JPH10292128A - 親水性皮膜形成剤及びそれを被覆された熱交換器用部材 - Google Patents

親水性皮膜形成剤及びそれを被覆された熱交換器用部材

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JPH10292128A
JPH10292128A JP9936397A JP9936397A JPH10292128A JP H10292128 A JPH10292128 A JP H10292128A JP 9936397 A JP9936397 A JP 9936397A JP 9936397 A JP9936397 A JP 9936397A JP H10292128 A JPH10292128 A JP H10292128A
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JP
Japan
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water
compound
forming agent
hydrophilic film
heat exchanger
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Application number
JP9936397A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Osako
達也 大迫
Yoshikazu Mukai
良和 向井
Yosuke Ota
陽介 太田
Kenichi Kamiya
憲一 神谷
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な親水性を有しプラスチック製ドレント
レイの表面の変質及びひび割れを防止することができる
親水性皮膜形成剤及びそれを被覆された熱交換器用部材
を提供する。 【解決手段】 ブロックイソシアネート化合物により変
性されたポリオール化合物、水溶性高分子化合物及び水
溶性架橋剤を含有する水溶性液である。このとき、ブロ
ックイソシアネート化合物により変性されたポリオール
化合物の重量を100とすると、水溶性高分子化合物の
重量は5乃至500であり、水溶性架橋剤は1乃至10
0である。そして、熱交換器用部材の表面に、前記水溶
性液が130乃至270℃で焼付けられることにより被
覆されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム又は
アルミニウム合金材等の表面に被覆される親水性が優れ
た親水性皮膜形成剤及び家庭用ルームエアコン等に使用
される前記親水性皮膜形成剤が被覆されたアルミニウム
又はアルミニウム合金材等からなる熱交換器用部材に関
する。
【0002】
【従来の技術】熱交換器は、ルームエアコン、パッケー
ジエアコン、冷凍ショーケース、冷蔵庫、オイルクーラ
ー及びラジエータ等を代表として、種々の分野において
利用されている。これらの熱交換器において、ルームエ
アコン及びパッケージエアコン等の熱交換器用のフィン
材としては、熱伝導性及び加工性が優れたアルミニウム
又はアルミニウム合金材が使用されている。以下、アル
ミニウム及びアルミニウム合金材を総称してアルミニウ
ム材という。
【0003】この熱交換器用フィン材の表面には、通
常、腐食の発生を防止するための防食処理が施されてい
る。また、冷房運転時の凝縮水がフィン内に留まること
を防止するために、粒状水滴の落下性を高める撥水性の
表面処理、又は水膜状水滴の落下性を高める親水性の表
面処理がフィン表面に施されている。
【0004】親水性を高める表面処理をアルミニウム材
表面に施すと、このアルミニウム材からなるフィンに付
着した水滴の接触角を小さくすることができる。図1
は、平面上の水滴の接触角を示す模式図であり、図2は
熱交換器の熱交換部を示す模式図である。図1に示すよ
うに、接触角θとは水滴2の表面における平面1から立
ち上がった点における接線22と平面1とがなす角度を
いい、接触角θが小さいほど水膜が薄くなり、親水性が
良好となる。図2に示すような熱交換器の熱交換部にお
いては、フィン3を貫くように通っている銅管4の中を
矢印で示す方向に冷媒が流れるため、フィン3の表面に
