JP2007145882A - 多段重合のメタクリル系樹脂重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形品の外観を維持しながら、射出成形におけるの流動特性の向上や、押出し成形や、ブロー成形や、真空、圧空成形、延伸成形等の二次加工における成形性を向上しながら、一方で機械強度を低下することの無い多段重合のメタクリル系樹脂重合体に関する。
【解決手段】 メタクリル酸メチル単量体70〜99.5wt%及びメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成される単量体0.5〜30wt%からなる共重合体であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量が0.5万〜18万である共重合体(A)を重合した後、共重合体(A)の存在下で重量平均分子量が8万〜80万である共重合体(B)を重合して得られる、平均粒子径が0.1mm〜0.5mmである多段重合のメタクリル系樹脂重合体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形品の外観を維持し、射出成形における流動特性の向上や、押出し成形や、ブロー成形や、真空、圧空成形、延伸成形等の二次加工における成形性を向上しながら、一方で機械強度を低下させることの無い多段重合のメタクリル系樹脂重合体に関する。
メタクリル系樹脂は、透明樹脂として他のプラスチック透明樹脂よりその高い光透過率、耐候性、高い剛性に特徴があり、車両用部品、照明器具、建築用材料、看板、絵画や、表示装置の窓や銘板等広い用途で用いられている。
近年、それらの成形品については、非常に成形性、加工性が難しいものが増えており、例えば射出成形の場合、大型化、薄肉化に基づき、流動性が悪い場合、射出圧力が高くなり、成形できなかったり、成形歪が大きくなるという問題が生じる。このため、射出圧力を低くすることができる高流動性樹脂が望まれている。一方で、その外観や、耐溶剤性等の機械強度や耐熱性については、低下しないことが望まれている。
これまで、一般的にメタクリル系樹脂の機械強度や加工性を改善する公知の方法として、低分子量のメタクリル系樹脂で流動性を付与し、高分子量もしくは微架橋構造で機械強度を付与し、その混合状態で加工性を付与する、高分子量もしくは低分子量のメタクリル系樹脂を溶融混合したり、分岐構造を用いて分子量分布を拡大する技術が報告されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし、この方法では、分子量の異なるメタクリル系樹脂は、その粘度が異なることから押出し機、射出成形機の中で均一に溶融混合することが出来ず、分子量の高いメタクリル系樹脂が部分的に分散不良が存在し、表面外観が悪くなる不具合が生じる。また、多官能モノマーを用いた、微架橋による方法は、多官能モノマーの制御が非常に難しく、多すぎると、混合均一性が低下し、成形品の外観が低下する。少なすぎると効果がない。
そのような問題を改善するために、多段重合により、分子量の異なるメタクリル系樹脂を得る技術がある。
しかし、内層を外層より高分子量にした場合には、加工したときに、内層の高分子量が分散することが出来ない(特許文献3、4参照)。また、内層を外層より低分子量にしても、メタクリル酸メチルの比率が低い場合、耐熱性や、透過性が低下する(特許文献5参照)。
特公平1−22865号公報 特開平9−207196号公報 特開平6−41387号公報 特開平7−196882号公報 特開平3−37255号公報
このように、本発明は、成形品の外観を維持し、射出成形における流動特性の向上や、押出し成形や、ブロー成形や、真空、圧空成形、延伸成形等の二次加工における成形性を向上しながら、一方で機械強度を低下することの無い多段重合のメタクリル系樹脂重合体に関する。
これらの問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、一段目と二段目の分子量、分子量差がある範囲にあり、一段目と二段目の重量比率がその分子量差に応じて適正化した、多段重合のメタクリル系樹脂重合体とすることで、成形品の外観を維持したまま、射出成形におけるの流動特性の向上や、押出し成形や、ブロー成形や、真空、圧空成形等二次加工における成形性を向上しながら、機械強度を向上することを見出した。
