JPH10298776A - 熱交換器用フィン材及びその製造方法 - Google Patents

熱交換器用フィン材及びその製造方法

Info

Publication number
JPH10298776A
JPH10298776A JP10992697A JP10992697A JPH10298776A JP H10298776 A JPH10298776 A JP H10298776A JP 10992697 A JP10992697 A JP 10992697A JP 10992697 A JP10992697 A JP 10992697A JP H10298776 A JPH10298776 A JP H10298776A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
hydrophilic
corrosion
water
heat exchanger
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10992697A
Other languages
English (en)
Inventor
Yosuke Ota
陽介 太田
Yoshikazu Mukai
良和 向井
Kenichi Kamiya
憲一 神谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP10992697A priority Critical patent/JPH10298776A/ja
Publication of JPH10298776A publication Critical patent/JPH10298776A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水ガラス系処理材の特徴である優れた親水持
続性及び耐熱性並びに樹脂系処理材の特徴である低臭気
及び低工具摩耗性を兼ね備えた熱交換器用フィン材及び
その製造方法を提供する。 【解決手段】 アルミニウム又はアルミニウム合金板の
表面にクロメート皮膜、ジルコニウム系皮膜又は水ガラ
ス系皮膜を含有する耐食皮膜が形成されている。そし
て、この耐食皮膜の上に親水性シリカ皮膜が形成されて
おり、更に、この上にブロックイソシアネートにより変
性されたポリエーテルポリオール化合物を含有する親水
性樹脂皮膜が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面に皮膜が形成さ
れたアルミニウム又はアルミニウム合金材からなる熱交
換器用フィン材及びその製造方法に関し、特に、家庭用
の熱交換器用フィン材として好適である防臭性が優れた
熱交換器用フィン材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱交換器は、ルームエアコン、パッケー
ジエアコン、冷凍ショーケース、冷蔵庫、オイルクーラ
ー及びラジエータ等を代表として、種々の分野において
利用されている。これらの熱交換器において、ルームエ
アコン及びパッケージエアコン等の熱交換器用のフィン
材としては、熱伝導性及び加工性が優れたアルミニウム
又はアルミニウム合金材が使用されている。以下、アル
ミニウム及びアルミニウム合金材を総称してアルミニウ
ム材という。
【0003】この熱交換器用フィン材の表面には、通
常、腐食の発生を防止するための防食処理が施されてい
る。また、冷房運転時の凝縮水がフィン内に留まること
を防止するために、粒状水滴の落下性を高める撥水性向
上の表面処理、又は水膜状水滴の落下性を高める親水性
向上の表面処理がフィン表面に施されている。
【0004】親水性を高める表面処理をアルミニウム材
表面に施すと、このアルミニウム材からなるフィンに付
着した水滴の接触角を小さくすることができる。図1
は、平面上の水滴の接触角を示す模式図であり、図2は
熱交換器の熱交換部を示す模式図である。図1に示すよ
うに、接触角θとは水滴2の表面における平面1から立
ち上がった点Aにおける水滴の接線22と平面1とがな
す角度をいい、接触角θが小さいほど水膜が薄くなり、
親水性が良好となる。図2に示すような熱交換器の熱交
換部においては、フィン3を貫くように通っている銅管
4の中を矢印で示す方向に冷媒が流れるため、フィン3
の表面に水滴が結露するが、親水性が良好な場合は、こ
の水滴の落下性が良好となる。従って、フィン3に付着
した水滴又は水膜によって送風時の抵抗が高くなること
を防止することができ、優れた熱交換器特性を得ること
ができる。
【0005】図3(a)乃至(c)はフィン表面の水滴
付着状態を示す模式図である。図3において、下向きの
矢印の長さは一定時間に水滴が落下する距離に比例す
る。図3(a)に示すように、フィン5の親水性が良好
な場合は水滴6の接触角が低いので、水滴6は容易にフ
