JPH0988000A - 電気絶縁積層板原紙の製造方法 - Google Patents

電気絶縁積層板原紙の製造方法

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JPH0988000A
JPH0988000A JP24570195A JP24570195A JPH0988000A JP H0988000 A JPH0988000 A JP H0988000A JP 24570195 A JP24570195 A JP 24570195A JP 24570195 A JP24570195 A JP 24570195A JP H0988000 A JPH0988000 A JP H0988000A
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Takehito Okuya
岳人 奥谷
Junji Osawa
純二 大澤
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    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • H05K1/03Use of materials for the substrate
    • H05K1/0313Organic insulating material
    • H05K1/0353Organic insulating material consisting of two or more materials, e.g. two or more polymers, polymer + filler, + reinforcement
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐銀マイグレーション性が良好であり、なお
且つ積層板の寸法安定性、反り特性等の全体的積層板特
性が良好である電気絶縁積層板原紙を提供する。 【解決手段】 パルプスラリーをワイヤーを介して脱水
処理することにより形成したシートをロールプレスで圧
縮脱水処理し、脱水処理前のパルプ保水度に対する圧縮
脱水処理後のパルプ保水度の低下割合を5%以上とした
パルプを原料として抄紙し、得られた原紙の残留塩素イ
オン濃度を110ppm以下に調整する電気絶縁積層板原紙の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気絶縁積層板に
用いられる積層板原紙に関するものであり、特に寸法安
定性、反り等の積層板特性を損うことなく、耐銀マイグ
レーション性を改良した積層板を製造するのに用いられ
る積層板原紙に関する。
【0002】
【従来の技術】通常の積層板、特に電気絶縁用積層板
は、積層板原紙にフェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱
硬化性樹脂を含浸し、これを加熱乾燥して半硬化樹脂の
プリプレグにし、このプリプレグを複数枚積層し、金属
箔と共に熱圧成型することにより製造される。このよう
な積層板は比較的安価で、通常の電気或いは電子機器に
使用するための性能をほぼ満足しているため家庭用電気
製品を中心に多く使用されている。
【0003】しかしながら、近年の電気製品の軽薄短小
化により、電気部品の実装密度が高くなり、プリント配
線板の導体パターンの細線化が進んでいる。更には、紙
を基材とするプリント配線板においても、導体パターン
の両面化が進み、表裏の電気的接続を目的とした銀スル
ーホールが使用されるようになっている。このため、積
層板の加工性、寸法安定性、打ち抜き性は勿論のこと、
銀のマイグレーション現象による電気絶縁性の劣化が問
題となり、銀マイグレーションの防止性能(以下耐銀マ
イグレーション性と記す)の改良要求が益々厳しくなっ
ている。従来、積層板原紙に使用されるパルプは、広葉
樹木材からの未叩解晒クラフトパルプ(LBKP)が用
