JPH10273622A - プレコート鋼板用塗料組成物並びにプレコート鋼板及びその製造方法 - Google Patents

プレコート鋼板用塗料組成物並びにプレコート鋼板及びその製造方法

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JPH10273622A
JPH10273622A JP10029240A JP2924098A JPH10273622A JP H10273622 A JPH10273622 A JP H10273622A JP 10029240 A JP10029240 A JP 10029240A JP 2924098 A JP2924098 A JP 2924098A JP H10273622 A JPH10273622 A JP H10273622A
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Yasuyuki Kajita
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的薄い板厚においても塗膜の加工性と硬
度の両者を高度に満足させ、しかも耐汚染性にも優れた
プレコート鋼板用塗料組成物およびこの塗料組成物を塗
布したプレコート鋼板を得る。 【解決手段】 一般式(1) 【化1】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物、ポリ
オールおよび硬化剤であるイソシアネート化合物とから
なる樹脂成分を主成分とする塗料配合系において、硬化
剤として特定の2つのブロック化ポリイソシアネート化
合物群の中からそれぞれ選ばれる少なくとも1種のブロ
ック化ポリイソシアネート化合物を混合して用いること
により、加工性、塗膜硬度および耐汚染性のいずれにも
優れた塗膜を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、高硬度、高加工性
および耐汚染性等が要求されるプレコート鋼板用の熱硬
化型塗料組成物並びにこの塗料組成物による塗膜を有す
るプレコート鋼板及びその製造方法に関するものであ
る。本発明のプレコート鋼板は、例えば家電製品や建材
用途等に好適であり、また自動車用としても使用するこ
とができる。
【0002】
【従来の技術】プレコート鋼板用塗料には高硬度、高加
工性、耐汚染性、耐薬品性、耐水性、高鮮映性など、多
くの性能が要求される。なかでも重要な特性である硬度
と加工性は互いに相反する性質であるが、それぞれ要求
されるレベルは高い。ここでいう加工性とは、平らな鋼
板から種々の形状に加工していく際の折曲げ、切断、絞
り等の工程において塗膜の損傷が少ないことを指し、塗
膜自体の伸びや柔軟性の程度が大きい程、加工性は良好
であると言える。特に折曲げ加工性に関しては、被塗物
すなわち鋼板の板厚によって加工性の度合が異なる。
【0003】例えば、折曲げ加工性の評価によく用いら
れるT字曲げ試験(JIS G3312の12.2.2
に準拠)では、鋼板の内側に同一板厚のn枚のサンプル
板を挟んで折り曲げ加工し、この折曲げ部をルーペで観
察し、塗膜割れを起こさない最小の挟み込み枚数を評価
値として、1T、2Tのように表示する。このT字曲げ
加工における最外周の伸びは以下のような式で表わさ
れ、 ε=(t/2)/(r+t/2) 但し ε:最外周の伸び歪(%) t:板厚(mm) r:曲げ部内側のR(mm) したがって、T字曲げ試験の評価値が同じであれば、板
厚が薄いほど最外周の伸び歪(%)は大きく、加工部の
曲率は小さくなり、加工性に優れているということにな
る。
【0004】塗装鋼板の加工性の評価方法としては上述
したT字曲げ試験が一般的であるが、家電メーカー等で
工業的に行われるプレス加工やロールフォーミング加工
は、T字曲げ試験と比べると加工履歴、加工速度等が異
なり、加工条件としてはより厳しい。ここでいう加工履
歴とは最終加工レベルまでの加工工程を指し、最終加工
レベルが同じであっても加工初期段階で曲げ部内側のR
が大きければ、加工によって生じた歪がR部全体に分散
し、塗膜に対する負荷は小さい。他方、加工初期段階で
曲げ部内側のRが小さければ、加工によって生じた歪が
小さいR部に集中し、塗膜に対する負荷は大きくなる。
したがって、U字曲げ加工の後に密着曲げ加工を行うT
字曲げ試験に比べ、V字曲げ加工の後に密着曲げ加工を
行ったものは、最終加工レベルが同じであっても塗膜へ
の負荷は大きく、厳しい加工の簡易的評価として有用で
ある。
【0005】一方、硬度は塗膜の耐久性を向上させると
いう点で高いほど望ましいが、高い硬度は加工性を低下
させる方向に作用する。また、一般にプレコート鋼板に
は優れた耐食性、耐傷付き性が要求される。ここで耐食
性とは、製品として成形加工された後、使用環境におい
て塗膜の剥離や被塗物からの発錆が少ないこと或いは発
錆が全くないことを指す。また、耐傷付き性とは、成形
加工時の成形機との摩擦による傷付き(成形疵)や成形
加工後の搬送による傷付き(ハンドリング疵)等を生じ
にくいことを指す。
【0006】従来、プレコート鋼板用塗料としては、外
面下塗り塗料および裏面塗料にはポリエステル樹脂やエ
ポキシ樹脂が主として使用され、また外面上塗り塗料に
はポリエステル系、アクリル系、ビニル系の塗料等が使
用されている。外面上塗り塗料として最も一般的である
のが、ポリエステル樹脂(主剤)とメラミン化合物(硬
化剤)との組み合わせからなるポリエステル樹脂塗料で
あり、この塗料ではポリエステル樹脂により加工性を、
またメラミン化合物により硬度を得ている。しかし、こ
の外面上塗り塗料は要求性能の厳しいプレコート鋼板、
特に家電用途などのプレコート鋼板においては、その性
能が必ずしも十分なものとは言えず、性能改善が望まれ
てきた。
【0007】このような要望に対して、例えば特開平6
−234752号では、ポリエステル樹脂と変性により
配向性を付与したメラミン樹脂(硬化剤)とを反応させ
ることにより、可撓性および塗膜硬度の両者を高位で満
足させる塗膜を得る試みがなされている。また、特開平
7−233349号でも加工性と塗膜硬度を高度に満足
させる塗膜を得ることを目的として、ポリオールを主剤
とし、イソシアネート化合物および/またはアミノ樹脂
を硬化剤とする塗料組成物に、主としてナフタレン−
2,6−ジカルボン酸および/またはその低級アルキル
エステルをアルコール成分と反応させて得られるポリエ
ステル化合物を加えたプレコート鋼板用塗料組成物が提
案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来
技術のうち特開平6−234752号の技術は、変性メ
ラミン樹脂の合成過程が長いため、現状では実用的な樹
脂を工業規模で製造することは難しい。また、特開平7
−233349号の技術は、塗膜の耐汚染性をも含めた
塗膜性能の改善についての配慮がなされておらず、この
ため、例えば塗膜硬度と加工性の両者を改善できても耐
汚染性が劣る、或いは塗膜硬度や耐汚染性は確保できて
も加工性が劣るなど、塗膜硬度、加工性および耐汚染性
のすべてを十分に満足させ得る塗膜は得られない。
【0009】また、従来一般に、成形加工時の耐傷付き
性の改善には塗膜中にワックス(潤滑剤)を添加するこ
とが行われており、このワックスとしてはカルナバワッ
クス、パーム油等のような天然ワックスや合成ワックス
が用いられている。しかしながら、これらの潤滑剤を添
加した従来の塗膜は、塗膜表面に浮き出ているワック
ス類が他の物質との接触により脱落し、被接触面を汚
す、水等との接触によりワックス類が塗膜表面で凝集
し、塗膜を曇らせる、塗装面にハジキ、アイホール等
を発生させる、等の問題を有している。
【0010】したがって本発明の目的は、上記のような
従来技術の問題点を解決し、比較的薄い板厚においても
塗膜の加工性と硬度の両者を高度に満足させ、しかも耐
汚染性にも優れたプレコート鋼板用塗料組成物を提供す
ることにある。また、本発明の他の目的は、高い塗膜硬
度と優れた耐汚染性を有し、しかも厳しい成形加工にお
いても塗膜に割れ等が生じにくい優れた加工性を有する
プレコート鋼板を提供することにある。
【0011】さらに、本発明の他の目的は、高い塗膜硬
度と優れた加工性および耐汚染性を有するだけでなく、
耐食性にも優れたプレコート鋼板を提供することにあ
る。さらに、本発明の他の目的は、高い塗膜硬度と優れ
た加工性および耐汚染性を有するだけでなく、優れた耐
傷付き性を有し、しかもワックスの凝集による塗膜表面
の曇り等も生じることがないプレコート鋼板を提供する
ことにある。さらに、本発明の他の目的は、上記のプレ
コート鋼板を安価且つ効率的に生産できる製造方法を提
供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決し得る優れた性能のプレコート鋼板用塗料組成
物を得るために検討を重ねた結果、ポリオールを主剤と
し、これに硬化剤であるポリイソシアネート化合物と、
主としてナフタレン−2,6−ジカルボン酸および/ま
たはその低級アルキルエステルをアルコール成分と反応
させて得られるポリエステル化合物を加えた塗料配合系
において、硬化剤として特定の2つのブロック化ポリイ
ソシアネート化合物群の中からそれぞれ選ばれる少なく
とも1種のブロック化ポリイソシアネート化合物を混合
して用いることにより、加工性、塗膜硬度および耐汚染
性のいずれにも優れた塗膜が得られること、またこの塗
膜は光沢度等の他の性能にも優れていることを見い出し
た。
【0013】また、上記特定の塗料組成物を適用したプ
レコート鋼板としては、化成処理が施された亜鉛系めっ
き鋼板の表面に下塗り塗膜と上記塗料組成物による上塗
り塗膜を形成したプレコート鋼板が好適であり、また特
に、このようなプレコート鋼板において、下塗り塗膜と
して特定の物性を有する塗膜を形成することにより特に
優れた成形加工性が得られること、また、下塗り塗膜中
に適量のストロンチウムクロメートを添加することによ
り優れた耐食性が得られること、さらに、上塗り塗膜中
に適量のワックスを添加することにより優れた耐傷付き
性が得られ、且つワックスの凝集による塗膜表面の曇り
も生じにくいことが判った。
【0014】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴とする構成は以下の通りである。 [1] イ)一般式(1)
【化2】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物を樹脂
固形分中の割合で1〜15重量%と、 ロ)上記イ)を除くポリオールと、 ハ)下記(a)群のポリイソシアネートおよびその誘導体
の中から選ばれた1種以上のポリイソシアネート化合物
をブロック化して得られるブロック化ポリイソシアネー
ト化合物と、下記(b)群のポリイソシアネートおよびそ
の誘導体の中から選ばれた1種以上のポリイソシアネー
ト化合物をブロック化して得られるブロック化ポリイソ
シアネート化合物とを混合した硬化剤 (a) 4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5
−ジイソシアネート (b) ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘ
キサメチレンジイソシアネート、水添4,4´−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシア
ネート、水添キシリレンジイソシアネートとからなる樹
脂成分を主成分とするプレコート鋼板用塗料組成物。
【0015】[2] 上記[1]の塗料組成物において、
(a)群のポリイソシアネートおよびその誘導体の中から
選ばれた1種以上のポリイソシアネート化合物をブロッ
ク化して得られるブロック化ポリイソシアネート化合物
(A)と、(b)群のポリイソシアネートおよびその誘導体
の中から選ばれた1種以上のポリイソシアネート化合物
をブロック化して得られるブロック化ポリイソシアネー
ト化合物(B)の配合割合が、固形分の重量比で(A)/
(B)=70/30〜30/70であることを特徴とする
プレコート鋼板用塗料組成物。 [3] 上記[1]または[2]の塗料組成物において、ハ)の
硬化剤を、該硬化剤中のイソシアネート基[NCO]と
イ)のポリエステル化合物およびロ)のポリオール中の水
酸基[OH]の合計とのモル比[NCO]/[OH]が
0.8〜1.2となるよう配合することを特徴とするプ
レコート鋼板用塗料組成物。
【0016】[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの塗料組
成物において、(a)群のポリイソシアネートおよびその
誘導体の中から選ばれたポリイソシアネート化合物をブ
ロック化して得られるブロック化ポリイソシアネート化
合物が、イソシアヌレート体、アダクト体、プレポリマ
ーのいずれかであり、(b)群のポリイソシアネートおよ
びその誘導体の中から選ばれたポリイソシアネート化合
物をブロック化して得られるブロック化ポリイソシアネ
ート化合物が、ビューレット体、イソシアヌレート体、
アダクト体、プレポリマーのいずれかであることを特徴
とするプレコート鋼板用塗料組成物。
【0017】[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの塗料組
成物において、イ)を除くポリオールが、1分子中に2
個以上の水酸基を有し且つ数平均分子量が1500〜1
2000のアクリル樹脂および/または1分子中に2個
以上の水酸基を有し且つ数平均分子量が1000〜80
00のポリエステル樹脂であることを特徴とするプレコ
ート鋼板用塗料組成物。 [6] 上記[1]〜[5]のいずれかの塗料組成物を塗布し
て形成した塗膜を有するプレコート鋼板。
【0018】[7] 化成処理が施された亜鉛系めっき鋼
板の表面に下塗り塗膜および上塗り塗膜を有するプレコ
ート鋼板であって、上塗り塗膜が上記[1]〜[5]のいず
れかの塗料組成物を塗布して形成した塗膜であることを
特徴とする硬度と加工性に優れたプレコート鋼板。 [8] 上記[7]のプレコート鋼板において、下塗り塗膜
が、幅5mm、厚さ8±1μmのフィルムとして測定さ
れる破断強度が50kg/cm2以上で且つ破断伸びが
50%以上であることを特徴とする硬度と加工性に優れ
たプレコート鋼板。
【0019】[9] 上記[8]のプレコート鋼板におい
て、下塗り塗膜が、ビスフェノールA付加ポリエステル
樹脂を主成分とする塗料組成物を塗布して形成された塗
膜であることを特徴とする硬度と加工性に優れたプレコ
ート鋼板。 [10] 上記[7]のプレコート鋼板において、下塗り塗膜
が、ストロンチウムクロメートを膜厚1μm当たり0.
