JPH10302837A - ポリマー電解質を有するリチウム電池 - Google Patents

ポリマー電解質を有するリチウム電池

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JPH10302837A
JPH10302837A JP9104805A JP10480597A JPH10302837A JP H10302837 A JPH10302837 A JP H10302837A JP 9104805 A JP9104805 A JP 9104805A JP 10480597 A JP10480597 A JP 10480597A JP H10302837 A JPH10302837 A JP H10302837A
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JP
Japan
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copolymer
lithium
lithium battery
polymer electrolyte
lithium salt
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Application number
JP9104805A
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English (en)
Inventor
Masayuki Tamura
正之 田村
Hiroki Kamiya
浩樹 神谷
Kazuya Hiratsuka
和也 平塚
Manabu Kazuhara
学 数原
Katsuharu Ikeda
克治 池田
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶媒の保持性が良好で安定性に優れたリチウム
電池、特にサイクル寿命に優れたリチウム二次電池を提
供する。 【解決手段】融点が50℃以上のハードセグメントとガ
ラス転移温度が40℃以下のソフトセグメントとからな
るブロック共重合体又はグラフト共重合体をマトリック
スとし、リチウム塩とリチウム塩を溶解できる溶媒とを
含有するポリマー電解質を有するリチウム電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリマー電解質を使
用したリチウム電池、特にサイクル寿命に優れるリチウ
ム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】電極活物質としてアルカリ金属、アルカ
リ金属イオンを吸蔵、放出可能な材料を用いる電池が高
エネルギー密度を有するものとして注目されており、な
かでもリチウム二次電池は特にエネルギー密度が高いた
め、電子機器の電源として広く用いられつつある。
【0003】近年、一次電池及び二次電池に液状である
電解液を用いることによって生じる漏液の対策、可燃性
電解液の着火性低減対策、及び電池のフィルム状化によ
る電子機器への組み込み性の向上とスペースの有効利用
等の見地より、ポリマー電解質が提案されている(特表
平8−507407、特表平4−506726)。
【0004】そのなかで、ポリエチレンオキシド系ポリ
マー電解質は電気化学的には安定であるが、有機電解液
の溶媒の保持性が低い難点がある。三次元構造のポリア
クリレート系ポリマー電解質は、溶媒の保持性はよいも
のの電気化学的に不安定で4V級電池には適さない。
【0005】ポリフッ化ビニリデンからなるポリマー電
解質は電気化学的に安定であり、フッ素原子を含むので
ポリマーが燃えにくい特徴があるが、ポリマー電解質の
温度を上げると電解液がポリマーよりにじみ出る。これ
に対し、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン
共重合体を使用することによりこの問題を解決する試み
もある。
【0006】さらに、従来のポリマー電解質使用リチウ
ム二次電池は、充放電サイクル耐久性が液体電解質を用
いた電池より劣る欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は特定のポリマ
ー電解質を採用することにより、ポリマー電解質の溶媒
の保持性がよく、安定で、特に二次電池として使用する
ときの充放電サイクル耐久性が優れたリチウム電池を提
供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、正極、負極及
び電解質を有するリチウム電池において、前記電解質
が、融点が50℃以上のハードセグメントとガラス転移
温度が40℃以下のソフトセグメントとからなるブロッ
ク共重合体又はグラフト共重合体をマトリックスとし、
リチウム塩の溶質とリチウム塩を溶解できる溶媒とから
