JPH1060058A - 塗料用フッ素樹脂 - Google Patents

塗料用フッ素樹脂

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JPH1060058A
JPH1060058A JP15258297A JP15258297A JPH1060058A JP H1060058 A JPH1060058 A JP H1060058A JP 15258297 A JP15258297 A JP 15258297A JP 15258297 A JP15258297 A JP 15258297A JP H1060058 A JPH1060058 A JP H1060058A
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JP
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fluorine
monomer
fluororesin
mol
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Application number
JP15258297A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Maeda
一彦 前田
Yukio Ikeda
幸夫 池田
Kentaro Tsutsumi
憲太郎 堤
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Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬化型フッ素樹脂塗料のビヒクルとして使用
するフッ素樹脂であって、溶剤溶解性、耐候性、架橋特
性、さらに各種基材との密着性に優れた生産効率の高い
フッ素樹脂を提供する。 【解決手段】 フルオロオレフィンとペルオキシ基を有
する単量体を共重合してなるフッ素系共重合体[A]1
00重量部と炭化水素系単量体[B]1〜200重量部
を[A]のペルオキシ基を開始点としてグラフト反応さ
せて得られたフッ素系グラフト樹脂であって、ヒドロキ
シ基、カルボキシル基またはアルコキシシリル基を有す
る、有機溶剤に可溶な塗料用フッ素樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機溶剤に可溶の
塗料用フッ素樹脂に関する。
【0002】
【従来技術】従来からフッ素系共重合体の優れた耐候性
を利用したフッ素樹脂塗料が工業化されている。特に最
近になって硬化部位を持った溶剤可溶型のフッ素系共重
合体が合成され(たとえば特開昭57−34107号公
報、特開昭61−57609号公報など)、建築、自動
車、化学工業などの分野における耐候性塗料として数多
く応用されている。これらの塗料樹脂の主成分はクロロ
トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンあるい
はフッ化ビニリデンなどをフッ素系原料とし、共重合成
分としてカルボン酸ビニルエステルやビニルエーテルな
どの炭化水素系モノマーを使用することによって樹脂の
溶解性を増大させたものである。
【0003】一方これらの工業的経済性、下地との密着
性、塗膜硬度などの観点からフッ素樹脂にグラフト反応
を行う研究開発(例えば、特開昭59−41315号公
報、特開昭61−247717号公報、特開昭62−2
95914号公報)が行われているが、フッ素樹脂中に
含まれる反応性二重結合をグラフトモノマーと共重合す
る場合が多く、グラフト結合していない低分子量体が多
く生成したり、反応が多段化し経済的メリットが十分で
ないなど解決すべき問題点が残されていた。また含フッ
素アクリル樹脂のグラフト体の例(特開昭61−436
67号公報、特開平02−58513号公報)も報告さ
れているが、原料が高価であり、かつ耐候性も十分でな
い欠点があった。さらに、特開昭58−206615号
公報ではフッ素樹脂にペルオキシ基を含有させたグラフ
ト重合が報告されているが、グラフトモノマーもフッ素
樹脂であり、塗料用樹脂としての溶解性や経済メリット
に欠点が残されていた。
【0004】また、特開平6−25595号公報には、
フッ化ビニリデンとt−ブチルパーオキシアリルカーボ
ネートを共重合させて得られたペルオキシ基を有するフ
ッ化ビニリデン系重合体にメタクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチルおよびメタクリル酸ヒドロキシエチルをグラ
フト共重合させたグラフト樹脂にポリフッ化ビニリデン
とアクリル樹脂と溶剤を配合したコーティング用組成物
が開示されている。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、硬化型フッ
素樹脂塗料のビヒクルとして使用するフッ素樹脂であっ
て、溶剤溶解性、耐候性、架橋特性、さらに各種基材と
の密着性に優れた生産効率の高いフッ素樹脂を提供す
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、フルオロ
オレフィンに炭化水素系単量体を共重合させて溶剤可溶
型フッ素樹脂を製造する方法について検討したところ、
予めフッ素系共重合体中にペルオキシ基を導入した溶剤
可溶型フッ素樹脂に、そのペルオキシ基を開始点とした
グラフト重合で炭化水素系単量体をさらに共重合させる
と、溶剤溶解性、耐候性、架橋特性、さらに各種基材と
の密着性に優れた生産効率性の高い塗料用フッ素樹脂が
