JP3264400B2 - 電気冷蔵庫用熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

電気冷蔵庫用熱可塑性樹脂組成物

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JP3264400B2
JP3264400B2 JP27971093A JP27971093A JP3264400B2 JP 3264400 B2 JP3264400 B2 JP 3264400B2 JP 27971093 A JP27971093 A JP 27971093A JP 27971093 A JP27971093 A JP 27971093A JP 3264400 B2 JP3264400 B2 JP 3264400B2
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哲郎 前田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特定のゴム含有スチレン
系樹脂とアクリルゴムから構成されており、改良された
耐環境応力亀裂性と成形加工性を有し、電気冷蔵庫の内
装材として好適に用いられる熱可塑性樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ゴム含有スチレン系樹脂を代表するAB
S樹脂は、剛性、耐衝撃性、耐薬品性、成形加工性等の
性質に優れる汎用樹脂として、家庭用電気機器等の用途
に広範に使用されているが、用途によっては耐環境応力
亀裂性の改良が要求される場合がある。たとえばABS
樹脂は電気冷蔵庫の内装材として使用されるが、このよ
うな電気冷蔵庫の壁は、鋼板等の外装材とABS樹脂で
製造された内装材とで囲まれた空間に、断熱材としてウ
レタン発泡体を充填して構成されており、ウレタン発泡
体を製造するに際しては、発泡剤としてフルオロカーボ
ン即ちフロンが汎用されている。
【0003】しかしながら、このようにして製造された
ABS樹脂板の電気冷蔵庫の内装材では、環境応力亀裂
現象による割れが発生する場合がある。原因はウレタン
の発泡剤として使用されるフロンが、成形加工時あるい
は使用時に内装材に加えられる引張応力とあいまって環
境応力亀裂破壊を引き起こすためと考えられる。
【0004】ところで現在発泡剤として使用されている
フロン11等の特定フロンは、地球環境の温室効果原因
物質またはオゾン層破壊原因物質としての疑義が指摘さ
れ、地球環境保護の視点から製造の中止が計画されてお
り、環境破壊の可能性のより少ない代替フロンの使用が
計画されている。ところが発泡剤として使用が予定され
ている代替フロンであるフロン141bまたはフロン1
23は、フロン11に比べてABS樹脂の環境応力亀裂
破壊に与える影響が大きく、従ってフロン141bまた
はフロン123を発泡剤として使用して製造された電気
冷蔵庫の内装材であっては、フロン11を用いた場合に
比べて、環境応力亀裂破壊現象が発生する可能性が高
い。
【0005】フロンによる環境応力亀裂破壊を防止する
目的で、電気冷蔵庫内装材を構成するABS樹脂板の肉
厚を厚くする、またはABS樹脂板とウレタン発泡体と
の界面にポリエチレンフィルム層を介する等の方策が考
えられるが、経済性に劣るため、代替フロンに対する耐
環境応力亀裂性の改良されたABS樹脂の開発が望まれ
ている。
【0006】ABS樹脂の耐環境応力亀裂性を改善する
目的で、ABS樹脂の樹脂成分を構成するAS(アクリ
ロニトリル−スチレン)樹脂の分子量を増大させる、A
S樹脂を構成する極性単量体であるアクリロニトリルの
組成比を増大させる、あるいはAS樹脂にアクリロニト
リル以外の極性単量体を共重合する方法は公知である
が、これらの方法はABS樹脂の成形加工性の低下を伴
うばかりでなく、耐環境応力亀裂性の改良効果は不充分
である。
【0007】ABS樹脂等のゴム含有スチレン系樹脂の
耐環境応力亀裂性を改良する方法として、本発明者らは
既にゴム含有スチレン系樹脂と特定のアクリルゴムから
なる熱可塑性樹脂組成物を提案した(特公昭63ー22
222号公報、特公昭63ー28445号公報、特公昭
63−28460号公報、特公昭63−54303号公
報、特公平2−1857号公報、特公平3−52783