水滴が結露するが、親水性が良好な場合は、この水滴の
落下性が良好となる。従って、フィン3に付着した水滴
又は水膜によって送風時の抵抗が高くなることを防止す
ることができ、優れた熱交換器特性を得ることができ
る。
【0005】図3(a)乃至(c)はフィン表面の水滴
付着状態を示す模式図である。図3において、下向きの
矢印の長さは一定時間に水滴が落下する距離に比例す
る。図3(a)に示すように、フィン5の親水性が良好
な場合は水滴6の接触角が低いので、水滴6は容易にフ
ィン5に沿って落下する。このため、水滴6が送風を遮
ることがないので、送風抵抗が小さくなる。一方、親水
性が劣るフィンからなる熱交換器では、図3(b)に示
すように、水滴8の接触角が高いために水滴8がフィン
7に留まったり、図3(c)に示すように、水滴11が
フィン9とこのフィンに隣接するフィン10との両者に
接触して留まったりするために、水滴が送風を遮り、送
風抵抗が著しく増加する。
【0006】ところで、フィン材の親水性を高める表面
処理方法としては、以下に示す方法がある。例えば、水
溶性有機高分子物質とケイ酸塩化合物との混合皮膜層を
アルミニウム材表面に設ける方法(特公平3−7744
0号公報)、熱硬化性樹脂にシリカ微粒子を分散させた
皮膜をアルミニウム材表面に塗布する方法(特開平3−
269072号公報)がある。また、アルミニウム材の
表面にアクリル樹脂層及びセルロース樹脂層を順次形成
し、親水性及び耐食性を向上させる方法(特公平4−2
4632号公報)、水溶性有機樹脂とノニオン系界面活
性剤からなる厚さが0.05乃至5μmの親水性皮膜を
形成する方法(特開平4−316837号公報)、親水
性有機化合物に、メラミン樹脂、尿素樹脂又はベンゾグ
アナミン樹脂からなる有機硬化剤を添加した親水性皮膜
を形成させる方法(特公平5−15176号公報)もあ
る。
【0007】更に、カルボキシメチルセルロース樹脂
に、ポリアクリル酸、Nメチロールアクリルアミド及び
ポリエチレンオキサイド等を添加した混合皮膜をアルミ
ニウム材表面に塗布する方法(特開平6−322552
号公報)、10%以上のポリオキシアルキレン鎖を有す
る樹脂と特定の水性樹脂との混合皮膜を設ける方法(特
開平7−102189号公報)、アルミニウム材の上
に、表面が微細に粗面化された樹脂系皮膜を形成し、低
接触角を維持する方法(特開平7−270092号公
報)、分子量が規制されたカルボキシメチルセルロース
及びポリエチレングリコールの水溶液をアルミニウム材
の表面に塗布する方法(特開平8−261688号公
報)もある。これらの技術においては、従来の樹脂系処
理皮膜を形成したフィン材の問題点であった親水性の持
続性を向上した点で画期的であり、水ガラス系の処理を
施したものと同様に、優れた親水性を得ることができ
る。また、これらの方法によると、従来の水ガラス系の
処理を施したフィン材の問題点であった工具磨耗及び臭
気等の問題も殆どない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たフィン材の親水性を向上させる従来の表面処理方法に
は、以下に示す問題点がある。即ち、ケイ酸塩を使用す
る処理の場合は、親水性は良好なものの、硬質なシリカ
を含むため、フィンの成形加工における工具摩耗が大き
くなり、また冷房の運転開始時において、水ガラス特有
の微弱な異臭が発生してしまう。更に、シリカ微粒子を
含む樹脂処理は、臭気の発生は少ないものの工具摩耗が
大きく、また、表面に付着する水滴の接触角が高くな
り、親水性が低下してしまう。
【0009】一方、特公平4−24632号公報及び特
公平5−15176号公報に開示された樹脂皮膜を形成
する処理方法では、工具摩耗が少なく、臭気発生が殆ど
ないという特性を有するものの、冷房運転と暖房運転と
を交互に繰り返すと、フィン表面に付着した水滴の接触
角が高くなり親水性が低下してしまう。また、特開平4
−316837号公報に記載された技術のように、界面
活性剤を使用する場合には、成形加工時に泡立ち等によ
る品質むら及び生産性の低下等の問題が生じる。また、
界面活性剤が溶出した場合には、親水性が著しく低下し
てしまう。更に、熱交換器用フィン材に被覆して使用さ
れた場合には、付着した水滴又はその水滴により抽出さ