得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明は、フルオロオレフィンと
ペルオキシ基を有する単量体を共重合してなるフッ素系
共重合体[A]100重量部と炭化水素系単量体[B]
1〜200重量部をフッ素系共重合体[A]のペルオキ
シ基を開始点としてグラフト反応させて得られたフッ素
系グラフト樹脂であって、ヒドロキシ基、カルボキシル
基またはアルコキシシリル基を有する、有機溶剤に可溶
な塗料用フッ素樹脂である。
【0008】以下に発明を詳細に説明する。本発明にか
かるフッ素系共重合体[A]のフルオロオレフィンに基
づく構造単位は、エチレンの水素原子の少なくとも一つ
がフッ素原子で置換され、任意に他の1〜3個の水素原
子がハロゲン(フッ素、塩素、臭素)、フルオロメチル
基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等で置
換されたフルオロオレフィンに基づき、それらのフルオ
ロオレフィンとしては例えばクロロトリフルオロエチレ
ン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ
化ビニル、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロ
ペン、ヘキサフルオロイソブテンなどを挙げることがで
き、クロロトリフルオロエチレンが特に好ましい。これ
らは二種類以上を併せて使用することもできる。フルオ
ロオレフィンのフッ素系共重合体[A]中の共重合比
は、必ずしも制限されないが、耐候性の低下は好ましく
ないので全単量体量の20モル%以上、好ましくは40
モル%以上であり、溶剤溶解性を維持するために70モ
ル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。
【0009】またフッ素系共重合体[A]に使用するペ
ルオキシ基を有する単量体としては各種の不飽和ペルオ
キシエステルまたはペルオキシカーボネートなどが挙げ
られるが、具体的には、t−ブチルペルオキシメタクリ
レート、ジ(t−ブチルペルオキシ)フマレート、t−
ブチルペルオキシクロトネート、t−ブチルペルオキシ
アリルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシアリルカ
ーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペル
オキシアリルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタ
リルカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチ
ルペルオキシメタリルカーボネート、p−メンタンペル
オキシアリルカーボネート、p−メンタンペルオキシメ
タリルカーボネートなどが例示される。これらのペルオ
キシ基含有単量体のフッ素系共重合体[A]中の共重合
比は特に制限されないが、0.01〜15モル%の範囲
で使用することが好ましい。0.01モル%未満ではグ
ラフト開始点の量として不十分であり、グラフト反応性
が低いばかりでなく、高分子量化によって溶解性が乏し
くなってしまう。また15モル%を超えるとグラフト開
始点量が多すぎるために、耐候性に支障を来すことがあ
り好ましくない。
【0010】本発明にかかるフッ素系共重合体[A]に
使用されるその他の重合性単量体としてはフッ素樹脂の
溶剤可溶化を目的として共重合されるものであればよく
特に限定されず、カルボン酸ビニルエステル、ビニルエ
ーテル、オレフィン、アリルエーテルなどが好ましく採
用されるが、グラフト部との相溶性を保つ為にはカルボ
ン酸ビニルエステルが特に好ましい。カルボン酸ビニル
エステルとしては、具体的には、炭素数2〜22の分岐
を有することもある脂肪酸または置換基を有することも
ある脂環式または芳香族カルボン酸のビニルエステルで
あり、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸
ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリ
ル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、
パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチッ
ク9酸ビニル、バーサチック10酸ビニル、安息香酸ビ
ニル等が挙げられる。カルボン酸ビニルエステルはフッ
素系共重合体[A]を重合する単量体のうち、20〜7
0モル%であることが好ましく、30〜60モル%であ
ることがより好ましい。20モル%未満ではフッ素系共
重合体[A]のグラフト重合溶媒への溶解性が低くなる
ことがあり、70モル%を超えるとフッ素系共重合体
[A]から調製された塗膜の耐候性が低くなり好ましく
ない。またビニルエーテルとしては、例えばメチルビニ
ルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエー
テル、シクロヘキシルビニルエーテルなどが挙げられ
る。また、アリルエーテルとしては、例えばエチルアリ
ルエーテル、ブチルアリルエーテル、ベンジルアリルエ
ーテル、シクロヘキシルアリルエーテルなどがあげられ
る。
【0011】またフッ素系共重合体[A]中に架橋部位
を導入する目的でヒドロキシ基、カルボキシル基、アル
コキシシリル基またはその他の官能基を有する単量体を
使用できる。フッ素系共重合体[A]中に共重合される