すなわち、請求項1に係る発明は、メタクリル酸メチル単量体70〜99.5wt%及びメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成される単量体0.5〜30wt%からなる共重合体であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量が0.5万〜18万である共重合体(A)を重合した後、共重合体(A)の存在下で重量平均分子量が8万〜80万である共重合体(B)を重合して得られるメタクリル系樹脂重合体であり、平均粒子径が0.1mm〜0.5mmで、かつ、下記(1)〜(3)を満足することを特徴とする多段重合のメタクリル系樹脂重合体である。
(共重合体(B)の重量平均分子量)−(共重合体(A)の重量平均分子量)≧1万・・・(1)
(共重合体(B)の重量平均分子量)−(共重合体(A)の重量平均分子量)≦20万のとき、(共重合体(A)の重量比):(共重合体(B)の重量比)=5:95〜50:50・・・(2)
(共重合体(B)の重量平均分子量)−(共重合体(A)の重量平均分子量)>20万のとき、(共重合体(A)の重量比):(共重合体(B)の重量比)=20:80〜80:20・・・(3)
また請求項2に係る発明は、懸濁重合法もしくは乳化重合法による2段重合で得られることを特徴とする請求項1に記載の多段重合のメタクリル系樹脂重合体である。
本発明の多段重合のメタクリル系樹脂重合体では、成形品の外観を維持することができ、射出成形における流動特性の向上をはかることができ、さらに、押出し成形、ブロー成形、真空、圧空成形、延伸成形等の二次加工における成形性を向上しながら、一方で機械強度を低下させることがない。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明における共重合体(A)及び共重合体(B)の組成は、メタクリル酸メチル単量体が70〜99.5wt%含まれる。70wt%より少ないと耐熱性や光学性能が不十分であり、99.5wt%以上では熱安定性が不十分である。特に好ましくは、85〜99wt%である。
また、共重合体(A)を100wt%としたときの共重合体(A)を構成するメタクリル酸メチル単体量の重量百分率と共重合体(B)を100wt%としたときの共重合体(B)を構成するメタクリル酸メチル単量体の重量百分率の差が15wt%以内が好ましい。15wt%以内とすることにより、共重合体(A)と共重合体(B)の屈折率が近くなり、得られたメタクリル系樹脂重合体の光学特性が維持できて好ましい。より好ましくは、10wt%以内である。
本発明における共重合体(A)及び共重合体(B)に用いられるメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体としては、アルキル基の数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル基の炭素数が2〜18のアルキルアクリレートの他、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれらのアルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド等、また、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの:ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート等の2個のアルコールの水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの:トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール誘導体をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの:ジビニルベンゼン等の多官能モノマー等が挙げられ、これらは、単独或いは2種類以上を併用して用いることが出来る。これらの中でも、耐光性、熱安定性、耐熱性、流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく用いられ、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートが特に好ましい。
