差以外の諸収差、特に像面湾曲や非対称のコ
マ収差が著しく発生するので好ましくない。なお、条件
式(6)の下限値を−0.5に、さらに好ましくは−
0.2に設定することより、球面収差以外の諸収差、特
に像面湾曲や非対称のコマ収差の発生をさらに良好に抑
えることが可能になる。
【0036】逆に、条件式(6)の上限値の近傍に至る
と、空気レンズの形状が像側に著しく曲率の大きい凸面
を向けたメニスカス形状になる。その結果、各面に対す
る射出光線や入射光線の偏角が著しく大きくなり、高次
の諸収差が増大し、本発明の特徴であるシャープな画質
が得られるべきポジションすなわちノーマルモードにお
ける性能が特に悪化する傾向がある。また、偏心やレン
ズ間隔やレンズ厚の公差が著しく厳しくなり、製造が困
難になる。なお、条件式(6)の上限値を−0.005
に、さらに好ましくは−0.01に設定することによ
り、本発明の効果をさらに十分に発揮することができ
る。
【0037】また、本発明においては、次の条件式
(7)を満足することが望ましい。 −0.25<nN −nP <0.35 (7) ここで、 nN :負レンズ成分LN 中の負レンズのd線に対する屈
折率 nP :正レンズ成分LP 中の正レンズのd線に対する屈
折率
【0038】条件式(7)は、負レンズ成分LN 中の負
レンズのd線に対する屈折率nN と正レンズ成分LP
の正レンズのd線に対する屈折率nP との差について適
切な範囲を規定している。条件式(7)の下限値を下回
ると、負レンズ成分LN の屈折率が著しく小さくなる。
その結果、高次の諸収差が著しく増加し、本発明の特徴
であるシャープな画質が得られるべきポジションすなわ
ちノーマルモードにおける性能が特に悪化する傾向があ
るので好ましくない。なお、条件式(7)の下限値を−
0.2に、さらに好ましくは−0.15に設定すること
により、適当な球面収差の発生を促し、諸収差、特に像
面湾曲や非対称のコマ収差の発生を良好に抑えることが
可能になる。
【0039】逆に、条件式(7)の上限値を上回る場
合、正レンズ成分LP の屈折率が著しく小さくなる。そ
の結果、ペッツバール和を適切な値に設定するのが困難
になり、像面湾曲が大きくなるので好ましくない。な
お、条件式(7)の上限値を0.25に、さらに好まし
くは0.2に設定すると、本発明の効果をさらに十分に
発揮することができる。
【0040】また、本発明においては、次の条件式
(8)を満足することが望ましい。 −10<(rd +rc )/(rd −rc )<1 (8) ここで、 rc :正レンズ成分LP の物体側の面の曲率半径 rd :正レンズ成分LP の像側の面の曲率半径
【0041】条件式(8)は、コンバータレンズ群GC
中の正レンズ成分LP の形状因子について適切な範囲を
規定している。条件式(8)の下限値を下回る場合、正
レンズ成分LP の形状は著しいメニスカス形状になる。
その結果、高次収差の影響により、本発明の特徴である
シャープな画質が得られるべきポジションすなわちノー
マルモードにおける性能が特に悪化する傾向があるので
好ましくない。なお、条件式(8)の下限値を−5に設
定すると、本発明の効果をさらに十分に発揮することが
できる。逆に、条件式(8)の上限値を上回る場合、正
レンズ成分LP の形状は物体側に凸面を向けたメニスカ
ス形状になる。その場合、空気間隔Dを変化させること
により、球面収差以外の諸収差、特に像面湾曲や非対称
のコマ収差が著しく発生するので好ましくない。
【0042】また、本発明においては、次の条件式
(9)を満足することが望ましい。 −1<(rf +re )/(rf −re )<10 (9) ここで、 re :負レンズ成分LN の物体側の面の曲率半径 rf :負レンズ成分LN の像側の面の曲率半径
【0043】条件式(9)は、コンバータレンズ群GC
中の負レンズ成分LN の形状因子について適切な範囲を
規定している。条件式(9)の下限値を下回る場合、負
レンズ成分LN の形状が像側に凹面を向けた平凹形状を
超えて像側に凹面を向けたメニスカス形状になり、空気
レンズの形状がメニスカス形状から著しく外れる。この
ため、空気間隔Dを変化させることにより、球面収差以
外の諸収差、特に像面湾曲や非対称のコマ収差が著しく
発生するので好ましくない。なお、条件式(9)の下限
値を0に設定すると、本発明の効果をさらに十分に発揮
することができる。
【0044】逆に、条件式(9)の上限値を上回る場
