JP5248427B2 - メタクリル系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

メタクリル系樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐候性、剛性、耐衝撃性、透明性および成形品の外観に優れたメタクリル系樹脂組成物及びその製造方法に関する。
ポリメタクリル酸メチルに代表されるメタクリル系樹脂の成形品は、透明性に優れ、美麗な外観を有する。このような点から、メタクリル系樹脂成形品は、例えば、看板部品、ディスプレイ部品、照明部品、インテリア部品、建築用部品、輸送機器関係部品、電子機器部品、医療関係部品、光学関係部品、交通関係部品などに用いられている。ところが、メタクリル系樹脂は、耐衝撃性が低いという欠点を有するために、さらに広く用途展開することが制約されていた。
そこで、メタクリル系樹脂の耐衝撃性や柔軟性を改良するために、様々な試みがなされてきた。例えば、特許文献1には、乳化重合法によって製造した多層構造アクリルゴムをメタクリル系樹脂にブレンドする方法が開示されている。特許文献2には、ブタジエン−アクリル酸ブチル共重合体からなるゴム状物質の存在下でメタクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合する方法が開示されている。特許文献3には、部分水添共役ジエン重合体の存在下でメタクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合する方法が開示されている。特許文献4には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位と芳香族ビニル単量体単位とからなる変性ブロック共重合体の存在下でメタクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合する方法が開示されている。特許文献5には、メタクリル酸エステル系重合体1質量部以上50質量部以下と、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とするエポキシ化された重合体ブロックBとからなるブロック共重合体50質量部以上99質量部以下とを含んでなる重合体組成物が開示されている。
特許文献6には、鋳型重合にて得られる、メタクリル系樹脂50〜99質量%、エチレン−酢酸ビニル共重合体0〜50質量%、およびメタクリル酸メチル単位を主成分とする重合体と酢酸ビニル単位を主成分とする重合体とからなるブロック共重合体0.5〜50質量%からなるメタクリル樹脂組成物が開示されている。
特許文献7には、ビニル結合に富む共役ジエン重合体成分とアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル重合体成分とからなるブロック共重合体にメタクリル酸メチルをその重合条件下で反応させることを特徴とする耐衝撃性および加工性の良好なメタクリル樹脂成形材料の製造方法が開示されている。
これら特許文献で開示されている樹脂組成物などでは、耐衝撃性の改善効果が不十分なもの、ブツ(フィッシュアイ)の発生で成形品の外観が損なわれたもの、分散ドメインの大きさ制御が困難で表面光沢が低いもの、またはヘーズが高く透明性に劣るものが得られやすく、十分に満足できるものでなかった。
特許文献8には、メタクリル酸メチル単位を50質量%以上有するメタクリル系樹脂からなるマトリックス100質量部に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体1〜80質量部が分散してなるメタクリル系樹脂組成物が提案されている。この組成物によれば、耐候性および耐衝撃性に優れ、ヘーズの低い成形品を提供できる。ところが、この組成物で得られる成形品は表面光沢が若干低くなることがあった。
特公昭59−36645号公報 特公昭45−26111号公報 国際公開WO96/032440 特開2000−313786号公報 特開平07−207110号公報 特開平06−345933号公報 特開昭49−45148号公報 国際公開WO2008/032732
本発明の目的は、メタクリル系樹脂が有する優れた耐候性、剛性、透明性、耐擦傷性、更には表面光沢性を犠牲にする事なく、耐衝撃性が改良された成形品およびそれを得るための樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために種々の検討を行った。その結果、メタクリル系樹脂からなるマトリックスに粒状に分散させるブロック共重合体中の側鎖ビニル結合の量および樹脂組成物のアセトン不溶分のトルエン膨潤指数を特定範囲に調整することによって、メタクリル系樹脂が本来有していた表面光沢および剛性を大幅に低下させずに、耐衝撃性を大幅に改善できることを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討することによって完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、〔1〕メタクリル酸メチル単位を50質量%以上有するメタクリル系樹脂と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体とを含有し、該重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合の量が50mol%以下であり、 該ブロック共重合体が粒子径2μm以下で該メタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散しており、且つ アセトン不溶分のトルエン膨潤指数が7〜20であるメタクリル系樹脂組成物である。
また、本発明は、〔2〕(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体を、メタクリル酸メチルを50質量%以上含有する単量体混合物に溶解し、せん断下で該単量体混合物の重合を行い、重合途中において単量体混合物の重合によって得られるメタクリル系樹脂溶液相とブロック共重合体溶液相とを相反転させることを含む、前記〔1〕に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法である。
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、メタクリル系樹脂が有する優れた耐候性、透明性、耐擦傷性、剛性、更には表面光沢性を犠牲にする事なく、耐衝撃性が大幅に改良された成形品を提供することができる。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
〔ブロック共重合体〕
本発明に用いられるブロック共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するものである。
重合体ブロック(a)を構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの付加重合によって得られるものである。なお、「(メタ)アクリル」は「メタクリルまたはアクリル」の意である。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。これらは1種単独で重合させてもよいし、2種以上を組み合わせて共重合させてもよい。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組合せが好ましく、Tgが−10℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組合せがより好ましい。このような単量体としては、アクリル酸n−ブチルおよび/またはアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましく、アクリル酸n−ブチルがより好ましい。