本発明で得られる多段重合のメタクリル系樹脂重合体の平均粒子径は、0.1mm〜0.5mmである。0.1mmより小さいと粉体状態となり、空気中に浮遊してしまうために、取り扱い性や、吸い込みにより人体に悪影響が生じるため好ましくない。0.5mmより大きいと、二段目の高分子量の共重合体(B)の分散性が低下するため好ましくない。平均粒子径は、JIS−Z8801に基づくふるいを用いて分級測定し、重量50wt%の粒子を計算することにより得られる。その形状は、特に制限は無いが、略球状であるほうが取り扱いと均一性が良く好ましい。
本発明における共重合体(A)の重量平均分子量は、0.5万〜18万が良く、共重合体(B)の重量平均分子量は8万〜80万が良い。また、共重合体(A)が一段目で、共重合体(B)が二段目であり、
(共重合体(B)の重量平均分子量)−(共重合体(A)の重量平均分子量)≧1万・・・(1)
である。共重合(A)が共重合(B)より低分子量であることが本発明においては非常に重要であり、共重合(A)が高分子量であると、とたんに溶融混合時の均一性が落ちて成形品の外観不良が発生する。共重合体(A)は流動性に起因する部分であり、共重合体(B)は機械強度に起因する部分であり、共重合体(A)と共重合体(B)との混合状態が、加工性に起因する。共重合体(A)と共重合体(B)の重合平均分子量差が1万以下であると、効果が無い。好ましくは重合平均分子量差が5万以上であり、さらに好ましくは重合平均分子量差が7万以上である。また、共重合体(A)の重量平均分子量が0.5万より小さい共重合体(A)は、安定して重合することが出来ず好ましくない。また、18万より大きいと、流動性が大幅に低下するため好ましくない。より好ましくは1万〜15万であり、さらに好ましくは2万〜12万である。また、共重合体(B)の重量平均分子量が8万より小さいと機械強度が低下し良くない。一方で80万より大きいと、溶融分散性が得られず、また、重合時の安定性を取ることが難しいために良くない。さらに好ましくは9万〜50万であり、さらに好ましくは10万〜40万である。
本発明で測定される重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される。あらかじめ、分子量分布が狭く、分子量が既知で試薬として入手可能な標準メタクリル系樹脂を用いて、溶出時間と分子量から検量線を作成し、その検量線から各試料の分子量を測定することが出来る。
共重合体(A)の単量体の組成及び重量平均分子量範囲内及び共重合体(B)の単量体の組成及び重量平均分子量範囲内にある共重合体は、それぞれ1つであっても複数であっても良い。複数の場合例えば、共重合体(A)の組成及び重量平均分子量範囲にある共重合体が2つ以上存在する場合、組成は、平均した単量体組成が共重合体(A)の組成であり、平均した重量平均分子量が共重合体(A)の重量平均分子量である。共重合体(B)の場合も同様である。
本発明における、共重合体(A)および共重合体(B)の重量比率は、重量平均分子量差により決定される。
(共重合体(B)の重量平均分子量)−(共重合体(A)の重量平均分子量)≦20万のとき(共重合体(A)の重量比):(共重合体(B)の重量比)=5:95〜50:50・・・(2)
(共重合体(B)の重量平均分子量)−(共重合体(A)の重量平均分子量)>20万のとき(共重合体(A)の重量比):(共重合体(B)の重量比)=20:80〜80:20・・・(3)
共重合体(B)と共重合体(A)の重量平均分子量差が20万以下の場合には共重合体(A)の重量比率は5wt%〜50wt%であり、共重合体(B)が95wt%〜50wt%である。共重合体(A)が5wt%より少ないと混合比として少ないため効果がない。共重合体(B)が50wt%より少ないと、機械強度低くなり良くない。より好ましくは(共重合体(A)の重量比):(共重合体(B)の重量比)が10:90〜50:50であり、さらに好ましくは、10:90〜40:60である。
一方、本発明における共重合体(B)と共重合体(A)の重量平均分子量差が20万より大きい場合には、粘度差が大きくなるため、均一分散性がその重量比率により変わってくる。共重合体(A)の重量比率は20wt%〜80wt%であり、共重合体(B)が80wt%〜20wt%である。共重合体(A)もしくは共重合体(B)が20wt%より少ないと、どちらの場合も共重合体(B)の分散性が低下してしまい、成形品に外観不良が発生し良くない。好ましくは(共重合体(A)の重量比):(共重合体(B)の重量比)が10:90〜90:10であり。より好ましくは30:70〜70:30である。