ィン5に沿って落下する。このため、水滴6が送風を遮
ることがないので、送風抵抗が小さくなる。一方、親水
性が劣るフィンからなる熱交換器では、図3(b)に示
すように、水滴8の接触角が高いために水滴8がフィン
7に留まったり、図3(c)に示すように、水滴11が
フィン9とこのフィンに隣接するフィン10との両者に
接触して留まったりするために、水滴が送風を遮り、送
風抵抗が著しく増加する。
【0006】ところで、フィン材の親水性を高める表面
処理方法としては、以下に示す方法がある。例えば、親
水性が優れたシリカ皮膜をアルミニウム材の表面に形成
し、その上に潤滑皮膜を設ける方法(特開昭63−17
0492号公報、特公平1−21785号公報)、水溶
性有機高分子物質とケイ酸塩化合物との混合皮膜層をア
ルミニウム材表面に設ける方法(特公平3−77440
号公報)、熱硬化性樹脂にシリカ微粒子を分散させた皮
膜をアルミニウム材表面に塗布する方法(特開平3−2
69072号公報)がある。
【0007】しかし、上述したケイ酸塩を使用する処理
の場合には、親水性は良好なものの、硬質なシリカを含
むため、フィンの成形加工における工具摩耗が大きくな
り、また冷房の運転開始時において、水ガラス特有の微
弱な異臭が発生してしまう。潤滑皮膜を設けた場合で
も、冷房運転を繰り返すうちに潤滑皮膜が溶出してシリ
カ皮膜が露出してしまう。更に、シリカ微粒子を含む樹
脂処理は、臭気の発生は少ないものの工具摩耗が大き
く、また、表面に付着する水滴の接触角が高くなり、親
水性が低下してしまう。
【0008】また、アルミニウム材の表面にアクリル樹
脂層及びセルロース樹脂層を順次形成し、親水性及び耐
食性を向上させる方法(特公平4−24632号公
報)、水溶性有機樹脂とノニオン系界面活性剤を含有す
る厚さが0.05乃至5μmの親水性皮膜を形成する方
法(特開平4−316837号公報)、親水性有機化合
物に、メラミン樹脂、尿素樹脂又はベンゾグアナミン樹
脂を含有する有機硬化剤を添加した親水性皮膜を形成さ
せる方法(特公平5−15176号公報)もある。
【0009】これらの処理方法では、工具摩耗が少な
く、臭気発生が殆どないという特性を有するものの、冷
房運転と暖房運転とを交互に繰り返すと、フィン表面に
付着した水滴の接触角が高くなり親水性が低下してしま
う。また、特開平4−316837号公報に記載された
技術のように、界面活性剤を使用する場合には、泡立ち
等による品質むら及び生産性の低下等の問題が生じる。
また、界面活性剤が溶出した場合には、親水性が著しく
低下してしまう。
【0010】上述の技術の他に、カルボキシメチルセル
ロース樹脂に、ポリアクリル酸、N−メチロールアクリ
ルアミド及びポリエチレンオキサイド等を添加した混合
皮膜をアルミニウム材表面に塗布する方法(特開平6−
322552号公報)、ポリグルタミン酸及び塩基性化
合物を必須成分として、必要に応じて水性樹脂を含有す
る皮膜を形成する方法(特開平7−102188号公
報)、10%以上のポリオキシアルキレン鎖を有する樹
脂と特定の水性樹脂との混合皮膜を設ける方法(特開平
7−102189号公報)、アルミニウム材の上に溶解
性パラメータが互いに異なる水溶性樹脂を2種以上混合
し、表面が微細に粗面化された樹脂系皮膜を形成し、低
接触角を維持する方法(特開平7−270092号公
報)、分子量が規定されたカルボキシメチルセルロース
及びポリエチレングリコールの水溶液をアルミニウム材
の表面に塗布する方法(特開平8−261688号公
報)、分子量が規定されたエポキシ系架橋剤とポリビニ
ル系樹脂との混合物により表面に微細な孔を有する親水
性皮膜を形成する方法(特開平9−26288号公報)
が提案されている。
【0011】これらの技術においては、親水性皮膜中の
樹脂がポリエチレングリコール又はポリエチレンオキサ
イド等のエチレンオキサイド基を有する樹脂であり、従
来の樹脂系処理皮膜を形成したフィン材の問題点であっ
た良好な親水性の持続性を向上した点で画期的であり、
水ガラス系の処理を施したものと同様に、優れた親水性
を得ることができる。特に、特開平7−270092号
公報及び特開平9−26288号公報に記載された技術
においては、樹脂皮膜により表面形態が微細にスリガラ
ス状に粗面化されているので、親水性が優れ従来の水ガ
ラス系の処理を施したフィン材の問題点であった工具摩
耗及び臭気等の問題も殆どない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
エチレンオキサイド基を有する樹脂を使用する技術によ
れば、良好な親水性を得るために水ガラス系処理を行っ
た場合よりも皮膜を厚く設ける必要がある。このため、
冷媒を流すための銅管とろう付けするときに、ろう付け
部(カラー)付近が加熱されるので、樹脂が茶色に変色
してしまい、製品の外観上の問題がある。特に、特開平
