JP2000103933A - スチレン系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂組成物及びその製造方法

Info

Publication number
JP2000103933A
JP2000103933A JP21663799A JP21663799A JP2000103933A JP 2000103933 A JP2000103933 A JP 2000103933A JP 21663799 A JP21663799 A JP 21663799A JP 21663799 A JP21663799 A JP 21663799A JP 2000103933 A JP2000103933 A JP 2000103933A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
styrene
monomer
copolymer
weight
diene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP21663799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3972526B2 (ja
Inventor
Takeshi Morita
毅 森田
Mamoru Fujihira
衛 藤平
Jiro Matsuo
二郎 松尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP21663799A priority Critical patent/JP3972526B2/ja
Publication of JP2000103933A publication Critical patent/JP2000103933A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3972526B2 publication Critical patent/JP3972526B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光沢、剛性、実用強度に優れるスチレン系樹
脂組成物を提供する。 【解決手段】 スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔スチ
レン/ブタジエン重量比:5/95 〕とスチレン−ブタジ
エン共重合ゴム〔スチレン/ブタジエン重量比:38/62
〕と、スチレン、及びメタクリル酸メチルから成る混
合溶液を、図1で示される連続塊状重合ライン内で連続
塊状重合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はグラフト化されたゴ
ム質重合体がスチレン系マトリックス樹脂中に分散した
ゴム変性スチレン系樹脂組成物に関するものである。さ
らに詳しくは耐衝撃性、とりわけ面衝撃強度に著しく優
れ、しかも光沢及び剛性に優れたスチレン系樹脂組成物
とその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】HIPSのようなゴム変性スチレン系樹
脂は、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂として現在広く用
いられている。この様なHIPSに代表されるゴム変性
スチレン系樹脂は、一般に分散ゴム粒子径が1μm以上
と大きく、その結果成形品の光沢に劣るという欠点を有
していた。そこで、HIPSの光沢と耐衝撃性とを兼備
する樹脂の開発が進められており、例えば、特開平5−
1122号公報には、HIPS中のグラフトゴム粒子を
粒径0.5〜1.0ミクロンまで小さくし、光沢と耐衝
撃性とを兼備させる技術が開示されている。また、特開
平4−180907号公報には、透明性、剛性及び耐衝
撃性に優れた樹脂組成物として、ゴム成分にスチレンと
メタクリル酸メチルとをグラフト重合させる技術が開示
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平5−1
122号公報記載の技術においては、ゴム粒子径を小さ
くすることにより光沢はある程度向上するものの、小粒
径化に伴う衝撃強度の低下が著しいため、ゴム粒子径を
小さくし、かつ衝撃強度の高い製品を得るためには、製
品中のゴム含量を一般のHIPSよりも増やさなければ
ならず、その結果、スチレン系樹脂の特徴である剛性が
低下するものであった。また、この様に小粒径のゴム成
分を多量に使用すると、衝撃強度に関し、ノッチ付きの
アイゾット衝撃強度は高いにもかかわらず、実用的に重
要な面衝撃強度は低いという課題をも有していた。
【0004】また、特開平4−180907号公報記載
の樹脂組成物は、透明性を有するために光沢は良好なも
のとなるものの、透明性を持たせるために粒子径は一層
小さくなり、その結果、耐衝撃性が充分でなく用途が制
限されるものであった。本発明が解決しようとする課題
は、光沢、剛性および面衝撃強度に優れたスチレン系樹
脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、この様な
状況に鑑み鋭意研究した結果、特定の二種のゴム成分を
溶解した混合ゴム質重合体に、スチレン系単量体と(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルとをグラフト共重合さ
せ、分散ゴム粒子の体積基準のメジアン径を小さくして
架橋度を高めることにより優れた成形品光沢を有しなが
らも剛性や実用衝撃強度を著しく高められることを見い
だし本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、スチレン系単量体とアク
リル系単量体との共重合体(A)をマトリックス相と
し、かつ、ジエン系ゴム質重合体にスチレン系単量体と
アクリル系単量体とがグラフト共重合したゴム粒子
(B)を分散粒子とするスチレン系樹脂組成物におい
て、共重合体(A)が、スチレン系単量体と(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルとを、重量基準で前者/後者
=95/5〜50/50となる割合で共重合したもので
あって、ゴム粒子(B)が、散乱式粒度分布測定装置で
測定される組成物中の体積基準のメジアン径が0.5〜
0.9μmの範囲であって、かつ組成物の[25℃での
トルエン不溶分含有率/25℃でのトルエン膨潤指数]
の値が1.2〜2.5なる範囲のものであることを特徴
とするスチレン系樹脂組成物、及び、ジエン系単量体の
単独重合体(b1)、又はスチレン構造単位を重量基準
で15%以下となる割合で有するスチレン系単量体とジ
エン系単量体との共重合体(b2)と、スチレン構造単
位を重量基準で20〜50%となる割合で有するスチレ
ン系単量体とジエン系単量体との共重合体(b3)と、
スチレン系単量体(a1)と、(メタ)アクリル酸アル
キルエステル(a2)との混合溶液を、可動部分のない
複数のミキシングエレメントが内部に固定されている管
状反応器を組み込んでなる連続塊状重合ライン内で連続
塊状重合することを特徴とするスチレン系樹脂の製造方
法に関する。
【0007】本発明においてマトリックス相を形成する
スチレン系単量体とアクリル系単量体との共重合体
(A)は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸アル
キルエステルとを、重量基準で前者/後者=95/5〜
50/50となる割合で共重合したものである。ここ
で、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが50重量%
を越える場合には、組成物の流動性が低下し、金型面の
転写性が悪くなることから成形品光沢が著しく低下す
る。また、5重量%未満の場合には、成形品の衝撃強度
や剛性が低下する。
【0008】また、前記特開平4−180907号公報
に記載の樹脂組成物の如く、マトリックス中のアクリル
酸アルキルエステル量が40〜70重量%といったアク
リル成分量の多いものは、成形品を再度溶融後ポリスチ
レンなどに配合して再利用すること、即ち、リサイクル
ができないといった実用上大きな欠点を有する他、溶剤
に対して侵食を受け易く、例えば、成形品に印刷を施し
た場合に、インキの溶媒の侵食を受けて割れが生じやす
い、という所謂、耐薬品性に劣るという欠点を有してい
た。
【0009】従って、成形品の光沢、衝撃強度及び剛性
という本発明の性能を保持し乍ら、回収品をポリスチレ
ンへ配合するようなリサイクル使用が可能になる点、ま
た、耐薬品性が良好となる点から共重合体(A)は、ス
チレン系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル
とを、重量基準で前者/後者=95/5〜81/19と
なる割合で共重合したものが好ましい。
【0010】ここで、スチレン系単量体としては、例え
ばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレ
ン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチル
スチレン、イソブチルスチレン、ターシャリーブチルス
チレン、o−ブロムスチレン、m−ブロムスチレン、p
−ブロムスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロス
チレン、p−クロロスチレン等が挙げられ、なかでもス
チレンが好ましい。
【0011】また、(メタ)アクリル酸アルキルは、本
発明のゴム変性共重合樹脂に面衝撃強度と、剛性とを付
与する必須成分であり、具体的には、(メタ)アクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリ
ル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸−iso-ブチル、(メタ)アクリル酸2−
エチルヘキシル等が挙げられるが、特にコストと、面衝
撃強度及び剛性等の性能の点でメタアクリル酸メチルが
好ましい。また、これらの(メタ)アクリル酸アルキル
はそれぞれ単独で使用してもよいし、また、2種以上を
併用してもよいが、特に光沢の点からメタアクリル酸メ
チルと(メタ)アクリル酸−n−ブチルとを併用するこ
とが好ましい。この際、(メタ)アクリル酸−n−ブチ
ルの使用量は、特に制限されないが、原料単量体全重量
100部に対して、1〜8重量部、なかでも2〜5重量
部であることが好ましい。
【0012】また、マトリックスを形成する共重合体
(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で更にその他
の共重合可能な単量体としては、例えば(メタ)アクリ
ロニトリル等のビニル−シアン化合物類;(メタ)アク
リル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン
酸、桂皮酸等の重合性不飽和脂肪酸;N−メチルマレイ
ミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、
N−オクチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド、N−p−ブロモフェニル
マレイミド、N−o−クロルフェニルマレイミド、N−
シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類;無水マレ
イン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等に代表さ
れる不飽和カルボン酸無水物類;アリルアミン、(メ
タ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸−ア
ミノプロピル等のアミノ基含有不飽和化合物類;アクリ
ルアミド、N−メチルアクリルアミド等アクリルアミド
系化合物が挙げられる。このその他の共重合可能な単量
体の使用割合は特に制限されるものではないが、共重合
体(A)を形成する全単量体成分中5重量%以下となる
割合であることが好ましい。
【0013】次に、前記マトリックス中に分散するゴム
粒子(B)は、ジエン系ゴム質重合体にスチレン系単量
体とアクリル系単量体とがグラフト共重合したグラフト
共重合体であり、散乱式粒度分布測定装置で測定される
組成物中の体積基準のメジアン径が0.5〜0.9μm
の範囲であることを特徴としており、また、組成物全体
として[25℃でのトルエン不溶分含有率/25℃での
トルエン膨潤指数]の値が1.2〜2.5なる範囲にあ
ることを特徴としている。
【0014】即ち、散乱式粒度分布測定装置で測定され
るゴム粒子(B)の体積基準のメジアン径が0.5〜
0.9μmの範囲にあることにより、成形品光沢が非常
に優れたものとなる。また、通常、この様に分散粒子径
が小さく成る場合は、グラフトポリマーの架橋体含量が
低下し、組成物中の[25℃でのトルエン不溶分含有率
/25℃でのトルエン膨潤指数]の値は1.0未満とな
るが、本発明においては、この値が1.2〜2.5なる
範囲となることにより成形品の剛性や衝撃強度、とりわ
け面衝撃強度が飛躍的に向上する。
【0015】ここで、「25℃でのトルエン不溶分含有
率」とは、試料1gを精秤し、トルエン100mlに2
5℃で24時間かけて溶解させた後、膨潤した不溶分を
取り出し乾燥、得られた乾燥樹脂の重量を前記試料に対
する百分率で示した値であり、本発明においては13〜
20重量%であることが好ましい。
【0016】また、「25℃でのトルエン膨潤指数」と
は、試料1gを精秤し、トルエン100mlに25℃で
24時間かけて溶解させた後、膨潤した不溶分を取り出
し、この不溶分の重量測定、次いで、この不溶分を乾燥
し、不溶分重量を乾燥樹脂重量で割った値であり、本発
明においては10〜15重量%であることが好ましい。
【0017】本発明においては、前記した通り組成物中
の[25℃でのトルエン不溶分含有率/25℃でのトル
エン膨潤指数]の値が、1.2〜2.5なる範囲にある
が、1.2を下回る場合には、剛性、衝撃強度は低いも
のとなり、また、2.5を上回る場合には、剛性は良好
となるものの面衝撃強度に劣ったものとなる。本発明に
おいては、更に面衝撃強度及びアイゾット衝撃強度がよ
り一層良好となる点から1.2〜2.0なる範囲である
ことが好ましい。
【0018】また、分散粒子たるゴム粒子(B)は、ジ
エン系ゴム質重合体にスチレン系単量体とアクリル系単
量体とがグラフト共重合したものであり、ここでジエン
系ゴム質重合体としては、特に制限されるものではない
が、ポリブタジエン、ローシスポリブタジエン、及びハ
イシスポリブタジエン等のジエン系単量体の単独重合
体、或いは、スチレン系単量体とジエン系単量体との共
重合体が挙げられるが、以下に詳述するように本発明に
おいては、ジエン系単量体の単独重合体(b1)、又は
スチレン構造単位を重量基準で15%以下となる割合で
有するスチレン系単量体とジエン系単量体との共重合体
(b2)と、スチレン構造単位を重量基準で20〜50
%となる割合で有するスチレン系単量体とジエン系単量
体との共重合体(b3)とを併用してグラフト共重合に
供することが好ましい。
【0019】本発明で用いるゴム質重合体(b1)は、
既述の通りジエン系単量体の単独重合体であり、例えば
ポリブタジエンがあり、ローシスポリブタジエンやハイ
シスポリブタジエンが挙げられる。また、スチレン構造
単位を重量基準で15%以下となる割合で有するスチレ
ン系単量体とジエン系単量体との共重合体(b2)とし
ては、ブロック結合でもランダム結合でも良い。ここ
で、スチレン系単量体とジエン系単量体との共重合ゴム
を構成するスチレン系単量体としては、例えばスチレ
ン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、
イソブチルスチレン、ターシャリーブチルスチレン、o
−ブロムスチレン、m−ブロムスチレン、p−ブロムス
チレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p
−クロロスチレン等が挙げられるが、中でもスチレンが
ジエン系モノマーとの反応性に優れる点から好ましい。
【0020】一方、上記スチレン系単量体と反応させる
ジエン系単量体としては、ブタジエン、クロロプレン、
イソプレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられるが、
中でもブタジエンがスチレン系モノマーとの反応性に優
れる点から好ましい。
【0021】従って、共重合体(b2)としては、スチ
レン構造単位を重量基準で15%以下の範囲で含有する
スチレン−ブタジエン共重合ゴムが好ましい。
【0022】上記重合体(b1)又は共重合体(b2)
は、ジエン系単量体に基づく不飽和結合のうちの1,2
−ビニル結合の割合が8〜35重量%のものが、ゴム変
性共重合樹脂中のトルエン不溶分含有率が上昇し、更
に、製造時の高温下での架橋の進行を抑制でき、グラフ
ト化率と架橋の程度とのバランスが良好となってゴム弾
性が向上するため、好ましい。
【0023】また、重合体(b1)又は共重合体(b
2)は、5重量%スチレン溶液粘度が30〜50センチ
ポイズのものが耐衝撃性の向上効果が大きく、かつ製造
に際してゴム粒子径のコントロールが容易な点で好まし
く、特に25℃での5重量%スチレン溶液粘度が30〜
45センチポイズで、かつ100℃でのLローター使用
によるムーニー粘度が20〜80のものが好ましい。
【0024】次に、上記重合体(b1)又は共重合体
(b2)と併用する、共重合体(b3)とはスチレン構
造単位を重量基準で20〜50%となる割合で有するス
チレン系単量体とジエン系単量体との共重合体である。
共重合体の結合様式はブロック結合かテーパードブロッ
ク結合であることが好ましい。
【0025】上記共重合体(b3)は、ジエン系単量体
に基づく不飽和結合のうちの1,2−ビニル結合の割合
が8〜35重量%のものが、ゴム変性共重合樹脂中のト
ルエン不溶分含有率が上昇し、更に、製造時の高温下で
の架橋の進行を抑制でき、グラフト化率と架橋の程度と
のバランスが良好となってゴム弾性が向上するために耐
衝撃性が著しく向上する点から好ましい。この場合、
1,2−ビニル結合の残りはシスおよびトランス結合を
形成している。
【0026】更に、本発明で用いる共重合体(b3)
は、5重量%スチレン溶液粘度が5〜50センチポイズ
のものが耐衝撃性の向上効果が大きく、かつ製造に際し
てゴム粒子径のコントロールが容易な点で好ましく、特
に25℃での5重量%スチレン溶液粘度が8〜40セン
チポイズで、かつ100℃でのLローター使用によるム
ーニー粘度が20〜80のものが好ましい。
【0027】以上、詳述したゴム質重合体(b1)又は
共重合体(b2)及び共重合体(b3)は、スチレン系
単量体(a1)及び(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル(a2)に溶解させた後、これらをグラフト共重合す
ることによりゴム粒子(B)が形成される。
【0028】この、マトリックス中に存在するゴム粒子
(B)の形状は、特に制限されるものではないが、ゴム
粒子の内部構造は所謂「サラミ構造」の形態をとること
が衝撃強度、特に面衝撃強度の点から好ましい。
【0029】更に具体的には、組成物中のゴム粒子
(B)の分散状態としては、サラミ構造を有するゴム粒
子(B1)とコアシェル構造を有するゴム粒子(B2)
が共存しており、かつ、透過型電子顕微鏡写真(100
00倍)で粒子1000個を観察した場合のゴム粒子
(B1)とゴム粒子(B2)との存在比が(B1)/
(B2)=70/30〜95/5なる割合であることが
