JPH1067907A - 樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

樹脂組成物及びその製造方法

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JPH1067907A
JPH1067907A JP22665996A JP22665996A JPH1067907A JP H1067907 A JPH1067907 A JP H1067907A JP 22665996 A JP22665996 A JP 22665996A JP 22665996 A JP22665996 A JP 22665996A JP H1067907 A JPH1067907 A JP H1067907A
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毅 森田
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衛 藤平
Jiro Matsuo
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリル樹脂やMS樹脂またはそのゴム変性
樹脂等の樹脂に対して、透明性や耐候性を劣化させるこ
となく、流動性を従来になく向上させる。 【解決手段】 アクリル樹脂に、分子末端をオクチルア
ルコールで封止したアジピン酸とブタンジールから成る
脂肪族ポリエステルを配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は改良されたアクリル
樹脂、またはアクリル系単量体を60重量%以上の割合
で芳香族ビニル系単量体と重合させた共重合樹脂と、特
定の化合物との樹脂組成物およびその製造方法に関し、
さらに詳細にはアクリル樹脂、またはアクリル系単量体
を60重量%以上の割合で芳香族ビニル系単量体と重合
させた共重合樹脂を含有する樹脂成分に、脂肪族ジカル
ボン酸とジオール成分とを反応させて得られる特定構造
の脂肪族ポリエステルを含有して得られる透明性、耐候
性ならびに実用強度、とりわけ射出成形品や押出成形品
にした場合の透明性、かつ耐候性に優れた樹脂組成物及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル樹脂やスチレン−メタアクリル
酸メチル共重合体であるMS樹脂は透明で強度や耐候性
に優れており、成形材料として看板、銘板、カーポート
屋根材、照明用やプロジェクションテレビのディスプレ
ー等の用途に使用されている。また、一般にアクリル樹
脂やMS樹脂は衝撃強度が弱く、用途が制限されるとい
う欠点を有しているため、アクリル樹脂やMS樹脂の衝
撃強度を向上させた樹脂として、アクリルゴムやブタジ
エン系ゴムを用いて(メタ)アクリル酸アルキルをグラ
フト重合して得られる耐衝撃性アクリル樹脂が知られて
いる。
【0003】この様なアクリル樹脂やMMA成分の多い
MS樹脂では流動性、成形加工性、柔軟性が悪いのた
め、その改良のために例えば、鉱油等を配合することに
より、流動性を改善する技術が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、アクリル樹脂
やMS樹脂に鉱油等を配合した場合、これれの樹脂の特
徴である透明性並びに耐候性が著しく損なわれ、また、
流動性の改善効果も充分なものでないという課題を有し
ていた。
【0005】本発明が解決しようとする課題は、アクリ
ル樹脂やMS樹脂またはそのゴム変性樹脂等の樹脂に対
して、透明性や耐候性を劣化させることなく、流動性を
従来になく向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、この様な
状況に鑑み鋭意研究した結果、アクリル樹脂(a1)、
又は、アクリル系単量体を60重量%以上の割合で芳香
族ビニル系単量体と重合させた共重合樹脂(a2)を含
有する樹脂成分(A)に、特定の脂肪族ポリエステル
(B)とを必須成分とすることを特徴とする熱可塑性樹
脂組成物が、上記課題を解決できることを見いだし本発
明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、 (1) アクリル樹脂(a1)、又は、アクリル系単量
体を60重量%以上の割合で芳香族ビニル系単量体と重
合させた共重合樹脂(a2)を含有する樹脂成分
(A)、及び、 脂肪族ジカルボン酸(b1)とジオー
ル成分(b2)との反応物であって、かつ、BM型粘度
計による粘度が50〜5,000cps(25℃)であ
る脂肪族ポリエステル(B)を必須成分とすることを特
徴とする熱可塑性樹脂組成物、 (2)脂肪族ジカルボン酸(b1)が、炭素原子数4〜
10の脂肪族ジカルボン酸であり、ジオール成分(b
2)が炭素原子数3〜6のジオールである上記(1)記
載の組成物、 (3)脂肪族ポリエステル(B)を、樹脂成分(A)に
対して0.1〜20重量%となる割合で含有する上記
(1)又は(2)記載の組成物、 (4)アクリル樹脂(a1)が、アクリルゴムを含有す
るものである上記(1)、(2)又は(3)記載の組成
物、 (5)共重合樹脂(a2)が、アクリル系単量体と芳香
族ビニル系単量体とを前者/後者の重量比で(60〜9
5)/(40〜5)となる割合で共重合したものである
上記(1)、(2)又は(3)記載の組成物、 (6)共重合樹脂(a2)が、ゴム質重合体の存在下
に、芳香族ビニル系単量体と、アクリル系単量体とを、
アクリル系単量体が60重量%以上となる割合でグラフ
ト重合させたものである上記(1)、(2)又は(3)
記載の組成物、 (7)共重合樹脂(a2)が、ゴム質重合体の存在下
に、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体とを前者
/後者の重量比で(60〜95)/(40〜5)となる
割合でグラフト重合したものである上記(6)記載の組
成物、 (8)共重合樹脂(a2)を構成するゴム質重合体が、
ポリブタジエン、又は、芳香族ビニル系単量体を1〜2
0重量%の割合で用いたスチレン−ブタジエンブロック
共重合ゴムである上記(6)又は(7)記載の組成物、 (9)共重合樹脂(a2)中のグラフト共重合ゴム粒子
が、平均粒子径0.2〜1.2μmである上記(6)、
(7)又は(8)記載の組成物、 (10)アクリル系単量体として、メチルメタクリレー
トとその他のアクリル系単量体とを併用する上記
(1)、(5)、(6)、(7)、(8)又は(9)記
載の組成物、
【0008】(11)アクリル系単量体、或いは、アク
リル系単量体を60重量%以上の割合で含有するアクリ
ル系単量体とスチレン系単量体との混合溶液を、一個以
上の攪拌式反応器とそれに続き可動部分のない複数のミ
キシングエレメントが内部に固定されている管状反応器
を組み込んでなる連続塊状重合ライン内で重合して樹脂
成分(A)を製造する際に、(1) 前記管状反応器を含む
重合ライン途中で、脂肪族ジカルボン酸(b1)とジオ
ール成分(b2)とを反応物であって、かつ、BM型粘
度計による粘度が50〜5,000cps(25℃)で
ある脂肪族ポリエステル(B)を混合しつつ樹脂成分
(A)の重合を行なうか、(2) 前記アクリル系単量体又
は混合溶液中に、前記脂肪族ポリエステル(B)を溶解
させ、次いで樹脂成分(A)の重合を行なうか、或い
は、(3) 前記重合を行ない未反応モノマーや溶剤を除去
して得られた樹脂成分(A)に、前記脂肪族ポリエステ
ル(B)と溶融混練することを特徴とする樹脂組成物の
製造方法、
【0009】(12)アクリル系単量体、或いは、アク
リル系単量体を60重量%以上の割合で含有するアクリ
ル系単量体とスチレン系単量体との混合溶液を、 a.攪拌式反応器と、 b.攪拌式反応器から続き可動部分の全くない複数のミキ
シングエレメントが内部に固定されている1個以上の管
状反応器からなる初期重合ラインと、 c.初期重合ラインから続き可動部分の全くない複数のミ
キシングエレメントが内部に固定されている1個以上の
管状反応器からなる主重合ラインと、 d.初期重合ラインと主重合ラインとの間で分枝して初期
