JP3521054B2 - 粉体塗料用組成物 - Google Patents

粉体塗料用組成物

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JP3521054B2 JP23098697A JP23098697A JP3521054B2 JP 3521054 B2 JP3521054 B2 JP 3521054B2 JP 23098697 A JP23098697 A JP 23098697A JP 23098697 A JP23098697 A JP 23098697A JP 3521054 B2 JP3521054 B2 JP 3521054B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フッ素樹脂系の粉
体塗料用組成物に関する。
【0002】
【従来技術】従来からフッ素系共重合体の優れた耐候性
を利用したフッ素樹脂塗料が工業化されている。特に硬
化部位を持った溶剤可溶型のフッ素系共重合体が合成さ
れ(たとえば特開昭57−34107号公報、特開昭6
1−57609号公報など)、建築、自動車、化学工業
などの分野における耐候性塗料として数多く応用されて
いる。これらの塗料樹脂の主成分はクロロトリフルオロ
エチレン、テトラフルオロエチレンあるいはフッ化ビニ
リデンなどのフッ素系原料であって、さらに共重合成分
としてカルボン酸ビニルエステルやビニルエーテルなど
の炭化水素系モノマーを共重合することによって樹脂の
溶解性を増大させたものである。
【0003】一方、環境対応の観点からこれらのフッ素
樹脂を用いた水系塗料や粉体塗料の開発が行われてい
る。特に粉体塗料の設計上の課題として重要な点は、塗
料粉の保存状態で粉体粒子どうしのブロッキングが起こ
らないようにガラス転移点を高めることが挙げられる。
しかしながら、従来タイプの塗料用フッ素樹脂すなわち
フッ素系の線状分子鎖ではその単量体構成によってガラ
ス転移点を高める工夫をしても約55℃程度が最大であ
りそれ以上にガラス転移点を高めることは困難であっ
た。
【0004】一方、塗料用フッ素樹脂の分野では、これ
らの工業的経済性、下地との密着性、塗膜硬度などの観
点からフッ素樹脂にグラフト反応を行う研究開発(例え
ば、特開昭59−41315号公報、特開昭61−24
7717号公報、特開昭62−295914号公報)が
行われているが、フッ素樹脂中に反応性二重結合を持た
せ、その反応性二重結合を利用してグラフトモノマーと
共重合する場合が多く、重合中にゲル化が生じたり、グ
ラフト結合していない低分子量体が多く生成したり、反
応が多段化し経済的メリットが十分でないなど解決すべ
き問題点が残されていた。また含フッ素アクリル樹脂の
グラフト体の例(特開昭61−43667号公報、特開
平02−58513号公報)も報告されているが、原料
が高価であり、かつ耐候性も十分でない欠点があった。
さらに、特開昭58−206615号公報ではフッ素樹
脂にペルオキシ基を含有させたグラフト重合された例が
報告されているが、グラフト単量体も含フッ素化合物が
使われており、経済性に問題が残されていた。
【0005】また、特開平6−25595号公報には、
フッ化ビニリデンとt−ブチルパーオキシアリルカーボ
ネートを共重合させて得られたペルオキシ基を有するフ
ッ化ビニリデン系重合体にメタクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチルおよびメタクリル酸ヒドロキシエチルをグラ
フト共重合させたグラフト樹脂にポリフッ化ビニリデン
とアクリル樹脂と溶剤を配合したコーティング用組成物
が開示されている。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、耐候性に優
れたフッ素樹脂塗料の特性を維持したまま、耐汚染性、
高い光沢を有する塗膜が形成でき、かつ保存安定性に優
れた塗料を調製することのできるフッ素系グラフト樹脂
並びに粉体塗料用組成物を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、フルオロ
オレフィンに各種の単量体を共重合させてフッ素樹脂を
製造する方法について検討したところ、予めフッ素系共
重合体中にペルオキシ基を導入したフッ素樹脂に、その
ペルオキシ基を開始点として重合性単量体をさらにグラ
フト共重合させることで、種々の官能基を導入すると、
ガラス転移点を容易に高めることができ、得られたグラ
フト共重合体に硬化剤を配合して調製した粉体塗料は保
存安定性に優れ、かつフッ素樹脂の特性である耐候性を
維持したまま、耐汚染性、高光沢の塗膜を調製できるこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、フルオロオレフィンと
ペルオキシ基を有する単量体を共重合してなるフッ素系
共重合体[A]100重量部と重合性単量体[B]1〜
300重量部をフッ素系共重合体[A]のペルオキシ基
を開始点としてグラフト重合させて得られたヒドロキシ
基、カルボキシル基、グリシジル基、アミノ基またはア
ルコキシシリル基の少なくとも一種の官能基を有し、ガ
ラス転移点が56℃以上で数平均分子量が15,000
以下であるフッ素系グラフト樹脂に硬化剤[C]を配合
してなる実質的に有機溶剤を含有しない粉体塗料用組成
物である。
【0009】以下に発明を詳細に説明する。本発明にか
かるフッ素系共重合体[A]のフルオロオレフィンに基
づく構造単位は、エチレンの水素原子の少なくとも一つ
がフッ素原子で置換され、任意に他の1〜3個の水素原
子がハロゲン(フッ素、塩素、臭素)、フルオロメチル
基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等で置
換されたフルオロオレフィンに基づき、それらのフルオ
ロオレフィンとしては例えばクロロトリフルオロエチレ
ン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ
化ビニル、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロ
ペン、ヘキサフルオロイソブテンなどを挙げることがで
き、クロロトリフルオロエチレンやテトラフルオロエチ
レンが特に好ましい。これらは二種類以上を併せて使用
することもできる。フルオロオレフィンのフッ素系共重
合体[A]中の共重合比は、必ずしも制限されないが、
耐候性の低下は好ましくないので全単量体量の20モル
%以上、好ましくは40モル%以上であり、また粉体塗
料としての焼き付け時における表面流動性を確保するた
めに70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより
好ましい。
【0010】またフッ素系共重合体[A]に使用するペ
ルオキシ基を有する単量体としては各種の不飽和ペルオ
キシエステルまたはペルオキシカーボネートなどが挙げ
られるが、具体的には、t−ブチルペルオキシメタクリ
レート、ジ(t−ブチルペルオキシ)フマレート、t−
ブチルペルオキシクロトネート、t−ブチルペルオキシ
アリルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシアリルカ
ーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペル
オキシアリルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタ
リルカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチ
ルペルオキシメタリルカーボネート、p−メンタンペル
オキシアリルカーボネート、p−メンタンペルオキシメ
タリルカーボネートなどが例示される。これらのペルオ
キシ基含有単量体のフッ素系共重合体[A]中の共重合
比は特に制限されないが、全単量体の0.01〜15モ
ル%の範囲で使用することが好ましい。0.01モル%
未満ではグラフト開始点の量として不十分であり、グラ
フト反応性が低いばかりでなく、高分子量化によって焼
き付け時の熱流動性性が乏しくなってしまう。また15
モル%を超えるとグラフト開始点量が多すぎるために、
耐候性に支障を来すことがあり好ましくない。
【0011】本発明にかかるフッ素系共重合体[A]に
使用されるその他の重合性単量体としては特に限定され
ず、カルボン酸ビニルエステル、ビニルエーテル、オレ
フィン、アリルエーテルなどが好ましく採用されるが、
グラフト部との相溶性を保つ為にはカルボン酸ビニルエ
ステルが特に好ましい。カルボン酸ビニルエステルとし
ては、具体的には、炭素数2〜22の分岐を有すること
もある脂肪酸または置換基を有することもある脂環式ま
たは芳香族カルボン酸のビニルエステルであり、例え
ば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピ
バリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニ
ル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチ
ン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック9酸ビ
ニル、バーサチック10酸ビニル、シクロヘキサン酸ビ
ニル、安息香酸ビニル、tーブチル安息香酸ビニル等が
挙げられる。
【0012】また、ビニルエーテルとしては、例えばメ
チルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビ
ニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどが挙
げられるが、分子中に反応性のビニル基が含有されてい
れば限定されることなく使用できる。また、アリルエー
テルとしては、例えばエチルアリルエーテル、ブチルア
リルエーテル、ベンジルアリルエーテル、シクロヘキシ
ルアリルエーテルなどがあげられるが、これらに限定さ
れることなく使用できる。
【0013】これらの重合性単量体はフッ素系共重合体
[A]を重合する全単量体のうち、10〜70モル%で
あることが好ましく、20〜60モル%であることがよ
り好ましい。20モル%未満では、粉体塗料として使用
する際の塗膜形成能力すなわち焼き付け時の熱流動性が
劣り、光沢がでにくいなどの欠点があり、70モル%を
超えるとフッ素系共重合体[A]から調製された粉体塗
料の塗膜の耐候性が低くなり好ましくない。
【0014】またフッ素系共重合体[A]中に官能基を
導入する為に共単量体としてヒドロキシ基、カルボキシ
ル基、グリシジル基、アミノ基、アルコキシシリル基ま
たはその他の官能基を有する単量体を使用できる。これ
らの官能基を導入する目的には、架橋部位を導入するこ
と、および極性を変化させ硬化剤との相溶性を向上させ
ることなどがあげられる。
【0015】フッ素系共重合体[A]中に共重合される
ヒドロキシ基含有単量体として、アリルアルコール、エ
チレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリ
コールモノアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエ
ーテルなどの炭素数2〜8のヒドロキシアルキル基を有
するヒドロキシアルキルアリルエーテル類、ジエチレン
グリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコー
ルモノアリルエーテルなどの炭素数4〜40のアルキレ
ングリコール基を有するアルキレングリコールモノアリ
ルエーテル類、ヒドロキシメチルビニルエーテル、ヒド
ロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニル
エーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル、ヒドロ
キシヘキシルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキル
ビニルエーテル類、ジエチレングリコールモノビニルエ
ーテルなどのポリエチレングリコールモノビニルエーテ
ル類、クロトン酸ヒドロキシエチルなどのクロトン酸変
性化合物などが挙げられる。これらのうち、上記したヒ
ドロキシアルキルアリルエーテル類、アルキレングリコ
ールモノアリルエーテル類などが特に好ましい。これら
のヒドロキシ基含有単量体はフッ素系共重合体[A]を
重合する単量体として必ずしも必須ではないが、フッ素
系共重合体[A]を重合する全単量体のうち30モル%
以下の量で使用することは好ましく、20モル%以下で
あることがより好ましい。30モル%を超えるとフッ素
系共重合体[A]から調製された塗膜の耐水性、耐候性
が低くなり好ましくない。また、ヒドロキシ基含有単量
体を使用する場合には1モル%未満では敢えて使用する
効果が得られない。
【0016】また、カルボキシル基含有単量体として
は、炭素数2〜12の不飽和脂肪族カルボン酸、例えば
ビニル酢酸、ウンデシレン酸、クロトン酸、アクリル
酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸が使用でき
る。これらの不飽和カルボン酸としては、フッ素系共重
合体[A]を重合する全単量体のうち20モル%以下で
あることが好ましく、10モル%以下であることがより
好ましい。20モル%を超えるとフッ素系共重合体
[A]から調製された塗膜の耐候性が低くなり好ましく
ない。また、カルボキシル基含有単量体を使用する場合
には0.1モル%未満では敢えて使用する効果が得られ
ない。
【0017】また、グリシジル基含有単量体としては、
エポキシ環を有した重合性化合物であれば特に制限され
ないが、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジル
エーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアク
リレートなどが好適に採用される。さらに脂環式のエポ
キシ基を有する重合性化合物も使用可能である。これら
のエポキシ基含有単量体としてはフッ素系共重合体
[A]を重合する全単量体のうち30モル%以下である
ことが好ましい。30モル%を越えると硬化剤が多量に
必要になり耐候性が損なわれる。
【0018】また、アミノ基含有単量体としては、アミ
ノ環を有した重合性化合物であれば特に制限されない
が、アリルアミン、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、N−メチロ
ールアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドなど
が好適に採用される。これらのアミノ基含有単量体とし
てはフッ素系共重合体[A]を重合する全単量体のうち
30モル%以下であることが好ましい。30モル%を越
えると塗膜の黄変が著しくなり好ましくない。
【0019】さらにフッ素系共重合体[A]中にはアル
コキシシリル基を有した単量体も使用でき、具体的に
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリイソプロポキシシランなどのビニルア
ルコキシシランやビニルモノ(あるいはジ)アルコキシ
シランやアルコキシシラン含有の(メタ)アクリル酸エス
テルなどが挙げられる。これらのアルコキシシリル基含
有単量体としてはフッ素系共重合体[A]を重合する全
単量体のうち20モル%以下であることが好ましい。2
0モル%を越えると塗膜が硬くなりすぎて、実質的に割
れやすくなることがある。
【0020】本発明にかかるフッ素系グラフト樹脂にお
いては、上述のヒドロキシ基、カルボキシル基、グリシ
ジル基、アミノ基またはアルコキシシリル基はフッ素系
共重合体[A]または重合性単量体[B]中の少なくと
も一方に含有されていればよいが、耐候性の向上や屈曲
性を発現させるためにはフッ素系共重合体[A]、重合
性単量体[B]の両方に含まれているのが好適である。
【0021】さらに本発明ではフッ素系共重合体
[A]、重合性単量体[B]の少なくとも一部に、グラ
フト部との相溶性や塗膜の架橋特性を向上させる目的で
εカプロラクトン変性のビニルエーテル、アリルエーテ
ル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルや、β
ケトエステル基を有するビニル化合物、アリル化合物、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルが好適に使
用される。具体的にはヒドロキシアルキル基にεカプロ
ラクトンを開環付加させて得られる−C(=O)(CH
25O−基を有するεカプロラクトン変性のビニルエー
テル、アリルエーテルまたはメタクリル酸エステルが挙
げられ、市販品としてはダイセル化学製プラクセルなど
がある。この場合、末端にヒドロキシ基を含有した化合
部も使用できる。
【0022】またβケトエステル基を有するビニル化合
物またはアリル化合物としては、側鎖としてアセトアセ
トキシ基[−OC(=O)CH2C(=O)CH3]を有
するアセト酢酸アリル、ダイアセトンアクリルアミドな
どが好ましく使用される。これらの極性単量体の導入に
よって、フッ素系共重合体[A]はグラフト部との相溶
性が向上し、フッ素含有量が高くても光沢や耐候性の高
い塗膜が得られる。また、βケトエステル基を含有する
単量体の使用によって、硬化剤として金属アルコキシド
やキレート系硬化剤、ヒドラジン系化合物の使用が可能
になる。
【0023】さらに、分子中に2個のヒドロキシ基を有
し、しかも一部は二級のヒドロキシ基であるグリセリン
モノアリルエーテルは、使用量が少なくて高いOH価を
導入できること、また二級ヒドロキシ基は硬化時の反応
性が低くヒドロキシ基として塗膜中に残存し、塗膜表面
の親水化による耐汚染性向上に効果的であることから好
ましく使用される。
【0024】これらの単量体によって共重合されるフッ
素系共重合体[A]の製造方法としては、溶液重合、バ