本発明における多段重合のメタクリル系樹脂重合体の製造方法としては、特に制限は無く、具体的には、
1.あらかじめ共重合体(A)を重合しておき、残りの共重合体(B)を重合するための規定量の単量体にすでに得られた規定量の共重合体(A)を添加混合し、その後重合反応を行うことによって、それぞれの比率、分子量を制御して、製造する方法。
2.あらかじめ共重合体(A)を重合した後、共重合体(B)の原料組成混合物を一度にもしくは逐次追添することによって、製造する方法。
が挙げられる。
特に好ましくは、2.の方法が共重合体(A)と共重合体(B)のそれぞれの組成を制御しやすく、安定に多層構造が得られるため好ましくそのための重合方法としては、懸濁重合法もしくは乳化重合法のいずれかが好ましい。
本発明における共重合体(A)及び共重合体(B)を製造するための重合開始剤としては、フリーラジカル重合を用いる場合は、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどのパーオキサイド系や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤を用いることができ、これらは単独でもあるいは2種類以上を併用しても良い。これらのラジカル開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として実施しても良い。これらの開始剤は、単量体混合物に対して、0.001〜1wt%の範囲で用いるのが一般的である。
本発明における共重合体(A)及び共重合体(B)の分子量を調整するために、ラジカル重合法で製造する場合には一般的に用いられている連鎖移動剤を使用できる。連鎖移動剤としては、例えばn−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)などのメルカプタン類が好ましく用いられる。一般的に単量体混合物に対して、0.001〜1wt%の範囲で用いるのが一般的である。
本発明における多段重合のメタクリル系樹脂重合体を得るために、必要に応じて染料、顔料、ヒンダードフェノール系やリン酸塩等の熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系などの紫外線吸収剤、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系などの可塑剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸のモノ、ジ、またはトリグリセリド系などの離型剤、高級脂肪酸エステル、ポリオレフィン系などの滑剤、ポリエーテル系、ポリエーテルエステル系、ポリエーテルエステルアミド系、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩などの帯電防止剤、リン系、リン/塩素系、リン/臭素系などの難燃剤、反射光のぎらつきを防止するためにメタクリル酸メチル/スチレン共重合体ビーズなどの有機系光拡散剤、硫酸バリウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルクなどの無機系光拡散剤、補強剤として多段重合で得られるアクリル系ゴム等を使用しても良い。これらの添加剤を配合するときには、公知の方法で実施しうる。例えば、単量体混合物にあらかじめ添加剤を溶解しておき重合する方法が用いられる。
本発明における多段重合のメタクリル系樹脂重合体は、単独又は、さらに他の樹脂と混合して用いても良い。混合する場合には、ブレンドして、押出し機、射出成形機等で、加熱溶融混合しても良いし、押出し機で、加熱溶融混合したペレットを用いても良い。先に挙げた添化剤をこのときにブレンドして混合しても良い。
本発明で得られるメタクリル系樹脂重合体はそのままで射出成形や押出し成形等の成型加工に用いても良いし、一度ペレット等の形状に変形してから使用しても良い。また、組成の異なる本発明のメタクリル系樹脂重合体を複数種組み合わせても良いし、既存のメタクリル系樹脂と組み合わせても良い。組み合わせ方法としては、ブレンドして用いても良いし、一度押出し機でコンパウンドしてペレタイズをしても良い。
以下に実施例、比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。単位で部で表示しているところは、重量部を表す。