重合ライン内に戻る還流ラインとによって構成される重
合ラインを用い、初期重合ラインから出る初期重合液流
の一部を還流ラインを経て還流させ、一方、還流されな
かった初期重合液流を主重合ラインにおいて重合して樹
脂成分(A)を製造する際に、(1)前記管状反応器を含
む重合ライン途中で、脂肪族ジカルボン酸(b1)とジ
オール成分(b2)とを反応物であって、かつ、BM型
粘度計による粘度が50〜5,000cps(25℃)
である脂肪族ポリエステル(B)を混合しつつグラフト
共重合体(A)の重合を行なうか、(2)前記アクリル系
単量体又は混合溶液中に、前記脂肪族ポリエステル
(B)を溶解させ、次いで樹脂成分(A)の重合を行な
うか、或いは、(3)前記重合を行ない未反応モノマーや
溶剤を除去して得られた樹脂成分(A)に、前記脂肪族
ポリエステル(B)と溶融混練する上記(11)記載の
製造方法、
【0010】(13)アクリル系単量体を60重量%以
上の割合で含有するアクリル系単量体とスチレン系単量
体との混合溶液が、これらの成分の他にゴム質重合体を
含有するものである上記(11)又は(12)記載の製
造方法、
【0011】(14)アクリル系単量体を60重量%以
上の割合で含有するアクリル系単量体とスチレン系単量
体との混合溶液が、アクリル系単量体と芳香族ビニル系
単量体とを前者/後者の重量比で(60〜95)/(4
0〜5)となる割合で含有しており、更に、ゴム質重合
体を含有するものである上記(13)記載の製造方法、
【0012】(15)ゴム質重合体が、ポリブタジエ
ン、又は、芳香族ビニル系単量体1〜20重量%の割合
で用いたスチレン−ブタジエン共重合ゴムである上記
(13)又は(14)記載の製造方法。 (16)脂肪族ポリエステル(B)を、アクリル系単量
体又は混合溶液に対して0.1〜20重量%となる割合
で含有する上記(11)〜(15)の何れか1つに記載
の製造方法に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で用いるアクリル樹脂(a
1)とは、一般に炭素数1〜4のアルキル基を有する
(メタ)アクリル酸アルキル単位を主成分とするアクリ
ル樹脂が好ましく挙げられる。更に具体的には、炭素数
1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキ
ルと、炭素数1〜4のアルキル基を有するアクリル酸ア
ルキルとの共重合体であることが好ましい。
【0014】上記のアルキル基を有する(メタ)アクリ
ル酸アルキルに例としては、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸
ブチル等があり、なかでも性能上からメタクリル酸メチ
ルが最も好ましい。
【0015】また、メタクリル酸アルキルと併用して共
重合させる炭素数1〜4のアルキル基を有するアクリル
酸アルキルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等が
あり、なかでも性能上からアクリル酸メチル、アクリル
酸エチルが好ましい。アクリル樹脂中に含まれるアクリ
ル酸アルキル単位の割合は20重量%以下が好ましく、
より好ましくは0.5〜10重量%である。
【0016】また、アクリル樹脂(a1)は、更にアク
リルゴムを含有していることが耐衝撃性の点から好まし
い。ここで、アクリルゴムを含有するアクリル樹脂と
は、メタクリル酸メチルを主成分とするマトリックス樹
脂中に常温でゴム弾性を示すゴム質重合体が粒子状に分
散した構造のものである。
【0017】アクリルゴムとは公知公用のアクリル酸エ
ステル系重合体であり、原料モノマーであるアクリル酸
エステルの具体例としては、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸2ーエチルヘキシルであり、単
独または2種類以上のモノマーを併用しても良い。
【0018】本発明で用いる共重合樹脂(a2)とは、
アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体との共重合体
であり、アクリル系単量体を両者の合計に対して60重
量%以上となる割合で共重合させたものである。
【0019】即ち、アクリル系単量体の使用割合が60
重量%未満の場合には、優れた耐候性が発現されない。
また、透明性と流動性の点からアクリル系単量体の使用
割合は95重量%以下であることが好ましく、即ち、耐
候性、透明性及び流動性のバランスに優れる点からアク
リル系単量体/芳香族ビニル系単量体(重量比)が60
/40〜95/5であること、更に、これらの性能のう
ち、特に透明性並びに流動性良好になる点からアクリル
系単量体/芳香族ビニル系単量体(重量比)が60/4
0〜80/20となる範囲が好ましい。
【0020】また、共重合樹脂(a2)の分子量は、特
に制限されるものではないが、共重合樹脂の重量平均分
子量(Mw)が5万〜18万で、かつ重量平均分子量
(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.
8〜3.0のものが好ましく、なかでも重量平均分子量
(Mw)が8万〜15万のものが適している。
【0021】共重合樹脂(a2)を構成するアクリル系
単量体とは、特に限定されるものではないが、炭素数1
〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル
であることが好ましく、この(メタ)アクリクリル酸ア
ルキルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブ
チル等のメタアクリル酸アルキル;アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブ
チル、アクリル酸2ーエチルヘキシル等のアクリル酸ア
ルキルが挙げられる。なかでも性能上からメタクリル酸
メチルが最も好ましい。また、共重合樹脂(a2)にお
いては、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルと
を併用することが好ましく、その場合、アクリル酸アル
キルは20重量%以下が好ましく、特に0.5〜15重
量%であることが好ましい。
【0022】共重合樹脂(a2)を構成する芳香族ビニ
ル単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレ
ン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、
ターシャリーブチルスチレン、o−ブロムスチレン、m
−ブロムスチレン、p−ブロムスチレン、o−クロロス
チレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等が
挙げられる。なかでも、スチレン、α−メチルスチレン
が好ましい。また、共重合樹脂(a2)としてα−メチ
ルスチレンを1〜20重量%となる割合で含有する場
合、耐熱性が著しく良好なものなり好ましい。
【0023】本発明における共重合樹脂(a2)は、上
記の如く、アクリル系単量体と芳香族ビニル単量体とを
必須の単量体成分として共重合させればよいが、特に、
ゴム質重合体の存在下に、これらの単量体をグラフト共
重合させることが、成形品の耐衝撃性を著しく改善でき
る点から好ましい。
【0024】ここで使用されるゴム質重合体とは、特に
限定されるものではないが、例えば、ポリブタジエン、
スチレ−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン
−スチレンブロック共重合ゴム及びその水添ゴム、スチ
レン−イソプレン−スチレンブロック共重合ゴム及びそ
の水添ゴム、エチレン−プロピレンターポリマー系ゴ
ム、ブタジエン・アクリロニトリル共重合ゴム、アクリ
ル系ゴム、アクリル酸アルキル−ブタジエン共重合ゴム
等が挙げられる。
【0025】なかでも、最終組成物の衝撃強度、透明
性、耐候姓の優れたもので、かつ連続塊状重合法に適し