なる溶液を含有するポリマー電解質であることを特徴と
するリチウム電池を提供する。
【0009】本発明のリチウム電池は、一次電池、二次
電池のいずれの電池としても使用できる。特に二次電池
として使用する場合は、負極へのリチウムの析出がなく
安全であることを考慮すると、負極にリチウムの層間化
合物を用いるいわゆるリチウムイオン二次電池が好まし
い。
【0010】本発明におけるポリマー電解質のマトリッ
クスは、ゴム弾性を示すハードセグメントと樹脂成分か
らなるソフトセグメントとからなるブロック共重合体又
はグラフト共重合体よりなる。このブロック共重合体又
はグラフト共重合体は、ハードセグメントに基づく融点
が50℃以上であり、ソフトセグメントに基づくガラス
転移温度が40℃以下である。このブロック共重合体又
はグラフト共重合体のこれらの特性は、その重合の形態
によりハードセグメントを構成する重合体自体の融点又
はソフトセグメントを構成する重合体自体のガラス転移
温度と必ずしも一致しないが、大きな差は生じない。
【0011】ハードセグメントの融点が50℃未満であ
るとポリマー電解質の強度が充分でない。また、融点が
極端に高いと成形加工性が低下するので、通常は60〜
350℃の融点範囲のハードセグメントを用いることが
好ましい。さらに好ましくは、80〜250℃である。
【0012】一方、ソフトセグメントのガラス転移温度
は、高すぎると低温におけるマトリックスのイオン伝導
度が低下するため、40℃以下のものが用いられる。よ
り好ましくは25℃以下のものが用いられる。
【0013】本発明のリチウム電池のポリマー電解質の
マトリックスを構成するブロック共重合体又はグラフト
共重合体中のハードセグメントとソフトセグメントの割
合は、フィルムを形成するための有機溶媒へのマトリッ
クスの溶解性又は分散性、マトリックスのリチウム塩溶
液との混和性及びリチウム塩溶液の保持性、ポリマー電
解質の集電体金属への接着性、強度、成形性、取扱い
性、マトリックスの入手の容易性などにより適宜選定で
きる。
【0014】ポリマー電解質のマトリックスを構成する
共重合体中のハードセグメントとソフトセグメントとの
重量比は、99/1〜1/99であることが好ましい。
ハードセグメントが極端に多いと結晶性と疎油性が高く
なり、リチウム塩溶液がポリマー中に侵入しにくくなっ
たり、ポリマー電解質の電気伝導度が低くなり好ましく
ない。また、ソフトセグメントが極端に多いと、ポリマ
ー電解質の柔軟性が高くなり、強度が低下するので好ま
しくない。より好ましくは、95/5〜5/95が用い
られる。さらに好ましくは90/10〜10/80の範
囲とされる。
【0015】該ブロック共重合体又はグラフト共重合体
としてフッ素含有モノマーに基づく重合単位を含む共重
合体を用いると、リチウム塩溶液の保持性がよく、安定
で、特に二次電池として使用した場合の充放電サイクル
耐久性が大きいため好ましい。さらに、ハードセグメン
トが、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエ
チレン又はフッ化ビニリデンに基づく重合単位からなる
単独重合体又は前記重合単位を含む共重合体であると安
定性が高く好ましい。
【0016】ハードセグメントを具体的に例示すれば、
ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/テトラフル
オロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリ
フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキ
サフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合
体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレ
ン/エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレ
ン、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体等
が挙げられる。ただし、本明細書においてA/B共重合
体とは、Aに基づく重合単位とBに基づく重合単位とか
らなる共重合体をいう。
【0017】一方、ソフトセグメントもテトラフルオロ
エチレン、クロロトリフルオロエチレン又はフッ化ビニ
リデンに基づく重合単位を一成分とする共重合体である
ことが安定性が高く好ましい。具体的に例示すれば、フ
ッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラ
フルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/
プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフ
ルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフ
ルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等
が挙げられる。
【0018】さらに、前記ハードセグメント及び前記ソ
フトセグメントは、これらと共重合体を形成できる他の
単量体に基づく重合単位を10モル%を超えない範囲で
適宜含有させた共重合体であってもよい。他の単量体と
しては、上記に共重合体成分として例示されたフッ化ビ
ニル、エチレン、プロピレン、イソブチレン、エチルビ
ニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、シクロヘ
キシルビニルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、
ピバリン酸ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、Ve
ova−9及びVeova−10(商品名、シェル社
製)、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエ
ーテル、ノルボルナジエン、クロトン酸及びそのエステ
ル、アクリル酸及びそのアルキルエステル、メタクリル
酸及びそのアルキルエステル等が挙げられる。
【0019】本発明で使用するブロック共重合体又はグ
ラフト共重合体の分子量は、1万〜100万が好まし
い。分子量が100万を超えると、溶解粘度が著しく高
くリチウム塩溶液との均一混合が困難となったり、リチ
ウム塩溶液の保持量が少なくなってポリマー電解質の電
気伝導度が低下するので好ましくない。一方、1万未満
であると、ポリマー電解質の機械的強度が著しく低下す
るので好ましくない。特に好ましくは3万〜80万が採
用される。
【0020】ブロック共重合体又はグラフト共重合体を
構成するハードセグメントとソフトセグメントのそれぞ
れの分子量も、極端に小さいとセグメントの特性が発現
しないため、5千〜50万の範囲にあることが好まし
く、特に、1万〜50万が好ましい。
【0021】本発明におけるリチウム塩溶液の溶媒とし
ては炭酸エステルが好ましい。炭酸エステルは環状、鎖
状いずれも使用できる。環状炭酸エステルとしてはプロ
ピレンカーボネート、エチレンカーボネート等が例示さ
れる。鎖状炭酸エステルとしてはジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネー
ト、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピル
カーボネート等が例示される。
【0022】本発明では上記炭酸エステルを単独で又は
2種以上を混合して使用できる。他の溶媒と混合して使
用してもよい。また、負極活物質の材料によっては、鎖
状炭酸エステルと環状炭酸エステルを併用すると、放電
特性、サイクル耐久性、充放電効率が改良できる場合が
ある。
【0023】本発明で使用されるリチウム塩としては、
ClO4 -、CF3 SO3 -、BF4 -、PF6 -、AsF6 -
SbF6 -、CF3 CO2 -、(CF3 SO22- 等を
アニオンとするリチウム塩のいずれか1種以上を使用す
ることが好ましい。
【0024】本発明におけるリチウム塩溶液は、リチウ
ム塩を前記溶媒に0.2〜2.0mol/lの濃度で溶
解するのが好ましい。この範囲を逸脱すると、イオン伝
導度が低下し、ポリマー電解質の電気伝導度が低下す
る。より好ましくは0.5〜1.5mol/lが選定さ
れる。
【0025】本発明では、マトリックス中に前記リチウ
ム塩溶液が均一に分布したポリマー電解質を使用する
が、ポリマー電解質中のリチウム塩溶液の含有量は30
〜90重量%が好ましい。30重量%未満であると電気
伝導度が低くなるので好ましくない。90重量%を超え
るとポリマー電解質が固体状態を保てなくなるので好ま
しくない。特に好ましくは40〜65重量%が採用され
る。
【0026】本発明におけるポリマー電解質は種々の方
法で作製できる。例えば、マトリックスを形成する共重
合体を有機溶媒に溶解又は均一に分散させ、リチウム塩
を溶媒に溶解させた溶液と混合する(以下、この混合液
をポリマー電解質形成用混合液という)。この混合液を
ガラス板上にバーコータ又はドクターブレードによる塗
布、キャスト又はスピンコートした後、乾燥して主とし
て前記共重合体を溶解又は分散させた有機溶媒を除去
し、ポリマー電解質フィルムを得る。乾燥時にリチウム
塩溶液に用いた溶媒が一部蒸発する場合は、該フィルム
に新たにその溶媒を含浸させるか又はフィルムをその溶
媒蒸気に暴露して所望の組成にする。
【0027】前記共重合体を溶解又は分散させる有機溶
媒としては、テトラヒドロフラン(以下、THFとい