ヒドロキシ基含有単量体として、アリルアルコール、エ
チレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリ
コールモノアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエ
ーテルなどの炭素数2〜8のヒドロキシアルキル基を有
するヒドロキシアルキルアリルエーテル類、ジエチレン
グリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコー
ルモノアリルエーテルなどの炭素数4〜40のアルキレ
ングリコール基を有するアルキレングリコールモノアリ
ルエーテル類、ヒドロキシメチルビニルエーテル、ヒド
ロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニル
エーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル、ヒドロ
キシヘキシルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキル
ビニルエーテル類、ジエチレングリコールモノビニルエ
ーテルなどのポリエチレングリコールモノビニルエーテ
ル類、クロトン酸ヒドロキシエチルなどのクロトン酸変
性化合物などが挙げられる。これらのうち、上記したア
リルアルコール、ヒドロキシアルキルアリルエーテル
類、アルキレングリコールモノアリルエーテル類などが
特に好ましい。これらのヒドロキシ基含有アリルエーテ
ルはフッ素系共重合体[A]を重合する単量体として必
ずしも必須ではないが、フッ素系共重合体[A]を重合
する単量体のうち1〜30モル%であることが好まし
く、5〜25モル%であることがより好ましい。また、
1モル%未満ではフッ素系共重合体[A]から調製され
た塗膜の硬化が不十分となって耐候性が低くなることが
あり、30モル%を超えるとフッ素系共重合体[A]か
ら調製された塗膜の耐水性、耐候性が低くなり好ましく
ない。
【0012】また、カルボキル基含有単量体としては、
炭素数2〜12の不飽和脂肪族カルボン酸、例えばビニ
ル酢酸、ウンデシレン酸、クロトン酸、アクリル酸、メ
タクリル酸などの不飽和カルボン酸が使用できる。これ
らの不飽和カルボン酸としては、フッ素系共重合体
[A]を重合する単量体のうち0.1〜10モル%であ
ることが好ましく、0.2〜5モル%であることがより
好ましい。また、0.1モル%未満では塗料の顔料分散
性が悪くなることがあり、10モル%を超えるとフッ素
系共重合体[A]から調製された塗膜の耐候性が低くな
り好ましくない。
【0013】さらにフッ素系共重合体[A]中にはアル
コキシシリル基を有した単量体も使用でき、具体的に
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ランなどのビニルアルコキシシランやビニルモノ(ある
いはジ)アルコキシシランが挙げられる。また、エポキ
シ基を有する単量体も使用でき、アリルグリシジルエー
テルが挙げられる。
【0014】ヒドロキシ基、カルボキシル基またはアル
コキシシリル基はフッ素系共重合体[A]または炭化水
素系単量体[B]中の少なくとも一方に含有されていれ
ばよいが、耐候性の向上や屈曲性を発現させるためには
フッ素系共重合体[A]炭化水素系単量体[B]の両方
にヒドロキシ基またはカルボキシル基が含まれているの
が好適である。
【0015】さらに本発明ではフッ素系共重合体[A]
の少なくとも一部に、グラフト部との相溶性を向上させ
る目的でεカプロラクトン変性のビニルエーテルまたは
アリルエーテル、βケトエステル基を含有するビニルま
たはアリル化合物が好適に使用される。具体的にはヒド
ロキシアルキル基にεカプロラクトンを開環付加させて
得られる−C(=O)(CH25O−基を有するεカプ
ロラクトン変性のビニルエーテルまたはアリルエーテル
が挙げられ、市販品としてはダイセル化学製プラクセル
などがある。またβケトエステル基を含有するビニルま
たはアリル化合物としては、側鎖としてアセトアセトキ
シ基[−OC(=O)CH2C(=O)CH3]を有する
アセト酢酸アリルなどが好ましく使用される。これらの
極性モノマーの導入によって、フッ素系共重合体[A]
はグラフト部との相溶性が向上し、フッ素含有量が高く
ても光沢や耐候性の高い塗膜が得られる。また、βケト
エステル基を含有する単量体の使用によって、硬化剤と
してポリイソシアネートやメラミン系硬化剤の他にも金
属アルコキシドやキレート系硬化剤、ヒドラジン系化合
物の使用が可能になる。
【0016】さらに、分子中に2級のヒドロキシ基を有
するグリセリンモノアリルエーテルは、使用量が少なく
て高いOH価を導入できること、2級ヒドロキシ基は硬
化時の反応性が低くヒドロキシ基として塗膜中に残存
し、塗膜表面の親水化による耐汚染性向上に効果的であ
ることから好ましく使用される。
【0017】本発明の塗料用フッ素樹脂の好ましい実施
態様を例示するならば、フッ素系共重合体[A]がフル
オロオレフィン、ペルオキシ基含有アリル化合物、カル
ボン酸ビニルエステル、ヒドロキシ基含有アリル化合
物、不飽和カルボン酸を共重合させて得られた共重合体
であって、フルオロオレフィン20〜70モル%、ペル
オキシ基含有アリル化合物0.01〜15モル%、カル
ボン酸ビニルエステル20〜70モル%、ヒドロキシ基
含有アリル化合物1〜30モル%、不飽和カルボン酸
0.1〜10モル%、炭化水素系単量体[B]が(メ
タ)アクリル酸エステル、ヒドロキシ基含有(メタ)ア