てゴム質重合体としては、ポリブタジエン、スチレン−
ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレ
ンブロック共重合ゴム及ぶその水添ゴム、スチレン−イ
ソプレン−スチレンブロック共重合ゴム及びその水添ゴ
ム、アクリル酸アルキル−ブタジエン共重合ゴム等が挙
げられる、単独で用いるか、または2種類以上を併用す
ることができる。
【0026】また、本発明で用いるゴム質重合体とし
て、例えばブタジエン系ゴム質重合体を用いる場合は、
5重量%スチレン溶液粘度が5〜40センチポイズのポ
リブタヂエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴムであ
り、共重合ゴム中のスチレン骨格含有率は、前記した通
り、20重量%以下であることが好ましい。更にスチレ
ン骨格含有率が15重量%以下であることが特に好まし
い。
【0027】また、スチレン−ブタジエン共重合ゴム中
のスチレンモノマーとブタジエンモノマーとの結合様式
としては、ランダム結合、ブロック結合、テーパードブ
ロック結合が挙げられるが、ランダム共重合体であるこ
とが、耐候性の向上効果が顕著になり好ましい。すなわ
ち、共重合ゴムの結合スチレン量が20重量%まで増え
るに従って、結合スチレンのブロック化率を下げること
が本発明の樹脂組成物の耐候性を向上させるのに重要で
ある。更に詳述すれば、共重合ゴムのスチレン骨格含有
率が、10重量%まではブロック結合の多いもので良い
が、10〜20重量%の場合は完全ランダム結合かラン
ダム結合部分の多い共重合ゴムを用いるのが耐候性向上
効果が格段に優れたものとなる。
【0028】更に、本発明で用いるポリブタジエン、ス
チレン−ブタジエン共重合ゴムは、5重量%スチレン溶
液粘度が5〜40センチポイズのものが耐衝撃強度の向
上効果が大きく、かつ製造に際してゴム粒子径のコント
ロールが容易な点で好ましく、特に25℃での5重量%
スチレン溶液粘度が9〜30センチポイズで、かつ10
0℃でのLローター使用によるムーニー粘度が20〜8
0のものが好ましい。
【0029】上記ポリブタジエン、スチレン−ブタジエ
ン共重合ゴムは、ブタジエンモノマーに基づく不飽和結
合のうちの1,2−ビニル結合の割合が7〜35%のも
の、なかでも10〜25%のものが好ましい。この場
合、1,2−ビニル結合の残りはシスおよびトランス結
合を形成している。
【0030】ここで、1,2−ビニル結合の割合が7%
以上の共重合ゴムを用いた場合には、ゴム変性共重合樹
脂中のトルエン不溶分含有率が上昇し、耐衝撃性が向上
する。一方、該1,2−ビニル結合の割合が25%以下
の場合には、製造時の高温下での架橋の進行を抑制でき
る一方グラフト化率を高められ、ゴム弾性が向上し、や
はり耐衝撃性が向上する。更に、10〜25%の範囲に
入る場合は、樹脂(A)のグラフト化率と架橋の程度と
のバランスが著しく良好となり、ゴム弾性が著しく向上
するので好ましい。
【0031】詳述したゴム質重合体の存在下に、芳香族
ビニル系単量体と、アクリル系単量体とを、アクリル系
単量体が60重量%以上となる割合でグラフト重合させ
て得られる共重合樹脂(a2)は、25℃でのトルエン
不溶分含有率が10〜25重量%であることが好まし
く、更に、上記のトルエン不溶分含有率を満たし、か
つ、トルエンによる膨潤指数が6〜15で、かつトルエ
ン不溶分含有率/膨潤指数が0.80〜2.50重量%
であることが好ましい。この数値範囲にある場合、ゴム
変性共重合樹脂は、該樹脂内において該共重合ゴムのグ
ラフト化率と架橋の程度のバランスが良好となり、成形
品の透明性、耐衝撃性及び耐候性のバランスが著しく良
好なものとなる。
【0032】また、マトリックス樹脂である、芳香族ビ
ニル系単量体とアクリル系単量体との共重合体中に分散
するグラフト共重合樹脂粒子の形状は特に限定されるも
のではないが、後に詳述する連続塊状重合法でゴム質重
合体の存在下に、芳香族ビニル系単量体とアクリル系単
量体とをグラフト重合させて得られる共重合樹脂(a
2)の場合は、グラフト共重合ゴム粒子中にマトリック
ス樹脂がオクルードされて分散している、所謂「サラミ
構造」の形態をとることが、耐衝撃性の点から好まし
い。また、グラフト共重合樹脂粒子の平均粒子径は、特
に限定されるものではないが、平均ゴム粒子径は0.2
0〜1.20μmであることが好ましく、特にゴム変性
共重合樹脂組成物の透明性、耐衝撃性、耐候性 に優れ
る点から0.40〜0.80μmであることがなかでも
好ましい。本発明においては、25℃でのトルエン不溶
分含有率を10〜25重量%と高い水準にしても、此の
様に平均粒子径を小さくすることができ、その結果、透
明性と耐衝撃性との効果が従来になく優れたものとな
る。
【0033】また、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビ
ニル系単量体と、アクリル系単量体とを、アクリル系単
量体が60重量%以上となる割合でグラフト重合させる
場合には、更にその他の共重合可能なモノマーをグラフ
ト共重合してもよく、その他の共重合可能なモノマーと
しては、例えば(メタ)アクリロニトリル等のビニル−
シアン化合物類;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、
クロトン酸、桂皮酸等の重合性不飽和脂肪酸;N−メチ
ルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレ
イミド、N−オクチルマレイミド、N−イソプロピルマ
レイミド、N−フェニルマレイミド、N−p−ブロモフ
ェニルマレイミド、N−o−クロルフェニルマレイミ
ド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類;
無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等
に代表される不飽和カルボン酸無水物類;アリルアミ
ン、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリ
ル酸−アミノプロピル等のアミノ基含有不飽和化合物
類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のア
クリルアミド系化合物が挙げられる。
【0034】一方、本発明で用いる脂肪族ポリエステル
(B)は脂肪族ジカルボン酸(b1)とジオール(b
2)を反応させて得られるポリエステルであり、かつ、
BM型粘度計による粘度が50〜5,000cps(2
5℃)である脂肪族ポリエステル(B)である。
【0035】本発明においてはこの様な脂肪族ポリエス
テル(B)を用いることにより、樹脂成分(A)の透明
性や耐候性を損なうことなく、組成物の流動性を著しく
改善できる。また、樹脂成分(A)を単独で使用する場
合に比べて成形開始温度を低下させることができる。よ
って、成形温度域を拡大させることができ、また、射出
成形する際の透明性の射出圧力依存性を殆どなくすこと
ができる。この透明性の射出圧力依存性をなくすことに
より、例えば大型射出成形品におけるゲート部と末端部
との透明性勾配をなくすことができる。また、この脂肪
族ポリエステル(B)を用いる場合は、更に、成形品の
耐油性を著しく向上させることができる。
【0036】脂肪族ポリエステル(B)のなかでも10
0〜2,000cpsの範囲が樹脂成分(A)と混合す
る時の混合分散性、相溶性に優れ、更に透明性、成形品
の表面外観の点からも好ましい。また、その数平均分子
量は、500〜2000のもので、好ましくは700〜
1500のものであることが好ましい。特にゴム質重合
体を含有する樹脂成分(A)の場合、BM型粘度計によ
る粘度が100〜1000cps(25℃)である脂肪
族ポリエステル(B)が成形品の透明性に格段に優れ、
かつ成形条件の違いによって透明性に変化を生じないこ
とを見いだした。
【0037】具体例としては直鎖状脂肪族ジカルボン酸
とジオールとのポリエステルや脂環式ジカルボン酸とジ
オールとのポリエステル等が挙げられるが、なかでも、
