JP3274044B2 - 熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法 - Google Patents

熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法

Info

Publication number
JP3274044B2
JP3274044B2 JP19601995A JP19601995A JP3274044B2 JP 3274044 B2 JP3274044 B2 JP 3274044B2 JP 19601995 A JP19601995 A JP 19601995A JP 19601995 A JP19601995 A JP 19601995A JP 3274044 B2 JP3274044 B2 JP 3274044B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy
fin material
hydrophilicity
resin
polyvinyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP19601995A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0926288A (ja
Inventor
良和 向井
憲一 神谷
陽介 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP19601995A priority Critical patent/JP3274044B2/ja
Publication of JPH0926288A publication Critical patent/JPH0926288A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3274044B2 publication Critical patent/JP3274044B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、その表面に皮膜が形成
されたアルミニウム又はアルミニウム合金材からなる熱
交換器用フィン材に関し、特に家庭用空調器のフィンと
して好適の熱交換器用表面処理フィン材に関する。な
お、以下、本明細書において、アルミニウムという場合
はアルミニウム合金も含む。
【0002】
【従来の技術】従来よりアルミニウムは熱伝導性及び成
形性が優れていることから、熱交換器用フィンとして使
用されている。このようなフィン材は、腐食発生防止を
目的としてそのフィン材表面に防食処理が施されてい
る。また、冷房運転時の凝縮水がフィン間に留まること
を防止するため、水滴落下性を向上させたり、逆に、水
滴を水膜状にして落下させるために、親水性を向上させ
る表面処理をフィン材に施している。
【0003】フィン材の親水性を向上させる表面処理の
方法には、以下に示す方法がある。即ち、ケイ酸塩を使
用する処理方法(特許第1769978号)、熱硬化性
の樹脂にシリカ微粒子を分散させた皮膜を塗布する処理
方法(特開平3−269072号)、セルロース樹脂及
びアクリル樹脂により耐食皮膜を形成する処理方法(特
公平4−23632号)、親水性有機化合物と、メラミ
ン樹脂、尿素樹脂又はベンゾクアナミン樹脂の有機硬化
剤とを添加した親水皮膜を形成する処理方法(特公平5
−15176号)がある。
【0004】なお、親水性が良好な場合には、フィン材
に付着した水滴の接触角が小さくなる。接触角θとは、
図1に示すように、水滴2の表面における平面1から立
ち上がった点における接線22と平面1とがなす角度を
いい、接触角θが低いほど水膜が薄くなり、親水性が良
好となる。親水性が良好な場合は、水滴の落下性が良好
となるので、図2に示すような熱交換器の熱交換部にお
いては、フィンに付着した水滴又は水膜による送風時の
抵抗が少なくなり、優れた熱交換器特性が得られる。
【0005】図3はフィン表面の水滴付着状況を示す模
式図である。この図3(a)に示すように、フィン5の
親水性が良好な場合は、水滴6の接触角が低いので、水
滴6は容易にフィン5に沿って落下する。このため、水
滴が送風を遮ることがないので、送風抵抗が小さくな
る。一方、親水性が劣るフィンからなる熱交換器では、
図3(b)に示すように、水滴8の接触角が高いため