重合体ブロック(b)を構成する共役ジエン化合物単位は、共役ジエン化合物の付加重合によって得られるものである。
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエンなどが挙げられる。これらは1種単独で重合させてもよいし、2種以上を組み合わせて共重合させてもよい。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の重合体ブロック(b)を与える単量体または単量体の組合せが好ましく、Tgが−10℃以下の重合体ブロック(b)を与える単量体または単量体の組合せが好ましい。このような単量体として、汎用性、経済性、取り扱い性の観点から、1,3−ブタジエンおよび/またはイソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
共役ジエン化合物は、1,4−付加重合する場合と、1,2−または3,4−付加重合する場合とがある。共役ジエン化合物が1,4−付加重合すると分子主鎖中に炭素−炭素二重結合を有するようになる。共役ジエン化合物が1,2−または3,4−付加重合すると分子主鎖に側鎖として結合するビニル基(側鎖ビニル結合)を有するようになる。この分子主鎖中の炭素−炭素二重結合および/または分子主鎖に側鎖として結合するビニル基は、グラフト反応や架橋反応の起点となる。共役ジエン化合物の1,2−または3,4−付加重合の割合は反応系中にエーテル類などの極性化合物を加えることにより増加させることができる。
本発明に用いられるブロック共重合体は、重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合量が、50mol%以下、好ましくは45mol%以下である。重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合の量は、ブロック共重合体へのメタクリル系樹脂のグラフト量、ブロック共重合体の分散粒子径、ブロック共重合体の架橋率などに影響し、それらが総合してメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性などに影響を与えると考えられる。重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合量が50mol%より多いと、ブロック共重合体の架橋率が高くなるので、ブロック共重合体の粘度が高くなり、その結果、ブロック共重合体の分散粒子径が大きくなりやすい。側鎖ビニル結合量が極端に多くなると、重合体ブロック(b)のガラス転移温度が高くなるため、メタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性が低下する。
なお、側鎖ビニル結合の量は、共役ジエン化合物単位中の炭素−炭素二重結合の内の分子主鎖に側鎖として結合するビニル基の割合[mol%]で表される。例えば、1,3−ブタジエン単位からなる重合体ブロック(b)である場合、1H−NMRを用いて分析し、化学シフト4.7〜5.2ppmの1,2−ビニルによるプロトン(=CH2)シグナルの積分強度C0と、化学シフト5.2〜5.8ppmのビニルプロトン(=CH−)シグナルの積分強度D0をそれぞれ求め、次式によって計算して、側鎖ビニル結合量V0[%]を求めることができる。
0=〔(C0/2)/{(C0/2)+(D0−(C0/2))/2}〕×100
重合体ブロック(b)は、前述の分子主鎖中の炭素−炭素二重結合および/または分子主鎖に側鎖として結合するビニル基が部分的に水素添加されたものであってもよい。本発明の効果を維持する観点から、重合体ブロック(b)の水素添加率は70mol%未満であることが好ましく、50mol%未満であることがさらに好ましい。水素添加の方法は、特に限定されず、例えば、特公平5−20442号公報に開示された方法によって達成される。
重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との質量比は、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との合計を100質量%としたときに、重合体ブロック(a)は、好ましくは45〜75質量%、より好ましくは50〜70質量%である。重合体ブロック(b)は、好ましくは25〜55質量%、より好ましくは30〜50質量%である。
本発明に用いられるブロック共重合体は、重合体ブロック(a)および重合体ブロック(b)をそれぞれ1つずつ有するものであってもよいし、重合体ブロック(a)および/または重合体ブロック(b)を2つ以上有するものであってもよい。
該ブロック共重合体の結合様式としては、a―b型ジブロック共重合体、a―b―a型トリブロック共重合体、b―a―b型トリブロック共重合体、a―b―a―b型テトラブロック共重合体などに代表される線状ブロック共重合体;(b―a―)n、(a―b―)nなどで代表される星型(ラジアルスター型)ブロック共重合体;a―g―bで表されるグラフト型ブロック共重合体などが挙げられる。なお、nは2より大きい値である。gはグラフト結合を示す結合記号である。該ブロック共重合体は、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との間に傾斜連結部を有するものであってもよい。傾斜連結部は、重合体ブロック(a)の繰り返し単位の組成から、重合体ブロック(b)の繰り返し単位の組成に、漸次変化していく繰り返し単位組成を有する部分である。これらブロック共重合体は、1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられるブロック共重合体は、その屈折率が、好ましくは1.48〜1.50、より好ましくは1.485〜1.495である。屈折率がこの範囲にあることでメタクリル系樹脂の透明性が維持される。
ブロック共重合体の屈折率は、重合体を構成する繰り返し単位の種類、組成比、重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合量などを選択することによって調整できる。例えば、アクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)と1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位からなる未水添の重合体ブロック(b)からなるジブロック共重合体では、ジブロック共重合体全体の質量に対してアクリル酸n−ブチルの含量を50〜70質量%、1,3−ブタジエンの含量を50〜30質量%にすると、ポリメタクリル酸メチルの屈折率とほぼ一致し、透明なメタクリル系樹脂組成物を得ることができる。
本発明に好適なブロック共重合体としては、アクリル酸n−ブチル単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロックと1,3−ブタジエン単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロックとを有するジブロック共重合体やラジアルスター型ブロック共重合体;アクリル酸2−エチルヘキシル単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロックと1,3−ブタジエン単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロックとを有するジブロック共重合体やラジアルスター型ブロック共重合体;メタクリル酸メチル単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロックと1,3−ブタジエン単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロックとを有するジブロック共重合体やラジアルスター型ブロック共重合体を例示することができる。