06〜0.26g/m2含むことを特徴とする硬度と加
工性に優れたプレコート鋼板。 [11] 上記[10]のプレコート鋼板において、下塗り塗膜
が、ポリエステル系樹脂を主成分とする塗料組成物を塗
布して形成した塗膜であることを特徴とする硬度と加工
性に優れたプレコート鋼板。
【0020】[12] 上記[7]〜[11]のいずれかのプレコ
ート鋼板において、下塗り塗膜の乾燥膜厚が2〜12μ
mであることを特徴とする硬度と加工性に優れたプレコ
ート鋼板。 [13] 上記[7]のプレコート鋼板において、上塗り塗膜
が固形分の割合で塗料組成物100重量部(但し、ワッ
クスを除く塗料組成物の重量)に対してワックスを0.
3〜30重量部含むことを特徴とする硬度と加工性に優
れたプレコート鋼板。 [14] 上記[13]のプレコート鋼板において、上塗り塗膜
中に含まれるワックスの融点が100℃以上であること
を特徴とする硬度と加工性に優れたプレコート鋼板。
【0021】[15] 上記[13]または[14]のプレコート鋼
板において、上塗り塗膜中に含まれるワックスがポリエ
チレンワックスとポリテトラフルオロエチレンの混合物
であることを特徴とする硬度と加工性に優れたプレコー
ト鋼板。 [16] 化成処理が施された亜鉛系めっき鋼板の表面に下
塗り塗膜用の塗料組成物を塗布した後、180〜260
℃の到達板温で焼付処理し、次いで、上塗り塗膜用とし
て上記[1]〜[5]のいずれかの塗料組成物を塗布した
後、180〜260℃の到達板温で焼付処理することを
特徴とする硬度と加工性に優れたプレコート鋼板の製造
方法。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明のプレコート鋼板用塗料組
成物は、イ)特定のポリエステル化合物と、ロ)上記
イ)を除くポリオールと、ハ)硬化剤として特定の2つ
のブロック化ポリイソシアネート化合物群の中からそれ
ぞれ選ばれる少なくとも1種のブロック化ポリイソシア
ネート化合物を混合した硬化剤とからなる樹脂成分を主
成分とする塗料組成物である。まず、上記イ)のポリエ
ステル化合物は下記一般式(1)を主たる繰り返し単位と
するポリエステル化合物である。
【化3】
【0023】上記イ)のポリエステル化合物を得るため
の酸成分としては、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸
および/またはその低級アルキルエステルが主として用
いられるが、それらの一部をテレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸等のジカルボン酸、またはこれらジカルボン
酸の低級アルキルエステル等で置き換えることもでき
る。この低級アルキルエステルとしては、炭素数が1〜
2個のメチルエステル、エチルエステル等が挙げられ
る。但しこの場合でも、主体となるナフタレン−2,6
−ジカルボン酸は酸成分全体のうち85モル%以上と
し、置き換えられる他の化合物の割合は15モル%未満
に抑えることが望ましい。
【0024】また、上記イ)のポリエステル化合物を得
るためのアルコール成分としては、主としてジオールを
用いる。このジオールとしては脂肪族ジオール、脂環族
ジオール等を用いることができ、例えば、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ
る。また、ポリオキシアルキレングリコール、特に、数
平均分子量が1000以下のポリエチレングリコール
(以下、PEGと略す)、或いは数平均分子量が100
0以下のポリテトラエチレングリコール(以下、PTG
と略す)を使用することもできる。また、これらを混合
して使用してもよい。
【0025】また、アルコール成分としては、上述した
ジオールの他に3価以上の多価アルコールを用いてもよ
い。多価アルコールとしては、トリエチレングリコー
ル、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロー
ルプロパン、トリメチロールエタン等が挙げられる。以
上のような酸成分とアルコール成分とが反応し、上記
イ)のポリエステル化合物が生成される。また特に、平
均分子量が1000以下のPEGまたは平均分子量が1
000以下のPTGを用いた場合には、エーテル結合を
有するポリエステル化合物が生成される。
【0026】本発明で用いる上記イ)のポリエステル化
合物は、エステル交換法や直接エステル化法等の通常の
ポリエステル製造法によって得ることができる。通常、
酸成分とアルコール成分はモル比1:2で反応するの
で、効率良く反応を行うためには、酸成分とアルコール
成分をできるだけモル比1:2に近い割合で配合するの
が望ましい。また、ポリエステル化合物は、単独または
2種類以上の組み合わせのいずれでも使用することがで
きる。上述したような酸成分とアルコール成分の組み合
わせで生成したポリエステル化合物は、偏光顕微鏡で観
察した場合に異方性を示す。このようなポリエステル化
合物を含む塗膜は、焼付後においても液晶化合物の特徴
である配向等の作用により塗膜の強靭化が図られ、これ
が塗膜硬度と加工性の改善に寄与するものと考えられ
る。
【0027】上記PEGまたはPTGをアルコール成分
として用いた場合、これが酸成分と反応し、エーテル結
合を有するポリエステル化合物が生成する。このエーテ
ル結合を有するポリエステル化合物は還元粘度が0.2
0dl/g以下であることが望ましい。還元粘度が0.
20dl/gを超えると溶剤への溶解性やポリオール、
硬化剤等との相溶性が著しく低下し、塗膜性能も不十分
なものとなる。なお、還元粘度は、試料をフェノール/
テトラクロロエタン(重量比:60/40)の溶液に溶
解し、ウベローデ型粘度計を用いて25℃で測定した値
である。このエーテル結合を有するポリエステル化合物
を用いた場合は、フレキシブルなエーテル鎖と剛直なナ
フタレン骨格との組み合わせにより架橋構造に強靭性が
付与され、これが塗膜硬度と加工性の改善に寄与してい
るものと考えられる。
【0028】上記イ)のポリエステル化合物の配合量
は、樹脂固形分中の割合で1〜15重量%、好ましくは
2〜10重量%、さらに好ましくは3〜8重量%とす
る。上記ポリエステル化合物の配合量が1重量%未満で
は塗膜性能の向上効果が顕著ではなく、塗膜性能の面で
従来材に対する優位性が小さい。一方、配合量が15重
量%を超えると溶剤への溶解性およびポリオール、硬化
剤等との相溶性が不十分となり、塗膜外観、塗膜性能と
もに低下する。
【0029】次に、上記ロ)のポリオールとしては、ア
クリル樹脂またはポリエステル樹脂を用いることができ
る。上記ロ)のポリオールであるアクリル樹脂は、1分
子中に少なくとも2個の水酸基を有し、且つ数平均分子
量が1500〜12000の化合物であれば特に限定さ
れるものではないが、その数平均分子量の好ましい範囲
は1700〜10000である。アクリル樹脂の分子中
にある水酸基はアクリル樹脂主鎖に無秩序に配列されて
おり、数平均分子量が1500未満では加工性が著しく
低下する。一方、数平均分子量が12000を超えると
高粘度になるため過剰の稀釈溶剤が必要となり、塗料中
に占める樹脂の割合が減少するため適切な塗膜を得るこ
とができなくなる。さらに、他の配合成分との相溶性も
著しく低下する。なお、アクリル樹脂の数平均分子量
は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、
GPCという)により測定したポリエステル換算分子量
である。
【0030】アクリル樹脂は、水酸基を持つ(メタ)ア
クリルとアクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エス
テル等を周知の方法で加熱反応させて得られる共重合体
である。アクリル単量体、メタクリル単量体としては、
例えば、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリ
ル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシ
プロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピル等を用いるこ
とができる。また、アクリル酸エステル、メタアクリル
酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−
n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタア
クリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル
酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタア
クリル酸−2−エチルヘキシル等を用いることができ
る。市販されているアクリル樹脂としては、“アルマテ
ックス”(三井東圧化学(株)製)、“デスモフェン”
(住友バイエルウレタン(株)製)、“ダイヤナール”
(三菱レイヨン(株)製)等がある。
【0031】上記ロ)のポリオールであるポリエステル
樹脂は、1分子中に少なくとも2個の水酸基を有し、且
つ数平均分子量が1000〜8000の化合物であれば
特に限定されるものではないが、その好ましい数平均分
子量の範囲は1200〜7000、より好ましくは15
00〜6000である。ポリエステル樹脂の分子中にあ
る水酸基は、分子中の末端または側鎖のいずれにあって
もよい。ポリエステル樹脂の数平均分子量が1000未
満では加工性が著しく低下する。一方、数平均分子量が
8000を超えると高粘度になるため過剰の稀釈溶剤が
必要となり、塗料中に占める樹脂の割合が減少するため
適切な塗膜を得ることができなくなる。さらに、他の配
合成分との相溶性も著しく低下する。なお、ポリエステ
ル樹脂の数平均分子量は、GPCにより測定したポリス
チレン換算分子量である。
【0032】ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価
アルコールを周知の方法で加熱反応させて得られる共重
合体である。多塩基酸成分としては、例えば、無水フタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット
酸、マレイン酸、アジピン酸、フマル酸等を用いること
ができる。また、多価アルコールとしては、例えば、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレング
リコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグ
リコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ペン
タエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチ
ロールエタン等を用いることができる。市販されている
ポリエステル樹脂としては、“アルマテックス”(三井
東圧化学(株)製)、“アルキノール”(住友バイエル
ウレタン(株)製)、“デスモフェン”(住友バイエル
ウレタン(株)製)、バイロン(東洋紡績(株)製)等
がある。
【0033】上記イ)のポリエステル化合物と上記ロ)
のポリオールは、上記ハ)の硬化剤との反応により硬化
塗膜を形成する。上記ハ)の硬化剤としては、下記(a)
群のポリイソシアネートおよびその誘導体の中から選ば
れた1種以上のポリイソシアネート化合物をブロック化
して得られるブロック化ポリイソシアネート化合物と、
下記(b)群のポリイソシアネートおよびその誘導体の中
から選ばれた1種以上のポリイソシアネート化合物をブ
ロック化して得られるブロック化ポリイソシアネート化
合物とを混合した硬化剤を用いる。
【0034】(a) 4,4´−ジフェニルメタンジイソ
シアネート(以下、MDIという)、イソホロンジイソ
シアネート(以下、IPDIという)、トリレンジイソ
シアネート(以下、TDIという)、キシリレンジイソ
シアネート(以下、XDIという)、ナフチレン−1,
5−ジイソシアネート(以下、NDIという) (b) ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDI
という)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート
(以下、TMDIという)、水添4,4´−ジフェニル
メタンジイソシアネート(以下、水添MDIという)、
水添トリレンジイソシアネート(以下、水添TDIとい
う)、水添キシリレンジイソシアネート(以下、水添X
DIという)
【0035】このように硬化剤として、上記(a)群と
(b)群のポリイソシアネートおよびその誘導体の中から
それぞれ選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネート
化合物をブロック化して得られるブロック化ポリイソシ
アネート化合物を混合した硬化剤を用いることにより、
塗膜硬度、加工性および耐汚染性のいずれにも優れた塗
膜を得ることができる。このように異なる2種以上のブ
ロック化ポリイソシアネート化合物を混合した硬化剤を
用いることで塗膜硬度、加工性および耐汚染性がともに
優れた塗膜が得られる理由は、以下に述べるような異な
る性質を有する2種類のブロック化ポリイソシアネート
化合物を混合し、且つこのような硬化剤と上記イ)のポ
リエステル化合物とを組み合せて使用することによる相
乗的な効果によるものと考えられるが、その理由は必ず
しも明らかでない。
【0036】推定できる理由の1つとしては、以下に述
べるような異なる性質を有する2種類のブロック化ポリ
イソシアネート化合物を混合した硬化剤を用いること
と、上述したアルコール成分と酸成分の組み合わせで生
成した上記イ)のポリエステル化合物の配向等の作用の
相乗効果により、比較的薄目の板厚においても180°
密着曲げ加工に耐え得るような塗膜の伸びと耐汚染性と
を大きく左右する架橋密度がバランスよく制御されるこ
とが挙げられる。
【0037】上記(a)群、(b)群のポリイソシアネート
およびその誘導体のうち、(a)群のものは比較的剛直な
硬化剤成分に、また(b)群のものは比較的柔軟な硬化剤
成分にそれぞれ分類できるが、これら(a)群または(b)
群の中から選ばれるポリイソシアネートまたはその誘導
体のブロック化ポリイソシアネート化合物を単独で使用
した場合には、塗膜硬度、加工性および耐汚染性のすべ
てを高度に満足する塗膜は得られず、少なくともいずれ
かの特性に劣った塗膜しか得られない。これに対して、
(a)群の中から選ばれる比較的剛直な硬化剤成分と(b)
群の中から選ばれる比較的柔軟な硬化剤成分とを混合し
て用いることにより、先に述べたような優れた塗膜性能
が得られる。
【0038】上記(a)群のポリイソシアネートおよびそ
の誘導体の中から選ばれた1種以上のポリイソシアネー
ト化合物をブロック化して得られるブロック化ポリイソ
シアネート化合物(A)と、上記(b)群のポリイソシアネ
ートおよびその誘導体の中から選ばれた1種以上のポリ
イソシアネート化合物をブロック化して得られるブロッ
ク化ポリイソシアネート化合物(B)との配合割合は、固
形分の重量比で(A)/(B)=70/30〜30/70、
より望ましくは60/40〜40/60とすることが好
ましい。(A)/(B)の固形分の重量比が70/30を超
えると高い塗膜硬度と優れた加工性がバランス良く得ら
れず、また耐衝撃性にも劣る。一方、(A)/(B)の固形
分の重量比が30/70未満では耐汚染性が十分に得ら
れなくなる。したがって、いずれの場合も塗膜硬度、加
工性および耐汚染性のいずれにも優れた塗膜を得ること
が難しくなる。
【0039】また、本発明の塗料組成物では、上記(a)
群のポリイソシアネートおよびその誘導体の中から選ば
れたポリイソシアネート化合物をブロック化して得られ
るブロック化ポリイソシアネート化合物が、イソシアヌ
レート体、アダクト体、プレポリマーのいずれかであ
り、(b)群のポリイソシアネートおよびその誘導体の中
から選ばれたポリイソシアネート化合物をブロック化し
て得られるブロック化ポリイソシアネート化合物が、ビ
ューレット体、イソシアヌレート体、アダクト体、プレ
ポリマーのいずれかであることが好ましい。
【0040】上記ハ)の硬化剤は、そのブロック化ポリ
イソシアネート化合物のイソシアネート基[NCO]と
上記イ)のポリエステル化合物および上記ロ)のポリオ
ールの水酸基[OH]の合計とのモル比[NCO]/
[OH]が0.8〜1.2、望ましくは0.90〜1.
10となるよう配合するのが好ましい。[NCO]/
[OH]のモル比が0.8未満では塗膜の硬化が不十分
であり、所望の塗膜硬度及び強度が得られない。一方、
[NCO]/[OH]のモル比が1.2を超えると、過
剰のイソシアネート基同士のあるいはイソシアネート基
とウレタン結合との副反応が生じて、塗膜の加工性が低
下する。
【0041】また、本発明の塗料組成物には目的、用途
に応じてトリメチレンジアミン、オクトエ酸錫、ジブチ
ル錫ジラウレート、2−エチルヘキソエート鉛等の硬化
触媒;炭酸カルシウム、カオリン、クレー、酸化チタ
ン、タルク、硫酸バリウム、マイカ、弁柄、マンガンブ
ルー、カーボンブラック、アルミニウム粉、パールマイ
カ等の顔料;その他、消泡剤、流れ止め剤等の各種添加
剤を適宜配合することができる。
【0042】以上が本発明の塗料組成物の構成である
が、実際に使用するに当っては、これらを有機溶剤に溶
解して使用する。使用する有機溶剤としては、例えば、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン、ソルベッソ100(エクソン化学製)、ソ
ルベッソ150(エクソン化学製)、ソルベッソ200
(エクソン化学製)、トルエン、キシレン、メチルセロ
ソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブ
チルセロソルブアセテート、カルビトール、エチルカル
ビトール、ブチルカルビトール、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、石油エーテル、石油ナフサ等が挙げられる。塗料組
成物を調整するに当っては、サンドグラインドミル、ボ
ールミル、ブレンダー等の通常の分散機や混練機を選択
して使用し、各成分を配合することができる。
【0043】本発明のプレコート鋼板用塗料組成物が塗
布される被塗装鋼板の種類に特別な制約はないが、通常
は、冷延鋼板や各種めっき鋼板(例えば、溶融亜鉛めっ
き鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、複合亜鉛めっき鋼板、ク
ロムめっき鋼板等)の表面にリン酸塩処理やクロメート
処理等の化成処理を施した鋼板に塗装される。化成処理
を行った鋼板面に塗装することにより、塗膜の鋼板への
密着性が向上するとともに耐食性も向上する。また、本
発明の塗料組成物による塗膜と鋼板の密着性をさらに向
上させ、且つ耐食性を高めるために、下地としてプライ
マーコートを塗装することもできる。このようなプライ
マーコートとしては、エポキシ系、ポリエステル系のも
のが適している。また、このプライマーコートには耐食
性をさらに向上させるため防錆顔料を添加してもよい。
なお、このプライマーコートは省略することもできる。
【0044】本発明の塗料組成物の塗装方法は特に限定
しないが、好ましくはロールコーター塗装、カーテンフ
ロー塗装などの方法で塗布するのがよい。塗装後、熱風
加熱、赤外線加熱、誘導加熱などの加熱手段により塗膜
を焼き付け、樹脂を架橋させて硬化塗膜を得る。加熱硬
化させる際の焼付処理は200〜250℃程度で約30
秒〜3分程度が適当である。このようにして形成された
硬化塗膜の膜厚は通常15〜25μm程度であるが、特
にこれに限定されるものではない。
【0045】本発明の塗料組成物は2コート・2ベーク
方式または3コート・3ベーク方式のトップコートとし
て使用することが好ましいが、必ずしもこれに限定され
るものではない。また3コート・3ベーク方式で使用す
る場合には、本発明の塗料組成物による塗装とプライマ
ーコートとの間に、通常の3コート・3ベークで使用さ
れるように中塗塗装を施すことが好ましい。
【0046】また、硬度と加工性が特に優れたプレコー
ト鋼板とするためには、リン酸塩処理やクロメート処理
等の化成処理が施された亜鉛系めっき鋼板の表面に下塗
り塗膜を形成し、その上層に上述した本発明の塗料組成
物からなる上塗り塗膜を形成するのがよい。このプレコ
ート鋼板の下地鋼板となる亜鉛系めっき鋼板としては、
溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気
亜鉛めっき鋼板、溶融Zn−55%Al合金めっき鋼
板、溶融Zn−5%Al合金めっき鋼板、Zn−Ni合
金めっき鋼板、Zn−Co金めっき鋼板、Zn−Cr合
金めっき鋼板、複合亜鉛系めっき鋼板(例えば、電気Z
n−SiO2分散めっき鋼板)等の各種亜鉛系めっき鋼
板を用いることができる。
【0047】比較的穏和な曲げ加工等の成形加工におい
ては、塗膜自身の伸びや柔軟性の程度が大きいほど加工
性は良好となるが、絞り加工のような厳しい成形加工に
おいては、塗膜の伸びや柔軟性だけでなく、変形加工時
の応力に耐え得る強度も優れた加工性を得る上で重要な
要素となる。したがって、下塗り塗膜と上塗り塗膜との
組合せで高加工性および高硬度の性能を得るためには下
塗り塗膜の伸びと強度が重要であり、下塗り塗膜は幅5
mm、厚さ8±1μmのフィルムとして測定される破断
強度が50kg/cm2以上、破断伸びが50%以上の
物性値を有することが好ましい。この物性値のいずれか
一方でも上記の下限値を下回ると、上塗り塗膜との組合
せによる所望の効果は得られない。
【0048】下塗り塗膜を形成するための塗料組成物の
主剤に特別な制約はないが、加工性と上塗り塗膜および
化成処理皮膜との密着性の観点からは、ポリエステル系
樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、またはビスフ
ェノールA付加ポリエステル樹脂等のようなエポキシ変
性ポリエステル樹脂等を主剤とする塗料組成物を用いる
ことが好ましい。また、これらの樹脂を2種以上混合し
て用いてもよい。ポリエステル樹脂のエポキシ変性に用
いる樹脂としては、例えば、ビスフェノールAまたはビ
スフェノールF型エポキシ樹脂が挙げられ、またこれ以
外に、塩基触媒(例えば、水酸化カリウム)の存在下
に、エピハロヒドリン(例えば、エピクロロヒドリン)
をアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド)と1価のフ
ェノールまたは多価ポリフェノールとの縮合物と反応さ
せることにより得られるフェノール誘導体エポキシ樹脂
(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂)等も用いること
ができる。
【0049】通常、下塗り塗膜の物性値は塗料組成物の
主剤として使用する樹脂のTgにより変化するが、一般
に樹脂の分子構造からしてエポキシ系下塗り塗料による
塗膜は破断強度は大きいが破断伸びは小さく、一方、ポ
リエステル系下塗り塗料やウレタン系下塗り塗料による
塗膜は破断伸びは大きいが破断強度は小さい。これに対
して、ビスフェノールA付加ポリエステル樹脂を主剤と
する塗料組成物により形成される下塗り塗膜は上記両方
の樹脂の分子構造を兼ね備えているため、破断強度と破
断伸びがバランスよく得られ、高加工性の観点からして
特に好ましい。
【0050】下塗り塗膜をポリエステル系樹脂(ビスフ
ェノールA付加ポリエステル樹脂等の変性ポリエステル
樹脂を含む。以下同様)を主剤とする塗料組成物で形成
する場合、下塗り塗膜が上記物性値を有するようにする
ためには、ポリエステル樹脂として数平均分子量が10
00〜50000、より好ましくは3000〜4000
0、特に好ましくは5000〜30000の範囲のもの
を用いることが望ましい。ポリエステル樹脂の数平均分
子量が1000未満では塗膜の伸びが不十分であるため
上記の物性値が得られず、塗膜性能の向上効果が十分で
ない。一方、数平均分子量が50000を超えると塗料
組成物が高粘度になるため過剰の希釈溶剤が必要とな
り、塗料中に占める樹脂の割合が減少するため適正な塗
膜を得ることができなくなる。さらには、配合成分との
相溶性も著しく低下する。
【0051】また、塗料組成物の主剤としてビスフェノ
ールA付加ポリエステル樹脂を使用する場合、ビスフェ
ノールA付加ポリエステル樹脂中のビスフェノールAの
含有量は樹脂固形分の割合で1〜70重量%、より好ま
しくは3〜60重量%、特に好ましくは5〜50重量%
とするのが望ましい。ビスフェノールA付加ポリエステ
ル樹脂中のビスフェノールAの含有量が1重量%未満で
は塗膜強度の向上効果が十分に得られず、塗膜性能の向
上効果が顕著ではない。一方、ビスフェノールAの含有
量が70重量%を超えると塗膜の伸びが十分に得られな
い。
【0052】上記ポリエステル樹脂を得るための多価ア
ルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、ポリテトラメチレンエーテルグリ
コール、ポリカプロラクトンポリオール、グリセリン、
ソルビトール、アンニトール、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキ
サントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリ
スリトール等が挙げられ、また、これらの多価アルコー
ルを2種以上組合せて用いることもできる。
【0053】また、ポリエステル樹脂を得るための多塩
基酸成分としては、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒ
ドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒド
ロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ハイミッ
ク酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリ
ット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコ
ン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク
酸、無水コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸等が挙げられ、また、これらの多塩基酸成分を2種以
上組合せて用いることもできる。
【0054】下塗り塗膜用の塗料組成物に用いられる硬
化剤としては、ポリイソシアネート化合物またはアミノ
樹脂が使用できる。また、これらの2種以上混合して用
いてもよい。硬化剤として用いられるポリイソシアネー
ト化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニル
メタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;
ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメ
チレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;
イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネー
ト;またはこれらジイソシアネートの多量体若しくは多
価アルコールとの付加物等が挙げられ、これらをブロッ
ク剤(例えば、フェノール系、ラクタム系、アルコール
系、メルカプタン系、イミン系、アミン系、イミダゾー
ル系またはオキシム系ブロック剤)等を用いてブロック
化した化合物として使用できる。また、これらブロック
化ポリイソシアネート化合物の解離触媒としては、オク
トエ酸錫、ジブチル錫ジラウレート、2−エチルヘキソ
エート鉛等を用いることができる。
【0055】硬化剤として用いられるアミノ樹脂として
は、例えば、低級アルコールでアルキルエーテル化され
たホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒド等と尿
素、ジシアンジアミド、アミノトリアジン等との縮合物
があり、具体的には、メトキシ化メチロール尿素、メト
キシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロ
ールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミ
ン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロ
ールベンゾグアナミン等が挙げられる。また、硬化触媒
としては、塩酸、リン酸モノアルキルエステル、P−ト
ルエンスルホン酸等の酸またはこれら酸と3級アミン若
しくは2級アミン化合物との塩が使用できる。
【0056】下塗り塗膜用の塗料組成物には、目的や用
途に応じて防錆顔料等をはじめとする各種添加剤を適宜
配合することができ、特に、塗膜全体の耐食性を向上さ
せるために防錆顔料の添加が有効である。下塗り塗膜中
に含有させる防錆顔料としては、ストロンチウムクロメ
ート、ジンククロメート、バリウムクロメート等の難溶
性クロム酸塩の微粉末を用いることが考えられるが、長
期にわたる耐食性を維持できるという観点からストロン
チウムクロメートが最も好ましい。
【0057】下塗り塗膜にストロンチウムクロメートを
添加する場合、その含有量は膜厚1μm当り0.06〜
0.26g/m2とすることが好ましい。ストロンチウ
ムクロメートの含有量が膜厚1μm当り0.06g/m
2未満では十分な耐食性改善効果が得られず、一方、
0.26g/m2を超えると加工性が低下する。下塗り
塗膜の乾燥膜厚は2〜12μmとすることが好ましい。
膜厚が2μm未満では特定の物性値の下塗り塗膜を設け
ることによる加工性向上効果、或いはストロンチウムク
ロメートが添加された下塗り塗膜を設けることによる耐
食性向上効果が十分に得られず、一方、膜厚が12μm
を超えると加工性、塗膜硬度ともに低下する。
【0058】以上のような下塗り塗膜の上層に、上述し
た本発明の塗料組成物からなる上塗り塗膜が形成され
る。この上塗り塗膜を形成する塗料組成物中には、塗膜
の耐傷付き性を向上させるため適量のワックスを配合す
ることができる。このワックスとしては、天然ワックス
または合成ワックスを用いることができる。天然ワック
スとしては、例えば、カルナバワックス、パラフィンワ
ックス、マイクロクリスタリンワックス等を使用するこ
とができ、市販品として、スリップエイドSL−506
(サンノプコ社製)、スリップエイドSL−523(サ
ンノプコ社製)、リオフラットW−7467(東洋イン
キ製造社製)、ハイデスパー−6413(岐阜セラック
社製)等が挙げられる。
【0059】また、合成ワックスとしてはポリエチレン
ワックス等を使用することができ、市販品として、デス
パロン510−10X(楠本化成社製)、ペイントアデ
ィティブ371FP(松下産業社製)等が挙げられる。
また、合成ワックスとしては混合ワックスを用いること
ができ、その中でも特に、ポリエチレンワックスとポリ
テトラフルオロエチレン(樹脂微粒子)を混合したもの
が好ましい。この混合ワックスの市販品として、ハイデ
スパー4252(岐阜セラック社製)、SHAMROC
K S600(SHAMROCK社製)等が挙げられ
る。これらワックスは単独または2種類以上を混合して
使用され、塗膜に潤滑性を付与する。
【0060】塗料組成物中でのワックスの配合量は、固
形分の割合で塗料組成物100重量部(但し、ワックス
を除く塗料組成物の重量)に対して0.3〜30重量
部、好ましくは0.3〜20重量部、さらに好ましくは
0.5〜10重量部とする。ワックスの配合量が0.3
重量部未満では塗膜の潤滑性改善効果が十分でない。一
方、ワックスの配合量が30重量部を超えると低温貯蔵
時(冬期)における塗料組成物中でのワックスの析出が
著しく、析出したワックスの凝集物が塗膜成形時のハジ
キ、ヘコミの原因となり、プレコート鋼板として重大な
欠陥を生じる。
【0061】上記のように塗膜に潤滑性を付与するとい
う観点からは、ワックスの塗料組成物中での配合量が重
要であるが、塗膜の曇りを防ぐという観点からはワック
スの融点の影響が大きく、曇りの少ない塗膜を得るため
には融点が100℃以上のワックスを用いることが好ま
しい。すなわち、使用するワックスの融点が100℃未
満であると塗膜表面に曇りを生じて塗膜外観を悪化させ
る。また、ワックスの融点が100℃未満では耐傷付き
性も劣化する傾向にある。
【0062】なお、上塗り塗膜用の塗料組成物には、ワ
ックス以外にも目的や用途に応じて上述した各種添加剤
を適宜配合することができる。上塗り塗膜の乾燥膜厚は
10〜35μmとすることが好ましい。膜厚が10μm
未満では上塗り塗膜としての総合的な塗膜性能が十分に
得られない恐れがあり、一方、膜厚が35μmを超える
と塗膜硬度が低下する。
【0063】上塗り塗膜および下塗り塗膜を形成するた
めの塗料組成物を実際に使用するに当っては、これらを
有機溶剤に溶解して使用する。使用する有機溶剤として
は、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、シクロヘキサノン、ソルベッソ100(エクソン
化学社製)、ソルベッソ150(エクソン化学社製)、
ソルベッソ200(エクソン化学社製)、トルエン、キ
シレン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソ
ルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビ
トール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、酢
酸エチル、酢酸ブチル、石油エーテル、石油ナフサ等が
挙げられる。塗料組成物を調整するに当っては、サンド
グラインドミル、ボールミル、ブレンダー等の通常の分
散機や混練機を選択して使用し、各成分を配合すること
ができる。
【0064】本発明のプレコート鋼板を製造する際の塗
料組成物(下塗り塗膜用および上塗り塗膜用の各塗料組
成物)の塗装方法に特に制約はないが、好ましくはロー
ルコーター塗装、カーテンフロー塗装などの方法で塗布
するのがよい。下塗り塗膜、上塗り塗膜ともに、塗料組
成物を塗装後、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱などの
加熱手段により塗膜を焼き付け、樹脂を架橋させて硬化
塗膜を得る。下塗り塗膜を加熱硬化させる際の焼付処理
は、通常、180〜260℃程度の到達板温で約30秒
〜1分行う。また、上塗り塗膜を加熱硬化させる際の焼
付処理は、通常、180〜260℃程度の到達板温で約
30秒〜3分行う。なお、以上のプレコート鋼板は、上
塗り塗膜の上にさらに塗膜(例えば、クリアー塗膜)を
形成し、3コート・3ベークで使用してもよい。
【0065】
【実施例】
[実施例1]本実施例で使用した化合物(1)〜(8)
とポリオール(1)〜(4)の合成例等について、以下
に示す。 ・化合物(1);ポリエステル化合物 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルエー
テル(以下、2,6−NDCMという)を1.0mo
l、エチレングリコールを2.1mol入れ、200℃
で加熱溶融した。その後、触媒として酢酸マンガンを
2,6−NDCMに対して0.03mol%添加し、反
応温度を段階的に230℃まで上げていき、理論量のメ
タノール64g(2.0mol)が留出したところで、
リン酸トリメチルを2,6−NDCMに対して0.03
mol%加え、反応を終了した。これにより化合物
(1)を得た。この化合物(1)の還元粘度は0.05
dl/gであり、また偏光顕微鏡により測定した異方性
の発現温度範囲は、昇温時が130〜190℃付近、降
温時が140℃〜室温であった。この異方性発現温度範
囲の測定法は、2枚のスライドガラスの間に試料を薄く
挾み、温度制御機能を備えた偏光顕微鏡にセットして、
偏光下で加熱あるいは冷却しながら観察する方法であ
り、視野が明るくなった温度範囲を異方性発現範囲とし
た。
【0066】・化合物(2);ポリエステル化合物 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、2,6−NDCMを0.5mol、1,4−ブタ
ンジオールを1.02mol入れ、200℃で加熱溶融
した。その後、触媒としてチタニウムテトラ−n−ブト
キシドを2,6−NDCMに対して0.06mol%添
加し、反応温度を段階的に240℃まで上げていき、理
論量のメタノール32g(1.0mol)が留出したと
ころで反応を終了した。これにより化合物(2)を得
た。この化合物(2)の還元粘度は0.04dl/gで
あり、また、偏光顕微鏡により上記化合物(1)と同様
の方法で測定した異方性の発現温度範囲は、昇温時が9
0〜180℃付近、降温時が160℃〜室温であった。
【0067】・化合物(3);ポリエステル化合物 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、2,6−NDCMを0.5mol、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール(トランス体70重量%)を
1.02mol入れ、200℃で加熱溶融した。その
後、触媒としてチタニウムテトラ−n−ブトキシドを
2,6−NDCMに対して0.06mol%添加し、反
応温度を段階的に270℃まで上げていき、理論量のメ
タノール32g(1.0mol)が留出したところで反
応を終了した。これにより化合物(3)を得た。この化
合物(3)の還元粘度は0.05dl/gであり、ま
た、偏光顕微鏡により上記化合物(1)と同様の方法で
測定した異方性の発現温度範囲は、昇温時が140〜2
80℃付近、降温時が240℃〜室温であった。
【0068】・化合物(4);ポリエステル化合物 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、2,6−NDCMを0.5mol、ネオペンチル
グリコールを1.05mol入れ、200℃で加熱溶融
した。その後、触媒として酢酸カルシウムを2,6−N
DCMに対して0.03mol%添加し、反応温度を段
階的に240℃まで上げていき、理論量のメタノール3
2g(1.0mol)が留出したところで、リン酸トリ
メチルを2,6−NDCMに対して0.03mol%加
え、反応を終了した。これにより化合物(4)を得た。
この化合物(4)の還元粘度は0.04dl/gであ
り、また、偏光顕微鏡により上記化合物(1)と同様の
方法で測定した異方性の発現温度範囲は、昇温時が10
0〜180℃付近、降温時が190℃〜室温であった。
【0069】・化合物(5);エーテル結合を有するポ
リエステル化合物 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、2,6−NDCMを0.5mol、ジエチレング
リコールを1.05mol入れ、200℃で加熱溶融し
た。その後、触媒としてチタニウムテトラ−n−ブトキ
シドを2,6−NDCMに対して0.10mol%添加
し、反応温度を段階的に240℃まで上げていき、理論
量のメタノール32g(1.0mol)が留出したとこ
ろで反応を終了した。これにより化合物(5)を得た。
この化合物(5)の還元粘度は0.05dl/gであっ
た。
【0070】・化合物(6);エーテル結合を有するポ
リエステル化合物 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、2,6−NDCMを0.5mol、数平均分子量
が200のポリエチレングリコール(PEG♯200)
を1.02mol入れ、200℃で加熱溶融した。その
後、触媒としてチタニウムテトラ−n−ブトキシドを
2,6−NDCMに対して0.06mol%添加し、反
応温度を段階的に270℃まで上げていき、触媒添加か
ら3時間を要して理論量の95重量%にあたるメタノー
ル30gを留出させた。これにより化合物(6)を得
た。この化合物(6)の還元粘度は0.08dl/gで
あった。
【0071】・化合物(7);エーテル結合を有するポ
リエステル化合物 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、2,6−NDCMを0.5mol、数平均分子量
が600のポリエチレングリコール(PEG♯600)
を1.02mol入れ、200℃で加熱溶融した。その
後、触媒としてチタニウムテトラ−n−ブトキシドを
2,6−NDCMに対して0.06mol%添加し、反
応温度を段階的に270℃まで上げていき、触媒添加か
ら約4時間を要して理論量の92重量%にあたるメタノ
ール29gを留出させた。これにより化合物(7)を得
た。この化合物(7)の還元粘度は0.07dl/gで
あった。
【0072】・化合物(8);エーテル結合を有するポ
リエステル化合物 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、2,6−NDCMを0.5mol、数平均分子量
が650のポリエチレングリコール(PTG♯650)
を1.02mol入れ、200℃で加熱溶融した。その
後、触媒としてチタニウムテトラ−n−ブトキシドを
2,6−NDCMに対して0.06mol%添加し、反
応温度を段階的に270℃まで上げていき、触媒添加か
ら約4時間を要して理論量の93重量%にあたるメタノ
ール30gを留出させた。これにより化合物(8)を得
た。この化合物(8)の還元粘度は0.07dl/gで
あった。
【0073】・ポリオール(1) 数平均分子量が約2000のポリエステル樹脂を用い
た。 ・ポリオール(2) 数平均分子量が約3000のポリエステル樹脂を用い
た。 ・ポリオール(3) 数平均分子量が約5000のポリエステル樹脂を用い
た。 ・ポリオール(4) 数平均分子量が約3000のアクリル樹脂を用いた。 以上述べた化合物(1)〜(8)の化学構造式を以下に
示す。
【0074】化合物(1)
【化4】
【0075】化合物(2)
【化5】
【0076】化合物(3)
【化6】
【0077】化合物(4)
【化7】
【0078】化合物(5)
【化8】
【0079】化合物(6)
【化9】
【0080】化合物(7)
【化10】
【0081】化合物(8)
【化11】
【0082】また、硬化剤成分としては以下のものを用
いた。 ・HDIプレポリマー(本発明が規定する(b)群に属す
るブロック化ポリイソシアネート化合物):NCO含有
率約7重量%,樹脂固形分約75重量% ・HDIイソシアヌレート体(本発明が規定する(b)群
に属するブロック化ポリイソシアネート化合物):NC
O含有率約11重量%,樹脂固形分約75重量% ・水添MDIプレポリマー(本発明が規定する(b)群に
属するブロック化ポリイソシアネート化合物):NCO
含有率約9重量%,樹脂固形分約75重量% ・TDIプレポリマー(本発明が規定する(a)群に属す
るブロック化ポリイソシアネート化合物):NCO含有
率約4重量%,樹脂固形分約50重量% ・IPDIイソシアヌレート体(本発明が規定する(a)
群に属するブロック化ポリイソシアネート化合物):N
CO含有率約8重量%,樹脂固形分約65重量% ・MDIアダクト体(本発明が規定する(a)群に属する
ブロック化ポリイソシアネート化合物):NCO含有率
約7重量%,樹脂固形分約70重量%
【0083】上述した化合物(1)〜(8)、ポリオール
(1)〜(4)および硬化剤を用いて塗料組成物を調整し、
この塗料組成物を鋼板に塗布して以下に示すような本発
明例及び比較例のプレコート鋼板を製造し、その塗膜性
能を調べた。その結果を塗料組成物の組成等とともに表
1〜表15に示す。
【0084】・本発明例1 上記化合物(1)3.0部にシクロヘキサノンを40部
加え、12時間撹拌した。この際、化合物(1)は粉砕
機により250μm以下に粉砕したものを使用した。こ
のようにして得られた化合物(1)のシクロヘキサノン
分散液に対し、ポリオール(1)を56.1部、硬化剤
として本発明が規定する(b)群のブロック化ポリイソシ
アネート化合物である水添MDIプレポリマーを20.
5部、同じく本発明が規定する(a)群のブロック化ポリ
イソシアネート化合物であるIPDIイソシアヌレート
体を20.5部、ルチル型酸化チタンを100部、ジブ
チル錫ジラウリレート(以下、DBTDLという)10
%シクロヘキサノン溶液を10.0部、アクロナール4
F(BASF(株)製)50%シクロヘキサノン溶液を
4.8部配合し、直径約1mmのガラスビーズを入れた
サンドミルを用いて約30分間分散させた。さらに、シ
クロヘキサノンを加えて不揮発分が60%になるように
調製し、目的の塗料組成物を得た。この塗料組成物を、
クロメート処理およびポリエステル系プライマー(膜厚
約5μm)を施した溶融亜鉛めっき鋼板(板厚:0.5
mm,0.4mm)上に乾燥膜厚が15〜18μmとな
るようにバーコーターにて塗装し、熱風乾燥炉において
230±5℃、60秒の条件で焼付処理し、プレコート
鋼板を得た。
【0085】・本発明例2〜4 本発明例1と同様の化合物、ポリオールおよび硬化剤の
組合わせにおいて化合物(1)の含有率を変え、表1に
示した配合で本発明例1と同様の調整を行い、目的の塗
料組成物を得た。樹脂固形分中の化合物(1)の割合
は、本発明例2、3、4でそれぞれ5.0重量%、7.
0重量%、12.0重量%とした。塗料組成物は本発明
例1と同様の方法で鋼板への塗布および焼付を行い、プ
レコート鋼板を得た。
【0086】・本発明例5〜10 硬化剤として、本発明が規定する(a)群のブロック化ポ
リイソシアネート化合物であるTDIプレポリマー、I
PDIイソシアヌレート体、MDIアダクト体のうちの
1種と、同じく(b)群のブロック化ポリイソシアネート
化合物であるHDIプレポリマー、HDIイソシアヌレ
ート体、水添MDIプレポリマーのうちの1種とを混合
した硬化剤を用い、表1に示した配合で本発明例1と同
様の調製を行い、目的の塗料組成物を得た。塗料組成物
は本発明例1と同様の方法で鋼板への塗布および焼付を
行い、プレコート鋼板を得た。
【0087】・本発明例11〜18 ポリエステル化合物として化合物(2)〜(8)を用い
るとともに、硬化剤として、本発明が規定する(a)群の
ブロック化ポリイソシアネート化合物であるTDIプレ
ポリマー、IPDIイソシアヌレート体、MDIアダク
ト体のうちの1種と、同じく(b)群のブロック化ポリイ
ソシアネート化合物であるHDIプレポリマー、HDI
イソシアヌレート体、水添MDIプレポリマーのうちの
1種とを混合した硬化剤を用い、表3および表4に示し
た配合で本発明例1と同様の調製を行い、目的の塗料組
成物を得た。この塗料組成物を本発明例1と同様の方法
で鋼板への塗布および焼付を行い、プレコート鋼板を得
た。
【0088】・比較例1 化合物(1)3.0部にシクロヘキサノンを40部加
え、12時間撹拌した。この際、化合物(1)は粉砕機
により250μm以下に粉砕したものを使用した。この
ようにして得られた化合物(1)のシクロヘキサノン分
散液に対し、ポリオール(1)を55.4部、硬化剤と
して水添MDIプレポリマーを41.6部、ルチル型酸
化チタンを100部、DBTDL10%シクロヘキサノ
ン溶液を10.0部、アクロナール4F50%シクロヘ
キサノン溶液を4.8部配合した後、直径約1mmのガ
ラスビーズを入れたサンドミルを用いて約30分間分散
させた。さらに、シクロヘキサノンを加えて不揮発分が
60%になるように調製し、目的の塗料組成物を得た。
調製した塗料組成物は、クロメート処理およびポリエス
テル系プライマー(膜厚約5μm)を施した溶融亜鉛め
っき鋼板(板厚:0.5mm,0.4mm)上に乾燥膜
厚が15〜18μmとなるようにバーコーターにて塗装
し、熱風乾燥炉において230±5℃、60秒の条件で
焼付処理し、プレコート鋼板を得た。
【0089】・比較例2 硬化剤としてIPDIイソシアヌレート体を単独で用い
た比較例(他の成分及び配合量は比較例1とほぼ同等)
であり、表6に示した配合で比較例1と同様の調製を行
い、目的の塗料組成物を得た。この塗料組成物を比較例
1と同様の方法で鋼板への塗布および焼付を行い、プレ
コート鋼板を得た。 ・比較例3,4 硬化剤として水添MDIプレポリマーとIPDIイソシ
アヌレート体をそれぞれ単独で用いた比較例(他の成分
および配合量は本発明例2とほぼ同等)であり、表6に
示した配合で比較例1と同様の操作を行い、目的の塗料
組成物を得た。これら塗料組成物を比較例1と同様の方
法で鋼板への塗布および焼付を行い、プレコート鋼板を
得た。
【0090】・比較例5,6 硬化剤として水添MDIプレポリマーとIPDIイソシ
アヌレート体をそれぞれ単独で用いた比較例(他の成分
および配合量は本発明例4とほぼ同等)であり、表6に
示した配合で比較例1と同様の操作を行い、目的の塗料
組成物を得た。これら塗料組成物を比較例1と同様の方
法で鋼板への塗布および焼付を行い、プレコート鋼板を
得た。
【0091】・比較例7〜10 ポリオールとしてポリオール(1)を、またポリエステ
ル化合物として化合物(1)を、また硬化剤としてHD
Iプレポリマー、HDIイソシアヌレート体、TDIプ
レポリマー、MDIアダクト体のうちの1種類のブロッ
ク化ポリイソシアネート化合物をそれぞれ単独で用いた
使用した比較例であり、表6に示した配合で比較例1と
同様の操作を行い、目的の塗料組成物を得た。これら塗
料組成物を比較例1と同様の方法で鋼板への塗布及び焼
付を行い、プレコート鋼板を得た。
【0092】・比較例11,12 硬化剤として水添MDIプレポリマーとTDIプレポリ
マーをそれぞれ単独で用いた比較例(他の成分および配
合量は本発明例11とほぼ同等)であり、表8に示した
配合で比較例1と同様の操作を行い、目的の塗料組成物
を得た。これら塗料組成物を比較例1と同様の方法で鋼
板への塗布および焼付を行い、プレコート鋼板を得た。 ・比較例13,14 硬化剤としてHDIプレポリマーとMDIアダクト体を
それぞれ単独で用いた比較例(他の成分および配合量は
本発明例12とほぼ同等)であり、表8に示した配合で
比較例1と同様の操作を行い、目的の塗料組成物を得
た。これら塗料組成物を比較例1と同様の方法で鋼板へ
の塗布および焼付を行い、プレコート鋼板を得た。
【0093】・比較例15,16 硬化剤として水添MDIプレポリマーとIPDIイソシ
アヌレート体をそれぞれ単独で用いた比較例(他の成分
および配合量は本発明例15とほぼ同等)であり、表9
に示した配合で比較例1と同様の操作を行い、目的の塗
料組成物を得た。これら塗料組成物を比較例1と同様の
方法で鋼板への塗布および焼付を行い、プレコート鋼板
を得た。 ・比較例17,18 硬化剤としてHDIイソシアヌレート体とIPDIイソ
シアヌレート体それぞれ単独で用いた比較例(他の成分
および配合量は本発明例17とほぼ同等)であり、表9
に示した配合で比較例1と同様の操作を行い、目的の塗
料組成物を得た。これら塗料組成物を比較例1と同様の
方法で鋼板への塗布および焼付を行い、プレコート鋼板
を得た。
【0094】・比較例19,20 本発明例1と同様の化合物、ポリオールおよび硬化剤の
組合せにおいて化合物(1)の含有率を変えた比較例で
あり、表11に示した配合で比較例1と同様の調製を行
い、目的の塗料組成物を得た。樹脂固形分中の化合物
(1)の割合は、比較例19、20でそれぞれ0.3重
量%、18.0重量%とした。これら塗料組成物は比較
例1と同様の方法で鋼板への塗布および焼付を行い、プ
レコート鋼板を得た。 ・比較例21 本発明例14と同様の化合物、ポリオールおよび硬化剤
の組合せにおいて化合物(4)の含有率を変えた比較例
であり、表11に示した配合で比較例1と同様の調製を
行い、目的の塗料組成物を得た。樹脂固形分中の化合物
(4)の割合は0.5重量%とした。この塗料組成物を
比較例1と同様の方法で鋼板への塗布および焼付を行
い、プレコート鋼板を得た。
【0095】・比較例22 本発明例16と同様の化合物、ポリオールおよび硬化剤
の組合せにおいて化合物(6)の含有率を変えた比較例
であり、表11に示した配合で比較例1と同様の調製を
行い、目的の塗料組成物を得た。樹脂固形分中の化合物
(6)の割合は18.0重量%とした。この塗料組成物
は比較例1と同様の方法で鋼板への塗布および焼付を行
い、プレコート鋼板を得た。 ・比較例23,24 本発明例2と同様の化合物、ポリオールにおいて硬化剤
の組合せを変えた比較例であり、表12に示した配合で
比較例1と同様の調製を行い、目的の塗料組成物を得
た。塗料組成物中の硬化剤の組合せは、比較例23では
HDIイソシアヌレート体と水添MDIプレポリマー、
比較例24ではIPDIイソシアヌレート体とMDIア
ダクト体とした。これら塗料組成物を比較例1と同様の
方法で鋼板への塗布および焼付を行い、プレコート鋼板
を得た。
【0096】・比較例25,26 本発明例14と同様の化合物、ポリオールにおいて硬化
剤の組合せを変えた比較例であり、表12に示した配合
で比較例1と同様の調製を行い、目的の塗料組成物を得
た。塗料組成物中の硬化剤の組合せは、比較例25では
HDIプレポリマーと水添MDIプレポリマー、比較例
26ではTDIプレポリマーとIPDIイソシアヌレー
ト体とした。これら塗料組成物を比較例1と同様の方法
で鋼板への塗布および焼付を行い、プレコート鋼板を得
た。 ・比較例27,28 本発明例2と同様の化合物、ポリオールおよび硬化剤の
組合せにおいて、硬化剤である水添MDIプレポリマー
とIPDIイソシアヌートとの配合比を変えた比較例で
あり、表14に示した配合で比較例1と同様の調製を行
い、目的の塗料組成物を得た。塗料組成物中の硬化剤比
(A)/(B)は比較例27では20/80、比較例28で
は80/20とした。これら塗料組成物は比較例1と同
様の方法で鋼板への塗布および焼付を行い、プレコート
鋼板を得た。
【0097】・比較例29,30 本発明例6と同様の化合物、ポリオールおよび硬化剤の
組合せにおいて、硬化剤中のイソシアネート基[NC
O]と化合物(1)およびポリオール(1)中の水酸基
[OH]とのモル比[NCO]/[OH]を変えた比較
例であり、表14に示した配合で比較例1と同様の調製
を行い、目的の塗料組成物を得た。塗料組成物中のモル
比[NCO]/[OH]は比較例29では0.7、比較
例30では1.3とした。これら塗料組成物は比較例1
と同様の方法で鋼板への塗布および焼付を行い、プレコ
ート鋼板を得た。
【0098】本実施例で行った各特性試験等の条件及び
評価方法を以下に示す。 (1)外観 焼付後の塗膜表面性状の良否を目視により判定した。 (2)光沢度 JIS K5400の7.6に基づいて60°鏡面反射
率(%)を測定し、以下により評価した。 ◎:光沢度80以上 ○:光沢度70以上、80未満 △:光沢度60以上、70未満 ×:光沢度60未満 (3)鉛筆硬度 三菱鉛筆“ユニ”を使用してJIS K5400の8.
4.2に基づいて行い、傷が付かない硬度限界(但し、
H+はH〜2H、F+はF〜Hを示す)を示した。
【0099】(4)加工性(折曲げ加工性) JIS G3312の12.2.2(耐屈曲性に準拠)
に規定された折曲げバイスにより、予め塗装した鋼板を
20℃の室内において折り曲げた後、内側にn枚の同一
サンプル板を挾み、プレスにて折曲げた。折曲げ部を3
0倍のルーペで観察し、塗膜割れを起こさない最小の挾
み込み枚数(n枚)を評価値とし、1T、2T、3Tの
ように枚数にTを付けて表示した。この加工性の評価
は、以下のように板厚0.5mmと板厚0.4mmの両
方の鋼板について行った。 加工性1:板厚0.5mm(0.45〜0.50mm)
の溶融亜鉛めっき鋼板を使用 加工性2:板厚0.4mm(0.35〜0.40mm)
の溶融亜鉛めっき鋼板を使用
【0100】(5)耐衝撃性 デュポン衝撃試験機を用い、JIS K5400の8.