直鎖状脂肪族ジカルボン酸とジオールとのポリエステル
が好ましい。
【0038】これらの脂肪族ポリエステル(B)は、そ
れぞれ単独で使用してもよいし、また、複数種併用して
もよい。
【0039】ここで用いられる直鎖状脂肪族ジカルボン
酸(b1)としては、コハク酸、グルタミン酸、アジピ
ン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシ
ン等の二塩基酸が挙げられるが、本発明の効果が顕著で
ある点からアジピン酸が好ましい。
【0040】また、ジオール(b2)としては、特に限
定されるものではないが、エチレングリコール、1,2
−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,
3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙
げられ、なかでも本発明の効果が顕著である点から、
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオールが好ましい。
【0041】また、脂肪族ジカルボン酸とジオールとの
組み合わせとしては、上記例示化合物の何れを組み合わ
せてもよいが、具体的には、アジピン酸と1,3−プロ
パンジオールとから構成されるポリエステル、アジピン
酸と1,4−ブタンジオールとから構成されるポリエス
テル、アジピン酸と1,5−ペンタンジオールとから構
成される脂肪族ポリエステルが、本発明の熱可塑性樹脂
と混合する場合、その粘度範囲が最適であり、成形品の
外観も優れている点から好ましい。
【0042】この脂肪族ジカルボン酸とジオールとの反
応によって得られるポリエステルは、その分子末端が水
酸基である場合には、停止剤として更に該水酸基に酢酸
或いは脂肪酸等の一価有機酸を使用して反応でき、ま
た、分子末端がカルボキシル基の場合には、一価アルコ
ールを停止剤として使用して反応させてもよい。
【0043】ここで、停止剤として使用し得る一価有機
酸としては、例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オ
レイン酸、リノール酸等の炭素原子数10〜20の長鎖
脂肪酸、或いは、酢酸等の有機酸が挙げられる。一方、
一価のアルコールとしては、例えばメタノール、エタノ
ール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、
イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、n
−アミルアルコール、n−ヘキサノール、イソヘキサノ
ール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチ
ルヘキサノール、イソオクタノール、n−ノナノール、
イソノナノール、n−デカノール、イソデカノール、イ
ソウンデカノール、ラウリルアルコール、セチルアルコ
ール、ステアリルアルコール等の脂肪族アルコールが挙
げられる。
【0044】停止剤として使用する、一価有機酸または
一価アルコールの使用量は特に制限されるものではな
く、脂肪族ジカルボン酸、ジオールを含む単量体成分の
合計に対して60重量%以下で使用することが好まし
い。
【0045】ポリエステルの具体的な製造方法としては
特に制限されるものではなく、脂肪族ジカルボン酸と、
ジオールと、一価有機酸または一価アルコールとを触媒
の存在下に反応させる所謂一段法であってもよいし、或
いは、脂肪族ジカルボン酸とジオールとを触媒の存在下
に反応させ、次いで、一価有機酸または一価アルコール
を反応させる二段法であってもよい。
【0046】触媒として、従来公知のエステル化触媒、
例えば、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸、燐酸等の酸
触媒、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチ
タネート等のチタネート触媒、モノまたはジメチル錫オ
キサイド、モノまたはジブチル錫オキサイド、モノまた
はジオクチル錫オキサイド、モノまたはジメチル錫クロ
ライド、モノまたはジブチル錫クロライド等の有機錫触
媒等が使用できるが、有機錫触媒を用いることが成形品
の透明性の点から好ましい。
【0047】以上詳述した樹脂成分(A)と、脂肪族ポ
リエステル(B)とを必須成分とする本発明の樹脂組成
物を製造する方法、即ち、両者を混合する方法としては
特に制限されるものではなく、例えば、当該樹脂(a
1)または共重合樹脂(a2)を重合する前に、当該樹
脂(a1)または共重合樹脂(a2)の原料単量体成分
に脂肪族ポリエステル(B)を溶解し、次いで該単量体
成分を重合する方法、当該樹脂(a1)または共重合樹
脂(a2)の重合途中に脂肪族ポリエステル(B)を添
加する方法、および、当該樹脂(a1)または共重合樹
脂(a2)を製造後、脂肪族ポリエステル(B)と溶融
混練する方法等が挙げられる。
【0048】上記の混合方法は、当該樹脂(a1)また
は共重合樹脂(a2)の重合方法に係わらず、例えば、
塊状−懸濁重合、溶液重合および連続塊状重合の何れの
重合方法においても適用し得るが、塊状−懸濁重合の場
合は、重合後に脂肪族ポリエステル(B)を溶融混練す
る方法が好ましく、溶液重合の場合は、予め、単量体成
分にアルキルエステル(B)を添加する方法が好まし
い。また、連続塊状重合法の場合は、重合途中で添加す
る方法が、生産性および作業性が良好である点から好ま
しい。
【0049】これらの製造方法のなかでも、樹脂(a
1)または共重合樹脂(a2)を連続塊状重合で製造す
る方法、特に、以下に詳述する本発明の製造方法によっ
て樹脂組成物を製造することが、生産性に著しく優れ、
また、組成物の均一性が良好となって本発明の効果が顕
著となる点から好ましい。
【0050】即ち、本発明の製造方法は、アクリル系単
量体、或いは、アクリル系単量体を60重量%以上の割
合で含有するアクリル系単量体とスチレン系単量体との
混合溶液を、一個以上の攪拌式反応器とそれに続き可動
部分のない複数のミキシングエレメントが内部に固定さ
れている管状反応器を組み込んでなる連続塊状重合ライ
ン内で重合して樹脂成分(A)を製造する際に、(1)前
記管状反応器を含む重合ライン途中で、脂肪族ジカルボ
ン酸(b1)とジオール成分(b2)とを反応物であっ
て、かつ、BM型粘度計による粘度が50〜5,000
cps(25℃)である脂肪族ポリエステル(B)を混
合しつつ樹脂成分(A)の重合を行なうか、(2)前記ア
クリル系単量体又は混合溶液中に、前記脂肪族ポリエス
テル(B)を溶解させ、次いで樹脂成分(A)の重合を
行なうか、或いは、(3)前記重合を行ない未反応モノマ
ーや溶剤を除去して得られた樹脂成分(A)に、前記脂
肪族ポリエステル(B)と溶融混練することを特徴とす
るものである。
【0051】本発明の製造方法で用いられる連続塊状重
合ラインは、一個以上の攪拌式反応器とそれに続き可動
部分のない複数のミキシングエレメントが内部に固定さ
れている管状反応器(以下、「静的ミキシングエレメン
トを有する管状反応器」と略す)を組み込んだ連続塊状
重合ラインであるが、この様な連続塊状重合ラインを用
いて、該管状反応器による静的な混合を行いながら連続
的に塊状重合を行うことにより、アクリル系単量体の重
合で発生する重合熱を効率的に除去し、かつ、粘度の異
なるもの同士でも容易に混合することができ、組成物の
均一性を著しく向上させることができるため、透明性と
耐候性とに優れる樹脂組成物が効率的に製造できる。
【0052】この様な方法として、具体的には、例えば
撹拌式反応器を2個連結し、それに引き続いて静的ミキ
シングエレメントを有する管状反応器とを組み込んだ連
続塊状重合ラインに連結された重合ラインを用い、前記
したアクリル系単量体、或いは、アクリル系単量体を6
0重量%以上の割合で含有するアクリル系単量体とスチ
レン系単量体との混合溶液(以下、これらのアクリル系
単量体、或いは、混合溶液を「原料単量体」と略記す
る)を撹拌式反応器に導入し、2つ目の撹拌式反応器内