7-270092号公報及び特開平9-26288号公報
に記載された技術においては、フィン材の表面が粗面化
されて淡白色乃至乳白色を呈しているので、茶色への変
色が目立ってしまう。
【0013】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、水ガラス系処理材の特徴である優れた親水
持続性及び耐熱性並びに樹脂系処理材の特徴である低臭
気及び低工具摩耗性を兼ね備えた熱交換器用フィン材及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係る熱交換器用
フィン材は、アルミニウム又はアルミニウム合金材の表
面に形成されたクロメート皮膜、ジルコニウム系皮膜及
び水ガラス系皮膜のいずれか一種を含有する耐食皮膜
と、前記耐食皮膜の上に形成された親水性シリカ皮膜
と、ブロックイソシアネートにより変性されたポリエー
テルポリオール化合物を含有し前記親水性シリカ皮膜の
上に形成された親水性樹脂皮膜とを有することを特徴と
する。
【0015】なお、前記親水性樹脂皮膜は、カルボキシ
メチルセルロース、そのナトリウム塩、カリウム塩及び
アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリル
酸、そのナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩
並びにポリアクリルアミドからなる群から選択された少
なくとも1種の化合物を含有する混合皮膜であることが
望ましい。
【0016】本発明においては、アルミニウム又はアル
ミニウム合金材の表面に適切な耐食皮膜、親水性シリカ
皮膜及び親水性樹脂皮膜が順次形成されているので、親
水性シリカ皮膜による臭気及び工具摩耗を効果的に低減
できると共に、優れた親水性及びその持続性を得ること
ができる。
【0017】本発明に係る熱交換器用フィン材の製造方
法は、アルミニウム又はアルミニウム合金材の表面にク
ロメート皮膜、ジルコニウム系皮膜及び水ガラス系皮膜
のいずれか一種を含有する耐食皮膜を形成する工程と、
前記耐食皮膜の上に親水性シリカ皮膜を形成する工程
と、前記親水性シリカ皮膜が形成されたアルミニウム又
はアルミニウム合金材を水洗して溶出分を除去する工程
と、ブロックイソシアネートにより変性されたポリエー
テルポリオール化合物を含有する親水性樹脂皮膜を前記
親水性シリカ皮膜の上に形成する工程とを有することを
特徴とする。
【0018】なお、前記親水性樹脂皮膜は、カルボキシ
メチルセルロース、そのナトリウム塩、カリウム塩及び
アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリル
酸、そのナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩
並びにポリアクリルアミドからなる群から選択された少
なくとも1種の化合物を含有する混合皮膜であることが
望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明における熱交換器用
フィン材について説明する。本発明において、アルミニ
ウム材の表面に形成する耐食皮膜は、クロメート皮膜、
ジルコニウム系皮膜又は水ガラス系皮膜を使用する。ク
ロメート皮膜としては、例えば、リン酸クロメート皮膜
及びクロム酸クロメート皮膜を使用することができ、ア
ルミニウム材の表面に、樹脂分を添加した塗布型のクロ
メート処理を施してもよい。また、ジルコニウム系皮膜
は、反応型のジルコニウム系化成処理又は塗布型のジル
コニウム処理によって形成することができる。なお、こ
の塗布型のジルコニウム処理により、アクリル−ジルコ
ニウム複合皮膜を形成することができる。
【0020】この耐食皮膜の被着量は耐食性が得られる
範囲であれば、特に制限されるものではないが、被着量
が多すぎると加工性が低下する。従って、耐食皮膜の被
着量は、Cr換算値及びZr換算値として、共に、約1
0乃至60mg/m2であることが好ましい。また、水
ガラス系耐食皮膜においては、SiO2換算値として、
50乃至200mg/m2であることが好ましい。
【0021】耐食皮膜上に形成される親水性シリカ皮膜
としては、一般的なシリカ皮膜を使用することができ
る。例えば、ポリアクリル酸等の水溶性高分子化合物中
にケイ酸塩化合物が分散された皮膜を使用することがで
きる。
【0022】親水性シリカ皮膜上に形成されるブロック
イソシアネートにより変性されたポリエーテルポリオー
ル化合物と水溶性高分子化合物との混合皮膜について説
明する。ブロックイソシアネートとは、分子内に1個以
上のイソシアネート基を有する活性イソシアネート化合
物等のイソシアネート類にある種の活性水素化合物をブ
ロック化剤として反応させ、常温で安定化されたもので