光沢と面衝撃強度とのバランスが良好となり好ましい。
即ち、本発明においては、粒径が小さいにも係わらず、
大部分のゴム粒子がサラミ構造を有することから光沢を
おとさず面衝撃強度に優れた成形品が得られる。また、
サラミ構造を有するゴム粒子(B1)の他のゴム粒子
(B)がコアシェル構造を有するゴム粒子(B2)であ
ることから成形品の光沢はより優れたものとなる。
【0030】また、組成物中のゴム粒子(B)は、前記
した通り、散乱式粒度分布測定装置で測定される組成物
中の体積基準のメジアン径が0.5〜0.9μmの範囲
であるが、この際粒度分布は、1ピークを示すことが光
沢と面衝撃強度の点から好ましい。即ち、本発明では、
重合体(b1)又は共重合体(b2)及び共重合体(b
3)は、スチレン系単量体(a1)及び(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル(a2)に溶解させた後、これら
を共重合させることにより、ゴム質を2種併用しても得
られるゴム粒子(B)の粒度分布は1ピークとなり、そ
れにより光沢と剛性及び面衝撃強度とのバランスをとる
ことができる。
【0031】また、本発明におけるゴム粒子(B)は、
グラフト共重合の原料成分として、上記各成分のみなら
ず、その他の共重合可能な単量体も本発明の効果を損な
わない範囲で併用し得る。
【0032】ここで用いるその他の共重合可能な単量体
としては、例えば(メタ)アクリロニトリル等のビニル
−シアン化合物類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、
マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、桂皮酸等の重合性
不飽和脂肪酸;N−メチルマレイミド、N−エチルマレ
イミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミ
ド、N−イソプロピルマレイミド、N−フェニルマレイ
ミド、N−p−ブロモフェニルマレイミド、N−o−ク
ロルフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド等のマレイミド類;無水マレイン酸、無水イタコン
酸、無水シトラコン酸等に代表される不飽和カルボン酸
無水物類;アリルアミン、(メタ)アクリル酸アミノエ
チル、(メタ)アクリル酸−アミノプロピル等のアミノ
基含有不飽和化合物類;アクリルアミド、N−メチルア
クリルアミド等アクリルアミド系化合物が挙げられる。
【0033】本発明の組成物を製造する方法としては、
既述の通り、ジエン系ゴム質重合体、スチレン系単量体
(a1)、アクリル系単量体(a2)、及び必要に応じ
てその他の共重合可能なモノマーとを塊状−懸濁重合、
溶液重合又は塊状重合によりグラフト共重合させればよ
いが、なかでも連続塊状重合が生産性とコスト面から好
ましい。
【0034】また、重合体(b1)又は共重合体(b
2)及び共重合体(b3)を、スチレン系単量体(a
1)及びアクリル系単量体(a2)に相溶化させ、次い
で、これらをグラフト共重合させる具体的方法として
は、以下に詳述する本発明の製造方法によることが好ま
しい。
【0035】即ち、ジエン系単量体の単独重合体(b
1)又はスチレン構造単位を重量基準で15%以下とな
る割合で有するスチレン系単量体とジエン系単量体との
共重合体(b2)と、スチレン構造単位を重量基準で2
0〜50%となる割合で有するスチレン系単量体とジエ
ン系単量体との共重合体(b3)と、スチレン系単量体
(a1)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a
2)との混合溶液を、可動部分のない複数のミキシング
エレメントが内部に固定されている管状反応器を組み込
んでなる連続塊状重合ライン内で連続塊状重合すること
が、ゴム粒子(B)の粒径を均一にかつ小さくできる点
から好ましい。
【0036】ここで、ゴム質重合体(b1)又は共重合
体(b2)と、共重合体(b3)との使用比率は、重量
基準で[(b1)又は(b2)]/(b3)=95/5
〜60/40であることが、最終的に得られるゴム粒子
(B)の粒子径と形状の調整が容易となる点、即ち、ゴ
ム粒子(B)中のサラミ構造体含有率を高めながらも平
均粒子径を小さくでき、結果、本発明の目的とする光沢
と剛性及び面衝撃強度を兼備させることができる。ま
た、重合体(b1)又は共重合体(b2)と、共重合体
(b3)との合計重量中のスチレン含有量は、8〜20
重量%となる範囲であることが光沢と面衝撃強度とのバ
ランスが良好となる点から好ましい。
【0037】重合体(b1)又は共重合体(b2)と、
共重合体(b3)とを、スチレン系単量体(a1)及び
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)に相溶化
させた後、グラフト共重合させる際の各成分の使用割合
は、特に限定されるものではないが、通常(b’)/
[(a1)+(a2)]の重量比が3/97〜16/8
4であり、また、スチレン系単量体(a1)と(メタ)
アクリル酸アルキルエステル(a2)とを、重量基準で
(a1)/(a2)=95/5〜50/50、好ましく
は95/5〜81/19となる割合で使用することが、
本発明の効果が顕著なものとなり好ましい。
【0038】本発明の製造方法を更に詳述すれば、重合
体(b1)又は共重合体(b2)と、共重合体(b3)
と、スチレン系単量体(a1)と、(メタ)アクリル酸
アルキルエステル(a2)とを、上記使用割合に従っ
て、各原料成分を溶解させた後、1個以上の攪拌式反応
器で重合させた後、静的ミキシングエレメントを有する
管状反応器に導入することが、得られる組成物の均一性
や、グラフトゴム粒子の粒径を前記した範囲に調整し易
い点から好ましい。
【0039】また、静的ミキシングエレメントを有する
管状反応器、即ち、可動部分のない複数のミキシングエ
レメントが内部に固定されている管状反応器を組み込ん
でなる連続塊状重合ラインとしては、 a.撹拌式反応器と、 b.撹拌式反応器から続き可動部分の全くない複数のミキ
シングエレメントが内部に固定されている1個以上の管
状反応器からなる初期重合ラインと、 c.初期重合ラインから続き可動部分の全くない複数のミ
キシングエレメントが内部に固定されている1個以上の
管状反応器からなる主重合ラインと、 d.初期重合ラインと主重合ラインとの間で分枝して初期
重合ライン内に戻る還流ライン とによって構成される重合ラインであることが好まし
い。
【0040】以下に、この連続塊状重合ラインを用いて
のゴム変性共重合樹脂の製法の一例を図1により説明す
る。
【0041】図1は、静的ミキシングエレメントを有す
る管状反応器を組み込んだ連続塊状重合ラインの一例を
示す工程図である。
【0042】プランジャーポンプ(1)によって供給さ
れる重合体(b1)又は共重合体(b2)と、共重合体
(b3)と、スチレン系単量体(a1)と、(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル(a2)とを必須成分として
含む混合溶液は、まず攪拌式反応器(2)へ送り、攪拌
下で初期グラフト重合させた後、ギアポンプ(3)によ
り、静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(4),(5)および(6)とギアポンプ(7)とを有
する循環重合ライン(I)に送る。
【0043】尚、攪拌式反応器(2)での初期グラフト
重合と循環重合ライン(I)と組み合わせることで、ゴ
ム粒子に余分な剪断が加わらずゴム粒子のより効率的な
微細化が可能となり、重合工程でのポリマー組成を均一
化出来る点で好ましい。この場合の初期グラフト重合
は、スチレン系単量体(a1)と(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル(a2)の合計の重合転化率が、該反応
器(2)の出口において10〜28重量%、好ましくは
14〜24重量%となる様に実施される。また攪拌式反
応器(2)としては、例えば攪拌式槽型反応器、攪拌式
塔型反応器等が挙げられ、攪拌翼としては、例えばアン
カー型、タービン型、スクリュー型、ダブルヘリカル型
等の攪拌翼が挙げられる。
【0044】本発明では、反応器での上記混合溶液の粘
性を低下させる為に溶剤を使用してもよく、その使用量
は原料モノマーの合計100重量部に対して5〜20重
量部である。溶剤の種類としては、通常、塊状重合法で
使用されているトルエン、エチルベンゼン、キシレン等
が適している。
【0045】また、本発明では、上記混合溶液中にゴム
変性共重合樹脂の分子量調節のために連鎖移動剤を添加
すると好ましい。該連鎖移動剤の添加量は、通常原料モ
ノマーの合計に100重量部に対して0.005〜0.
5重量部の範囲である。上記の様に動的攪拌下に初期グ
ラフト重合された混合溶液は、次いで循環重合ライン
(I)内を循環しながらグラフト重合されると共に、そ
の一部は連続的に静的ミキシングエレメントを有する管
状反応器(8)、(9)および(10)が直列に組み込
まれた非循環重合ライン(II)に送られる。
【0046】循環重合ライン(I)内での混合溶液中の
ゴム粒子は、該循環重合ライン(I)内を循環しながら
静的に混合されて安定化し、粒子径も固定化してくる。
この場合、該循環重合ライン(I)での混合溶液の還流
比(R)と(a1)及び(a2)の合計の重合転化率が
重要な因子となる。還流比Rは、非循環重合ライン(I
I)に流出せずに循環重合ライン(I)内を還流する混
合溶液の流量をF1 (リットル /時間)とし、循環重
合ライン(I)から非循環重合ライン(II)に流出する
混合溶液の流量F2 (リットル/時間)とした場合、通
常R=F1 /F2が3〜15の範囲であり、なかでも管
状反応器での圧力損失が小さく、生成するゴム質重合体
粒子が安定で、粒径を小さくすることができ、かつゴム