う)、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、アセト
ン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等が使用できるが、乾燥により選択的に
この有機溶媒を除去するため、THF、アセトン等の沸
点100℃以下の揮発性の有機溶媒が好ましい。
【0028】本発明における負極活物質は、一次電池の
場合はリチウムイオンを放出可能な材料であり、二次電
池の場合はリチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料であ
る。これらの負極活物質を形成する材料は特に限定され
ないが、例えばリチウム金属、リチウム合金、炭素材
料、周期表14、15族の金属を主体とした酸化物、炭
素化合物、炭化ケイ素化合物、酸化ケイ素化合物、硫化
チタン、炭化ホウ素化合物等が挙げられる。
【0029】炭素材料としては、様々な熱分解条件で有
機物を熱分解したものや人造黒鉛、天然黒鉛、土壌黒
鉛、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛等を使用できる。また、酸化
物としては、酸化スズを主体とする化合物が使用でき
る。
【0030】本発明における正極活物質は一次電池の場
合はリチウムイオンを吸蔵可能な物質であり、二次電池
の場合はリチウムイオンを吸蔵、放出可能な物質であ
る。例えば、周期表4族のTi、Zr、Hf、5族の
V、Nb、Ta、6族のCr、Mo、W、7族のMn、
8族のFe、Ru、9族のCo、10族のNi、11族
のCu、12族のZn、Cd、13族のAl、Ga、I
n、14族のSn、Pb、15族のSb、Bi及び16
族のTe等の金属を主成分とする酸化物及び複合酸化
物、硫化物等のカルコゲン化物、オキシハロゲン化物、
前記金属とリチウムとの複合酸化物等が使用できる。ま
た、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリチ
オフェン誘導体、ポリアセン誘導体、ポリパラフェニレ
ン誘導体、又はそれらの共重合体等の導電性高分子材料
も使用できる。
【0031】本発明では、リチウムを吸蔵、放出可能な
物質を負極活物質に使用した二次電池とする場合、負極
及び/又は正極にリチウムを含有させる。一般的には正
極活物質の合成時にリチウム含有化合物とし、正極活物
質の固体マトリックス中にリチウムを含有させておく。
また、電池組立前に負極に化学的又は電気化学的方法で
リチウムを含有させたり、電池組立時にリチウム金属を
負極及び/又は正極に接触させて組み込むといった方法
でリチウムを含有させることもできる。
【0032】正極活物質に使用するリチウム含有化合物
としては、特にリチウムとマンガンの複合酸化物、リチ
ウムとコバルトの複合酸化物、リチウムとニッケルの複
合酸化物が好ましい。
【0033】本発明における正極及び負極は、活物質を
有機溶媒と混練してスラリとし、該スラリを金属箔集電
体に塗布、乾燥して得ることが好ましい。より好ましく
は、前記正極及び負極にポリマー電解質形成用混合液を
含浸又は塗布し、電極層の内部までポリマー電解質を浸
透させる。また、ポリマー電解質形成用混合液をスラリ
に混合してから金属箔集電体に塗布して電極を形成して
もよい。
【0034】また、本発明では、前記共重合体を有機溶
媒に溶解又は分散させずに、多孔質フィルム状に形成
し、活物質を含むスラリを金属箔集電体に塗布、乾燥し
て得た正極及び負極の間にはさみ、その後にリチウム塩
溶液を吸収せしめて電池素子を形成することもできる。
【0035】本発明のリチウム電池の形状には特に制約
はない。シート状(いわゆるフィルム状)、折り畳み
状、巻回型有底円筒形、ボタン形等が用途に応じて選択
される。
【0036】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0037】[例1]内容積3000mlのオートクレ
ーブにイオン交換水1500ml、パーフルオロオクタ
ン酸アンモニウム7.5gを入れ、フッ化ビニリデン/
ヘキサフルオロプロペン(モル比で51/49)の混合
ガスでオートクレーブ内部を置換し、内温80℃にし、
15kg/cm2 に加圧した。撹拌下、過硫酸アンモニ
ウム10重量%水溶液5mlを添加し、反応を開始し
た。反応の進行につれて内圧が低下した。14kg/c
2 まで低下したときにICF2 CF2 CF2 CF2
を1g添加した。さらに、フッ化ビニリデン/ヘキサフ
ルオロプロペン(モル比で78/22)の混合ガスで1
5kg/cm2 に再加圧し、以後反応による圧力低下を
補うように前記混合ガスを添加し、反応を継続した。前
記混合ガスを300g添加したところで冷却し、オート
クレーブ内のモノマーガスをパージした。
【0038】ここで得られたフッ化ビニリデン/ヘキサ
フルオロプロペン共重合体のディスパージョンを一部凝
集乾燥し、固形分濃度を算出したところ16.5重量%
であった。この共重合体のガラス転移温度は−15℃で
あった。
【0039】ついで得られたディスパージョン500g
を内容積1000mlのオートクレーブに加えフッ化ビ
ニリデンガスでオートクレーブ内を置換し、再度80℃
に昇温し、23kg/cm2 までフッ化ビニリデンを添
加昇圧した。開始剤は再度添加することなく、ただちに
反応が開始し、内圧の減少が始まるので、フッ化ビニリ
デンにより23kg/cm2 に保つように継続的に添加
した。フッ化ビニリデンガス20g添加したところで冷
却、パージし、重合を停止した。
【0040】得られたディスパージョンの固形分濃度
は、20.2重量%であった。このディスパージョンを
凍結破壊し、水洗乾燥することにより、フッ化ビニリデ
ン/ヘキサフルオロプロペン共重合体からなるセグメン
トとポリフッ化ビニリデンからなるセグメントとからな
るブロック共重合体102.9gを得た。このブロック
共重合体中、フッ化ビニリデンに基づく重合単位からな
るセグメントの含有量は22重量%であった。このブロ
ック共重合体は、示差走査熱量測定(以下、DSC測定
という)によると162℃にポリフッ化ビニリデンの融
点に基づくピークを有していた。また、このブロック共
重合体は、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロペン
共重合体のガラス転移温度に基づく−15℃のガラス転
移温度を有していた。
【0041】アルゴン雰囲気中で、このブロック共重合
体10重量部をTHF32重量部に撹拌しながら加温し
て溶解させた。これを溶液1とする。次にエチレンカー
ボネートとプロピレンカーボネートを体積比で1/1に
混合した溶媒にLiPF6 を1mol/lの濃度でアル
ゴン雰囲気中で溶解した。これを溶液2とする。
【0042】21重量部の溶液1に5重量部の溶液2を
加え、60℃に加熱し撹拌した。この溶液をガラス板上
にバーコータにて塗布し、40℃で1時間乾燥してTH
Fを除去し、厚さ100μmの透明なポリマー電解質フ
ィルムを得た。このフィルムの組成は、共重合体、エチ
レンカーボネート/プロピレンカーボネート混合溶媒、
LiPF6 が重量比で50/44.3/5.7であっ
た。
【0043】このフィルムをガラス基板より剥離し、交
流インピーダンス法により電気伝導度を25℃、アルゴ
ン雰囲気中で測定した。電気伝導度は4.0×10-4
/cmであった。
【0044】正極活物質としてLiCoO2 粉末を11
重量部、導電材としてアセチレンブラックを1.5重量
部、上記共重合体6重量部、溶液2を11重量部、及び
アセトン70重量部をアルゴン雰囲気下で混合し、撹拌
しながら加温してスラリを得た。このスラリを厚さ20
μmで表面を粗面化したアルミニウム箔にバーコータに
て塗布、乾燥し、正極を得た。
【0045】負極活物質としてメソフェーズカーボンフ
ァイバ粉末(平均直径8μm、平均長さ50μm、(0
02)面間隔0.336nm)12重量部、上記共重合
体6重量部、溶液2を11重量部、及びアセトン70重
量部をアルゴン雰囲気中で混合し、撹拌しながら加温し
てスラリを得た。このスラリを厚さ20μmで表面を粗
面化した銅箔にバーコータにて塗布、乾燥し、負極を得
た。
【0046】上記ポリマー電解質フィルムを1.5cm
角に成形し、これを介して有効電極面積1cm×1cm
の正極と負極を対向させ、厚さ1.5mmで3cm角の
2枚のポリテトラフルオロエチレン背板で挟み締めつ
け、その外側を外装フィルムで覆うことによりリチウム
イオン二次電池素子を組み立てた。この操作もすべてア
ルゴン雰囲気中で行った。
【0047】充放電条件は、0.5Cの定電流で、充電
電圧は4.2Vまで、放電電圧は2.5Vまでの電位規
制で充放電サイクル試験を行った。その結果、500サ
イクル後の容量維持率は88%であった。
【0048】[例2]フッ化ビニリデン/ヘキサフルオ
ロプロペン共重合体のディスパージョンと反応させるガ
スをテトラフルオロエチレン/エチレン(モル比で80
/20)の混合ガスとし、オートクレーブの内圧を15
kg/cm2 に保ち、内圧を維持するために加えるガス
をテトラフルオロエチレン/エチレン(モル比で55/
45)の混合ガスとした以外は例1と同様にして固形分
濃度19.8重量%のディスパージョンを得た。
【0049】このディスパージョンを凍結破壊し、水洗
乾燥することにより、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオ
ロプロペン共重合体からなるセグメントとテトラフルオ
ロエチレン/エチレン共重合体からなるセグメントとか
らなるブロック共重合体101.0gを得た。このブロ
ック共重合体において、テトラフルオロエチレン/エチ
レン共重合体からなるセグメントの含有量は20重量%
