JPH11100276A - 電子部品搭載用窒化ケイ素質基板及びその製造方法 - Google Patents

電子部品搭載用窒化ケイ素質基板及びその製造方法

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JPH11100276A
JPH11100276A JP9264560A JP26456097A JPH11100276A JP H11100276 A JPH11100276 A JP H11100276A JP 9264560 A JP9264560 A JP 9264560A JP 26456097 A JP26456097 A JP 26456097A JP H11100276 A JPH11100276 A JP H11100276A
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silicon nitride
substrate
oxide
silicon
sintered body
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Koichi Tanaka
広一 田中
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電子部品を搭載するための基板、特に金属部材
と接合された構造を有する基板において高熱伝導性と高
強度を有するとともに熱サイクル試験において優れた耐
久性を具備し得る電子部品搭載用窒化ケイ素質基板とそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】窒化ケイ素を主成分とし、周期律表第3a
族元素を酸化物換算で2〜10モル%の割合で含み、且
つアルミニウムの含有量が酸化物換算で0〜0.5重量
%であり、窒化ケイ素結晶の平均粒径が2μm以上、平
均アスペクト比が15以下、任意の300μm×300
μmの領域に長軸長さ20μm以上の窒化ケイ素結晶が
5個以上存在し、破壊靱性が6MPa・m1/2 以上、熱
伝導率が60W/m・K以上の焼結体を電子部品搭載用
窒化ケイ素質基板として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化ケイ素を主体
とする焼結体からなり、その表面に半導体素子やコンデ
ンサ、抵抗素子などの電子部品を搭載するための窒化ケ
イ素質基板とその製造方法に関わるものであり、詳細に
は表面に金属箔等の金属部材が接合され、さらにその金
属部材を介して電子部品が搭載される窒化ケイ素質基板
の改良に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来より窒化ケイ素材料は、室温から高温
までの強度特性、耐摩耗性、高破壊靭性、高硬度等の優
れた機械的特性に加え、低熱膨張性、耐熱衝撃性に優れ
かつ軽量であることから、これまでにさまざまな用途、
たとえば自動車エンジン、ガスタービン等高温構造部
品、ベアリング、粉砕機、定盤、ガイド、切削工具等耐
摩耗部品、さらには溶融金属に対する耐食性から金属溶
湯部品等に展開されている。
【0003】従来、半導体用のパッケージや回路基板に
おいて、近年の急速な半導体素子の高密度化、高性能化
による高温化に伴い、それらに用いられる材料としても
高熱伝導化が望まれている。これまで高熱伝導性セラミ
ックス材料としては、従来より窒化アルミニウム、炭化
ケイ素、酸化ベリリウム等が知られており、特に、半導
体パッケージや電子部品などの放熱用部材としては窒化
アルミニウム焼結体が最も用いられている。
【0004】ところが、パッケージや回路基板の使用環
境の拡大により、耐振動、耐衝撃、耐熱サイクル疲労等
の特性が要求されるようになっている。そこで、絶縁基
板として窒化ケイ素焼結体を採用することが種々提案さ
れている。
【0005】例えば、特開平4−125950号や特開
平4−125952号では、所定間隔内の窒化ケイ素結
晶粒子数を制御して高熱伝導性の窒化ケイ素基板が提案
され、さらに、特開平7−149588号では、希土類
元素酸化物およびAl2 3を含有した高熱伝導、高強
度の窒化ケイ素質焼結体をメタライズ基板として用いる
ことが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
窒化ケイ素材料からなる基板材料では、高熱伝導性や高
強度化についてはある程度高く、放熱性などの点では有
用性を有するものであるが、過酷な使用条件下で基板に
対して熱サイクルが付与されると、その表面に形成され
たメタライズ配線層との間との熱膨張差に起因する熱応
力が繰り返し付与されるという問題があった。特にこの
熱応力は、窒化ケイ素基板に対して、金属部材が接合さ
れた構造体においては、その応力は特に大きく、その結
果、この熱応力によって窒化ケイ素基板にクラックが発
生してしまうという致命的な問題があった。
【0007】従って、本発明は、電子部品を搭載するた
めの基板、特に金属部材と接合された構造を有する基板
において、高熱伝導性と高強度を有するとともに、熱サ
イクル試験において優れた耐久性を具備し得る電子部品
搭載用窒化ケイ素材料とその製造方法を提供することを
目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
に対し検討を重ねた結果、熱サイクル試験における耐久
性を高める上で、焼結体の靱性を高めることが有効であ
ること、また、焼結助剤として周期律表第3a族酸化物
を特定範囲で含む窒化ケイ素質焼結体において、窒化ケ
イ素結晶の平均粒径を特定条件を満足するように大きく
し、かつアルミニウムの量を低減することにより、熱伝
導率および強度を高めると同時に、靱性をも高めること
ができる結果、熱サイクル下においても優れた耐久性を
付与できることを見いだし、本発明に至った。
【0009】即ち、本発明の電子部品搭載用窒化ケイ素
質基板は、窒化ケイ素を主成分とし、周期律表第3a族
元素を酸化物換算で2〜10モル%の割合で含み、且つ
アルミニウムの含有量が酸化物換算で0〜0.5重量%
であり、前記窒化ケイ素結晶の平均粒径が2μm以上、
平均アスペクト比が15以下、任意の300μm×30
0μmの領域に長軸長さ20μm以上の窒化ケイ素結晶
が5個以上存在し、破壊靱性が6MPa・m1/2 以上、
熱伝導率が60W/m・K以上であることを特徴とする
ものであり、さらには、かかる窒化ケイ素質基板の表面
に金属部材が接合されてなることを特徴とする。
【0010】また、本発明の電子部品搭載用窒化ケイ素
質基板の製造方法は、β型窒化ケイ素を10%以上含有
する窒化ケイ素粉末に、周期律表第3a族元素化合物を
酸化物換算で2〜10モル%の割合で添加してなり、且
つアルミニウム含有量が酸化物換算で0〜0.5重量%
の混合粉末を基板形状に成形し、その成形体を1400
〜1800℃の窒素を含む常圧下で焼成した後、さらに
1800〜1980℃の窒素圧1.5気圧以上の雰囲気
下で焼成するか、またはケイ素、あるいはケイ素と窒化
ケイ素との混合粉末に対して、周期律表第3a族元素化
合物を酸化物換算で2〜10モル%の割合で添加してな
り、且つアルミニウム含有量が酸化物換算で0〜0.5
重量%の混合粉末を基板形状に成形し、該成形体を80
0〜1500℃の窒素含有雰囲気中で熱処理して前記ケ
イ素を窒化してβ型窒化ケイ素を10%以上含有する窒
化体を作製した後、該窒化体を1400〜1800℃の
窒素を含む常圧下で焼成し、さらにその焼結体を180
0〜1980℃の窒素圧1.5気圧以上の雰囲気下で焼
成して、前記窒化ケイ素結晶の平均粒径が2μm以上、
平均アスペクト比が15以下、任意の300μm×30
0μmの領域に長軸長さ20μm以上の窒化ケイ素結晶
が5個以上存在の焼結体を作製することを特徴とするも
のである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の電子部品搭載用窒化ケイ