に、水滴8がフィン7に留まったり、又は、図3(c)
に示すように、水滴11がフィン9とこのフィンに隣接
するフィン10との両者に接触して留まったりするため
に、水滴が送風を遮り、著しく送風抵抗が増加する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したフィン材の親
水性を向上させる表面処理の方法には、以下のような問
題点がある。即ち、ケイ酸塩を使用する処理は親水性は
良好なものの、硬質なシリカを含むため、フィンの成形
加工における工具摩耗が大きくなり、また冷房の運転開
始時において、水ガラス特有の微弱な異臭が発生してし
まう。更に、シリカ微粒子を含む樹脂処理は臭気の発生
は少ないものの、工具摩耗が大きく、表面に付着する水
滴の接触角が高くなり、親水性が低下してしまう。
【0007】一方、特公平4−23632号公報及び特
公平5−15176号公報に開示された樹脂皮膜を形成
する処理方法では、工具摩耗が少なく、臭気発生が殆ど
ないという特性を有するものの、冷房運転と送風運転と
を交互に繰り返すと、フィン表面に付着した水滴の接触
角が高くなり親水性が低下してしまう。なお、ポリビニ
ル系樹脂としてポリアクリル酸を使用して表面処理を施
しても、持続性のある親水性を得ることができない。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、特定樹脂によって、フィン材の表面形態を
制御することにより、工具摩耗性及び臭気特性を向上さ
せることができ、水滴の接触角を低下させて大幅に親水
性を向上させることができる熱交換器用表面処理フィン
材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る熱交換器用
表面処理フィン材は、アルミニウム又はアルミニウム合
金板の表面に、分子量が500以上のエポキシ系架橋剤
と重合度が50以上のポリビニル系樹脂との混合物から
なる皮膜が形成され、前記エポキシ系架橋剤は1分子内
に(−CH2−CH2−O−又は−CH(CH3)−CH2
−O−)を構成単位とする重合体と2基のエポキシ基と
からなり、前記皮膜は前記エポキシ系架橋剤の1重量部
に対して前記ポリビニル系樹脂が0.2乃至4.0重量
部の割合で混合されて形成されており、その表面の1辺
が10μmの正方形の測定視野における平均直径0.1
乃至5μmの穴の数が1又は複数の測定視野の平均値で
5個以上であることを特徴とする。
【0010】本発明に係る熱交換器用表面処理フィン材
の製造方法は、1分子内に(−CH2−CH2−O−又は
−CH(CH3)−CH2−O−)を構成単位とする重合
体と2基のエポキシ基とを有し、その分子量が500以
上のエポキシ系架橋剤1重量部と、重合度が50以上の
ポリビニル系樹脂0.2乃至4.0重量部とからなる混
合物をアルミニウム又はアルミニウム合金板に塗布し、
その後前記アルミニウム又はアルミニウム合金板を15
0乃至250℃の温度で5乃至60秒間焼き付けること
を特徴とする。
【0011】
【作用】本願発明者等は、上述した水ガラス系の処理を
施したフィン材において、工具摩耗及び臭気発生を抑制
し、また樹脂系処理を施したフィン材において、親水持
続性(低接触角の持続性)を図るべく鋭意研究を重ねた
結果、分子内に(−CH2−CH2−O−又は−CH(C
3)−CH2−O−)を構成単位とする重合体と2基の
エポキシ基とを有するエポキシ系架橋剤に、ポリビニル
系樹脂を混合し、これをアルミニウム板に塗布すること
により、耐工具摩耗性、臭気特性及び親水性が良好なフ
ィン材を得ることができることを見出した。
【0012】本発明における分子構造を有するポリビニ
ル系樹脂は、それ自体が水溶性の樹脂であり、良好な親
水性を有するが、この樹脂単独で使用されると、容易に
流出してしまい、フィン材の親水持続性を保持すること
ができない。また、この樹脂は吸湿性が高いので、この
樹脂を使用してコイル塗装をアルミニウム板に施すと、
コイル状に巻き取った後に板同士がくっついてしまう所
謂ブロッキングが発生したり、加工時に加工不良が生じ
る傾向がある。
【0013】そこで、本発明において規定した分子構造
を有するエポキシ系架橋剤をポリビニル系樹脂と混合し
て皮膜を形成することにより、これらのブロッキング及
び加工不良は生じることがなく、親水持続性が優れたフ
ィン材を得ることができる。
【0014】以下、本発明に係る表面処理フィン材の構
成及びその製造方法について詳述する。先ず、エポキシ