れた成分のために、通常、ABS樹脂又はPS樹脂製で
あるプラスチック製ドレントレイの表面に変質及びひび
割れが発生することがある。
【0010】更に、特開平6−322552号公報、特
開平7−102189号公報、特開平7−270092
号公報及び特開平8−261688号公報において提案
された水溶液は、それ自体はプラスチック製ドレントレ
イに悪影響を及ぼすことはないものの、熱交換器用フィ
ン材に塗布して焼付けられると変質及びひび割れを発生
させることがある。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、良好な親水性を有しプラスチック製ドレン
トレイの表面の変質及びひび割れを防止することができ
る親水性皮膜形成剤及びそれを被覆された熱交換器用部
材を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る親水性皮膜
形成剤は、ブロックイソシアネート化合物により変性さ
れたポリオール化合物を含有する水溶性液からなること
を特徴とする。
【0013】前記水溶性液は、水溶性高分子化合物、水
溶性架橋剤又はその両方を含有することが望ましい。
【0014】なお、前記ブロックイソシアネート化合物
により変性されたポリオール化合物は、アルコール類、
フェノール類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性
メチレン化合物及び重亜硫酸塩からなる群から選択され
た少なくとも1種の化合物でブロックされたイソシアネ
ート部位を分子内に1個以上有することが望ましい。
【0015】また、前記ポリオール化合物は、ポリエー
テルポリオール、ポリエステルポリオール、エポキシ変
性ポリオール、アクリル変性ポリオール及びポリカーボ
ネートポリオールからなる群から選択された少なくとも
一種の化合物であることが望ましい。
【0016】更にまた、前記水溶性高分子化合物は、カ
ルボキシメチルセルロース、そのナトリウム塩、カリウ
ム塩及びアンモニウム塩、ポリビニルアルコール、ポリ
アクリルアミド、ポリアクリル酸並びにそのナトリウム
塩、カリウム塩及びアンモニウム塩からなる群から選択
された少なくとも1種の化合物であることが望ましい。
【0017】また、前記ブロックイソシアネート化合物
により変性されたポリオール化合物の重量を100とし
たとき、前記水溶性高分子化合物の重量は5乃至500
であり、前記水溶性架橋剤は1乃至100であることが
望ましい。
【0018】本発明においては、親水性皮膜形成剤にブ
ロックイソシアネート化合物により変性されたポリオー
ル化合物を含有させているので、親水性が優れている。
更に、親水性皮膜形成剤に水溶性高分子化合物、水溶性
架橋剤又はその両方を含有させることにより、親水性を
更に向上させることができる。
【0019】本発明に係る熱交換器用部材は、その表面
に、前記親水性皮膜形成剤が130乃至270℃で焼付
けられて被覆されていることを特徴とする。
【0020】なお、前記親水性皮膜形成剤の下地処理と
して、クロメート皮膜及びジルコニウム系皮膜のいずれ
か一方を含有する耐食皮膜が形成されていることが望ま
しい。
【0021】また、熱交換器用部材はアルミニウム又は
アルミニウム合金製であることが望ましい。
【0022】本発明によれば、部材の表面に前記親水性
皮膜形成剤が被覆されているので、親水性が優れている
と共に、従来発生しているプラスチック製ドレントレイ
表面の変質及びひび割れを防止することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】本願発明者等は、前記課題を解決
すべく、鋭意研究を重ねた結果、ブロックイソシアネー
ト化合物により変性されたポリオール化合物を必須成分
とし、必要に応じて水溶性高分子化合物、水溶性架橋剤
又はその両方を含有する水溶性液からなる皮膜形成剤が
良好な親水性を有することを見出した。この水溶性液を
皮膜形成剤として塗布して焼付けられたアルミニウム材
を使用して製造された熱交換器用フィンにおいては、親
水性の持続性が向上され、プラスチック製ドレントレイ
表面の変質及びひび割れなどが解消される。
【0024】以下、本発明に係る親水性皮膜形成剤につ
いて具体的に説明する。本発明においては、熱交換器用