に相当する。このブロック共重合体は、DSC測定によ
ると251℃にテトラフルオロエチレン/エチレン共重
合体の融点に基づくピークを有していた。
【0050】このブロック共重合体を用いた以外は例1
と同様にして厚さ100μmのポリマー電解質フィルム
を得た。このフィルムの電気伝導度を例1と同様に測定
したところ、5×10-4S/cmであった。
【0051】このポリマー電解質を用いた以外は例1と
同様にして電池素子を組み立て、例1と同様に充放電サ
イクル試験を行った。500サイクル後の容量維持率は
90%であった。
【0052】[例3]内容積3000mlのオートクレ
ーブにイオン交換水1500ml、パーフルオロオクタ
ン酸アンモニウム7.5gを溶解し、テトラフルオロエ
チレン/プロピレン(モル比で90/10)の混合ガス
でオートクレーブ内部を置換し、内温40℃にし、25
kg/cm2 に加圧した。撹拌下、過硫酸アンモニウム
10%水溶液10mlを添加した。反応が開始し、内圧
低下が起こるので、14kg/cm2 まで低下したとき
にICF2 CF2 CF2 CF2 Iを1g添加した。さら
に、テトラフルオロエチレン/プロピレン(モル比で5
5/45)の混合ガスで15kg/cm2 に再加圧し、
以降反応による圧力低下を補うように該混合ガスを添加
し、15kg/cm2 の一定の圧力のもとで反応を継続
した。また、該混合ガス50g添加ごとに過硫酸アンモ
ニウム10%水溶液1mlを間欠的に添加した。テトラ
フルオロエチレン/プロピレンの混合ガスを300g添
加したところで冷却し、オートクレーブ内のモノマーガ
スをパージした。
【0053】ここで得られたテトラフルオロエチレン/
プロピレン共重合体のディスパージョンの固形分濃度は
15.9重量%であった。この共重合体のガラス転移温
度は+0℃であった。
【0054】ついで得られたディスパージョン300g
とイオン交換水200gを内容積1000mlのオート
クレーブに入れてフッ化ビニリデンガスでオートクレー
ブ内を置換し、再度80℃に昇温し、23kg/cm2
までフッ化ビニリデンを添加昇圧した。開始剤は再度添
加することなく、ただちに反応が開始し、内圧の減少が
始まるので、フッ化ビニリデンにより23kg/cm2
を保つように継続的に添加した。フッ化ビニリデンガス
50g添加したところで冷却、パージし、重合を停止し
た。
【0055】得られたディスパージョンの固形分濃度は
16.7重量%であった。ポリフッ化ビニリデンからな
るセグメントの含有量は47重量%に相当する。
【0056】このディスパージョンを凍結破壊し、水洗
乾燥することにより、テトラフルオロエチレン/プロピ
レンとフッ化ビニリデンからなるブロック共重合体8
8.2gを得た。このブロック共重合体はDSC測定に
よると169℃にポリフッ化ビニリデンの融点に基づく
ピークを有していた。
【0057】このブロック共重合体を用いた以外は例1
と同様にして厚さ100μmのポリマー電解質フィルム
を得た。このフィルムの電気伝導度を例1と同様にして
測定したところ、3.5×10-4S/cmであった。
【0058】このポリマー電解質を用いた以外は例1と
同様にして電池素子を組み立て、例1と同様に充放電サ
イクル試験を行った。500サイクル後の容量維持率は
85%であった。
【0059】[例4]内容積3000mlのオートクレ
ーブにイオン交換水1500ml、パーフルオロオクタ
ン酸アンモニウム4.5g、過硫酸カリウム3gを溶解
し、窒素置換、脱気後フッ化ビニリデン250g、クロ
ロトリフルオロエチレン151g及び不飽和パーオキシ
ドとしてt−ブチルパーオキシアリルカーボネート(C
33 COOC(=O)OCH2 CH=CH2 3gを
添加した。内温50℃にし、反応を20時間継続したの
ち、オートクレーブ内のモノマーガスをパージした。
【0060】ここで得られたフッ化ビニリデン/クロロ
トリフルオロエチレン共重合体のディスパージョンを凍
結破壊し、水洗乾燥し、さらに未反応のt−ブチルパー
オキシアリルカーボネートをn−ヘキサンで抽出除去の
のち再度真空乾燥した。これによりパーオキシ基を含有
するフッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共
重合体を400g得た。このポリマーのガラス転移温度
は−20℃であった。
【0061】得られた共重合体30gとCF2 ClCF
2 CF2 Cl(旭硝子社製、商品名:AK225cb)
350gとを500mlのオートクレーブに入れ、窒素
置換、脱気後、フッ化ビニリデンを40g添加した。内
温を95℃に昇温し、ポリマー中に含まれるパーオキシ
基を分解させ反応を開始させた。24時間重合を行った
後、冷却、モノマーパージし、AK225cbを除去し
てフッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重