変性共重合樹脂中のスチレン系単量体(a1)と(メ
タ)アクリル酸アルキル(a2)の含有比率を一定に保
つことができる点でR=5〜10の範囲が特に好まし
い。
【0047】また、該循環重合ライン(I)でのグラフ
ト重合は、該循環重合ライン(I)出口での(a1)と
(a2)の合計の重合転化率が、通常35〜55重量
%、好ましくは40〜50重量%になる様に重合させ
る。重合温度としては120〜135℃が適している。
【0048】循環重合ライン(I)でグラフト重合され
た混合溶液は、次いで非循環重合ライン(II)に供給さ
れ、通常140〜160℃の重合温度でスチレン系単量
体(a1)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a
2)の合計の転化率が60〜85重量%となるまで連続
的にグラフト重合される。
【0049】次に、この混合溶液はキアポンプ(11)
により予熱器、次いで脱揮発槽に送られ、減圧下にて未
反応単量体および溶剤を除去した後、ペレット化するこ
とにより目的とするゴム変性共重合樹脂が得られる。こ
の際、予熱器および脱揮発槽内での転化率の上昇が7重
量%以下になる条件で予熱および脱揮発を行うと好まし
い。
【0050】本発明で用いる静的ミキシングエレメント
を有する管状反応器の内部に固定されている複数のミキ
シングエレメントとしては、例えば管内に流入した重合
液の流れの分割と流れ方向を変え、分割と合流を繰り返
すことにより重合液を混合するものが挙げられる。この
ような管状反応器としては、例えば、SMX型、SMR
型のスルザー式の管状ミキサー、ケニックス式のスタテ
ィックミキサー、東レ式の管状ミキサー等が挙げられる
が、特にSMX型、SMR型のスルザー式の管状ミキサ
ーが好ましい。
【0051】循環重合ライン(I)や非循環重合ライン
(II)に組み込まれるこれらの管状反応器の数は、上記
の如き管状反応器の場合、その長さやミキシングエレメ
ントの構造等による異なるので特に限定されないが、ミ
キシングエレメントを4個以上有する該管状反応器を4
〜15個、好ましくは6〜10個組み合せて用いる。こ
のうち循環重合ライン(I)内に組み込む該管状反応器
の数は、通常1〜10個、好ましくは2〜6個である。
【0052】本発明で原料として用いる混合溶液には、
必要に応じて重合開始剤として分解した際にフリーラジ
カルを放出する有機過酸化物を添加すると、比較的低い
温度でのグラフト化と反応の促進が行えるので好まし
い。その添加量は原料モノマーの合計100重量部に対
して0.005〜0.04重量部の範囲である。
【0053】ここで用いる有機過酸化物としては、半減
期が10時間になる温度が75〜170℃のものが好ま
しく、その具体例としては 1,1−ジ−t−ブチルパーオ
キシシクロヘキサン、1,1-ジ−t−ブチルパーオキシ−
3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ−t−ブチル
パーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,
4−ジ゛−t−ブチルパ−オキシシクロヘキシル)プロパ
ン、2,2-ジ−t−ブチルパーオキシオクタン、n−ブチ
ル−4,4-ジ−t−ブチルパーオキシバレレート、2,2-ジ
−t−ブチルパーオキシブタン等のパーオキシケタール
類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパー
オキシ−3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t−ブチル
パーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート、t−ブチルパーオキメタトルエ−ト、ジ−t−ブ
チルジパーオキシイソフタレート、2,5-ジメチル−2,5-
ジベンゾイルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキ
シマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカー
ボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジークミル
パーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、
クメンハイドロパーオキサイド等のパーオキシエステル
類等が挙げられ、単独あるいは2種以上組み合せて用い
られる。
【0054】この様にして得られるスチレン系樹脂組成
物は、既述の通り、25℃でのトルエン不溶分含有率が
13〜20重量%、25℃でのトルエン膨潤指数が10
〜15であることが好ましく、また、その比率[25℃
でのトルエン不溶分含有率/25℃でのトルエン膨潤指
数]の値は1.2〜2.5である。
【0055】また、該樹脂中のマトリックス相である
(a1)と(a2)との共重合体は、重量平均分子量
(Mw)が14万〜20万で、かつ重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.8〜
2.5のものが好ましく、なかでも重量平均分子量(M
w)が16〜18万のもの耐衝撃性、剛性及び耐薬品性
に優れる点から特に好ましい。
【0056】本発明の組成物には、上記した共重合体
(A)とゴム粒子(B)に加え、更に、シリコーンオイ
ルを併用することにより、成形品の光沢を一層向上させ
ることができる。シリコーンオイルとしては、特に限定
されるものではないが、ポリジメチルシロキサン、ポリ
メチルフェニルシロキサン等が挙げられる。該シリコー
ンオイルを配合する方法としては、特に制限されない
が、重合体(b1)又は共重合体(b2)と、共重合体
(b3)と、スチレン系単量体(a1)と、アクリル酸
アルキルエステル(a2)とを含有する原料混合溶液に
溶解せしめ、詳述したグラフト共重合を行う方法が好ま
しい。
【0057】また、剛性並びに面衝撃性を損なわない範
囲で、共重合体(A)とゴム粒子(B)に加え、更に、
スチレン構造単位を重量基準で30〜50%となる割合
で有するスチレン系単量体とジエン系単量体との熱可塑
性ブロック共重合体(C)を含有させることにより、特
に共押出しシートやフィルム等の用途における衝撃強度
を向上させることができる。この共重合体(C)を構成
する、スチレン系単量体およびジエン系単量体は、前記
した(b1)〜(b3)にて例示したものが何れも使用
できる。配合方法としては、前記シリコーンオイルの場
合と同様、重合原料の混合溶液に溶解せしめ、前記重合
を行う方法、又は共重合体(A)とゴム粒子(B)との
組成物を製造した後、押出機で溶融混練する方法がある
が、後者の押出機で溶融混練する方法が、共重合体
(C)の配合量の調節が容易である点から好ましい。
【0058】また、本発明においては、共重合体(A)
とゴム粒子(B)に加え、更に、イソパラフィン系重合
体を併用させることにより、可塑性を付与すると共に、
成形品の剛性及び耐油性を高められる他、成形品の光沢
を飛躍的に向上させることができる。
【0059】イソパラフィン系重合体は、特に限定され
るものではないが、イソブテン、イソペンテン、イソヘ
キセン、イソヘプテン、イソオクテン等に代表されるイ
ソオレフィンを主たる成分とする原料成分の重合体、こ
れらイソオレフィンの2種上の共重合体、これらイソオ
レフィンとその他のオレフィンとの共重合体又はその変
性物等が挙げられ、その具体的構造は、イソアルキレン
単位を繰り返し単位とする構造を主構造とするもの、イ
ソアルキレンと1−アルケンと2−アルケンとの共重合
体、又はイソアルキレン単位を繰り返し単位とする構造
のマレイン酸変性体若しくは5硫化燐変性体等が挙げら
れる。
【0060】これらのイソオレフィン系重合体の中でも
特に耐油性、可塑化の効果の点からイソブチレンと1−
ブテンと2−ブテンとの共重合体、又はポリイソブチレ
ンが好ましい。また、前者の共重合においては、通常、
原料イソブチレン中に、イソブチレンの他、1−ブテ
ン、2−ブテン等のモノマーをも含有する為、これらを
重合して得られる液状で粘性のある液体として用いても
よい。
【0061】また、得られるイソパラフィン系重合体
は、分子内の不飽和結合を水素添加しないもの、又は水
素添加したものでも良い。また、イソオレフィンの重合
体の変性物を得るには、当該イソオレフィンを、マレイ
ン酸、5硫化燐等の不飽和結合含有単量体と共に重合さ
せるか、イソオレフィンを重合させた後、ポリマー中に
存在する不飽和結合に、前記不飽和結合単量体を反応さ
せればよい。
【0062】イソパラフィン系重合体の配合方法は、他
の配合成分と同様、重合原料溶液中に溶解させて、重合
を行う方法が好ましい。
【0063】これらのイソパラフィン系重合体は、特に
分子量等については制限されるものではないが、通常、
BM型粘度計による粘度が20〜10,000cps
(38℃)であることが好ましく、なかでも50〜3,
000cpsの範囲が樹脂(A)と混合する時の混合分
散性、或いは(a1)〜(a3)の各成分との相溶性に
優れ、更に衝撃強度、成形品の光沢や伸びの点からも好
ましい。また、同様の理由から平均分子量200〜3,
000であることが好ましい。
【0064】さらに、本発明の組成物には、必要に応じ
て、ミネラルオイル等の可塑剤、酸化防止剤、連鎖移動
剤、長鎖脂肪酸、そのエステルもしくはその金属塩等の
離型剤、などの如き公知の添加剤を併用しても良い。こ
れらの配合方法は、前記した各配合成分と同様、重合原
料溶液中に溶解させて、重合を行う方法が好ましい。
【0065】このようにして得られる本発明のスチレン
系樹脂組成物は、さらに通常用いられる酸化防止剤、可
塑剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡
剤、補強材等を配合することが出来る。
【0066】具体例としては、例えばミネラルオイル、
エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、有機ポリシ
ロキサン、高級脂肪酸及びその金属塩、ヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤、ガラス繊維等が挙げられ、それぞ
れ単独又は併用して用いることが出来る。また、耐候性
向上用に通常用いられている添加剤の具体例としては、
チヌビンP、チヌビン327(日本チバガイギー
(株))などに代表されるベンゾトリアゾール系やベン
ゾフェノン系の紫外線吸収剤、スミライザ−GMまたは
GS(住友化学工業(株))、イルガノックス1076
(日本チバガイギー(株))に代表されるヒンダードフ
ェノール系の酸化防止剤、サノールLSー770に代表
されるヒンダードアミン系の光安定剤、トリスノニルフ
ェニルホスファイトに代表されるリン系酸化防止剤、ジ
ミリスチルチオジプロピオネートに代表される有機イオ
ウ系酸化防止剤などが挙げられる。
【0067】また、本発明のスチレン系樹脂組成物は、
射出成形、シートやフィルム成形品に適した単軸押出成
形、二軸延伸押出成形、インフレ−ション押出成形、異
形押出成形、真空成形、圧空成形、吹込成形などの成形
方法により各種成形品にして使用することが出来る。そ
の用途は広範なものに及び、例えば冷蔵庫の内装材料、
テレビやエヤコンのハウジング、クリーナーボックス、
などの家庭電気・器具類の部品;複写機、プリンター、
ファクシミリ、パソコンなどのOA機器の各種部品;食
品容器;医療器具類の部品;食品のシート包装容器等と
して用いられる。
【0068】更に本発明のスチレン系樹脂組成物には、
必要に応じてポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン
樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、スチレン−メタクリル酸
メチル共重合樹脂、ゴム変性スチレン−メタクリル酸メ
チル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−無
水マレイン酸共重合樹脂、スチレン−(メタ)アクリル
酸共重合樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂、塩化ビニル樹脂
等の熱可塑性樹脂を適宜添加することもできる。これら
のなかでも、特にポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチ
レン樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂、
ゴム変性スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂が、
本発明のゴム変性共重合樹脂との相溶性に優れる点から
好ましい。
【0069】また、本発明のスチレン系樹脂組成物は、
ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、スチレ
ン−メタクリル酸メチル共重合樹脂、ゴム変性スチレン
−メタクリル酸メチル共重合樹脂に対する相溶性が良好
である為、本発明のゴム変性共重合樹脂の成形加工時に
発生するランナー部分やスケルトン部分のリサイクルに
好適である。更に、その他の用途として、ゴム変性ポリ
スチレン樹脂及びゴム変性スチレン−メタクリル酸メチ
ル共重合樹脂のブレンド物に本発明の樹脂組成物を添加
することで相溶化剤として働き、ブレンド物の物性低下
を防止することもできる。
【0070】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を更に具体的に
説明する。ただし、例中の部はすべて重量部を、また%
はすべて重量%を示す。
【0071】尚、前記ゴム質重合体の平均粒子径、分散
ゴム粒子の形状、トルエン不溶分含有率とトルエンによ
る膨潤指数の測定方法、及び物性評価方法を以下に記
す。
【0072】1.樹脂中のゴム質重合体の平均粒子径 分散媒としてDMFを用い、散乱式粒度分布測定装置で
測定される組成物中の体積基準のメジアン径を測定し
た。 2.樹脂中のゴム質重合体の形状 樹脂の超薄切片法による透過型電子顕微鏡写真(100
00倍)をとり、写真中の粒子1000個について分散ゴム
の形状を観察し、サラミ構造のものの数とコアシェル構
造のものの数とを求めた。
【0073】3.トルエン不溶分含有率およびトルエン
による膨潤指数 スチレン系樹脂組成物1gを精秤し、トルエン100 m
l に25℃で24時間かけて溶解させた後、溶解液を遠
心管に移し、10℃以下、12000rpm で30分間遠心分
離を行ない、上澄液をデカンテーションにより除いた
後、トルエンで膨潤した不溶分の重さを測定する。次に
60℃の真空乾燥器で24時間乾燥させ、得られたトル
エン不溶分の重さを測定し、以下の式によりトルエン不
溶分含有率を算出する。
【0074】
【式2】トルエン不溶分含有率=[乾燥後のトルエン不
溶分の重さ/スチレン系樹脂組成物の重さ]×100(重
量%) また、膨潤指数は次式により算出する。
【0075】
【式3】膨潤指数=膨潤したトルエン不溶分の重さ/乾
燥後のトルエン不溶分の重さ
【0076】4.流動性 JIS K-7210に準拠してMFRの値を測定した。
【0077】5.アイゾット衝撃値 JIS K-6871に準拠しノッチ付きを測定した。また、実用
強度の評価として、幅が3.2mmの試験片を用いて、
ノッチ部の対称平面を試験片支持台の上面に一致させ、
なおかつ衝撃方向の裏側にノッチ部がくるように試験片
を支持台に取り付けて逆ノッチを測定した。 6.面衝撃強度 30mm単軸押出機にて0.4mm厚のシートを作成
し、JIS K-7211に準拠しデュポン衝撃強度を測定した。
【0078】7.曲げ強さ及び曲げ弾性率 JIS K-7113に準拠し試験速度を毎分50mmとしてその
値を求めた。但し、試験片はJIS K-6732記載の引張試験
片を用いた。 8.光沢 ダンベル試験片を射出成形により製作し、その試験片の
ゲート部側の平面と末端部側の平面の光沢を JIS Z-874
1(入射角60度)に準拠して測定した。
【0079】9.成形品の耐薬品性試験 JIS 1号ダンベル(厚み3mm、全長175mm)の表
面に、酢酸エチル及びIPAを主成分とするグラビアイ
ンキを塗布した。この試験片の片端を固定し、逆の片端
に200gの分銅を吊るして、23℃、50%湿度下で
一定時間放置後の試験片を外観観察し、以下の基準に従
って評価した。
【0080】 ○:試験片に発生したクラックの数 0〜15 △:試験片に発生したクラックの数 16〜40 ×:試験片が破断
【0081】実施例1 本実施例では図1に示すように配列された装置を用い
た。スチレン、メタクリル酸メチル、ゴム質重合体およ
び溶媒を含む混合溶液を、プランジャーポンプ(1)に
よって20リットルの攪拌式反応器(2)へ送り、攪拌
翼による動的混合下に初期グラフト重合した。次いでこ
の混合溶液をギアポンプ(3)によって循環重合ライン
(I)に送る。循環重合ライン(I)は入口から順に内
径2.5インチ管状反応器(スイス国ゲブリューダー・ズ
ルツァー社製SMX型スタティックミキサー・静的ミキ
シングエレメント30個内蔵)(4)、(5)および
(6)と混合溶液を循環させるためのギアポンプ(7)
から構成されている。管状反応器(6)とギアポンプ
(7)の間には非循環重合ライン(II)に続く出口が設
けられている。非循環重合ライン(II)には入口から順
に上記と同様の管状反応器(8)、(9)および(1
0)とギアポンプ(11)が直列に連結されている。
【0082】スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔25℃に
おける5%スチレン溶液粘度(以下、5%SVと略
す):32センチポイズ、スチレン/ブタジエン重量
比:5/95〕6.4部、スチレン−ブタジエン共重合ゴム
〔5%SV:10センチポイズ、スチレン/ブタジエン
重量比:38/62 〕1.6部、スチレン85部、メタクリ
ル酸メチル15部およびエチルベンゼン10部から成る
混合溶液を調製し、さらに、連鎖移動剤として単量体混
合物100部に対して0.02部のn−ドデシルメルカ
プタンおよび有機過酸化物として単量体混合物100部
に対して0.025部のt−ブチルパーオキシイソプロ
ピルカーボネート、1.5部のミネラルオイル(島貿易
社製、S-250)を加え、上記装置を用いて以下の条件下
で連続的に塊状重合させた。
【0083】 混合溶液の連続的な供給量:10リットル/時間 攪拌式反応器(2)での反応温度:120℃ 循環重合ライン(I)での反応温度:135℃ 非循環重合ライン(II)での反応温度:140〜160
℃ 還流比 :R=F1/F2=5 重合させて得られた混合溶液を熱交換器で225 ℃ま
で加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分を除去した
後、ペレット化して本発明のスチレン系樹脂組成物を得
た。
【0084】このようにして得られたゴム変性共重合樹
脂組成物を射出成形して試験片を作成し、各種物性を測
定した。該樹脂の分析データおよび物性の測定結果を第
1表に示す。
【0085】尚、実施例1で得られたスチレン系樹脂組
成物の超薄切片法による透過型電子顕微鏡写真(100
00倍)を図2に示す。
【0086】実施例2 スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:32セン
チポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:5/95 〕6.
4部、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム〔5%
