JPH10330580A - 耐酢酸性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

耐酢酸性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物

Info

Publication number
JPH10330580A
JPH10330580A JP14166897A JP14166897A JPH10330580A JP H10330580 A JPH10330580 A JP H10330580A JP 14166897 A JP14166897 A JP 14166897A JP 14166897 A JP14166897 A JP 14166897A JP H10330580 A JPH10330580 A JP H10330580A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
copolymer
resin composition
monomer
thermoplastic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP14166897A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinobu Konishi
栄信 小西
Masanobu Imayoshi
正暢 今吉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP14166897A priority Critical patent/JPH10330580A/ja
Publication of JPH10330580A publication Critical patent/JPH10330580A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 酢酸等の有機薬品に対する耐性と耐衝撃性に
優れた樹脂組成物及びその成形体を提供する。 【解決手段】 ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体、シ
アン化ビニル単量体を共重合してなるグラフト共重合体
(I)と、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体
を共重合してなる共重合体(II)と、メタクリル酸メ
チル等を単独もしくは共重合してなる共重合体(II
I)と、脂肪族ポリエステル(IV)を特定の割合で配
合してなる熱可塑性樹脂組成物及び該樹脂組成物を射出
成形することで得られた成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酢酸等の有機薬品
に対する耐性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物
及びその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム成分で補強された樹脂の一種である
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(A
BS樹脂)は、耐衝撃性と成形加工性のバランスや耐薬
品性等に優れているため、家庭電化製品、住宅設備機
器、OA機器、自動車部品などの非常に広範な用途に用
いられている。特に高衝撃ポリスチレンと比較するとA
BS樹脂は耐薬品性で優位にあり、耐薬品性が要求され
る用途ではABS樹脂が使用されることが多い。
【0003】一方、酢酸が非常に攻撃力の強い薬品であ
り、特に歪みのある条件では浸漬によりクラックを発生
させやすいことから、酢酸浸漬でクラックの発生を観る
ことで、成形歪みの有無や耐薬品性を判断することが、
通常行われている。ABS樹脂は上記したように、耐衝
撃性と成形加工性のバランスや耐薬品性等に優れている
ものの、射出成形品の形状によっては酢酸浸漬でクラッ
クを生じることから、射出成形品を80℃程度で数時間
アニールすることでクラックの発生を防止することが行
われている。
【0004】しかしながら、数時間アニールすること
は、経済性や生産性の点で問題があり、アニールしなく
ても酢酸浸漬でクラックを生じない材料が求められてい
た。ABS成分中のシアン化ビニルの量を増加させると
樹脂の極性が上がるために耐薬品性が向上することは良
く知られており、例えば特公昭63−30953号公報
に開示されている。これは有機薬品に対する耐性を向上
させるが、酢酸の場合は効果的でなく、却って成形歪み
を増大させることから逆効果であることも多い。
【0005】以上のように、複雑な形状でも容易に射出
成形できる成形加工性を有し、かつ酢酸等の有機薬品に
対して優れた耐性を有する樹脂組成物および成形体を低
価格で得るには非常に困難であったが、本発明者らは、
特定の組成範囲のABS樹脂に、特定量のメタクリル酸
メチルを主成分として含む単量体成分を単独重合もしく
は共重合してなる単独重合体もしくは共重合体(PMM
A樹脂)を添加することで、アニールをしないでも、酢
酸や有機薬品に対する優れた耐性を発現できることを見
い出し、既に出願した(特願平09−116830
号)。
【0006】しかしながらこの場合、更に優れた耐酢酸
性を得ようとすれば、PMMA樹脂の添加量を増加する
必要があり、添加量を増加すれば耐衝撃性が低下した
り、外観が悪化したりする問題があった。一方、本出願
人は脂肪族ポリエステルの添加が耐フロン性や耐スミチ
オン性の改良に効果があることを既に開示している(特
開平05−339450号、特開平07−33933号
の各公報)。脂肪族ポリエステルを添加した樹脂組成物
は酢酸に対する耐性にも若干効果があるが、PMMA樹
脂を添加した場合と比較すると、酢酸に対する耐性の改
良効果が少なく、またコストが大幅に高くなるという問
題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酢酸に対す
る耐性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物及びそ
の成形体を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意検討した結果、特定の組成範囲のABS樹
脂に、特定量のメタクリル酸メチルを主成分として含む
単量体成分を単独重合もしくは共重合してなる単独重合
体もしくは共重合体(PMMA樹脂)を添加し、更に脂
肪族ポリエステルを添加することで、酢酸や有機薬品に
対する更に優れた耐性と耐衝撃性を発現できることを見
い出し、本発明に至った。
【0009】すなわち、本発明は、 1. ゴム質重合体存在下に芳香族ビニル単量体、シア
ン化ビニル単量体を主成分として含む単量体成分を共重
合してなるグラフト共重合体(I)と、芳香族ビニル単
量体、シアン化ビニル単量体を主成分として含む単量体
成分を共重合してなる共重合体(II)と、メタクリル
酸メチルを主成分として含む単量体成分を単独重合もし
くは共重合してなる単独重合体もしくは共重合体(II
I)と、脂肪族ポリエステル(IV)からなる組成物で
あって、該組成物中における(III)の割合が1重量
%以上25重量%以下、(IV)の割合が0.3重量%
以上10重量%以下であり、かつ(I)及び(II)に
おけるゴム質重合体以外の成分に於けるシアン化ビニル
の割合が25重量%以上50重量%以下であることを特
徴とする熱可塑性樹脂組成物、 2. メタクリル酸メチルを主成分として含む単量体成
分を単独重合もしくは共重合してなる単独重合体もしく
は共重合体(III)のメルトフローレイト(220
℃、10kg荷重)が、15g/10分以上100g/
10分以下であることを特徴とする上記1の熱可塑性樹
脂組成物、 3. 上記1又は2の熱可塑性樹脂組成物を射出成形す
ることにより得られる樹脂成形体、を提供するものであ
る。
【0010】以下、本発明について更に詳細に説明す
る。本発明の(I)で用いられるゴム質重合体として
は、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソ
ブチレン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、ス
チレン−ブタジエンブロック共重合体、ブタジエン−ア
クリロニトリル共重合体、ブタジエン−メタクリロニト
リル共重合体、ブタジエン−α,β−不飽和カルボン酸
アルキルエステル共重合体(例えばブタジエン−アクリ
ル酸メチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸エチル共
重合体、ブタジエン−アクリル酸ブチル共重合体、ブタ
ジエン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、ブタ
ジエン−メタクリル酸メチル共重合体、ブタジエン−メ
タクリル酸エチル共重合体)などのジエン系ゴム質重合
体、該ジエン系ゴム質重合体の水素添加物、アクリルゴ
ム、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム、フッ素ゴ
ム、シリコンゴムなどの飽和系ゴム質重合体などが挙げ
られ、これらは単独で用いても2種以上を混合して使用
いてもかまわない。これらの中では好ましくはジエン系
ゴム質重合体、更に好ましくはブタジエン含有ゴム質重
合体が用いられる。
【0011】これらのゴム質重合体は、乳化重合、懸濁
重合または重合体を乳化剤などにより乳化する方法など
により得られる。該ゴム質重合体の平均粒子径は、組成
物の流動特性、表面光沢、耐衝撃性及び耐薬品性を向上
させるために0.03〜1.0μmの範囲であることが
好ましい。更に好ましくは0.08〜0.5μm、特に
好ましくは0.1〜0.4μmである。平均粒子径が
0.03μm未満であると耐衝撃性、耐薬品性に劣る。
1.0μmを越えると表面光沢や耐衝撃性に劣る。
【0012】本発明において、グラフト共重合体(I)
及び共重合体(II)で用いられる単量体成分はシアン
化ビニル単量体、芳香族ビニル単量体、及びその他の共
重合可能な単量体を含むものからなる。シアン化ビニル
単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル等が用いられる。これらの中で、アクリロニトリルが
好ましい。
【0013】また、芳香族ビニル単量体としては、スチ