3.2に基づいて、荷重1.0kgまたは1.5kgを
最大50cmの高さから塗膜上に落下させ、30倍ルー
ペで観察した際に塗膜表面の割れが見られない最大高さ
に荷重を乗じた値を評価値とした。
【0101】(6)耐溶剤性(MEKラビング回数) メチルエチルケトンを滲み込ませたガーゼを用いて荷重
1.0kgで塗膜表面を擦り、1往復を1回として、プ
ライマーが露出するまでの回数で表わした。但し、上限
を100回とした。 (7)耐汚染性(耐マーキングペン汚染性) JIS K5400の8.10に準拠して20℃の室内
において赤と黒の速乾性油性マーキングペンで塗膜表面
を塗りつぶし、24時間後、脱脂綿に石油ベンジン/エ
タノール:50/50溶液を含ませて拭きとり、ΔE
(=[試験後のL、a、b値]−[試験前のL、a、b
値]の相乗平均)を測定(JIS Z8722の4.2
に準拠の分光測定器による測定)し、下記により評価し
た。 ◎:ΔEが0以上〜5未満 ○:ΔEが5以上〜15未満 △:ΔEが15以上〜25未満 ×:ΔEが25以上
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】
【表5】
【0107】
【表6】
【0108】
【表7】
【0109】
【表8】
【0110】
【表9】
【0111】
【表10】
【0112】
【表11】
【0113】
【表12】
【0114】
【表13】
【0115】
【表14】
【0116】
【表15】
【0117】表1〜表15によれば、本発明例は鋼板板
厚が0.5mmおよび0.4mmのいずれにおいても硬
度、加工性および耐汚染性が優れ、また光沢や耐溶剤性
にも優れている。これに対し比較例1〜18は、本発明
が規定する(a)群および(b)群のうちのいずれか一方の
群のブロック化ポリイソシアネート化合物を単独で使用
した比較例であり、これらの比較例は板厚が0.5mm
の場合には、異方性を示すポリエステル化合物の効果に
より硬度と加工性のバランスがある程度はとれているも
のの、耐汚染性が劣るケースが多く、また耐汚染性に優
れている場合には板厚0.4mmにおける加工性および
耐衝撃性が不十分である。
【0118】比較例19〜22は、ポリエステル化合物
の配合量が本発明範囲を逸脱した比較例であり、このう
ちポリエステル化合物の配合量が少な過ぎるものは塗膜
硬度および耐汚染性が劣っている。一方、ポリエステル
化合物の配合量が多過ぎるものは塗膜表面の平滑性が低
下し、それに伴って光沢度の低下と物理的作用による耐
汚染性の低下が生じている。比較例23〜26は、本発
明が規定する(a)群および(b)群のブロック化ポリイソ
シアネート化合物のうち、同一群中の2種類のブロック
化ポリイソシアネート化合物を混合した硬化剤を用いた
比較例であり、いずれの比較例も硬度、加工性、耐汚染
性のバランスがとれておらず、少くともいずれか1つの
特性が劣っている。
【0119】比較例27,28は、(a)群と(b)群のブ
ロック化ポリイソシアネートの配合比(硬化剤比)が本
願の請求項2に規定された範囲から逸脱した比較例であ
り、いずれの比較例も塗膜硬度、加工性、耐汚染性のバ
ランスがとれておらず、少くともいずれか1つの特性が
劣っている。比較例29,30は、硬化剤中のイソシア
ネート基[NCO]とイ)のポリエステル化合物および
ロ)のポリオール中の水酸基[OH]とのモル比[NC
O]/[OH]が、本願の請求項3に規定された範囲か
ら逸脱した比較例であり、いずれの比較例も塗膜硬度、
加工性、耐汚染性のバランスがとれておらず、少くとも
いずれか1つの特性が劣っている。
【0120】[実施例2]下地鋼板である板厚0.5m
mの溶融亜鉛めっき鋼板(片面当りのめっき付着量:3
0g/m2)を脱脂後、塗布型クロメート系処理剤(日
本ペイント(株)製“サーフコート NRC300”)
でクロメート処理し、その上に表18および表19に示
す下塗り塗膜用の塗料組成物により下塗り塗膜を形成
し、さらにその上に表20に示す上塗り塗膜用の塗料組
成物により上塗り塗膜を形成して所望のプレコート鋼板
を得た。これらプレコート鋼板の性能を、その製造条件
とともに表21、表22に示す。表18および表19に
示す下塗り塗膜用の塗料組成物A-1〜A-4,B-1〜B-4と表
20に示す上塗り塗膜用の塗料組成物C-1は以下のよう
にして調整した。
【0121】(1) 下塗り塗膜用の塗料組成物 (1-1) ポリエステル樹脂a-1〜a-4の調製 加熱装置、撹拌機、精留塔、減圧装置および温度計を備
えた反応容器に、表16に示すような配合でテレフタル
酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸、エチ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘ
キサンジオールおよび酢酸マンガンを仕込み、窒素雰囲
気中において、160〜220℃の温度で約4時間かけ
て段階的に昇温させてエステル交換反応を行い、メタノ
ールを留出させた。さらに、0.5〜5.0mmHgの
減圧下、260℃で約2時間重縮合反応させ、表16に
示すポリエステル樹脂a-1〜a-4を得た。得られたポリエ
ステル樹脂は、シクロヘキサノン/ソルベッソ150の
混合溶剤(重量比50/50)に溶解し、不揮発分40
%に調製した。また、ポリエステル樹脂の分子量は重縮
合反応時間により調節した。分子量は、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィーを用い、ポリスチレン換算の
数平均分子量を測定した。
【0122】(1-2) ビスフェノールA付加ポリエステル
樹脂b-1〜b-4の調製 加熱装置、撹拌機、精留塔、減圧装置および温度計を備
えた反応容器に、表17に示すような配合でテレフタル
酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、エチレングリコー
ル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加
物および酢酸マンガンを仕込み、窒素雰囲気中におい
て、160〜220℃の温度で約4時間かけて段階的に
昇温させてエステル交換反応を行い、メタノールを留出
させた。さらに、0.5〜5.0mmHgの減圧下、2
60℃で約2時間重縮合反応させ、表17に示すビスフ
ェノールA付加ポリエステル樹脂b-1〜b-4を得た。得ら
れたビスフェノールA付加ポリエステル樹脂は、シクロ
ヘキサノン/ソルベッソ150の混合溶剤(重量比50
/50)に溶解し、不揮発分40%に調製した。また、
ビスフェノールA付加ポリエステル樹脂の分子量は重縮
合反応時間により調節した。分子量は、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィーを用い、ポリスチレン換算の
数平均分子量を測定した。
【0123】(1-3) 下塗り塗膜用の塗料組成物A-1〜A-
4,B-1〜B-4の製造 上記(1-1)、(1-2)で得られたポリエステル樹脂a-1〜a-
4、ビスフェノールA付加ポリエステル樹脂b-1〜b-4を
用いて、表18および表19に示すような配合割合で塗
料組成物A-1〜A-4,B-1〜B-4を製造した。これら塗料組
成物には顔料としてストロンチウムクロメートを添加
し、顔料粒度が5μm以下になるまでサンドミルで分散
させた。表18および表19に、乾燥膜厚1μm当りの
ストロンチウムクロメート量を示した。各下塗り塗膜の
破断伸びおよび破断強度は、各塗料組成物から幅5m
m、厚さ8±1μmのフリーフィルム(フィルム片)を
作成し、このフリーフィルムについてオリエンテック社
製テンシロン引張り試験機により引張り速度10mm/
minで測定した。
【0124】(2) 上塗り塗膜用の塗料組成物 上記[実施例1]で用いた化合物(1)のポリエステル
化合物に表20に示すような配合割合でポリエステル樹
脂、硬化剤、顔料、硬化触媒および添加剤を配合した
後、直径約1mmのガラスビーズを入れたサンドミルを
用い約30分間分散させた。さらに、シクロヘキサノン
を加えて不揮発分が60%になるように調製し、塗料組
成物C-1を製造した。
【0125】本実施例で行った各特性試験等の条件及び
評価方法を以下に示す。 (1) 外観 [実施例1]と同じ (2) 鉛筆硬度 [実施例1]と同じ
【0126】(3) 加工性3(折曲げ加工性) 20℃の室温において図1に示したV字曲げ加工用金型
を用いで10mm/minの速度で予め鋼板のV字曲げ
を行った後、180°密着曲げ(0T曲げ)試験と1T
曲げ試験を行って加工部の塗膜表面を30倍ルーペで観
察し、塗膜の微小ピンホールや割れ(クラック)の有無
を調べ、下記基準により評価した。 ◎:塗膜表面に微小ピンホールやクラックは観察されな
かった。 ○:塗膜表面に微小ピンホールが1〜5個/cm観察さ
れた。 △:塗膜表面に微小ピンホールが6〜20個/cm観察
された。 ×:塗膜表面に微小ピンホールが20個/cmよりも多
く観察され、クラックも観察された。
【0127】(4) 密着性(碁盤目剥離)試験(JI
S K 5400の8.5(付着性)に準拠) 硬化塗膜面にカッターナイフを用いて1mm間隔で10
mm×10mmの範囲に碁盤目100個を刻み、この碁
盤目に接着テープを圧着した後、勢いよく剥離して碁盤
目の塗膜剥離状態を観察し、下記基準により評価した。 ◎:塗膜の剥離なし ○:碁盤目の剥離残存数90個以上、100個未満 △:碁盤目の剥離残存数80個以上、90個未満 ×:碁盤目の剥離残存数80個未満
【0128】
【表16】
【0129】
【表17】
【0130】
【表18】
【0131】
【表19】
【0132】
【表20】
【0133】
【表21】
【0134】
【表22】
【0135】表21、表22によれば、特定の物性を有
する下塗り塗膜の上層に本発明の塗料組成物からなる上
塗り塗膜を形成することにより、特に優れた加工性(折
り曲げ加工性で評価される加工性)と塗膜硬度を有する
プレコート鋼板が得られることが判る。
【0136】[実施例3]下地鋼板である板厚0.5m
mの溶融亜鉛めっき鋼板(片面当りのめっき付着量:3
0g/m2)を脱脂後、塗布型クロメート系処理剤(日
本ペイント(株)製“サーフコート NRC300”)
でクロメート処理し、その上に表23に示す下塗り塗膜
用の塗料組成物により下塗り塗膜を形成し、さらにその
上に表24に示す上塗り塗膜用の塗料組成物により上塗
り塗膜を形成して所望のプレコート鋼板を得た。これら
プレコート鋼板の性能を、その製造条件とともに表2
5、表26に示す。表23に示す下塗り塗膜用の塗料組
成物P-1〜P-4と表24に示す上塗り塗膜用の塗料組成物
C-2は以下のようにして調整した。
【0137】(1) 下塗り塗膜用の塗料組成物 表23に示すような配合割合で樹脂成分と顔料を配合
し、顔料粒度が5μm以下になるまでサンドミルで分散
させ、塗料組成物P-1〜P-4を製造した。
【0138】(2) 上塗り塗膜用の塗料組成物 上記[実施例1]で用いた化合物(1)に表24に示す
ような配合割合でポリエステル樹脂、硬化剤、顔料、硬
化触媒および添加剤を配合した後、直径約1mmのガラ
スビーズを入れたサンドミルを用い約30分間分散させ
た。さらに、シクロヘキサノンを加えて不揮発分が60
%になるように調製し、塗料組成物C-2を製造した。
【0139】以下に、プレコート鋼板の性能試験の試験
方法と評価方法について示す。 (1) 外観 [実施例1]と同じ (2) 鉛筆硬度 [実施例1]と同じ
【0140】(3) 加工性(折曲げ加工性) 20℃の室温においてJIS G 3312の12.2.