SV:32センチポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:
40/60 〕1.6部、スチレン85部、メタクリル酸メチル
15部およびエチルベンゼン10部から成る混合溶液を
用いた以外は実施例1と同様にして本発明のスチレン系
樹脂組成物を得た。実施例1と同様にして射出成形品を
作成し各種物性を測定した。結果を第1表に示す。
【0087】実施例3 ローシスポリブタジエン〔 5%SV:35センチポイズ
〕5.6部、スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%
SV:10センチポイズ、スチレン/ブタジエン重量
比:38/62 〕2.4部、スチレン90部、メタクリル酸
メチル10部およびエチルベンゼン10部から成る混合
溶液を用いた以外は実施例1と同様にして本発明のスチ
レン系樹脂組成物を得た。実施例1と同様にして射出成
形品を作成し各種物性を測定した。結果を第1表に示
す。
【0088】実施例4 スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:32セン
チポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:5/95 〕6.
4部、スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:1
0センチポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:38/62
〕1.6部、スチレン85部、メタクリル酸メチル1
5部およびエチルベンゼン10部から成る混合溶液を調
製し、さらに、連鎖移動剤として単量体混合物100部
に対して0.025部のn−ドデシルメルカプタン、お
よびミネラルオイルにかえて1.5部のイソパラフィン
系共重合体(出光石化製、出光ポリブテン35R)を加
える他は実施例1と同様にして本発明のスチレン系樹脂
組成物を得た。実施例1と同様にして射出成形品を作成
し各種物性を測定した。結果を第1表に示す。
【0089】実施例5 スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:32セン
チポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:5/95 〕6.
4部、スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:1
0センチポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:38/62
〕1.6部、スチレン83部、メタクリル酸メチル1
5部、アクリル酸ブチル2部およびエチルベンゼン10
部から成る混合溶液を調製し、さらに、連鎖移動剤とし
て単量体混合物100部に対して0.025部のn−ド
デシルメルカプタンを加える他は実施例1と同様にして
本発明のスチレン系樹脂組成物を得た。実施例1と同様
にして射出成形品を作成し各種物性を測定した。結果を
第1表に示す。
【0090】実施例6 スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:32セン
チポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:5/95 〕6.
4部、スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:1
0センチポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:38/62
〕1.6部、スチレン65部、メタクリル酸メチル3
0部、アクリル酸ブチル5部およびエチルベンゼン10
部から成る混合溶液を調製し、さらに、連鎖移動剤とし
て単量体混合物100部に対して0.025部のn−ド
デシルメルカプタンを加える他は実施例1と同様にして
本発明のスチレン系樹脂組成物を得た。実施例1と同様
にして射出成形品を作成し各種物性を測定した。結果を
第1表に示す。
【0091】比較例1 ローシスポリブタジエン〔 5%SV:35センチポイ
ズ 〕8部、スチレン92部、及びエチルベンゼン10
部からなる混合溶液を用い、さらに、連鎖移動剤として
単量体混合物100部に対して0.01部のn−ドデシ
ルメルカプタンおよび有機過酸化物として単量体混合物
100部に対して0.02部のt−ブチルパーオキシベ
ンゾエート、1.5部のミネラルオイル(島貿易社製、
S-250)を加え、上記装置を用いて以下の条件下で連続
的に塊状重合させた。
【0092】 混合溶液の連続的な供給量:10リットル/時間 攪拌式反応器(2)での反応温度:130℃ 循環重合ライン(I)での反応温度:135℃ 非循環重合ライン(II)での反応温度:140〜170
℃ 還流比 :R=F1/F2=5 重合させて得られた混合溶液を熱交換器で225 ℃ま
で加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分を除去した
後、ペレット化してゴム変性共重合樹脂組成物を得た。
分析データ及び物性の測定結果を第1表に示す。
【0093】比較例2 スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:10セン
チポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:38/62〕
10部、スチレン85部、メタクリル酸メチル15部、
及びエチルベンゼン12部からなる混合溶液を用いた以
外は、実施例1と同様にしてスチレン系樹脂組成物を得
た。実施例1と同様にして射出成形品を作成し各種物性
を測定した。結果を第1表に示す。
【0094】比較例3 スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:10セン
チポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:38/62〕
10部、スチレン48部、メタクリル酸メチル52部、
及びエチルベンゼン10部からなる混合溶液を用いた以
外は、実施例1と同様にしてスチレン系樹脂組成物を得
た。実施例1と同様にして射出成形品を作成し各種物性
を測定した。尚、光沢の測定については、得られた樹脂
組成物にチタンホワイトを押出機を用い溶融混練し、不
透明な成形品として測定した。結果を第1表に示す。
【0095】比較例4 ローシスポリブタジエン〔5%SV:25センチポイ
ズ〕8部、スチレン92部、及びエチルベンゼン10部
からなる混合溶液を用い、さらに、連鎖移動剤として単
量体混合物100部に対して0.015部のn−ドデシ
ルメルカプタンを用いた以外は比較例1と同様にしてス
チレン系樹脂組成物を得た。比較例1と同様にして射出
成形品を作成し各種物性を測定した。結果を第2表に示
す。
【0096】比較例5 スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:32セン
チポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:5/95〕8
部、スチレン30部、メタクリル酸メチル65部、アク
リル酸ブチル5部、及びエチルベンゼン14部からなる
混合溶液を用い、さらに、連鎖移動剤として単量体混合
物100部に対して0.025部のn−ドデシルメルカ
プタンを用いた以外は実施例1と同様にしてスチレン系
樹脂組成物を得た。実施例1と同様にして射出成形品を
作成し各種物性を測定した。尚、光沢の測定について
は、得られた樹脂組成物にチタンホワイトを押出機を用
い溶融混練し、不透明な成形品として測定した。結果を
第2表に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【発明の効果】本発明によれば、光沢、剛性および面衝
撃強度に優れたスチレン系樹脂組成物を提供できる。特
に、マトリックス中のアクリル成分が少ない場合には、
更に、成形品の光沢、衝撃強度及び剛性という本発明の
性能を保持し乍ら、回収品をポリスチレンへ配合するよ
うなリサイクル使用が可能になる他、成形品の耐薬品性
も著しく良好となる。従って、本発明のスチレン系樹脂
組成物は、各種成形品に好適に使用できるが、特にシー
ト成形品とした場合にはその光沢、耐衝撃性及び剛性が
著しく優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、静的ミキシングエレメントを有する管
状反応器を組み込んだ連続塊状重合ラインの1例を示す
工程図である。
【図2】図2は、実施例1で得られた本発明のスチレン
系樹脂組成物の超薄切片法による透過型電子顕微鏡写真
(10000倍)である。
【符号の説明】
(1):プラジャーポンプ (2):撹拌式反応器 (3):ギヤポンプ (4):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器 (5):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器 (6):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器 (7):ギヤポンプ (8):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器 (9):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器 (10):静的ミキシングエレメントを有する管状反応
器 (11):ギヤポンプ (I):循環重合ライン (II):非循環重合ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 2/02 C08F 2/02 279/06 279/06

