JPH0952340A

JPH0952340A - 化粧板およびその製造方法

Info

Publication number: JPH0952340A
Application number: JP8092317A
Authority: JP
Inventors: Keiji Ogawa; 啓至小川; Koji Sawada; 考司沢田
Original assignee: Ibiden Co Ltd
Current assignee: Ibiden Co Ltd
Priority date: 1995-06-07
Filing date: 1996-04-15
Publication date: 1997-02-25

Abstract

(57)【要約】【課題】原型の微細な模様を忠実に再現でき、耐光
性、意匠性および加工性に優れる化粧板とそれの製造方
法を提供すること。【解決手段】樹脂含浸紙からなる基材７と、その基材
７上に接着層８を介して積層した化粧シート２とからな
る化粧板１において、前記化粧シート２を、上層の透明
フィルム３と基材７に接する下層の樹脂フィルム６とで
構成し、上記透明フィルム３には、基材側のフィルム面
に模様の印刷層４を設け、一方、この印刷層４に対向す
る上記樹脂フィルム上面には金属膜層５を被覆したこと
を特徴とする化粧板とそれの製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、化粧板およびその
製造方法に関し、特にレストランやホテル、デパート、
病院、事務所等の壁面やカウンター等の装飾板として好
適に用いられる化粧板とそれの製造方法についての改善
提案である。

【０００２】

【従来の技術】一般に化粧板は、フェノール樹脂などの
熱硬化性樹脂を含浸したコアー紙を基材とし、この基材
上に、灰分として酸化チタンなどを含有するチタン紙な
どに模様を印刷すると共にこれにメラミン樹脂などの熱
硬化性樹脂を含浸したパターン紙と、メラミン樹脂など
の熱硬化性樹脂を木質パルプ繊維等に含浸したオーバー
レイ紙を積層し、得られた積層体を加熱加圧したものが
多く採用されている。

【０００３】ところが、このような化粧板は、表面に模
様や種々の色調を有するパターン紙により形成した化粧
シート上に、透明性に劣るオーバーレイ層が形成されて
いるために、せっかくの化粧シートの模様等がボケてし
まって鮮明さに欠けるという欠点があった。

【０００４】このような実情に鑑み、発明者らは先に、
上記オーバーレイ層に代えて熱可塑性樹脂製の透明フィ
ルムを積層した化粧板（特開平４−348940号公報参照)
や、熱可塑性樹脂フィルムの透明性を減殺しない程度に
耐磨耗性を向上した化粧板（特開平４−363241号公報参
照) を提案した。これらの提案にかかる化粧板は、熱可
塑性樹脂製の透明フィルム層により化粧シートの鮮明度
や深み感に優れ、しかも、オーバーレイ層による被覆に
よって熱可塑性樹脂フィルム表面の耐磨耗性を改善する
ことができる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先の提
案における化粧板はいずれも、化粧シートとしてチタン
紙に模様を印刷したパターン紙を使用しているために、
微細な模様を印刷する場合には、転写が十分に行われ
ず、原型の模様を忠実に再現できないという問題があっ
た。また、上記化粧板の模様は、熱硬化性樹脂を含浸し
たチタン紙に印刷されているために、熱吸湿や酸化など
により模様の色彩が劣化したりして耐光性が悪い上に、
折り曲げ加工時には模様の印刷層に割れが入るなど、加
工性が悪いという問題があった。しかも、上記化粧板の
模様に金属色を表現する場合には、マイカ粉末やアルミ
粉末、パール粉末等を、酢酸セルロースやカルボキシメ
チルセルロース等のグラビア印刷用インキ中に混入さ
せ、グラビア印刷する必要があるが、この印刷により得
られる印刷層には無数の製版凹凸目を形成するために、
鏡面に近い金属質感が得られないという欠点があった。
さらに、上記提案にかかる化粧板は、熱可塑性樹脂製の
透明フィルム層により模様に深み感があるものの、模様
それ自体の立体感には欠けるという欠点があった。

【０００６】本発明の目的は、従来技術にかかる上記課
題を解決することにあり、特に、．原型の微細な模様を忠実に再現できる化粧板とその
製造方法を提供すること、．耐光性に優れる化粧板とその製造方法を提供するこ
と、．模様それ自体の立体感を高めて意匠性に優れた化粧
板、あるいは金属調の化粧板を提供すること、．加工性に優れる化粧板とその製造方法を提供するこ
と、にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的実現に向け鋭意
研究を行った結果、発明者らは、下記内容を要旨構成と
する発明を完成するに至った。すなわち、本発明にかか
る化粧板は、ａ．樹脂含浸紙からなる基材と、その基材上に接着層を
介して積層した化粧シートとからなる化粧板において、
前記化粧シートを、上層の透明フィルムと基材に接する
下層の樹脂フィルムとで構成し、上記透明フィルムに
は、基材側のフィルム面に模様の印刷層を設け、一方、
この印刷層に対向する上記樹脂フィルム上面には金属膜
層を被覆したことを特徴とする化粧板であり（第１発
明）、この化粧板の製造方法は、基材上に、化粧シート
を積層して加熱加圧することにより、化粧板を製造する
方法において、(1) コアー紙に樹脂を含浸して基材を形
成する工程、(2) 基材側に模様を印刷した熱可塑性樹脂
製の透明フィルムと、その模様印刷層に対向する面に金
属膜層を被覆した熱可塑性樹脂フィルムとを、接着層を
介して重合接着することにより化粧シートを形成する工
程、(3) 基材上に、接着剤を介して上記化粧シートを、
それの前記透明フィルムを上側として積層し、加熱加圧
する工程、を経ることを特徴とする。