クリル酸エステルまたはアルコキシシリル基含有(メ
タ)アクリル酸エステルから選ばれた一種以上の単量体
と任意に0〜50モル%の他の共重合可能な単量体から
なるフッ素樹脂を挙げることができるが、勿論これに限
られる訳ではない。
【0018】これらの単量体によって共重合されるフッ
素系共重合体[A]の製造方法としては、溶液重合、バ
ルク重合、懸濁重合、乳化重合が好ましいが、第2段目
のグラフト反応のためには溶剤可溶化する必要があるこ
とから、溶液重合が特に好適である。この際の溶媒とし
ては、水やアルコール系化合物をはじめとして、n−ヘ
キサン、n−ヘプタンなどの飽和炭化水素系、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素系、トリクロロトリ
フルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタンなどの
フッ素系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチル
などのエステル系、さらに石油系溶剤であるミネラルス
ピリット、ターペン系溶剤などが使用できる。また、こ
れらは一種以上を併用することもできる。
【0019】ここで使用できる前記ラジカル開始剤とし
ては、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−
2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートなどのジ
カーボネート類、またはn−ヘプタフルオロブチリック
パーオキシド、ラウロイルパーオキシピバレート、t−
ブチルオキシネオデカノエートなどのジアシルパーオキ
シド類、ジーt−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミ
ルパーオキシドなどのアルキルパーオキシド類、t−ブ
チルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオ
デカノエートなどのパーオキシエステル類などが具体的
に挙げられるが、フッ素系共重合体[A]中に共重合し
たペルオキシ基よりも低い温度で分解するラジカル開始
剤を選択する必要がある。
【0020】一方、本発明にかかるグラフト反応はフッ
素系共重合体[A]中に共重合せしめたペルオキシ基の
分解によるラジカルを開始点として炭化水素系単量体
[B]の重合を進行させたものであり、その反応形態は
溶剤可溶化した共重合体(フッ素系共重合体[A])と
単量体(炭化水素系単量体[B])の共存下における溶
液重合である。したがって、フッ素系共重合体[A]を
溶液重合で製造した場合は、重合後ただちに炭化水素系
単量体[B]を反応器に導入してグラフト化できるた
め、製造が簡略化でき、経済的メリットが大きい。ま
た、新たに重合開始剤を共存させる必要もないことが大
きな特徴である。
【0021】本発明にかかる炭化水素系単量体[B]
は、塗料用アクリル樹脂の製造に通常使用される(メ
タ)アクリル酸エステルがであればよく特に制限されな
いが、炭素数1〜22の分岐を有することもあるアルキ
ル基、置換基を有することもあるシクロアルキル基また
は芳香族基と(メタ)アクリロイル基からなり、具体的
に好適な(メタ)アクリル酸エステルを例示すると、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−tert−ブ
チル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘ
キシル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸イソオ
クチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸トリデシル、ア
クリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジルアクリ
ル酸、イソボルニル、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸シ
クロヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリ
ル酸−n−オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタ
クリル酸ノニル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル
酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソ
ボルニルなどが挙げられる。
【0022】また、一般式Rf−CH2−OH(Rfは
炭素数1〜30のパーフルオロアルキル基を表す。)で
表される含フッ素アルコールと(メタ)アクリル酸のエ
ステル、例えば、n−C817CH2−O−C(=O)C
H=CH2、n−C817CH 2−O−C(=O)C(−
CH3)=CH2、CF3C(−CF3)H−O−C(=
O)CH=CH2、CF3C(−CF3)H−O−C(=
O)C(−CH3)=CH 2や、一般式(CH33Si−
(O−Si(CH22n−OH(nは整数を表す)で
表されるアルコールと(メタ)アクリル酸のエステル、
例えば(CH33Si−(O−Si(CH32m−O
−C(=O)CH=CH2(mは平均約10である。以
下同じ。)、(CH33Si−(O−Si(CH32
m−O−C(=O)C(CH3)=CH2を使用すること