本発明に用いられるブロック共重合体として、星型ブロック共重合体が、樹脂組成物中の分散ドメインの機械的強度の観点から、特に好ましい。
星型ブロック共重合体は、複数の腕重合体ブロックが多官能性単量体や多官能性カップリング剤などに由来する基(カップリング残基)によって連結された共重合体を含むものである。
星型ブロック共重合体を構成する腕重合体ブロックは、重合体ブロック(a)および/または重合体ブロック(b)を有するものであれば、その結合様式によって制限されない。腕重合体ブロックとしては、a―b型ジブロック共重合体、a―b―a型トリブロック共重合体、b―a―b型トリブロック共重合体、a―b―a―b型テトラブロック共重合体、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)とが合わせて5つ以上結合したマルチブロック共重合体などが挙げられる。星型ブロック共重合体を構成する複数の腕重合体ブロックは、同じ種類のブロック共重合体であってもよいし、異なる種類のブロック共重合体であってもよい。
本発明では、化学構造式:
(重合体ブロック(b)―重合体ブロック(a)―)n
(式中、Xはカップリング残基、nは2を超える数を表す。)で表されるものが、星型ブロック共重合体として特に好ましい。
星型ブロック共重合体は、GPCにより算出したポリスチレン換算の数平均分子量において、 式: 〔星型ブロック共重合体の数平均分子量〕>2×〔腕重合体ブロックの数平均分子量〕を満たすものが好ましい。
なお、〔星型ブロック共重合体の数平均分子量〕/〔腕重合体ブロックの数平均分子量〕の比は腕数と呼ばれることがある。
星型ブロック共重合体の数平均分子量が、腕重合体ブロックの数平均分子量の2倍を超える範囲にすることで、樹脂組成物中に分散した星型ブロック共重合体を含有してなる分散ドメインのせん断に対する機械的強度が高くなり、所望の耐衝撃性を得ることができるようになる。なお、星型ブロック共重合体の数平均分子量が、腕重合体ブロックの数平均分子量の100倍より大きいものは合成が難しいので、工業的に好ましい星型ブロック共重合体の数平均分子量は、腕重合体ブロックの数平均分子量の2倍より大きく且つ100倍以下であり、より好ましくは2.5〜50倍であり、さらに好ましくは3〜10倍である。
なお、本発明に好適に用いられるブロック共重合体は、星型ブロック共重合体を主成分とするものであるが、それ以外にカップリング残基によって連結していない腕重合体ブロックが含まれていてもよい。星型ブロック共重合体の含有量は、カップリング残基によって連結していない腕重合体ブロックに対して、質量比で、20/80以上が好ましく、30/70以上がより好ましい。
本発明に用いられるブロック共重合体は、その製造方法によって特に制限されず、公知の手法に準じた方法で得られたものから採用することができる。一般に、分子量分布の狭いブロック共重合体を得る方法としては、構成単位である単量体をリビング重合する方法が採用される。このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤として用いて重合する方法;有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の鉱酸塩などの存在下でアニオン重合する方法;有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法;原子移動ラジカル重合(ATRP)法などが挙げられる。
上記の製造方法のうち、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法は、比較的緩和な温度条件下で、より分子量分布が狭く且つ残存単量体が少ないブロック共重合体を製造でき、工業的生産における環境負荷、主に重合温度を制御するために必要な冷凍機の消費電力が少ないという点で好ましい。
上記のアニオン重合に用いられる有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好適である。有機リチウム化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、テトラメチレンジリチウム、ペンタメチレンジリチウム、ヘキサメチレンジリチウムなどのアルキルリチウムおよびアルキルジリチウム;フェニルリチウム、m−トリルリチウム、p−トリルリチウム、キシリルリチウム、リチウムナフタレンなどのアリールリチウムおよびアリールジリチウム;ベンジルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、トリチルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、α−メチルスチリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応により生成するジリチウムなどのアラルキルリチウムおよびアラルキルジリチウム;リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミドなどのリチウムアミド;メトキシリチウム、エトキシリチウム、n−プロポキシリチウム、イソプロポキシリチウム、n−ブトキシリチウム、sec−ブトキシリチウム、tert−ブトキシリチウム、ペンチルオキシリチウム、ヘキシルオキシリチウム、ヘプチルオキシリチウム、オクチルオキシリチウム、フェノキシリチウム、4−メチルフェノキシリチウム、ベンジルオキシリチウム、4−メチルベンジルオキシリチウムなどのリチウムアルコキシドが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記のアニオン重合に用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、下記の一般式:
AlR123
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表すか、またはR1が前記のいずれかの基を表し、R2およびR3は一緒になって置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基を表す。)で表されるものが挙げられる。
この有機アルミニウム化合物の中でも、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウムは、取扱いが容易であり、また、比較的緩和な温度条件下で失活することなくアニオン重合反応を進行させることができる点で好ましい。
上記のアニオン重合においては、必要に応じて、反応系内に、ジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、12−クラウン−4−エーテルなどのエーテル類や、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ピリジン、2,2’−ジピリジルなどの含窒素化合物を反応の安定化のためにさらに共存させることができる。
星型ブロック共重合体は、上記のアニオン重合などによって得られたブロック共重合体の反応液に多官能性単量体を添加して共重合することによって、またはブロック共重合体の反応液に多官能性カップリング剤を添加してカップリング反応させることによって得られる。
多官能性単量体は、エチレン性不飽和基を2以上有する化合物であり、具体的には、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどが挙げられる。