系架橋剤のエポキシ基の個数、構成単位及び分子量につ
いて説明する。エポキシ系架橋剤のエポキシ基の個数:2基 処理浴に添加するエポキシ系架橋剤は、下記化1に示す
2基のエポキシ基を有する。
【0015】
【化1】
【0016】また、この2基のエポキシ基に加え、本発
明におけるエポキシ系架橋剤は、1分子内に(−CH2
−CH2−O−又は−CH(CH3)−CH2−O−)を
構成単位とする重合部を有するものである。
【0017】エポキシ系架橋剤が3基以上のエポキシ基
を有する場合、又は上記構成単位を有しない場合は、水
滴の接触角が高くなり、フィン材の親水性が低下してし
まう。この親水性の低下は、架橋密度が高くなるために
起こるものと推定される。一方、エポキシ基が一基の場
合は、ポリビニル系樹脂同士が架橋されないため、ポリ
ビニル系樹脂が容易に流失してしまい、親水性が持続し
ない。
【0018】エポキシ系架橋剤の分子量:500以上 エポキシ系架橋剤の分子量が小さい場合は、上述のエポ
キシ基が3基以上存在するエポキシ系架橋剤と同様に、
架橋密度の増加が原因とみられる親水性の低下が起き
る。従って、エポキシ系架橋剤の分子量は500以上と
する。
【0019】エポキシ系架橋剤の分子量の上限は特に制
限されず、分子量が大きいほどフィン材の親水性が良好
となるものの、分子量1500以上のエポキシ系架橋剤
は、融点が高く、室温(約20℃程度)では固体とな
り、処理浴の作製が困難となる。よって、エポキシ系架
橋剤の分子量は1500以下であることが好ましい。
【0020】なお、このようなエポキシ系架橋剤として
は、エチレンポリエチレングリコールジグリシジルエー
テル又はプロピレンポリプロピレングリコールジグリシ
ジルエーテルがある。但し、これらのエポキシ系架橋剤
においても、その分子量が500以上となるように構成
単位(−CH2−CH2−O−若しくは−CH(CH3
−CH2−O−)の重合度を適切な値に設定する必要が
あり、また前記構成単位の重合度を、前記分子量が15
00以下となるように、設定することが好ましい。
【0021】次に、ポリビニル系樹脂の化学構造式及び
重合度について説明する。
【0022】先ず、ポリビニル系樹脂の化学構造式を下
記化2に示す。
【0023】
【化2】
【0024】但し、nは50以上であり、また、置換基
Yは、OH、NH2又はCOOZのうちの1種又は複数
種であって、前記COOZ中のZは、Na原子、K原
子、Li原子又はNH4原子団のうちの1種又は複数種
である。
【0025】このポリビニル系樹脂は、ポリアクリル酸
のNa、K、NH4若しくはLi塩、ポリビニルアルコ
ール又はポリアミド樹脂のいずれかである必要があり、
これらの混合物であってもよい。
【0026】ポリビニル系樹脂の重合度:50以上 重合度が50より小さい場合には、皮膜に微細な穴が生
成しないためフィン材の親水性が不十分となる。従っ
て、上記化2に示すポリビニル系樹脂の重合度nは50
以上とする。また、重合度nの上限は特に制限されない
が、重合度nが10000を超えると処理浴の粘度が大
きくなり作業性が低下してしまう。このため、ポリビニ
ル系樹脂の重合度は、10000以下であることが好ま
しい。
【0027】次に上述のように規定されたエポキシ系架
橋剤に、同じく上述のように規定されたポリビニル系樹
脂を混合して、フィン材に皮膜を形成した場合の混合比
及びこの皮膜に生じる穴について説明する。
【0028】混合比:0.2乃至4.0重量部 エポキシ系架橋剤1重量部に、ポリビニル系樹脂を0.
2乃至4.0重量部の割合以外の割合で混合した場合
は、得られた皮膜の外観は目視による観察においては透
明であり、また電子顕微鏡による表面形態観察において
も微細な穴がほとんど確認されなかった。このため、フ
ィン材の乾湿を繰り返した後は、フィン材に付着した水
滴の接触角が高くなる。
【0029】一方、エポキシ系架橋剤1重量部に、ポリ
ビニル系樹脂0.2乃至4.0重量部を混合して形成さ
れた皮膜は、その表面に微細な穴が生成されて、スリガ
ラス状の粗面化した外観となる。このような皮膜を表面
に有するフィン材は、フィン材表面の微細な穴の中に水
分が吸い込まれることにより、フィン材表面と水との親
水性が良好なものとなる。従って、水濡れ性が良好であ
り、水滴の接触角が低く、また、この低接触角を持続で
きるフィン材を得るために、フィン材の皮膜はエポキシ
系架橋剤1重量部に、ポリビニル系樹脂0.2乃至4.