もできるが、これらを使用すると得られた塗料用フッ素
樹脂から形成された被膜は撥水性に優れるという特徴を
示す。
【0023】また、本発明にかかる炭化水素系単量体
[B]は、(メタ)アクリル酸エステルはヒドロキシ基
含有(メタ)アクリル酸エステルでもよく、炭素数1〜
22の分岐を有することもあるヒドロキシアルキル基、
ヒドロキシ基を有しさらに他の置換基を有することもあ
るシクロアルキル基または芳香族基と(メタ)アクリロ
イル基からなり、具体的には、ヒドロキシメチル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ
ブチル(メタ)アクリレートなどが例示できる。
【0024】さらに、γ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジ
メトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシ
ランなどのアルコキシシリル基を有するもの、グリシジ
ル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を有するもの
も使用することができる。
【0025】他の共重合可能な単量体としては、アクリ
ロニトリル、芳香族ビニル化合物としてスチレン、オレ
フィンとしてエチレン、プロピレン、ブテンなども使用
できる。その他、フッ素系共重合体[A]で使用可能な
単量体として例示したカルボン酸ビニルエステル、ビニ
ルエーテルなどの通常の汎用モノマーも使用できる。
【0026】また他の共重合可能な単量体としては、ヒ
ドロキシ基、カルボキシル基含有単量体でもよく、フッ
素系共重合体[A]に使用可能な重合性単量体として例
示したヒドロキシ基含有のアリルエーテル、ビニルエー
テルも使用できる。
【0027】炭化水素系単量体[B]としては、(メ
タ)アクリル酸エステル、ヒドロキシ基含有(メタ)ア
クリル酸エステルまたはアルコキシシリル基含有(メ
タ)アクリル酸エステルを50モル%以上使用すること
が好ましく、任意に上記した他の共重合可能な単量体を
併用してもよい。
【0028】これらの炭化水素系単量体[B]のグラフ
ト量はフッ素系共重合体[A]100重量部に対して1
〜200重量部である。1重量部未満では、経済性、塗
膜硬度、密着性などのグラフト効果がでにくく、また2
00重量部を超えるとフッ素含有量が減り耐候性が低下
してしまうので好ましくない。
【0029】本発明の塗料用フッ素樹脂では、予めフッ
素系共重合体[A]の装填された重合器に炭化水素系単
量体[B]を添加し、フッ素系共重合体[A]に含まれ
るペルオキシ基分解に必要な温度に昇温するだけで反応
が進行するが、この際、フッ素系共重合体[A]を製造
する場合に例示した有機溶剤をさらに追加することもで
きる。
【0030】このようにして製造された、他に架橋部位
を有しないフッ素系グラフト樹脂の望ましいヒドロキシ
価は10〜180mgKOH/gである。10mgKO
H/g未満では架橋部位が少なく塗膜の耐候性に欠け、
180mgKOH/g以上を超えると必要な硬化剤が多
すぎるので、やはり耐候性が十分でない。また酸価とし
ては0.1〜80mgKOH/gの範囲が好ましい。
0.1mgKOH/g未満では顔料分散性や架橋性が低
く80mgKOH/gを超えると耐水性が低下してしま
う。これらのヒドロキシ基またはカルボキシル基はフッ
素系共重合体[A]、炭化水素系単量体[B]の少なく
とも一方に含まれておればよく、両方に含まれていても
よい。架橋部位としてアルコキシシリル基などを導入さ
れた場合には必ずしも上記範囲である必要はない。
【0031】本発明にかかるフッ素系共重合体[A]の
分子量は、1,000〜30,000(数平均分子量;
スチレン換算)が好ましく、3,000〜15,000
がより好ましい。1,000未満では、塗膜の耐候性や
柔軟性が低下し、30,000を超えると溶解性が低下
してグラフト重合が困難になるので好ましくない。ま
た、本発明のフッ素系グラフト共重合体の分子量は特に
制限されないが、要求される塗膜の強度や柔軟性によっ
て2,000〜50,000の範囲で使用することが望
ましい。ここで2,000以下場合は塗膜の耐候性や柔
軟性が低下し、また50,000以上の場合は塗料化に
おいて高粘度となったり、溶解性が低下したり、取扱い
にくい欠点が生じる。
【0032】本発明の塗料用フッ素樹脂は、溶剤と共に
使用される。溶剤としては、トルエン、キシレン、エチ
ルベンゼン、ベンゼン、メチルイソブチルケトン、ブチ
ルアセテート、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコー
ル、ジイソブチルケトン、ブチロラクトン、テトラエチ
ルウレア、イソホロン、トリエチルホスフェート、カル
ビトールアセテート、プロピレンカーボネート、ジメチ
ルフタレート、アセトン、テトラヒドロフラン、メチル
エチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、テトラメチルウレア、トリメチルホスフェー
ト、ペンタン、メタノール、ヘキサン、イソプロピルア
ルコール、エタノール、デカンなどとともに混合溶剤と
しても使用できる。
【0033】本発明のフッ素樹脂は、ポリイソシアネー
ト、ブロックイソシアネート、メラミン樹脂、シラノー
ル縮合触媒などを硬化剤として硬化型フッ素樹脂塗料と
して使用できる。
【0034】ポリイソシアネートとしては特に限定され
ないが、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(H