素質基板は、組織上、窒化ケイ素結晶を主体とし、その
結晶粒界に、少なくとも周期律表第3a族元素を含む粒
界相から構成される。そして、窒化ケイ素結晶は、平均
粒径が2μm以上、特に3μm以上、平均アスペクト比
が15以下、特に12以下の形状からなり、且つ焼結体
の任意の300μm×300μmの領域に長軸長さ20
μm以上の窒化ケイ素結晶が5個以上、特に10個以
上、さらには15個以上存在するものである。これは結
晶粒と結晶粒の界面が多く存在するほどフォノン拡散が
大きくなり熱伝達の効率が低下するため、結晶粒を大き
くすることにより、粒界相によるフォノンの散乱が低減
される結果、焼結体の熱伝導性を向上させることができ
る。また、それと同時に、窒化ケイ素結晶の粒径を上記
の範囲を満足するように大きくすることにより、焼結体
内のクラックの進展を粗大粒子が阻止する作用をなす結
果、焼結体の靱性を向上する効果も奏する。
【0012】従って、窒化ケイ素結晶の平均粒径が2μ
mよりも小さいと、熱伝導率および破壊靱性が低下し、
平均アスペクト比が15を越えると、強度が劣化する。
また任意の300μm×300μmの領域に長軸長さ2
0μm以上の窒化ケイ素結晶が5個より少ないと、熱伝
導率、破壊靱性が共に低下する。
【0013】また、この焼結体の粒界に存在する周期律
表第3a族元素は、酸化物換算で全量中、2〜10モル
%の割合で含有される。周期律表第3a族元素として
は、Y、Sc、Sm、Gd、Nd、Dy、Ho、Er、
Tm、Yb、Lu等が挙げられるが、これらの中でもD
y、Ho、Er、Tm、Yb、Luの重希土類元素が強
度および熱伝導性を高める上で望ましい。なおこの周期
律表第3a族元素の量を上記の量に限定したのは、2モ
ル%より少ないと緻密化不足となり、熱伝導性、機械的
特性が劣化する。また10モル%より多いと粒界相量が
多くなり熱伝導率が低下するためである。
【0014】また本発明においては、粒界相は、周期律
表第3a族元素(以下、REと記載する場合があ
る。)、ケイ素、酸素及び窒素を構成元素として含む結
晶相を含むことが望ましい。具体的な結晶相としては、
RE2 Si2 7 、RE2 SiO5のRE2 3 −Si
2 系結晶、RE4 Si2 2 7 、RE10Si6 2
9、RE2 Si3 4 3 、RE2 Si3 2 5
どのSi3 4 −RE2 3−SiO2 系結晶等が挙げ
られる。このように粒界相を結晶化することにより、熱
伝導率を向上させることができる。
【0015】また本発明においては、焼結体中のアルミ
ニウム含有量が酸化物換算で0.5重量%以下であるこ
とも重要である。これはアルミニウムは酸化物、窒化物
として窒化ケイ素結晶中に固溶しサイアロン結晶中(S
iAlON)を形成する。このサイアロンはイオン結合
性が強く、窒化ケイ素結晶自体の熱伝導率を低下させる
結果、焼結体の熱伝導性を劣化させる。しかもアルミニ
ウムの存在は粒界相の結晶化を阻害する要因となる。こ
のような理由からアルミニウム含有量は極力少ない方が
好ましく、酸化物換算量で0.1重量%以下が望まし
い。
【0016】次に、上記の窒化ケイ素質基板を製造する
ための方法について説明する。窒化ケイ素原料としてそ
のβ型窒化ケイ素の含有量が10%以上の原料を用いる
ことが重要である。窒化ケイ素原料中にβ型窒化ケイ素
を含有させることにより、窒化ケイ素結晶の粗大粒が発
達し、高熱伝導率が得られる。このβ型窒化ケイ素の含
有量が10%より少ないと窒化ケイ素の結晶が十分発達
せず、高熱伝導率が得られない。窒化ケイ素原料におけ
るβ型窒化ケイ素の含有率は20〜70%であることが
特に望ましい。なお、窒化ケイ素原料は、直接窒化法で
もイミド分解法のいずれの方法によって作製されたもの
であっても問題ない。
【0017】上記の窒化ケイ素原料に対して、周期律表
第3a族化合物、特に酸化物を酸化物換算で2〜10モ
ル%の割合で添加する。用いられる周期律表第3a族元
素としては、前述した通りである。
【0018】また本発明によれば、上記の窒化ケイ素原
料のかわりに、その一部あるいは全部をケイ素に置き換
えることもできる。ケイ素は窒素中で処理することによ
り、β型窒化ケイ素に転換される。このようにして生成
した窒化ケイ素は、粒成長の核となり、窒化ケイ素結晶
が粗大した組織となり高熱伝導性を示す。またケイ素を
窒化処理して窒化ケイ素を生成する際、体積変化を伴な
わず重量増加し、高密度の成形体を窒化体を作製できる
ために、焼成時の収縮を小さくする効果もある。この場
合、ケイ素量は配合される全窒化ケイ素分のうちの少な
くとも5重量%、好ましくは10重量%以上、さらには
20〜70重量%に相当する量の窒化ケイ素を生成する
量で配合されることが望ましい。
【0019】上記のようにして原料成分を上記の比率で
配合したものを振動ミル、バレルミル、回転ミルなどに
より十分に混合した後、その混合物を金型プレス、冷間
静水圧プレス、排泥成形、鋳込み成形、ロールコンパク
ション法、ドクターブレード法などの成形手段により所
望のシート状あるいはブロック状に成形する。
【0020】但し、成形体中にケイ素を含む場合には、
焼成前に、800〜1500℃の窒素含有雰囲気中で熱
処理して前記ケイ素を窒化して窒化体を作製する工程が
必要である。この窒化工程は、それのみを単独の工程で
行なっても後述する焼成工程と連続で行なってもかまわ
ない。
【0021】焼成は、窒素を含む非酸化性雰囲気で行わ
れるが、この時本発明では、まず、成形体または窒化体
を第1焼成工程として常圧下で1400〜1800℃で
焼成した後、第2焼成工程として第1焼成工程に引き続
いて窒素圧1.5気圧以上の1800〜1950℃の温
度で焼成する。上記の第1焼成工程により、成形体中の
β型窒化ケイ素を核として、これにα型からβ型に転移
したβ型窒化ケイ素を析出させて不均一な組織を形成す
る。その後、第2焼成工程でβ型窒化ケイ素の粒成長を
さらに促進すると同時に緻密化を図ることができる。
【0022】従って、焼成工程を第1焼成工程なしに焼
成すると、微細で均質な組織となってしまい、粗大の窒
化ケイ素結晶粒を生成することができず、しかも充分に
緻密化することができず、高密度の焼結体が得られな
い。
【0023】なお、上記の焼成後の冷却過程で1000
℃までを200℃/hr以下の降温速度で徐冷するか、
または得られた焼結体を1000〜1800℃の非酸化
性雰囲気中で熱処理することにより粒界相の結晶化を図
り特性の更なる改善を行なうことができる。
【0024】上述した本発明の電子部品搭載用窒化ケイ
素質基板は、その表面に半導体素子、コンデンサ、抵抗
素子などの電子部品が搭載されるものである。特に、本
発明によれば、金属箔や金属製放熱体(ヒートシンク)
などの金属部材と接合される基板に好適である。例え
ば、図1に示すように、窒化ケイ素質基板1の表面に
は、接合用メタライズ層2を介して、または直接、金属
箔3が接合されており、その金属箔3の表面には半導体
素子などの電子部品4が搭載される。なお、この図1で
は、窒化ケイ素質基板1は、他のアルミナ、AlN、ム
ライトなどのセラミックスを絶縁基板としてその表面お
よび内部に配線層が形成された回路基板5とメタライズ
等の接合剤6を介して接合されている。
【0025】また、他の構造としては、図2に示すよう
に、電子部品が実装された窒化ケイ素質基板1は、銅、
アルミニウム、銅−タングステン、ニッケルなどの金属
材料からなる放熱体7と接合用メタライズ層8を介して
接合された構造を有する。
【0026】金属箔3や放熱体7と接合する際のメタラ
イズ層は、一般には、Cu、Al、W、Mo、Mo、M
n、Tiから選ばれる少なくとも1種以上からなる。
【0027】また、場合によっては、上記の窒化ケイ素
質基板の表面には、搭載する電子部品と電気的に接続さ
れる配線層が形成されていてもよい。この配線層は、焼
結体の表面に厚膜法によって銅ペースト等を印刷塗布し