1.メタクリル系樹脂の重量平均分子量の測定
トーソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC−8120+8020)カラムに東ソー製TSKスーパーHH−M(2本)+スーパーH2500(1本)を直列に並び検出器をRIで行い、測定試料は、0.02gのメタクリル系樹脂を20ccのTHF溶媒に溶解し、注入量10ml、展開流量0.3ml/minで溶出時間と、強度を測定した。ジーエルサイエンス製の単分散の重量平均分子量が既知なメタクリル系樹脂を標準試料とした検量線を元に重量平均分子量を求めた。混合物の重量平均分子量の測定は、どれか単体の重量平均分子量を元に混合物の重量平均分子量から引くことで、混合物の残りの単体の重量平均分子量及び比率を求めることにした。
2.平均粒子径の測定
JIS−Z8801に基づく、ふるい東京スクリーン製JTS−200−45−33(目開き500μm),34(目開き425μm),35(目開き355μm),36(目開き300μm),37(目開き250μm),38(目開き150μm)61(受け皿)を用いて古いわけ試験機TSK B−1を用いて振動力MAXにて10分間ふるいを行ったときの平均粒子径の測定値を用いて、50wt%の粒子径を測定し平均粒子径を求めた。
3.メルトフローレートの測定
東洋精機製メルトインデクサF−B01を用いて、ISO 1133 cond13の条件に従って、230℃、荷重3.8kgの条件下メルトフローレートを測定した。
4.射出成形時の射出圧力の評価
名機製作所製ダイナメルターM−70成形機を用いてバレル温度230℃において、ASTM1号ダンベル試験金型を用いて金型温度55℃にてダンベル試験片を作製し、30cc/secの速度で圧力はショートショットポイントまで充填できるまで圧力を上げていきその射出圧力+20MPaで保圧を10sec行い成形品を作成するとともに、ショートショットポイント時の最大射出圧力を測定した。
5.成形品外観の評価
4.で得られたダンベル試験片において、蛍光灯の映りこむ形状が変形、乱反射するかどうかを10本において外観を検査し、問題ある本数を記録した。
6.延伸加工性の評価
4.で得られたダンベル試験片を用いて、150℃の環境下で、試験片表面温度を150℃まで加熱した後ダンベルを100mm/secの速度で1軸延伸を行ない、延伸可能倍率を測定した。
7.耐溶剤性試験の評価
カンチレバー法により評価した。カンチレバー法とは、前述の4.で得られたダンベル試験片よりチャック部分を切り取り127mm長さ×12.7mm幅×3.2mm厚みサイズの試験片を切り出し、図1に示す条件の固定冶具1を用いて前記試験片2をセットし、2mm径の凧糸5を用いて2kgの分銅3を用いて荷重をかけ、エタノールを染み込ませたろ紙4を図1に示すように支点部分において、試験片2の破断する時間を測定した。
[参考例1](共重合体(A)のみのアクリル樹脂の重合)
60Lの反応器にメタクリル酸メチル98wt%及びアクリル酸メチル2wt%の比率でこれらの合計を100部と、ラウリルパ−オキサイド0.25部、n−オクチルメルカプタン0.17部、脱イオン水200部、三リン酸カルシウム0.5部、炭酸カルシウム0.3部、ラウリル硫酸ナトリウム0.003部を投入し攪拌混合し、反応器の反応温度を80℃で150分懸濁重合し、続いて92℃で60分熟成し、重合反応を実質終了し、次に50℃まで冷却して鉱酸を投入し、洗浄脱水乾燥処理し、ビーズ状メタクリル系樹脂を得た。このビーズ状ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、表1にある参考例1の樹脂を得た。
[実施例1]
60Lの反応器に一段目としてメタクリル酸メチル94wt%及びアクリル酸メチル6wt%の比率でこれらの合計を70部と、ラウリルパーオキサイド0.175部、n−オクチルメルカプタン0.193部(以上が共重合体(A)の原料)、脱イオン水200部、三リン酸カルシウム0.5部、炭酸カルシウム0.3部、ラウリル硫酸ナトリウム0.003部を投入し攪拌混合し、反応器の反応温度を80℃で150分懸濁重合し、重合物を少量を抜き取った。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、重量平均分子量10万の共重合体(A)であることを確認した。