多官能性カップリング剤は、反応性基を3以上有する化合物であり、具体的には、トリクロロメチルシラン、テトラクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ビス(トリクロロシリル)エタン、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、テトラクロロゲルマニウムなどが挙げられる。
〔メタクリル系樹脂〕
本発明に用いられるメタクリル系樹脂は、メタクリル酸メチル単位を50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有する樹脂である。
メタクリル酸メチル単位以外のビニル系単量体単位としては、一分子中にアルケニル基を一個だけ有する非架橋性単量体が挙げられる。具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸メチルを除くメタクリル酸アルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
メタクリル酸メチル/他のビニル系単量体の質量比は、50/50〜100/0、好ましくは80/20〜99/1、より好ましくは90/10〜98/2である。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂は、重量平均分子量が、好ましくは7万〜20万、より好ましくは8万〜15万、特に好ましくは9万〜12万のものである。重量平均分子量が7万未満ではメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性が低下傾向になる。重量平均分子量が20万を超えるとメタクリル系樹脂組成物の流動性が低下して成形加工性が低下傾向になる。
さらに、本発明に用いられるメタクリル系樹脂は、分子量分布(=重量平均分子量/数平均分子量)が、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、特に好ましくは2.3以下のものである。分子量分布が3.0を超えるとメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性が低下傾向になる。 なお、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)で測定した標準ポリスチレン換算の分子量である。メタクリル系樹脂の分子量や分子量分布は、重合開始剤および連鎖移動剤の種類や量などを調整することによって制御できる。
メタクリル系樹脂組成物中のブロック共重合体の量は、メタクリル系樹脂100質量部に対して、通常、1〜80質量部、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは4〜20質量部である。該ブロック共重合体の量が1質量部未満になるとメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性向上の効果が小さい。ブロック共重合体の量が80質量部よりも多くなると、ブロック共重合体がメタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散し難くなり、メタクリル系樹脂組成物の弾性率が低下傾向になる。
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、ブロック共重合体がメタクリル系樹脂からなるマトリックスに粒子径2μm以下、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.15〜1μm、特に好ましくは0.2〜0.5μmで分散しているものである。ブロック共重合体の粒子径が大きいと、剛性、透明性および表面光沢性が低下する。またブロック共重合体の粒子径が小さすぎると耐衝撃性が低下傾向になる。
なお、粒子径は、次のようにして求めた。まず、メタクリル系樹脂組成物の成形品をアセトンに浸漬して、メタクリル系樹脂などを溶解させる。該アセトン溶液を用いて、動的光散乱法で、アセトン不溶分(ブロック共重合体を含んで成る粒子)のメジアン径を測定し、これを本発明における粒子径とした。アセトンに溶解しない該粒子は、メタクリル系樹脂組成物において、メタクリル系樹脂からなるマトリックスに対して分散ドメインを成すものであったと考えられる。
この分散ドメインは電子顕微鏡によってその存在を確認できる。分散ドメインの大きさは、染色されたメタクリル系樹脂組成物の電子顕微鏡による観察で測定される平均径として、好ましくは0.1〜3μm、より好ましくは0.15〜2.5μm、さらに好ましくは0.2〜2μmである。
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、アセトン不溶分のトルエン膨潤指数が7〜20、好ましくは8〜19である。
アセトン不溶分のトルエン膨潤指数は以下の方法で求めた値である。
メタクリル系樹脂組成物の成形品をアセトンに浸漬して、メタクリル系樹脂などを溶解させる。遠心分離によってアセトン不溶分を分離する。アセトン不溶分は、ブロック共重合体とメタクリル系樹脂がグラフト結合してなるものであると考えられる。このアセトン不溶分を40℃で24時間真空下で乾燥させる。この乾燥物0.5gにトルエン20gを加え、25℃で24時間浸漬する。この浸漬によって乾燥物は膨潤する。膨潤したゲル分をスパチェラですくい取り、すばやく秤量する(Wg)。秤量したゲル分を80℃で24時間真空下で乾燥させて、トルエンを除去する。乾燥後の質量Wdを測定する。質量Wgと質量Wdとから、次式により計算して、トルエン膨潤指数を求める。
トルエン膨潤指数=(〔Wg−Wd〕/Wd)×100
トルエン膨潤指数が7未満である場合、メタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にあり、また20より大きい場合には表面光沢性が悪化する傾向にある。
トルエン膨潤指数は、重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合量、メタクリル系樹脂を製造するときの重合開始剤の量や種類、重合時の温度、重合転化率、分子量調節剤の量や種類を調整することによって制御できる。
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、上記のような側鎖ビニル結合量、アセトン不溶分のトルエン膨潤指数および粒子径を有するものが得られるのであれば、その製法によって特に制限されない。例えば、メタクリル系樹脂(A)に、ブロック共重合体(B)を添加し、単軸あるいは2軸の溶融押出機などにおいて溶融混練することによって得ることができる。
しかしながら、本発明のメタクリル系樹脂組成物の製造方法としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体を、メタクリル酸メチルを50質量%以上含有する単量体混合物に溶解し、せん断下で該単量体混合物の重合を行い、重合途中において単量体混合物の重合によって得られるメタクリル系樹脂溶液相とブロック共重合体溶液相とを相反転させることを含む方法が好ましい。そこで、この製造方法について説明する。
本発明の製造方法では、まず、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体をメタクリル酸メチル50〜100質量%およびメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル系単量体0〜50質量%からなる単量体混合物に溶解させて、原料液を調製する。
単量体混合物に用いられるメタクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル系単量体としては、前記メタクリル系樹脂の単量体単位として列挙したものと同じものを列挙できる。