合、負レンズ成分LN の形状は著しいメニスカス形状に
なる。その結果、高次収差の影響により、本発明の特徴
であるシャープな画質が得られるべきポジションすなわ
ちノーマルモードにおける性能が特に悪化する傾向があ
るので好ましくない。なお、条件式(9)の上限値を5
に、さらに好ましくは2または1.5に設定すると、本
発明の効果をさらに十分に発揮することができる。
【0045】また、本発明においては、大口径化に対応
した良好な球面収差およびコマ収差を得るために、マス
ターレンズ群GM 中の第1部分レンス群L1 は2枚の正
レンズを有することが望ましい。また、ペッツバール和
を適当に設定するとともに十分な色消しを行うために、
正の屈折力を有する第3部分レンズ群L3 は負レンズと
正レンズとからなる接合レンズと正レンズとを有するこ
とが望ましい。さらに、コストダウンおよびコンパクト
化のために、コンバータレンズ群GC中の正レンズ成分
P および負レンズ成分LN をそれぞれ1枚のレンズに
よって構成することが望ましい。
【0046】
【実施例】以下、本発明の実施例を、添付図面に基づい
て説明する。図1は、本発明の実施例にかかる収差可変
光学系の構成および移動軌跡を示す図である。図1の収
差可変光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する
マスターレンズ群GM と、負の屈折力を有するコンバー
タレンズ群GC とを備えている。そして、マスターレン
ズ群GM は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1
部分レンズ群L1 と、負の屈折力を有する第2部分レン
ズ群L2 と、正の屈折力を有する第3部分レンズ群L3
とを有する。また、コンバータレンズ群GC は、物体側
から順に、正の屈折力を有するレンズ成分LP と、負の
屈折力を有するレンズ成分LN とを有する。
【0047】さらに具体的には、マスターレンズ群GM
は、物体側から順に、両凸レンズおよび物体側に凸面を
向けた正メニスカスレンズからなる第1部分レンズ群L
1 と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズからな
る第2部分レンズ群L2 と、開口絞りSと、両凹レンズ
と両凸レンズとの接合負レンズおよび両凸レンズからな
る第3部分レンズ群L3 とから構成されている。また、
コンバータレンズ群GC は、物体側から順に、両凸レン
ズLP と、物体側(開口絞りS側)に凹面を向けた両凹
レンズLN とから構成されている。
【0048】本実施例では、図1に示すように、球面収
差の発生量が最も少ないシャープな画質が得られるノー
マルモードを基準として、両凸レンズLP と両凹レンズ
Nとの軸上空気間隔Dが増大するように負メニスカス
レンズLN を移動させることにより、ソフトフォーカス
モード(1)を実現することができる。また、軸上空気
間隔Dが減少するように両凹レンズLN を移動させるこ
とにより、ソフトフォーカスモード(2)を実現するこ
とができる。なお、両凹レンズLN の移動に伴ってバッ
クフォーカスが変動するため、マスターレンズ群GM
両凸レンズLPとを一体的に移動させることにより、バ
ックフォーカスの変動を補正している。
【0049】また、本実施例では、マスターレンズ群G
M を、開口絞りSよりも物体側に配置された第1部分レ
ンズ群L1 および第2部分レンズ群L2 からなる前群G
A と、開口絞りSよりも像側に配置された第3部分レン
ズ群L3 からなる後群GB とに分割している。そして、
前群GA のフォーカシング移動量MA と後群GB のフォ
ーカシング移動量MB との比すなわち移動比がMA :M
B =1.3:1を満たすように、前群GA と後群GB
を互いに独立に移動させる(フローティングさせる)こ
とによって近距離物体への合焦を行っている。この合焦
方法により、1/2倍までのマクロ撮影が可能である。
【0050】次の表(1)に、本発明の本実施例の諸元
の値を掲げる。表(1)において、fは焦点距離を、F
NOはFナンバーを、2ωは画角を、Bfはバックフォー
カスを、D0 は物体と最も物体側の面との光軸に沿った
距離をそれぞれ表している。さらに、面番号は光線の進
行する方向に沿った物体側からのレンズ面の順序を、屈
折率およびアッベ数はそれぞれd線(λ=587.6n
m)に対する値を示している。