0重量部を混合して形成されたものとする。
【0030】穴の平均直径:0.1乃至5μm 上述の穴がフィン材表面に存在する場合は、穴が無い平
滑な表面より、水滴の接触角が低下し、濡れ性が向上す
る。穴の平均直径が、0.1μm未満である場合は、水
滴の接触角が大きくなり親水性が低下する。また、穴の
平均直径が5μmを超えると、同様に接触角が大きくな
り親水性が低下する。従って、平均直径が、0.1乃至
5μmの穴が濡れ性及び親水性の向上に寄与する。
【0031】なお、フィン材表面の皮膜に存在する穴の
形状は、円形とは限らず、楕円形等のように一定の直径
を有しない場合もある。そこで、穴の大きさは、下記数
式1で定義される平均直径で規定する。
【0032】
【数1】平均直径=(a+b)/2 但し、a:穴の長軸の長さ(最も大きい直径の値) b:穴の短軸の長さ(最も小さい直径の値)。
【0033】穴の生成密度:1辺が10μmの正方形の
測定視野において平均値で5個以上 平均直径が前記範囲の濡れ性及び親水性の向上に寄与す
る穴の生成密度が小さい場合は、水滴の接触角が高くな
り親水性が低下する。この親水性の低下は、皮膜表面に
平坦部が多くなるために生じるものと考えられる。よっ
て、上述の穴の生成密度は、10μm四方当たり5個以
上とする。
【0034】但し、この穴の生成密度は、10μm四方
の測定視野が1個の場合は、その測定視野において前記
範囲の平均直径を有する穴が5個以上であることを示
し、前記測定視野が複数個の場合は、前記範囲の平均直
径を有する穴がその複数個の測定視野についての平均値
で5個以上であることを示す。
【0035】なお、皮膜の厚さは、特に制限されないも
のの、1乃至2μmが加工性及び経済性の点から適正で
ある。また本発明に係る皮膜は単独では耐食性を有しな
いので、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処
理、塗布型クロメート処理又は耐食性樹脂プライマー塗
装等の防食処理を下地処理としてアルミニウム板に実施
した後に形成することが好ましい。
【0036】本発明に係る熱交換器用表面処理フィン材
の製造方法は、上述のエポキシ系架橋剤とポリビニル系
樹脂との混合物を、アルミニウム板表面に塗布し焼き付
けるものである。この焼き付けにおける焼き付け温度及
び時間について説明する。
【0037】焼き付け温度:150乃至250℃ 焼き付け温度が150℃未満では、架橋温度が低すぎる
ために、焼き付け後におけるフィン材の親水性が低下し
てしまう。また、焼き付け温度が250℃を超えると、
架橋密度が高くなりすぎて、フィン材の親水性が低下す
ることに加え、フィン材を形成するアルミニウム板自体
の特性を低下させてしまう。よって、焼き付け温度は1
50乃至250℃とする。
【0038】焼き付け時間:5乃至60秒 焼き付け時間が5秒未満では、焼き付け時間が短すぎ
て、架橋密度が不十分であり、フィン材の親水性が低下
する。また、焼き付け時間が60秒を超えた場合は、架
橋密度が高くなりすぎるために、親水性が低下してしま
う。よって、焼き付け時間は5乃至60秒とする。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例について、その特許請
求の範囲から外れる比較例及び従来例と比較して説明す
る。下記表1に示す実施例No.1〜4の皮膜について
は、リン酸クロメート処理(日本ペイント製アルサーフ
401/45(夫々4%/0.4%))を施したアルミ
ニウム板(JIS A1100 H22、 板厚0.1
1mm、Cr量15mg/m2)にし、バーコーターに
よりその厚さが1μmとなるようにし、200℃の温度
で30秒間加熱して皮膜をアルミニウム板に焼き付けて
形成した。
【0040】
【表1】 実施例No.1〜4における各エポキシ系架橋剤の化学
構造式を、夫々下記化3〜6に示す。
【0041】
【化3】
【0042】
【化4】
【0043】
【化5】
【0044】
【化6】
【0045】一方、従来例No.1〜3においては、下
記表2に示す組成からなる皮膜をその表面に形成したフ
ィン材を使用した。
【0046】
【表2】 また、比較例No.1〜6は、実施例No.1〜4と同
様な処理を施した下記表3に示す組成からなる皮膜をそ
の表面に形成したフィン材を使用した。
【0047】
【表3】
【0048】比較例No.1及び2におけるエポキシ系
架橋剤の化学構造式を、夫々下記化7及び8に示す。ま
た、比較例No.3の化学構造式は、前述の化3であ
り、比較例No.4の化学構造式は、前述の化4であ
る。そして比較例No.5及び6の化学構造式は、いず
れも上記化5である。
【0049】
【化7】
【0050】
【化8】
【0051】親水性を評価するために、フィン材を水道
水に8時間浸漬した後、80℃の温度で16時間乾燥さ
せる処理を1サイクルとし、7サイクル実施した後、フ
ィン材に水滴を0.01ミリリットル付着させて、その
ときの接触角を測定した。また、臭気については100
時間に亘って水道水にフィン材を浸漬した後、官能評価
(呼気を吹きかけて匂いを嗅ぐ)を実施して評価した。
無臭のものを1とし、異臭が強くなるに従って数字を大
きくし、最も異臭の強いものを5とした。工具磨耗につ
いては、日高精機製ドローレス金型を使用してフィン材
を実機プレスした場合(10万パンチ、プレス油AF2
C、加工速度250spm)において、しごきポンチ
(第2アイアニングしごき率50%)の摩耗状況及び焼
き付き状況を調査し、異常がないものを○、焼き付きが