ブロック共重合体の単量体混合物への溶解は攪拌によって促進され、30〜60℃程度に加熱することによってさらに促進される。また、下記のような溶剤を使用することで溶解を促進させることができる。
使用する溶剤は、単量体混合物、単量体混合物の重合で得られるメタクリル系樹脂、およびブロック共重合体を溶解することができるものであれば特に限定されない。例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素などが望ましいものとして挙げられる。また、必要に応じて、2種類以上の溶剤を混合して使用しても良い。混合溶剤を用いる場合には、単量体混合物、メタクリル系樹脂およびブロック共重合体を溶解できる混合溶剤であれば、単量体混合物、メタクリル系樹脂およびブロック共重合体を溶解できない溶剤が混合溶剤に含まれていても良い。例えば、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ヘキサンなどの炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素などが混合溶剤に含まれていてもよい。
原料液中の溶剤の量は、単量体混合物100質量部に対して、通常、0〜100質量部、好ましくは0〜90質量部である。溶剤の量が多いほど原料液の粘度が下がり取扱い性が良好となるが、連鎖移動反応などの副反応を引き起こし、グラフト反応および架橋反応を阻害することがあり、生産性が低下傾向になる。
原料液中のブロック共重合体の量は、単量体混合物100質量部に対して、通常、1〜80質量部、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは4〜20質量部である。該ブロック共重合体の量が1質量部未満になるとメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性向上の効果が小さい。ブロック共重合体の量が80質量部よりも多くなると、ブロック共重合体がメタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散し難くなる。また、メタクリル系樹脂組成物の弾性率が低下し、メタクリル系樹脂が本来有していた優れた剛性を失うことになる。
次に、単量体混合物の重合を行う。この重合反応の進行と同時に、単量体混合物がブロック共重合体にグラフト結合する反応と、ブロック共重合体同士が架橋する反応とが進行すると考えられる。
単量体混合物の重合は、原料液に重合開始剤を添加することによって開始される。また、必要に応じて連鎖移動剤を原料液に添加して、得られる重合体の分子量、アセトン不溶分のトルエン膨潤指数、架橋率などを調節できる。
重合開始剤は、反応ラジカルを発生するものであれば特に限定されない。重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキシルカルボニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネートなどの有機過酸化物などを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、重合開始剤の添加時期や添加方法などは、所定の反応が進行するかぎり、特に限定されないが、重合開始時に仕込んだ重合開始剤で前段重合を行い、反応の途中で重合開始剤を追加添加して後段重合を行うことが好ましい。
連鎖移動剤としては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス−(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートなどのアルキルメルカプタン類;α−メチルスチレンダイマー;テルピノレンなどを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
単量体混合物の重合では、重合初期から相反転が生じるまでは、原料液に攪拌によるせん断力を与えることが重要である。重合初期では、単量体混合物の重合反応が主に進行してメタクリル系樹脂が生成する。重合転化率の増加とともに、単量体混合物の重合反応で生成したメタクリル系樹脂の割合が多くなる。この初期段階では、ブロック共重合体溶液相がマトリックスになり、量的に少ないメタクリル系樹脂溶液相が該マトリックスに分散した状態になっている。
せん断を加えながら単量体混合物の重合をそのまま続けると、メタクリル系樹脂溶液相とブロック共重合体溶液相との関係が反転する。すなわち、この相反転によって、メタクリル系樹脂溶液相がマトリックスになり、ブロック共重合体溶液相が該マトリックスに分散した状態になる。この相反転が起きる際の単量体混合物の重合転化率は、メタクリル系樹脂溶液相とブロック共重合体溶液相の体積比、ブロック共重合体の分子量、ブロック共重合体へのメタクリル系樹脂のグラフト量、溶剤を用いた場合には溶剤量や溶剤種によって変わる。
原料液にせん断力を与えながら単量体混合物の重合を行うための装置としては、攪拌機付きの槽型反応器、攪拌機付きの管型反応器、静的攪拌能力を有する管型反応器などが挙げられる。これら装置は、1基以上であってもよく、また、異なる反応器2基以上の組合せでもよい。また、重合は回分式または連続式のどちらであっても良い。なお、単量体混合物の重合は、重合初期から相反転が生じるまでは、塊状重合法または溶液重合法で行うことが好ましい。
相反転が生じた後の重合には、塊状重合法または溶液重合法が適用できるが、これら以外に懸濁重合法、注型重合法も適用できる。
本発明においては、単量体混合物の重合転化率を75質量%以上にすることが好ましく、80質量%以上にすることがより好ましい。重合転化率が低すぎると、架橋反応およびグラフト反応が十分に進行し難くなる。架橋反応およびブラフト反応が十分に進行していないと、メタクリル系樹脂組成物中のブロック共重合体からなる分散ドメインが、押出機や混練機などによる機械的せん断によって変形または破壊される恐れがある。架橋反応およびグラフト反応を十分に進め、衝撃強度および成形品の表面光沢性を向上させるためには、重合開始剤を反応途中において追加添加することが好ましい。
また、重合転化率は95質量%以下であることが好ましい。重合転化率が95質量%を超えると、メタクリル系樹脂の分子量分布が広くなる傾向になり、耐衝撃性の低下に繋がる恐れがある。
単量体混合物の重合転化率が好ましくは75質量%〜95質量%になった後、脱揮処理して、未反応単量体および溶剤を除去することができる。脱揮法としては、平衡フラッシュ方式や断熱フラッシュ方式が挙げられる。特に断熱フラッシュ方式では、好ましくは180〜300℃、より好ましくは200〜270℃の温度で脱揮を行う。180℃未満では脱揮に時間を要し、脱揮不十分になりやすい。脱揮が不十分な場合には成形品にシルバーなどの外観不良を起こすことがある。逆に300℃を超えると、酸化、焼けなどによってメタクリル系樹脂組成物に色が着くことがある。脱揮に用いられる装置としては、フラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機などが挙げられる。残存揮発分は、0.8質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.4質量%以下が更に好ましく、0.3質量%以下が特に好ましい。残存揮発分が0.8質量%を超えると、熱変形温度などが低下傾向になる。
本発明のメタクリル系樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料などを添加することができる。また、本発明のメタクリル系樹脂組成物は、メタクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、MS樹脂、MBS樹脂、スチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂など、他の樹脂と混合して使用することもできる。また、本発明のメタクリル系樹脂組成物には、例えば、多層構造アクリルゴム粒子のような従来の改質剤を添加することができる。この場合、これらの改質剤は通常の使用量よりも少ない量で添加することが好ましい。