ルク重合、懸濁重合、乳化重合が使用できるが、第2段
目のグラフト反応のためには溶剤可溶化することが望ま
しく、溶液重合が好適である。したがって、重合時の溶
媒としては、水や、メタノール、イソプロパノールなど
のアルコール系化合物をはじめとして、n−ヘキサン、
n−ヘプタンなどの飽和炭化水素系、トルエン、キシレ
ンなどの芳香族炭化水素系、トリクロロトリフルオロエ
タン、ジクロロテトラフルオロエタンなどのフッ素系、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエス
テル系、さらに石油系溶剤であるミネラルスピリット、
ターペン系溶剤などが使用できる。また、これらは一種
以上を併用することもできる。
【0025】ここで使用できる前記ラジカル開始剤とし
ては、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−
2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートなどのジ
カーボネート類、またはn−ヘプタフルオロブチリック
パーオキシド、ラウロイルパーオキシピバレート、t−
ブチルオキシネオデカノエートなどのジアシルパーオキ
シド類、ジーt−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミ
ルパーオキシドなどのアルキルパーオキシド類、t−ブ
チルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオ
デカノエートなどのパーオキシエステル類などが具体的
に挙げられるが、フッ素系共重合体[A]中に共重合し
たペルオキシ基よりも低い温度で分解するラジカル開始
剤を選択する必要がある。さらにアゾ系開始剤も特に制
限なく使用できる。
【0026】一方、本発明にかかるグラフト反応はフッ
素系共重合体[A]中に共重合せしめたペルオキシ基の
分解によるラジカルを開始点として重合性単量体[B]
の重合を進行させたものであり、その反応形態は特に制
限されないが、溶剤可溶化した共重合体(フッ素系共重
合体[A])と単量体[B]の共存下における溶液重合
が好ましい。したがって、例えば、フッ素系共重合体
[A]を溶液重合で製造した場合は、重合後ただちに重
合性単量体[B]を反応器に導入してグラフト化できる
ため、製造が簡略化でき、製造の経済的メリットが大き
い。また、新たに重合開始剤を共存させない場合でもグ
ラフト重合が進行することが大きな特徴である。
【0027】本発明にかかる重合性単量体[B]は、ア
クリル樹脂の製造に通常使用される(メタ)アクリル酸
エステルであれば特に制限されないが、炭素数1〜22
の分岐を有することもあるアルキル基、置換基を有する
こともあるシクロアルキル基または芳香族基と(メタ)
アクリロイル基からなり、具体的に好適な(メタ)アク
リル酸エステルを例示すると、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチ
ル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸シクロ
ヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸−n
−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ノニ
ル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ラウリル、(メ
タ)アクリル酸ベンジルアクリル酸、イソボルニル、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−te
rt−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリ
ル酸エチルヘキシル、メタクリル酸−n−オクチル、メ
タクリル酸イソオクチル、メタクリル酸ノニル、メタク
リル酸トリデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル
酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニルなどが挙げられ
る。
【0028】また、一般式Rf−CH2−OH(Rfは炭
素数1〜30のパーフルオロアルキル基を表す。)で表
される含フッ素アルコールと(メタ)アクリル酸のエス
テル、例えば、n−C817CH2−O−C(=O)CH
=CH2、n−C817CH2−O−C(=O)C(−C
3)=CH2、i−C36CH−O−C(=O)CH=
CH2、i−C36CH−O−C(=O)C(−CH3
=CH2や、一般式(CH33Si−(O−Si(C
22)n−OH(nは整数を表す)で表されるアルコ
ールと(メタ)アクリル酸のエステル、例えば(C
33Si−(O−Si(CH32)n−、(CH33
Si−(O−Si(CH32)n−を分子中に有する
(メタ)アクリル酸エステルを使用することもできる
が、これらを使用すると得られた粉体塗料用組成物から
形成された被膜は撥水性に優れるという特徴を示す。
【0029】また、本発明にかかる重合性単量体[B]
に使用できる(メタ)アクリル酸エステルは、ヒドロキ
シ基含有(メタ)アクリル酸エステルでもよく、炭素数
1〜22の分岐を有することもあるヒドロキシアルキル
基、ヒドロキシ基を有しさらに他の置換基を有すること
もあるシクロアルキル基または芳香族基と(メタ)アク
リロイル基からなり、具体的には、ヒドロキシメチル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシブチル(メタ)アクリレートなどが例示できる。
【0030】さらに、γ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジ
メトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、メタクリロキシメチルトリエトキシシランなどのア
ルコキシシリル基を有するもの、グリシジル(メタ)ア
クリレートなどのエポキシ基を有するものも使用するこ
とができる。
【0031】さらにフッ素系共重合体[A]または重合
性単量体[B]のいずれかに共重合成分として紫外線吸
収基または光安定性基と不飽和結合を分子内に有する化
合物を使用することができる。これは、特にグラフト鎖
の光劣化を抑制し、フッ素含量が低下しても高い耐候性
を維持させる目的で使用される。具体的には紫外線吸収
基としてベンゾトリアゾール基を有した(メタ)アクリ
ル酸エステル、例えば大塚化学製のRUVA−93すな
わち2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエ
チルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどが使用
できるが紫外線吸収基の化学構造には特に制限はない。
また光安定性基を有する化合物としては、2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン骨格を有するヒンダードア
ミン系置換基を持つ(メタ)アクリル酸エステルが好適
であり、たとえば旭電化工業製のHALSハイブリッド
型モノマーアデカスタブLA−82、LA−87などが
これに相当する。
【0032】他の共重合可能な単量体としては、アクリ
ロニトリル、芳香族ビニル化合物としてスチレン、オレ
フィンとしてエチレン、プロピレン、ブテンなども使用
できる。その他、フッ素系共重合体[A]で使用可能な
単量体として例示したカルボン酸ビニルエステル、ビニ
ルエーテルなどの単量体も使用できる。
【0033】また他の共重合可能な単量体としては、ヒ
ドロキシ基、カルボキシル基含有単量体でもよく、フッ
素系共重合体[A]に使用可能な重合性単量体として例
示したヒドロキシ基含有のアリルエーテル、ビニルエー
テルも使用できる。
【0034】重合性単量体[B]としては、(メタ)ア
クリル酸エステル、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル
酸エステル、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エ
ステル、グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル
またはアルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸エス
テルを50モル%以上使用することが好ましく、その他
に(メタ)アクリル酸エステル以外の共重合可能な単量
体を併用してもよい。
【0035】これらの重合性単量体[B]のグラフト量
はフッ素系共重合体[A]100重量部に対して1〜3
00重量部である。1重量部未満ではガラス転移点を5
6℃以上にすることが困難であり、また、経済性、塗膜
硬度、密着性などのグラフトによる効果がでにくく、ま
た300重量部を超えると、グラフト反応率が低下し
て、耐候性や塗膜強度が低下する。
【0036】本発明の粉体塗料用組成物では、予めフッ
素系共重合体[A]の装填された重合器に重合性単量体
[B]を添加し、フッ素系共重合体[A]に含まれるペ
ルオキシ基分解に必要な温度に昇温するだけで反応が進
行するが、この際、フッ素系共重合体[A]を製造する
場合に例示した水や有機溶剤等の重合用溶剤をさらに追
加することもできる。さらに分子量調整剤としてメルカ
プタン系化合物を適宜添加することも可能である。
【0037】このようにして製造された、フッ素系グラ
フト樹脂の架橋部位量としては、それがヒドロキシ基の
場合にはヒドロキシ価として10〜180mgKOH/
gである。10mgKOH/g未満では架橋部位が少な
く塗膜の耐候性に欠け、180mgKOH/g以上を超
えると必要な硬化剤が多すぎるので、やはり耐候性が十
分でない。またカルボキシル基の場合には、酸価として
0.1〜80mgKOH/gの範囲が好ましい。0.1
mgKOH/g未満では顔料分散性や架橋性が低く80
mgKOH/gを超えると耐水性が低下してしまう。ま
たフッ素系グラフト樹脂がアミノ基、グリシジル基また
はアルコキシシリル基を含有する場合はこれらの官能基
含有単量体に基づく構造単位の割合が全構造単位の1〜
45モル%の範囲である。これらのヒドロキシ基、カル
ボキシル基、アミノ基、グリシジル基、アルコキシシリ
ル基は少なくとも1種が前述の割合で、フッ素系共重合
体[A]、重合性単量体[B]の少なくとも一方に含ま
れておればよく、両方に含まれていてもよい。
【0038】本発明にかかるフッ素系グラフト樹脂のガ
ラス転移点は56℃以上であることが必要があり、好ま
しくは60℃以上である。本発明のガラス転移点は静的
条件である示差走査型熱量計での測定によるものであっ
て、最も一般的で本来の意味のガラス転移点に相当す
る。ここで56℃未満の場合では、粉体塗料とした際の
熱安定性が低く、長期保存できない欠点を有する。一般
に線状の分子形態を有する塗料用フッ素樹脂、すなわち
フルオロオレフィンと重合性単量体を1段階で重合させ
た共重合体ではガラス転移点を高めることは困難であ
り、重合性単量体にシクロ環を有する成分を使用しても
55℃程度を超えることは困難である。本発明にかかる
フッ素系グラフト樹脂を調製する目的の一つは、高いガ
ラス転移点を有するグラフト鎖を利用して樹脂全体のガ
ラス転移点を56℃以上にすることである。
【0039】本発明にかかるフッ素系グラフト樹脂の分
子量は、1,000〜15,000(数平均分子量;ス
チレン換算)である。1,000未満では、塗膜の耐候
性や柔軟性が低下し、15,000を超えると、粉体塗
料の熱流動性が低下し表面性が悪くなるため好ましくな
い。さらにより好ましい分子量範囲としては3,000
〜10,000である。この分子量を達成するためにフ
ッ素系グラフト樹脂を有機溶剤中で重合することが好ま
しい。その場合には、重合後に使用した有機溶剤を蒸発
させたり、反応液を貧溶剤中へ添加することで固形物を
取り出した後に分離、乾燥するなどの方法が好適に用い
られるが、その方法については必ずしも限定されない。
【0040】本発明のフッ素樹脂は、ブロックイソシア
ネート、酸無水物、メラミン樹脂、ヒドラジン化合物、
アミノ樹脂、カルボキシル基含有化合物、グリシジル化
合物などであって常温で固体の化合物が特に好ましい。
【0041】ブロックイソシアネートとしては特に限定
されないが、エチレンジイソシアネート、テトラメチレ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート
(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,
6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4
−トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,6−ジイ
ソシアネートメチルカプロエート(LDI)、ビス(2
−イソシアネートエチル)フマレート、ビス(2−イソ
シアネートエチル)カーボネート、2−イソシアネート
エチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、イ
ソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジシクロ
ヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シク
ロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレ
ンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシ
アネートエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカ
ルボキシレート、キシリレンジイソシアネート(XD
1)、ジエチルベンゼンジイソシアネート、トルエンジ
イソシアネート(TDI)などのポリイソシアネート
や、これらの二量体、三量体や多価アルコール変性ポリ
イソシアネートなどのイソシアネート基をεカプロラク
タム、フェノール、ベンジルアルコール、メチルエチル
ケトキシムなどのブロック化剤でブロックした化合物が
挙げられる。
【0042】またフマル酸、コハク酸、アジピン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、ドデカン2酸などの脂肪族二
塩基酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロ
メリット酸、などの酸無水物、分子内に複数のカルボキ
シル基を有するポリエステル樹脂またはアクリル樹脂、
ジシアンジアミド及びその誘導体、イミダゾール及びそ
の誘導体、二塩基酸ジヒドラジド、ジアミノフェニルメ
タン、環状アミジン化合物などのアミン化合物などが挙
げられる。
【0043】さらにメラミン樹脂としては、メラミン、
尿素、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ステログ
アナミンまたはスピログアナミンなどのアミノ基含有化
合物とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセ
トアルデヒドまたはグリオキサゾールなどのアルデヒド
類とを慣用の方法で反応させた縮合物またはこれらの縮
合物をアルコール類で少なくとも一部をエーテル化させ
たものなどが挙げられる。
【0044】さらにテレフタル酸ジグリシジルエステ
ル、パラオキシ安息香酸ジグリシジルエステル、トリグ
リシジルイソシアヌレート、スピログリコールジグリシ
ジルエーテル、ヒダントイン化合物、脂環式エポキシ樹
脂などのグリシジル化合物、1.4−ビス(2’−ヒド
ロキシエトキシ)ベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレ
フタレートやその他のヒドロキシ含有樹脂などが挙げら
れる。
【0045】また、カルボキシル基、グリシジル基など
を分子中に有したアクリル樹脂、フッ素樹脂なども硬化
剤として使用することができる。本発明の粉体塗料用組
成物は、フッ素系グラフト樹脂100重量部に対して硬
化剤を1〜200重量部の範囲で配合する。1重量部未
満は架橋による硬化の効果がなく、塗膜強度が低くな
り、200重量部を越えると塗膜中のフッ素量が低下
し、耐候性が落ちる。
【0046】本発明の粉体塗料用組成物またはそれを含
んでなる粉体塗料は公知の熱硬化性粉体塗料の方法によ
り製造できる。例えば、本発明で得られたフッ素系グラ
フト樹脂溶液を減圧下で有機溶媒又は水を留去し、ウイ
レー型、振動ミル型、衝撃式ハンマーミル、ロータリー
カッター式、ケージ式などの任意の粉砕機で粉砕後、硬
化剤、顔料、レベリング剤、反応触媒、紫外線吸収剤、
熱劣化防止剤、発泡やその他の添加剤を配合し、ヘンシ
ェルミキサー等で一時混合し、ついで、その混合粉を押
し出し成形機で混練りしてペレット化し、再度、前記の
方法で粉砕することにより粉体塗料用組成物または粉体
塗料を調製せうることができる。
【0047】硬化剤を添加して粉体化して調製した塗料
用組成物は、静電粉体塗装、流動浸漬法などの通常の粉
体塗装機で均一に塗装した後、熱処理することで焼き付
け塗膜を形成させることができる。これにより強靱で耐
候性に優れた架橋塗膜となる。
【0048】本発明の粉体塗料用組成物は、通常の粉体
樹脂と同様に塗料化が可能であり、顔料や染料を適宜添
加することができ、またその際、紫外線吸収剤、光安定
剤、防錆剤、分散剤、垂れ止め剤、防カビ剤、レベリン
グ剤、熱劣化防止剤、発泡防止剤、金属粉なども添加可
能である。
【0049】また、塗料化に際しては他の樹脂、例えば
フッ素系ポリオール、アルコキシシランを有する他のフ
ッ素樹脂、アクリルシリコン、アクリル系ポリオール、
ポリビニルエステル、シリコーン系化合物、ポリアルキ
レングリコール、アルキッド樹脂、ワックス、ポリ4フ
ッ化エチレン樹脂なども適宜添加可能である。
【0050】以下、本発明を実施例によって具体的に説
明するが、本発明の実施態様はこれらに限られない。実
施例において別途注のない限り「部」は「重量部」を表
す。
【0051】
【実施例】
製造例1 電磁攪拌機付きの内容量3.5リットルのSUS製オー
トクレーブにトルエン500g、ピバリン酸ビニル19
3g(フッ素系共重合体[A]成分の25モル%)、バ
ーサチック9酸ビニル88g(フッ素系共重合体[A]
成分の8モル%)、エチレングリコールモノアリルエー
テル92g(フッ素系共重合体[A]成分の15モル
%)、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート10g
(フッ素系共重合体[A]成分の1モル%)、ウンデシ
レン酸11g(フッ素系共重合体[A]成分の1モル
%)、t−ブチルパーオキシピバレート5g、炭酸ナト
リウム4gを仕込み、窒素ガスで脱気置換を3回繰り返
し脱気した後、クロロトリフルオロエチレン350g
(フッ素系共重合体[A]成分の50モル%)を仕込
み、60℃で10時間重合を行った後に未反応モノマー
を減圧脱気したところ、樹脂固形分として約600gの
フッ素系共重合体[A]が得られた。
【0052】次に、重合後のフッ素系共重合体[A]の
トルエン溶液入りのオートクレーブを105℃に昇温
し、メタクリル酸メチル350g、メタクリル酸シクロ
ヘキシル150g、メタクリル酸n−ブチル50g、メ
タクリル酸ヒドロキシエチル45g、メタクリル酸3
g、トルエン600gおよびt−ドデシルメルカプタン
0.1gを約2時間かけて添加し、その後さらに4時間
反応を継続した後、内容物を取り出し、ろ過したとこ
ろ、固形分約50%の透明なフッ素系グラフト樹脂ワニ
スを得た。このフッ素系グラフト樹脂ワニスをエバポレ
ーターで溶媒を減圧留去を80℃で行い80%まで濃縮
した後、常温で2時間減圧留去を続け、さらに60℃で
10時間減圧留去を行い、得られた固形物をカッターミ
ルで粗粉砕した。さらに粗粉末を50℃減圧状態で振動
流動乾燥し、実質的に揮発成分のないフッ素系グラフト
樹脂粉末を得た。得られた樹脂のヒドロキシ価および酸
価、ガラス転移点、数平均分子量を表1に示す。
【0053】製造例2〜5、比較製造例 製造例1と同様にして、表1に示した単量体組成で重合
を行った。いずれの場合も重合終了後、内容物を取り出
しろ過し、固形分約50%の透明なフッ素系グラフト樹
脂ワニスを得た。次に製造例1と同様にしてフッ素系グ
ラフト樹脂粉末を得た。得られた樹脂のヒドロキシ価お
よび酸価、ガラス転移点、数平均分子量を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】 CTFE クロロトリフルオロエチレン TFE テトラフルオロエチレン VPv ピバリン酸ビニル V9 バーサチック9酸ビニル CHVE シクロヘキシルビニルエーテル EGMAE エチレングリコールモノアリルエーテル HBVE ヒドロキシブチルビニルエーテル UA ウンデシレン酸 AGE アリルグリシジルエーテル PAC t−ブチルペルオキシアリルカーボネート MMA メタクリル酸メチル CHMA メタクリル酸シクロヘキシル nBMA メタクリル酸n−ブチル HEMA メタクリル酸ヒドロキシエチル MA メタクリル酸 GMA グリシジルメタクリレート AK-5 東亜合成化学(株)製シリコーン基含有メタク
リル酸エステル FMA 2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリ
レート MPTMS γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン 日本ユニカーA174 LA82 旭電化工業製の光安定性基(HALS)含有メ
タクリル酸エステル Tg ガラス転位点 ℃ OH価 mgKOH/樹脂固形分1g 酸価 mgKOH/樹脂固形分1g エポキシ等量 g/equiv 実施例1〜6、比較例1、2 製造例1〜6および比較製造例1、2で得られたフッ素
系グラフト樹脂と顔料と硬化剤をそれぞれ表2に示す種
類と組成比(部)で配合し、ヘンシェルミキサーを用いて
約3分間均一混合した後、東洋精機製作所ラボプラスト
ミルを用いて約100℃で押し出し混練した。冷却後ハ
ンマー式衝撃粉砕機およびカッターミルを用いて180
メッシュ以下に粉砕し、粉体塗料とした。
【0056】次に、得られた粉体塗料を静電塗装機を用
いて塗装し、180℃20分焼き付け処理を行った。得
られた塗膜の膜厚は何れの場合も約45ミクロンであっ
た。基材はクロメート処理および燐酸亜鉛処理を施され
鉄板を使用した。焼き付け後の塗膜に対して、60度光
沢測定、ラビング試験、促進耐候性試験、耐汚染性試験
を行った。結果を表2に示す。また、粉体塗料をステン
レス製バットに入れ、55℃で1ヶ月間静置保存し、粉
体の固結状況を観察した。各実施例の塗膜はそれぞれの
試験で良好な結果を示した。比較例については何れも保
存安定性、60度光沢および耐汚染性が不良であった。
【0057】
【表2】
【0058】 TiO2 テイカ製JR805 VPLS2122 住友バイエルウレタン製ブロックイソシア
ネート VB1065 ヒュルス製ブロックイソシアネートVestag
on B1065 ドデカン二酸 和光純薬製 PL1175 サイアナミッド製アミノ樹脂Powderlink11
75 ADH 大塚化学製アジピン酸ジヒドラジド <55℃保存安定性>粉体塗料をステンレス製バットに入
れ、55℃で1ヶ月静置保存した後の、粉体の固結状況を
観察した。○異常なし、×粒子間で固結。
【0059】<60度光沢測定>焼き付け塗膜の60度鏡
面光沢を測定。 <ラビング試験>焼き付け塗膜のキシレンラビング試
験。キシレンのしみ込んだ脱脂綿で表面をふき取試験を
した。同一箇所を50往復後の表面状態を観察。○は異
常なし。
【0060】<耐候性試験>サンシャインウエザオメー
ターで5000時間加速試験を行い、試験前後での60
度光沢保持率を%で表示。
【0061】<耐汚染性試験>カーボンの分散した灯油
を滴下し、24時間後に水ふき取り試験を行う。○カー
ボンが落ちた。×カーボンが残る。
【0062】
【発明の効果】本発明にかかるフッ素系グラフト樹脂
は、フッ素樹脂からなる幹に(メタ)アクリル樹脂が効
率よくグラフトされているためにガラス転移点が高く、
それから調製された本発明の粉体塗料用組成物および/
または粉体塗料は保存安定性に優れることから長期保存
ができ、また塗膜を形成した場合平滑性がよく光沢の高
い塗膜が得られるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堤 憲太郎 埼玉県川越市今福中台2805番地 セント ラル硝子株式会社化学研究所内 (56)参考文献 特開 平6−25595(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 151/00 - 151/06 C08L 51/00 - 51/06

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フルオロオレフィンとペルオキシ基を有す
    る単量体を共重合してなるフッ素系共重合体[A]10
    0重量部と重合性単量体[B]1〜300重量部をフッ
    素系共重合体[A]のペルオキシ基を開始点としてグラ
    フト重合させて得られたヒドロキシ基、カルボキシル
    基、グリシジル基、アミノ基またはアルコキシシリル基
    から選ばれた少なくとも一種の官能基を有し、ガラス転
    移点が56℃以上で数平均分子量が15,000以下で
    あるフッ素系グラフト樹脂に硬化剤[C]を配合してな
    る実質的に有機溶剤を含有しない粉体塗料用組成物。
  2. 【請求項2】フッ素系共重合体[A]がフルオロオレフ
    ィン、ペルオキシ基含有アリル化合物およびカルボン酸
    ビニルエステルを共重合させて得られた共重合体であっ
    て、フルオロオレフィン20〜70モル%、ペルオキシ
    基含有アリル化合物0.01〜15モル%、カルボン酸
    ビニルエステル10〜70モル%であることを特徴とす
    る請求項1記載の粉体塗料用組成物。
  3. 【請求項3】フッ素系共重合体[A]がフルオロオレフ
    ィン、ペルオキシ基含有アリル化合物、カルボン酸ビニ
    ルエステル、ヒドロキシ基含有アリル化合物、不飽和カ
    ルボン酸を共重合させて得られた共重合体であって、フ
    ルオロオレフィン20〜70モル%、ペルオキシ基含有
    アリル化合物0.01〜15モル%、カルボン酸ビニル
    エステル10〜70モル%、ヒドロキシ基含有アリル化
    合物1〜30モル%、不飽和カルボン酸0.1〜20モ
    ル%であることを特徴とする請求項1記載の粉体塗料用
    組成物。
  4. 【請求項4】フッ素系共重合体[A]がフルオロオレフ
    ィン、ペルオキシ基含有アリル化合物、カルボン酸ビニ
    ルエステル、グリシジル基含有アリル化合物を共重合さ
    せて得られた共重合体であって、フルオロオレフィン2
    0〜70モル%、ペルオキシ基含有アリル化合物0.0
    1〜15モル%、カルボン酸ビニルエステル10〜70
    モル%、グリシジル基含有アリル化合物1〜30モル%
    であることを特徴とする請求項1記載の粉体塗料用組成
    物。
  5. 【請求項5】重合性単量体[B]が(メタ)アクリル酸
    エステル、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステ
    ル、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル、
    グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステルおよびア
    ルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸エステルから
    選ばれた一種以上の単量体と任意に0〜50モル%の他
    の共重合可能な単量体からなることを特徴とする請求項
    1〜4記載の粉体塗料用組成物。
  6. 【請求項6】フッ素系共重合体[A]または重合性単量
    体[B]のいずれかがβケトエステル基を有することを
    特徴とする請求項1〜5記載の粉体塗料用組成物。
  7. 【請求項7】フッ素系共重合体[A]または重合性単量
    体[B]のいずれかがジメチルシロキサン基、−(Si
    (CH32−O)−を有することを特徴とする請求項1
    〜5記載の粉体塗料用組成物。
  8. 【請求項8】フッ素系共重合体[A]または重合性単量
    体[B]のいずれかがεカプロラクトンに由来する−C
    (=O)(CH25O−基を有することを特徴とする請
    求項1〜5記載の粉体塗料用組成物。
  9. 【請求項9】フッ素系共重合体[A]または重合性単量
    体[B]のいずれかがトリフルオロメチル基を有するこ
    とを特徴とする請求項1〜5記載の粉体塗料用組成物。
  10. 【請求項10】フッ素系共重合体[A]または重合性単
    量体[B]のいずれかが紫外線吸収基または光安定性基
    を有することを特徴とする請求項1〜9記載の粉体塗料
    用組成物。
  11. 【請求項11】硬化剤[C]が常温で固体であるブロッ
    クイソシアネート、酸無水物、アミン化合物、メラミン
    樹脂、ヒドラジン系化合物、グリシジル化合物、カルボ
    ン酸含有化合物である請求項1〜10記載の粉体塗料用
    組成物。
  12. 【請求項12】フッ素系グラフト樹脂100重量部に硬
    化剤[C]1から200重量部を配合したことを特徴と
    する請求項1〜11記載の粉体塗料用組成物。
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