【０００８】本発明にかかる他の化粧板は、ｂ．樹脂含浸紙からなる基材と、その基材上に接着層を
介して積層した化粧シートとからなる化粧板において、
前記化粧シートを、基材側の面に、模様の印刷層とその
表面を覆う金属膜層とを順次に形成してなる熱可塑性樹
脂製の透明フィルムにて構成したことを特徴とする化粧
板であり（第２発明）、この化粧板の製造方法は、基材
上に、化粧シートを積層して加熱加圧することにより、
化粧板を製造する方法において、(1) コアー紙に樹脂を
含浸して基材を作成する工程、(2) 熱可塑性樹脂製の透
明フィルムの基材側となる面に模様を印刷し、さらにこ
の模様印刷面に金属膜層を被覆することにより、化粧シ
ートを形成する工程、(3) 基材上に、接着層を介して上
記化粧シートを、それの金属膜層を基材側にして積層
し、加熱加圧する工程、を経ることを特徴とする。

【０００９】本発明にかかるさらに他の化粧板は、ｃ．樹脂含浸紙からなる基材と、その基材上に接着層を
介して積層した化粧シートとからなる化粧板において、
前記化粧シートを、基材側の面に、模様の印刷層とその
表面を覆う隠蔽インクからなる隠蔽層を順次に形成して
なる熱可塑性樹脂製の透明フィルムにて構成したことを
特徴とする化粧板であり（第３発明）、この化粧板の製
造方法は、基材上に、化粧シートを積層して加熱加圧す
ることにより、化粧板を製造する方法において、(1) コ
アー紙に樹脂を含浸して基材を作成する工程、(2) 熱可
塑性樹脂製の透明フィルムの基材側となる面に模様を印
刷し、さらにこの模様印刷面に隠蔽インクからなる隠蔽
層を被覆することにより、化粧シートを形成する工程、
(3) 基材上に、接着層を介して上記化粧シートを、それ
の隠蔽層を基材側にして積層し、加熱加圧する工程、を
経ることを特徴とする。

【００１０】

【発明に実施の形態】本発明にかかる化粧板について、
実施例に対応する図面（図１、図２および図３）に用い
た符号を付して以下に説明する。 (1) 本発明にかかる化粧板１の第１の特徴は、化粧シー
ト２を構成する印刷シートとして、印刷面に繊維の凹凸
があって酸化チタンとインクとの馴染みが悪いチタン紙
に代えて、転写性に優れる熱可塑性樹脂製の透明フィル
ム３を用いた点にある。これにより、印刷インクが灰分
（酸化チタン）によってはじかれることはなく、微細な
模様でも原型に忠実な再現が可能となり、上記透明フィ
ルム３上には鮮明な模様の印刷層４を形成することがで
きる。しかも、化粧シート２は、熱硬化性樹脂含浸紙の
代わりに熱可塑性樹脂製の透明フィルム３を用いている
ので、常温で折り曲げても印刷層４にクラックなどが発
生せず、加工性に優れる。

【００１１】(2) 本発明にかかる化粧板１の第２の特徴
は、基材上に積層する化粧シート２において、上記透明
フィルム３に設けた模様の印刷層４に対向する下層の樹
脂フィルム６上側面に金属膜層５を被覆するか（第１発
明）、あるいは上記透明フィルム３に設けた模様の印刷
層４に金属膜層５を直接被覆した（第２発明）点にあ
る。特に、基材との接着性がよく、基材に積層する際に
損傷が生じて印刷層４を破損することがない点で、第１
発明の構成がより望ましい。これにより、印刷層４は、
金属膜層で被覆されるので、吸湿や酸化などによって劣
化するのを阻止でき、耐光性に優れた化粧板を提供する
ことができる。しかも、印刷層４は、鏡面に近い金属膜
層５が背景となってその金属光沢上に浮かび上がり、透
明フィルム層３によって奥行きが生じるため、印刷層４
が金属膜層５上に立体的に浮かび上がって見え、印刷層
４が観る角度によって変化し、意匠性に優れた金属調の
化粧板を提供することができる。