本発明のメタクリル系樹脂組成物を成形することにより、強靱化された成形品を得ることができる。該成形品の成形方法としては、例えば、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、真空成形法など、従来から知られる溶融加熱成形法などが挙げられる。
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、耐衝撃性のみならず、耐候性、透明性、および表面光沢に優れた成形品を得ることができるので、各種用途の部品や部材に使用することができる。メタクリル系樹脂組成物の用途としては、例えば、広告塔、スタンド看板、袖看板、欄間看板、屋上看板などの看板部品;ショーケース、仕切板、店舗ディスプレイなどのディスプレイ部品;蛍光灯カバー、ムード照明カバー、ランプシェード、光天井、光壁、シャンデリアなどの照明器具用部品;ペンダント、ミラーなどのインテリア部品;ドア、ドーム、安全窓ガラス、間仕切り、階段腰板、バルコニー腰板、レジャー用建築物の屋根などの建築用部材;航空機風防、パイロット用バイザー、オートバイ、モーターボート風防、バス用遮光板、自動車用サイドバイザー、リアバイザー、ヘッドウィング、ヘッドライトカバーなどの輸送機器用部品;音響映像用銘板、ステレオカバー、テレビ保護マスク、自動販売機などの電子機器用部品;保育器、レントゲン部品などの医療機器用部品;機械カバー、計器カバー、実験装置、定規、文字盤、観察窓などの機器用部品;液晶保護板、導光板、導光フィルム、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、各種ディスプレイの前面板、拡散板などの光学関係部品;道路標識、案内板、カーブミラー、防音壁などの交通関係部品;自動車内装用表面材、携帯電話の表面材、マーキングフィルムなどのフィルム部材;洗濯機の天蓋材やコントロールパネル、炊飯ジャーの天面パネルなどの家電製品用部材;その他、温室、大型水槽、箱水槽、時計パネル、バスタブ、サニタリー、デスクマット、遊技部品、玩具、熔接時の顔面保護用マスク、ストラップなどが挙げられる。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の例によって何ら制限されるものではない。ブロック共重合体の合成では、常法により乾燥精製した薬品を用いた。その際、重合転化率の測定や合成したブロック共重合体の分析は、以下の方法によって実施した。また、メタクリル系樹脂組成物の分析、力学および光学測定は、以下の方法によって行った。
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)およびブロック共重合体の生成率の測定
下記の装置および測定条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析を行い、分子量既知の標準ポリスチレンで較正して求めた。
装置:東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム:東ソー社製TSKgel GMHXL、G4000HXLおよびG5000HXLを直列に連結
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:1.0ml/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)計
検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
(2)重合転化率の測定
下記の装置および測定条件にて、ガスクロマトグラフィー(GC)による分析を行い、それに基づいて求めた。
装置:島津製作所社製ガスクロマトグラフ GC−14A
カラム:GL Sciences Inc.製 INERT CAP 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)
分析条件:injection温度180℃、detector温度180℃、60℃(0分間保持)→昇温速度10℃/分→200℃(10分間保持)
(3)射出成形
実施例および比較例で得られた樹脂組成物を下記の装置および条件にて、射出成形し、評価用の成形品を得た。
射出成形機:日本製鋼所社製J75SAV
成形条件:H1/H2/HV/H3/MH=200/210/230/250/250℃、金型温度60℃
(4)光散乱法による分散粒子径の測定
成形品をアセトンに浸漬して、メタクリル系樹脂などを溶解させた。該アセトン溶液を用いて、動的光散乱法で、アセトン不溶分(ブロック共重合体を含んで成る粒子)のメジアン径を測定し、これを本発明における粒子径とした。
測定装置:株式会社堀場製作所製 光散乱測定装置 LA−300
(5)アセトン不溶分のトルエン膨潤指数
成形品をアセトンに浸漬して、メタクリル系樹脂などを溶解させた。遠心分離によってアセトン不溶分を分離した。アセトン不溶分は、ブロック共重合体とメタクリル系樹脂がグラフト結合してなるものであるとみなす。このアセトン不溶分を40℃で24時間真空下で乾燥させた。この乾燥物0.5gにトルエン20gを加え、25℃で24時間浸漬した。この浸漬によって乾燥物は膨潤した。膨潤したゲル分をスパチェラですくい取り、すばやく秤量した(Wg)。秤量したゲル分を80℃で24時間真空下で乾燥させて、トルエンを除去した。乾燥後の質量Wdを測定した。質量Wgと質量Wdとから、次式により計算して、トルエン膨潤指数を求めた。
トルエン膨潤指数=(〔Wg−Wd〕/Wd)×100
遠心分離条件
装置:日立工機株式会社製 高速遠心分離機 CR−21E
条件:0℃、20,000rpm、180分間
(6)成形品の耐衝撃性の評価
ISO179−1eAに準拠して、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度を測定した。
(7)成形品の曲げ弾性率の測定
ISO178に準拠して、曲げ弾性率を測定した。
(8)成形品の表面光沢性の評価
射出成形で得られた厚さ3mmの成形品の表面光沢性を以下の判断基準により評価した。
[成形品の表面光沢性の判断基準]
○:表面が平滑であり、光沢がある。
×:表面に凹凸があり、すりガラス状で光沢がない。
(9)ブロック共重合体の分子構造(側鎖ビニル結合量)の解析
ブロック共重合体を重クロロホルムに溶解し試験液を得、1H−NMR(日本電子社製核磁気共鳴装置(JNM−LA400)を用いて該試験液を分析し、化学シフト4.7〜5.2ppmの1,2−ビニルによるプロトン(=CH2)シグナルの積分強度C0と、化学シフト5.2〜5.8ppmのビニルプロトン(=CH−)シグナルの積分強度D0をそれぞれ求め、次式によって、側鎖ビニル結合量V0[mol%]を計算して求めた。
0=〔(C0/2)/{(C0/2)+(D0−(C0/2))/2}〕×100
(10)ガラス転移温度(Tg)
重合体ブロック(a)として用いたポリアクリル酸n−ブチルのガラス転移温度(Tg)は、「POLYMER HANDBOOK FOURTH Edition, VI/199頁, Wiley Interscience, New York, 1998」に記載の値(−49℃)を用いた。
また、重合体ブロック(b)として用いたポリ1,3−ブタジエンのガラス転移温度(Tg)は、「ANIONIC POLYMERIZATION, 434頁, MARCEL DEKKER,Inc. 1996」に記載の1,2−ビニル結合量とTgの関係より導かれる値を用いた。
(11)屈折率(nd)