【0051】
【表1】 f=85 FNO=2.85 2ω=43.5° 面番号 曲率半径 面間隔 アッベ数 屈折率 1 55.6538 5.0000 48.04 1.716999 2 -2603.3146 0.1000 3 25.1841 3.4000 53.75 1.693500 4 38.3374 1.6000 5 92.2896 1.7000 36.98 1.612930 6 22.1322 (d6= 可変) 7 ∞ 4.0000 (開口絞りS) 8 -29.3026 1.7000 32.17 1.672700 9 196.5217 12.5000 53.89 1.713000 10 -39.9515 0.1000 11 334.0512 3.5000 55.60 1.696800 12 -73.6850 (d12=可変) 13 2514.2791 7.0000 33.75 1.648310 14 -49.2645 (d14=可変) 15 -45.2184 2.0000 40.90 1.796310 16 1264.3990 (Bf) (ソフトフォーカス化および合焦における可変間隔) f&β 85.02000 73.00000 90.00000 -0.03333 -0.10000 D0 ∞ ∞ ∞ 2604.1136 902.5494 d6 5.51671 5.51671 5.51671 6.06841 7.18198 d12 1.96096 1.96096 1.96096 3.80796 7.53598 d14 2.63421 7.07075 1.15230 2.63421 2.63421 Bf 55.73839 39.93660 62.24573 55.73839 55.73839 β -0.30000 -0.50000 -0.10000 -0.50000 -0.10000 -0.50000 D0 333.2842 217.3791 781.9516 192.1951 952.1982 227.6557 d6 10.60870 14.17700 7.45963 15.69403 7.08942 13.67642 d12 19.00804 30.95410 8.46553 36.03287 7.22613 29.27826 d14 2.63421 2.63421 7.07075 7.07075 1.15230 1.15230 Bf 55.73840 55.73839 39.93660 39.93661 62.24572 62.24574 (条件対応値) (1)MA /MB = 1.30 (2)fA /fB = 1.803 (3)fM /fC =−0.2958 (4)fN /fC = 0.2288 (5)νN −νP = 7.15 (6)(rb −ra )/(rb +ra )=−0.0428 (7)nN −nP = 0.148 (8)(rd +rc )/(rd −rc )=−0.9616 (9)(rf +re )/(rf −re )= 0.9309
【0052】図2乃至図10は、本実施例の諸収差図で
ある。図2は、無限遠合焦状態で且つ球面収差の発生量
が最も少ないノーマルモードにおける諸収差図である。
図3は、無限遠合焦状態で且つ後ボケ(背景のアウトフ
ォーカス部分の画像)が良好なソフトフォーカスモード
(1)における諸収差図である。図4は、無限遠合焦状
態で且つ前ボケ(前景のアウトフォーカス部分の画像)
が良好なソフトフォーカスモード(2)における諸収差
図である。また、図5は、撮影倍率1/30倍で且つ球
面収差の発生量が最も少ないノーマルモードにおける諸
収差図である。図6は、撮影倍率1/10倍で且つ球面
収差の発生量が最も少ないノーマルモードにおける諸収
差図である。図7は、撮影倍率1/3.33倍で且つ球
面収差の発生量が最も少ないノーマルモードにおける諸
収差図である。
【0053】さらに、図8は、撮影倍率1/2倍で且つ
球面収差の発生量が最も少ないノーマルモードにおける
諸収差図である。図9は、撮影倍率1/10倍で且つ後
ボケが良好なソフトフォーカスモード(1)における諸
収差図である。図10は、撮影倍率1/10倍で且つ前
ボケが良好なソフトフォーカスモード(2)における諸
収差図である。各収差図において、FNOはFナンバー
を、NAは開口数を、Aは半画角を、H0は近距離撮影
時の物体高を、dはd線(λ=587.6nm)を、g
はg線(λ=435.8nm)をそれぞれ示している。