号公報、特公平3−54984号公報等)。しかしなが
ら、これらの発明では、代替フロンに対する耐環境応力
亀裂性の改良の最適化が行われていなかった。また代替
フロンに対する耐環境応力亀裂性の改良と良好な成形加
工性との両立を実現する手段が提案されておらず、電気
冷蔵庫等の用途に実用するに際して不都合があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにゴム含有
スチレン系樹脂樹脂を電気冷蔵庫等の用途に用いる場
合、代替フロンに対する耐環境応力亀裂性の改良と良好
な成形加工性の改良が望まれている。本発明の目的は、
これらの課題を解決し経済的にも優位な電気冷蔵庫等の
用途に適したゴム含有スチレン系樹脂を成すことであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、特定の組成範
囲に制御されたゴム含有スチレン系樹脂とアクリルゴム
からなる熱可塑性樹脂組成物であって、代替フロンに対
する耐環境応力亀裂性に優れると同時に、良好な成形加
工性を具有するという発見に基づいて行われている。即
ち本発明は、下記の特徴を有するゴム含有スチレン系樹
脂100重量部とアクリルゴム0.1〜100重量部と
を混合してなる電気冷蔵庫用熱可塑性樹脂組成物であ
る。使用したゴム含有スチレン系樹脂は、(a)グラフ
ト共重合体[G]5〜50重量%とマトリックス樹脂
[M]50〜95重量%からなり、(b)グラフト共重
合体[G]は共役ジエン系ゴム[B]に不飽和ニトリル
単量体と芳香族ビニル単量体を含む2種以上の単量体の
共重合体からなるグラフト枝[GM]がグラフト共重合
した共重合体で、かつグラフト枝[GM]は不飽和ニト
リル単量体20〜35重量%と芳香族ビニル単量体65
〜80重量%を含む2種以上の単量体の共重合体であ
り、(c)マトリックス樹脂[M]は、不飽和ニトリル
単量体35〜50重量%と芳香族ビニル単量体50〜6
5重量%を含む2種以上の単量体の共重合体であり、か
つ、(d)ゴム含有スチレン系樹脂中の共役ジエン系ゴ
ム[B]成分は2〜40重量%、不飽和ニトリル成分は
20〜50重量%および芳香族ビニル成分は10〜78
重量%を含むことを特徴とする。
【0010】また本発明は当該熱可塑性樹脂組成物にお
いて、ゴム含有スチレン系樹脂がABS樹脂であること
を特徴とした電気冷蔵庫用熱可塑性樹脂組成物である。
【0011】また本発明は当該熱可塑性樹脂組成物にお
いて、アクリルゴムのガラス転移温度が20℃以下であ
ることを特徴とした電気冷蔵庫用熱可塑性樹脂組成物で
ある。
【0012】また本発明はこれらの熱可塑性樹脂組成物
100重量部にシリコンオイル0.01〜10重量部を
添加した電気冷蔵庫用熱可塑性樹脂組成物である。
【0013】本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる
ゴム含有スチレン系樹脂は、共役ジエン系ゴム成分
[B]、不飽和ニトリル成分および芳香族ビニル成分を
含むが、本発明でいう共役ジエン系ゴム[B]とは、ブ
タジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン単
量体の単独重合体または共重合体、不飽和ニトリル成分
とはアクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和
ニトリル単量体の重合体、芳香族ビニル成分とはスチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチル
スチレン、ブロモスチレン等のスチレン系単量体の重合
体であることを示す。
【0014】また本発明のゴム含有スチレン系樹脂は、
グラフト共重合体[G]とマトリックス樹脂[M]から
なり、グラフト共重合体[G]は共役ジエン系ゴム
[B]に不飽和ニトリル単量体と芳香族ビニル単量体を
含む2種以上の単量体の共重合体からなるグラフト枝
[GM]がグラフト共重合した共重合体であり、マトリ
ックッス樹脂[M]はグラフト枝[GM]とは異なる組
成を有する不飽和ニトリル単量体と芳香族ビニル単量体
を含む2種以上の単量体の共重合体である。
【0015】本発明のゴム含有スチレン系樹脂は分散相
を構成するグラフト共重合体[G]と連続相を構成する
マトリックス樹脂[M]とからなるが、このような形態