DI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,1
1−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリ
メチルヘキサンジイソシアネート、2,6−ジイソシア
ネートメチルカプロエート(LDI)、ビス(2−イソ
シアネートエチル)フマレート、ビス(2−イソシアネ
ートエチル)カーボネート、2−イソシアネートエチル
−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、イソホロ
ンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート(MDI)、ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキ
シレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイ
ソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアネー
トエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキ
シレート、キシリレンジイソシアネート(XD1)、ジ
エチルベンゼンジイソシアネート、トルエンジイソシア
ネート(TDI)、またこれらから調製される、ウレタ
ンアダクト、ビュレット体、イソシアヌレート、ブロッ
クイソシアネート、ウレタンプレポリマーなど、たとえ
ば、HDIの水変成物、TDI2量体、TDIトリメチ
ロールプロパンアダクト(L)、HMDI−ビウレット
体、L−フェノールブロック体、IPDIの3量化物な
どおよびこれらの粗製物または2種以上の混合物が挙げ
られる。
【0035】本発明のフッ素樹脂塗料用組成物において
は、上記ポリイソシアネートを選択して使用すれば良い
が、通常の場合変色は好まれないので、無黄変型または
難黄変型といわれるイソシアネート基がベンゼン核に隣
接していないもの、例えば、HDI、XDI、LDIな
どの脂肪族ジイソシアネートまたはIPDI、水添MD
I、水添XDIなどの脂環式イソシアネートが好まし
く、また、これらのポリイソシアネートから調製され
る、ウレタンアダクト、ビュレット体、イソシアヌレー
ト、ブロックイソシアネート、ウレタンプレポリマーな
ども好ましく使用できる。
【0036】具体的にはポリイソシアネートとして、日
本ポリウレタン工業のTP−100、TP−703、住
友バイエルウレタンのTPLS2071、旭化成工業の
デュラネートTSA−100、同TPA−100などが
あげられるがこれらに限定されるものではない。
【0037】メラミン樹脂としては、メラミン、尿素、
アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ステログアナミ
ンまたはスピログアナミンなどのアミノ基含有化合物と
ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアル
デヒドまたはグリオキサゾールなどのアルデヒド類とを
慣用の方法で反応させた縮合物またはこれらの縮合物を
アルコール類で少なくとも一部をエーテル化させたもの
などが挙げられるがこれらに限られない。
【0038】アミノ樹脂を具体的に例示すれば、ヘキサ
メチルエーテル化メチロールメラミン、ヘキサブチルエ
ーテル化メチロールメラミン、メチルブチルエーテル化
メチロールメラミン、メチルエーテル化メチロールメラ
ミン、ブチルエーテル化メチロールメラミンまたはイソ
ブチルエーテル化メチロールメラミンまたはこれらの縮
合物を挙げることができる。
【0039】アルコキシシリル基を有する場合のシラノ
ール縮合触媒としては、ジブチルスズジラウレート、ス
ズジオクチレート、ジブチルスズマレエートなどのカル
ボン酸型スズ化合物、ジブチルスズサルファイド、ジブ
チルスズジオクチルメルカプチドなどのスルフィド型ま
たはメルカプチド型の含硫黄系有機スズ化合物、モノメ
チル酸性リン酸エステルなどの酸性リン酸エステル、ア
ジピン酸、マレイン酸、クエン酸などのカルボン酸、γ
−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリエチルアミ
ンなどのアミノ基含有化合物、イソプロピルトリイソス
テアロイルチタネートなどの有機チタネート系化合物な
どが挙げられる。
【0040】これらの硬化剤を添加して塗装した塗膜は
強靱で耐候性に優れた架橋塗膜となる。
【0041】本発明の塗料用フッ素樹脂は、通常の樹脂
と同様に塗料化が可能であり、顔料や染料を適宜添加す
ることができ、またその際、紫外線吸収剤、光安定剤、
防錆剤、分散剤、垂れ止め剤、防カビ剤、レベリング剤
なども添加可能である。
【0042】また、塗料化に際しては他の樹脂、例えば
フッ素系ポリオール、アルコキシシランを有する他のフ
ッ素樹脂、アクリルシリコン、アクリル系ポリオール、
ポリビニルエステル、シリコーン系化合物、ポリアルキ
レングリコール、アルキッド樹脂なども適宜添加可能で
ある。
【0043】以下、本発明を実施例によって具体的に説
明するが、本発明の実施態様はこれらに限られない。実
施例において別途注のない限り「部」は「重量部」を表
す。
【0044】
【実施例】 実施例1 電磁攪拌機付きの内容量3.5リットルのSUS製オー
トクレーブにピバリン酸ビニル193g(フッ素系共重
合体[A]成分の25モル%)、バーサチック9酸ビニ
ル88g(フッ素系共重合体[A]成分の8モル%)、