ある。このブロックイソシアネートを加熱するとブロッ
ク化剤が解離して、活性イソシアネート基が再生され
る。
【0023】ブロックイソシアネートのブロック化剤と
しては、メタノール、エタノール、n−プロパノール及
びtert−ブタノール等のアルコール類、フェノー
ル、m−クレゾール及びイソオクチルフェノール等のフ
ェノール類、ε−カプロラクタム類、アセチルアセト
ン、メチルエチルケトン及びエチレンクロルヒドリン等
の活性メチレン化合物類並びに亜硫酸ナトリウム等が挙
げられる。
【0024】一方、ブロックイソシアネートの活性イソ
シアネート化合物としては、トルエンジイソシアネー
ト、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(M
DI)、ポリメリックMDI、イソホロンジイソシアネ
ート及びヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ
る。また、活性イソシアネート基を有するイソシアネー
ト付加生成物としては、多価アルコール変性タイプのポ
リイソシアネート及びビュウレット結合又はイソシアヌ
レート結合によるポリイソシアヌレート等もイソシアネ
ート類として挙げられる。
【0025】また、ポリエーテルポリオール化合物とし
ては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド若しくは
テトラヒドロフラン等をモノマーとする単独重合体若し
くは共重合体、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジ
グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミ
ン、ソルビトール又はりん酸にアルキレンオキシドを付
加することにより得られる物質が挙げられる。これらの
ポリエーテルポリオール化合物は潤滑性が高いので、フ
ィン材の加工性を向上させ、工具摩耗を低減することが
できる。
【0026】ポリエーテルポリオール化合物をブロック
イソシアネートにより変性する方法としては、通常の方
法により合成すればよい。例えば、ポリエーテルポリオ
ール化合物に溶剤を使用せずに、又は種々の溶剤を使用
してイソシアネート基を2個以上有する化合物を加熱等
により反応させる。次いで、これにブロック化剤を反応
させることによりポリオール化合物を変性することがで
きる。また、ポリエーテルポリオール化合物にブロック
イソシアネートを反応させることにより変性させること
もできる。
【0027】このようにしてブロックイソシアネートに
より変性されたポリエーテルポリオール化合物を、架橋
構造の形成が阻害されない範囲において固体、液体、各
種溶剤による希釈液、水溶液又はこれらの混合液若しく
は分散液として使用することができる。
【0028】水ガラス系処理による工具摩耗を低減する
ための従来の技術、例えば特開昭63−170492号
公報に記載された技術によれば、潤滑性を向上させるこ
とはできるものの、樹脂分が溶出した後には水ガラスに
よる臭気を防ぐことはできない。一方、本発明で使用さ
れるブロックイソシアネートにより変性されたポリエー
テルポリオール化合物は活性な反応基としてイソシアネ
ート基を有しているので、潤滑性を向上させると共に、
シリカ皮膜の表面において化学結合してその表面を覆う
ため、持続性のある防臭効果を有する。
【0029】また、前述の親水性樹脂皮膜に、更に水溶
性高分子化合物を含有させることにより、水溶性高分子
化合物が有する親水基の作用により親水性及びその持続
性を著しく向上させることができる。
【0030】この水溶性高分子化合物としては、カルボ
キシルメチルセルロース、そのナトリウム塩、カリウム
塩若しくはアンモニウム塩、ポリビニルアルコール、ポ
リアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのナトリウム
塩、カリウム塩若しくはアンモニウム塩等を使用するこ
とができ、これらの2種以上を同時に使用することもで
きる。水溶性高分子化合物の分子量は特に限定されるも
のではないが、塗布された後に皮膜を形成できる範囲と
して、1000乃至2000000であることが好まし
い。分子量が1000未満であると、造膜性が悪い。一
方、2000000を超えると、溶液の粘度が上昇し生
産性が低下することがある。従って、水溶性高分子化合
物の分子量は、1000乃至2000000であること
が好ましい。
【0031】また、親水性樹脂皮膜に含有される水溶性
高分子化合物の量は、ブロックイソシアネートに変性さ
れたポリエーテルポリオール化合物の100重量部に対
して500重量部以下であることが好ましい。水溶性高
分子化合物の量が500重量部を超えると、溶液の粘度
が高くなり生産性が低下する。更に、ポリエーテルポリ