部材、例えばアルミニウム材等に塗布して焼付けられる
親水性皮膜形成剤は、ブロックイソシアネート化合物に
より変性されたポリオール化合物を含有する水溶性液か
らなる。この皮膜形成剤が被覆された部材を使用して熱
交換器用部材を構成すれば、従来使用されている樹脂系
親水処理が施された部材よりも優れた親水性を得ること
ができると共に、従来発生しているプラスチック製ドレ
ントレイ表面の変質及びひび割れを防止することができ
る。
【0025】ブロックイソシアネート化合物は、分子内
に1個以上のイソシアネート基を有する活性イソシアネ
ート化合物等のイソシアネート類にある種の活性水素化
合物をブロック化剤として反応させ、常温で安定化され
たものである。このブロックイソシアネート化合物を加
熱するとブロック化剤が解離して、活性イソシアネート
基が再生される。
【0026】ブロックイソシアネート化合物のブロック
化剤として、メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル及びtert−ブタノール等のアルコール類、フェノ
ール、m−クレゾール、イソオクチルフェノール及びレ
ゾルシノール等のフェノール類、ε−カプロラクタム
類、オキシム類、アセチルアセトン、メチルエチルケト
ン及びエチレンクロルヒドリン等の活性メチレン化合物
類並びに亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩等が挙げられ
る。
【0027】一方、ブロックイソシアネート化合物の活
性イソシアネート化合物として、トルエンジイソシアネ
ート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)、ポリメリックMDI、イソホロンジイソシ
アネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げ
られる。また、活性イソシアネート基を有するイソシア
ネート付加生成物として、多価アルコール変性タイプの
ポリイソシアネート及びビュウレット結合又はイソシア
ヌレート結合によるポリイソシアヌレート等もイソシア
ネート類として挙げられる。
【0028】また、ポリオール化合物として、エチレン
オキシド、プロピレンオキシド若しくはテトラヒドロフ
ラン等をモノマーとする単独重合体若しくは共重合体、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサン
トリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペ
ンタエリスリトール、エチレンジアミン、ソルビトール
又はりん酸にアルキレンオキシドを付加することにより
得られるポリエーテルポリオール類が挙げられる。ま
た、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,
4−ブタンジオール、ネオベンチルグリコール、1,6
−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセ
リン、ペンタエリスリトール又はソルビトール等の多価
アルコール類と、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸若しくはピロメ
リット酸等の多価カルボン酸又はこれらの酸無水物とを
脱水縮合させることにより得られる縮合生成物であるポ
リエステルポリオール類もポリオール化合物として挙げ
られる。これらの他に、ポリカプロラクトン、エポキシ
変性ポリオール、アクリル変性ポリオール又はポリカー
ボネートポリオール等も挙げられる。
【0029】ポリオール化合物をブロックイソシアネー
ト化合物により変性する方法としては、通常の方法によ
り合成すればよい。例えば、ポリオール化合物に溶剤を
使用せずに、又は種々の溶剤を使用してイソシアネート
基を2個以上有する化合物を加熱等により反応させる。
次いで、これにブロック化剤を反応させることによりポ
リオール化合物を変性することができる。また、ポリオ
ール化合物にブロックイソシアネート化合物を反応させ
ることにより変性させることもできる。
【0030】このようにしてブロックイソシアネート化
合物により変性されたポリオール化合物は、架橋構造の
形成が阻害されない範囲において固体、液体、各種溶剤
による希釈液、水溶液又はこれらの混合液若しくは分散
液として使用される。
【0031】また、前述の水溶性液に、更に水溶性高分
子化合物、水溶性架橋剤又はその両方を含有させること
により、親水性を著しく向上させることができる。
【0032】この水溶性高分子としては、カルボキシル
メチルセルロース、そのナトリウム塩、カリウム塩若し
くはアンモニウム塩、ポリビニルアルコール、ポリアク
リルアミド、ポリアクリル酸又はそのナトリウム塩、カ
リウム塩若しくはアンモニウム塩等を使用することがで
き、これらの2種以上を同時に使用することもできる。
水溶性高分子化合物の分子量は特に限定されるものでは
ないが、塗布された後に皮膜を形成できる範囲として、
1000乃至2000000であることが好ましい。分
子量が1000未満であると、水溶性高分子化合物自体
が容易に溶出してしまい親水性の持続性向上効果が不十
分となる。一方、2000000を超えると、溶液の粘
度が上昇し生産性が低下することがある。従って、水溶
性高分子化合物の分子量は1000乃至2000000
であることが好ましい。
【0033】また、ブロックイソシアネート化合物によ
り変性されたポリオール化合物の重量を100とする
と、水溶性液に含有される水溶性高分子化合物の重量は
5乃至500であることが好ましい。ブロックイソシア
ネート化合物により変性されたポリオール化合物の重量
100に対して、水溶性高分子化合物の重量が5未満で
あると、皮膜が十分には形成されず、親水性向上の効果
が小さい。一方、水溶性高分子化合物の重量が500を
超えると、溶液の粘度が上昇して生産性が低下すること
がある。従って、ブロックイソシアネート化合物により
変性されたポリオール化合物の重量を100とすると、
水溶性液に含有される水溶性高分子化合物の重量は5乃
至500であることが好ましい。
【0034】一方、水溶性架橋剤は、ブロックイソシア
ネート化合物により変性されたポリオール化合物と、水
溶性高分子化合物も含有されている場合には、水溶性高
分子化合物とブロックイソシアネート化合物により変性
されたポリオール化合物のいずれか一方又は両方と反応
して、共有結合又は錯体を形成する。このため、親水性
皮膜形成剤の親水持続性が向上する。
【0035】この水溶性架橋剤としては、クロム、チタ
ン、アルミニウム、亜鉛若しくはジルコニウム等の金属
化合物又はりん酸化合物等を使用することができ、これ
らの2種以上を同時に使用することもできる。
【0036】また、ブロックイソシアネート化合物によ
り変性されたポリオール化合物の重量を100とする
と、水溶性液に含有される水溶性架橋剤の重量は1乃至
100であることが好ましい。ブロックイソシアネート
化合物により変性されたポリオール化合物の重量100
に対して、水溶性架橋剤の重量が1未満であると、水溶
性高分子化合物及びブロックイソシアネート化合物によ
り変性されたポリオール化合物と水溶性架橋剤とが十分
には反応せず、形成される皮膜が十分ではない。一方、
ブロックイソシアネート化合物により変性されたポリ
オール化合物の重量100に対して、水溶性架橋剤 の
重量が100を超えると、焼付け温度に依存して溶液の
粘度が上昇したり、形成された皮膜の親水性が低下した
りする等と問題が生じる。従って、ブロックイソシアネ
ート化合物により変性されたポリオール化合物の重量を
100とすると、水溶性液に含有される水溶性架橋剤の
重量は1乃至100であることが好ましい。
【0037】次に、上述の親水性皮膜形成剤を被覆され
た熱交換器用部材について説明する。熱交換器用部材、
例えばアルミニウム材の表面には、ロールコート法又は
化成処理等により、クロメート皮膜又はジルコニウム系
皮膜が耐食性を向上させるために形成されている。
【0038】そして、ブロックイソシアネート化合物に
より変性されたポリオール化合物を必須成分とし、必要
に応じて水溶性高分子化合物、水溶性架橋剤又はその両
方を含有する水溶性液からなる親水性皮膜形成剤が塗布
される。その後、親水性皮膜形成剤が塗布されたアルミ
ニウム材を130乃至270℃の範囲で焼付けることに
より、アルミニウム材の表面が親水性皮膜形成剤で被覆
される。この焼付けの温度が130℃未満であると、ブ
ロックイソシアネート化合物のブロック化剤が十分には
解離されず、架橋構造が形成されにくい。一方、焼付け
の温度が270℃を超えると、各成分が熱分解し、分解
生成物による異臭が発生したり、フィン材の特性に悪影
響が及ぼされたりする。従って、親水性皮膜形成剤の焼
付けの温度は130乃至270℃であることが望まし
い。
【0039】本発明においては、親水性皮膜形成剤を有
機溶剤又は水に溶解又は分散させることが可能である。
この場合、アルミニウム材の表面に塗布し加熱すること
により、有機溶剤又は水が蒸発するのと同時に又は蒸発
した後にブロック化剤が解離して、イオン化したイソシ
アネート基又はその会合体が生成する。そして、このイ
オン化したイソシアネート基又はその会合体は、空気中
の水分、自己同士、水溶性高分子中の官能基、例えばヒ
ドロキシル基、カルボキシル基又はアミノ基等と容易に
反応して、架橋構造が形成される。こうして、最終的に
は有機溶剤及び水に不溶な皮膜が形成される。この活性
イソシアネート基の反応のために、イオン化した官能
基、例えば焼付けによるポリオールの熱分解により生成
した官能基及び低分子化合物等の濃度が抑えられ、プラ
スチック製ドレントレイの表面の変質及びひび割れが防
止される。
【0040】本発明に係る熱交換器用部材は、特に熱交
換器用フィン材に好適であるが、これに限定されるもの
ではない。例えば、伝熱管に使用することも可能であ
る。
【0041】
【実施例】以下、本発明の実施例について、その特許請
求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明す
る。
【0042】先ず、アルミニウム板を脱脂した後、その
表面に塗布型クロメート処理剤(日本ペイント製、サー
フコート427)をバーコータ#4により塗布し、20
0℃で30秒間焼付けすることにより耐食性皮膜下地を
形成した。次に、下記に示す実施例1乃至5及び比較例
6乃至8の親水性皮膜形成剤をバーコータ#8により塗
布し、200℃で30秒間焼付けすることにより皮膜を
形成した。
【0043】実施例1 グリセリンのエチレンオキサイド付加物をヘキサメチレ
ンジイソシアネートと反応させ、メチルエチルケトンで
ブロックしたブロックイソシアネート化合物による変性
ポリオール化合物を2重量%含有する水溶液。
【0044】実施例2 グリセリンのエチレンオキサイド付加物をヘキサメチレ
ンジイソシアネートと反応させ、メチルエチルケトンで
ブロックしたブロックイソシアネート化合物による変性
ポリオール化合物を2重量%及び水溶性高分子化合物と
してカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(第一工
業製薬(株)製)を0.8重量%含有する水溶液。
【0045】実施例3 グリセリンのエチレンオキサイド付加物をヘキサメチレ
ンジイソシアネートと反応させ、メチルエチルケトンで
ブロックしたブロックイソシアネート化合物による変性
ポリオール化合物を2重量%、水溶性高分子化合物とし
てカルボキシルメチルセルロースナトリウム塩(第一工
業製薬(株)製)を0.8重量%及び水溶性架橋剤とし
てグリオキサール(和光純薬工業(株)製)を0.4重
量%含有する水溶液。
【0046】実施例4 グリセリンのエチレンオキサイド付加物をヘキサメチレ
ンジイソシアネートと反応させ、メチルエチルケトンで
ブロックしたブロックイソシアネート化合物による変性
ポリオール化合物を2重量%及び水溶性高分子化合物と
してカルボキシルメチルセルロースアンモニウム塩(ダ
イセル化学工業(株)製)を1重量%含有する水溶液。
【0047】実施例5 グリセリンのエチレンオキサイド付加物をヘキサメチレ
ンジイソシアネートと反応させ、メチルエチルケトンで
ブロックしたブロックイソシアネート化合物による変性
ポリオール化合物を2重量%、水溶性高分子化合物とし
てカルボキシルメチルセルロースアンモニウム塩(ダイ
セル化学工業(株)製)を1重量%及び水溶性架橋剤と
して炭酸Zrアンモニウム(新日本金属化学工業(株)
製)を0.5重量%含有する水溶液。
【0048】比較例6 ポリエチレングリコール(分子量:6000、三洋化成
工業(株)製)を1重量%及びカルボキシメチルセルロ
ースアンモニウム塩(ダイセル化学工業(株)製)を1