合体にポリフッ化ビニリデンがグラフトしたグラフト共
重合体57gを得た。このポリマーはDSC測定による
と162℃にポリフッ化ビニリデンの融点に基づくピー
クを有していた。
【0062】この共重合体の枝部分のポリフッ化ビニリ
デンの割合は、約47重量%と計算される。このグラフ
ト共重合体を用いた以外は例1と同様にして厚さ100
μmのポリマー電解質フィルムを得た。このフィルムの
電気伝導度を例1と同様にして測定したところ、4.5
×10-4S/cmであった。
【0063】このポリマー電解質を用いた以外は例1と
同様にして電池素子を組み立て、例1と同様に充放電サ
イクル試験を行った。500サイクル後の容量維持率は
91%であった。
【0064】[例5]負極として厚さ100μmのリチ
ウム/アルミニウム合金箔を用いた他は例2と同様にし
てリチウム二次電池素子を組み立て、例2と同様に充放
電サイクル試験を行った。500サイクル後の容量維持
率は86%であった。
【0065】
【発明の効果】本発明によるリチウム電池は、ポリマー
電解質がリチウム塩溶液の保持性がよく良好な電気伝導
度を保ちつつ、かつポリマー電解質と電極活物質との密
着性がよいので、充放電サイクル耐久性が優れている。
また、本発明のリチウム電池は、正極活物質及び負極活
物質の選択により、一次電池、二次電池両方に適用でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 数原 学 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内 (72)発明者 池田 克治 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正極、負極及び電解質を有するリチウム電
    池において、前記電解質が、融点が50℃以上のハード
    セグメントとガラス転移温度が40℃以下のソフトセグ
    メントとからなるブロック共重合体又はグラフト共重合
    体をマトリックスとし、リチウム塩の溶質とリチウム塩
    を溶解できる溶媒とからなる溶液を含有するポリマー電
    解質であることを特徴とするリチウム電池。
  2. 【請求項2】マトリックスを構成する共重合体中のハー
    ドセグメントとソフトセグメントとが重量比で95/5
    〜5/95である請求項1記載のリチウム電池。
  3. 【請求項3】前記ブロック共重合体又はグラフト共重合
    体が、フッ素含有モノマーに基づく重合単位を含む共重
    合体である請求項1又は2記載のリチウム電池。
  4. 【請求項4】ポリマー電解質に含有される溶媒が、炭酸
    エステルである請求項1、2又は3記載のリチウム電
    池。
  5. 【請求項5】ポリマー電解質が、リチウム塩を溶解した
    溶液を30〜90重量%含有する請求項1、2、3又は
    4記載のリチウム電池。
  6. 【請求項6】ハードセグメントが、テトラフルオロエチ
    レンに基づく重合単位、クロロトリフルオロエチレンに
    基づく重合単位又はフッ化ビニリデンに基づく重合単位
    を含む単独重合体又は共重合体である請求項1、2、
    3、4又は5記載のリチウム電池。
  7. 【請求項7】ソフトセグメントがテトラフルオロエチレ
    ンに基づく重合単位、クロロトリフルオロエチレンに基
    づく重合単位又はフッ化ビニリデンに基づく重合単位を
    含む共重合体である請求項1、2、3、4、5又は6記
    載のリチウム電池。
JP9104805A 1997-04-22 1997-04-22 ポリマー電解質を有するリチウム電池 Pending JPH10302837A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007326947A (ja) * 2006-06-07 2007-12-20 Ricoh Co Ltd 樹脂材料及びその製造方法、燃料電池、電源並びに電子機器
JP2015076351A (ja) * 2013-10-11 2015-04-20 ソニー株式会社 二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器
CN113258134A (zh) * 2021-04-16 2021-08-13 北京航空航天大学 一种有机系相变电解液及其应用

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JP2015076351A (ja) * 2013-10-11 2015-04-20 ソニー株式会社 二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器
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