2(曲げ試験)に規定された折曲げバイスで予め鋼板を
折曲げた後、180°密着曲げを行って加工部の塗膜表
面を30倍ルーペで観察し、塗膜の微小ピンホールや割
れ(クラック)の有無を調べ、下記基準により評価し
た。 ◎:塗膜表面に微小ピンホールやクラックは観察されな
かった。 ○:塗膜表面に微小ピンホールが1〜5個/cm観察さ
れた。 △:塗膜表面に微小ピンホールが6〜20個/cm観察
された。 ×:塗膜表面に微小ピンホールが20個/cmよりも多
く観察され、クラックも観察された。
【0141】(4) 密着性(碁盤目剥離)試験 [実施例2]と同じ (5) 平板部耐食性(JIS K 5400の9.1(耐塩
水噴霧性)に準拠)平板状のプレコート鋼板の上下にテ
ープシールを施し、右側および左側の切断端部がそれぞ
れ上バリ(非塗装面側から切断)、下バリ(塗装面側か
ら切断)になるように試験片を作成し、塩水噴霧試験
(SST)を240時間行った後、試験片の上バリ切断
端部に対してテープ剥離試験を行い、耐食性を下記基準
により評価した。 ◎:切断端部からの塗膜剥離が3mm未満 ○:切断端部からの塗膜剥離が3mm以上、5mm未満 △:切断端部からの塗膜剥離が5mm以上、10mm未
満 ×:切断端部からの塗膜剥離が10mm以上
【0142】
【表23】
【0143】
【表24】
【0144】
【表25】
【0145】
【表26】
【0146】表25、表26によれば、適量のストロン
チウムクロメートを添加した下塗り塗膜の上層に本発明
の塗料組成物からなる上塗り塗膜を形成することによ
り、特に優れた耐食性を有するプレコート鋼板が得られ
ることが判る。
【0147】[実施例4]下地鋼板である板厚0.5m
mの溶融亜鉛めっき鋼板(片面当りのめっき付着量:3
0g/m2)を脱脂後、塗布型クロメート処理(金属ク
ロム換算でのクロム付着量:30mg/m2)を施し、
その上にポリエステル系プライマーを乾燥膜厚が5μm
になるように塗布した後、到達板温215℃、焼付時間
60秒の焼付け処理を行なって下塗り塗膜を形成し、さ
らにその上に、表20に示す上塗り塗膜用の塗料組成物
に対して表27に示すワックスを添加したものを塗布し
た後、到達板温230℃、焼付時間60秒の焼付け処理
を行なって上塗り塗膜を形成して所望のプレコート鋼板
を得た。これらプレコート鋼板の性能を、その製造条件
とともに表28に示す。
【0148】以下に、プレコート鋼板の性能試験の試験
方法と評価方法について示す。 (1)外観 [実施例1]と同じ (2) 鉛筆硬度 [実施例1]と同じ
【0149】(3) 成形ロール摩耗性 ロール成形機(ロール材質:スチール−クロムメッキ)
を用い、サイズ10cm×30cmの試験片に対して、
加工速度:2m/min、加工段数:8段のロールフォ
ーミング条件で成形加工を行い、成形後の塗膜表面を観
察し、下記により評価した。 ○:全く異常なし △:わずかに傷が発生 ×:異常あり
【0150】(4) 円筒絞り加工性 円筒絞り加工機を用い、サイズ10cm×10cmの試
験片に対して、試料サイズ:90φ、ダイス:42.4
φ5R、プランジャー:40.4φ4R、ホールド圧:
2.0tonの円筒絞り加工条件で成形加工を行い、成
形加工後の塗膜表面を観察し、下記により評価した。 ○:全く異常なし △:わずかに傷が発生 ×:異常あり (5) 繰り返し摩耗性 繰り返し摩耗機を使用し、塗膜に傷がつくまでの回数を
測定し、評価した。
【0151】
【表27】
【0152】
【表28】
【0153】表28によれば、下塗り塗膜の上層に適量
のワックスを添加した本発明の塗料組成物による上塗り
塗膜を形成することにより、優れた耐傷付き性を有する
プレコート鋼板が得られることが判る。
【0154】
【発明の効果】以上述べたように本発明のプレコート鋼
板用塗料組成物は、加工性と塗膜硬度の両方を高度に満
足させ、しかも耐汚染性に極めて優れた塗膜を得ること
ができる。したがって、このような塗膜を形成したプレ
コート鋼板は家電製品や建材等の素材と極めて有用なも
のである。また、化成処理が施された亜鉛系めっき鋼板
の表面に下塗り塗膜および本発明の塗料組成物による上
塗り塗膜を形成したプレコート鋼板は、優れた加工性、
塗膜硬度、塗膜外観、密着性を有している。また、その
中でも、特定の物性を有する下塗り塗膜を形成したプレ
コート鋼板は特に優れた加工性を有し、また、適量のス
トロンチウムクロメートが添加された下塗り塗膜を形成
したプレコート鋼板は特に優れた耐食性を有し、さら
に、適量のワックスを添加した上塗り塗膜を形成したプ
レコート鋼板は特に優れた耐傷付き性を有し、且つワッ
クスの凝集による塗膜表面の曇りも生じにくいという性
能を有している。したがって、これらのプレコート鋼板
は、家電製品、建材、自動車等の用途において高度の塗
膜硬度と成形加工性が求められる部位に用いられるプレ
コート鋼板として極めて有用である。また、これらのプ
レコート鋼板は従来よりも簡易な方法で製造できるとい
う点でも、工業的に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】V字曲げ加工の金型および加工方法を示す説明
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年3月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物を樹脂
固形分中の割合で1〜15重量%と、 ロ)上記イ)を除くポリオールと、 ハ)下記(a)群のポリイソシアネートおよびその誘導体
の中から選ばれた1種以上のポリイソシアネート化合物
をブロック化して得られるブロック化ポリイソシアネー
ト化合物と、下記(b)群のポリイソシアネートおよびそ
の誘導体の中から選ばれた1種以上のポリイソシアネー
ト化合物をブロック化して得られるブロック化ポリイソ
シアネート化合物とを混合した硬化剤 (a) 4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、ナフレン−1,5
−ジイソシアネート (b) ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘ
キサメチレンジイソシアネート、水添4,4´−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシア
ネート、水添キシリレンジイソシアネートとからなる樹
脂成分を主成分とするプレコート鋼板用塗料組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴とする構成は以下の通りである。 [1] イ)一般式(1)
【化2】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物を樹脂
固形分中の割合で1〜15重量%と、 ロ)上記イ)を除くポリオールと、 ハ)下記(a)群のポリイソシアネートおよびその誘導体
の中から選ばれた1種以上のポリイソシアネート化合物
をブロック化して得られるブロック化ポリイソシアネー
ト化合物と、下記(b)群のポリイソシアネートおよびそ
の誘導体の中から選ばれた1種以上のポリイソシアネー
ト化合物をブロック化して得られるブロック化ポリイソ
シアネート化合物とを混合した硬化剤 (a) 4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、ナフレン−1,5
−ジイソシアネート (b) ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘ
キサメチレンジイソシアネート、水添4,4´−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシア
ネート、水添キシリレンジイソシアネートとからなる樹
脂成分を主成分とするプレコート鋼板用塗料組成物。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】(a) 4,4´−ジフェニルメタンジイソ
シアネート(以下、MDIという)、イソホロンジイソ
シアネート(以下、IPDIという)、トリレンジイソ
シアネート(以下、TDIという)、キシリレンジイソ
シアネート(以下、XDIという)、ナフレン−1,
5−ジイソシアネート(以下、NDIという) (b) ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDI
という)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート
(以下、TMDIという)、水添4,4´−ジフェニル
メタンジイソシアネート(以下、水添MDIという)、
水添トリレンジイソシアネート(以下、水添TDIとい
う)、水添キシリレンジイソシアネート(以下、水添X
DIという)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 梶田 保之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 加藤 博之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 佐々木 健一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 小谷 敬壱 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 豊田 康寛 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 江原 守 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社東京事業所内 (72)発明者 田中 勝祥 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社東京事業所内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イ)一般式(1) 【化1】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物を樹脂
    固形分中の割合で1〜15重量%と、 ロ)上記イ)を除くポリオールと、 ハ)下記(a)群のポリイソシアネートおよびその誘導体
    の中から選ばれた1種以上のポリイソシアネート化合物
    をブロック化して得られるブロック化ポリイソシアネー
    ト化合物と、下記(b)群のポリイソシアネートおよびそ
    の誘導体の中から選ばれた1種以上のポリイソシアネー
    ト化合物をブロック化して得られるブロック化ポリイソ
    シアネート化合物とを混合した硬化剤 (a) 4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、
    イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネー
    ト、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5
    −ジイソシアネート (b) ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘ
    キサメチレンジイソシアネート、水添4,4´−ジフェ
    ニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシア
    ネート、水添キシリレンジイソシアネートとからなる樹
    脂成分を主成分とするプレコート鋼板用塗料組成物。
  2. 【請求項2】 (a)群のポリイソシアネートおよびその
    誘導体の中から選ばれた1種以上のポリイソシアネート
    化合物をブロック化して得られるブロック化ポリイソシ
    アネート化合物(A)と、(b)群のポリイソシアネートお
    よびその誘導体の中から選ばれた1種以上のポリイソシ
    アネート化合物をブロック化して得られるブロック化ポ
    リイソシアネート化合物(B)の配合割合が、固形分の重
    量比で(A)/(B)=70/30〜30/70であること
    を特徴とする請求項1に記載のプレコート鋼板用塗料組
    成物。
  3. 【請求項3】 ハ)の硬化剤を、該硬化剤中のイソシア
    ネート基[NCO]とイ)のポリエステル化合物および
    ロ)のポリオール中の水酸基[OH]の合計とのモル比
    [NCO]/[OH]が0.8〜1.2となるよう配合
    することを特徴とする請求項1または2に記載のプレコ
    ート鋼板用塗料組成物。
  4. 【請求項4】 (a)群のポリイソシアネートおよびその
    誘導体の中から選ばれたポリイソシアネート化合物をブ
    ロック化して得られるブロック化ポリイソシアネート化
    合物が、イソシアヌレート体、アダクト体、プレポリマ
    ーのいずれかであり、(b)群のポリイソシアネートおよ
    びその誘導体の中から選ばれたポリイソシアネート化合
    物をブロック化して得られるブロック化ポリイソシアネ
    ート化合物が、ビューレット体、イソシアヌレート体、
    アダクト体、プレポリマーのいずれかであることを特徴
    とする請求項1、2または3に記載のプレコート鋼板用
    塗料組成物。
  5. 【請求項5】 イ)を除くポリオールが、1分子中に2
    個以上の水酸基を有し且つ数平均分子量が1500〜1
    2000のアクリル樹脂および/または1分子中に2個
    以上の水酸基を有し且つ数平均分子量が1000〜80
    00のポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項
    1、2、3または4に記載のプレコート鋼板用塗料組成
    物。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4または5に記載の
    塗料組成物を塗布して形成した塗膜を有することを特徴
    とするプレコート鋼板。
  7. 【請求項7】 化成処理が施された亜鉛系めっき鋼板の
    表面に下塗り塗膜および上塗り塗膜を有するプレコート
    鋼板であって、前記上塗り塗膜が請求項1、2、3、4
    または5に記載の塗料組成物を塗布して形成した塗膜で
    あることを特徴とする硬度と加工性に優れたプレコート
    鋼板。
  8. 【請求項8】 下塗り塗膜が、幅5mm、厚さ8±1μ
    mのフィルムとして測定される破断強度が50kg/c
    2以上で且つ破断伸びが50%以上であることを特徴
    とする請求項7に記載の硬度と加工性に優れたプレコー
    ト鋼板。
  9. 【請求項9】 下塗り塗膜が、ビスフェノールA付加ポ
    リエステル樹脂を主成分とする塗料組成物を塗布して形
    成された塗膜であることを特徴とする請求項8に記載の
    硬度と加工性に優れたプレコート鋼板。
  10. 【請求項10】 下塗り塗膜が、ストロンチウムクロメ
    ートを膜厚1μm当たり0.06〜0.26g/m2
    むことを特徴とする請求項7に記載の硬度と加工性に優
    れたプレコート鋼板。
  11. 【請求項11】 下塗り塗膜が、ポリエステル系樹脂を
    主成分とする塗料組成物を塗布して形成した塗膜である
    ことを特徴とする請求項10に記載の硬度と加工性に優
    れたプレコート鋼板。
  12. 【請求項12】 下塗り塗膜の乾燥膜厚が2〜12μm
    であることを特徴とする請求項7、8、9、10または
    11に記載の硬度と加工性に優れたプレコート鋼板。
  13. 【請求項13】 上塗り塗膜が固形分の割合で塗料組成
    物100重量部(但し、ワックスを除く塗料組成物の重
    量)に対してワックスを0.3〜30重量部含むことを
    特徴とする請求項7に記載の硬度と加工性に優れたプレ
    コート鋼板。
  14. 【請求項14】 上塗り塗膜中に含まれるワックスの融
    点が100℃以上であることを特徴とする請求項13に
    記載の硬度と加工性に優れたプレコート鋼板。
  15. 【請求項15】 上塗り塗膜中に含まれるワックスがポ
    リエチレンワックスとポリテトラフルオロエチレンの混
    合物であることを特徴とする請求項13または14に記
    載の硬度と加工性に優れたプレコート鋼板。
  16. 【請求項16】 化成処理が施された亜鉛系めっき鋼板
    の表面に下塗り塗膜用の塗料組成物を塗布した後、18
    0〜260℃の到達板温で焼付処理し、次いで、上塗り
    塗膜用として請求項1、2、3、4または5に記載の塗
    料組成物を塗布した後、180〜260℃の到達板温で
    焼付処理することを特徴とする硬度と加工性に優れたプ
    レコート鋼板の製造方法。
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