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系単量体とアクリル系単量体と
    の共重合体(A)をマトリックス相とし、かつ、ジエン
    系ゴム質重合体にスチレン系単量体とアクリル系単量体
    とがグラフト共重合したゴム粒子(B)を分散粒子とす
    るスチレン系樹脂組成物において、 共重合体(A)が、スチレン系単量体と(メタ)アクリ
    ル酸アルキルエステルとを、重量基準で前者/後者=9
    5/5〜50/50となる割合で共重合したものであっ
    て、 ゴム粒子(B)が、散乱式粒度分布測定装置で測定され
    る組成物中の体積基準のメジアン径が0.5〜0.9μ
    mの範囲であって、かつ組成物の[25℃でのトルエン
    不溶分含有率/25℃でのトルエン膨潤指数]の値が
    1.2〜2.5の範囲であることを特徴とするスチレン
    系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ゴム粒子(B)として、サラミ構造を有
    するゴム粒子(B1)とコアシェル構造を有するゴム粒
    子(B2)が共存しており、かつ、透過型電子顕微鏡写
    真(10000倍)で粒子1000個を観察した場合の
    ゴム粒子(B1)とゴム粒子(B2)との存在比が(B
    1)/(B2)=70/30〜95/5なる割合である
    請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 ゴム粒子(B)が、散乱式粒度分布測定
    装置で測定される体積基準の粒度分布が1ピークを示す
    ものである請求項1又は2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 共重合体(A)が、スチレン系単量体と
    (メタ)アクリル酸アルキルエステルとを、重量基準で
    前者/後者=95/5〜81/19となる割合で共重合
    したものである請求項1、2又は3記載の組成物。
  5. 【請求項5】 共重合体(A)が、重量平均分子量14
    万〜20万のものである請求項4記載の組成物。
  6. 【請求項6】 共重合体(A)、ゴム粒子(B)に加
    え、更にイソパラフィン系重合体を含有する請求項1〜
    5の何れか1つに記載の記載の組成物。
  7. 【請求項7】 共重合体(A)、ゴム粒子(B1)及び
    ゴム粒子(B2)に加え、更にシリコーンオイルを含有
    する請求項1〜6の何れか1つに記載の組成物。
  8. 【請求項8】 共重合体(A)、ゴム粒子(B)に加
    え、更にスチレン構造単位を重量基準で30〜50%と
    なる割合で有するスチレン系単量体とジエン系単量体と
    の熱可塑性ブロック共重合体(C)を含有する請求項1
    〜7の何れか1つに記載の組成物。
  9. 【請求項9】 ジエン系単量体の単独重合体(b1)、
    又はスチレン構造単位を重量基準で15%以下となる割
    合で有するスチレン系単量体とジエン系単量体との共重
    合体(b2)と、 スチレン構造単位を重量基準で20〜50%となる割合
    で有するスチレン系単量体とジエン系単量体との共重合
    体(b3)と、 スチレン系単量体(a1)と、 (メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)との混合
    溶液を、可動部分のない複数のミキシングエレメントが
    内部に固定されている管状反応器を組み込んでなる連続
    塊状重合ライン内で連続塊状重合することを特徴とする
    スチレン系樹脂の製造方法。
  10. 【請求項10】 ジエン系単量体の単独重合体(b
    1)、又はスチレン構造単位を重量基準で15%以下と
    なる割合で有するスチレン系単量体とジエン系単量体と
    の共重合体(b2)と、 スチレン構造単位を重量基準で20〜50%となる割合
    で有するスチレン系単量体とジエン系単量体との共重合
    体(b3)と、 スチレン系単量体(a1)と、 (メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)とを溶解
    させた後、1個以上の攪拌式反応器で重合させた後、菅
    状反応器に導入する請求項9記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 ジエン系単量体の単独重合体(b
    1)、又はスチレン構造単位を重量基準で15%以下と
    なる割合で有するスチレン系単量体とジエン系単量体と
    の共重合体(b2)と、 スチレン構造単位を重量基準で20〜50%となる割合
    で有するスチレン系単量体とジエン系単量体との共重合
    体(b3)と、 スチレン系単量体(a1)と、 (メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)とを含有
    する混合溶液を、 a.撹拌式反応器と、 b.撹拌式反応器から続き可動部分の全くない複数のミキ
    シングエレメントが内部に固定されている1個以上の管
    状反応器からなる初期重合ラインと、 c.初期重合ラインから続き可動部分の全くない複数のミ
    キシングエレメントが内部に固定されている1個以上の
    管状反応器からなる主重合ラインと、 d.初期重合ラインと主重合ラインとの間で分枝して初期
    重合ライン内に戻る還流ライン とによって構成される重合ラインを用い、初期重合ライ
    ンから出る初期重合液流の一部を還流ラインを経て還流
    させ、一方、還流されなかった初期重合液流を主重合ラ
    インにおいて重合する請求項10記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 ジエン系単量体の単独重合体(b
    1)、又はスチレン構造単位を重量基準で15%以下と
    なる割合で有するスチレン系単量体とジエン系単量体と
    の共重合体(b2)と、 スチレン構造単位を重量基準で20〜50%となる割合
    で有するスチレン系単量体とジエン系単量体との共重合
    体(b3)とを[(b1)又は(b2)]/(b3)=
    95/5〜60/40なる割合で用いる請求項9、10
    又は11記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 重合体(b1)又は共重合体(b2)
    と、 共重合体(b3)とスチレン系単量体(a1)と、 (メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)に加え、
    更にイソパラフィン系重合体を含有する請求項9〜12
    の何れか1つに記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 重合体(b1)又は共重合体(b2)
    と、共重合体(b3)と、 スチレン系単量体(a1)と、 (メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)とに加
    え、更にシリコーンオイルを含有する請求項9〜13の
    何れか1つに記載の製造方法。
JP21663799A 1998-07-30 1999-07-30 スチレン系樹脂組成物及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3972526B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21663799A JP3972526B2 (ja) 1998-07-30 1999-07-30 スチレン系樹脂組成物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-214681 1998-07-30
JP21468198 1998-07-30
JP21663799A JP3972526B2 (ja) 1998-07-30 1999-07-30 スチレン系樹脂組成物及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000103933A true JP2000103933A (ja) 2000-04-11
JP3972526B2 JP3972526B2 (ja) 2007-09-05