その60分後に二段目である共重合体(B)の原料であるメタクリル酸メチル94wt%及びアクリル酸メチル6wt%の比率でこれらの合計を30部と、ラウリルパ−オキサイド0.006部、n−オクチルメルカプタン0.012部を反応器に投入し、引き続き80℃で90分懸濁重合し、続いて92℃で60分熟成し、重合反応を実質終了し、次に50℃まで冷却して鉱酸を投入し、洗浄脱水乾燥処理し、ビーズ状メタクリル系樹脂を得た。このビーズ状ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、表1の結果の通り、先の共重合体(A)の重量平均分子量の結果を用いて計算し、重量平均分子量が10万で比率が72wt%の共重合体(A)と重量平均分子量が46万で比率が28wt%の共重合体(B)であることを確認した。
[実施例2、3]
表1にある単量体の組成比率で、実施例2では、共重合体(A)の単量体を82部かつ原料のn−オクチルメルカプタンの量を0.29部、共重合体(B)の単量体を18部かつ原料のn−オクチルメルカプタンの量を0.009部とし、実施例3では、共重合体(A)の単量体を22部、n−オクチルメルカプタンの量を0.176部、共重合体(B)の単量体を78部、n−オクチルメルカプタンの量を0.105部とする以外は実施例1と同様にして、表1にある実施例2、3のメタクリル系樹脂重合体を得た。
[比較例1]
表1にある単量体の組成比率で、実施例1において、共重合体(A)と共重合体(B)の投入順を逆にすることで、表1にある比較例1のメタクリル系樹脂重合体を得た。
[比較例2]
表1にある単量体の組成比率で、共重合体(A)の単量体を17部かつ原料のn−オクチルメルカプタンの量を0.193部、共重合体(B)の単量体を83部かつ原料のNn−オクチルメルカプタンの量を0.012部とする以外は実施例1と同様にして、表1にある比較例2のメタクリル系樹脂重合体を得た。
[比較例3]
表1にある単量体の組成比率で、実施例1において三リン酸カルシウムを0.25部、炭酸カルシウム0.15部、ラウリル硫酸ナトリウム0.0015部とする以外は実施例1と同様にして、表1にある比較例3のメタクリル系樹脂重合体を得た。
[比較例4]
表1にある単量体の組成比率で、参考例1のn−オクチルメルカプタンの量を0.275部とする以外は参考例1と同様にして重量平均分子量が10万共重合体(A)となるメタクリル系樹脂重合体を得た。次に60Lの反応器にメタクリル酸メチル94wt%及びアクリル酸メチル6wt%の比率でこれらの合計を100部と、ラウリルパ−オキサイド0.25部、n−オクチルメルカプタン0.04部、脱イオン水200部、三リン酸カルシウム0.5部、炭酸カルシウム0.3部、ラウリル硫酸ナトリウム0.003部を投入し攪拌混合し、反応器の反応温度を80℃で150分懸濁重合し、続いて92℃で60分熟成し、重合反応を実質終了し、次に50℃まで冷却して鉱酸を投入し、洗浄脱水乾燥処理し、ビーズ状メタクリル系樹脂を得た。このビーズ状ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、表1にある重量平均分子量が46万の共重合体(B)となるメタクリル系樹脂重合体を得た。これらを、共重合体(A)を28wt%、共重合体(B)を72wt%の比率でタンブラーで混合し表1にある比較例4のメタクリル系樹脂組成物を得た。
[実施例4]
表1にある単量体の組成比率で、実施例1において共重合体(A)の単量体を10部かつ原料のn−オクチルメルカプタンの量を0.53部、共重合体(B)の単量体を90部かつ原料のn−オクチルメルカプタンの量を0.113部とし、あとは実施例1と同様にして表1にある実施例4のメタクリル系樹脂重合体を得た。
[比較例5]
表1にある単量体の組成比率で、参考例1において原料のn−オクチルメルカプタンの量を0.45部とする以外は参考例1と同様にして、表1にある比較例5の樹脂を得た。
Figure 2007145882
参考例1、実施例1〜3、比較例1〜4、実施例4、比較例5で得られたメタクリル系樹脂の平均粒子径を求めた。その結果を表2に示す。
その後、各メタクリル系樹脂重合体を30mmφ単軸押出し機にて、250℃の条件で押出し、ペレタイズを行い、射出成形を行うためのペレットをそれぞれ作製した。これらのペレットを用いて射出成形を行い、ダンベル試験片を作製し、射出圧力、成形品の外観、延伸加工性、耐溶剤性を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2007145882