軽微なものを△、そして疵が付いたものを×として評価
した。また、電子顕微鏡(加速電圧5kV、倍率200
0倍又は10000倍)によりフィン材皮膜表面を撮影
し、得られた写真から5箇所を選び出し、夫々の場所に
ついて1辺が10μm四方の測定視野に存在する穴の個
数を数え、この平均値を穴密度とした。これらの評価結
果を下記表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】上記表4に示すように実施例No.1〜4
ついては、穴密度が5個/10μm四方以上であるの
で、乾湿繰り返し後の接触角が、14〜17°と低いも
のとなった。これらの接触角は、ガラス系のそれ(従来
例No.3)とほぼ等しく、また、これらの接触角は表
面が平滑な樹脂系処理した場合(従来例No.1)に比
べて低くなっており、実施例No.1〜4のフィン材は
極めて親水性が良好であるといえる。更に、臭気及び工
具摩耗に関しても、従来の樹脂系処理材(従来例No.
1)と同様に良好である。
【0054】一方、従来例No.1〜3については、夫
々樹脂系処理材の場合、コロイダルシリカを含有した親
水性塗料を塗布した場合及び水ガラス系の処理を施した
場合である。従来例No.1は、乾湿後の水滴の接触角
が52°となり、親水性が低いものとなった。また、従
来例No.2は工具摩耗が大きく、また乾湿後の水滴の
接触角も42°と大きくなり、親水性が低いものとなっ
た。更に、従来例No.3は、水滴の接触角は14°と
低いものの、工具摩耗及び臭気の点が樹脂系の処理をし
たもの(従来例No.1)に比べて劣化してしまった。
【0055】また、比較例No.1はエポキシ基を3個
有するエポキシ系架橋剤の場合、比較例No.2はエポ
キシ基を2個有するものの、構成単位(−CH2−CH2
−O−又は−CH(CH3)−CH2−O−)がなく、そ
の分子量が400と小さいエポキシ系架橋剤の場合、比
較例No.3はエポキシ系架橋剤とポリビニル系樹脂と
の混合比が、エポキシ系架橋剤1に対し0.2未満の場
合、比較例No.4は前記混合比が4を超える場合であ
る。以上の比較例No.1〜4は、いずれも表面形態が
ほぼ平滑であり、穴密度が5個/10μm四方未満であ
るので、乾湿後の水滴の接触角が42乃至48°と高く
なり、実施例と比較して親水性が劣化した。
【0056】比較例No.5は、化2に示すポリビニル
系樹脂の置換基Yが、OH、NH2及びCOOZ基以外
である場合、また、比較例No.6は重合度が50未満
の場合である。比較例No.5及び6は、穴密度が0又
は小さいため、接触角が夫々53及び50°と高くな
り、乾湿後水滴を撥水してしまった。
【0057】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
アルミニウム板の表面に所定の皮膜を形成することによ
り、低接触角の持続性が優れ、また臭気及び工具摩耗の
いずれの特性においても優れた熱交換器用表面処理フィ
ン材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平面1における水滴の接触角を示す模式図であ
る。
【図2】熱交換器の熱交換部を示す模式図である。
【図3】フィン表面の水滴付着状況を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1;平面 2,6,8,11;水滴 3,5,7,9,10;フィン 4;鋼管 22;接線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−278464(JP,A) 特開 平1−38228(JP,A) 特開 平3−26381(JP,A) 特開 昭62−234926(JP,A) 特開 昭59−12297(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F28F 13/18 B32B 1/00 - 35/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金板の
    表面に、分子量が500以上のエポキシ系架橋剤と重合
    度が50以上のポリビニル系樹脂との混合物からなる皮
    膜が形成され、前記エポキシ系架橋剤は1分子内に(−
    CH2−CH2−O−又は−CH(CH3)−CH2−O
    −)を構成単位とする重合体と2基のエポキシ基とから
    なり、前記皮膜は前記エポキシ系架橋剤の1重量部に対
    して前記ポリビニル系樹脂が0.2乃至4.0重量部の
    割合で混合されて形成されており、その表面の1辺が1
    0μmの正方形の測定視野における平均直径0.1乃至
    5μmの穴の数が1又は複数の測定視野の平均値で5個
    以上であることを特徴とする熱交換器用表面処理フィン
    材。
  2. 【請求項2】 1分子内に(−CH2−CH2−O−又は
    −CH(CH3)−CH2−O−)を構成単位とする重合
    体と2基のエポキシ基とを有し、その分子量が500以
    上のエポキシ系架橋剤1重量部と、重合度が50以上の
    ポリビニル系樹脂0.2乃至4.0重量部とからなる混
    合物をアルミニウム又はアルミニウム合金板に塗布し、
    その後前記アルミニウム又はアルミニウム合金板を15
    0乃至250℃の温度で5乃至60秒間焼き付けること
    を特徴とする熱交換器用表面処理フィン材の製造方法。
