JPH1018926A - 流体ガス通路の消音装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 広範囲の波長域の騒音を効果的に消音するこ
とができる全く新たな消音メカニズムを提供する。 【解決手段】 外気吸入口４を有するクリーナカバー２
と浄気出口６を有するベース板３とによりクリーナケー
ス１を構成する。このクリーナケース１内に環状のクリ
ーナエレメント５を収容する。流体ガス通路４を構成す
るエンジンの吸気口２１に臨ませて振動部材３を構成す
るベース板３を設け、このベース板３を振動吸収用高分
子構造の制振材１７で支持することにより、ベース板３
の振動エネルギーを熱エネルギーに変換して消音する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、例えばエンジン
のエアクリーナやマフラ、その他の給排気ダクト等に適
用し得る流体ガス通路の消音装置に関し、広範囲の波長
域の騒音を効果的に消音することができる全く新たな消
音メカニズムを提供する。

【０００２】

【従来の技術】流体ガス通路の消音装置の基本形態とし
て、従来より例えば図１２（Ａ）〜（Ｃ）に示すものが
知られている。それぞれ図１２（Ａ）は膨張型消音装置
を、図１２（Ｂ）は共鳴型消音装置を、図１２（Ｃ）は
吸収型消音装置を示す模式図である。なお、矢印はいず
れも騒音の進行方向を示している。

【０００３】上記膨張型消音装置は、図１２（Ａ）に示
すように、流体ガス通路４に容積の大きな空洞部１３を
設けることにより、特定周波数成分を端部で反射させ、
音波同志を干渉させて騒音を消音する。上記共鳴型消音
装置は、図１２（Ｂ）に示すように、流体ガス通路４に
消音連通孔１４をあけて空洞部１３で覆うことにより、
共鳴周波数の付近の騒音を消音する。上記吸収型消音装
置は、図１２（Ｃ）に示すように、流体ガス通路４に連
通した空洞部１３の内面に吸音材２６を貼着し、吸音材
内部の小さい孔に入った空気の粘性抵抗や構造体相互の
機械的摩擦でエネルギーを吸収して消音する。

【０００４】そして従来では上記３種の基本形態を適宜
組み合わせることにより、消音効果を高める工夫がなさ
れていた。ちなみに図１１は、本出願人の提案に係るも
の（実開平７−４８６４号に開示されたもの）で、エア
クリーナの消音効果を高めるために、外気吸入口１０４
と浄気出口１０６を有するクリーナ本体１０２と底蓋１
０３とによりクリーナケース１０１を構成し、このクリ
ーナケース１０１内にクリーナエレメント１０５を収容
し、前記浄気出口１０６と図示しない気化器とを、膨張
型と共鳴型とを組み合わせた容積型消音装置１１０を介
して連通して構成されている。

【０００５】上記容積型消音装置１１０は、浄気導入筒
１１１を消音筒１１２に貫通し、この消音筒１１２が内
包する空間を消音室１１３として形成し、この浄気導入
筒１１１に上記消音室１１３と連通する消音連通路１１
４を設け、エンジンの吸気管から気化器・エアクリーナ
を介して外部に漏れ出る吸気脈動音や爆発音等を低減す
るように構成されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記３
種の基本形態を組み合わせた消音装置では、構造上全く
減衰されないで、或いは逆に増幅される周波数成分が存
在するため、例えばエンジンのように広範囲の騒音を発
生する場合には、効果的に消音することができない。本
発明はこのような事情を考慮してなされ、全く新たな消
音メカニズムを提供するもので、広範囲の波長域の騒音
を効果的に消音することができる消音装置を提供するこ
とを技術課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために以下のように構成される。即ち、請求項１の
発明は、流体ガス通路４内の音圧変動を機械振動に変換
する振動部材３を設けるとともに、上記振動部材３を振
動吸収用高分子構造の制振材１７で支持することによ
り、上記振動部材３の振動エネルギーを熱エネルギーに
変換して消音する、ことを特徴とするものである。

【０００８】請求項２の発明は、請求項１に記載した流
体ガス通路の消音装置において、外気吸入口２４を有す
るクリーナカバー２と浄気出口６を有するベース板３と
によりクリーナケース１を構成し、このクリーナケース
１内に環状のクリーナエレメント５を収容し、前記流体
ガス通路４を構成するエンジンの吸気口２１に臨ませて
前記振動部材３を構成するベース板３を設け、このベー
ス板３を上記制振材１７で支持して構成した、ことを特
徴とするものである。

【０００９】請求項３の発明は、請求項２に記載した流
体ガス通路の消音装置において、前記浄気出口６とエン
ジンの吸気口２１とを容積型消音装置１０を介して連通
し、前記容積型消音装置１０は、浄気導入筒１１とこの
浄気導入筒１１を内包する消音筒１２との間の空間を消
音室１３として形成し、前記浄気導入筒１１に上記消音
室１３と連通する消音連通孔１４を開口して成り、前記
消音筒１２の一端壁１２Ａを前記ベース板３に対して進
退調節可能に固定して前記消音室１３の内容積を変更可
能に構成し、前記消音筒１２の他端壁１２Ｂに浄気導入
筒１１と連通する吸気連通孔１５を開口してこの吸気連
通孔１５を吸気口２１と連通させた、ことを特徴とする
ものである。

【００１０】請求項４の発明は、請求項３に記載した流
体ガス通路の消音装置において、前記浄気導入筒１１を
前記浄気出口６と合致させてベース板３より下流側へ向
けて突設し、前記消音筒１２の一端壁１２Ａを前記ベー
ス板３に対して、前記浄気導入筒１１の他端壁１１Ｂを
前記消音筒１２の他端壁１２Ｂに対して、それぞれ制振
材１７ａ・１７ｂを介して進退調節可能に固定した、こ
とを特徴とするものである。

【００１１】請求項５の発明は、請求項３に記載した流
体ガス通路の消音装置において、前記浄気導入筒１１の
上流側部分１１ａを前記浄気出口６と合致させてベース
板３より下流側へ向けて突設し、前記浄気導入筒１１の
下流側部分１１ｂを前記吸気連通孔１５と合致させて消
音筒１２の一端壁１２Ａより上流側へ向けて突設し、こ
れらの上流側部分１１ａと下流側部分１１ｂとを摺動可
能に嵌合するとともに、前記上流側部分１１ａと下流側
部分１１ｂにそれぞれ形成した消音連通孔部分１４ａ・
１４ｂにより前記消音連通孔１４を構成し、この消音連
通孔１４の開口面積を変更可能に構成した、ことを特徴
とするものである。

【００１２】請求項６の発明は、請求項１に記載した流
体ガス通路の消音装置において、マフラケース３１内よ
り尾管３７を突出させ、この尾管３７の内端を前記流体
ガス通路４を構成する排気消音室３３ｃに臨ませて開口
するとともに、前記振動部材３を構成する尾管固定板３
８を上記制振材１７を介してマフラケース３１の内壁に
固定した、ことを特徴とするものである。

【００１３】請求項７の発明は、請求項１に記載した流
体ガス通路の消音装置において、前記流体ガス通路４を
構成するダクト４１の終端部に消音連通孔４４を有する
隔壁４３を設けて消音室４２を区画を形成するととも
に、上記消音室４２内に前記振動部材３を設け、この振
動部材３を前記制振材１７で支持して構成した、ことを
特徴とするものである。

【００１４】請求項８の発明は、請求項１に記載した流
体ガス通路の消音装置において、前記流体ガス通路４を
構成するダクト５１の途中部に前記振動部材３を構成す
る消音筒５３を外嵌し、この消音筒５３と上記ダクト５
１との間の空間を消音室５２として形成するとともに、
前記ダクト５１に上記消音室５２と連通する消音連通孔
５４を開口し、上記消音筒５３の少なくとも両端部を前
記制振材１７を構成するシール部材５７を介してダクト
５１に外嵌固定した、ことを特徴とするものである。

【００１５】

【発明の作用・効果】請求項１に記載した発明は、全く
新たな消音メカニズムを提供するもので、広範囲にわた
る波長の騒音を発生する場合においても、流体ガス通路
４内の音圧変動を振動部材３で機械振動に変換し、この
振動部材３の振動エネルギーを、当該振動部材３を支持
する振動吸収用高分子構造の制振材１７で熱エネルギー
に変換して消音する。これにより、広範囲の波長域の騒
音を効果的に消音することができる。

【００１６】請求項２に記載した発明では、請求項１に
記載した流体ガス通路の消音装置をエンジンのエアクリ
ーナに適用し、前記流体ガス通路４を構成するエンジン
の吸気口２１に臨ませて前記振動部材３を構成するベー
ス板３を設け、このベース板３を上記制振材１７で支持
して構成したことから、ベース板３の機械振動エネルギ
ーをベース板３３を支持する制振材１７で熱エネルギー
に変換して消音する。これにより、請求項１に記載した
発明と同様の発明の作用・効果を奏する。

【００１７】請求項３に記載した発明では、エンジンの
エアクリーナに適用した請求項２に記載の流体ガス通路
の消音装置において、消音筒１２の一端壁１２Ａをベー
ス板３に対して進退調節可能に固定して前記消音室１３
の内容積を変更可能に構成したことから、消音すべき周
波数成分に適合させて消音室１３の内容積を変更するこ
とができる。

【００１８】しかも、請求項３に記載した発明では、浄
気導入筒１１を浄気出口６と合致させてベース板３より
下流側へ向けて突設させ、前記消音筒１２の一端壁１２
Ａを前記ベース板３に対して固定したことから、エアク
リーナと容積型消音装置とを実質的に一体化することが
できる。これにより部品点数が減り、消音型エアクリー
ナのコスト低減を図ることすることができる。

【００１９】請求項４に記載した発明では、請求項３に
記載した流体ガス通路の消音装置において、浄気導入筒
１１を前記浄気出口６と合致させてベース板３より下流
側へ向けて突設し、前記消音筒１２の一端壁１２Ａを前
記ベース板３に対して、前記浄気導入筒１１の他端壁１
１Ｂを前記消音筒１２の他端壁１２Ｂに対して、それぞ
れ前記制振材１７ａ・１７ｂを介して進退調節可能に固
定したことから、音圧変動によるベース板３の機械的振
動が制振材１７ａ・１７ｂにより熱エネルギーに変換さ
れて消費され、広範囲の波長域の騒音を大幅に低減する
ことができる。

【００２０】請求項５に記載した発明では、請求項３に
記載した流体ガス通路の消音装置において、浄気導入筒
１１の上流側部分１１ａと下流側部分１１ｂとを摺動可
能に嵌合させ、前記上流側部分１１ａと下流側部分１１
ｂにそれぞれ形成した消音連通孔部分１４ａ・１４ｂに
より前記消音連通孔１４を構成し、この消音連通孔１４
の開口面積を変更可能に構成したことから、エンジンの
機種等に応じて消音室１３の内容積を変更するだけでな
く、消音連通孔１４の開口面積をも変更することができ
る。これにより、消音すべき主要周波数成分に対して容
積型消音装置を一層的確に適合させることができる。

【００２１】請求項６に記載した発明では、請求項１に
記載した流体ガス通路の消音装置をエンジンのマフラに
適用し、マフラケース３１内より尾管３７を突出させ、
この尾管３７の内端を前記流体ガス通路４を構成する排
気消音室３３ｃに臨ませて開口するとともに、前記振動
部材３を構成する尾管固定板３８を上記制振材１７を介
してマフラケース３１の内壁に固定したことから、尾管
固定板３８の機械振動エネルギーを尾管固定板３８を支
持する制振材１７で熱エネルギーに変換して消音する。
これにより、請求項１に記載した発明と同様の発明の作
用・効果を奏する。

【００２２】請求項７に記載した発明では、請求項１に
記載した流体ガス通路の消音装置を給排気用等のダクト
に適用し、流体ガス通路４を構成するダクト４１の終端
部に消音連通孔４４を有する隔壁４３を設けて消音室４
２を区画を形成するとともに、上記消音室４２内に前記
振動部材３を設け、この振動部材３を前記制振材１７で
支持して構成したことから、この消音装置は容積型消音
装置として作用するほかに、振動部材３の機械振動エネ
ルギーを振動部材３を支持する制振材１７で熱エネルギ
ーに変換して消音する。これにより、請求項１に記載し
た発明と同様の発明の作用・効果を奏する。

【００２３】請求項８に記載した発明では、請求項１に
記載した流体ガス通路の消音装置を給排気用等のダクト
に適用し、流体ガス通路４を構成するダクト５１の途中
部に前記振動部材３を構成する消音筒５３を外嵌し、こ
の消音筒５３と上記ダクト５１との間の空間を消音室５
２として形成するとともに、前記ダクト５１に上記消音
室５２と連通する消音連通孔５４を開口し、上記消音筒
５３の少なくとも両端部を前記制振材１７を構成するシ
ール部材５７を介してダクト５１に外嵌固定したことか
ら、この消音装置は容積型消音装置として作用するほか
に、消音筒５３の機械振動エネルギーを消音筒５３を支
持する制振材１７で熱エネルギーに変換して消音する。
これにより、請求項１に記載した発明と同様の発明の作
用・効果を奏する。

【００２４】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に
基づいてさらに詳しく説明する。図４は本発明に係る消
音装置をエアクリーナに適用した縦型空冷式ガソリンエ
ンジンの斜視図、図１は第１の実施形態に係る消音型エ
アクリーナを示し、図１（Ａ）はその縦断側面図、図１
（Ｂ）はその正面図である。また、図２はその消音型エ
アクリーナの分解斜視図である。なお、図４中の符号Ｅ
はエンジン全体を示し、８は消音型エアクリーナ、２０
は気化器、２３は吸気管、２５はマフラー、２６は燃料
タンク、２７はファンカバー、２８は手始動ハンドルを
示す。

【００２５】この消音型エアクリーナ８は、図１（Ａ）
（Ｂ）及び図２に示すように、外端面に外気吸入口２４
を有するクリーナカバー２と、浄気出口６を有するベー
ス板３とによりクリーナケース１を構成し、振動部材で
あるベース板３とクリーナカバー２との間に環状のクリ
ーナエレメント５を挟みつけて収容し、ベース板３に固
定した固定金具１８ａに締結ボルト１８ｂのヘッドを固
定し、この締結ボルト１８ｂの先端ネジ部をクリーナカ
バー２より突出させて蝶ナット１８ｃで螺合・締結して
ある。そして上記浄気出口６と流体ガス通路４を構成す
るエンジンＥの吸気口２１とを容積型消音装置１０を介
して連通してある。なお、図２中の符号５ａはクリーナ
エレメント５の濾紙部材を、５ｂはクリーナエレメント
５に外嵌されたスポンジ部材を示す。以下、本発明の特
徴構成について説明する。

【００２６】上記容積型消音装置１０は、上記浄気出口
６と合致させてベース板３より下流側へ向けて一体に突
設した浄気導入筒１１と、この浄気導入筒１１を内包す
る消音筒１２とを備え、浄気導入筒１１と消音筒１２と
の間の空間を消音室１３として形成し、浄気導入筒１１
に消音室１３と連通する消音連通孔１４を開口して構成
されている。そして、消音筒１２の一端壁１２Ａはベー
ス板３に対して、また、浄気導入筒１１の他端壁１１Ｂ
は消音筒１２の他端壁１２Ｂに対して、それぞれ振動吸
収用高分子構造の制振材１７ａ・１７ｂを介して進退調
節可能に固定されている。

【００２７】上記振動吸収用高分子構造の制振材１７ａ
・１７ｂとしては、例えば三星ベルト社製の制振材があ
り、これは例えば表１に示すような種類と特性を有す
る。

【表１】

【００２８】ここで、動的弾性率（Ｅ′）は特定周波数
における外力に対する抵抗の大きさの尺度を、また、Ｔ
ａｎδは特定周波数における制振・振動吸収性能の大き
さの尺度を、それぞれ示している。上記振動吸収用高分
子構造の制振材１７ａ・１７ｂを採用することにより、
音圧変動によるベース板３の機械的振動をこの制振材１
７ａ・１７ｂにより熱エネルギーに変換して消音する。
このように全く新たな消音メカニズムを採用することに
より、広範囲にわたる波長域の騒音を効果的に消音する
ことができる。

【００２９】また、スペーサを兼ねる上記制振材１７ａ
・１７ｂの厚みを適宜設定することにより、上記消音室
１３の内容積を変更可能に構成されている。そして消音
筒１２の他端壁１２Ｂには浄気導入筒１１と連通する吸
気連通孔１５が開口され、この吸気連通孔１５はガスケ
ット２２を介して気化器２０の吸気口２１と連通されて
いる。このように、消音室１３の内容積を変更可能に構
成することにより、エンジンの機種が変わり、消音すべ
き周波数成分が変わっても、消音すべき主要な周波数成
分に適合させて消音室１３の内容積を変更することがで
きる。

【００３０】また、上記のように浄気導入筒１１を浄気
出口６と合致させてベース板３より下流側へ向けて突設
し、前記消音筒１２の一端壁１２Ａを前記ベース板３に
対して固定することにより、エアクリーナと容積型消音
装置１０とを実質的に一体化することができる。これに
より部品点数が減り、消音型エアクリーナのコスト低減
を図ることができる。

【００３１】図３は、既存の田植機用エアクリーナ及び
制振材としてウレタンを採用したエアクリーナと、上記
振動吸収用高分子構造の制振材（表１：制振材２）を採
用した上記消音型エアクリーナとの消音効果を比較テス
トした結果を示すグラフである。この比較テストによれ
ば、上記振動吸収用高分子構造の制振材を採用すること
により、広範囲にわたる波長域の騒音を効果的に消音す
ることができることを示している。なお、表１の制振材
以外に耐油性を有する制振材を採用することも可能であ
る。

【００３２】図５は本発明に係る消音装置をエンジンの
エアクリーナに適用した第２の実施形態を示す消音型エ
アクリーナの図１（Ａ）相当図である。この実施形態
は、浄気導入筒１１の消音連通孔１４の開口面積を変更
可能に構成したことを特徴としている。即ち、浄気導入
筒１１の上流側部分１１ａをベース板３の浄気出口６と
合致させて下流側へ向けて突設し、この浄気導入筒１１
の下流側部分１１ｂを前記吸気連通孔１５と合致させて
消音筒１２の他端壁１２Ｂより上流側へ向けて突設し、
これらの上流側部分１１ａと下流側部分１１ｂとを摺動
可能に嵌合する。

【００３３】他方、前記上流側部分１１ａと下流側部分
１１ｂに、それぞれ消音連通孔部分１４ａ・１４ｂを対
向させて形成し、これらの消音連通孔部分１４ａ・１４
ｂの長円部分が重なり合うことで一つの消音連通孔１４
を構成する。そしてスペーサを兼ねる制振材１７ａの厚
みを適宜設定して消音室１３の内容積を変更することに
より、これと連動して消音連通孔１４の開口面積も変わ
る。これにより、消音すべき主要な周波数成分に対して
容積型消音装置を一層的確に適合させることができると
ともに、部品点数が減るので消音型エアクリーナのコス
ト低減を図ることもできる。

【００３４】図６は本発明に係る消音装置をエンジンの
エアクリーナに適用した第３の実施形態を示す消音型エ
アクリーナの図１（Ａ）相当図である。この実施形態
は、容積型消音装置を採用したものではなく、既存のエ
アクリーナに振動部材としてベース板３を設け、このベ
ース板３を振動吸収用高分子構造の制振材１７ａで支持
したもので、その他の点は図１（Ａ）と同様に構成され
ている。

【００３５】図７は本発明に係る消音装置をエンジンの
エアクリーナに適用した第４の実施形態を示す消音型エ
アクリーナの縦断面図である。この実施形態も容積型消
音装置を採用したものではなく、図１１に示す消音装置
に代えて振動部材としてベース板３をクリーナケース１
と一体に設け、このベース板３の周囲を振動吸収用高分
子構造の制振材１７を介して受け部材２５に固定したも
のである。ここで、図７中の符号２４は外気吸入口を、
５はクリーナエレメントを、６は浄気出口を、２１は気
化器の吸気口を示している。

【００３６】図８は本発明に係る消音装置をエンジンの
マフラーに適用した第５の実施形態を示すマフラーの縦
断面図である。この実施形態は、マフラケース３１内よ
り尾管３７を突出させ、この尾管３７の内端を流体ガス
通路の一部を構成する第３の排気消音室３３ｃに臨ませ
て開口するとともに、振動部材を構成する尾管固定板３
８を振動吸収用高分子構造の制振材１７を介してマフラ
ケース３１の内壁に固定したものである。なお、図８中
の符号３２は排気導入管を、３３ａ・３３ｂはそれぞれ
第１・第２の排気消音室を、矢印Ｇは排気ガスの経路を
示している。

【００３７】図９は本発明に係る消音装置を給排気用ダ
クトに適用した第６の実施形態を示すダクトの縦断面図
である。この実施形態は、流体ガス通路４を構成するダ
クト４１の終端部に消音連通孔４４を有する隔壁４３を
設けて消音室４２を区画を形成するとともに、上記消音
室４２内に振動部材３を設け、この振動部材３を振動吸
収用高分子構造の制振材１７で支持したものである。な
お、図９中の符号４５は大気連通孔を、４６は給排気口
を、矢印Ｓは騒音の進行方向を示している。

【００３８】図１０は本発明に係る消音装置を掃除機等
の吸気ダクトに適用した第７の実施形態を示し、図１０
（Ａ）はその要部の縦断面図、図１０（Ｂ）は図１０
（Ａ）中のＢ−Ｂ線矢視断面図である。この実施形態
は、流体ガス通路４を構成するダクト５１の途中部に振
動部材３を構成する上下二つ割り状の消音筒５３を外嵌
し、この消音筒５３と上記ダクト５１との間の空間を消
音室５２として形成するとともに、ダクト５１に上記消
音室５２と連通する消音連通孔５４を開口し、上記二つ
割り状の消音筒５３の両端部５３ａと左右の合わせ部５
３ｂとを振動吸収用高分子構造の上下一対のシール部材
５７・５７を介してダクト５１に外嵌固定して構成され
ている。

【００３９】上記ダクト５１には、図１０（Ｂ）に示す
ように、左右一対の鍔部５５・５５が突設されている。
また、制振材１７を構成する各シール部材５７は、ダク
ト５１と二つ割り状の消音筒５３の両端部５３ａ及びダ
クト５１の上記鍔部５５・５５と消音筒５３の上下の合
わせ部５３ｂとをシールするために、図１０（Ｃ）に示
すように矩形の制振材５７ｂから構成される。そして消
音筒両端部５３ａに対応する仮想線のシール箇所５７ａ
は、シールした状態では実線で示すように半円形にな
る。この実施形態では、容積型消音装置として作用する
ほかに、消音筒５３の機械振動エネルギーを消音筒５３
を支持する制振材１７を構成するシール部材５７で熱エ
ネルギーに変換して消音する。

【００４０】なお、上記実施形態では、消音装置をエン
ジンのエアクリーナやマフラー、給排気ダクトや掃除機
等の吸気ダクトに適用したものについて例示したが、本
発明は上記の実施形態に限るものではなく、流体ガス通
路の騒音防止に広く適用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る消音装置をエアクリーナに適用し
た第１の実施形態を示し、図１（Ａ）は消音型エアクリ
ーナの縦断側面図、図１（Ｂ）はその正面図である。

【図２】第１の実施形態に係る消音型エアクリーナの分
解斜視図である。

【図３】既存のエアクリーナ及びウレタンを制振材とし
て採用したエアクリーナと、振動吸収用高分子構造の制
振材２（ＭＳＧ−ＤＳ）を採用した消音型エアクリーナ
との消音効果を比較テストした結果を示すグラフであ
る。

【図４】本発明に係る消音型エアクリーナを搭載した縦
型空冷式ガソリンエンジンの斜視図である。

【図５】本発明に係る消音装置をエアクリーナに適用し
た第２の実施形態を示す消音型エアクリーナの図１
（Ａ）相当図である。

【図６】本発明に係る消音装置をエアクリーナに適用し
た第３の実施形態を示す消音型エアクリーナの図１
（Ａ）相当図である。

【図７】本発明に係る消音装置をエアクリーナに適用し
た第４の実施形態を示す消音型エアクリーナの縦断面図
である。

【図８】本発明に係る消音装置をマフラーに適用した第
５の実施形態を示すマフラーの断面図である。

【図９】本発明に係る消音装置を給排気用ダクトに適用
した第６の実施形態を示す断面図である。

【図１０】本発明に係る消音装置を掃除機等の吸気ダク
トに適用した第７の実施形態を示し、図１０（Ａ）はそ
の縦断側面図、図１０（Ｂ）は図１０（Ａ）中のＢ−Ｂ
線矢視断面図、図１０（Ｃ）は制振材の斜視図である。

【図１１】従来例に係る消音型エアクリーナの縦断面図
である。

【図１２】従来例に係る消音装置の基本形態を示し、図
１２（Ａ）は膨張型消音装置を、図１２（Ｂ）は共鳴型
消音装置を、図１２（Ｃ）は吸収型消音装置を示す模式
図である。

【符号の説明】

１…クリーナケース、２…クリーナカバー、３…振動部
材（ベース板・振動板）、４…流体ガス通路、５…クリ
ーナエレメント、６…浄気出口、１０…容積型消音装
置、１１…浄気導入筒、１１ａ…浄気導入筒の上流側部
分、１１ｂ…浄気導入筒の下流側部分、１１Ｂ…浄気導
入筒の他端壁、１２…消音筒、１２Ａ…消音筒の一端
壁、１２Ｂ…消音筒の他端壁、１３…消音室、１４…消
音連通孔、１４ａ・１４ｂ…消音連通孔部分、１５…吸
気連通孔、１７…制振材、１７ａ・１７ｂ…制振材（ス
ペーサ）、２０…気化器、２１…エンジンの吸気口、２
４…外気吸入口、３１…マフラケース、３５…ケース内
排気口、３７…尾管、３８…尾管固定板、４１…ダク
ト、４２…消音室、４３…隔壁、４４…消音連通孔、５
１…ダクト、５２…消音室、５３…消音筒、５４…消音
連通孔、５７…シール部材（制振材）、Ｅ…エンジン。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｆ０２Ｍ 35/12 Ｆ０２Ｍ 35/12 Ｌ

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 流体ガス通路（４）内の音圧変動を機械
   振動に変換する振動部材（３）を設けるとともに、上記
   振動部材（３）を振動吸収用高分子構造の制振材（１
   ７）で支持することにより、上記振動部材３の振動エネ
   ルギーを熱エネルギーに変換して消音する、ことを特徴
   とする流体ガス通路の消音装置。
2. 【請求項２】 外気吸入口（２４）を有するクリーナカ
   バー（２）と浄気出口（６）を有するベース板（３）と
   によりクリーナケース（１）を構成し、このクリーナケ
   ース（１）内に環状のクリーナエレメント（５）を収容
   し、 前記流体ガス通路（４）を構成するエンジンの吸気口
   （２１）に臨ませて前記振動部材（３）を構成するベー
   ス板（３）を設け、このベース板（３）を上記制振材
   （１７）で支持して構成した、ことを特徴とする請求項
   １に記載した流体ガス通路の消音装置。
3. 【請求項３】 前記浄気出口（６）とエンジンの吸気口
   （２１）とを容積型消音装置（１０）を介して連通し、 前記容積型消音装置（１０）は、浄気導入筒（１１）と
   この浄気導入筒（１１）を内包する消音筒（１２）との
   間の空間を消音室（１３）として形成し、前記浄気導入
   筒（１１）に上記消音室（１３）と連通する消音連通孔
   （１４）を開口して成り、 前記消音筒（１２）の一端壁（１２Ａ）を前記ベース板
   （３）に対して進退調節可能に固定して前記消音室（１
   ３）の内容積を変更可能に構成し、 前記消音筒（１２）の他端壁（１２Ｂ）に浄気導入筒
   （１１）と連通する吸気連通孔（１５）を開口してこの
   吸気連通孔（１５）を吸気口（２１）と連通させた、こ
   とを特徴とする請求項２に記載した流体ガス通路の消音
   装置。
4. 【請求項４】 前記浄気導入筒（１１）を前記浄気出口
   （６）と合致させてベース板（３）より下流側へ向けて
   突設し、 前記消音筒（１２）の一端壁（１２Ａ）を前記ベース板
   （３）に対して、前記浄気導入筒（１１）の他端壁（１
   １Ｂ）を前記消音筒（１２）の他端壁（１２Ｂ）に対し
   て、それぞれ制振材（１７ａ）（１７ｂ）を介して進退
   調節可能に固定した、ことを特徴とする請求項３に記載
   した流体ガス通路の消音装置。
5. 【請求項５】 前記浄気導入筒（１１）の上流側部分
   （１１ａ）を前記浄気出口（６）と合致させてベース板
   （３）より下流側へ向けて突設し、前記浄気導入筒（１
   １）の下流側部分（１１ｂ）を前記吸気連通孔（１５）
   と合致させて消音筒（１２）の一端壁（１２Ａ）より上
   流側へ向けて突設し、これらの上流側部分（１１ａ）と
   下流側部分（１１ｂ）とを摺動可能に嵌合するととも
   に、 前記上流側部分（１１ａ）と下流側部分（１１ｂ）にそ
   れぞれ形成した消音連通孔部分（１４ａ）（１４ｂ）に
   より前記消音連通孔（１４）を構成し、この消音連通孔
   （１４）の開口面積を変更可能に構成した、ことを特徴
   とする請求項３に記載した流体ガス通路の消音装置。
6. 【請求項６】 マフラケース（３１）内より尾管（３
   ７）を突出させ、この尾管（３７）の内端を前記流体ガ
   ス通路（４）を構成する排気消音室（３３ｃ）に臨ませ
   て開口するとともに、前記振動部材（３）を構成する尾
   管固定板（３８）を上記制振材（１７）を介してマフラ
   ケース（３１）の内壁に固定した、ことを特徴とする請
   求項１に記載した流体ガス通路の消音装置。
7. 【請求項７】 前記流体ガス通路（４）を構成するダク
   ト（４１）の終端部に消音連通孔（４４）を有する隔壁
   （４３）を設けて消音室（４２）を区画を形成するとと
   もに、上記消音室（４２）内に前記振動部材（３）を設
   け、この振動部材（３）を前記制振材（１７）で支持し
   て構成した、ことを特徴とする請求項１に記載した流体
   ガス通路の消音装置。
8. 【請求項８】 前記流体ガス通路（４）を構成するダク
   ト（５１）の途中部に前記振動部材（３）を構成する消
   音筒（５３）を外嵌し、この消音筒（５３）と上記ダク
   ト（５１）との空間を消音室（５２）として形成すると
   ともに、前記ダクト（５１）に上記消音室（５２）と連
   通する消音連通孔（５４）を開口し、 上記消音筒（５３）の少なくとも両端部を前記制振材
   （１７）を構成するシール部材（５７）を介してダクト
   （５１）に外嵌固定した、ことを特徴とする請求項１に
   記載した流体ガス通路の消音装置。