オール化合物が本来有する潤滑作用を低下させると共
に、ろう付けの際の加熱によりろう付け部(カラー)の
変色が大きくなる。従って、親水性樹脂皮膜に含有され
る水溶性高分子化合物の量は、ブロックイソシアネート
に変性されたポリエーテルポリオール化合物の100重
量部に対して500重量部以下であることが好ましい。
【0032】親水性樹脂皮膜の皮膜量は約50乃至50
00mg/m2であることが好ましい。皮膜量が50m
g/m2未満であると、防臭効果が不十分となる。一
方、5000mg/m2を超えると、加工性及び防臭性
を向上させる効果が飽和して製造コストが増加すると共
に、ろう付けの際の加熱によりカラーの変色が大きくな
る。従って、親水性樹脂皮膜の皮膜量は約50乃至50
00mg/m2であることが好ましい。
【0033】本発明においては、親水性シリカ皮膜表面
の凹凸による親水性向上の効果が維持されたまま、親水
性樹脂皮膜中のイソシアネート基により水ガラス系処理
に特有の臭気の原因となる活性部位が封鎖されるので、
良好な親水性を長期にわたって持続できると共に、臭気
の発生を防止することができる。更に、分子内にポリエ
ーテル部を有する潤滑性が高い樹脂層が形成されている
ので、工具摩耗を低減することができる。
【0034】次に、上述の熱交換器用フィン材の製造方
法について説明する。先ず、アルミニウム材の表面に耐
食皮膜としてクロメート皮膜、ジルコニウム系皮膜又は
水ガラス系皮膜を形成する。次に、この耐食皮膜の上に
親水性シリカ皮膜を形成する。そして、親水性シリカ皮
膜が形成されたアルミニウム材を水洗して溶出分を除去
する。こうして、溶出分を除去することにより、この親
水性シリカ皮膜とこの後に形成される親水性樹脂皮膜と
の結合を良好なものとすることができる。
【0035】次いで、イソシアネートにより変性された
ポリエーテルポリオール化合物の水溶液又はイソシアネ
ートにより変性されたポリエーテルポリオール化合物
に、カルボキシメチルセルロース、そのナトリウム塩、
カリウム塩及びアンモニウム塩、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリル酸、そのナトリウム塩、カリウム塩及
びアンモニウム塩並びにポリアクリルアミドからなる群
から選択された少なくとも一種の化合物を混合させた混
合水溶液を塗布して焼付ける。この焼付け温度は特に制
限されるものではないが、130乃至270℃であるこ
とが望ましい。焼付け温度が130℃未満であると、ブ
ロックイソシアネートのブロック化剤の解離が不十分と
なり、親水性シリカ皮膜との結合も不十分となる。一
方、焼付け温度が270℃を超えると、熱分解する成分
が現れ、分解生成物による臭気が発生することがある。
従って、焼付け温度は130乃至270℃であることが
望ましい。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例について、その特許請
求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明す
る。
【0037】先ず、板厚が0.110mmであるJIS
A1100 H22のアルミニウム板材の表面に、耐
食皮膜(第1層)を形成した。第1層の皮膜の種類を下
記表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】なお、上記表1における耐食皮膜のうち、
T2及びT3の塗布型処理においては、ロールコーター
を使用して皮膜原料を塗装し、200℃で20秒間焼付
けることにより皮膜を形成した。そして、T1及びT2
のクロメート処理においては、その被着量をCr換算値
で20mg/m2とし、T3のジルコニウム処理におい
ては、その被着量をZr換算値で40mg/m2とし
た。また、T4の水ガラス系処理としては、皮膜原料を
塗布し、200℃で焼付けることにより皮膜を形成し
た。
【0040】次に、第2層の親水性シリカ皮膜として、
一般的な水ガラス親水処理としてケイ酸ソーダ4号とポ
リアクリル酸(重合度:400)とを固形分比で3:1
として混合した混合皮膜を形成した。なお、このとき、
皮膜量をシリカ換算値で200mg/m2とし、220
℃で30秒間焼付けた。そして、水道水の流水で10乃
至30秒間水洗することにより残留樹脂分及びアルカリ
分等を除去した。
【0041】そして、ブロックイソシアネートにより変
性されたポリエーテルポリオール化合物と水溶性高分子
化合物とを含有する親水性樹脂皮膜(第3層)を塗布し
て200℃で20秒間焼付けて、熱交換器用フィン材を
作製した。第3層中の水溶性高分子化合物の種類を下記
表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】なお、ブロックイソシアネートにより変性
されたポリエーテルポリオール化合物と水溶性高分子化