Family

ID=26520451

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21663799A Expired - Fee Related JP3972526B2 (ja) 1998-07-30 1999-07-30 スチレン系樹脂組成物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3972526B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002145968A (ja) * 2000-11-13 2002-05-22 Idemitsu Petrochem Co Ltd ブロー成形用ゴム変性スチレン系樹脂とその製造法およびブロー成形品
JP2002226663A (ja) * 2001-02-05 2002-08-14 Dainippon Ink & Chem Inc 透明スチレン系樹脂組成物及び成形品
KR100829850B1 (ko) 2006-12-29 2008-05-19 제일모직주식회사 조성이 균일하고 내충격성과 투명성이 우수한 투명 고무변성 스티렌계 수지의 연속 괴상중합 제조방법
JP2019147911A (ja) * 2018-02-28 2019-09-05 Psジャパン株式会社 スチレン系樹脂組成物、シート、及び成形品

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002145968A (ja) * 2000-11-13 2002-05-22 Idemitsu Petrochem Co Ltd ブロー成形用ゴム変性スチレン系樹脂とその製造法およびブロー成形品
JP2002226663A (ja) * 2001-02-05 2002-08-14 Dainippon Ink & Chem Inc 透明スチレン系樹脂組成物及び成形品
KR100829850B1 (ko) 2006-12-29 2008-05-19 제일모직주식회사 조성이 균일하고 내충격성과 투명성이 우수한 투명 고무변성 스티렌계 수지의 연속 괴상중합 제조방법
JP2019147911A (ja) * 2018-02-28 2019-09-05 Psジャパン株式会社 スチレン系樹脂組成物、シート、及び成形品
JP7274261B2 (ja) 2018-02-28 2023-05-16 Psジャパン株式会社 スチレン系樹脂組成物、シート、及び成形品

Also Published As

Publication number Publication date
JP3972526B2 (ja) 2007-09-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2016186142A1 (ja) ポリマーブレンド相容化剤用共重合体および樹脂組成物
JP4416190B2 (ja) ゴム変性共重合樹脂組成物及びその製法
US6310148B1 (en) Stryrene resin composition and process for producing the same
JP5930668B2 (ja) インジェクションブロー成形品の製造方法
JP4105879B2 (ja) ゴム強化熱可塑性樹脂及びゴム強化熱可塑性樹脂組成物
JP2000103933A (ja) スチレン系樹脂組成物及びその製造方法
JP4381721B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3286550B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JP3353844B2 (ja) ゴム変性共重合樹脂の製法およびゴム変性共重合樹脂組成物
JP4051770B2 (ja) スチレン系樹脂組成物及びその製造方法
JP2006233013A (ja) 複合ゴム粒子、複合ゴム強化ビニル系樹脂及び熱可塑性樹脂組成物
JP2007023093A (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
JP3603402B2 (ja) メタクリル酸メチル系樹脂組成物
JP3547943B2 (ja) 耐面衝撃性に優れた樹脂組成物
WO2003033560A1 (fr) Resine de copolymere transparente modifiee au caoutchouc et composition de resine la contenant
EP4001331A1 (en) Transparent thermoplastic resin composition and article molded thereof
JP3538491B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH10298375A (ja) ゴム変性耐熱性スチレン系樹脂組成物
JP2004263113A (ja) 透明なゴム変性共重合樹脂組成物
WO2002048224A1 (en) Transparent, rubber-modified styrene copolymer
JP4776148B2 (ja) ゴム変性共重合樹脂およびその成形体
KR20230170784A (ko) 투명한 고무 변성 스티렌계 수지 조성물
JP2001164077A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2004161933A (ja) 艶消性熱可塑性樹脂組成物
JP2005264003A (ja) ゴム変性共重合樹脂及び製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040621

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20050624

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051227

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070327

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070424

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070522

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070604

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100622

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100622

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110622

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110622

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120622

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130622

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130622

Year of fee payment: 6

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130622

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130622

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees