JPH1157609A - 硬度と加工性に優れたプレコート鋼板およびその製造方法 - Google Patents

硬度と加工性に優れたプレコート鋼板およびその製造方法

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JPH1157609A
JPH1157609A JP24775797A JP24775797A JPH1157609A JP H1157609 A JPH1157609 A JP H1157609A JP 24775797 A JP24775797 A JP 24775797A JP 24775797 A JP24775797 A JP 24775797A JP H1157609 A JPH1157609 A JP H1157609A
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film
steel sheet
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workability
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JP24775797A
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English (en)
Inventor
Takashi Ioyashiki
孝思 庵屋敷
Keiji Yoshida
啓二 吉田
Masaaki Yamashita
正明 山下
Koichi Nitta
浩一 新田
Hiroyuki Kato
博之 加藤
Yasuyuki Kajita
保之 梶田
Katsuyoshi Tanaka
勝祥 田中
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JFE Engineering Corp
Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形疵等が生じにくい高い塗膜硬度を示し、
且つ厳しい成形加工においても塗膜に割れ等が生じにく
い優れた加工性を有するプレコート鋼板を得る。 【解決手段】 化成処理が施された亜鉛系めっき鋼板の
表面に下塗り塗膜および上塗り塗膜を有するプレコート
鋼板であって、前記上塗り塗膜が、下記イ)〜ハ)を主
成分とする塗料組成物を塗布して形成した塗膜であり、 イ)一般式(1) 【化1】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物:1〜
15重量% ロ)上記イ)を除くポリオール:40〜90重量% ハ)硬化剤:9〜50重量% 前記下塗り塗膜が、幅5mm、厚さ8±1μmのフィル
ムとして測定される破断強度が50kg/cm2以上で
且つ破断伸びが50%以上であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、硬度および加工性
に優れたプレコート鋼板に関するものである。本発明の
プレコート鋼板は、例えば家電製品や建材用途等に好適
であり、また自動車用としても使用することができる。
【0002】
【従来の技術】プレコート鋼板用塗料には高硬度、高加
工性、耐汚染性、耐薬品性、耐水性、耐食性など、多く
の性能が要求される。なかでも重要な特性である硬度と
成形加工性は互いに相反する性質であるが、それぞれ要
求されるレベルは高い。ここでいう成形加工性とは、平
らな鋼板から種々の形状に加工していく際の折曲げ、切
断、絞り等の工程において塗膜の損傷が少ないことを指
し、塗膜自体の伸びや柔軟性の程度が大きい程、成形加
工性は良好であると言える。特に折曲げ加工性に関して
は、被塗装鋼板の板厚や加工方法によって加工性の度合
が異なる。
【0003】例えば、折曲げ加工性の評価によく用いら
れるT字曲げ試験では、鋼板の塗装面を外側にして予め
U字曲げを行い、その後鋼板の内側に同一板厚のn枚の
サンプル板を挟んで万力で密着曲げ加工し、この折曲げ
部をルーペで観察し、塗膜割れを起こさない最小の挾み
込み枚数を評価値として、加工性を1T、2Tのように
表示する。このT字曲げ加工における最外周の伸びは、
以下のような式で表わされる。 ε=(t/2)/(r+t/2) 但し ε:最外周の伸び歪(%) t:板厚(mm) r:曲げ部内側のR(mm)
【0004】したがって、T字曲げ試験の評価値が同じ
であれば、板厚が薄いほど最外周の伸び歪(%)は大き
く、加工性に優れているということになる。塗装鋼板の
加工性の評価方法としては上述したT字曲げ試験が一般
的であるが、家電メーカー等で工業的に行われるプレス
加工やロールフォーミング加工は、T字曲げ試験と比べ
ると加工履歴、加工速度等が異なり、加工条件としては
より厳しい。ここでいう加工履歴とは最終加工レベルま
での加工工程を指し、最終加工レベルが同じであっても
加工初期段階で曲げ部内側のRが大きければ、加工によ
って生じた歪がR部全体に分散し、塗膜に対する負荷は
小さい。他方、加工初期段階で曲げ部内側のRが小さけ
れば、加工によって生じた歪が小さいR部に集中し、塗
膜に対する負荷は大きくなる。したがって、U字曲げ加
工の後に密着曲げ加工を行うT字曲げ試験に比べ、V字
曲げ加工の後に密着曲げ加工を行ったものは、最終加工
レベルが同じであっても塗膜への負荷は大きく、厳しい
加工の簡易的評価として有用である。
【0005】一方、硬度は塗膜の耐久性を向上させると
いう点で高いほど望ましいが、高い硬度は加工性を低下
させる方向に作用する。従来、プレコート鋼板用塗料と
しては、外面下塗り塗料および裏面塗料にはポリエステ
ル樹脂やエポキシ樹脂が主として使用され、また外面上
塗り塗料にはポリエステル系、アクリル系、ビニル系の
塗料等が使用されている。外面上塗り塗料として最も一
般的であるのが、ポリエステル樹脂(主剤)とメラミン
化合物(硬化剤)との組み合わせからなるポリエステル
樹脂塗料であり、この塗料ではポリエステル樹脂により
加工性を、またメラミン化合物により硬度を得ている。
しかし、この外面上塗り塗料は要求性能の厳しいプレコ
ート鋼板、特に家電用途などのプレコート鋼板において