で重合率40〜60%まで重合を行い、次いで、静的ミ
キシングエレメントを有する管状反応器から成る連続塊
状重合ラインに導入する方法が挙げられるが、以下の連
続塊状重合法が、静的ミキシングエレメントを有する管
状反応器の機能を最大限に発揮でき、しかも生産性、操
作性に著しく優れている点から好ましい。
【0053】即ち、原料単量体を、攪拌式反応器とそれ
に続き可動部分のない複数のミキシングエレメントが内
部に固定されている管状反応器を組み込んでなる連続塊
状重合ライン内でグラフト共重合する際に、(1)前記管
状反応器を含む重合ライン途中で、前記脂肪族ポリエス
テル(B)を混合しつつ前記重合を行なう方法(以下、
この方法を「方法(1)」と略記する)、(2)前記原料単量
体中に、脂肪族ポリエステル(B)を溶解させ、次いで
重合を行なう方法(以下、この方法を「方法(2)」と略
記する)、或いは、(3)重合を行ない未反応単量体や溶
剤を除去して得られた樹脂(a1)若しくは(a2)
に、脂肪族ポリエステル(B)と溶融混練する方法(以
下、この方法を「方法(3)」と略記する)、以上の(1)〜
(3)の方法によって、脂肪族ポリエステル(B)を混合
することにより、得られるポリマー組成を均一にコント
ロールでき、更に、アルキルエステル類(B)をより均
一に分散できることから、透明性と耐候性とに優れる熱
可塑性樹脂組成物を効率的に製造でき好ましい。
【0054】また、これらのなかでも特に、樹脂製造後
の溶融混練工程がなく、生産性に優れる点、および、該
溶融混練に伴う色相の変化がなく、透明性がより良好と
なる点から方法(1)及び方法(2)が好ましい。
【0055】また、本発明の製造方法においては、原料
単量体と共にゴム成分を併用し、グラフト共重合させる
ことが、衝撃強度並びに耐候性の点から好ましく、具体
的には、樹脂(a1)においてはアクリル系単量体にア
クリルゴムを併用することができ、共重合樹脂(a2)
においてはアクリル系単量体を60重量%以上の割合で
含有するアクリル系単量体とスチレン系単量体との混合
溶液には、ゴム質重合体を用いることができる。
【0056】この様にゴム成分を併用する場合には、組
成物中のゴム粒子の均一分散性が良好となって透明性が
一層優れたものとなる点から方法(1) が好ましい。
【0057】また、上記の攪拌式反応器とそれに続き可
動部分のない複数のミキシングエレメントが内部に固定
されている管状反応器を組み込んでなる連続塊状重合ラ
インを用いた重合方法としては、具体的には、原料単量
体あるいは原料単量体とゴム成分との混合物を、 a.攪拌式反応器と、 b.攪拌式反応器から続き可動部分の全くない複数のミキ
シングエレメントが内部に固定されている1個以上の管
状反応器からなる初期重合ラインと、 c.初期重合ラインから続き可動部分の全くない複数のミ
キシングエレメントが内部に固定されている1個以上の
管状反応器からなる主重合ラインと、 d.初期重合ラインと主重合ラインとの間で分枝して初期
重合ライン内に戻る還流ラインとによって構成される重
合ラインを用い、初期重合ラインから出る初期重合液流
の一部を還流ラインを経て還流させ、一方、還流されな
かった初期重合液流を主重合ラインにおいて重合するこ
とが、重合液の均一混合、効率的な除熱、ポリマー組成
の均一化の点から好ましい。
【0058】上記a.〜d.によって構成される重合ライン
を用いて樹脂(a1)または共重合樹脂(a2)を製造
する場合には、脂肪族ポリエステル(B)の添加方法と
して、上記方法(1)の場合は、a.〜d.における少なくと
も1箇所から、脂肪族ポリエステル(B)を添加する方
法が挙げられる。特に生産効率の点並びにゴム粒子の均
一性の点から、c,の主重合ラインにおいて加えることが
好ましい。
【0059】また、方法(2)によって脂肪族ポリエステ
ル(B)を添加する場合には、原料単量体あるいは原料
単量体とゴム成分との混合物に、予め脂肪族ポリエステ
ル(B)を溶解させた後に、攪拌式反応器a.に導入する
ことが好ましい。
【0060】方法(3)によって混合する場合には、当該
重合ラインにおいて、樹脂(a1)又は共重合樹脂(a
2)を製造した後、これと脂肪族ポリエステル(B)と
を押出機等で溶融混練する方法が挙げられる。
【0061】これらのなかでも上述の通り、樹脂製造後
の溶融混練工程がなく、生産性に優れる点、および、該
溶融混練に伴う色相の変化がなく、透明性がより良好と
なる点から方法(1)及び方法(2)が好ましく、とりわけ、
ゴム成分を併用する場合には、組成物中のゴム粒子の均
一分散性が良好となって透明性が一層優れたものとなる
点から方法(1)が好ましい。
【0062】以下にこの連続塊状重合法の一例を図面に
より説明する。第1図は、静的ミキシングエレメントを
有する管状反応器を組み込んだ連続塊状重合ラインの一
例を示す工程図である。
【0063】プランジャーポンプ(1)によって供給さ
れる原料単量体あるいは原料単量体とゴム成分との混合
物は、まず撹拌式反応器(2)へ送り、撹拌下で初期重
合させた後、ギアポンプ(3)により、静的ミキシング
エレメントを有する管状反応器(4)、(5)および
(6)とギアポンプ(7)とを有する循環重合ライン
(I)に送る。
【0064】尚、ゴム成分を併用する場合は、撹拌式反
応器(2)での初期重合と循環重合ライン(I)と組み
合わせることで、ゴム粒子に余分な剪断が加わらずゴム
粒子のより効率的な微細化が可能となり、重合工程での
ポリマー組成を均一化出来る点で好ましい。
【0065】また、撹拌式反応器(2)での初期重合
は、原料単量体の重合転化率が、該反応器(2)の出口
において10〜32重量%、好ましくは14〜28重量
%となる様に実施される。また撹拌式反応器(2)とし
ては、例えば撹拌式槽型反応器、撹拌式塔型反応器等が
挙げられ、撹拌翼としては、例えばアンカー型、タービ
ン型、スクリュー型、ダブルヘリカル型等の撹拌翼が挙
げられる。
【0066】本発明では、反応器での上記混合溶液の粘
性を低下させる為に溶剤を使用してもよく、その使用量
は原料モノマーの合計100重量部に対して5〜20重
量部である。溶剤の種類としては、通常、塊状重合法で
使用されているトルエン、エチルベンゼン、キシレン等
が適している。
【0067】また、本発明では、上記原料単量体液中に
樹脂(a1)または共重合樹脂(a2)の分子量調節の
ために連鎖移動剤を添加すると好ましい。該連鎖移動剤
の添加量は、通常原料モノマーの合計に100重量部に
対して0.05〜0.5重量部の範囲である。上記の様
に動的撹拌下に初期重合された混合溶液は、次いで循環
重合ライン(I)内を循環しながら重合されると共に、
その一部は連続的に静的ミキシングエレメントを有する
管状反応器(8),(9)および(10)が直列に組み
込まれた非循環重合ライン(II)に送られる。
【0068】原料単量体と共にゴム成分を併用する場合
には、循環重合ライン(I)内での原料単量体中のゴム
粒子は、該循環重合ライン(I)内を循環しながら静的
に混合されて安定化し、粒子径も固定化してくる。この
場合、該循環重合ライン(I)での混合溶液の還流比
(R)と原料単粒体の重合転化率が重要な因子となる。
【0069】還流比(R)は、非循環重合ライン(II)
に流出せずに循環重合ライン(I)内を還流する重合液
の流量をF1 (リットル /時間)とし、循環重合ライ
ン(I)から非循環重合ライン(II)に流出する重合液
の流量F2 (リットル/時間)とした場合、通常R=F
1 /F2 が3〜15の範囲であり、なかでも管状反応器
での圧力損失が小さくなる点、また、ゴム成分を用いる
場合には生成するゴム質重合体粒子が安定で、粒径を小
さくすることができる点でR=5〜10の範囲が特に好
ましい。
【0070】また、該循環重合ライン(I)でのグラフ
ト重合は、該循環重合ライン(I)出口での原料単量体
の重合転化率が、通常35〜65重量%、好ましくは4
0〜60重量%になる様に重合させる。重合温度として
は120〜135℃が適している。
【0071】循環重合ライン(I)で重合された重合液
は、次いで非循環重合ライン(II)に供給され、通常1
40〜160℃の重合温度で原料単量体の転化率が60
〜85重量%となるまで連続的に重合される。次に、こ
の混合溶液はキアポンプ(11)により予熱器、次いで
脱揮発槽に送られ、減圧下にて未反応単量体および溶剤
を除去した後、ペレット化することにより目的とする樹
脂(a1)又は共重合樹脂(a2)が得られる。この
際、予熱器および脱揮発槽内での転化率の上昇が7重量
%以下になる条件で予熱および脱揮発を行うと好まし
い。
【0072】本発明で用いる静的ミキシングエレメント
を有する管状反応器の内部に固定されている複数のミキ
シングエレメントとしては、例えば管内に流入した重合
液の流れの分割と流れ方向を変え、分割と合流を繰り返
すことにより重合液を混合するものが挙げられる。この
ような管状反応器としては、例えば、SMX型、SMR
型のスルザー式の管状ミキサー、ケニックス式のスタテ
ィックミキサー、東レ式の管状ミキサー等が好ましい。
【0073】循環重合ライン(I)や非循環重合ライン
(II)に組み込まれるこれらの管状反応器の数は、上記
の如き管状反応器の場合、その長さやミキシングエレメ
ントの構造等による異なるので特に限定されないが、ミ
キシングエレメントを4個以上有する該管状反応器を4
〜15個、好ましくは6〜10個組み合せて用いる。こ
のうち循環重合ライン(I)内に組み込む該管状反応器
の数は、通常1〜10個、好ましくは2〜6個である。
【0074】本発明の製造方法における原料単量体ある
いは原料単量体とゴム成分との混合物には、必要に応じ
て重合開始剤として分解した際にフリーラジカルを放出
する有機過酸化物を添加すると、比較的低い温度でのク
ラフト化と反応の促進が行えるので好ましい。その添加
量は原料単量体100重量部に対して0.005〜0.
04重量部の範囲である。
【0075】ここで用いる有機過酸化物としては、半減
期が10時間になる温度が75〜170℃のものが好ま
しく、その具体例としては 1,1−ジ−t−ブチルパーオ
キシシクロヘキサン、1,1-ジ−t−ブチルパーオキシ−
3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ−t−ブチル
パーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,
4−ジ゛−t−ブチルパ−オキシシクロヘキシル)プロパ
ン、2,2-ジ−t−ブチルパーオキシオクタン、n−ブチ
ル−4,4-ジ−t−ブチルパーオキシバレレート、2,2-ジ
−t−ブチルパーオキシブタン等のパーオキシケタール
類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパー
オキシ−3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t−ブチル
パーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート、t−ブチルパーオキメタトルエ−ト、ジ−t−ブ
チルジパーオキシイソフタレート、2,5-ジメチル−2,5-
ジベンゾイルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキ
シマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカー
ボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジークミル
パーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、
クメンハイドロパーオキサイド等のパーオキシエステル
類等が挙げられ、単独あるいは2種以上組み合せて用い
られる。
【0076】さらに、本発明で用いる原料単量体あるい
は原料単量体とゴム成分との混合物には、必要に応じ
て、ミネラルオイル等の可塑剤、酸化防止剤、連鎖移動
剤、長鎖脂肪酸、そのエステルもしくはその金属塩等の
離型剤、シリコンオイルなどの如き公用の添加剤を併用
しても良い。
【0077】このようにして得られる樹脂組成物は、さ
らに通常用いられる酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収
剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、補強材等を配
合することが出来る。
【0078】具体例としては、例えばミネラルオイル、
エステル系可塑剤、有機ポリシロキサン、高級脂肪酸及
びその金属塩、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ガ
ラス繊維等が挙げられ、それぞれ単独又は併用して用い
ることが出来る。特に、耐候性向上用に通常用いられて
いる添加剤の具体例としては、チヌビンP、チヌビン3
27(日本チバガイギー(株))などに代表されるベン
ゾトリアゾール系またはベンゾフェノン系の紫外線吸収
剤、イルガノックス1076(日本チバガイギー
(株))、スミライザーGM、GS(住友化学(株))
に代表されるヒンダードフェノール系の酸化防止剤、サ
ノールLSー770に代表されるヒンダードアミン系の
光安定剤、トリスノニルフェニルホスファイトに代表さ
れるリン系酸化防止剤、ジミリスチルチオジプロピオネ
ートに代表される有機イオウ系酸化防止剤などが挙げら
れる。耐候性向上用に用いられている前記添加剤は本発
明の脂肪族ポリエステルと同様に、樹脂製造時に添加し
ても、または本発明の樹脂製造した後に押出機等を用い
て溶融混合しても良い。
【0079】以上詳述した本発明の樹脂組成物の用途
は、特に限定されるものではないが、シート押出成形、
或いは、IC用のキャリアマガジンレール等の異形押出
成形において有用である。
【0080】シートの製造法は特に限定されず、本発明
の樹脂組成物を溶融押出して、Tダイ、サーキュラーダ
イ等から連続的に押出し、そのまま或いは冷却し延伸に
適当な温度に調整して高延伸倍率、例えば2〜5倍で1
軸若しくは2軸で面積延伸比に延伸する方法等が挙げら
れる。また、溶融押出した原反を1度冷却し、次いで再
度再加熱により面積比で3〜15倍に延伸してもよい。
シートの厚みは特に限定されるものではなく、通常、
0.01〜10.0mmであるが、強度向上効果が顕著
に発現する好ましい範囲は、シートの厚みは0.02〜
5.0mmであることが好ましい。
【0081】また、本発明の樹脂組成物は、射出成形、
単軸押出成形、二軸延伸押出成形、インフレ−ション押
出成形、異形押出成形、真空成形、圧空成形、吹込成形
などの成形方法により各種成形品にして使用することが
出来る。その用途は広範なものに及び、例えば照明、看
板、デイスプレイ、電気部品、弱電部品、カーポートサ
ンルーフ等の建材、ブリスターパック、シュリンクフィ
ルムなどの用途がある。 複写機、プリンター、ファク
シミリ、パソコンなどのOA機器の各種部品、医療器具
類の部品等として用いることができる。
【0082】更に本発明のゴム変性共重合樹脂組成物に
は、必要に応じてポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチ
レン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、スチレン−メタクリ
ル酸メチル共重合樹脂、ゴム変性スチレン−メタクリル
酸メチル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン
−無水マレイン酸共重合樹脂、スチレン−(メタ)アク
リル酸共重合樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂、塩化ビニル
樹脂等の熱可塑性樹脂を適宜添加することもできる。
【0083】
【実施例】以下に実施例および比較例を示して本発明を
更に具体的に説明する。ただし、例中の部はすべて重量
部を、また%は全光線透過率を除きすべて重量%を示
す。
【0084】尚、全光線透過率、曇価、耐候性評価及び
流動性の評価方法を以下に記す。
【0085】1.樹脂中のグラフト共重合樹脂粒子の平
均粒子径 樹脂の超薄切片法による透過型電子顕微鏡写真をとり、
写真中の粒子1000個の粒子径を測定して次式により平均
粒子径を求めた。
【0086】
【式1】 (ただし、ni は粒径Di を有するゴム粒子の個数であ
る。) また、レーザー式粒度分布測定装置LA−910(堀場
製作所製)を用いてゴム粒子分布も観察した。
【0087】2. 全光線透過率および曇価 厚み2mmの試験片を射出成形法で作り、ASTMD-1003に準
拠してその値を求めた。
【0088】3.耐候性評価 ゴム質重合体を含むものについては、アイソ゛ット衝撃強度用
試験片を「JIS Kー6871」に準拠してアイソ゛ット衝撃強度を
測定し、次いで、ウェザーメーター(スガ試験機製 WEL
-SUN-DCH-B)にアイソ゛ット衝撃強度用試験片を曝露し、50
0時間経過後に試験片を取り出してアイソ゛ット衝撃強度を測
定し、その保持率を下記により算出した。また、ゴム質
重合体を含まない樹脂組成物については、「JIS K-711
3」に準拠してウェザーメーター暴露前と、暴露後50
0時間経過後とにおいて降伏強度を測定し、その保持率
を下記により算出した。
【0089】
【式2】
【0090】4.流動性試験 「ASPM B-1238(230℃,3.8Kg)」に準拠しメルトフ
ローレートを測定した。
【0091】また、メルトフローレート向上率について
は下記により算出した。
【0092】
【式3】
【0093】参考例1 スチレン25部、メタクリル酸メチル70部、アクリル
酸ブチル5部、およびエチルベンゼン10部から成る混
合溶液を調製し、連鎖移動剤として単量体混合物100
部に対して 0.2部のn−ドデシルメルカプタンおよび
有機過酸化物として単量体混合物100部に対して0.
015部の1,1-ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5-トリ
メチルシクロヘキサンを加え、第1図に示すように配列
された装置を用いて連続塊状重合を行った。
【0094】即ち、上記各成分を含む混合溶液をプラン
ジャーポンプ(1)によって20リットルの撹拌式反応
器(2)へ送り、撹拌翼による動的混合下に初期グラフ
ト重合し、次いでこの混合溶液をギアポンプ(3)によ
って初期重合ライン(I)に送り、重合を行った。尚、
初期重合ライン(I)は入口から順に内径2.5インチ
管状反応器(スイス国ゲブリューダー・ズルツァー社製
SMX型スタティックミキサー・静的ミキシングエレメ
ント30個内蔵)(4)、(5)及び(6)と混合溶液
を循環させるためのギアポンプ(7)から構成されてい
る。管状反応器(6)とギアポンプ(7)を有する還流
ライン(V)との間には主重合ライン(V)に続く出口
が設けられている。主重合ライン(V)には入口から順
に上記と同様の管状反応器(8)、(9)及び(10)
とギアポンプ(11)が直列に連結されている。
【0095】また、この重合における条件は以下の通り
である。 混合溶液の連続的な供給量:10リットル/時間 還流比R:7 撹拌式反応器(2)での反応温度:115℃ 初期重合ライン(III)での反応温度:130℃ 主重合ライン(IV)での反応温度:140〜160℃ この様にして重合させて得られた混合溶液を熱交換器で
235 ℃まで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分
を除去した後、ペレット化して共重合樹脂を得た。これ
を樹脂A1とする。次いで、このものの曇価を測定し、
その結果を実施例1の「透明性の低下度」の基準値とし
た。また、このもののメルトフローレートを測定し、メ
ルトフローレート向上率の基準値とした。
【0096】参考例2 スチレン−ブタジエンランダム共重合ゴム〔5%SV:
25センチポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:10/9
0〕8部、スチレン30部、メタクリル酸メチル65
部、アクリル酸ブチル5部およびエチルベンゼン10部
から成る混合溶液を用いた以外は参考例1と同様にして
本発明のゴム変性共重合樹脂を得た。これを樹脂A2と
する。次いで、このものの曇価を測定し、その結果を実
施例3の「透明性の低下度」の基準値とした。また、こ
のもののメルトフローレートを測定し、メルトフローレ
ート向上率の基準値とした。
【0097】実施例1 スチレン25部、メタクリル酸メチル70部、アクリル
酸ブチル5部、分子末端をオクチルアルコールで封止し
たアジピン酸とブタンジールから成る脂肪族ポリエステ
ル(B)(粘度200 cps)3部、およびエチルベン
ゼン10部から成る混合溶液を調製し、連鎖移動剤とし
て単量体混合物100部に対して 0.2部のn−ドデシ
ルメルカプタンおよび有機過酸化物として単量体混合物
100部に対して0.015部の1,1-ジ−t−ブチルパ
ーオキシ−3,3,5-トリメチルシクロヘキサンを加え、参
考例1と同様に第1図に示すように配列された装置を用
いて連続塊状重合を行った。
【0098】重合させて得られた混合溶液を熱交換器で
235 ℃まで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分
を除去した後、ペレット化して本発明の共重合樹脂組成
物を得た。該樹脂の物性の測定結果を第1表に示す。
【0099】実施例2 ゴム変性ポリメタクリル酸メチル樹脂(住友化学工業株
式会社製;スミペックスHT55X)97部、分子末端
をオクチルアルコールで封止したアジピン酸とブタンジ
ールから成る脂肪族ポリエステル(B)(粘度1000
cps)3部をは配合した後、シリンダー温度200°
で口径が50ミリ2軸押出機で溶融混練して目的の熱可
塑性樹脂組成物のペレットを得た。該樹脂の物性の測定
結果を第1表に示す。尚、上記「スミペックスHT55
X」の曇価を測定し、その結果を本実施例の「透明性の
低下度」の基準値とした。
【0100】実施例3 スチレン−ブタジエンランダム共重合ゴム〔5%SV:
25センチポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:10/9
0〕8部、スチレン30部、メタクリル酸メチル65
部、アクリル酸ブチル5部およびエチルベンゼン10部
から成る混合溶液を用い、また、分子末端をオクチルア
ルコールで封止したアジピン酸とブタンジールから成る
脂肪族ポリエステル(B)(粘度200 cps)3部を
管状反応器(8)の前から添加する他は実施例1と同様
にして本発明のゴム変性共重合樹脂組成物を得た。物性
の測定結果を第1表に示す。尚、得られた組成物中のグ
ラフト共重合樹脂平均粒子径は0.60μm、ゴム粒子
分布は均一であった。
【0101】比較例1 分子末端をオクチルアルコールで封止したアジピン酸と
ブタンジールから成る脂肪族ポリエステル(B)の替わ
りに流動パラフィン(S−250、Witco Chemical社
製)の3重量部を使用した以外は実施例3と同様にして
ゴム変性共重合樹脂組成物を得た。物性の測定結果を第
1表に示す。
【0102】
【表1】
【0103】尚、第1表における判定基準は以下の通り
である。 透明性の低下度(%):脂肪族ポリエステル(鉱油)の
有無による成形品の曇価の差
【0104】
【発明の効果】本発明によれば、アクリル樹脂やMS樹
脂またはそのゴム変性樹脂等の樹脂に対して、透明性や
耐候性を劣化させることなく、流動性を従来になく向上
させることができる。
【0105】更に、本発明においてはこれらの効果のみ
ならず、成形品の耐油性も著しく優れたものとなる。更
に連続塊状重合を行った場合には、その生産性が著しく
向上する。よって、本発明の製法で得た熱可塑性樹脂組
成物は、透明性、耐候性 または耐衝撃性の実用強度に
優れ、かつ、流動性に優れるため、各種成形品に好適に
使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、静的ミキシングエレメントを内部に
有する管状反応器を組み込んだ連続重合ラインの一例を
示す工程図である。
【符号の説明】
(1):プランジャーポンプ (2):攪拌式反応器 (3):ギヤポンプ (4):静的ミキシングエレメントを内部に有する管状
反応器 (5):静的ミキシングエレメントを内部に有する管状
反応器 (6):静的ミキシングエレメントを内部に有する管状
反応器 (7):ギヤポンプ (8):静的ミキシングエレメントを内部に有する管状
反応器 (9):静的ミキシングエレメントを内部に有する管状
反応器 (10):静的ミキシングエレメントを内部に有する管
状反応器 (11):ギヤポンプ (I):初期重合ライン (II):主重合ライン

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル樹脂(a1)、又は、アクリル
    系単量体を60重量%以上の割合で芳香族ビニル系単量
    体と重合させた共重合樹脂(a2)を含有する樹脂成分
    (A)、及び、 脂肪族ジカルボン酸(b1)とジオール成分(b2)と
    の反応物であって、かつ、BM型粘度計による粘度が5
    0〜5,000cps(25℃)である脂肪族ポリエス
    テル(B)を必須成分とすることを特徴とする樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 脂肪族ジカルボン酸(b1)が、炭素原
    子数4〜10の脂肪族ジカルボン酸であり、ジオール成
    分(b2)が炭素原子数3〜6のジオールである請求項
    1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 脂肪族ポリエステル(B)を、樹脂成分
    (A)に対して0.1〜20重量%となる割合で含有す
    る請求項1又は2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 アクリル樹脂(a1)が、アクリルゴム
    を含有するものである請求項1、2又は3記載の組成
    物。
  5. 【請求項5】 共重合樹脂(a2)が、アクリル系単量
    体と芳香族ビニル系単量体とを前者/後者の重量比で
    (60〜95)/(40〜5)となる割合で共重合した
    ものである請求項1、2又は3記載の組成物。
  6. 【請求項6】 共重合樹脂(a2)が、ゴム質重合体の
    存在下に、芳香族ビニル系単量体と、アクリル系単量体
    とを、アクリル系単量体が60重量%以上となる割合で
    グラフト重合させたものである請求項1、2又は3記載
    の組成物。
  7. 【請求項7】 共重合樹脂(a2)が、ゴム質重合体の
    存在下に、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体と
    を前者/後者の重量比で(60〜95)/(40〜5)
    となる割合でグラフト重合したものである請求項6記載
    の組成物。
  8. 【請求項8】 共重合樹脂(a2)を構成するゴム質重
    合体が、ポリブタジエン、又は、芳香族ビニル系単量体
    を1〜20重量%の割合で用いたスチレン−ブタジエン
    共重合ゴムである請求項6又は7記載の組成物。
  9. 【請求項9】 共重合樹脂(a2)中のグラフト共重合
    ゴム粒子が、平均粒子径0.2〜1.2μmである請求
    項6、7又は8記載の組成物。
  10. 【請求項10】 アクリル系単量体として、メチルメタ
    クリレートとその他のアクリル系単量体とを併用する請
    求項1、5、6、7、8又は9記載の組成物。
  11. 【請求項11】 アクリル系単量体、或いは、アクリル
    系単量体を60重量%以上の割合で含有するアクリル系
    単量体とスチレン系単量体との混合溶液を、1個以上の
    攪拌式反応器とそれに続き可動部分のない複数のミキシ
    ングエレメントが内部に固定されている管状反応器を組
    み込んでなる連続塊状重合ライン内で重合して樹脂成分
    (A)を製造する際に、 (1)前記管状反応器を含む重合ライン途中で、脂肪族ジ
    カルボン酸(b1)とジオール成分(b2)との反応物
    であって、かつ、BM型粘度計による粘度が50〜5,
    000cps(25℃)である脂肪族ポリエステル
    (B)を混合しつつ樹脂成分(A)の重合を行なうか、 (2)前記アクリル系単量体又は混合溶液中に、前記脂肪
    族ポリエステル(B)を溶解させ、次いで樹脂成分
    (A)の重合を行なうか、或いは、 (3)前記重合を行ない未反応モノマーや溶剤を除去して
    得られた樹脂成分(A)に、前記脂肪族ポリエステル
    (B)と溶融混練することを特徴とする樹脂組成物の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 アクリル系単量体、或いは、アクリル
    系単量体を60重量%以上の割合で含有するアクリル系
    単量体とスチレン系単量体との混合溶液を、 a.攪拌式反応器と、 b.攪拌式反応器から続き可動部分の全くない複数のミキ
    シングエレメントが内部に固定されている1個以上の管
    状反応器からなる初期重合ラインと、 c.初期重合ラインから続き可動部分の全くない複数のミ
    キシングエレメントが内部に固定されている1個以上の
    管状反応器からなる主重合ラインと、 d.初期重合ラインと主重合ラインとの間で分枝して初期
    重合ライン内に戻る還流ラインとによって構成される重
    合ラインを用い、初期重合ラインから出る初期重合液流
    の一部を還流ラインを経て還流させ、一方、還流されな
    かった初期重合液流を主重合ラインにおいて重合して樹
    脂成分(A)を製造する際に、 (1)前記管状反応器を含む重合ライン途中で、脂肪族ジ
    カルボン酸(b1)とジオール成分(b2)とを反応物
    であって、かつ、BM型粘度計による粘度が50〜5,
    000cps(25℃)である脂肪族ポリエステル
    (B)を混合しつつグラフト共重合体(A)の重合を行
    なうか、 (2)前記アクリル系単量体又は混合溶液中に、前記脂肪
    族ポリエステル(B)を溶解させ、次いで樹脂成分
    (A)の重合を行なうか、或いは、 (3)前記重合を行ない未反応モノマーや溶剤を除去して
    得られた樹脂成分(A)に、前記脂肪族ポリエステル
    (B)と溶融混練する請求項11記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 アクリル系単量体を60重量%以上の
    割合で含有するアクリル系単量体とスチレン系単量体と
    の混合溶液が、これらの成分の他にゴム質重合体を含有
    するものである請求項11又は12記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 アクリル系単量体を60重量%以上の
    割合で含有するアクリル系単量体とスチレン系単量体と
    の混合溶液が、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量
    体とを前者/後者の重量比で(60〜95)/(40〜
    5)となる割合で含有しており、更に、ゴム質重合体を
    含有するものである請求項13記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 ゴム質重合体が、ポリブタジエン、又
    は、芳香族ビニル系単量体1〜20重量%の割合で用い
    たスチレン−ブタジエン共重合ゴムである請求項13又
    は14記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 脂肪族ポリエステル(B)を、アクリ
    ル系単量体又は混合溶液に対して0.1〜20重量%と
    なる割合で含有する請求項11〜15の何れか1つに記
    載の製造方法。
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