て900〜950℃で焼き付け処理して形成したり、基
板内部に配線層を形成する場合には、タングステンやモ
リブデンなどの高融点金属を含む導体ペーストを未焼成
の成形体表面に配線パターン状に印刷塗布した後、適宜
積層処理して、非酸化性雰囲気中で成形体と導体ペース
トを同時焼成することにより多層配線化することができ
る。
【0028】上記のような金属箔やヒートシンクが接合
された基板を過酷な使用条件、例えば、−50〜150
℃の熱サイクルが印加された場合、窒化ケイ素質基板の
熱膨張係数は2〜3ppm/℃程度であるのに対して、
金属箔や金属製ヒートシンクなどの熱膨張係数は5pp
m/℃以上であり、特に高熱伝導性が要求される場合
に、使用される銅やアルミニウム単味の場合には、15
ppm/℃以上と非常に大きい。従って、このような金
属が接合された基板が搭載した電子部品からの発熱や、
高温環境下での使用により高温状態に保持されると、こ
れらの熱膨張差により大きな熱応力が発生する。そし
て、電子部品の作動停止の繰り返し等によりこの熱応力
が繰り返し印加されると、次第に熱疲労によって基板が
変形またはクラックなどが生じることになる。
【0029】本発明によれば、このような熱応力の繰り
返し印加による熱疲労に対して優れた耐久性を図る上
で、窒化ケイ素質基板の靱性が6MPa・m1/2 以上、
特に6.5MPa・m1/2 、さらに7MPa・m1/2
上であることが重要である。即ち、基板の靱性が6MP
a・m1/2 よりも低いと、熱サイクルによる熱応力の繰
り返し印加により基板自体が熱疲労を来たし、最終的に
はクラックや変形を生じてしまうのである。
【0030】本発明によれば、このような高靱性化を前
述したような組成制御とともに窒化ケイ素結晶粒の制御
によって達成することができるのである。
【0031】
【実施例】直接窒化法により作製された窒化ケイ素粉末
(β率5〜100%、酸素量1.0重量%、平均粒径
0.5μm)、ケイ素粉末(純度95%)、各種周期律
表第3a族元素酸化物粉末、所望により酸化ケイ素粉末
を添加した後、窒化ケイ素製ボールとメタノールと有機
バインダーを入れ、振動ミルにて混合粉砕し、その後ド
クターブレード法にてテープ状の成形体を得た。
【0032】次に、この成形体を乾燥後、大気中300
℃で3時間保持して脱脂し、表1に示す第1焼成条件、
第2焼成条件にて焼成した。なお、出発原料中にケイ素
粉末を含むものについては、脱脂後、窒素中で1300
℃で3時間窒化処理したものを表1の焼成条件で焼成し
た。
【0033】得られた各焼結体を切断加工し、常温にて
JISR1601に基づき4点曲げ抗折強度試験を行な
った。またアルキメデス法による密度測定を行ない、調
合時の理論密度との相対密度を算出した。また試料を粉
砕し、X線回折により窒化ケイ素以外の結晶相を同定し
た。熱伝導率は直径10mm、厚さ2mmの形状に加工
し、レーザーフラッシュ法にて測定した。破壊靭性値は
JISR1607に基づきIM法により測定した。
【0034】また、焼結体中の窒化ケイ素結晶の平均粒
径、平均アスペクト比については、画像処理により測定
した。また、SEMを用いて倍率200倍にて、300
μm×300μmの領域を任意の5箇所から、その領域
内に存在する長軸長さ20μm以上の窒化ケイ素結晶の
個数を調べ、その平均を求め表2に示した。
【0035】次に、上記の窒化ケイ素質基板の表面に銅
からなるからなるメタライズ層を施した後、そのメタラ
イズ層表面に厚さ0.2μmの銅箔を接合した。この接
合物を−50℃と150℃の恒温槽にてそれぞれ30分
間ずつ保持して、これを最高3000サイクル行い、銅
箔を接着した部分においてクラックが発生するまでのサ
イクル数を調べた。その結果を表2に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】表1および表2の結果によれば、周期律表
第3a族元素酸化物量が2モル%よりも少ない試料No.
1では、緻密化不足となり、熱伝導性および機械的特性
も低下した。また、周期律表第3a族元素酸化物量が1
0モル%を越える試料No.6では、熱伝導率が大幅に低
下した。また、焼結体中のアルミニウム含有量が0.5
重量%を越える試料No.15では、熱伝導性が大幅に低
下した。
【0039】さらに、出発原料中のβ−窒化ケイ素量が
10%よりも少ない試料No.7では、平均粒径が2μm
より小さく、しかも任意領域の長軸長さ20μm以上の
窒化ケイ素結晶の個数が5個より少なくなり、その結
果、熱伝導率が低下した。
【0040】さらに、焼成条件において、第1および第
2の焼成条件のいずれかを行わないか、第2焼成工程時
の温度が1800℃よりも低い試料No.44、45、4
6は、いずれも窒化ケイ素結晶の平均粒径が0.5μm
と小さく、粗大粒も全くなく、その結果、熱伝導率、靱
性、強度のいずれかが満足すべきものではなかった。
【0041】これらの比較例に対して、本発明の窒化ケ
イ素質基板は、相対密度98%以上、熱伝導率60W/
m・K以上、抗折強度750MPa以上、靱性6MPa
・m1/2 以上を示すとともに、熱サイクル試験において
も2000回以上の優れた耐久性を示した。
【0042】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の窒化ケイ素
質基板は、窒化ケイ素結晶粒および組成を制御すること
により、高熱伝導性、高強度を具備するとともに、高靱
性を有することから、基板に高熱膨張の金属部材が接合
された構造において、熱サイクルが印加された場合にお
いても、基板にクラックや接合不良等が発生することが
ない。これにより、その表面に電子部品が搭載され、過
酷な使用条件下でも使用可能な高信頼性の基板を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の窒化ケイ素質基板の使用形態を説明す
るための概略図である。
【図2】本発明の窒化ケイ素質基板の他の使用形態を説
明するための概略図である。
【符号の説明】
1 窒化ケイ素質基板 2,8 接合用メタライズ層 3 金属箔 4 電子部品 5 回路基板 6 接合剤 7 放熱体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化ケイ素を主成分とし、周期律表第3a
    族元素を酸化物換算で2〜10モル%の割合で含み、且
    つアルミニウムの含有量が酸化物換算で0〜0.5重量
    %であり、前記窒化ケイ素結晶の平均粒径が2μm以
    上、平均アスペクト比が15以下、任意の300μm×
    300μmの領域に長軸長さ20μm以上の窒化ケイ素
    結晶が5個以上存在し、破壊靱性が6MPa・m1/2
    上、熱伝導率が60W/m・K以上であることを特徴と
    する電子部品搭載用窒化ケイ素質基板。
  2. 【請求項2】前記窒化ケイ素質基板の表面に金属部材が
    接合されてなることを特徴とする請求項1記載の電子部
    品搭載用窒化ケイ素質基板。
  3. 【請求項3】β型窒化ケイ素を10%以上含有する窒化
    ケイ素粉末に、周期律表第3a族元素化合物を酸化物換
    算で2〜10モル%の割合で添加してなり、且つアルミ
    ニウム含有量が酸化物換算で0〜0.5重量%の混合粉
    末を基板形状に成形し、その成形体を1400〜180
    0℃の窒素を含む常圧下で焼成した後、さらに1800
    〜1980℃の窒素圧1.5気圧以上の雰囲気下で焼成
    して、前記窒化ケイ素結晶の平均粒径が2μm以上、平
    均アスペクト比が15以下、任意の300μm×300
    μmの領域に長軸長さ20μm以上の窒化ケイ素結晶が
    5個以上存在の焼結体を作製することを特徴とする電子
    部品搭載用窒化ケイ素質基板の製造方法。
  4. 【請求項4】ケイ素、あるいはケイ素と窒化ケイ素との
    混合粉末に対して、周期律表第3a族元素化合物を酸化
    物換算で2〜10モル%の割合で添加してなり、且つア
    ルミニウム含有量が酸化物換算で0〜0.5重量%の混
    合粉末を基板形状に成形し、該成形体を800〜150
    0℃の窒素含有雰囲気中で熱処理して前記ケイ素を窒化
    してβ型窒化ケイ素を10%以上含有する窒化体を作製
    した後、該窒化体を1400〜1800℃の窒素を含む
    常圧下で焼成し、さらにその焼結体を1800〜198
    0℃の窒素圧1.5気圧以上の雰囲気下で焼成して、前
    記窒化ケイ素結晶の平均粒径が2μm以上、平均アスペ
    クト比が15以下、任意の300μm×300μmの領
    域に長軸長さ20μm以上の窒化ケイ素結晶が5個以上
    存在の焼結体を作製することを特徴とする電子部品搭載
    用窒化ケイ素質基板の製造方法。
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