また、非点収差を示す収差図において、実線はサジタル
像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している。
【0054】図2を参照すると、ノーマルモードでは、
一般の写真レンズと同様に、大画角の全体に亘って諸収
差が良好に補正されていることがわかる。また、図3を
参照すると、ソフトフォーカスモード(1)では、負の
球面収差および軸外の球面収差(コマ収差の対称性のあ
るフレアー成分)が大きく発生し、他の収差、特に軸外
収差の変動が微量であることがわかる。なお、ノーマル
モードとソフトフォーカスモード(1)との間において
収差発生量を連続的にコントロールすることができ、ノ
ーマルモードからソフトフォーカスモード(1)への方
向にレンズ移動を行うことにより、結像面の性能をあま
り劣化させることなく、後ボケだけを良好なボケ味にす
るボケ味可変(デフォーカスイメージコントロール)が
可能になる。
【0055】さらに、図4を参照すると、ソフトフォー
カスモード(2)では、正の球面収差および軸外の球面
収差(コマ収差の対称性のあるフレアー成分)が大きく
発生し、他の収差、特に軸外収差の変動が微量であるこ
とがわかる。なお、ノーマルモードとソフトフォーカス
モード(2)との間において収差発生量を連続的にコン
トロールすることができ、ノーマルモードからソフトフ
ォーカスモード(2)への方向にレンズ移動を行うこと
により、結像面の性能をあまり劣化させることなく、前
ボケだけを良好なボケ味にするボケ味可変(デフォーカ
スイメージコントロール)が可能になる。
【0056】図2、図5〜図8を参照すると、無限遠合
焦状態から撮影倍率1/2倍までの各撮影距離状態のノ
ーマルモードにおいて、一般のマクロレンズに劣ること
のない高い光学性能を広い画角に亘って有することがわ
かる。また、図9を参照すると、近距離合焦時のソフト
フォーカスモード(1)において、コマ収差が良好な対
称性を維持していることがわかる。さらに、図10を参
照すると、近距離合焦時のソフトフォーカスモード
(2)においても、コマ収差が良好な対称性を維持して
いることがわかる。
【0057】なお、上述の実施例では、マスターレンズ
群GM と正メニスカスレンズLP とを一体的に移動させ
ることにより、バックフォーカスの変動を補正してい
る。しかしながら、球面収差の可変のための負レンズ成
分LN の移動によっては、他の様々な方法によってバッ
クフォーカスの変動を補正することができる。たとえ
ば、マスターレンズ群GM のみを移動させることによっ
て、あるいは正メニスカスレンズLP のみを移動させる
ことによって、バックフォーカスの変動を補正すること
もできる。また、バックフォーカスの変動を補正するた
めのコンペンセータ群を別途設けることもできる。
【0058】また、上述の実施例では、前群GA のフォ
ーカシング移動量MA と後群GB のフォーカシング移動
量MB との移動比をMA :MB =1.3:1と一定にし
ている。しかしながら、たとえばUターン型のような構
造上可能な様々な移動軌跡に沿って移動比を各撮影距離
状態に応じて適宜変化させることにより、さらに良好な
収差バランスを得ることができる。また、上述の実施例
では、移動比を一定にしたときに収差バランスが最良の
状態になる解を示しているが、良好な収差バランスを得
ることのできる移動比の範囲には限定がある。たとえ
ば、上述の実施例では、移動比がMA :MB =1.1:
1〜2:1の範囲にある場合、良好な収差バランスを得
ることが可能である。このとき、各撮影倍率のうち特定
の撮影倍率時のフォーカシング移動量が条件式(1)を
満足していれば、良好な性能を得ることができる。
【0059】上述の実施例によれば、2ω=43.5°
程度の大画角を有し、且つFナンバーが2.8程度の大
きな口径を有し、シャープな画質状態を含んで球面収差
を負の値から正の値まで連続的に変化させることが可能
な収差可変光学系を実現することができる。この収差可
変光学系では、美しいソフトフォーカスイメージやデフ
ォーカスイメージを得ることができ、1/2倍までのマ
クロ撮影が可能である。また、上述の実施例の収差可変
光学系では、大画角の条件を満足しているため、光学系
全体を更に移動させることによって、いわゆるティルト
シフトレンズの機能を備えることができる。また、マス
ターレンズ群GM やコンバータレンズ群GC もしくは全