を実現するために、乳化重合で製造された共役ジエン系
ゴム[B]ラテックスの存在化に不飽和ニトリル単量体
と芳香族ビニル単量体を含む2種以上の単量体の必要量
を加えて乳化ラジカル重合する方法が工業的に一般に行
われる。またこのような製法で得られたゴム含有スチレ
ン系樹脂に別途製造されたマトリックス樹脂を添加する
ことも公知である。本発明のゴム含有スチレン系樹脂は
このような方法により製造することができるが、製法に
は特に制限はない。
【0016】工業的に使用されるゴム含有スチレン系樹
脂は、剛性、耐熱性、耐衝撃性、成形加工性等の性質を
改良する目的で、共役ジエン系ゴム[B]、グラフト枝
[GM]またはマトリックス樹脂[M]の製造時に、こ
れらの重合体を構成する単量体として示した前記の単量
体に、当該単量体以外の単量体を加えて共重合すること
が一般に行われており、必要に応じて、本発明でもこれ
らの技術を任意に適用しうるが、このような単量体とし
ては、たとえば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリ
ル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)ア
クリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メ
タ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸
エステル系単量体、マレイミド、N−ブチルマレイミ
ド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレ
イミド等のマレイミド系単量体、(メタ)アクリルアミ
ド、無水マレイン酸等がある。
【0017】本発明のゴム含有スチレン系樹脂は、
(a)グラフト共重合体[G]5〜50重量%とマトリ
ックス樹脂[M]50〜95重量%からなり、(b)グ
ラフト共重合体[G]は共役ジエン系ゴム[B]に不飽
和ニトリル単量体と芳香族ビニル単量体を含む2種以上
の単量体の共重合体からなるグラフト枝[GM]がグラ
フト共重合した共重合体で、かつグラフト枝[GM]は
不飽和ニトリル単量体20〜35重量%と芳香族ビニル
単量体65〜80重量%を含む2種以上の単量体の共重
合体であり、(c)マトリックス樹脂[M]は、不飽和
ニトリル単量体35〜50重量%と芳香族ビニル単量体
50〜65重量%を含む2種以上の単量体の共重合体で
あり、(d)ゴム含有スチレン系樹脂中の共役ジエン系
ゴム[B]成分は2〜40重量%、不飽和ニトリル成分
は20〜50重量%および芳香族ビニル成分は10〜7
8重量%を含むことを特徴とするものである。
【0018】これらの要件は、本発明の電気冷蔵庫用熱
可塑性樹脂組成物が実用上好ましい耐環境応力亀裂性と
成形加工性を具有するための条件となる。ゴム含有スチ
レン系樹脂の代替フロンに対する耐環境応力亀裂性を改
良するには、たとえば特開平5−155949号公報に
記載されている通り、ABS樹脂等を構成する不飽和ニ
トリル成分の組成比を高くすればよいが、不飽和ニトリ
ル成分の組成比の増加につれて樹脂の溶融粘度が増大
し、工業的に好ましくない成形加工性の低下が起こる。
ところが本発明者らの知見するところによれば、ゴム含
有スチレン系樹脂においてはABS樹脂等を構成する不
飽和ニトリル成分の組成比を高くするに際し、グラフト
枝[GM]の不飽和ニトリル成分を低く抑制し、マトリ
ックス樹脂[M]の不飽和ニトリル成分を高くすれば、
高い耐環境応力亀裂性と良好な成形加工性を有する熱可
塑性樹脂組成物が得られる。即ち、本発明のゴム含有ス
チレン系樹脂は不飽和ニトリル成分が20重量%未満で
は耐環境応力亀裂性に劣り、50重量%を越えると成形
加工性に劣る。また本発明のゴム含有スチレン系樹脂の
グラフト共重合体を構成するグラフト枝[GM]の不飽
和ニトリル単量体が35重量%を越えると成形加工性に
劣る。またマトリックス樹脂[M]の不飽和ニトリル単
量体が35重量%未満では耐環境応力亀裂性に劣り、5
0重量%を越えると成形加工性に劣る。
【0019】グラフト枝[GM]とマトリックス樹脂
[M]の組成が異なるゴム含有スチレン系樹脂を製造す
るには、ジエン系ゴム[B]の存在下で重合させる不飽
和ニトリル単量体と芳香属ビニル単量体の組成比を逐次