JP19601995A 1995-07-07 1995-07-07 熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3274044B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19601995A JP3274044B2 (ja) 1995-07-07 1995-07-07 熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19601995A JP3274044B2 (ja) 1995-07-07 1995-07-07 熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0926288A JPH0926288A (ja) 1997-01-28
JP3274044B2 true JP3274044B2 (ja) 2002-04-15

Family

ID=16350875

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19601995A Expired - Fee Related JP3274044B2 (ja) 1995-07-07 1995-07-07 熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3274044B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5452063B2 (ja) * 2009-04-14 2014-03-26 三菱電機株式会社 冷蔵庫
JP5789401B2 (ja) * 2011-04-15 2015-10-07 株式会社神戸製鋼所 熱交換器用アルミニウムフィン材
CN108871010A (zh) * 2018-05-14 2018-11-23 广东美的制冷设备有限公司 换热器、空调器以及制冷设备
CN108613589A (zh) * 2018-05-14 2018-10-02 广东美的制冷设备有限公司 涂层铝箔、换热器、空调器以及制冷设备
CN108662942A (zh) * 2018-05-14 2018-10-16 广东美的制冷设备有限公司 涂层铝箔、换热器、空调器以及制冷设备
CN108753027A (zh) * 2018-05-14 2018-11-06 广东美的制冷设备有限公司 换热器、空调器以及制冷设备

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0926288A (ja) 1997-01-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6306226B1 (en) Process for surface-treating an aluminum-containing metal
US4954372A (en) Metal surface hydrophilicizing process and composition
US4783224A (en) Method for hydrophilic treatment of aluminum using an amphoteric polymer
JPH08313191A (ja) 熱交換器用アルミニウムフィン材
JP3274044B2 (ja) 熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法
JP2857343B2 (ja) 親水性が優れた熱交換器用樹脂系プレコートフィン材の製造方法
JP2512452B2 (ja) アルミニウムの親水性処理方法
JPH0136503B2 (ja)
JP3717205B2 (ja) アルミニウム含有金属製熱交換器および製造方法
JP3383914B2 (ja) 熱交換器用アルミニウムフィン材
JP2507060B2 (ja) アルミニウム製熱交換器及びその製造方法
JPH02219876A (ja) 親水性被覆剤、フィン用アルミニウム又はアルミニウム合金板材および熱交換器
JPS62129366A (ja) アルミニウムフイン用粧料
JP3258244B2 (ja) 親水性が優れた熱交換器用フィン材
JP3225793B2 (ja) 高親水性塗料
JP3890908B2 (ja) 有機親水性塗料組成物及び親水性皮膜を有する熱交換器用アルミニウム材
JPH10306997A (ja) 熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法
JPH1143777A (ja) 撥水性及び着霜防止性が優れたアルミニウム又はアルミニウム合金材及びその製造方法
JPS61261483A (ja) 熱交換器用アルミニウムフイン材
JPH0926286A (ja) 熱交換器用表面処理フィン材とその製造方法
JPH11201688A (ja) 熱交換器用フィン材
JP3734335B2 (ja) 熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法
JP3274060B2 (ja) 耐汚染性が優れたアルミニウム表面処理フィン材
JPH0719776A (ja) 熱交換器用アルミニウム含有金属複合材料
JPH0445181A (ja) 撥水性コーティング用塗料及びその塗料を塗布した熱交換器

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees