JPH0964235A - 窒化けい素回路基板 - Google Patents

窒化けい素回路基板

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JPH0964235A
JPH0964235A JP7217376A JP21737695A JPH0964235A JP H0964235 A JPH0964235 A JP H0964235A JP 7217376 A JP7217376 A JP 7217376A JP 21737695 A JP21737695 A JP 21737695A JP H0964235 A JPH0964235 A JP H0964235A
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JP
Japan
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silicon nitride
circuit board
substrate
thermal conductivity
circuit layer
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JP7217376A
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Mitsuhiro Okamoto
岡本  光弘
Kimiya Miyashita
公哉 宮下
Kazuo Ikeda
和男 池田
Michiyasu Komatsu
通泰 小松
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/03Use of materials for the substrate
    • H05K1/0306Inorganic insulating substrates, e.g. ceramic, glass
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/09Use of materials for the conductive, e.g. metallic pattern
    • H05K1/092Dispersed materials, e.g. conductive pastes or inks
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K3/00Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
    • H05K3/38Improvement of the adhesion between the insulating substrate and the metal

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Abstract

(57)【要約】 【課題】窒化けい素焼結体が本来備える高強度高靭性特
性を利用し、さらに熱伝導率が高く放熱性に優れるとと
もに耐熱サイクル特性を大幅に改善した窒化けい素回路
基板を提供する。 【解決手段】60W/m・K以上の熱伝導率を有する高
熱伝導性窒化けい素基板2上に、WまたはMoを主成分
とする高融点金属から成る回路層3を形成した窒化けい
素回路基板1において、上記高融点金属から成る回路層
4と高熱伝導性窒化けい素基板2との密着強度が3kgf/
mm2 以上であることを特徴とする。また高熱伝導性窒化
けい素基板2および回路層3は同時焼成法により形成し
てもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体装置等に使用
される窒化けい素回路基板に係り、特に回路層と基板と
の密着強度が大きく、機械的強度および耐熱サイクル特
性を改善できるとともに放熱特性に優れた窒化けい素回
路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からアルミナ(Al2 3 )焼結体
などのように絶縁性に優れたセラミックス基板の表面
に、導電性を有する金属回路層をろう材で一体に接合
し、さらに金属回路層の所定位置に半導体素子を搭載し
た回路基板が広く普及している。
【0003】一方、窒化けい素を主成分とするセラミッ
クス焼結体は、一般に1000℃以上の高温度環境下で
も優れた耐熱性を有し、かつ耐熱衝撃性にも優れている
ことから、従来の耐熱性超合金に代わる高温構造材料と
してガスタービン用部品、エンジン用部品、製鋼用機械
部品等の各種高強度耐熱部品への応用が試みられてい
る。また、金属に対する耐食性が優れていることから溶
融金属の耐溶材料としての応用も試みられ、さらに耐摩
耗性も優れていることから、軸受等の摺動部材、切削工
具への実用化も図られている。
【0004】従来より窒化けい素セラミックス焼結体の
組成として、窒化けい素に酸化イットリウム(Y
2 3 ),酸化セリウム(CeO),酸化カルシウム
(CaO)などの希土類元素あるいはアルカリ土類元素
の酸化物を焼結助剤として添加されたものが知られてお
り、これら焼結助剤により焼結性を高めて緻密化・高強
度化が図られている。
【0005】従来の窒化けい素焼結体は、窒化けい素原
料粉末に上記のような焼結助剤を添加し成形し、得られ
た成形体を1600〜1850℃程度の温度で焼成炉で
所定時間焼成した後に炉冷し、得られた焼結体を研削研
摩加工する製法で製造されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来方法によって製造された窒化けい素焼結体では、靭性
値などの機械的強度は優れているものの、熱伝導特性の
点では、他の窒化アルミニウム(AlN)焼結体、酸化
ベリリウム(BeO)焼結体や炭化けい素(SiC)焼結体
などと比較して著しく低いため、特に放熱性を要求され
る半導体用回路基板などの電子用材料としては実用化さ
れておらず、用途範囲が狭い難点があった。
【0007】一方上記窒化アルミニウム焼結体は他のセ
ラミックス焼結体と比較して高い熱伝導率と低熱膨張係
数の特長を有するため、高速化、高出力化、多機能化、
大型化が進展する半導体素子(チップ)を搭載するため
の回路基板部品やパッケージ材料として主流となってい
るが、機械的強度の点で充分に満足できるものは得られ
ていない。そこで高い機械的強度を有するとともに高い
熱伝導率も併せ持ったセラミックス焼結体の開発が要請
されていた。
【0008】すなわち、上記窒化アルミニウム焼結体基
板を主たる構成材とする回路基板を、アッセンブリ工程
にて実装ボートにねじ止め等により固定しようとする
と、ねじの押圧力による僅かな変形やハンドリング時の
衝撃によって回路基板が破損し、半導体装置の製造歩留
りを大幅に低減させる場合がある。したがって、回路基
板においても、外力に耐える高強度特性と、高靭性特性
と、高出力化,高発熱量化に対応できる優れた放熱特性
とを兼ね備えたものが要請されている。
【0009】また上記のような窒化アルミニウム基板表
面に金属回路層および半導体素子を一体に接合して形成
した回路基板においては、窒化アルミニウム本来の高熱
伝導性による優れた放熱特性は発揮されるが、窒化アル
ミニウム基板自体の機械的強度および靭性が不充分であ
ったため、半導体素子の作動に伴う繰り返しの熱サイク
ルを受けて、金属回路層の接合部付近の窒化アルミニウ
ム基板にクラックが発生し易く、また回路層の剥離が生
じ易く、耐熱サイクル特性および信頼性が低いという問
題点があった。
【0010】本発明は上記のような課題要請に対処する
ためになされたものであり、窒化けい素焼結体が本来備
える高強度高靭性特性を利用し、さらに熱伝導率が高く
放熱性に優れるとともに耐熱サイクル特性を大幅に改善
した窒化けい素回路基板を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するために、回路基板の放熱性(熱伝導率)を劣化さ
せず、強度および靭性値を共に満足するような基板材料
を研究するとともに、回路基板のアッセンブリ工程にお
いて発生する締め付け割れや熱サイクル付加時に発生す
るクラックおよび回路層の剥離を防止する対策について
鋭意研究を重ねた。その結果、基板材料については、組
成および製造条件を適正に制御することにより、従来に
はない高い熱伝導率を有する窒化けい素焼結体が得られ
ることが判明した。また回路層を形成するための高融点
金属材ペースト中に、基板成分やTi化合物を添加して
おくことにより、回路層と窒化けい素基板との密着強度
が大幅に改善され、耐久性が優れた回路基板が得られる
ことが判明した。さらに、窒化けい素粉末に樹脂系バイ
ンダと溶剤とを混合した原料混合体をシート成形した後
に、高融点金属を主成分とするペーストによりシート成
形体に回路パターンを印刷し、この回路パターンとシー
ト成形体とを同時に脱脂焼結して、基板表面に回路層を
一体に形成して回路基板とすることにより、回路基板の
たわみ量および抗折強度値を大幅に増加させることが可
能となり、アッセンブリ工程における回路基板の締め付
け割れ等を効果的に低減できること、耐熱サイクル特性
を大幅に改善できること、などを見出し本発明を完成す
るに至った。
【0012】すなわち、本発明者は、従来使用されてい
た窒化けい素粉末の種類、焼結助剤や添加物の種類およ
び添加量、焼結条件に検討を加え、従来の窒化けい素焼
結体の有する熱伝導率の2倍以上の高い熱伝導性を有す
る窒化けい素焼結体を開発した。さらに、この窒化けい
素組成を基板材料として使用し、ドクターブレード法な
どのシート成形法を利用してグリーンシート状に成形し
た後に、グリーンシート表面にタングステン(W)など
の高融点金属を主成分とする導体ペーストを所定形状に
印刷して回路パターンを形成した後に、同時焼成し、し
かる後に回路層にニッケルなどのめっき層を形成して回
路基板を製造したときに、回路層と窒化けい素基板との
密着強度が増大化するとともに、機械的強度、靭性値、
耐熱サイクル特性および放熱性を全て満足する窒化けい
素回路基板が得られることを実験により確認した。
【0013】具体的には、微細で高純度の窒化けい素粉
末に希土類元素酸化物等を所定量ずつ添加した原料混合
体を成形脱脂し、得られた成形体を所定温度で一定時間
加熱保持して緻密化焼結を実施した後、所定以下の冷却
速度で徐冷し、得られた焼結体を研削研摩加工して製造
したときに熱伝導率が従来の窒化けい素焼結体の2倍以
上、具体的には60W/m・K以上と大きく向上し、か
つ高強度高靭性を有する窒化けい素焼結体が得られるこ
とが判明し、放熱特性および強度特性を共に満足する新
規な窒化けい素材料を開発した。そして、この窒化けい
素材料を、同時焼成メタライズ基板の基板材料に適用し
たときに、優れた放熱特性と耐久性と耐熱サイクル特性
とを同時に達成できることが判明した。
【0014】また、酸素や不純物陽イオン元素含有量を
低減した高純度の窒化けい素原料粉末を使用し、上記条
件にて焼結後、緩速度で冷却することにより、窒化けい
素焼結体の粒界相におけるガラス相(非晶質相)の生成
を効果的に抑制でき、粒界相における結晶化合物を20
体積%以上(粒界相全体に対し)、より好ましくは50
体積%以上とすることにより、希土類元素酸化物のみを
原料粉末に添加した場合においても60W/m・K以
上、さらに好ましくは80W/m・K以上の高熱伝導率
を有する窒化けい素焼結体基板が得られるという知見を
得た。
【0015】また、従来、焼結操作終了後に焼成炉の加
熱用電源をOFFとして焼結体を炉冷していた場合に
は、冷却速度が毎時400〜800℃と急速であった
が、本発明者の実験によれば、特に冷却速度を毎時10
0℃以下に緩速に制御することにより、窒化けい素焼結
体組織の粒界相が非結晶質状態から結晶相を含む相に変
化し、高強度特性と高伝熱特性とが同時に達成されるこ
とが判明した。
【0016】このように高強度特性および高伝熱特性を
共に満足する窒化けい素焼結体を基板材料とし、この基
板材料表面に同時焼成法により金属回路層を一体に形成
して回路基板とすることにより、回路基板全体の靭性強
度および熱伝導性を改善することができ、特に回路基板
のアッセンブリ工程における締め付け割れや熱サイクル
の付加によるクラックの発生を効果的に防止できること
が判明した。
【0017】また高融点金属から成る回路層に窒化けい
素粉を添加したり、チタン化合物を含有させることによ
り回路層と窒化けい素基板との結合強度を高められると
いう知見も得られた。
【0018】本発明は上記知見に基づいて完成されたも
のである。すなわち本発明に係る窒化けい素回路基板
は、60W/m・K以上の熱伝導率を有する高熱伝導性
窒化けい素基板上に、WまたはMoを主成分とする高融
点金属から成る回路層を形成した窒化けい素回路基板に
おいて、上記高融点金属から成る回路層と高熱伝導性窒
化けい素基板との密着強度が3kgf/mm2 以上であること
を特徴とする。また高熱伝導性窒化けい素基板および回
路層は同時焼成法により形成するとよい。
【0019】さらにWまたはMoを主成分とする高融点
金属から成る回路層に、窒化けい素粉が添加されている
ことを特徴とする。ここで窒化けい素粉は、高融点金属
から成る回路層に対して1〜10重量%の割合で添加す
るとよい。また窒化けい素粉の平均粒径は0.5〜10
μmの範囲に設定するとよい。
【0020】さらにWまたはMoを主成分とする高融点
金属から成る回路層に、Ti化合物が含有されているこ
とを特徴とする。ここでTi化合物は、高融点金属から
成る回路層に対して0.5〜5重量%の割合で添加する
とよい。また高熱伝導性窒化けい素基板が80W/m・
K以上の熱伝導率を有することが、さらに望ましい。こ
こで回路基板の最上面には、一般に半導体素子,抵抗素
子,リードフレームなどの各種部品が搭載され、半田等
のろう付け接合によって回路層に一体に接合される。そ
のため回路層と基板との接合部は、上記のろう付け温度
においても相互に剥離することがないように、少なくと
も3kgf/mm2 の密着強度を備える必要がある。
【0021】また回路層に共生地として添加される窒化
けい素粉は、回路層と高熱伝導性窒化けい素基板との熱
膨張差を緩和するとともに、基板成分と反応して回路層
と窒化けい素基板との接合強度を高めるために、回路層
に対して1〜10重量%の範囲で添加される。添加量が
1重量%未満の場合には、上記熱膨張差の緩和作用およ
び接合強度の改善効果が不十分である一方、添加量が1
0重量%を超えると回路層の電気抵抗が増加するため、
信号の高速処理への対応が困難になる。
【0022】また上記窒化けい素粉の平均粒径が0.5
μm未満であると回路層の接合強度の改善効果が少ない
一方、平均粒径が10μmを超えるように粗大になると
回路層の電気抵抗に悪影響を及ぼすため、平均粒径が
0.5〜10μmの窒化けい素を使用することが望まし
い。
【0023】TiO2 などのTi化合物は、焼成過程に
おいて分解し、発生したTi原子がSi3 4 基板側に
拡散・吸着し、TiNなどの反応生成物を形成する。こ
の反応生成物はSi3 4 結晶格子とエピタキシー関係
を保ちながら接合界面に連続的に形成され、そのアンカ
ー効果によって回路層とSi3 4 基板との密着強度が
強化される。上記Ti化合物の含有量が回路層に対して
0.5重量%未満の場合には、密着強度の改善効果が少
ない一方、含有量が5重量%を超える過量になると、窒
化けい素粉と同様に回路層の電気抵抗を増大させるた
め、Ti化合物の含有量は回路層に対して0.5〜5重
量%の範囲に設定される。
【0024】本発明に係る窒化けい素回路基板は、例え
ば以下の方法で製造される。すなわち、酸素を1.7重
量%以下、不純物陽イオン元素としてのLi,Na,
K,Fe,Ca,Mg,Sr,Ba,Mn,Bを0.3
重量%以下、α相型窒化けい素を90重量%以上含有
し、平均粒径0.8μm以下の窒化けい素粉末に、希土
類元素を酸化物に換算して1.0〜12.5重量%を添
加した原料混合体を、例えばドクターブレード法などの
シート成形法により成形し、シート状のグリーンシート
を作成する。一方、W粉末またはMo粉末に、必要に応
じて窒化けい素粉またはTi化合物粉末を所定量配合し
て、さらに有機バインダと均一に混合してペースト状の
回路層用材料を調製する。そしてスクリーン印刷機を使
用して上記ペースト状の回路層用材料をグリーンシート
上に印刷して膜厚15μm程度の所定形状の回路パター
ンを形成した印刷体とし、乾燥する。さらに乾燥した印
刷体を非酸化性ガス雰囲気中で温度600〜800℃で
脱脂した後に、この脱脂体を、2〜10気圧程度の非酸
化性ガス雰囲気中で1800〜2000℃で2〜10時
間保持して、Si3 4 グリーンシートおよび回路層用
材料を同時焼成し、上記焼結温度から、上記希土類元素
により焼結時に形成された液相が凝固する温度までに至
る焼結体の冷却速度を毎時100℃以下に設定し、緩速
度で冷却して製造される。なお脱脂体中に残存するバイ
ンダー由来の炭素量は基板材料中において0.3重量%
以下が好ましい。炭素量が0.3重量%以下ならば焼結
工程において脱酸素剤として作用して、高熱伝導率の発
現に寄与するが、0.3重量%を超える量では焼結を阻
害して緻密度の低下を招くためである。
【0025】また上記製造方法において、高熱伝導性窒
化けい素基板部を形成するための原料混合体に、さらに
Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの
酸化物,炭化物、窒化物、けい化物、硼化物からなる群
より選択される少なくとも1種を0.2〜3.0重量%
と、必要に応じてアルミナおよび窒化アルミニウムの少
なくとも一方を0.1〜2.0重量%とを添加してもよ
い。
【0026】上記製造方法によれば、窒化けい素結晶組
織中に希土類元素等を含む粒界相が形成され、気孔率が
1.5%以下、熱伝導率が60W/m・K以上、三点曲
げ強度が室温で80kg/mm2 以上の機械的特性および熱
伝導特性が共に優れた窒化けい素回路基板が得られる。
【0027】本発明の回路基板を構成する高熱伝導性窒
化けい素基板の主原料となる窒化けい素粉末としては、
焼結性、強度および熱伝導率を考慮して、酸素含有量が
1.7重量%以下、好ましくは0.5〜1.5重量%、
Li,Na,K,Fe,Mg,Ca,Sr,Ba,M
n,Bなどの不純物陽イオン元素の含有量が0.3重量
%以下、好ましくは0.2重量%以下で、焼結性が優れ
たα相型窒化けい素を90重量%以上、好ましくは93
重量%以上含有し、平均粒径が0.8μm以下、好まし
くは0.4〜0.6μm程度の微細な窒化けい素粉末を
使用する。
【0028】平均粒径が0.8μm以下の微細な原料粉
末を使用することにより、少量の焼結助剤であっても気
孔率が1.5%以下の緻密な焼結体を形成することが可
能であり、また焼結助剤が熱伝導特性を阻害するおそれ
も減少する。
【0029】またFe,Mg,Ca,Sr,Ba,M
n,B,Li,Na,Kは不純物陽イオン元素として熱
伝導性を阻害する物質として作用するため、60W/m
・K以上の熱伝導率を確保するためには、上記不純物陽
イオン元素の含有量は合計で0.3重量%以下に設定さ
れる。さらにβ相型と比較して焼結性に優れたα相型窒
化けい素を90重量%以上含有する窒化けい素原料粉末
を使用することにより、高密度の高熱伝導性窒化けい素
基板を製造することができる。
【0030】また窒化けい素原料粉末に焼結助剤として
添加する希土類元素としてはY,La,Sc,Pr,C
e,Nd,Dy,Ho,Gdなどの酸化物もしくは焼結
操作により、これらの酸化物となる物質が単独で、また
は2種以上の酸化物を組み合せたものを含んでもよい
が、特に酸化イットリウム(Y2 3 )が好ましい。こ
れらの焼結助剤は、窒化けい素原料粉末と反応して液相
を生成し、焼結促進剤として機能する。
【0031】上記焼結助剤の添加量は、酸化物換算で原
料粉末に対して1.0〜12.5重量%の範囲に設定さ
れる。この添加量が1.0重量%未満と過少の場合は、
焼結体(高熱伝導性窒化けい素基板)が緻密化されず、
一方、添加量が12.5重量%を超える過量となると、
過量の粒界相が生成し、熱伝導率の低下や強度が低下し
始めるので上記範囲に設定される。特に好ましくは3.
0〜6.0重量%に設定することが望ましい。
【0032】さらに、他の添加成分としてのアルミナ
(Al2 3 )は、上記希土類元素の焼結促進剤の機能
を助長する役目を果すものであり、特に加圧焼結を行な
う場合に著しい効果を発揮するものである。Al2 3
の添加量が0.1重量%未満の場合においては緻密化が
不充分である一方、2.0重量%を超える過量となる場
合には過量の粒界相を生成したり、または窒化けい素に
固溶し始め、熱伝導の低下が起こるため、添加量は2.
0重量%以下、好ましくは0.1〜2.0重量%の範囲
に設定される。特に強度、熱伝導率共に良好な性能を確
保するためには添加量を0.2〜1.5重量%の範囲に
設定することが望ましい。
【0033】また、後述するAlNと併用する場合に
は、その合計添加量は2.0重量%以下に設定すること
が望ましい。
【0034】さらに他の添加成分としての窒化アルミニ
ウム(AlN)は焼結過程における窒化けい素の蒸発な
どを抑制するとともに、上記希土類元素の焼結促進剤と
しての機能をさらに助長する役目を果すものである。
【0035】AlNの添加量が0.3重量%未満(アル
ミナと併用する場合では0.1重量%未満)の場合にお
いては緻密化が不充分である一方、2.0重量%を超え
る過量となる場合には過量の粒界相を生成したり、また
は窒化けい素に固溶し始め、熱伝導の低下が起こるた
め、添加量は2.0重量%以下、好ましくは0.3〜
2.0重量%の範囲に設定される。特に強度、熱伝導率
共に良好な性能を確保するためには添加量を0.5〜
1.5重量%の範囲に設定することが望ましい。なお前
記Al2 3 と併用する場合には、AlNの添加量は
0.1〜2.0重量%の範囲が好ましい。
【0036】また他の添加成分として使用するTi,Z
r,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの酸化物,
炭化物、窒化物、けい化物、硼化物は、上記希土類元素
の焼結促進剤の機能を促進すると共に、結晶組織におい
て分散強化の機能を果しSi3 4 基板の機械的強度を
向上させるものである。これらの化合物の添加量が0.
2重量%未満の場合においては構造部材の緻密化が不充
分である一方、3.0重量%を超える過量となる場合に
は熱伝導率および機械的強度や電気絶縁破壊強度の低下
が起こるため、添加量は0.2〜3.0重量%の範囲に
設定される。特に好ましくは0.3〜2.0重量%に設
定することが望ましい。
【0037】また上記Ti,Zr,Hf等の化合物は窒
化けい素基板を着色し不透明性を付与する遮光剤として
も機能する。そのため、特に光によって誤動作を生じ易
い集積回路等を搭載する回路基板に適用する場合には、
上記化合物を適正に添加し、遮光性に優れた窒化けい素
基板とすることが望ましい。
【0038】また窒化アルミニウム(AlN)は焼結過
程における窒化けい素の蒸発などを抑制する一方、上記
焼結促進剤の機能をさらに助長し、アルミナと同様に上
記Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W
などの酸化物の添加量を相対的に軽減する役目を果す。
これらアルミナや窒化アルミニウムなどのアルミニウム
化合物の添加量はTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,
Cr,Mo,Wの酸化物などの添加量と密接な関係があ
る。すなわち上記Ti化合物等の添加量が0.2重量%
未満であり、かつAl2 3 およびAlN等のアルミニ
ウム化合物が単独または併用して添加され、その添加量
が0.1重量%未満の場合においては緻密化が不充分で
ある一方、アルミニウム化合物の添加量が2.0重量%
を超える過量となる場合には過量の粒界相を生成した
り、または窒化けい素に固溶し始め、熱伝導の低下が起
こるため、添加量は0.1〜2.0重量%の範囲に設定
される。特に強度、熱伝導率共に良好な性能を確保する
ためには添加量を0.2〜1.5重量%の範囲に設定す
ることが望ましい。
【0039】また窒化けい素基板の気孔率は熱伝導率お
よび強度に大きく影響するため1.5%以下、望ましく
は0.5%以下に設定される。気孔率が1.5%を超え
ると熱伝導の妨げとなり、窒化けい素基板の熱伝導率が
低下するとともに、窒化けい素基板の強度低下が起こ
る。
【0040】また、窒化けい素結晶組織に形成される粒
界相は窒化けい素基板の熱伝導率に大きく影響するた
め、本発明で使用する高熱伝導性窒化けい素基板におい
ては、体積比で粒界相の20%以上が結晶相で占めるよ
うにすることが重要である。結晶相が20%未満では熱
伝導率が60W/m・K以上となるような放熱特性に優
れ、かつ高温強度に優れた窒化けい素基板が得られない
からである。
【0041】さらに上記のように窒化けい素基板の気孔
率を1.5%以下にし、また窒化けい素結晶組織に形成
される粒界相の20体積%以上が結晶相で占めるように
するためには、窒化けい素成形体を温度1800〜20
00℃で0.5〜10時間程度、加圧焼結し、かつ焼結
操作完了直後における焼結体の冷却速度を毎時100℃
以下に調整制御することが必要である。
【0042】焼結温度を1800℃未満に設定した場合
には、焼結体の緻密化が不充分で気孔率が1.5vol%以
上になり機械的強度および熱伝導性が共に低下してしま
う。一方焼結温度が2000℃を超えると窒化けい素成
分自体が蒸発分解し易くなる。特に加圧焼結ではなく、
常圧焼結を実施した場合には、1800℃付近より窒化
けい素の分解蒸発が始まる。
【0043】上記焼結操作完了直後における焼結体の冷
却速度は粒界相を結晶化させるために重要な制御因子で
あり、冷却速度が毎時100℃を超えるような急速冷却
を実施した場合には、焼結体組織の粒界相が非結晶質
(ガラス相)となり、焼結体に生成した液相が結晶相と
して粒界相に占める体積割合が20%未満となり、強度
および熱伝導性が共に低下してしまう。
【0044】上記冷却速度を厳密に調整すべき温度範囲
は、所定の焼結温度(1800〜2000℃)から、前
記の焼結助剤の反応によって生成する液相が凝固するま
での温度範囲で充分である。ちなみに前記のような焼結
助剤を使用した場合の液相凝固点は概略1500〜16
00℃程度である。そして少なくとも焼結温度から上記
液相凝固温度に至るまでの焼結体の冷却速度を毎時10
0℃以下、好ましくは50℃以下に制御することによ
り、粒界相の20%以上望ましくは50%以上が結晶相
になり、熱伝導率および機械的強度が共に優れた高熱伝
導性窒化けい素基板が最終的に得られる。
【0045】本発明に使用される高熱伝導性窒化けい素
基板は、例えば以下のようなプロセスを経て製造され
る。すなわち前記所定の微細粒径を有し、また不純物含
有量が少ない微細な窒化けい素粉末に対して所定量の焼
結助剤、有機バインダ等の必要な添加剤およびAl2
3 やAlNまたはTi,Zr,Hf等の化合物を加えて
原料混合体を調整し、次に得られた原料混合体を成形し
て所定形状の成形体を得る。原料混合体の成形法として
は、汎用の金型プレス法、あるいはドクターブレード法
のようなシート成形法なども適用できる。上記成形操作
に引き続いて、成形体を非酸化性雰囲気中で温度600
〜800℃で1〜2時間加熱して、予め添加していた有
機バインダ成分を充分に除去し、脱脂する。次に脱脂処
理された成形体を窒素ガス、水素ガスやアルゴンガスな
どの不活性ガス雰囲気中で1800〜2000℃の温度
で所定時間雰囲気加圧焼結を行い、さらに得られた焼結
体を研削研摩加工して所定形状の高熱伝導性窒化けい素
基板が得られる。
【0046】上記製法によって製造された高熱伝導性窒
化けい素基板は気孔率が1.5%以下、60W/m・K
(25℃)以上の高熱伝導率を有し、また三点曲げ強度
が常温で60kgf/mm2 以上、さらには80kgf/mm2 以上
と機械的特性にも優れている。
【0047】また上記高熱伝導性窒化けい素基板の厚さ
は、回路基板として使用した場合の要求特性に応じて種
々の厚さに設定されるが、通常は0.25〜1.2mmの
範囲である。特に、この窒化けい素基板の厚さを0.8
mm以下に設定することにより、回路基板全体の厚さを低
減することができ、回路基板の上下面間の熱抵抗差を、
より効果的に減少させることが可能になり、回路基板全
体の放熱性を、より改善することができる。
【0048】本発明に係る窒化けい素回路基板は、上記
のように製造した高熱伝導性窒化けい素基板の表面に、
導電性を有する回路層を一体に接合して製造される。
【0049】上記回路層の形成方法は、特に限定されな
いが、以下に説明する高融点金属メタライズ法で形成す
ることが望ましい。すなわちメタライズ法では、モリブ
デン(Mo)やタングステン(W)などの高融点金属と
Tiやその化合物とを主成分とするペースト状のメタラ
イズ組成物を窒化けい素基板表面に焼き付けて、厚さ1
5μm程度の回路層としての高融点金属メタライズ層を
形成する方法である。なお窒化けい素基板および回路層
を同時焼成法によって形成することもできる。このメタ
ライズ法により、回路層を形成する場合には、メタライ
ズ層表面にさらにNiやAuから成る厚さ3〜5μm程
度の金属めっき層を形成することが好ましい。この金属
めっき層を形成することにより、メタライズ層の表面平
滑性が改善され、半導体素子との密着性がより改善され
るとともに、半田濡れ性が向上するため、半田を使用し
た半導体素子の接合強度をより高めることができる。
【0050】上記のようにして製造した窒化けい素回路
基板の最大たわみ量は、回路基板のアッセンブリ工程に
おける締め付け割れの発生割合に大きな影響を及ぼす因
子であり、本発明では上記最大たわみ量が0.6mm以
上、さらには0.8mm以上の回路基板が得られる。上記
最大たわみ量が0.6mm未満では、アッセンブリ工程に
おける回路基板の締め付け割れが急増し、回路基板を使
用した半導体装置の製造歩留りが急減してしまう。
【0051】また回路基板の抗折強度も上記締め付け割
れの発生割合に影響を及ぼすとともに、窒化けい素基板
の薄型化の可否を支配する因子であり、本発明では抗折
強度が500MPa以上の回路基板が得られる。この抗
折強度が500MPa未満の場合では回路基板の締め付
け割れが増加する一方、従来の他のセラミックス基板よ
りも厚さを薄くすることが困難となり、薄型化に伴う回
路基板全体の熱抵抗値を相乗的に低減することが困難と
なる。
【0052】本発明に係る窒化けい素回路基板によれ
ば、窒化けい素焼結体が本来的に有する高強度高靭性特
性に加えて熱伝導率を大幅に改善した高熱伝導性窒化け
い素基板表面に回路層を一体に接合して形成されてお
り、最大たわみ量が大きく、また抗折強度が高いため、
アッセンブリ工程において回路基板の締め付け割れが発
生せず、回路基板を用いた半導体装置を高い製造歩留り
で量産することが可能になる。
【0053】また窒化けい素基板の靭性値が高いため、
熱サイクルによって基板に割れが発生することが少な
く、耐熱サイクル特性が著しく向上し、耐久性および信
頼性に優れた半導体装置を提供することができる。
【0054】さらに従来では達成されていない高い熱伝
導率を有する窒化けい素基板を使用しているため、高出
力化および高集積化を指向する半導体素子を搭載した場
合においても、熱抵抗特性の劣化が少なく、優れた放熱
特性を発揮する。
【0055】特に窒化けい素基板自体の機械的強度が優
れているため、要求される機械的強度特性を一定とした
場合に、他のセラミックス基板と比較して基板厚さをよ
り低減することが可能となる。この基板厚さを低減でき
ることから熱抵抗値をより小さくでき、放熱特性をさら
に改善することができる。また要求される機械的特性に
対して、従来より薄い基板でも充分に対応可能となるた
め、回路基板の高密度実装も可能となり、半導体装置を
より小型化することが可能となる。
【0056】
【実施例】次に本発明を以下に示す実施例を参照して具
体的に説明する。
【0057】実施例1〜3 酸素を1.3重量%、不純物陽イオン元素を0.15重
量%含有し、α相型窒化けい素97%を含む平均粒径
0.55μmの窒化けい素原料粉末に対して、焼結助剤
として平均粒径0.7μmのY2 3 (酸化イットリウ
ム)粉末5重量%、平均粒径0.5μmのAl2
3 (アルミナ)粉末1.5重量%を添加し、エチルアル
コール中で24時間湿式混合した後に乾燥して原料粉末
混合体を調整した。次に得られた原料粉末混合体に有機
バインダを所定量添加して均一に混合して原料スラリー
を調製した。次に調製した原料スラリーをドクターブレ
ード法により成形して、厚さがそれぞれ0.49mm,
0.73mm,0.98mmである実施例1〜3用のシート
状成形体を調製した。
【0058】一方、平均粒径1.0μmのタングステン
粉末に前記窒化けい素原料粉末混合体を脱脂した粉末を
5重量%添加し、さに有機バインダと混合してペースト
状回路材料を調製した。次にペースト状回路材料をスク
リーン印刷機により前記シート状成形体上に膜厚が15
μmとなるように印刷した後に乾燥して印刷体を形成し
た。
【0059】次に得られた印刷体を650℃の窒素雰囲
気中において2時間脱脂した後に、この脱脂体を窒素ガ
ス雰囲気中7.5気圧にて1900℃で6時間保持し、
同時緻密化焼結を実施した後に、焼結炉に付設した加熱
装置への通電量を制御して焼結炉内温度が1500℃ま
で降下するまでの間における焼結体の冷却速度がそれぞ
れ100℃/hrとなるように調整して焼結体を冷却して
それぞれ基板部の熱伝導率kが70W/m・Kであり、
厚さが0.4mm,0.6mm,0.8mmである実施例1〜
3用の同時焼成基板を調製した。
【0060】さらに調製した同時焼成基板を、7.5気
圧の窒素ガス雰囲気中で1800℃で2時間保持するこ
とにより、反り直しを実施した。しかる後に同時焼成基
板の回路部に無電解ニッケルめっき法により厚さ4μm
のニッケルめっき層を形成して、それぞれ実施例1〜3
に係る窒化けい素回路基板を多数製造した。
【0061】実施例4〜6 実施例1〜3において使用した窒化けい素原料粉末混合
体を脱脂した粉末を5重量%添加配合したペースト状回
路材料に代えて、酸化チタン(TiO2 )粉末を5重量
%添加配合したペースト状回路材料を使用した点以外は
実施例1〜3と同一条件で成形,回路印刷,脱脂,同時
焼成,反り直し処理,めっき処理を実施して、それぞれ
実施例1〜3と同一寸法を有する実施例4〜6に係る窒
化けい素回路基板を多数製造した。
【0062】図1に示すように、上記実施例1〜6に係
るSi3 4 回路基板1は、熱伝導率が70W/m・K
である高熱伝導性Si3 4 基板2の表面に、高融点金
属(W)メタライズ層から成る回路層3が同時焼成法に
より一体に形成された構造を有する。また回路層3の表
面には、厚さ4μmのニッケルめっき層4が形成されて
おり、このニッケルめっき層4上面に半導体素子5が半
田付けにより接合される。
【0063】比較例 実施例1〜6で形成した窒化けい素基板に代えて、熱伝
導率kが70W/m・Kであり厚さが0.8mmの窒化ア
ルミニウム(AlN)基板を使用した以外は実施例1〜
6と同様にWメタライズ法によってAlN基板表面に実
施例1〜6と同一形状の回路層を一体に形成して比較例
に係る回路基板を製造した。
【0064】このようにして調製した実施例1〜6およ
び比較例に係る回路基板のメタライズ部(回路層)の密
着強度を測定するために、直径0.8mmのネールヘッド
を有するコバール合金製ピンを回路層表面に半田付け
し、ピンを上方に牽引して回路層が剥離する時の引張力
をピンの接合断面積で除算して密着強度を測定した。そ
の結果、各実施例においては、いずれもピンで破断が起
り、実施例1〜3に係る回路基板においては、密着強度
が4kgf/mm2 以上となり、実施例4〜6に係る回路基板
においては3.5kgf/mm2 以上となり、いずれも高い密
着強度が得られた。一方、比較例においては、1.8〜
2.1kgf/mm2 程度の密着強度しか得られず、回路層の
剥離が生じ易いことが確認できた。
【0065】また各実施例におよび比較例に係る回路基
板の最大たわみ量および抗折強度を測定した。ここで最
大たわみ量は、支持スパン50mmで各回路基板を支持し
た状態で中央部に荷重を付加し、Si3 4 基板または
AlN基板が破断に至るまでの最大たわみ高さとして測
定した。また抗折強度は、破断時の荷重と基板断面積と
から算出した。
【0066】その結果、実施例1〜6に係る窒化けい素
回路基板1の最大たわみ量は1.0〜1.8mmの範囲で
あり、また抗折強度は650〜950MPaの範囲とな
り、従来の窒化アルミニウム基板を使用した比較例の回
路基板と比較して2倍以上の最大たわみ量と抗折強度と
を有することが判明した。また窒化けい素基板の厚さを
低減するに伴って、さらにたわみ量および抗折強度が改
善されることも確認できた。さらに基板厚さの低減化に
より、熱抵抗が減少するため、回路基板全体としての放
熱特性をさらに改善できることも確認できた。
【0067】上記各実施例に係る回路基板をアッセンブ
リ工程においてボードに実装したところ、締め付け割れ
が発生せず、回路基板を用いた半導体装置を高い製造歩
留りで量産することができた。
【0068】また各回路基板について−45℃から室温
(RT)まで加熱し、引き続き室温から+125℃まで
加熱した後に、室温を経て再び−45℃に冷却するまで
を1サイクルとする昇温−降温サイクルを繰り返して付
加し、基板部にクラック等が発生するまでのサイクル数
を測定する耐熱サイクル試験を実施したところ、実施例
1〜6の回路基板では1000サイクル経過後において
も、Si3 4 基板の割れや回路層の剥離が皆無であ
り、優れた耐熱サイクル特性を示すことが判明した。一
方、比較例の回路基板においては、100サイクルでク
ラックが発生し、耐久性が低いことが確認された。
【0069】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る窒化けい
素回路基板によれば、窒化けい素焼結体が本来的に有す
る高強度高靭性特性に加えて熱伝導率を大幅に改善した
高熱伝導性窒化けい素基板表面に回路層を一体に接合し
て形成されており、最大たわみ量が大きく、また抗折強
度が高いため、アッセンブリ工程において回路基板の締
め付け割れが発生せず、回路基板を用いた半導体装置を
高い製造歩留りで量産することが可能になる。
【0070】また窒化けい素基板の靭性値が高いため、
熱サイクルによって基板に割れが発生することが少な
く、耐熱サイクル特性が著しく向上し、耐久性および信
頼性に優れた半導体装置を提供することができる。
【0071】さらに従来では達成されていない高い熱伝
導率を有する窒化けい素基板を使用しているため、高出
力化および高集積化を指向する半導体素子を搭載した場
合においても、熱抵抗特性の劣化が少なく、優れた放熱
特性を発揮する。
【0072】特に窒化けい素基板自体の機械的強度が優
れているため、要求される機械的強度特性を一定とした
場合に、他のセラミックス基板と比較して基板厚さをよ
り低減することが可能となる。この基板厚さを低減でき
ることから熱抵抗値をより小さくでき、放熱特性をさら
に改善することができる。また要求される機械的特性に
対して、従来より薄い基板でも充分に対応可能となるた
め、回路基板の高密度実装も可能となり、半導体装置を
より小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る窒化けい素回路基板の構成例を示
す断面図。
【符号の説明】
1 窒化けい素回路基板(Si3 4 回路基板) 2 高熱伝導性窒化けい素(Si3 4 )基板 3 回路層(高融点金属メタライズ層) 4 ニッケルめっき層 5 半導体素子(チップ)
フロントページの続き (72)発明者 小松 通泰 神奈川県横浜市鶴見区末広町2の4 株式 会社東芝京浜事業所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 60W/m・K以上の熱伝導率を有する
    高熱伝導性窒化けい素基板上に、WまたはMoを主成分
    とする高融点金属から成る回路層を形成した窒化けい素
    回路基板において、上記高融点金属から成る回路層と高
    熱伝導性窒化けい素基板との密着強度が3kgf/mm2 以上
    であることを特徴とする窒化けい素回路基板。
  2. 【請求項2】 高熱伝導性窒化けい素基板および回路層
    が同時焼成法により形成されたことを特徴とする請求項
    1記載の窒化けい素回路基板。
  3. 【請求項3】 WまたはMoを主成分とする高融点金属
    から成る回路層に、窒化けい素粉が添加されていること
    を特徴とする請求項1記載の窒化けい素回路基板。
  4. 【請求項4】 窒化けい素粉が、高融点金属から成る回
    路層に対して1〜10重量%の割合で添加されているこ
    とを特徴とする請求項3記載の窒化けい素回路基板。
  5. 【請求項5】 窒化けい素粉の平均粒径が0.5〜10
    μmであることを特徴とする請求項3記載の窒化けい素
    回路基板。
  6. 【請求項6】 WまたはMoを主成分とする高融点金属
    から成る回路層に、Ti化合物が含有されていることを
    特徴とする請求項1記載の窒化けい素回路基板。
  7. 【請求項7】 Ti化合物が、高融点金属から成る回路
    層に対して0.5〜5重量%の割合で含有されているこ
    とを特徴とする請求項6記載の窒化けい素回路基板。
  8. 【請求項8】 高熱伝導性窒化けい素基板が80W/m
    ・K以上の熱伝導率を有することを特徴とする請求項1
    記載の窒化けい素回路基板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0798781A2 (en) * 1996-03-27 1997-10-01 Kabushiki Kaisha Toshiba Silicon nitride circuit board and producing method therefor
US6143677A (en) * 1997-09-03 2000-11-07 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Silicon nitride sinter having high thermal conductivity and process for preparing the same
JP2001010864A (ja) * 1999-06-23 2001-01-16 Hitachi Metals Ltd 高熱伝導窒化ケイ素質焼結体

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