的に変更させる方法、ゴム含有スチレン系樹脂に組成の
異なるマトリックス樹脂を配合する方法等があるが製法
に制限はない。
【0020】本発明のアクリルゴムは(メタ)アクリル
酸エステル系単量体の単独あるいは共重合体であるが、
共重合する単量体は前記の不飽和ニトリル単量体、芳香
族ビニル単量体、マレイミド系単量体、(メタ)アクリ
ルアミド、無水マレイン酸に加え、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン等のオレフ
ィン単量体、酢酸ビニル等の脂肪酸ビニル単量体等があ
る。
【0021】本発明者らは以前にアクリルゴムとゴム含
有スチレン系樹脂との相容性を改良する目的で、グラフ
ト重合されたアクリルゴムを提案したが(特公昭63−
28445号公報、特公昭63−28460号公報)、
本発明のアクリルゴムは当該公報に開示されているグラ
フト枝を有するアクリルゴムであってもよい。
【0022】本発明のアクリルゴムはガラス転移温度が
20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が2
0℃を越えると、熱可塑性樹脂組成物の耐環境応力亀裂
性が不充分である。なおアクリルゴムがグラフト枝を有
する場合には、アクリルゴムのガラス転移温度とは、グ
ラフト枝を含まない幹ポリマーのガラス転移温度をい
う。
【0023】また本発明者らは、本発明の熱可塑性樹脂
組成物に少量のシリコンオイルを添加すると顕著な耐衝
撃性の改良効果が認められることを見いだした。有効な
添加量はゴム含有スチレン系樹脂とアクリルゴムからな
る熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.01〜
10重量部の範囲である。耐衝撃性改良の作用機構は不
明であるが、シリコンオイル添加による耐衝撃性の向上
は、電気冷蔵庫の内装材に必要な高い剛性と高い耐衝撃
性の両立に有効である。シリコンオイルの分子量および
構造は特に問わず、重合度10〜100,000のポリ
ジメチルシロキサン等が使用できる。
【0024】本発明の熱可塑性樹脂組成物はゴム含有ス
チレン系樹脂とアクリルゴムを混合して得られるが、そ
の製法は任意である。たとえばゴム含有スチレン系樹脂
およびアクリルゴムが共に乳化重合で製造される場合に
は、特公昭63−22222号公報に記載された方法に
従って、得られた重合体ラテックスを混合することがで
きる。また特公平3−52783号公報に記載された方
法に従って乳化状態で予備混合されたアクリルゴム組成
物を別途ゴム含有スチレン系樹脂と溶融混練することも
できる。また特公昭59−15942号公報に開示され
た方法を利用して、アクリルゴムラテックスをゴム含有
スチレン系樹脂固体と混合する製法も可能である。ゴム
含有スチレン系樹脂およびアクリルゴムが共に固体であ
る場合には、スクリュー押出機、バンバリーミキサー等
の溶融混合装置で溶融混合できる。
【0025】本発明の熱可塑性樹脂組成物はゴム含有ス
チレン系樹脂100重量部とアクリルゴム0.1〜10
0重量部からなるが、アクリルゴムの含有率が0.1重
量部未満であると得られた熱可塑性樹脂組成物の耐環境
応力亀裂性が不充分であり、また100重量部を越える
と効果が飽和するばかりでなく、熱可塑性樹脂組成物の
耐熱性、剛性、光沢等の性質が低下して好ましくない。
なおアクリルゴムがグラフト枝を有する場合には、アク
リルゴムの含有率とは、グラフト枝を含まない幹ポリマ
ーの含有率をいう。
【0026】本発明の熱可塑性樹脂組成物は耐衝撃性、
耐熱性、剛性、難燃性等の性質を改良する目的で他の高
分子素材と混合して使用することができる。このような
高分子素材はSBR(スチレン−ブタジエンゴム)、E
PR(エチレン−プロピレンゴム)、NBR(アクリロ
ニトリル−ブタジエンゴム)等のエラストマー、ポリエ
チレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、
ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の
ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリ
塩化ビニル等がある。
【0027】
【実施例】次に実施例および比較例をあげて本発明を更
に詳細に説明する。なお例中の部および%は重量基準で
示した。
【0028】また、実施例および比較例の表1〜7で使
用した略号は次の通りである。 PB :ポリブタジエン SBR:スチレン−ブタジエンゴム AN :アクリロニトリル SM :スチレン nBA:アクリル酸n−ブチル MMA:メタクリル酸メチル AMA:メタクリル酸アリル
【0029】実施例および比較例 表1のABS樹脂、表2のAS樹脂、表3および表4の
アクリルゴムを用い表5(熱可塑性樹脂組成物を構成す
るABS樹脂の特徴)、表6(熱可塑性樹脂組成物の組
成と物性)および表7(熱可塑性樹脂組成物の組成と物
性)に記載した処方で配合し、約240℃で溶融混練し
て熱可塑性樹脂組成物を得た。なお、実施例は表6およ
び表7の実験番号1〜18に、比較例は表7の実験番号
19〜24に示した。表6および表7から明らかなよう
に、本発明の熱可塑性樹脂組成物はフロン141bに対
する耐環境応力亀裂性に優れ、しかも良好な成形加工性
を保有している。
【0030】実施例および比較例に使用したABS樹
脂、アクリルゴムおよび熱可塑性樹脂組成物の製造は以
下の通りに行った。 (1)ABS樹脂の製法 ポリブタジエンラテックスまたはポリブタジエンラテッ
クスとスチレン−ブタジエンゴム(スチレン含有率25
%)ラテックスの混合物を仕込んだステンレス製反応器
にイオン交換水、乳化剤、硫酸第一鉄を含む還元剤を加
え、窒素雰囲気下で温度を50℃に保持しながら、アク
リロニトリル、スチレン、クメンハイドロパーオキシ
ド、n−ドデシルメルカプタンからなる混合物を5時間
にわたり連続適下して乳化グラフト重合を行った。適下
終了後、温度を70℃に昇温して更に2時間保持して重
合を完結した。得られたABS樹脂の特徴を表1に記載
した。
【0031】(2)アクリルゴムの製法 ステンレス製反応器にイオン交換水、乳化剤、硫酸カ
リウムを仕込み、窒素雰囲気下で温度を70℃に保持し
ながら、表3に示した(メタ)アクリル酸エステル単量
体混合物を7時間にわたり連続滴下して乳化重合を行
い、更に70℃にて2時間保持することにより重合を完
結してアクリルゴムを得た。得られたアクリルゴムの特
徴を表3に記載した。
【0032】(3)アクリルゴムへのアクリロニトリル
およびスチレンのグラフト重合 表3の試料番号c1、c3またはc4のアクリルゴムラ
テックスを仕込んだステンレス製反応器にイオン交換
水、硫酸第一鉄を含む還元剤を加えて窒素雰囲気下で温
度を50℃に保持した。ここにアクリロニトリル、スチ
レン、n−ドデシルメルカプタン、クメンハイドロパー
オキシドからなる混合物と乳化剤水溶液とをそれぞれ連
続適下して乳化グラフト重合を行った。適下終了後、温
度を70℃に昇温して更に2時間保持することにより重
合を終了した。得られたグラフト重合体の特徴を表4に
まとめた。
【0033】(4)熱可塑性樹脂組成物の製法 表1のABS樹脂ラテックスと表3または表4のアクリ
ルゴムラテックスとをラテックス状態で混合し、酸化防
止剤の懸濁液を加えた後に、温度約90℃で希硫酸を注
下してラテックスを析出させた。得られたスラリーを脱
水、乾燥して重合体粉末を得た。得られた重合体粉末
と、表2に示したAS樹脂粉末とをヘンシェルミキサー
で混合し、更に必要に応じてシリコンオイル(東レ株式
会社製SH200)を混合した後、二軸押出機を用いて
約240℃で溶融混練して、表6および表7の組成を有
する熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂
組成物を必要な形状に賦形して物性評価を行い、その結
果を表6および表7にまとめた。なお表6および表7の
熱可塑性樹脂組成物を構成するABS樹脂は、表1のA
BS樹脂と表2のAS樹脂との混合物であり、表5に記
載された組成を有している。
【0034】得られた熱可塑性樹脂組成物の評価は以下
の通りに行った。 (1)引張降伏点 …… JIS K 687
1 (2)アイゾット衝撃強度 …… JIS K 687
1 (3)メルトフローレート …… JIS K 721
0に準拠 (温度220℃、荷重10kg)
【0035】(4)耐環境応力亀裂性 JIS K 7113号形試験片に50mmのたわみを
与えて治具に固定し、温度23℃でフロン141bの雰
囲気下に24時間放置した後、温度−30℃でJIS
K 6871により引張試験を行い、引張破断伸びを求
め、結果を次の通りに評価した。評価Cでは電気冷蔵庫
内装材等の実用に耐えない。評価基準 A:引張破断伸び15%以上 B:引張破断伸び10以上15%未満 C:引張破断伸び10%未満
【0036】(5)成形加工性 T型ダイを備えた単軸押出機を用いて、温度約240℃
で押出加工を行い、幅40cm、厚さ2mmの熱可塑性
樹脂組成物の板を製造した。得られた樹脂板を80℃で
余熱した後、プラグアシスト型圧空真空成形機を用い
て、樹脂板の温度を160℃に制御して成形加工して、
底面に梨地模様のある長さ246mm、、幅165m
m、深さ30mmの無蓋箱状の成形物を得た。得られた
成形物の外観、特に底面の模様の再現状態を目視にて観
察し、A〜Cの評価を行った。評価Cでは電気冷蔵庫内
装材等の実用に耐えない。評価基準 A:底面の模様が鮮明に転写されており、箱の稜線、角
も鋭角である。 B:底面の模様がやや不鮮明であり、箱の稜線、角もや
や鈍角となる。 C:底面の模様が極めて不鮮明であり、箱の稜線、角も
鈍角である。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
【発明の効果】以上のように、本発明の熱可塑性樹脂組
成物であっては、代替フロンによる環境応力亀裂現象の
発生が抑制され、しかも良好な成形加工性を保有してお
り、電気冷蔵庫の内装材等の用途に好適である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−133402(JP,A) 特開 平7−48466(JP,A) 特開 平6−287403(JP,A) 特開 平4−170460(JP,A) 特開 平2−292351(JP,A) 特開 平1−201351(JP,A) 特開 昭63−191850(JP,A) 特開 昭60−118733(JP,A) 特公 昭63−22222(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 55/02 C08L 25/12 C08L 33/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の特徴を有するゴム含有スチレン系
    樹脂100重量部とアクリルゴム0.1〜100重量部
    とを混合してなる電気冷蔵庫用熱可塑性樹脂組成物で、
    ゴム含有スチレン系樹脂は、(a)グラフト共重合体
    [G]5〜50重量%とマトリックス樹脂[M]50〜
    95重量%からなり、(b)グラフト共重合体[G]は
    共役ジエン系ゴム[B]に不飽和ニトリル単量体と芳香
    族ビニル単量体を含む2種以上の単量体の共重合体から
    なるグラフト枝[GM]がグラフト共重合した共重合体
    で、かつグラフト枝[GM]は不飽和ニトリル単量体2
    0〜35重量%と芳香族ビニル単量体65〜80重量%
    を含む2種以上の単量体の共重合体であり、(c)マト
    リックス樹脂[M]は、不飽和ニトリル単量体35〜5
    0重量%と芳香族ビニル単量体50〜65重量%を含む
    2種以上の単量体の共重合体であり、かつ、(d)ゴム
    含有スチレン系樹脂中の共役ジエン系ゴム[B]成分は
    2〜40重量%、不飽和ニトリル成分は20〜50重量
    %および芳香族ビニル成分は10〜78重量%を含むこ
    とを特徴とする。
  2. 【請求項2】 ゴム含有スチレン系樹脂がABS(アク
    リロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂である請求
    項1記載の電気冷蔵庫用熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 アクリルゴムのガラス転移温度が20℃
    以下である請求項1の電気冷蔵庫用熱可塑性樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2および請求項3記載
    の熱可塑性樹脂組成物100重量部にシリコンオイル
    0.01〜10重量部を添加してなる電気冷蔵庫用熱可
    塑性樹脂組成物。
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