群を光軸直交方向に移動させて、いわゆる防振光学系を
実現することもできる。
【0060】
【効果】以上説明したように、本発明によれば、十分大
きな画角を有し、シャープな画質状態を挟んで球面収差
を負の値から正の値まで連続的に変化させることのでき
る、マクロ領域まで合焦が可能な収差可変光学系を実現
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる収差可変光学系の構成
および移動軌跡を示す図である。
【図2】無限遠合焦状態で且つ球面収差の発生量が最も
少ないノーマルモードにおける諸収差図である。
【図3】無限遠合焦状態で且つ後ボケ(背景のアウトフ
ォーカス部分の画像)が良好なソフトフォーカスモード
(1)における諸収差図である。
【図4】無限遠合焦状態で且つ前ボケ(前景のアウトフ
ォーカス部分の画像)が良好なソフトフォーカスモード
(2)における諸収差図である。
【図5】撮影倍率1/30倍で且つ球面収差の発生量が
最も少ないノーマルモードにおける諸収差図である。
【図6】撮影倍率1/10倍で且つ球面収差の発生量が
最も少ないノーマルモードにおける諸収差図である。
【図7】撮影倍率1/3.33倍で且つ球面収差の発生
量が最も少ないノーマルモードにおける諸収差図であ
る。
【図8】撮影倍率1/2倍で且つ球面収差の発生量が最
も少ないノーマルモードにおける諸収差図である。
【図9】撮影倍率1/10倍で且つ後ボケが良好なソフ
トフォーカスモード(1)における諸収差図である。
【図10】撮影倍率1/10倍で且つ前ボケが良好なソ
フトフォーカスモード(2)における諸収差図である。
【符号の説明】
M マスターレンズ群 GC コンバータレンズ群 GA 前群 GB 後群 LP 正レンズ成分 LN 負レンズ成分 L1 第1部分レンズ群 L2 第2部分レンズ群 L3 第3部分レンズ群 S 開口絞り

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体側から順に、正の屈折力を有するマ
    スターレンズ群GMと、負の屈折力を有するコンバータ
    レンズ群GC とを備え、 前記マスターレンズ群GM は、物体側から順に、正の屈
    折力を有する第1部分レンズ群L1 と、負の屈折力を有
    する第2部分レンズ群L2 と、正の屈折力を有する第3
    部分レンズ群L3 とを有し、 前記コンバータレンズ群GC は、物体側から順に、正の
    屈折力を有するレンズ成分LP と、負の屈折力を有する
    レンズ成分LN とを有し、 前記正レンズ成分LP と前記負レンズ成分LN との間に
    形成される空間は開口絞りに対して凹面を向け、前記正
    レンズ成分LP と負レンズ成分LN との軸上空気間隔D
    を変化させることにより主に球面収差を変化させる収差
    可変光学系であって、 前記マスターレンズ群GM は、物体側から順に、前群G
    A と後群GB とを有し、前記前群GA と前記後群GB
    を互いに独立に移動させることによって近距離物体への
    合焦を行うことを特徴とする収差可変光学系。
  2. 【請求項2】 近距離物体への合焦に際して、前記前群
    A と前記後群GBとの空気間隔は増大することを特徴
    とする請求項1に記載の収差可変光学系。
  3. 【請求項3】 前記前群GA の合焦のための移動量をM
    A とし、前記後群GB の合焦のための移動量をMB とし
    たとき、 0<MA /MB <10 の条件を満足することを特徴とする請求項1または2に
    記載の収差可変光学系。
  4. 【請求項4】 前記前群GA の焦点距離をfA とし、前
    記後群GB の焦点距離をfB としたとき、 0.2<fA /fB <6 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれか1項に記載の収差可変光学系。
  5. 【請求項5】 前記マスターレンズ群GM は開口絞りS
    を有し、前群GA は前記開口絞りSよりも物体側のレン
    ズ群からなり、前記後群GB は前記開口絞りSよりも像
    側のレンズ群からなり、 近距離物体への合焦に際して、前記前群GA と前記後群
    B との空気間隔は増大することを特徴とする請求項1
    乃至4のいずれか1項に記載の収差可変光学系。
  6. 【請求項6】 無限遠合焦状態における前記マスターレ
