JPH10167753A - 無鉛クラウンガラス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 １．４９〜１．５４の屈折率ｎ_d 、５５〜６
２のアッベ数ν_d の光学的性質を有する無鉛クラウンガ
ラスを提供する。 【解決手段】 ガラスは、酸化物基準でＳｉＯ₂ ６０
〜７５重量％、Ｂ₂ Ｏ₃０〜８重量％、Ｎａ₂ Ｏ ０〜
１２重量％、Ｋ₂ Ｏ ０〜２５重量％、ΣＮａ₂ Ｏ＋Ｋ
₂ Ｏ １２〜２５重量％、ＣａＯ ０〜＜５重量％、Ｚ
ｎＯ ３〜１５重量％、ＴｉＯ₂ ０〜＜１重量％及び
ＺｒＯ₂ ０〜３重量％の組成を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、１．４９〜１．５
４の屈折率ｎ_d 及び５５〜６２のアッベ数ν_d を有する
無鉛クラウンガラスに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ガラス成分ＰｂＯ及びＡｓ₂ Ｏ₃
は環境汚染物として論議の的となっているため、光学機
器の分野においては、ＰｂＯを含有せず、さらにまたＡ
ｓ₂ Ｏ₃ を含有しないガラスを用いる傾向にある。従っ
て、例えば屈折率、アッベ数、透過率などに関して特定
の光学的性質を有するそのようなガラスが市場で入手可
能とならねばならない。しかし、単に酸化鉛を１つ又は
それ以上の他の成分で置換するだけでは、光学的性質及
びガラス（技術上）の性質はＰｂＯの影響を受けるた
め、一般に、そのような全ての所望の特性を再現するこ
とは困難である。従って、殆どの場合、それに代って、
ガラス組成についての新たな開発が必要となる。特許文
献には既に、無鉛クラウンフリントガラス又はクラウン
ガラスが記載された種々の仕様が開示されている。しか
しながら、これらのガラスは非常に広範な欠点を有す
る。

【０００３】ドイツ特許明細書ＤＥ ９７３，３５０号
には、鉛フリーであり得るが、屈折率を下げるために常
にフッ素を含有するガラスが記載されている。このこと
は特開平１−１３３９５６号に記載のガラスについても
当てはまる。前述した環境保護の観点については、この
成分の使用も厳しく避けられるべきである。何故なら
ば、多くの状況下において、有害なフッ素の発散が溶解
過程において生じ得るからである。英国特許明細書ＧＢ
２，０２９，４０１Ｂ号に記載のガラスは２０重量％
までのＣａＯを含有する。しかしながら、ＣａＯの導
入、特に比較的多量に導入することによって、高温での
粘度が低下するが、低温での粘度が増大する。すなわ
ち、粘度／温度曲線がより急勾配になり、従ってＣａＯ
の添加によってより短時間にガラスを作製しなければな
らなくなる。

【０００４】ヨーロッパ特許明細書ＥＰ ０，１５１，
３４６Ｂ１号には、溶解温度を低下させるために高いＢ
₂ Ｏ₃ 含量が必要で、しかも所望の屈折率を得、ＵＶエ
ッジを調整するために高いＴｉＯ₂ 含量が必要なクラウ
ンガラスが記載されており、またこのガラスはＡｓ₂ Ｏ
₃ を含有しなければならない。ＴｉＯ₂ はＵＶ透過率を
著しく減少させる。しかしながら、ＴｉＯ₂ は特に比較
的多量の場合にガラスの望ましくない着色を生ずる。こ
の高含量のＴｉＯ₂ により生ずる欠点は、８重量％まで
のＴｉＯ₂ を含有するドイツ特許出願公告ＤＥ−ＡＳ
１，０５０，９６５号に記載のガラスの場合にも存在す
る。