レン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、アル
キル化スチレン、ビニルナフタレン等が用いられ、これ
らは混合して用いることもできる。これらの中で、スチ
レンが好ましい。本発明においては、シアン化ビニル単
量体、芳香族ビニル単量体の他に、その他の共重合可能
な単量体として、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエ
ステル、α,β−不飽和カルボン酸、N−置換マレイミ
ド類、無水マレイン酸等も必要に応じて用いることがで
きる。これらの中ではα,β−不飽和カルボン酸アルキ
ルエステルが好ましい。これらは混合して用いても良
い。
【0014】α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステ
ルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸シクロヘキシ
ル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタ
クリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、
メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ブチルシク
ロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベン
ジル等が挙げられる。これらの中では、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、
メタクリル酸グリシジルが好ましい。
【0015】α,β−不飽和カルボン酸としては、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。N−置
換マレイミド類としては、例えば、マレイミド、N−メ
チルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−
フェニルマレイミド等が挙げられる。グラフト共重合体
(I)、共重合体(II)の製法としては公知の重合方
法が取り得る。例えば塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁
重合、溶液重合および乳化重合のような方法が挙げられ
る。
【0016】一般的にはグラフト共重合体(I)を製造
する際には必ず共重合体(II)も副生されるが、目的
とするゴム濃度であらかじめ重合し、グラフト共重合体
(I)及び共重合体(II)を同時に製造しても良い
し、目的とするゴム濃度より高濃度のゴム部数で重合
し、それを別に製造した共重合体(II)で希釈しても
良い。
【0017】単独重合体もしくは共重合体(III)で
用いられる単量体成分はメタクリル酸メチル単量体及び
その他の共重合可能な単量体を含むものからなる。その
他の共重合可能な単量体としては、例えば、α,β−不
飽和カルボン酸アルキルエステル、α,β−不飽和カル
ボン酸、芳香族ビニル、シアン化ビニル、N−置換マレ
イミド類、無水マレイン酸等が挙げられ、必要に応じて
用いることができる。また、先に述べたゴム質重合体を
含有していても良い。これらの中ではα,β−不飽和カ
ルボン酸アルキルエステルが好ましい。これらは混合し
て用いても良い。
【0018】α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステ
ルとしては例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、
アクリル酸グリシジル、アクリル酸シクロヘキシル、ア
クリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸
2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、
メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシ
ル、メタクリル酸ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸
フェニル、メタクリル酸ベンジル等が挙げられる。これ
らの中では、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−
エチルヘキシル、メタクリル酸ブチルシクロヘキシルが
好ましい。α,β−不飽和カルボン酸としては例えばア
クリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。芳香族ビニル
としては例えばスチレン、α−メチルスチレン、ハロゲ
ン化スチレン、アルキル化スチレン、ビニルナフタレン
等が挙げられる。シアン化ビニルとしては例えばアクリ
ロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。N−置
換マレイミド類としては例えばマレイミド、N−メチル
マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェ
ニルマレイミド等が挙げられる。
【0019】単独重合体もしくは共重合体(III)の