エチレングリコールモノアリルエーテル92g(フッ素
系共重合体[A]成分の15モル%)、t−ブチルペル
オキシアリルカーボネート10g(フッ素系共重合体
[A]成分の1モル%)、ウンデシレン酸11g(フッ
素系共重合体[A]成分の1モル%)、t−ブチルパー
オキシピバレート5g、セライト10gを仕込み、窒素
ガスで脱気置換を3回繰り返し脱気した後、クロロトリ
フルオロエチレン350g(フッ素系共重合体[A]成
分の50モル%)を仕込み、55℃で18時間重合を行
った。
【0045】次に、未反応モノマーを脱気し、メタクリ
ル酸メチル225g、ヒドロキシエチルメタクリレート
33g、キシレン400gを減圧添加し、100℃で6
時間グラフト重合を行った。重合後内容物を取り出しろ
過した後、濃度を調節して固形分55%の透明なフッ素
系グラフト樹脂ワニスを得た。得られた樹脂のヒドロキ
シ価および酸価を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】実施例2〜5 実施例1と同様にして、表1に示した単量体組成で重合
を行った。いずれの場合も重合終了後、内容物を取り出
しろ過し、濃度を調節して55%の透明なフッ素系グラ
フト樹脂ワニスとした。得られた樹脂のヒドロキシ価お
よび酸価を表1に示す。
【0048】比較例1 実施例1と同様にして、電磁攪拌機付きの内容量3.5
リットルのSUS製オートクレーブに表2に示すように
ピバリン酸ビニル193g(26モル%)、バーサチッ
ク9酸ビニル88g(8モル%)、エチレングリコール
モノアリルエーテル92g(15モル%)、ウンデシレ
ン酸11g(1モル%)、t−ブチルパーオキシピバレ
ート5g、セライト10gを仕込み、窒素ガスで脱気置
換を3回繰り返し脱気した後、クロロトリフルオロエチ
レン350g(50モル%)を仕込み、55℃で18時
間重合を行った。この重合ではペルオキシ基含有単量体
は使用していない。
【0049】次に、未反応モノマーを脱気し、メタクリ
ル酸メチル225g、ヒドロキシエチルメタクリレート
33g、キシレン400gを減圧添加し、100℃で6
時間グラフト重合を行った。重合後内容物を取り出しろ
過した後、濃度を調節して固形分55%の不透明なフッ
素系樹脂ワニスを得た。
【0050】比較例2〜4 実施例1と同様にして、表2に示す単量体組成でフッ素
系共重合体[A]を重合し、次いでフッ素系グラフト樹
脂を重合した。比較例2では、ヒドロキシ基含有単量
体、カルボキシル基含有単量体を用いなかった。比較例
3では、フッ素系共重合体[A]100部に対して炭化
水素系単量体[B]が約210部になるようにグラフト
重合を行った。比較例4ではフッ素系共重合体[A]の
重合にペルオキシ基含有単量体を用いず、グラフト反応
は行わなかった。
【0051】応用例1 実施例1で得られたグラフト樹脂ワニスの固形分換算1
00部に対して酸化チタンCR−90を100部ミル分
散し、TPA100(旭化成工業製ヘキサメチレンジイ
ソシアネート三量体)を18部加えてアルミニウム板お
よび各種下地すなわち、フッ素樹脂塗膜(セフラルコー
トA202B)、アクリルウレタン塗膜(A801)、
アクリルシリコン塗膜(アレスシリコン)、ポリフッ化
ビニリデン系焼き付け塗膜(カイナー)、アルキッド樹
脂塗膜上にスプレー塗装し、常温で7日間硬化させた。
膜厚は約43ミクロンであった。アルミニウム板上の塗
膜の促進耐候性、鉛筆硬度、屋外暴露による耐汚染試験
(色差)および各種下地上への塗膜の煮沸密着試験を行
った。結果を表3に示す。
【0052】
【表2】
【0053】応用例2〜4 実施例2〜4で得られたフッ素系グラフト樹脂ワニスを
用いて応用例1と同様に白色エナメル化し、表3に示す
量のTPA100を添加して、アルミニウム板および各
種下地すなわち、フッ素樹脂塗膜(セフラルコートA2
02B)、アクリルウレタン塗膜(A801)、アクリ
ルシリコン塗膜(アレスシリコン)、ポリフッ化ビニリ
デン系焼き付け塗膜(カイナー)、アルキッド樹脂塗膜
上にスプレー塗装し、常温で7日間硬化させた。膜厚は
それぞれ約41、約40、約42ミクロンであった。ア
ルミニウム板上の塗膜の促進耐候性、鉛筆硬度、屋外暴
露による耐汚染試験(色差)および各種下地上への塗膜
の煮沸密着試験を行った。結果を表3に示す。
【0054】応用例5 実施例5で得られたフッ素系グラフト樹脂ワニスを用い
て応用例1と同様に白色エナメル化し、表3に示す通り
ジブチルスズジラウレート1部を添加して、アルミニウ
ム板および各種下地すなわち、フッ素樹脂塗膜(セフラ
ルコートA202B)、アクリルウレタン塗膜(A80
1)、アクリルシリコン塗膜(アレスシリコン)、ポリ
フッ化ビニリデン系焼き付け塗膜(カイナー)、アルキ
ッド樹脂塗膜上にスプレー塗装し、常温で7日間硬化さ
せた。膜厚は約41ミクロンであった。アルミニウム板
上の塗膜の促進耐候性、鉛筆硬度、屋外暴露による耐汚
染試験(色差)および各種下地上への塗膜の煮沸密着試
験を行った。結果を表3に示す。この応用例ではPVD
F塗膜に対しては密着性が十分ではないが他の評価は優
れたものであった。
【0055】比較応用例1 比較例1で得られたフッ素系グラフト樹脂を応用例1と
同様に白色エナメル化し、表3に示す量のTPA100
を添加して、アルミニウム板および各種下地すなわち、
フッ素樹脂塗膜(セフラルコートA202B)、アクリ
ルウレタン塗膜(A801)、アクリルシリコン塗膜
(アレスシリコン)、ポリフッ化ビニリデン系焼き付け
塗膜(カイナー)、アルキッド樹脂塗膜上にスプレー塗