【０００５】ＥＰ ０，１５１，３４６Ｂ１号に記載の
ガラスの場合と同様に、Ａｌ₂ Ｏ₃は特公平４−４０３
０１号及び特公平４−７０２６２号に記載のクラウンガ
ラスにおいても必須の成分である（それぞれ１０重量％
まで及び１５重量％又は１４重量％）。このようなガラ
スは、高い失透傾向を示すことになる。特開平６−１０
７４２５号には、その光学的性質が広範囲にわたって変
化し、また必須成分としてＢａＯ（４５重量％まで）及
びＮｂ₂ Ｏ₅ （２５重量％まで）を含有するガラスが記
載されている。この高価な成分Ｎｂ₂ Ｏ₅ を使用するた
め、混合物の価格が著しく高くなる。ガラスの低いＳｉ
Ｏ₂ 含量は比較的高い割合のＢ₂ Ｏ₃ によって補償され
るが、このことはガラスの耐薬品性がそれ程高くないこ
とを意味する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、１．
４９〜１．５４の屈折率ｎ_d 及び５５〜６２のアッベ数
ν_d を有し、３８０〜７００ｎｍの波長範囲で高い光透
過率を示し、また容易に溶解及び加工可能であり、しか
もコスト的に有利に製造できる無鉛クラウンガラスを提
供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、酸化物基準で以下の組成 ＳｉＯ₂ ６０〜７５重量％、Ｂ₂ Ｏ₃ ０〜８重量％、 Ｎａ₂ Ｏ ０〜１２重量％、Ｋ₂ Ｏ ０〜２５重量％、 ΣＮａ₂ Ｏ＋Ｋ₂ Ｏ １２〜２５重量％、 ＣａＯ ０〜＜５重量％、ＺｎＯ ３〜１５重量％、 ＴｉＯ₂ ０〜＜１重量％、ＺｒＯ₂ ０〜３重量％ を有し、必要に応じて慣用量の清澄剤を含有することを
特徴とする１．４９〜１．５４の屈折率ｎ_d 及び５５〜
６２のアッベ数ν_d を有する無鉛クラウンガラスが提供
される。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明のガラスは、ＳｉＯ₂ が網
状形成剤として機能するＳｉＯ₂ −Ｍ₂ Ｏ−ＺｎＯガラ
ス系に属する。ＳｉＯ₂ は６０〜７５重量％の割合で存
在する。しかしながら、それを８重量％以下のＢ₂ Ｏ₃
で置換することができる。その結果、溶解温度が低下す
る。Ｂ₂ Ｏ₃ が高い割合の場合、耐薬品性が低下し、ガ
ラス中に凝離が生じ易くなる。溶解温度を下げるため
に、ガラスはＮａ₂ Ｏ（０〜１２重量％）及び／又はＫ
₂ Ｏ（０〜２５重量％）を含有し、また、溶解温度を充
分に下げるためにこれらの２つの成分の合計量は少なく
とも１２重量％であり、ガラスの高い耐薬品性が低下し
ないように最大２５重量％である。さらに、ガラスは各
々２重量％以下の量でＬｉ₂ Ｏ及びＣｓ₂ Ｏを含有する
ことができるが、その場合においてもアルカリ金属酸化
物の合計量は２５重量％を超えるべきではない（Ｎａ₂
Ｏ＋Ｋ₂ Ｏ＋Ｌｉ₂ Ｏ＋Ｃｓ₂ Ｏ＝１２〜２５重量
％）。

【０００９】前記した光学的性質を獲得するために、ガ
ラスは３〜１５重量％のＺｎＯを含有する。望ましいデ
ータの場合にＺｎＯ含量を低くするために、ガラスはＴ
ｉＯ₂ （０〜＜１重量％）及びＺｒＯ₂ （０〜３重量
％）も含有することができる。ＴｉＯ₂ 含量が高くなる
とＵＶ領域における透過損失となり、またＺｒＯ₂ 含量
が高くなると溶解温度が上昇する。好ましくは、ガラス
中のＴｉＯ₂ とＺｒＯ₂の合計量は少なくとも０．１重
量％である。ガラスにとって少なくとも０．１重量％の
ＴｉＯ₂ を含有することが特に好ましい。これは、Ｔｉ
Ｏ₂ はアッベ数に対してＺｎＯよりも著しい効果を有
し、また著しく高いＺｎＯ含量は失透安定性を低下させ
るためである。

【００１０】光学的品位の修正のために、３重量％以下
のＮｂ₂ Ｏ₅ 、３重量％以下のＴａ₂ Ｏ₅ 及び３重量％
以下のＷＯ₃ も本発明に係るガラスに添加できるが、こ
れはこれらの成分が高価なために混合物のコストを引き
上げることになる。さらに、ガラスは５重量％未満のＣ
ａＯを含有できる。この成分は耐薬品性及び加工性を有
利に改善する。しかしながら、その割合が高くなると所
望の光学特性が達成されなくなるという危険性がある。
さらにまた、ガラスは溶解特性及び加工特性を実質的に
変えることなく各々３重量％以下のＢａＯ、ＳｒＯ及び
ＭｇＯも含有できる。しかしながら、少なくとも高い割
合のＭｇＯはガラスの失透安定性を低下させるので、こ
の成分は多くの場合削除される。

【００１１】請求項１に記載の組成範囲内には、それら
の屈折率及びアッベ数により各々市販の鉛含有ガラス系
に置き換わる２つの別個の好適なガラス組成領域があ
る。一方では、これは酸化物基準でＳｉＯ₂ ６５〜７
０重量％、Ｂ₂ Ｏ₃ ２〜６重量％、Ｎａ₂ Ｏ ３〜８
重量％、Ｋ₂ Ｏ ９〜１４重量％、ＣａＯ １〜４重量
％、ＴｉＯ₂ ０〜＜１重量％、ＺｎＯ ７〜１１重量
％及びＺｒＯ₂ ０〜１重量％の高ＣａＯ−高ＺｎＯ組
成領域である。他方では、これは酸化物基準でＳｉＯ₂
６６〜７０重量％、Ｂ₂ Ｏ₃ ２〜５重量％、Ｎａ₂
Ｏ ５〜８重量％、Ｋ₂ Ｏ １５〜１８重量％、ΣＮａ
₂ Ｏ＋Ｋ₂ Ｏ≦２５重量％、ＣａＯ ０〜１重量％、Ｔ
ｉＯ₂ ０〜＜１重量％、ＺｎＯ ４〜７重量％及びＺ
ｒＯ₂ ０〜１重量％の高Ｋ₂ Ｏ−低ＺｎＯ組成領域で
ある。

【００１２】ガラスの清澄化のためにそれ自体公知の清
澄剤を混合物に添加することができる。Ａｓ₂ Ｏ₃ では
なく、それに代ってガラス品質を損うことなく加えるこ
とができる例えば硫酸塩、塩化物、Ｓｂ₂ Ｏ₃ 又はＣｅ
Ｏ₂ が用いられれば、その場合、本発明に係る無鉛ガラ
スはさらにヒ素フリーでもある。

【００１３】

【発明の効果】本発明に係る無鉛光学ガラスは、前述し
た所定の屈折率及びアッベ数を有するさらに他のグルー
プのクラウンガラスを提供し、３８０〜７００ｎｍの波
長範囲での高い透過率により特徴付けられる。このガラ
スは容易に溶解可能かつ加工可能であり、また低コスト
で製造することができ、しかも高い失透安定性と良好な
耐薬品性を示す。

【００１４】

【実施例】以下、実施例を示して本発明についてさらに
具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されな
いことはもとよりである。 実施例１〜６ 本発明の６つの実施例のガラスを慣用の原料から溶解し
た。それらの組成（酸化物基準の重量％表示）並びに屈
折率ｎ_d 及びアッベ数ν_dを下記表１に示す。

【００１５】

【表１】 高い透過性を明らかにするために、幾つかの実施例につ
いて波長λ＝４００ｎｍ、層厚ｄ＝２５ｍｍでの分光純
透過率を示せば以下のとおりである。 τ_{i (400nm}，_25mm) ＝０．９９１（実施例２）又は０．
９９５（実施例６）

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 酸化物基準で以下の組成 ＳｉＯ₂ ６０〜７５重量％、Ｂ₂ Ｏ₃ ０〜８重量％、 Ｎａ₂ Ｏ ０〜１２重量％、Ｋ₂ Ｏ ０〜２５重量％、 ΣＮａ₂ Ｏ＋Ｋ₂ Ｏ １２〜２５重量％、 ＣａＯ ０〜＜５重量％、ＺｎＯ ３〜１５重量％、 ＴｉＯ₂ ０〜＜１重量％、ＺｒＯ₂ ０〜３重量％ を有し、必要に応じて慣用量の清澄剤を含有することを
   特徴とする１．４９〜１．５４の屈折率ｎ_d 及び５５〜
   ６２のアッベ数ν_d を有する無鉛クラウンガラス。
2. 【請求項２】 ＴｉＯ₂ ＋ＺｒＯ₂ の合計量が少なくと
   も０．１重量％であることを特徴とする請求項１に記載
   のクラウンガラス。
3. 【請求項３】 酸化物基準で以下の組成 ＳｉＯ₂ ６５〜７０重量％、Ｂ₂ Ｏ₃ ２〜６重量％、 Ｎａ₂ Ｏ ３〜８重量％、Ｋ₂ Ｏ ９〜１４重量％、 ＣａＯ １〜４重量％、ＺｎＯ ７〜１１重量％、 ＴｉＯ₂ ０〜＜１重量％、ＺｒＯ₂ ０〜１重量％ を有し、必要に応じて慣用量の清澄剤を含有することを
   特徴とする請求項１又は２に記載のクラウンガラス。
4. 【請求項４】 酸化物基準で以下の組成 ＳｉＯ₂ ６６〜７０重量％、Ｂ₂ Ｏ₃ ２〜５重量％、 Ｎａ₂ Ｏ ５〜８重量％、Ｋ₂ Ｏ １５〜１８重量％、 ΣＮａ₂ Ｏ＋Ｋ₂ Ｏ ≦２５重量％、 ＣａＯ ０〜１重量％、ＺｎＯ ４〜７重量％、 ＴｉＯ₂ ０〜＜１重量％、ＺｒＯ₂ ０〜１重量％ を有し、必要に応じて慣用量の清澄剤を含有することを
   特徴とする請求項１又は２に記載のクラウンガラス。
5. 【請求項５】 さらに Ｌｉ₂ Ｏ ０〜２重量％、Ｃｓ₂ Ｏ ０〜２重量％、 ΣＮａ₂ Ｏ＋Ｋ₂ Ｏ＋Ｌｉ₂ Ｏ＋Ｃｓ₂ Ｏ ≦２５重量％、 ＭｇＯ ０〜３重量％、ＳｒＯ ０〜３重量％、 ＢａＯ ０〜３重量％、Ｎｂ₂ Ｏ₅ ０〜３重量％、 Ｔａ₂ Ｏ ₅ ０〜３重量％、ＷＯ₃ ０〜３重量％ を含有することを特徴とする請求項１乃至４のいずれか
   一項に記載のクラウンガラス。
6. 【請求項６】 不可避不純物を除きヒ素酸化物を含有し
   ないことを特徴とする請求項１乃至５のいずれか一項に
   記載のクラウンガラス。