重量%含有する水溶液。
【0049】比較例7 ポリエチレングリコール(分子量:10万、住友精化
(株)製)を1重量%及びカルボキシメチルセルロース
アンモニウム塩(ダイセル化学工業(株)製)を1重量
%含有する水溶液。
【0050】比較例8 ポリエチレングリコール(分子量:10万、住友精化
(株)製)を1重量%及びポリビニルアルコール(分子
量:2万、日本合成化学工業(株)製)を1重量%含有
する水溶液。
【0051】次に、得られたサンプルについて、水接触
角測定、ドレントレイの変質及びひび割れ評価並びに臭
気の評価を行った。各評価方法について、以下に示す。
【0052】水接触角測定として、先ず、焼付け直後の
サンプルの水接触角を測定した。また、サンプルを20
時間流水に浸した後取り出して、80℃で1時間乾燥さ
せた。そして、このサンプルの水接触角を測定した。こ
れらの結果を表1に示す。なお、表1中の水接触角の欄
において、◎は水接触角が20°未満であることを示
し、○は20°以上30°未満であることを示し、△は
30°以上40°未満であることを示し、×は40°以
上であることを示している。
【0053】ドレントレイの変質及びひび割れ評価とし
て、ドレントレイとして一般的に使用されているABS
樹脂(板厚:2mm、三菱化学製のYT412C)を歪
み値が1%以下の範囲で測定可能な治具に取り付け、表
面積が2m2のサンプルを300mlの純水で1分間洗
浄抽出した。そして、サンプルの溶出分が抽出された液
をABS樹脂に塗布し、72時間放置した後に割れの有
無を評価し、限界の歪み値(臨界歪み値)を測定した。
この臨界歪み値が大きい程、大きな歪みによってもドレ
ントレイの変質及びひび割れ等が発生しにくいことを示
しており、一般には、臨界歪み値が1%以上であれば問
題はないとされている。この結果を表1に示す。なお、
表1中の割れの有無の欄において、○は割れが生じなか
ったことを示し、×は微細な割れが生じたことを示して
いる。
【0054】臭気の評価として、焼付け直後のサンプル
に呼気を吹きかけ、官能評価を行った。この結果を表1
に示す。なお、表1中の臭気の欄において、○は臭気が
ないことを示し、×は若干の臭気があることを示してい
る。
【0055】
【表1】
【0056】表1に示すように、実施例1乃至5におい
ては、本発明に係る水溶液を使用したので、親水性が優
れている。更に、臭気を抑えると共に、ABS製のドレ
ントレイ表面の変質及びひび割れの発生を防止できた。
特に、実施例2乃至5においては、水溶性高分子化合物
又は水溶性架橋剤を含有させているので、親水性が極め
て良好である。
【0057】一方、比較例6乃至8においては、ブロッ
クイソシアネート化合物により変性されたポリオール化
合物が含有されていないので親水性が低い。更に、AB
S製のドレントレイ表面にひび割れが生じ、臨界歪み値
も小さかった。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
親水性皮膜形成剤はブロックイソシアネート化合物によ
り変性されたポリオール化合物を必須成分として、必要
に応じて水溶性高分子化合物、水溶性架橋剤又はその両
方を含有するので、親水性及びその持続性が優れている
と共に、熱交換器用部材の被覆に使用されたときに、従
来発生してるプラスチック製ドレントレイ表面の変質及
びひび割れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平面上の水滴の接触角を示す模式図である。
【図2】熱交換器の熱交換部を示す模式図である。
【図3】フィン表面の水滴付着状態を示す模式図であ
り、(a)は親水性が良好な場合、(b)は親水性が劣
る場合、(c)は更に劣る場合を示す図である。
【符号の説明】
1;平面 2、6、8、11;水滴 3、5、7、9、10;フィン 4;銅管 22;接線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F28F 19/02 501 F28F 19/02 501Z (72)発明者 神谷 憲一 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブロックイソシアネート化合物により変
    性されたポリオール化合物を含有する水溶性液からなる
    ことを特徴とする親水性皮膜形成剤。
  2. 【請求項2】 前記水溶性液は、水溶性高分子化合物、
    水溶性架橋剤又はその両方を含有することを特徴とする
    請求項1に記載の親水性皮膜形成剤。
  3. 【請求項3】 前記ブロックイソシアネート化合物によ
    り変性されたポリオール化合物は、アルコール類、フェ
    ノール類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性メチ
    レン化合物及び重亜硫酸塩からなる群から選択された少
    なくとも1種の化合物でブロックされたイソシアネート
    部位を分子内に1個以上有することを特徴とする請求項
    1又は2に記載の親水性皮膜形成剤。
  4. 【請求項4】 前記ポリオール化合物は、ポリエーテル
    ポリオール、ポリエステルポリオール、エポキシ変性ポ
    リオール、アクリル変性ポリオール及びポリカーボネー
    トポリオールからなる群から選択された少なくとも一種
    の化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいず
    れか1項に記載の親水性皮膜形成剤。
  5. 【請求項5】 前記水溶性高分子化合物は、カルボキシ
    メチルセルロース、そのナトリウム塩、カリウム塩及び
    アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリル
    アミド、ポリアクリル酸並びにそのナトリウム塩、カリ
    ウム塩及びアンモニウム塩からなる群から選択された少
    なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項2
    乃至4のいずれか1項に記載の親水性皮膜形成剤。
  6. 【請求項6】 前記ブロックイソシアネート化合物によ
    り変性されたポリオール化合物の重量を100としたと
    き、前記水溶性高分子化合物の重量は5乃至500であ
    り、前記水溶性架橋剤は1乃至100であることを特徴
    とする2乃至5のいずれか1項に記載の親水性皮膜形成
    剤。
  7. 【請求項7】 その表面に、請求項1乃至6のいずれか
    1項に記載の親水性皮膜形成剤が130乃至270℃で
    焼付けられて被覆されていることを特徴とする熱交換器
    用部材。
  8. 【請求項8】 前記親水性皮膜形成剤の下地処理とし
    て、クロメート皮膜及びジルコニウム系皮膜のいずれか
    一方を含有する耐食皮膜が形成されていることを特徴と
    する請求項7に記載の熱交換器用部材。
  9. 【請求項9】 アルミニウム又はアルミニウム合金製で
    あることを特徴とする請求項7又は8に記載の熱交換器
    用部材。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7069978B2 (en) * 2001-01-03 2006-07-04 Thermal Corp. Chemically compatible, lightweight heat pipe
JP2009150586A (ja) * 2007-12-19 2009-07-09 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 熱交換器用フィン材
JP2012131940A (ja) * 2010-12-22 2012-07-12 Mitsubishi Alum Co Ltd 塗料組成物、アルミニウムフィン材及び熱交換器
WO2016152117A1 (ja) * 2015-03-23 2016-09-29 日新製鋼株式会社 塗装Al含有金属素形材、塗装Al含有金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体とが接合された複合体およびその製造方法
WO2023189618A1 (ja) * 2022-03-28 2023-10-05 日本パーカライジング株式会社 表面処理剤

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