製法としては公知の重合方法を取り得る。例えば塊状重
合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、溶液重合および乳化重
合のような方法が挙げられる。単独重合体もしくは共重
合体(III)のメルトフローレイト(220℃、10
kg荷重)が、15g/10分以上100g/10分以
下であることが好ましい。更に好ましくは、15g/1
0分以上60g/10分以下である。メルトフローレイ
トが15g/10分未満であると耐酢酸性に劣り、10
0g/10分を超えると低分子量となるため耐衝撃性や
耐薬品性に劣るため好ましくない。
【0020】脂肪族ポリエステル(IV)としては、ポ
リカプロラクトン、ポリエナントラクトン、ポリカプリ
ロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンア
ジペート等のアジピン酸とアルキレングリコールとのポ
リエステル、ポリエチレンサクシネート等のコハク酸と
アルキレングリコールとのポリエステル、ポリブチレン
セバセート等のセバシン酸とアルキレングリコールとの
ポリエステル、ポリシクロヘキサンジメチレンサクシネ
ート等のジカルボン酸とシクロヘキサンジメチレングリ
コールとのポリエステル等が挙げられ、これらの一種も
しくは二種以上の混合物もしくは共重合体を用いること
が出来る。この中ではポリカプロラクトンが好ましい。
特にε−ポリカプロラクトンが好ましい。ポリカプロラ
クトンはそのメチレン鎖の一部の水素原子がハロゲン原
子や炭化水素基、例えばメチル基などで置換されていて
も良く、またその末端がエステル化などにより末端処理
されていても良い。脂肪族ポリエステル(IV)の分子
量としては2000〜500000、好ましくは500
0〜100000である。この製法としては公知の重合
方法を取り得る。例えばカプロラクトンの様な脂肪族エ
ステル化合物を酸、塩基、有機金属化合物などの触媒の
存在下、アルコールなどの活性水素を有する化合物を開
始剤とし、開環重合して製造することができる。
【0021】このようにして得られたグラフト共重合体
(I)、共重合体(II)、単独重合体もしくは共重合
体(III)、脂肪族ポリエステル(IV)の混練方法
は特に限定されるものではなく、公知の技術、例えば、
ヘンシェルミキサー、タンブラー、ブレンダー等で液
状、粉体及び粒状物を混合し、これを押出機、ニーダ
ー、ミキサー等で溶融混合する方法、予め溶融させた樹
脂に他の樹脂や液体を直接逐次混合する方法等の各種の
方法で製造することができる。また、混練順序に制限は
なく、例えばグラフト共重合体(I)、共重合体(I
I)、単独重合体もしくは共重合体(III)、脂肪族
ポリエステル(IV)を一括に混練しても良いし、先に
グラフト共重合体(I)、共重合体(II)を混練し、
得られたものに単独重合体もしくは共重合体(II
I)、脂肪族ポリエステル(IV)を混練しても良い。
【0022】このようにして得られた樹脂組成物におけ
るゴム質重合体成分含有量は、本発明に於いては特に制
限されるものではないが、樹脂組成物中に5重量%以上
30重量%以下含有するのが好ましく、更に好ましくは
8重量%以上20重量%以下である。5重量%より少な
いと耐衝撃性が劣り、30重量%より多いと成形加工性
が悪くなる。また、単独重合体もしくは共重合体(II
I)の割合は1重量%以上25重量%以下であることが
必要であり、好ましくは2重量%以上20重量%以下、
更に好ましくは3重量%以上15重量%以下である。1
重量%より少ないと耐薬品性の改良効果がなく、25重
量%より多いとウエルドが著しく目立つ等外観上好まし
くない上に、場合によっては表面の溶解、衝撃強度の低
下が発生する。また、脂肪族ポリエステル(IV)の割
合は0.3重量%以上10重量%以下であることが必要
であり、好ましくは0.5重量%以上7重量%以下、更
に好ましくは0.5重量%以上5重量%以下である。
0.3重量%より少ないと耐薬品性や耐衝撃性の改良効
果が少なく、10重量%より多いと相容性に劣るため剥
離を生じ、また非常にコストが高くなるため実用的では
ない。
【0023】更にまた、グラフト重合体(I)及び共重
合体(II)において、ゴム質重合体以外の成分におけ
るシアン化ビニルの割合は25重量%以上50重量%以
下であることが必要であり、好ましくは25重量%以上
45重量%以下である。25重量%より少ないと表面が
酢酸に溶解してしまい外観上好ましくない。50重量%
より多いと成形加工性や熱安定性が著しく悪化する為好
ましくない。
【0024】またこの熱可塑性樹脂組成物に対して、公
知の熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、
可塑剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、
有機充填剤、無機充填剤等の各種添加剤、また金属状外
観を付与するためにアルミニウム、銅のような金属を加
えるたり、石目調のような外観を得るために別の樹脂を
添加することは任意である。
【0025】このような熱可塑性樹脂組成物を射出成
形、射出−圧縮成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成
形、カレンダー成形、または押出成形することにより得
られるシートを真空成形、圧縮成形、圧縮−真空成形等
することにより、目的とする成形品を得ることができ
る。特に射出成形により成形品を得る場合に、本発明の
樹脂を使用する効果が絶大となる。この成形体の形状は
特に限定されるものではない。
【0026】
【発明の実施の形態】次に、実施例及び参考例に基づき
本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明で用いた
評価方法は以下の通りである。 耐薬品性の評価(クラック) 屋根形状の成形品(下記参照)を射出成形により成形
し、その成形品を100%酢酸に5分間浸漬した後の、
表面のクラックの有無を目視にて判定した。 ・クラックの発生が全くないもの ・・・ ◎ ・ゲート部のみに僅かにクラックが発生したもの ・・・ ○ ・ゲート部から若干クラックが発生したもの ・・・ △ ・成形品の下部までクラックが発生もしくは破断したもの ・・・ × 耐薬品性の評価(溶解) と同様の成形品で表面の溶解の有無を目視にて判定し
た。 ・溶解の発生がないもの ・・・ ○ ・表面が溶解しているもの ・・・ × 成形品の外観 外観については目視にて判定した。 ・ウエルドが目立たないもの ・・・ ○ ・ウエルドが目立つもの ・・・ × <〜で用いた成形品の形状、成形条件> ・屋根の側面部が100mm(辺A)×55mm(辺
B)×厚さ2mmの長方体、上面部が100mm(辺
A’)×10mm(辺C)×厚さ3mmの長方体であ
り、上面部と側面部2枚とが辺AとA’で120度の角
度で接している。上面部には25mm置きに3カ所ゲー
ト部があり、そのそれぞれのゲートから側面部の下部ま
で、上面部に対して垂直にリブ(各々、厚さ1、2、3
mm)が立っている形状。 ・成形機:FUNUC社製 AS−100B ・成形条件:シリンダー温度:240℃、 金型温度:
60℃ 耐衝撃性 6mm×12.6mm×126mmである1/4inc
hのタンザク片を射出成形により成形した(成形機;F
ANUC社 AS−100B、シリンダー温度240
℃、金型温度 45℃)。得られた試験片のIZOD衝
撃強度の測定ををASTM−D256に基づき実施し判
定した。(ノッチ付) ・PMMA樹脂や脂肪族ポリエステルを添加していない
基準品と比較して、IZOD衝撃強度が同じかそれ以上
のもの ・・・ ○ ・PMMA樹脂や脂肪族ポリエステルを添加していない
基準品と比較して、IZOD衝撃強度がそれ以下のもの
・・・ × ・基準となるもの ・・・ − 剥離性 のIZOD衝撃試験後のサンプルの破断面を目視にて
観察し、剥離状態を判定した。 ・剥離が見られないもの ・・・ ○ ・剥離が見られるもの ・・・ × <グラフト共重合体(I)の合成例1(A1)>平均粒
子径が0.3μmであるポリブタジエンゴムのラテック
ス40重量部(固形分換算)及び脱イオン水100重量
部を還流冷却器付き重合槽に入れ、気相部を窒素置換し
ながら70℃に昇温した。次いで、これにスチレン36
重量部、アクリロニトリル24重量部、t−ドデシルメ
ルカプタン0.7重量部、クメンハイドロパーオキシド
0.12重量部から成る混合液、及び、脱イオン水50
重量部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
0.2重量部、硫酸第一鉄0.012重量部、エチレン
ジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩0.08重量部から
成る水溶液を、5時間要して連続追添加して反応させ
た。この間、重合温度を70℃に調節し、追添加終了
後、さらに1時間その状態を維持して重合を完結させ
た。重合率は95%であった。得られた共重合体ラテッ
クスは凝集塩析した後、洗浄乾燥して、白色固体を得
た。 <グラフト共重合体(I)の合成例2(A2)>平均粒
子径が0.3μmであるポリブタジエンゴムのラテック
ス40重量部(固形分換算)及び脱イオン水100重量
部を還流冷却器付き重合槽に入れ、気相部を窒素置換し
ながら70℃に昇温した。次いで、これにスチレン42
重量部、アクリロニトリル18重量部、t−ドデシルメ
ルカプタン0.5重量部、クメンハイドロパーオキシド
0.1重量部から成る混合液、及び、脱イオン水50重
量部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
0.2重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、エチレンジ
アミンテトラ酢酸二ナトリウム塩0.06重量部から成
る水溶液を、5時間要して連続追添加して反応させた。
この間、重合温度を70℃に調節し、追添加終了後、さ
らに1時間その状態を維持して重合を完結させた。重合
率は97%であった。得られた共重合体ラテックスは凝
集塩析した後、洗浄乾燥して、白色固体を得た。 <グラフト共重合体(I)の合成例3(A3)>平均粒
子径が0.3μmであるポリブタジエンゴムのラテック
ス40重量部(固形分換算)及び脱イオン水100重量
部を還流冷却器付き重合槽に入れ、気相部を窒素置換し
ながら70℃に昇温した。次いで、これにスチレン48
重量部、アクリロニトリル12重量部、t−ドデシルメ
ルカプタン0.4重量部、クメンハイドロパーオキシド
0.1重量部から成る混合液、及び、脱イオン水50重
量部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
0.2重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、エチレンジ
アミンテトラ酢酸二ナトリウム塩0.06重量部から成
る水溶液を、5時間要して連続追添加して反応させた。
この間、重合温度を70℃に調節し、追添加終了後、さ
らに1時間その状態を維持して重合を完結させた。重合
率は97%であった。得られた共重合体ラテックスは凝
集塩析した後、洗浄乾燥して、白色固体を得た。 <共重合体(II)の合成例1(B1)>完全混合型連
続反応器を用い、スチレン、アクリロニトリル、エチル
ベンゼンよりなる単量体溶液を一定速度で連続追添加し
つつ重合系内の反応率を一定に保ち、反応温度、単量体
の組成、エチルベンゼンの使用量を調節することによ
り、アクリロニトリル含有率40重量%、スチレン含有
率60重量%、数平均分子量40,000であるアクリ
ロニトリル、スチレンの共重合体(B1)を得た。 <共重合体(II)の合成例2(B2)>(B1)の合
成と同様にしてアクリロニトリル含有率30重量%、ス
チレン含有率70重量%、数平均分子量40,000で
あるアクリロニトリル、スチレンの共重合体(B2)を
得た。 <共重合体(II)の合成例3(B3)>(B1)の合
成と同様にしてアクリロニトリル含有率20重量%、ス
チレン含有率80重量%、数平均分子量50,000で
あるアクリロニトリル、スチレンの共重合体(B3)を
得た。 <共重合体(III)(C1)>市販のポリメタアクリ
ル樹脂(PMMA)(旭化成工業(株)製 560F)
を使用した。このものの220℃、10Kg荷重に於け
るメルトフローレイト(JIS−K7112)は40g
/10分であった。 <共重合体(III)(C2)>市販のポリメタアクリ
ル樹脂(PMMA)(旭化成工業(株)製 80N)を
使用した。このものの220℃、10Kg荷重に於ける
メルトフローレイト(JIS−K7112)は4g/1
0分であった。 <脂肪族ポリエステル(IV)(D1)>市販のポリカ
プロラクトン(分子量 70000)(ダイセル化学工
業(株)製 PLACCEL H7)を使用した。
【0027】
【実施例1】グラフト共重合体(I)の合成例1で得た
(A1)40重量部、共重合体(II)の合成例1で得
た(B1)55重量部、単独重合体もしくは共重合体
(III)の(C1)5重量部、及び脂肪族ポリエステ
ル(IV)である(D1)1重量部を押出機を用いて溶
融混合し樹脂組成物を得た。これを射出成形し屋根形状
の成形品を得た。この成形品を100%酢酸に5分間浸
漬した後に評価項目を判定したところ問題なかった。結
果を表1に示す。
【0028】
【実施例2〜6】配合組成の割合を表1に示す量に変更
して実施した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を
得た。実施例1と同様に問題なかった。結果を表1に示
す。
【0029】
【比較例1】グラフト共重合体(I)の合成例1で得た
(A1)40重量部、共重合体(II)の合成例1で得
た(B1)60重量部を押出機を用いて溶融混合し樹脂
組成物を得た。これを射出成形し成形品を得た。この成
形品を100%酢酸に5分間浸漬したところ、ゲート部
からクラックが大きく入り成形品は破断した。結果を表
1に示す。
【0030】
【比較例2〜5】配合組成の割合を表1に示す量に変更
して実施した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を
得た。比較例1と同様に酢酸浸漬時にクラックが生じる
か、表面が溶解するか、外観でウエルドが非常に目立つ
か、耐衝撃性、剥離性に問題があるなどのいずれかもし
くは二つ以上の性能に劣るものであった。結果を表1に
示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は耐酢酸性
と耐衝撃性に特に優れており、特に射出成形により成形
品を得た場合にクラックを生じない成形体が得られるこ
とから、産業上、大いに有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 33:12 67:00) B29K 25:00 55:02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム質重合体存在下に芳香族ビニル単量
    体、シアン化ビニル単量体を主成分として含む単量体成
    分を共重合してなるグラフト共重合体(I)と、芳香族
    ビニル単量体、シアン化ビニル単量体を主成分として含
    む単量体成分を共重合してなる共重合体(II)と、メ
    タクリル酸メチルを主成分として含む単量体成分を単独
    重合もしくは共重合してなる単独重合体もしくは共重合
    体(III)と、脂肪族ポリエステル(IV)からなる
    組成物であって、該組成物中における(III)の割合
    が1重量%以上25重量%以下、(IV)の割合が0.
    3重量%以上10重量%以下であり、かつ(I)及び
    (II)におけるゴム質重合体以外の成分に於けるシア
    ン化ビニルの割合が25重量%以上50重量%以下であ
    ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 メタクリル酸メチルを主成分として含む
    単量体成分を単独重合もしくは共重合してなる単独重合
    体もしくは共重合体(III)のメルトフローレイト
    (220℃、10kg荷重)が、15g/10分以上1
    00g/10分以下であることを特徴とする請求項1記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成
    物を射出成形することにより得られる成形体。
JP14166897A 1997-05-30 1997-05-30 耐酢酸性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物 Pending JPH10330580A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14166897A JPH10330580A (ja) 1997-05-30 1997-05-30 耐酢酸性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14166897A JPH10330580A (ja) 1997-05-30 1997-05-30 耐酢酸性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10330580A true JPH10330580A (ja) 1998-12-15

Family

ID=15297417

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14166897A Pending JPH10330580A (ja) 1997-05-30 1997-05-30 耐酢酸性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10330580A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006526682A (ja) * 2003-10-08 2006-11-24 エルジー・ケム・リミテッド スチレン系熱可塑性樹脂組成物
JP2007191688A (ja) * 2005-12-22 2007-08-02 Toray Ind Inc 樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2007191695A (ja) * 2005-12-22 2007-08-02 Toray Ind Inc 樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2011236408A (ja) * 2010-04-13 2011-11-24 Techno Polymer Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物及び成形品
JP2012116899A (ja) * 2010-11-29 2012-06-21 Techno Polymer Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物及び成形品
US8664334B2 (en) 2005-08-04 2014-03-04 Toray Industries, Inc. Resin composition and molded article made thereof

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006526682A (ja) * 2003-10-08 2006-11-24 エルジー・ケム・リミテッド スチレン系熱可塑性樹脂組成物
US8664334B2 (en) 2005-08-04 2014-03-04 Toray Industries, Inc. Resin composition and molded article made thereof
JP2007191688A (ja) * 2005-12-22 2007-08-02 Toray Ind Inc 樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2007191695A (ja) * 2005-12-22 2007-08-02 Toray Ind Inc 樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2012237005A (ja) * 2005-12-22 2012-12-06 Toray Ind Inc 樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2011236408A (ja) * 2010-04-13 2011-11-24 Techno Polymer Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物及び成形品
JP2012116899A (ja) * 2010-11-29 2012-06-21 Techno Polymer Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物及び成形品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001220486A (ja) リサイクル性に優れた熱可塑性樹脂組成物および再生成形材料
JPH10330580A (ja) 耐酢酸性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物
JP2000212373A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2000017170A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH11286587A (ja) 熱可塑性樹脂組成物および塗装成形品
JPH1160882A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH10330581A (ja) 耐薬品性に優れた熱可塑性樹脂組成物及びその成形体
JP2000001596A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH08143768A (ja) 耐熱性熱可塑性樹脂組成物
JP3850504B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH10306183A (ja) 耐酢酸性に優れた熱可塑性樹脂組成物及びその成形体
JP2581675B2 (ja) 耐熱性樹脂組成物
JP3626288B2 (ja) 顔料分散性に優れる低剛性のスチレン系樹脂組成物
JP2020066734A (ja) 熱可塑性樹脂組成物、及び樹脂成形品
JP2001040170A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3497592B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体
JP2002179866A (ja) 樹脂組成物及びそれを成形してなる車両用内外装部品
JP2005082717A (ja) プラスチックカード用のポリスチレン系樹脂組成物
JP4198275B2 (ja) グラフト共重合体及びこれを含有する樹脂組成物
JP2000198902A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3392179B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3543885B2 (ja) ポリスチレン樹脂組成物
JP3264400B2 (ja) 電気冷蔵庫用熱可塑性樹脂組成物
JP2003105132A (ja) リサイクル用相溶化剤、それを用いたリサイクル方法、リサイクル樹脂組成物及びシート状成形体
JPH11147992A (ja) 熱可塑性樹脂組成物