合物との混合比は1:2とし、皮膜量は500mg/m
2とした。
【0044】第1層乃至第3層の組み合わせを下記表3
に示す。
【0045】
【表3】
【0046】次に、作製されたフィン材の試験材につい
て、親水持続性、臭気、工具摩耗性及びろう付け部の熱
による変色を評価した。以下に各評価方法について説明
する。
【0047】親水持続性については、試験材を水道水の
流水中(流量:1リットル/分)に7時間浸漬し、80
℃で17時間乾燥する工程を70工程行った後に接触角
を測定した。
【0048】臭気については、親水持続性を評価した試
験材に霧吹き噴霧し、濡れた直後に匂いをかぐ方法によ
り評価し、臭気がなかったものを○とし、若干臭気があ
ったものを×とした。
【0049】工具摩耗性については、試験材に対し純鉄
製ピアスポンチで20万パンチの打抜き試験を行い、そ
の前後での重量変化より評価した。重量変化が5mg未
満の場合を○、5mg以上30mg未満の場合を△、3
0mg以上の場合を×とした。
【0050】また、ろう付け部の熱による変色について
は、実際に試験材に銅管を挿入してろう付けし、図2に
示すような熱交換部を有する熱交換器を作製して、ろう
付けの際の変色を評価した。変色がなかったものを○と
し、やや黄変したものを○△とし、著しく茶変するもの
を△とし、黒変するものを×とした。これらの結果を表
4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】表4に示すように、実施例1乃至11にお
いては、耐食皮膜の上に、適切な親水性シリカ皮膜及び
親水性樹脂皮膜が形成されているので、接触角が30°
以下と良好な親水持続性が得られると共に、水ガラス系
処理に特有の臭気及び工具摩耗が防止された。
【0053】一方、比較例12においては、親水性樹脂
皮膜が形成されていないので、臭気及び工具摩耗が発生
した。
【0054】比較例13及び14においては、親水性樹
脂皮膜にブロックイソシアネートにより変性されたポリ
エーテルポリオール化合物が含有されていないので、乾
湿サイクルを繰り返すことにより臭気が発生し、防臭維
持効果が低い。
【0055】比較例15においては、親水性シリカ皮膜
が形成されていないので、親水持続性が低い。
【0056】比較例16においては、親水性シリカ皮膜
が形成されておらず、更に親水性樹脂皮膜にブロックイ
ソシアネートにより変性されたポリエーテルポリオール
化合物が含有されていないので、表面が微細に粗面化さ
れ良好な親水性が得られたが、ろう付け部の変色が大き
く製品外観上の問題がある。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
熱交換器用フィン材はアルミニウム材の表面に、耐食性
皮膜、適切な親水性シリカ皮膜及び親水性樹脂皮膜が積
層された構造を有するので、親水性及びその持続性が優
れていると共に、臭気及び工具の摩耗を低減することが
できる。更に、親水性樹脂皮膜量が少ないので、ろう付
け部の変色が抑制されており商品価値が高い熱交換器に
好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】平面上の水滴の接触角を示す模式図である。
【図2】熱交換器の熱交換部を示す模式図である。
【図3】フィン表面の水滴付着状態を示す模式図であ
り、(a)は親水性が良好な場合、(b)は親水性が劣
る場合、(c)は更に劣る場合を示す図である。
【符号の説明】
1;平面 2、6、8、11;水滴 3、5、7、9、10;フィン 4;銅管 22;接線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F28F 1/32 F28F 1/32 Y 13/18 13/18 B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金材の
    表面に形成されたクロメート皮膜、ジルコニウム系皮膜
    及び水ガラス系皮膜のいずれか一種を含有する耐食皮膜
    と、前記耐食皮膜の上に形成された親水性シリカ皮膜
    と、ブロックイソシアネートにより変性されたポリエー
    テルポリオール化合物を含有し前記親水性シリカ皮膜の
    上に形成された親水性樹脂皮膜とを有することを特徴と
    する熱交換器用フィン材。
  2. 【請求項2】 前記親水性樹脂皮膜は、カルボキシメチ
    ルセルロース、そのナトリウム塩、カリウム塩及びアン
    モニウム塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、
    そのナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩並び
    にポリアクリルアミドからなる群から選択された少なく