装し、常温で7日間硬化させた。膜厚は約44ミクロン
であった。アルミニウム板上の塗膜の促進耐候性、鉛筆
硬度、屋外暴露による耐汚染試験(色差)および各種下
地上への塗膜の煮沸密着試験を行った。結果を表3に示
す。
【0056】比較応用例2〜4 比較例2〜4で得られたフッ素系(グラフト)樹脂を応
用例1と同様に白色エナメル化し、TPA100を添加
して、アルミニウム板および各種下地すなわち、フッ素
樹脂塗膜(セフラルコートA202B)、アクリルウレ
タン塗膜(A801)、アクリルシリコン塗膜(アレス
シリコン)、ポリフッ化ビニリデン系焼き付け塗膜(カ
イナー)、アルキッド樹脂塗膜上にスプレー塗装し、常
温で7日間硬化させた。膜厚はそれぞれ約40、約4
1、約44ミクロンであった。アルミニウム板上の塗膜
の促進耐候性、鉛筆硬度、屋外暴露による耐汚染試験
(色差)および各種下地上への塗膜の煮沸密着試験を行
った。結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】<評価方法> ・耐候性:サンシャインウエザオメータ5000時間に
よる促進試験(試験前後の60度光沢保持率)。 ・鉛筆硬度:JISK5400に準拠して試験。 ・色差:耐汚染性試験(△E測定)。屋外曝露6カ月間
を行い、曝露前後の色差(JIS−8730)を測定。
曝露場所:埼玉県川越市。 ・煮沸密着試験:各種塗膜を下塗りにした塗膜を作製
し、沸騰水中で5時間煮付める。その後にコインスクラ
ッチ試験にて密着性を判定。
【0059】○上塗り/下塗りの界面では全くはがれな
い、△コインスクラッチで界面剥離を起こす、×ブリス
ター発生や煮沸で剥離を起こす。
【0060】
【発明の効果】本発明の塗料用フッ素樹脂は、フッ素樹
脂に(メタ)アクリル樹脂が効率よくグラフトされてい
るために、それから調製された塗料の塗膜は表面硬度が
高くかつ各種の塗膜に対して付着性がよいため傷つきに
くく、同時に耐候性、耐汚染性に優れるという顕著な効
果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 220:26)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フルオロオレフィンとペルオキシ基を有す
    る単量体を共重合してなるフッ素系共重合体[A]10
    0重量部と炭化水素系単量体[B]1〜200重量部を
    フッ素系共重合体[A]のペルオキシ基を開始点として
    グラフト反応させて得られたフッ素系グラフト樹脂であ
    って、ヒドロキシ基、カルボキシル基またはアルコキシ
    シリル基を有する、有機溶剤に可溶な塗料用フッ素樹
    脂。
  2. 【請求項2】フッ素系共重合体[A]がフルオロオレフ
    ィン、ペルオキシ基含有アリル化合物、カルボン酸ビニ
    ルエステル、ヒドロキシ基含有アリル化合物、不飽和カ
    ルボン酸を共重合させて得られた共重合体であって、フ
    ルオロオレフィン20〜70モル%、ペルオキシ基含有
    アリル化合物0.01〜15モル%、カルボン酸ビニル
    エステル20〜70モル%、ヒドロキシ基含有アリル化
    合物1〜30モル%、不飽和カルボン酸0.1〜10モ
    ル%であることを特徴とする請求項1記載の塗料用フッ
    素樹脂。
  3. 【請求項3】炭化水素系単量体[B]が(メタ)アクリ
    ル酸エステル、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エ
    ステルおよびアルコキシシリル基含有(メタ)アクリル
    酸エステルから選ばれた一種以上の単量体と任意に0〜
    50モル%の他の共重合可能な単量体からなることを特
    徴とする請求項1〜2記載の塗料用フッ素樹脂。
  4. 【請求項4】フッ素系共重合体[A]または炭化水素系
    単量体[B]のいずれかがβケトエステル基を有するこ
    とを特徴とする請求項1〜3記載の塗料用フッ素樹脂。
  5. 【請求項5】フッ素系共重合体[A]または炭化水素系
    単量体[B]のいずれかがεカプロラクトンに由来する
    −C(=O)(CH25O−基を有することを特徴とす
    る請求項1〜4記載の塗料用フッ素樹脂。
  6. 【請求項6】フッ素系共重合体[A]が2級のヒドロキ
    シ基を含有するアリルエーテルに由来する構造単位を有
    する請求項1〜5記載の塗料用フッ素樹脂。
JP15258297A 1996-06-11 1997-06-10 塗料用フッ素樹脂 Pending JPH1060058A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000136342A (ja) * 1998-10-30 2000-05-16 Nof Corp クリアー塗料組成物、クリアー塗装金属板及びその製造方法
JP2004504452A (ja) * 2000-07-26 2004-02-12 ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチエン アルコキシシリル基含有結合剤および結合剤組成物、その製造方法および使用
JP2014513636A (ja) * 2011-02-16 2014-06-05 ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド 反射鏡アセンブリ用のバリヤー材料

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