「POLYMER HANDBOOK FOURTH Edition, VI/571〜582頁, Wiley Interscience, New York, 1998」の記載から、ホモポリマーの値(ポリアクリル酸n−ブチル:1.466、ポリ1,3−ブタジエン:1.515)を引用し、共重合組成割合に応じて加成則により計算して求めた。
《合成例1》星型ブロック共重合体(B−1)の製造
(1)攪拌機付10リットルのオートクレーブ容器に、トルエン6.85Lおよび1,2−ジメトキシエタンを0.138mlを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液0.034Lを加え、次いで1,3−ブタジエン0.804Lを加えて、30℃で4時間反応させて、1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量(Mn)が20,500、分子量分布(Mw/Mn)が1.02、側鎖ビニル結合量が30mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−75℃であった。
(2)上記(1)で得られた反応混合物を−15℃に冷却し、0.45mol/lのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを含有するトルエン溶液0.332Lおよび1,2−ジメトキシエタン0.069Lを添加し、10分間撹拌して均一な溶液とした。
(3)次いで、上記(2)で得られた溶液を激しく撹拌しながら、アクリル酸n−ブチル0.781Lを1時間かけて添加し、添加終了後−15℃で20分間重合させた。得られた反応混合物の一部をサンプリングし、GPCにより分子量(標準ポリスチレン換算)を分析した結果、反応混合物中のブタジエン―アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体は数平均分子量が38,200であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.05であり、屈折率が1.486であることが判明した。また、アクリル酸n−ブチルの重合で得られた重合体ブロック(a)のガラス転移温度は−49℃であった。
(4)上記(3)で得られた反応混合物を−15℃で保持し、激しく攪拌したまま、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.039Lを加え30分間重合させた。次いでメタノールを添加して重合を停止させた。
得られた反応混合物をメタノールに注ぎ入れて、星型ブロック共重合体(B−1)を析出させることによって得た。得られた星型ブロック共重合体(B−1)の収率はほぼ100%であった。表1に星型ブロック共重合体(B−1)の特性を示す。なお、表中のBAはアクリル酸n−ブチル、BDは1,3−ブタジエンを意味する。
《合成例2》 星型ブロック共重合体(B−2)の製造
合成例1−(1)で添加した1,2−ジメトキシエタンの量を0.234mlに変更した以外は、合成例1と同じ手法によって、星型ブロック共重合体(B−2)を得た。表1に星型ブロック共重合体(B−2)の特性を示す。なお、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))の数平均分子量(Mn)は21,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.02、側鎖ビニル結合量が40mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−65℃であった。ブタジエン―アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体の数平均分子量は39,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.05であり、屈折率が1.486であった。
《合成例3》 星型ブロック共重合体(B−3)の製造
合成例1−(1)で添加した1,2−ジメトキシエタンの量を0.373mlに変更した以外は、合成例1と同じ手法によって、星型ブロック共重合体(B−3)を得た。表1に星型ブロック共重合体(B−3)の特性を示す。なお、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))の数平均分子量(Mn)は20,500、分子量分布(Mw/Mn)が1.03、側鎖ビニル結合量が58mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−46℃であった。ブタジエン―アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体の数平均分子量は41,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.05であり、屈折率が1.486であった。
Figure 0005248427
《実施例1》 メタクリル系樹脂組成物の製造
攪拌機および採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル53質量部、アクリル酸メチル4.3質量部、およびトルエン35質量部を仕込み、そして星型ブロック共重合体(B−1)7.7質量部を添加し、30℃で8時間攪拌し、均一に溶解させた。次いで、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製:パーブチル0)0.025質量部、およびn−ドデシルメルカプタン0.110質量部を加え均一に溶解させて、原料液を得た。
窒素により反応器および付属装置内の酸素を追い出した。原料液を、110℃に制御された3Lの完全混合型反応器Aに平均滞留時間70分間となるように連続的に供給して重合を行った。反応器Aの出口の採取管から重合液を少量抜き取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。重合転化率が26質量%であった。
完全混合型反応器Aから連続的に排出される重合液とt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.015質量部とを110℃に制御された5L完全混合型反応器Bに平均滞留時間120分間となるように連続的に供給して重合を行った。反応器Bの出口の採取管から重合液を少量抜き取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。重合転化率は63質量%であった。
完全混合型反応器Bから連続的に排出される重合液と、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.070質量%とをノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部で連続的に混合し、それを115±5℃に制御された管型反応器Cに平均滞留時間60分間となるように連続的に供給して重合を行った。反応器Cの出口の採取管から重合液を少量抜き取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。重合転化率は90質量%であった。
管型反応器Cから連続的に排出される重合液を、230℃で、2軸押出機へ連続的に供給して、260℃で未反応単量体を主成分とする揮発分を分離除去して、樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットを射出成形機にて成形し評価用成形品を得た。その評価結果を表2に示す。該樹脂ペレットは、メタクリル酸メチル単位とアクリル酸メチル単位からなるメタクリル系樹脂87質量%と、アクリル酸ブチル単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエン単位からなる重合体ブロック(b)とを有する星型ブロック共重合体13質量%とを含有し、該ブロック共重合体が粒子径0.7μmでメタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散してなるメタクリル系樹脂組成物であった。