    ンズ群GM の焦点距離をfM とし、無限遠合焦状態で且
    つ球面収差の発生量が最も少ないレンズ位置状態におけ
    る前記コンバータレンズ群GC の焦点距離をfC とした
    とき、 −1<fM /fC <0 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至5のい
    ずれか1項に記載の収差可変光学系。
  7. 【請求項7】 前記負レンズ成分LN の焦点距離をfN
    とし、無限遠合焦状態で且つ球面収差の発生量が最も少
    ないレンズ位置状態における前記コンバータレンズ群G
    C の焦点距離をfC としたとき、 0<fN /fC <1 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至6のい
    ずれか1項に記載の収差可変光学系。
  8. 【請求項8】 前記負レンズ成分LN 中の負レンズのア
    ッベ数をνN とし、前記正レンズ成分LP 中の正レンズ
    のアッベ数をνP としたとき、 −10<νN −νP <30 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至7のい
    ずれか1項に記載の収差可変光学系。
  9. 【請求項9】 前記負レンズ成分LN 中の最も物体側に
    位置する負レンズの物体側の面の曲率半径をrb とし、
    前記正レンズ成分LP 中の最も像側に位置する正レンズ
    の像側の面の曲率半径をra としたとき、 −1<(rb −ra )/(rb +ra )<0 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至8のい
    ずれか1項に記載の収差可変光学系。
  10. 【請求項10】 前記負レンズ成分LN 中の負レンズの
    d線に対する屈折率をnN とし、前記正レンズ成分LP
    中の正レンズのd線に対する屈折率をnP としたとき、 −0.25<nN −nP <0.35 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至9のい
    ずれか1項に記載の収差可変光学系。
  11. 【請求項11】 前記正レンズ成分LP の物体側の面の
    曲率半径をrc とし、前記正レンズ成分LP の像側の面
    の曲率半径をrd としたとき、 −10<(rd +rc )/(rd −rc )<1 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至10の
    いずれか1項に記載の収差可変光学系。
  12. 【請求項12】 前記負レンズ成分LN の物体側の面の
    曲率半径をre とし、前記負レンズ成分LN の像側の面
    の曲率半径をrf としたとき −1<(rf +re )/(rf −re )<10 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至11の
    いずれか1項に記載の収差可変光学系。
  13. 【請求項13】 前記正レンズ成分LP と前記負レンズ
    成分LN との軸上空気間隔Dを変化させることにより、
    負の値から極小値を含んで正の値まで球面収差を変化さ
    せることのできるバリアブルソフトフォーカスレンズで
    あることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項
    に記載の収差可変光学系。
  14. 【請求項14】 前記第1部分レンズ群L1 は2枚の正
    レンズを有し、 前記第2部分レンズ群L2 は1枚の負レンズを有し、 前記第3部分レンズ群L3 は、負レンズと正レンズとの
    接合レンズと、正レンズとを有することを特徴とする請
    求項1乃至13のいずれか1項に記載の収差可変光学
    系。
  15. 【請求項15】 前記正レンズ成分LP および前記負レ
    ンズ成分LN は、それぞれ1枚のレンズからなることを
    特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の収
    差可変光学系。
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