参考例1のアクリル樹脂に対して、異なる重量平均分子量を持つ実施例1〜3、比較例1〜4のメタクリル系樹脂は、メルトフローレートが同じもしくはそれより低くても、射出圧力は同じかもしくは低下しても成形することが可能であり、成形時に歪が残ることがない。また、延伸加工性では参考例1では、320%までしか延伸することが出来ずそれ以上では破断してしまうが、いずれも500%以上延伸しても破断することが無かった。
また、耐溶剤性でも、参考例1が80秒で試験片が破断したのに対し、実施例、比較例ともに同等以上の耐久性があった。しかし、実施例1〜3ともに成形品の外観に不良が全く無かったのに対し、比較例1では、共重合体(A)の分子量が共重合体(B)の分子量より大きいため、溶融分散していない小さな塊が成形品表面に多量に発生していて成形品の外観がすべて問題あった。
比較例2では、共重合体(A)と共重合体(B)との重量平均分子量差が30万に対し、共重合体(A)と共重合体(B)の比率が15:85であったために、溶融分散していない小さな塊が成形品表面に多量に発生していて成形品の外観すべてに問題があった。
比較例3では平均粒子径が0.7mmと大きいため、得られたビーズ状メタクリル系樹脂重合体が充分に溶融しきれず、成形品に溶融分散していない小さな塊が成形品表面に多量に発生していて成形品外観がすべて問題あった。
比較例4では、共重合体(A)と共重合体(B)をブレンドして混合したが、共重合体(A)と共重合体(B)とが充分に均一溶融しきれず、やはり溶融分散していない小さな塊が成形品表面に多量に発生していて成形品の外観すべてに問題があった。
また、実施例4と比較例5はいずれも同じメルトフローレートであるが、異なる平均分子量の共重合体(A)と共重合体(B)による実施例4の方が低い射出圧力で成形することが出来た。
本発明の多段重合のメタクリル系樹脂重合体を用いることにより、外観品質が非常に重要な、携帯電話、液晶モニター、液晶テレビ等の表示(装置)窓や、液晶表示で用いられる導光板、表示装置の前面板や絵画等の額や、外光を取り入れる窓、表示用看板、カーポートの屋根等のエクステリア、展示品の棚等のシート、照明器具のカバーやグローブ等、圧空成形、真空成形、ブロー成形等の2次加工を有する成形品や、テールランプやヘッドランプ等車両用光学部品等において外観品質を維持しながら、成形性を向上し、一方で機械強度を低下することの無い成形品を提供することが可能となる。
本実施例及び比較例及び参考例で用いたカンチレバー法の概略図である。
符号の説明
1 固定冶具
2 試験片
3 2kgの分銅
4 エタノールを染み込ませたろ紙
5 凧糸

Claims (2)

  1. メタクリル酸メチル単量体70〜99.5wt%及びメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成される単量体0.5〜30wt%からなる共重合体であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量が0.5万〜18万である共重合体(A)を重合した後、共重合体(A)の存在下で重量平均分子量が8万〜80万である共重合体(B)を重合して得られるメタクリル系樹脂重合体であり、平均粒子径が0.1mm〜0.5mmで、かつ、下記(1)〜(3)を満足することを特徴とする多段重合のメタクリル系樹脂重合体。
    (共重合体(B)の重量平均分子量)−(共重合体(A)の重量平均分子量)≧1万・・・(1)
    (共重合体(B)の重量平均分子量)−(共重合体(A)の重量平均分子量)≦20万のとき(共重合体(A)の重量比):(共重合体(B)の重量比)=5:95〜50:50・・・(2)
    (共重合体(B)の重量平均分子量)−(共重合体(A)の重量平均分子量)>20万のとき(共重合体(A)の重量比):(共重合体(B)の重量比)=20:80〜80:20・・・(3)
  2. 懸濁重合法もしくは乳化重合法による2段重合で得られることを特徴とする請求項1に記載の多段重合のメタクリル系樹脂重合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015108161A (ja) * 2009-10-22 2015-06-11 旭化成ケミカルズ株式会社 アクリル系樹脂、及び成形体

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