    とも1種の化合物を含有する混合皮膜であることを特徴
    とする請求項1に記載の熱交換器用フィン材。
  3. 【請求項3】 アルミニウム又はアルミニウム合金材の
    表面にクロメート皮膜、ジルコニウム系皮膜及び水ガラ
    ス系皮膜のいずれか一種を含有する耐食皮膜を形成する
    工程と、前記耐食皮膜の上に親水性シリカ皮膜を形成す
    る工程と、前記親水性シリカ皮膜が形成されたアルミニ
    ウム又はアルミニウム合金材を水洗して溶出分を除去す
    る工程と、ブロックイソシアネートにより変性されたポ
    リエーテルポリオール化合物を含有する親水性樹脂皮膜
    を前記親水性シリカ皮膜の上に形成する工程とを有する
    ことを特徴とする熱交換器用フィン材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記親水性樹脂皮膜は、カルボキシメチ
    ルセルロース、そのナトリウム塩、カリウム塩及びアン
    モニウム塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、
    そのナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩並び
    にポリアクリルアミドからなる群から選択された少なく
    とも1種の化合物を含有する混合皮膜であることを特徴
    とする請求項3に記載の熱交換器用フィン材の製造方
    法。
JP10992697A 1997-04-25 1997-04-25 熱交換器用フィン材及びその製造方法 Pending JPH10298776A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10992697A JPH10298776A (ja) 1997-04-25 1997-04-25 熱交換器用フィン材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10992697A JPH10298776A (ja) 1997-04-25 1997-04-25 熱交換器用フィン材及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10298776A true JPH10298776A (ja) 1998-11-10

Family

ID=14522624

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10992697A Pending JPH10298776A (ja) 1997-04-25 1997-04-25 熱交換器用フィン材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10298776A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007007914A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Furukawa Sky Kk アルミニウム塗装板及びプレコートアルミニウムフィン材
CN100355506C (zh) * 2004-06-01 2007-12-19 株式会社神户制钢所 亲水性表面处理铝板及使用该铝板的热交换器用散热片
JP2009057512A (ja) * 2007-09-03 2009-03-19 Sumitomo Light Metal Ind Ltd アルミニウム用親水性潤滑塗料、及びそれを用いた被塗物
WO2010100071A1 (de) 2009-03-03 2010-09-10 Hydro Aluminium Deutschland Gmbh Sorptionsmittelbeschichtetes aluminiumband
US10441969B2 (en) 2009-03-26 2019-10-15 Hydro Aluminium Deutschland Gmbh Extrusion-coated strip for rigid packagings

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100355506C (zh) * 2004-06-01 2007-12-19 株式会社神户制钢所 亲水性表面处理铝板及使用该铝板的热交换器用散热片
JP2007007914A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Furukawa Sky Kk アルミニウム塗装板及びプレコートアルミニウムフィン材
JP4667978B2 (ja) * 2005-06-29 2011-04-13 古河スカイ株式会社 アルミニウム塗装板及びプレコートアルミニウムフィン材