《実施例2》 メタクリル系樹脂組成物の製造
星型ブロック共重合体(B−1)を星型ブロック共重合体(B−2)に替えた以外は、実施例1と同じ手法によって、樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットを射出成形機にて成形し評価用成形品を得た。その評価結果を表2に示す。該樹脂ペレットは、メタクリル酸メチル単位とアクリル酸メチル単位からなるメタクリル系樹脂87質量%と、アクリル酸ブチル単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエン単位からなる重合体ブロック(b)とを有する星型ブロック共重合体13質量%とを含有し、該ブロック共重合体が粒子径0.8μmでメタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散してなるメタクリル系樹脂組成物であった。
《比較例1》 メタクリル系樹脂組成物の製造
星型ブロック共重合体(B−1)を星型ブロック共重合体(B−3)に替えた以外は、実施例1と同じ手法によって、樹脂ペレットを得た。得られたペレットを射出成形機にて成形し評価用成形品を得た。その評価結果を表2に示す。該樹脂ペレットは、メタクリル酸メチル単位とアクリル酸メチル単位からなるメタクリル系樹脂87質量%と、アクリル酸ブチル単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエン単位からなる重合体ブロック(b)とを有する星型ブロック共重合体13質量%とを含有し、該ブロック共重合体が粒子径2.3μmでメタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散してなるメタクリル系樹脂組成物であった。
《比較例2》 メタクリル系樹脂組成物の製造
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部で添加した1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサンの量を0.035質量%に変更する以外は、実施例1と同じ手法によって、樹脂ペレットを得た。反応器Cの出口の採取管から重合液を少量抜き取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。重合転化率は73質量%であった。得られた樹脂ペレットを射出成形機にて成形し評価用成形品を得た。その評価結果を表2に示す。該樹脂ペレットは、メタクリル酸メチル単位とアクリル酸メチル単位からなるメタクリル系樹脂84.5質量%と、アクリル酸ブチル単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエン単位からなる重合体ブロック(b)とを有する星型ブロック共重合体15.5質量%とを含有し、該ブロック共重合体が粒子径0.7μmでメタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散してなるメタクリル系樹脂組成物であった。
《比較例3》 メタクリル系樹脂組成物の製造
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部で添加した1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサンの量を0.120質量%に変更する以外は、実施例1と同じ手法によって、樹脂ペレットを得た。反応器Cの出口の採取管から重合液を少量抜き取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。重合転化率は93質量%であった。得られた樹脂ペレットを射出成形機にて成形し評価用成形品を得た。その評価結果を表2に示す。該樹脂ペレットは、メタクリル酸メチル単位とアクリル酸メチル単位からなるメタクリル系樹脂87.4質量%と、アクリル酸ブチル単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエン単位からなる重合体ブロック(b)とを有する星型ブロック共重合体12.6質量%とを含有し、該ブロック共重合体が粒子径0.7μmでメタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散してなるメタクリル系樹脂組成物であった。
Figure 0005248427
表2から、重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合の量が多すぎる場合、ブロック共重合体の分散粒子径が大きい場合、またはトルエン膨潤指数が高すぎる場合には、表面光沢が良好でなく、耐衝撃性と曲げ弾性とのバランスも若干悪いことがわかる。また、トルエン膨潤指数が低すぎる場合は、耐衝撃性の向上効果が小さいことがわかる。一方、重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合の量、アセトン不溶分のトルエン膨潤指数、およびブロック共重合体の分散粒子径が、本発明の範囲内にあるメタクリル系樹脂組成物(実施例1および2)は、耐衝撃性および曲げ弾性に優れており、しかも表面光沢が良好であることがわかる。
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、メタクリル系樹脂が有する優れた耐候性、透明性、耐擦傷性、剛性、更には表面光沢性を犠牲にすることなく、耐衝撃性が改良された成形品を提供できる。該成形品は、看板部品、ディスプレイ部品、照明部品、インテリア部品、建築部品、輸送機器部品、電子機器部品、医療機器部品、機器関係部品、光学関係部品、交通関係部品、フィルム部材、家電製品用部材などに適用することができる。

Claims (3)

  1. メタクリル酸メチル単位を50質量%以上有するメタクリル系樹脂と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)とを含有し、
    該重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合の量が50mol%以下であり、
    該ブロック共重合体が粒子径2μm以下で該メタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散しており、且つ
    アセトン不溶分のトルエン膨潤指数が7〜20であるメタクリル系樹脂組成物。
  2. 前記ブロック共重合体はガラス転移温度が0℃以下である重合体ブロック(a)45〜75質量%とガラス転移温度が0℃以下である重合体ブロック(b)25〜55質量%とを有し、且つ該ブロック共重合体の屈折率が1.48〜1.50である請求項1に記載の記載のメタクリル系樹脂組成物。
  3. (メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体を、メタクリル酸メチルを50質量%以上含有する単量体混合物に溶解し、せん断下で該単量体混合物の重合を行い、重合途中において単量体混合物の重合によって得られるメタクリル系樹脂溶液相とブロック共重合体溶液相とを相反転させることを含む、請求項1または2に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法。
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