は、その性能が必ずしも十分なものとは言えず、性能改
善が望まれてきた。
【0006】このような要望に対して、例えば特開平6
−234752号では、ポリエステル樹脂と変性により
配向性を付与したメラミン樹脂(硬化剤)とを反応させ
ることにより、可撓性および塗膜硬度の両者を高位で満
足させる塗膜を得る試みがなされている。また、特開平
7−233349号でも加工性と塗膜硬度を高度に満足
させる塗膜を得ることを目的として、ポリオールを主剤
とし、イソシアネート化合物および/またはアミノ樹脂
を硬化剤とする塗料組成物に、主としてナフタレン−
2,6−ジカルボン酸および/またはその低級アルキル
エステルをアルコール成分と反応させて得られるポリエ
ステル化合物を加えたプレコート鋼板用塗料組成物が提
案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来
技術のうち特開平6−234752号の技術は、変性メ
ラミン樹脂の合成過程が長いため、現状では実用的な樹
脂を工業規模で製造することは難しい。また、特開平7
−233349号の技術は、下塗り塗膜をも含めた塗膜
性能の改善についての配慮がなされておらず、このた
め、ロールフォーミング加工のような厳しい成形加工に
も十分に耐え得る塗膜を得ることはできない。
【0008】したがって本発明の目的は、上記のような
従来技術の問題点を解決し、成形加工や搬送時における
成形疵、ハンドリング疵が生じにくい高い塗膜硬度を示
し、しかも厳しい成形加工においても塗膜に割れ等が生
じにくい優れた加工性を有するプレコート鋼板を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決し、優れた性能のプレコート鋼板を得るために検
討を重ねた結果、化成処理を施した亜鉛系めっき鋼板の
表面に、上塗り塗膜としてポリオールを主剤とし、これ
に硬化剤と、主としてナフタレン−2,6−ジカルボン
酸および/またはその低級アルキルエステルをアルコー
ル成分と反応させて得られるポリエステル化合物を加え
た塗料配合系による塗膜を、また、下塗り塗膜として特
定の物性値を有する塗膜を形成することにより、硬度お
よび成形加工性ともに優れたプレコート鋼板が得られる
ことを見い出した。
【0010】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴とする構成は以下の通りである。 [1] 化成処理が施された亜鉛系めっき鋼板の表面に下塗
り塗膜および上塗り塗膜を有するプレコート鋼板であっ
て、前記上塗り塗膜が下記イ)〜ハ)を主成分とする塗
料組成物を塗布して形成した塗膜であり、 イ)一般式(1)
【化3】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物:樹脂
固形分中の割合で1〜15重量% ロ)上記イ)を除くポリオール:樹脂固形分中の割合で
40〜90重量% ハ)硬化剤:樹脂固形分中の割合で9〜50重量% 前記下塗り塗膜が、幅5mm、厚さ8±1μmのフィル
ムとして測定される破断強度が50kg/cm2以上で
且つ破断伸びが50%以上であることを特徴とする硬度
と加工性に優れたプレコート鋼板。
【0011】[2] 上記[1]のプレコート鋼板において、
上塗り塗膜を形成する塗料組成物中の硬化剤がブロック
化ポリイソシアネートであることを特徴とする硬度と加
工性に優れたプレコート鋼板。 [3] 上記[1]または[2]のプレコート鋼板において、下塗
り塗膜が、ビスフェノールA付加ポリエステル樹脂を主
成分とする塗料組成物を塗布して形成された塗膜である
ことを特徴とする硬度と加工性に優れたプレコート鋼
板。 [4] 上記[1]〜[3]のいずれかのプレコート鋼板におい
て、下塗り塗膜の膜厚が2〜12μm、上塗り塗膜の膜
厚が10〜20μmであることを特徴とする硬度と加工
性に優れたプレコート鋼板。
【0012】[5] 化成処理が施された亜鉛系めっき鋼板
の表面に下塗り塗膜用の塗料組成物を塗布した後、18
0〜260℃の到達板温で焼付処理し、次いで、下記
イ)〜ハ)を主成分とする上塗り塗膜用の塗料組成物を
塗布した後、 イ)一般式(1)
【化4】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物:樹脂
固形分中の割合で1〜15重量% ロ)上記イ)を除くポリオール:樹脂固形分中の割合で
40〜90重量% ハ)硬化剤:樹脂固形分中の割合で9〜50重量% 180〜260℃の到達板温で焼付処理し、下塗り塗膜
の幅5mm、厚さ8±1μmのフィルムとして測定され
る破断強度が50kg/cm2以上で且つ破断伸びが5
0%以上であるプレコート鋼板を得ることを特徴とする
硬度と加工性に優れたプレコート鋼板の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のプレコート鋼板は、化成
処理が施された亜鉛めっき鋼板の表面に下塗り塗膜およ
び上塗り塗膜を形成した塗装鋼板である。下地鋼板とな
る亜鉛系めっき鋼板としては、溶融亜鉛めっき鋼板、合
金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融Z
n−55%Al合金めっき鋼板、溶融Zn−5%Al合
金めっき鋼板、Zn−Ni合金めっき鋼板、Zn−Co
金めっき鋼板、Zn−Cr合金めっき鋼板、複合亜鉛系
めっき鋼板(例えば、電気Zn−SiO2分散めっき鋼
板)等の各種亜鉛系めっき鋼板を用いることができる。
【0014】このような亜鉛系めっき鋼板の表面にはリ
ン酸塩処理、クロメート処理等の化成処理が施され、そ
の上に下塗り塗膜および上塗り塗膜が順次形成される。
このように化成処理を行っためっき鋼板面に塗膜を形成
することにより、塗膜の鋼板面への密着性が向上すると
ともに、耐食性も向上する。
【0015】本発明のプレコート鋼板の上塗り塗膜は、
イ)特定のポリエステル化合物と、ロ)上記イ)を除く
ポリオールと、ハ)硬化剤とを主成分とする塗料組成物
を塗布し、焼付処理して形成させたものである。まず、
上記イ)のポリエステル化合物は下記一般式(1)を主た
る繰り返し単位とするポリエステル化合物である。
【化5】
【0016】上記イ)のポリエステル化合物は、酸成分
であるナフタレン−2,6−ジカルボン酸、テレフタル
酸またはそれらの低級アルキルエステルをアルコール成
分と反応させることにより得ることができる。上記イ)
のポリエステル化合物を得るための酸成分としては、ナ
フタレン−2,6−ジカルボン酸、テレフタル酸または
それらの低級アルキルエステルが主として用いられる
が、それらの一部をイソフタル酸、ナフタレン−2,7
−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸等のジカルボ
ン酸、またはこれらジカルボン酸の低級アルキルエステ
ル等で置き換えることもできる。この低級アルキルエス
テルとしては、炭素数が1〜2個のメチルエステル、エ
チルエステル等が挙げられる。但しこの場合でも、主体
となるナフタレン−2,6−ジカルボン酸は酸成分全体
のうち85モル%以上とし、置き換えられる他の化合物
の割合は15モル%未満に抑えることが望ましい。
【0017】また、上記イ)のポリエステル化合物を得
るためのアルコール成分としては、主としてジオールを
用いる。このジオールとしては脂肪族ジオール、脂環族
ジオール等を用いることができ、例えば、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ
る。また、ポリオキシアルキレングリコール、特に、数
平均分子量が1000以下のポリエチレングリコール
(以下、PEGと略す)、或いは数平均分子量が100
0以下のポリテトラエチレングリコール(以下、PTG
と略す)を使用することもできる。また、これらを混合
して使用してもよい。
【0018】また、アルコール成分としては、上述した
ジオールの他に3価以上の多価アルコールを用いてもよ
い。多価アルコールとしては、トリエチレングリコー
ル、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロー
ルプロパン、トリメチロールエタン等が挙げられる。以
上のような酸成分とアルコール成分とが反応し、上記
イ)のポリエステル化合物が生成される。また特に、平
均分子量が1000以下のPEGまたは平均分子量が1
000以下のPTGを用いた場合には、エーテル結合を
有するポリエステル化合物が生成される。
【0019】本発明で用いる上記イ)のポリエステル化
合物は、エステル交換法や直接エステル化法等の通常の
ポリエステル製造法によって得ることができる。通常、
酸成分とアルコール成分はモル比1:2で反応するの
で、効率良く反応を行うためには、酸成分とアルコール
成分をできるだけモル比1:2に近い割合で配合するの
が望ましい。また、ポリエステル化合物は、単独または
2種類以上の組み合わせのいずれでも使用することがで
きる。上述したような酸成分とアルコール成分の組み合
わせで生成したポリエステル化合物は、偏光顕微鏡で観
察した場合に異方性を示す。このようなポリエステル化
合物を含む塗膜は、焼付後においても液晶化合物の特徴
である配向等の作用により塗膜の強靭化が図られ、これ
が塗膜硬度と加工性の改善に寄与するものと考えられ
る。
【0020】上記PEGまたはPTGをアルコール成分
として用いた場合、これが酸成分と反応し、エーテル結
合を有するポリエステル化合物が生成する。このエーテ
ル結合を有するポリエステル化合物は還元粘度が0.2
0dl/g以下であることが望ましい。還元粘度が0.
20dl/gを超えると溶剤への溶解性やポリオール、
硬化剤等との相溶性が著しく低下し、塗膜性能も不十分
なものとなる。なお、還元粘度は、試料をフェノール/
テトラクロロエタン(重量比:60/40)の溶液に溶
解し、ウベローデ型粘度計を用いて25℃で測定した値
である。このエーテル結合を有するポリエステル化合物
を用いた場合は、フレキシブルなエーテル鎖と剛直なナ
フタレン骨格との組み合わせにより架橋構造に強靭性が
付与され、これが塗膜硬度と加工性の改善に寄与してい
るものと考えられる。
【0021】上記イ)のポリエステル化合物の配合量
は、樹脂固形分中の割合で1〜15重量%、好ましくは
2〜12重量%、さらに好ましくは3〜10重量%とす
る。上記ポリエステル化合物の配合量が1重量%未満で
は、塗膜性能の向上効果が顕著でなく、一方、配合量が
15重量%を超えると塗膜の可撓性が低下する。
【0022】次に、上記ロ)のポリオールとしては、ア
クリル樹脂またはポリエステル樹脂を用いることができ
る。上記ロ)のポリオールであるアクリル樹脂は、1分
子中に少なくとも2個の水酸基を有し、且つ数平均分子
量が1500〜12000の化合物であれば特に限定さ
れるものではないが、その数平均分子量の好ましい範囲
は1700〜10000である。アクリル樹脂の分子中
にある水酸基はアクリル樹脂主鎖に無秩序に配列されて
おり、数平均分子量が1500未満では加工性が著しく
低下する。一方、数平均分子量が12000を超えると
高粘度になるため過剰の稀釈溶剤が必要となり、塗料中
に占める樹脂の割合が減少するため適切な塗膜を得るこ
とができなくなる。さらに、他の配合成分との相溶性も
著しく低下する。なお、アクリル樹脂の数平均分子量
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、
GPCという)により測定したポリエステル換算分子量
である。
【0023】アクリル樹脂は、水酸基を持つアクリル単
量体またはメタクリル単量体とアクリル酸エステルまた
はメタアクリル酸エステル等を周知の方法で加熱反応さ
せて得られる共重合体である。水酸基を持つアクリル単
量体、メタクリル単量体としては、例えば、メタクリル
酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキ
シエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル
酸ヒドロキシプロピル等を用いることができる。また、
アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルとして
は、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アク
リル酸−2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、
メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸イソプロピル、
メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸−2−エ
チルヘキシル等を用いることができる。市販されている
アクリル樹脂としては、“アルマテックス”(三井東圧
化学(株)製)、“デスモフェン”(住友バイエルウレ
タン(株)製)、“ダイヤナール”(三菱レイヨン
(株)製)等がある。
【0024】上記ロ)のポリオールであるポリエステル
樹脂は、1分子中に少なくとも2個の水酸基を有し、且
つ数平均分子量が1000〜8000の化合物であれば
特に限定されるものではないが、その好ましい数平均分
子量の範囲は1200〜7000、より好ましくは15
00〜6000である。ポリエステル樹脂の分子中にあ
る水酸基は、分子中の末端または側鎖のいずれにあって
もよい。ポリエステル樹脂の数平均分子量が1000未
満では加工性が著しく低下する。一方、数平均分子量が
8000を超えると高粘度になるため過剰の稀釈溶剤が
必要となり、塗料中に占める樹脂の割合が減少するため
適切な塗膜を得ることができなくなる。さらに、他の配
合成分との相溶性も著しく低下する。なお、ポリエステ
ル樹脂の数平均分子量は、GPCにより測定したポリス
チレン換算分子量である。
【0025】ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価
アルコールを周知の方法で加熱反応させて得られる共重
合体である。多塩基酸成分としては、例えば、無水フタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット
酸、マレイン酸、アジピン酸、フマル酸等を用いること
ができる。また、多価アルコールとしては、例えば、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレング
リコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグ
リコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ペン
タエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチ
ロールエタン等を用いることができる。市販されている
ポリエステル樹脂としては、“アルマテックス”(三井
東圧化学(株)製)、“アルキノール”(住友バイエル
ウレタン(株)製)、“デスモフェン”(住友バイエル
ウレタン(株)製)、バイロン(東洋紡績(株)製)等
がある。上記ロ)のポリオールの配合量は、樹脂固形分
の割合で40〜90重量%とする。このポリオールの配
合量が40重量%未満では塗膜の加工性が十分に確保で
きず、一方、90重量%を超えると塗膜硬度が不十分と
なる。
【0026】上記ハ)の硬化剤としては、ブロック化ポ
リイソシアネート化合物および/またはアミノ樹脂を用
いることができる。ポリイソシアネート化合物として
は、一般的製法で得られるポリイソシアネート化合物を
用いることができるが、その中でも特に、1液型塗料と
しての使用が可能である、フェノール、クレゾール、芳
香族第二アミン、第三級アルコール、ラクタム、オキシ
ムなどのブロック剤でブロック化されたポリイソシアネ
ート化合物が好ましい。このブロック化ポリイソシアネ
ート化合物を用いることにより1液での保存が可能とな
り、プレコート鋼板用塗料としての使用が容易となる。
また、さらに好ましいポリイソシアネート化合物として
は、非黄変性のヘキサメチレンジイソシアネート(以
下、HDIと略す)およびその誘導体、トリレンジイソ
シアネート(以下、TDIと略す)およびその誘導体、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、
MDIと略す)およびその誘導体、キシリレンジイソシ
アネート(以下、XDIと略す)およびその誘導体、イ
ソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略す)お
よびその誘導体、トリメチルヘキサメチレンジイソシア
ネート(以下、TMDIと略す)およびその誘導体、水
添TDIおよびその誘導体、水添MDIおよびその誘導
体、水添XDIおよびその誘導体等を挙げることができ
る。
【0027】さらに、“スミジュール”(住友バイエル
ウレタン(株)製)、“デスモジュール”(住友バイエ
ルウレタン(株)製)、“コロネート”(日本ポリウレ
タン(株)製)等の市販のイソシアネート化合物も使用
できる。硬化剤としてイソシアネート化合物を用いる場
合、イソシアネート化合物のイソシアネート基と上記
イ)のポリエステル化合物及び上記ロ)のポリオールの
水酸基との配合比[NCO/OH]はモル比で0.8〜
1.2、より好ましくは0.90〜1.10の範囲とす
ることが望ましい。[NCO/OH]のモル比が0.8
未満では塗膜の硬化が不十分であり、所望の塗膜硬度及
び強度が得られない。一方、[NCO/OH]のモル比
が1.2を超えると、過剰のイソシアネート基同士のあ
るいはイソシアネート基とウレタン配合との副反応が生
じて、塗膜の加工性が低下する。
【0028】硬化剤であるアミノ樹脂としては、尿素、
ベンゾグアナミン、メラミン等とホルムアルデヒドとの
反応で得られる樹脂、およびこれらをメタノール、ブタ
ノール等のアルコールによりアルキルエーテル化したも
のが使用できる。具体的には、メチル化尿素樹脂、n−
ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、メチル化メラミン樹
脂、n−ブチル化メラミン樹脂、iso−ブチル化メラ
ミン樹脂などを挙げることができる。
【0029】さらに、“サイメル”(三井サイアナミッ
ド(株)製)、“ユーバン”(三井東圧化学(株)製、
“スミマール”(住友化学工業(株)製)、“メラン”
(日立化成工業(株)製)などの市販のアミノ樹脂も使
用できる。アミノ樹脂と上記イ)のポリエステル化合物
および上記ロ)のポリオールとの配合比(固形分の重量
比)は[ポリエステル化合物]+[ポリオール]/[ア
ミノ樹脂]:95〜65/5〜35、望ましくは90〜
75/10〜25の割合とするのが好ましい。上記ハ)
の硬化剤の配合量は、樹脂固形分の割合で9〜50重量
%とする。この硬化剤の配合量が9重量%未満では塗膜
硬度が不十分であり、一方、50重量%を超えると加工
性が不十分となる。
【0030】また、上塗り塗膜用の塗料組成物には目的
や用途に応じてp−トルエンスルホン酸、オクトエ酸
錫、ジブチル錫ジラウレート、2−エチルヘキソエート
鉛等の硬化触媒;炭酸カルシウム、カオリン、クレー、
酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、マイカ、弁柄、マ
ンガンブルー、カーボンブラック、アルミニウム粉、パ
ールマイカ等の顔料;その他、消泡剤、流れ止め剤等の
各種添加剤を適宜配合することができる。上塗り塗膜の
膜厚は10〜20μmとすることが好ましい。膜厚が1
0μm未満では上塗り塗膜としての総合的な塗膜性能が
十分に得られない恐れがあり、一方、膜厚が20μmを
超えると塗膜硬度が低下する。
【0031】次に、本発明のプレコート鋼板の下塗り塗
膜について説明する。比較的穏和な曲げ加工等の成形加
工においては、塗膜自身の伸びや柔軟性の程度が大きい
ほど加工性は良好となるが、絞り加工のような厳しい成
形加工においては、塗膜の伸びや柔軟性だけでなく、変
形加工時の応力に耐え得る強度も優れた加工性を得る上
で重要な要素となる。したがって本発明においても、下
塗り塗膜と上塗り塗膜との組合せで高加工性および高硬
度の性能を得るためには下塗り塗膜の伸びと強度が重要
であり、下塗り塗膜は幅5mm、厚さ8±1μmのフィ
ルムとして測定される破断強度が50kg/cm2
上、破断伸びが50%以上の物性値を有することが必要
である。この物性値のいずれか一方でも上記の下限値を
下回ると、上塗り塗膜との組合せによる本発明の効果は
得られない。
【0032】下塗り塗膜を形成するための塗料組成物に
は、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、
またはビスフェノールA付加ポリエステル樹脂等のよう
なエポキシ変性ポリエステル樹脂等を主剤とする塗料組
成物を用いることができる。ポリエステル樹脂のエポキ
シ変性に用いる樹脂としては、例えば、ビスフェノール
AまたはビスフェノールF型エポキシ樹脂が挙げられ、
またこれ以外に、塩基触媒(例えば、水酸化カリウム)
の存在下に、エピハロヒドリン(例えば、エピクロロヒ
ドリン)をアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド)と
1価のフェノールまたは多価ポリフェノールとの縮合物
と反応させることにより得られるフェノール誘導体エポ
キシ樹脂(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂)等も用
いることができる。
【0033】通常、下塗り塗膜の物性値は塗料組成物の
主剤として使用する樹脂のTgにより変化するが、一般
に樹脂の分子構造からしてエポキシ系下塗り塗料による
塗膜は破断強度は大きいが破断伸びは小さく、一方、ポ
リエステル系下塗り塗料やウレタン系下塗り塗料による
塗膜は破断伸びは大きいが破断強度は小さい。これに対
して、ビスフェノールA付加ポリエステル樹脂を主剤と
する塗料組成物により形成される下塗り塗膜は上記両方
の樹脂の分子構造を兼ね備えているため、破断強度と破
断伸びがバランスよく得られ、本発明が目的とする高加
工性の観点からして特に好ましい。
【0034】下塗り塗膜をポリエステル系樹脂(ビスフ
ェノールA付加ポリエステル樹脂等の変性ポリエステル
樹脂を含む。以下同様)を主剤とする塗料組成物で形成
する場合、下塗り塗膜が上記物性値を有するようにする
ためには、ポリエステル樹脂として数平均分子量が10
00〜50000、より好ましくは3000〜4000
0、特に好ましくは5000〜30000の範囲のもの
を用いることが望ましい。ポリエステル樹脂の数平均分
子量が1000未満では塗膜の伸びが不十分であるため
上記の物性値が得られず、塗膜性能の向上効果が十分で
ない。一方、数平均分子量が50000を超えると塗料
組成物が高粘度になるため過剰の希釈溶剤が必要とな
り、塗料中に占める樹脂の割合が減少するため適正な塗
膜を得ることができなくなる。さらには、配合成分との
相溶性も著しく低下する。
【0035】また、塗料組成物の主剤としてビスフェノ
ールA付加ポリエステル樹脂を使用する場合、ビスフェ
ノールA付加ポリエステル樹脂中のビスフェノールAの
含有量は樹脂固形分の割合で1〜70重量%、より好ま
しくは3〜60重量%、特に好ましくは5〜50重量%
とするのが望ましい。ビスフェノールA付加ポリエステ
ル樹脂中のビスフェノールAの含有量が1重量%未満で
は塗膜強度の向上効果が十分に得られず、塗膜性能の向
上効果が顕著ではない。一方、ビスフェノールAの含有
量が70重量%を超えると塗膜の伸びが十分に得られな
い。
【0036】上記ポリエステル樹脂を得るための多価ア
ルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、ポリテトラメチレンエーテルグリ
コール、ポリカプロラクトンポリオール、グリセリン、
ソルビトール、アンニトール、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキ
サントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリ
スリトール等が挙げられ、また、これらの多価アルコー
ルを2種以上組合せて用いることもできる。
【0037】また、ポリエステル樹脂を得るための多塩
基酸成分としては、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒ
ドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒド
ロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ハイミッ
ク酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリ
ット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコ
ン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク
酸、無水コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸等が挙げられ、また、これらの多塩基酸成分を2種以
上組合せて用いることもできる。
【0038】下塗り塗膜用の塗料組成物に用いられる硬
化剤としては、ポリイソシアネート化合物またはアミノ
樹脂が使用できる。また、これらの2種以上混合して用
いてもよい。硬化剤として用いられるポリイソシアネー
ト化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニル
メタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;
ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメ
チレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;
イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネー
ト;またはこれらジイソシアネートの多量体若しくは多
価アルコールとの付加物等が挙げられ、これらをブロッ
ク剤(例えば、フェノール系、ラクタム系、アルコール
系、メルカプタン系、イミン系、アミン系、イミダゾー
ル系またはオキシム系ブロック剤)等を用いてブロック
化した化合物として使用できる。また、これらブロック
化ポリイソシアネート化合物の解離触媒としては、オク
トエ酸錫、ジブチル錫ジラウレート、2−エチルヘキソ
エート鉛等を用いることができる。
【0039】硬化剤として用いられるアミノ樹脂として
は、例えば、低級アルコールでアルキルエーテル化され
たホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒド等と尿
素、ジシアンジアミド、アミノトリアジン等との縮合物
があり、具体的には、メトキシ化メチロール尿素、メト
キシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロ
ールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミ
ン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロ
ールベンゾグアナミン等が挙げられる。また、硬化触媒
としては、塩酸、リン酸モノアルキルエステル、P−ト
ルエンスルホン酸等の酸またはこれら酸と3級アミン若
しくは2級アミン化合物との塩が使用できる。
【0040】なお、下塗り塗膜用の塗料組成物について
も、目的や用途に応じて防錆顔料等をはじめとする各種
添加剤を適宜配合することができる。下塗り塗膜の膜厚
は2〜12μmとすることが好ましい。膜厚が2μm未
満では特定の物性値の下塗り塗膜を設けることによる加
工性向上効果が十分に得られず、一方、膜厚が12μm
を超えると加工性、塗膜硬度ともに低下する。
【0041】上塗り塗膜および下塗り塗膜を形成するた
めの塗料組成物を実際に使用するに当っては、これらを
有機溶剤に溶解して使用する。使用する有機溶剤として
は、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、シクロヘキサノン、ソルベッソ100(エクソン
化学社製)、ソルベッソ150(エクソン化学社製)、
ソルベッソ200(エクソン化学社製)、トルエン、キ
シレン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソ
ルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビ
トール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、酢
酸エチル、酢酸ブチル、石油エーテル、石油ナフサ等が
挙げられる。塗料組成物を調整するに当っては、サンド
グラインドミル、ボールミル、ブレンダー等の通常の分
散機や混練機を選択して使用し、各成分を配合すること
ができる。
【0042】本発明のプレコート鋼板を製造する際の塗
料組成物(下塗り塗膜用および上塗り塗膜用の各塗料組
成物)の塗装方法に特に制約はないが、好ましくはロー
ルコーター塗装、カーテンフロー塗装などの方法で塗布
するのがよい。下塗り塗膜、上塗り塗膜ともに、塗料組
成物を塗装後、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱などの
加熱手段により塗膜を焼き付け、樹脂を架橋させて硬化
塗膜を得る。下塗り塗膜を加熱硬化させる際の焼付処理
は、通常、180〜260℃程度の到達板温で約30秒
〜1分行う。また、上塗り塗膜を加熱硬化させる際の焼
付処理は、通常、180〜260℃程度の到達板温で約
30秒〜3分行う。なお、本発明のプレコート鋼板は、
上塗り塗膜の上にさらに塗膜(例えば、クリアー塗膜)
を形成し、3コート・3ベークで使用してもよい。
【0043】
【実施例】下地鋼板である板厚0.5mmの溶融亜鉛め
っき鋼板(片面当りのめっき付着量:30g/m2)を
脱脂後、塗布型クロメート系処理剤(日本ペイント
(株)製“サーフコート NRC300”)でクロメー
ト処理し、その上に表3および表4に示す下塗り塗膜用
の塗料組成物により下塗り塗膜を形成し、さらにその上
に表5および表6に示す上塗り塗膜用の塗料組成物によ
り上塗り塗膜を形成し、本発明例および比較例のプレコ
ート鋼板を得た。これらプレコート鋼板の性能を、その
製造条件とともに表7〜表13に示す。表3および表4
に示す下塗り塗膜用の塗料組成物A-1〜A-6,B-1〜B-6と
表5および表6に示す上塗り塗膜用の塗料組成物C-1,C
-2,D-1は以下のようにして調整した。
【0044】(1) 下塗り塗膜用の塗料組成物 (1-1) ポリエステル樹脂a-1〜a-6の調製 加熱装置、撹拌機、精留塔、減圧装置および温度計を備
えた反応容器に、表1に示すような配合でテレフタル酸
ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸、エチレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキ
サンジオールおよび酢酸マンガンを仕込み、窒素雰囲気
中において、160〜220℃の温度で約4時間かけて
段階的に昇温させてエステル交換反応を行い、メタノー
ルを留出させた。さらに、0.5〜5.0mmHgの減
圧下、260℃で約2時間重縮合反応させ、表1に示す
ポリエステル樹脂a-1〜a-6を得た。得られたポリエステ
ル樹脂は、シクロヘキサノン/ソルベッソ150の混合
溶剤(重量比50/50)に溶解し、不揮発分40%に
調製した。また、ポリエステル樹脂の分子量は重縮合反
応時間により調節した。分子量は、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィーを用い、ポリスチレン換算の数平
均分子量を測定した。
【0045】(1-2) ビスフェノールA付加ポリエステル
樹脂b-1〜b-6の調製 加熱装置、撹拌機、精留塔、減圧装置および温度計を備
えた反応容器に、表2に示すような配合でテレフタル酸
ジメチル、イソフタル酸ジメチル、エチレングリコー
ル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加
物および酢酸マンガンを仕込み、窒素雰囲気中におい
て、160〜220℃の温度で約4時間かけて段階的に
昇温させてエステル交換反応を行い、メタノールを留出
させた。さらに、0.5〜5.0mmHgの減圧下、2
60℃で約2時間重縮合反応させ、表2に示すビスフェ
ノールA付加ポリエステル樹脂b-1〜b-6を得た。得られ
たビスフェノールA付加ポリエステル樹脂は、シクロヘ
キサノン/ソルベッソ150の混合溶剤(重量比50/
50)に溶解し、不揮発分40%に調製した。また、ビ
スフェノールA付加ポリエステル樹脂の分子量は重縮合
反応時間により調節した。分子量は、ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィーを用い、ポリスチレン換算の数
平均分子量を測定した。
【0046】(1-3) 下塗り塗膜用の塗料組成物A-1〜A-
6,B-1〜B-6の製造 上記(1-1)、(1-2)で得られたポリエステル樹脂a-1〜a-
6、ビスフェノールA付加ポリエステル樹脂b-1〜b-6を
用いて、表3および表4に示すような配合割合で塗料組
成物A-1〜A-6,B-1〜B-6を製造した。これら塗料組成物
には顔料としてストロンチウムクロメートを添加し、顔
料粒度が5μm以下になるまでサンドミルで分散させ
た。表3および表4に、乾燥膜厚1μm当りのストロン
チウムクロメート量を示した。各下塗り塗膜の破断伸び
および破断強度は、各塗料組成物から幅5mm、厚さ8
±1μmのフリーフィルム(フィルム片)を作成し、こ
のフリーフィルムについてオリエンテック社製テンシロ
ン引張り試験機により引張り速度10mm/minで測
定した。
【0047】(2) 上塗り塗膜用の塗料組成物 (2-1) ポリエステル化合物c-1の調整 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルエー
テル(以下、“2,6−NDCM”という)を0.5m
ol、ジエチレングリコールを1.05mol入れ、2
00℃で加熱溶融した。その後、触媒としてチタニウム
テトラ−n−ブトキシドを2,6−NDCMに対して
0.10mol%添加し、反応温度を段階的に240℃
まで上げていき、理論量のメタノール32g(1.0m
ol)が留出したところで反応を終了した。これにより
ポリエステル化合物c-1を得た。このポリエステル化合
物の還元粘度は0.05dl/gであった。
【0048】このポリエステル化合物c-1の化学構造式
を以下に示す。
【化6】
【0049】(2-2) ポリエステル化合物c-2の調整 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、2,6−NDCMを0.5mol、1,4−ブタ
ンジオールを1.02mol入れ、200℃で加熱溶融
した。その後、触媒としてチタニウムテトラ−n−ブト
キシドを2,6−NDCMに対して0.06mol%添
加し、反応温度を段階的に240℃まで上げていき、理
論量のメタノール32g(1.0mol)が留出したと
ころで反応を終了した。これによりポリエステル化合物
c-2を得た。このポリエステル化合物の還元粘度は0.
04dl/gであった。
【0050】このポリエステル化合物c-2の化学構造式
を以下に示す。
【化7】
【0051】(2-3) 上塗り塗膜用の塗料組成物の製造 上記(2-1)、(2-2)で得られたポリエステル化合物c-1,c
-2に表5に示すような配合割合でポリエステル樹脂、硬
化剤、顔料、硬化触媒および添加剤を配合した後、直径
約1mmのガラスビーズを入れたサンドミルを用い約3
0分間分散させた。さらに、シクロヘキサノンを加えて
不揮発分が60%になるように調製し、塗料組成物C-
1,C-2を製造した。また、比較例のための上塗り塗膜用
塗料組成物として、表6に示すような配合割合でポリエ
ステル樹脂、硬化剤、顔料、硬化触媒および添加剤を配
合した後、直径約1mmのガラスビーズを入れたサンド
ミルを用い約30分間分散させた。さらに、シクロヘキ
サノンを加えて不揮発分が60%になるように調製し、
塗料組成物D-1を製造した。
【0052】以下に、プレコート鋼板の性能試験の試験
方法と評価方法について示す。 (1) 外観 焼付後の塗膜表面性状の良否を目視により判定した。 (2) 鉛筆硬度 三菱鉛筆“ユニ”を使用してJIS K5400の8.
4.2に基づいて試験を行い、塗膜に傷が付かない硬度
限界を示した。
【0053】(3) 加工性1(折曲げ加工性) 20℃の室温においてJIS G 3312 12.2.
2(曲げ試験)に規定された折曲げバイスで予め鋼板を
折曲げた後、180°密着曲げを行って加工部の塗膜表
面を30倍ルーペで観察し、塗膜の微小ピンホールや割
れ(クラック)の有無を調べ、下記基準により評価し
た。 ◎:塗膜表面に微小ピンホールやクラックは観察されな
かった。 ○:塗膜表面に微小ピンホールが1〜5個/cm観察さ
れた。 △:塗膜表面に微小ピンホールが6〜20個/cm観察
された。 ×:塗膜表面に微小ピンホールが20個/cmよりも多
く観察され、クラックも観察された。
【0054】(4) 加工性2(折曲げ加工性) 20℃の室温において図1に示したV字曲げ加工用金型
を用いで10mm/minの速度で予め鋼板のV字曲げ
を行った後、180°密着曲げ(0T曲げ)試験と1T
曲げ試験を行って加工部の塗膜表面を30倍ルーペで観
察し、塗膜の微小ピンホールや割れ(クラック)の有無
を調べ、下記基準により評価した。 ◎:塗膜表面に微小ピンホールやクラックは観察されな
かった。 ○:塗膜表面に微小ピンホールが1〜5個/cm観察さ
れた。 △:塗膜表面に微小ピンホールが6〜20個/cm観察
された。 ×:塗膜表面に微小ピンホールが20個/cmよりも多
く観察され、クラックも観察された。
【0055】(5) 密着性(碁盤目剥離)試験(JIS
K 5400 8.5(付着性)に準拠) 硬化塗膜面にカッターナイフを用いて1mm間隔で10
mm×10mmの範囲に碁盤目100個を刻み、この碁
盤目に接着テープを圧着したのち勢いよく剥離して、碁
盤目の塗膜剥離状態を観察し、下記基準により評価し
た。 ◎:塗膜の剥離なし ○:碁盤目の剥離残存数90以上、100未満 △:碁盤目の剥離残存数80以上、90未満 ×:碁盤目の剥離残存数80未満
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】
【0065】
【表10】
【0066】
【表11】
【0067】
【表12】
【0068】
【表13】
【0069】
【発明の効果】以上述べたように本発明のプレコート鋼
板は、塗膜硬度と成形加工性の両方を高度に満足させ、
しかも塗膜外観や密着性にも優れており、このため家電
製品、建材、自動車等の用途において高度の塗膜硬度と
成形加工性が求められる部位に用いられるプレコート鋼
板として極めて有用である。また、本発明のプレコート
鋼板は従来よりも簡易な方法で製造できるという点で
も、工業的に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】V字曲げ加工の金型および加工方法を示す説明
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 167/00 C09D 167/00 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 新田 浩一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 加藤 博之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 梶田 保之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 田中 勝祥 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社東京事業所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化成処理が施された亜鉛系めっき鋼板の
    表面に下塗り塗膜および上塗り塗膜を有するプレコート
    鋼板であって、 前記上塗り塗膜が下記イ)〜ハ)を主成分とする塗料組
    成物を塗布して形成した塗膜であり、 イ)一般式(1) 【化1】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物:樹脂
    固形分中の割合で1〜15重量% ロ)上記イ)を除くポリオール:樹脂固形分中の割合で
    40〜90重量% ハ)硬化剤:樹脂固形分中の割合で9〜50重量% 前記下塗り塗膜が、幅5mm、厚さ8±1μmのフィル
    ムとして測定される破断強度が50kg/cm2以上で
    且つ破断伸びが50%以上であることを特徴とする硬度
    と加工性に優れたプレコート鋼板。
  2. 【請求項2】 上塗り塗膜を形成する塗料組成物中の硬
    化剤がブロック化ポリイソシアネート化合物であること
    を特徴とする請求項1に記載の硬度と加工性に優れたプ
    レコート鋼板。
  3. 【請求項3】 下塗り塗膜が、ビスフェノールA付加ポ
    リエステル樹脂を主成分とする塗料組成物を塗布して形
    成された塗膜であることを特徴とする請求項1または2
    に記載の硬度と加工性に優れたプレコート鋼板。
  4. 【請求項4】 下塗り塗膜の膜厚が2〜12μm、上塗
    り塗膜の膜厚が10〜20μmであることを特徴とする
    請求項1、2または3に記載の硬度と加工性に優れたプ
    レコート鋼板。
  5. 【請求項5】 化成処理が施された亜鉛系めっき鋼板の
    表面に下塗り塗膜用の塗料組成物を塗布した後、180
    〜260℃の到達板温で焼付処理し、次いで、下記イ)
    〜ハ)を主成分とする上塗り塗膜用の塗料組成物を塗布
    した後、 イ)一般式(1) 【化2】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物:樹脂
    固形分中の割合で1〜15重量% ロ)上記イ)を除くポリオール:樹脂固形分中の割合で
    40〜90重量% ハ)硬化剤:樹脂固形分中の割合で9〜50重量% 180〜260℃の到達板温で焼付処理し、下塗り塗膜
    の幅5mm、厚さ8±1μmのフィルムとして測定され
    る破断強度が50kg/cm2以上で且つ破断伸びが5
    0%以上であるプレコート鋼板を得ることを特徴とする
    硬度と加工性に優れたプレコート鋼板の製造方法。
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