JP2009057512A (ja) * 2007-09-03 2009-03-19 Sumitomo Light Metal Ind Ltd アルミニウム用親水性潤滑塗料、及びそれを用いた被塗物
WO2010100071A1 (de) 2009-03-03 2010-09-10 Hydro Aluminium Deutschland Gmbh Sorptionsmittelbeschichtetes aluminiumband
CN102369247A (zh) * 2009-03-03 2012-03-07 海德鲁铝业德国有限责任公司 涂布有吸附剂的铝带
US10287690B2 (en) 2009-03-03 2019-05-14 Hydro Aluminium Deutschland Gmbh Sorbent-coated aluminium strip
US10441969B2 (en) 2009-03-26 2019-10-15 Hydro Aluminium Deutschland Gmbh Extrusion-coated strip for rigid packagings

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6306226B1 (en) Process for surface-treating an aluminum-containing metal
CN101326308B (zh) 金属材料用表面处理剂、表面处理方法及表面处理的金属材料
JP4008620B2 (ja) アルミニウム合金製熱交換器
US6987143B2 (en) Hydrophilizing agent, hydrophilizing fluid, and method of hydrophilizing
JP2001234352A (ja) アルミニウム製フィン材の製造方法およびこの方法により製造されたアルミニウム製フィン材
JPH10298776A (ja) 熱交換器用フィン材及びその製造方法
TW510832B (en) Method of producing an aluminum fin material and the aluminum fin material produced by the method
JP3383914B2 (ja) 熱交換器用アルミニウムフィン材
JP2857343B2 (ja) 親水性が優れた熱交換器用樹脂系プレコートフィン材の製造方法
JPH0136503B2 (ja)
JP2006213859A (ja) 熱交換器、冷凍サイクル装置及びそれらの製造に用いる親水性塗料
JP3717205B2 (ja) アルミニウム含有金属製熱交換器および製造方法
JPH10306997A (ja) 熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法
JP3258244B2 (ja) 親水性が優れた熱交換器用フィン材
JP2507060B2 (ja) アルミニウム製熱交換器及びその製造方法
JP3274044B2 (ja) 熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法
JP3734335B2 (ja) 熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法
JPH1036757A (ja) 熱交換器フィン用親水性表面処理剤
JP3507533B2 (ja) 親水性表面処理水溶液、親水性表面処理方法及び親水性表面処理皮膜
JPH11201688A (ja) 熱交換器用フィン材
JPH10292128A (ja) 親水性皮膜形成剤及びそれを被覆された熱交換器用部材
WO2006095514A1 (ja) 熱交換器、冷凍サイクル装置及びそれらに使用する塗料
JPH11211377A (ja) 熱交換器用アルミニウム又はアルミニウム合金フィン材及びその製造方法
JPH10298777A (ja) 耐熱性が優れた熱交換器用フィン材及びその製造方法
JPH1143777A (ja) 撥水性及び着霜防止性が優れたアルミニウム又はアルミニウム合金材及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040401

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041104

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041130

A02 Decision of refusal

Effective date: 20050510

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02