いられるのが一般的であったが、用途によっては積層板
原紙の強度を高めるために針葉樹晒クラフトパルプを配
合したり、コスト低減を目的に未晒パルプを配合した
り、又、高白色度化のためにサルファイトパルプ(S
P)を用いたりする場合がある。このようなパルプは公
知の抄紙機で抄紙され、得られる積層板原紙の密度は
0.45〜0.55g/cm3 という低い水準のもので
ある。
【0004】プリント配線板の銀のマイグレーションを
改良するために、原紙に要求される特性としては、銀の
イオン化及び金属銀としての析出に寄与する原紙中の残
留イオンが少ないこと、熱硬化性樹脂の含浸性が良好な
ことが挙げられる。かかる諸問題を解決するために、無
機イオン交換体を含有する樹脂ワニスを使用する方法
(特開平2-133442号公報、特開平5-162245号公報)が知
られているが、積層板原紙を使用した紙基材フェノール
樹脂積層板の場合は、積層板原紙がパルプ繊維から製造
されるものであるため、根本的な解決にはならず、耐銀
マイグレーション性は十分なものではなかった。又、特
開昭63-1452号公報のものでは、各種溶液中からのイオ
ン除去用フィルターとして、パルプ繊維間に無機イオン
交換体を担持するようにしているが、この方法では粒径
の大なる無機イオン交換体粒子、あるいは湿式抄紙原料
中で2次凝集を起こした無機イオン交換体粒子が紙基材
中に存在するため、フェノール樹脂ワニス含浸不良、成
型後の耐熱性の不良を生ずることから安易に採用するこ
とができない。
【0005】一方、積層板の電気特性を改良するため
に、α−セルロース含有率を高くする方法(特開昭60-7
9952号公報)が提案されているが、α−セルロース含有
率を高くする方法が、アルカリ精製、アルカリ抽出工程
を挟んで公知の漂白剤によって高度の漂白を行なう、又
は蒸解に先立って過熱蒸気により前加水分解を行なう、
又は後段で冷アルカリ精製を行なう手段をとっており、
このような場合はα−セルロース含有率を大幅に向上す
ると、繊維の屈曲が大きくなり積層板の寸法安定性及び
反りが悪化する欠点があった。また耐銀マイグレーショ
ン性の改良に関しては、全く触れられていない。
【0006】更にα−セルロース含有率の高いリンター
パルプを使用すると、絶縁抵抗が向上することは公知の
事実であるが、リンターパルプは繊維が著しく屈曲して
いるため、積層板の寸法安定性及び反りが悪いという欠
点があり、またリンターパルプは綿実を原料としている
ため、原料供給が不安定でしかも価格は高価で変動しや
すく採用が難しかった。
【0007】一方、原紙中の残留イオン量を規定し電気
絶縁性を改良する方法(特開昭62-191597 号公報)が報
告されているが、残留イオンの減少方法としてパルプの
洗浄強化等を採用しており効果は不十分であった。
【0008】他方、含浸する熱硬化性樹脂の改質によ
り、耐銀マイグレーション性を改良する工夫がなされて
いるが、他の積層板特性が悪化することがあること、及
び紙基材フェノール樹脂積層板の場合は、原紙の本質的
特性に依存する部分が強く、更なる原紙の改良が必要と
されていた。
【0009】一方、ロールプレスによりパルプを圧縮処
理し積層板の寸法安定性を改良する方法としては、処理
したパルプを50%以上配合し平均ルーメン開孔率を小
さくする方法(特開平4-163400号公報)、脱水及び圧縮
処理前後の短繊維の除去率を5〜23%とする方法(特
開平7-26497 号公報)が報告されている。しかし処理が
不十分なためか、または前者では未処理パルプの配合に
より残留イオンが増加するためか、両者とも残留イオン
の低減は不十分であり、積層板の寸法安定性は改良され
るが、耐銀マイグレーション性の改良効果は満足できる
ものではなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、プリント配
線板の銀マイグレーションを抑制するものである。本発
明の目的は、寸法安定性、反り等の積層板特性を損うこ
となく、耐銀マイグレーション性が良好な積層板を製造
するに適した積層板原紙を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】プリント配線板における
銀のマイグレーションを改良するために、原紙に要求さ
れる特性としては、銀のイオン化及び金属銀としての析
出に寄与する原紙中の化合物や残留イオンが少ないこ
と、熱硬化性樹脂の含浸性が良好なことが挙げられる。
特に銀マイグレーション現象の中で、原紙中の残留イオ
ンは銀の溶出過程に影響する。原紙中の残留イオン量が
多い程、高温高湿環境下での絶縁抵抗の低下が速い。即
ち耐銀マイグレーション性が悪化する。耐銀マイグレー
ション性に直接影響を与える化合物としては塩素化合
物、ナトリウム化合物、カリウム化合物、カルシウム化
合物、硫酸化合物等があるが、特に塩素化合物、ナトリ
ウム化合物の影響が大きい。これらの化合物は、それぞ
れナトリウムイオン(Na+ )、塩素イオン(Cl-
として積層板原紙中に存在して、積層板の耐銀マイグレ
ーション性に影響を及ぼしているものと考えられる。N
+ とCl- はそれぞれ、蒸解時の苛性ソーダ、晒工程
のCl2 及びClO 2 等に起因するイオンであり、根本
的に存在しない状態にすることは難しい。
【0012】そして、本発明ではパルプシートをロール
プレスで圧縮脱水処理することにより、これらのイオン
を除去するものであり、電気絶縁積層板原紙の残留塩素
イオン濃度を110ppm以下とするものであり、好ましくは
100ppm以下とする。残留塩素イオン濃度に特に下限はな
く、少ない程好ましい。本発明では、Cl2 またはCl
2 等を使用して晒工程を行った場合でも、50ppm 程度
までには除去することができる。また残留ナトリウムイ
オン濃度も110ppm以下が好ましく、より好ましくは100p
pm以下であり、これも特に下限はないが、苛性ソーダが
含有される蒸解を行った場合でも、50ppm 程度までには
除去できる。
【0013】一方、これら以外の化合物も積層板原紙中
には数多く存在するが、通常の方法で積層板原紙を抄造
する場合、もともとその量は少なく積層板の耐銀マイグ
レーション性にはほとんど影響を与えない。銀のマイグ
レーション現象を観察すると、銀はパルプ繊維表面、ル
ーメン内及びパルプ繊維内部を移動しているため、耐銀
マイグレーション性を改良するには、パルプ繊維表面だ
けでなく、パルプ繊維内部の残留イオンを減らすことが
より有効である。
【0014】表面積の大きい微細繊維を除去すれば、原
紙中の残留イオンを減らすことが出来ると考えられる
が、銀のマイグレーションがパルプ繊維に沿って生じて
いることが多いため、根本的な解決にはならず耐銀マイ
グレーション性改良の効果は少ない。また、フィルター
等によるパルプの洗浄強化も考えられるが、パルプ繊維
のまわりのイオンを除去することはできても、パルプ繊
維内部に存在するイオンを除去することはできず、イオ
ン減少効果も小さい。また、イオン交換体や蒸留法を用
いて用水中のイオンを極力少なくする方法が考えられる
が、パルプ化の実機ラインを使用してパルプを製造し、
抄紙機で抄造する場合は、大量の用水の処理が必要であ
り、設備面及びコスト面で実用に供し得なかった。
【0015】本発明は、下記の態様を含む。 〔1〕 パルプスラリーをワイヤーを介して脱水処理す
ることにより形成したシートをロールプレスで圧縮脱水
処理し、脱水処理前のパルプ保水度に対する圧縮脱水処
理後のパルプ保水度の低下割合を5%以上としたパルプ
を原料として、抄紙し、得られた原紙の残留塩素イオン
濃度を110ppm以下に調整する電気絶縁積層板原紙の製造
方法。 〔2〕 ロールプレスで圧縮脱水処理したパルプの水分
が65%以下となる条件で圧縮脱水処理する〔1〕記載
の電気絶縁積層板原紙の製造方法。 〔3〕 ロールプレスで生じる白水を希釈水として利用
しない〔1〕または〔2〕記載の電気絶縁積層板原紙の
製造方法。 〔4〕 ワイヤーを介して脱水処理する際のパルプスラ
リーを30℃以上とする〔1〕、〔2〕または〔3〕記載
の電気絶縁積層板原紙の製造方法。 〔5〕 得られた原紙の残留ナトリウムイオン濃度を11
0ppm以下に調整する〔1〕、〔2〕、〔3〕または
〔4〕記載の電気絶縁積層板原紙の製造方法。
【0016】〔6〕 パルプスラリーをワイヤーを介し
て脱水処理することにより形成したシートをロールプレ
スで圧縮脱水処理し、脱水処理前のパルプ保水度に対す
る圧縮脱水処理後のパルプ保水度の低下割合を5%以上
としたパルプを原料とし、抄紙してなり、残留塩素イオ
ン濃度を110ppm以下とした電気絶縁積層板原紙。 〔7〕 ロールプレスで圧縮脱水処理したパルプの水分
が65%以下となる条件で圧縮脱水処理してなる〔6〕
記載の電気絶縁積層板原紙。
【0017】尚、パルプの保水度測定法はJ.TAPP
I No.26のパルプの保水度測定法に従って行う。
パルプの保水度は、パルプ中の柔細胞や2次ファインの
量の影響を受けるため、80メッシュの篩にかけて微細
繊維を除去したパルプで測定した。また、未処理のパル
プの保水度に対する処理後(ワイヤーを介して脱水処理
及びロールプレスで圧縮脱水処理後)のパルプの保水度
の低下割合Rを下記の式に従って算出した。ただしR0
は未処理パルプの保水度を示し、R1 は処理後パルプの
保水度を示す。 R(%)=[(R0 −R1 )/R0 ]×100 残留イオン濃度は後述のように例えば吸光光度法、原子
吸光法等により測定する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明で使用するパルプスラリー
は、パルプ繊維中イオンの圧搾除去を効率良く行うため
に蒸気等により加温することが好ましい。パルプスラリ
ーの温度は30℃以上が好ましい。より好ましくは40
℃以上である。温度が30℃よりも低いとパルプ繊維中
イオンの圧搾除去効果が低下する。
【0019】パルプスラリーを30℃以上に加温した場
合、圧縮脱水性を良くし、パルプ繊維中イオンの十分な
圧搾除去を可能にし、更に残留イオン量の充分な低減を
実現できる。パルプスラリーからシートを形成する際の
ワイヤーのメッシュは、特に限定しないが15〜50メ
ッシュが好ましい。15メッシュ未満では脱水される排
液中の繊維分が多くなり、パルプの歩留が低下する場合
があり、また、50メッシュを越えるとワイヤーの目詰
りが起きやすく脱水性能が低下することがある。ワイヤ
ーの形式は、シリンダー式、ツインワイヤー式、長網式
のいずれでも良い。シートの坪量は特に制約はなく、パ
ルプシートの圧縮脱水性及び操業面から絶乾重量換算で
500〜2500g/m2 が好ましい。
【0020】本発明では、パルプスラリーをワイヤーを
介して脱水処理することにより形成したシートを更にロ
ールプレスで圧縮脱水処理し、脱水処理前のパルプの保
水度に対する処理後パルプの保水度の低下割合を5%以
上にすることが重要である。低下割合はより好ましくは
7%以上である。5%よりも小さいと、残留イオンの減
少が不十分となり、耐銀マイグレーション性の改良は不
十分となる。保水度の低下割合に上限はないが、通常1
5%程度まで低下させることができる。
【0021】ロールプレスでパルプ繊維を圧縮脱水し水
分を低下させることは、パルプ繊維中の水を絞り出すこ
とを意味し、水と共にパルプ繊維中から効率良く濃度の
高い残留イオンが除去される。保水度は、パルプ繊維内
部の水分量の指標である。パルプの保水度低下は、パル
プ繊維中イオンの圧搾除去を意味する。更に保水度の低
下が示すように、ロールプレスによる圧縮脱水処理は、
パルプ繊維壁内の細孔を消失させ、銀がマイグレーショ
ンを起こしやすい空隙を減らす効果も有する。
【0022】またワイヤーによる脱水とロールプレスに
よる圧縮脱水処理により水分を65%以下にすることが
好ましい。これにより寸法安定性に優れた積層板原紙が
得られる。より好ましくは圧縮脱水処理して水分を55
%〜40%とする。この際の水分の下限は特に限定しな
いが、40%未満にすることは通常は困難である。
【0023】保水度の低下割合を5%以上にするために
はロールプレスの線圧を高くすることが好ましく、80
kg/cm 以上が好ましい。ロールプレスの線圧はより好ま
しくは150kg/cm 〜250kg/cm である。
【0024】ロールプレスの圧縮脱水処理工程の段数
は、1段処理あるいは2段以上の多段処理のいずれでも
良い。ロールの型式には何等制約はないが、ロールプレ
スによるパルプの圧縮脱水処理及び脱水を効率良く行う
ためには、プレーンロールよりもグルーブドロール(溝
付きロール)やサクションロール等が好ましい。上記ロ
ールプレス処理されたパルプの使用は、ウェットパルプ
の状態でも、乾燥したドライパルプの状態でも良い。未
処理パルプを配合すると残留イオン量が増加するため、
ロールプレス処理パルプ100%で使用することが更に
好ましい。
【0025】ロールプレスによる圧縮脱水処理は、公知
の酸素漂白、塩素、アルカリ、次亜塩素酸及び二酸化塩
素による多段漂白の後段に行うか、又は抄紙直前のパル
プに施しても良く、特に限定されるものではない。
【0026】一般にロールプレス等で生じる白水はパル
プ原料を含んでいること及び白水の水温が清水に比べて
高いことから処理後の原料希釈、前工程のフィルター洗
浄等の工程で再利用することが経済的な理由で行われる
が、本発明では、ロールプレスにより絞られた白水を、
ロールプレス処理後のウェットパルプ離解時に希釈水と
して使用すると、除去した残留イオンが再吸着し残留イ
オンが増加するため、好ましくは白水は使用しない。
【0027】本発明の晒クラフトパルプに使用される木
材チップは、特に限定されるものではなく、ミズナラ、
シナノキ、イタヤカエデ、ハリギリ、カツラ、ハルニ
レ、シラカンバ等の国内産(特に、北海道産)広葉樹材
か、又はユーカリ材、アカシア材等が使用できる。塩素
イオンを少なくするためにはTCFパルプの使用、酵素
を使った漂白の採用等が好ましい。本発明の積層板原紙
から積層板を製造するため、この積層板原紙に熱硬化性
樹脂を含浸して乾燥し、このようにして得られたプリプ
レグの2枚以上を積層し、所定温度及び圧力により成型
一体化することが行われる。
【0028】熱硬化性樹脂としては、一般に、レゾール
型フェノール−ホルムアルデヒド樹脂が用いられるが、
これに限定されることなく、その他の、例えば、通常の
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルム
アルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂を挙げる
ことができ、適宜選択して使用される。熱硬化される際
の加熱と加圧操作の条件は、熱硬化性樹脂の種類や量及
び積層体の構成、寸法等により変化するが、一般に15
0〜180℃程度の温度、80〜120kg/cm2
度の圧力で30〜60分間程度行われる。
【0029】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、勿論本発明はこれによって何等
制限されるものではない。尚、実施例及び比較例中の%
は特に断らない限り重量%を表す。使用した広葉樹晒ク
ラフトパルプ(以下LBKPと記す)は、国内産広葉樹
の混合材をクラフト蒸解して広葉樹未晒クラフトパルプ
(以下LUKPと記す)を製造し、このLUKPを、酸
素、アルカリ、塩素、二酸化塩素で多段漂白を行い製造
した。
【0030】実施例1〜3 濃度1.8%、温度40℃の未叩解LBKPスラリーを
ワイヤーシリンダー(ヴァキューム式ワイヤーメッシュ
25メッシュ)で脱水して水分72%のパルプシート
(固形分換算で絶乾重量で1800g/m2 )を得た。
このパルプシートをロールプレス(グルーブドロール)
1段で圧縮脱水処理した。ロールプレスの線圧は、80
kg/cm(実施例1)、150kg/cm(実施例
2)、250kg/cm(実施例3)とした。このよう
に処理したパルプの水分と保水度を測定した。更に処理
後のパルプを抄紙原料として、メラミン樹脂(商品名Su
mirez Resin8%AC :住友化学工業( 株) 製)を対パルプ
1%内添し、坪量125g/m2 、密度0.50g/c
3 の積層板原紙を抄造した。この積層板原紙の残留ナ
トリウムイオン濃度、残留塩素イオン濃度を測定した。
また積層板原紙から積層板を作製し、耐銀マイグレーシ
ョン性、寸法安定性の評価を行った。
【0031】比較例1 ワイヤープレスによるパルプシート形成及びロールプレ
スによる圧縮脱水処理を施さずに、実施例1〜3と同様
の方法でパルプの保水度(未処理パルプの保水度)を測
定した後、このパルプを抄紙原料として坪量125g/
2 、密度0.50g/cm3 の積層板原紙を抄造し
た。この積層板原紙の残留イオン濃度を測定し、また積
層板を作製し、耐銀マイグレーション性、寸法安定性の
評価を行った。
【0032】比較例2 濃度1.8%、40℃の未叩解LBKPスラリーをワイ
ヤーシリンダー(ヴァキューム式ワイヤーメッシュ25
メッシュ)で脱水して水分72%のパルプシート(固形
分換算で絶乾重量で1800g/m2 )を得た。このよ
うに処理したパルプを使用して、ロールプレスによる圧
縮脱水処理を施さずに、実施例1〜3と同様の方法でパ
ルプの保水度を測定した後、このパルプを抄紙原料とし
て坪量125g/m2 、密度0.50g/cm3 の積層
板原紙を抄造した。この積層板原紙の残留イオン濃度を
測定し、また積層板を作製し、耐銀マイグレーション
性、寸法安定性の評価を行った。
【0033】比較例3 濃度1.8%、40℃の未叩解LBKPスラリーをワイ
ヤーシリンダー(ヴァキューム式ワイヤーメッシュ 2
5メッシュ)で脱水して水分72%のパルプシート(固
形分換算で絶乾重量で1800g/m2 )を得た。この
ように処理したパルプをロールプレスによる圧縮脱水処
理を施さずに、乾燥により水分を65%以下にした。こ
のように処理したパルプを使用して、実施例1〜3と同
様の方法でパルプの保水度を測定した後、このパルプを
抄紙原料として坪量125g/m 2 、密度0.50g/
cm3 の積層板原紙を抄造した。この積層板原紙の残留
イオン濃度を測定し、また積層板を作製し、耐銀マイグ
レーション性、寸法安定性の評価を行った。
【0034】比較例4 濃度1.8%、25℃の未叩解LBKPスラリーをワイ
ヤーシリンダー(ヴァキューム式ワイヤーメッシュ 2
5メッシュ)で脱水して水分76%のパルプシート(固
形分換算で絶乾重量で1800g/m2 )を得た。この
パルプシートをロールプレス(グルーブドロール)、線
圧250kg/cmで圧縮脱水処理し、実施例1〜3と
同様の方法でパルプの保水度を測定した後、このパルプ
を抄紙原料として坪量125g/m2 、密度0.50g
/cm3 の積層板原紙を抄造した。この積層板原紙の残
留イオン濃度を測定し、また積層板を作製し、耐銀マイ
グレーション性、寸法安定性の評価を行った。
【0035】積層板原紙中の残留Na+ イオンの測定法 絶乾原紙重量換算にて3gの原紙に対して100mlの
0.1規定塩酸を加えて1時間煮沸する。その後、ろ過
して抽出液中のNa+ イオンを原子吸光法にて測定し、
原紙中のNa+ イオン濃度に換算した。残留Na+ イオ
ンは少ない程耐銀マイグレーション性が良好となるが、
110ppm以下であれば良好である。
【0036】積層板原紙中の残留Cl- イオンの測定法 絶乾原紙重量換算にて5gの原紙に対して150mlの
純水を加えて1時間煮沸する。その後、ろ過して抽出液
中の塩化物イオンをJIS K0101の吸光光度法に
準じて測定し、原紙中のCl- イオン濃度に換算した。
残留Cl- イオンは少ない程耐銀マイグレーション性が
良好となるが、110ppm以下であれば概ね良好である。
【0037】積層板の作製法 積層板の製造法は、積層板原紙に、市販水溶性フェノー
ル樹脂(商品名ショウノールBRL−2854:昭和高
分子( 株) 製)を含浸し、乾燥機で乾燥することによ
り、樹脂と基材の比率が15:85の一次プリプレグを
作製し、次にこの一次プリプレグに市販の油変性フェノ
ール樹脂(商品名ショウノールBLS−3122:昭和
高分子( 株) 製)を含浸し、乾燥して、水溶性フェノー
ル樹脂と油変性フェノール樹脂の両方を合せた樹脂と基
材の比率が50:50のプリプレグを製造した。次にプ
リプレグを8枚重ね、165℃、100kg/cm2
60分間加圧成型することによって、フェノール樹脂積
層板を得た。
【0038】積層板の耐銀マイグレーション性の評価法 積層板に銀ペーストで線幅1mm、線間1mmの櫛形電
極を作製し、イオンマイグレーション評価システム(A
MI−025−P:タバイエスペック( 株) 製)を使用
して、40℃、93%RHの恒温恒湿中で、50Vの直
流電圧を印加した状態で電極間の絶縁抵抗を測定した。
評価にあたって、試験開始時の結露防止のため、40℃
で1時間放置し、サンプルが十分その温度に安定した
後、湿度設定を行い、湿度設定1時間後より測定を開始
した。評価基準としては、電極間絶縁抵抗を連続測定
し、106 Ω以下になった基板にはマイグレーションが
発生していると判断した。この連続測定データより、初
回マイグレーション発生までの時間(故障発生時間)を
評価の目安とした。通常の市販回路基板の評価を行った
場合、前記の条件下において1000時間以上の耐久性
が要求されるが、前記の積層板作製法のように基板に全
く耐湿処理をしていない場合には300時間以上の耐久
性を持つものは概ね良好と判断される。
【0039】寸法安定性の評価法 積層板の寸法安定性の評価法は、次の方法により寸法変
化率を測定することにより行う。積層板にスパン250
mmで標点を付け、加熱冷却前後の標点間の寸法を高精
度2次元座標測定装置(例えば、デジタルリーダーDR
−555−D:大日本スクリーン製造( 株) )で測定し
た。寸法変化率αは下記の式より求める。積層板原紙が
通常の抄紙機で抄造され、異方性を有する場合、寸法変
化率は縦方向、横方向をもって示す。寸法変化率は、根
本的には0%に近い程良好である。ただしL0 は加熱冷
却前の標点間の長さを示し、L1 は160℃、1時間加
熱処理、冷却後の標点間の長さを示す。 α(%)=[(L0 −L1 )/L0 ]×100 実施例で得られた結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】表1から明らかなように、本発明の積層板
原紙から製造される積層板は、耐銀マイグレーション性
を改良することが可能である(実施例1〜3)。また積
層板の寸法安定性にも優れる。
【0042】
【発明の効果】前記したごとく、本発明は、積層板加工
時の寸法安定性が良好で、プリント配線板の耐銀マイグ
レーション性が良好な積層板を製造するのに最も適した
積層板原紙を提供するという効果を奏する。従って、そ
の工業的意義は極めて大きい。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプスラリーをワイヤーを介して脱水
    処理することにより形成したシートをロールプレスで圧
    縮脱水処理し、脱水処理前のパルプ保水度に対する圧縮
    脱水処理後のパルプ保水度の低下割合を5%以上とした
    パルプを原料として抄紙し、得られた原紙の残留塩素イ
    オン濃度を110ppm以下に調整する電気絶縁積層板原紙の
    製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003073988A (ja) * 2001-08-30 2003-03-12 Hokuetsu Paper Mills Ltd 樹脂配合用繊維材料及びそれを用いた樹脂組成物並びに成形品及びその製造方法
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