【００１２】(3) 本発明にかかる化粧板１の第３の特徴
は、基材上に積層する化粧シート２において、上記透明
フィルム３に設けた模様の印刷層４に金属膜層５を被覆
する代わりに隠蔽インクからなる隠蔽層４′を被覆した
点にある（第３発明）。これにより、樹脂フィルム６と
金属膜層５を省くことができ、コストダウンが可能とな
る。しかも、印刷層４は、白、茶、メタリック等の隠蔽
インクからなる隠蔽層４′が背景となって浮かび上が
り、透明フィルム層３によって奥行きが生じるため、印
刷層４が隠蔽層４′上に立体的に浮かび上がって見え、
印刷層４が観る角度によって変化し、意匠性に優れた化
粧板を提供することができる。

【００１３】そして、本発明にかかる化粧板１は、熱可
塑性樹脂製の化粧シート２と樹脂含浸紙からなる基材７
とからなる複合化粧板としたので、樹脂含浸紙からなる
基材にクラックが発生しても化粧シート２に至ることは
なく、常温での曲げ加工に優れるものとなる。

【００１４】このような本発明にかかる化粧板１におい
て、化粧シート２を構成する熱可塑性樹脂製の透明フィ
ルム３としては、例えば、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフ
タレート）などのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポ
リアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂
等を用いることができる。なお、アクリル樹脂を用いる
と、紫外線を吸収するために耐光性を向上させることが
できる。

【００１５】このような熱可塑性樹脂製の透明フィルム
３の厚さは、10〜200 μｍ、好ましくは20〜100 μｍと
することが望ましい。その理由は、厚さが10μｍ未満で
あると、薄すぎてフィルム層３を透かして見える化粧シ
ート２の深み感が低下して外観上好ましくなく、また、
耐磨耗性が低下してしまう。さらには、同フィルム層３
の外から侵入する紫外線等を十分に抑制し得ず、化粧シ
ート２面の耐光性に問題が生じる。一方、厚さが 200μ
ｍを超えると重量的に大きくなり実用性に欠けるばかり
か、経済的にも望ましくないからである。

【００１６】本発明の化粧板１において、化粧シート２
を構成する金属膜層５としては、蒸着膜やめっき膜など
があるが、なかでも蒸着膜が好ましい。めっきによる金
属膜層５の形成では、模様印刷層４を設けた透明フィル
ム３を無電解めっき液に浸漬する必要があり、模様を褪
色させたりフィルム３を劣化させるという不具合が生じ
る。その点、蒸着による金属膜層５の形成は、このよう
な不具合がなく、また模様印刷層４を設けたフィルム３
表面を粗化しなくても密着性に優れるからである。こ
のような金属膜層５を構成する金属としては、アルミニ
ウムや金、銀、白金、ニッケル、クロムなどが好適に用
いられる。

【００１７】このような金属膜層５の厚さは、0.03〜2.
00μｍとすることが望ましい。その理由は、金属膜層５
の厚さが0.03μｍ未満では、光が透過して下層の基材が
透けて見えてしまい、化粧板の意匠性が悪くなり、一
方、金属膜層５の厚さが2.00μｍを超えると、経済的に
望ましくないからである。

【００１８】本発明にかかる第１発明の化粧板１におい
て、化粧シート２を構成する熱可塑性樹脂フィルム６
は、例えば、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）な
どのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等を用いる
ことができる。このフィルム６の厚さは、10〜200 μｍ
とすることが望ましい。その理由は、フィルム６の厚さ
が10μｍ未満では、そのフィルム上に接着剤を塗布して
接着層を設ける際に、フィルム６が切断したり、フィル
ム６に皺が生じて塗布や積層が困難になったりするから
である。一方、フィルム６の厚さが200 μｍを超える
と、経済的に望ましくないからである。

【００１９】本発明にかかる第１発明の化粧板１におい
て、化粧シート２を構成する模様印刷層４を設けた熱可
塑性樹脂製の透明フィルム３と、金属膜層５を被覆した
熱可塑性樹脂フィルム６とを、密着性良く接着するため
には、接着層８を用いることが必要である。なぜなら、
印刷層４との接触面が金属膜層５であり、熱接着できな
いからである。このような接着層８を構成する接着剤と
しては、エポキシ樹脂やフェノール・レゾルシノール共
縮合樹脂、イソシアネート樹脂、酢酸ビニル系やウレタ
ン系の樹脂などを用いることができるが、なかでも、外
観上、透光性を示すものが望ましい。

【００２０】本発明の化粧板１において、基材（コアー
紙）７上に化粧シート２を密着性良く積層するために
は、第１発明の場合、化粧シート２の基材７との接触面
は樹脂フィルム６であるから、接着層８を用いる他にコ
ロナ放電処理による熱接着や樹脂フィルムにヒートシー
ル性のあるポリエチレン樹脂を使用する方法が可能であ
る。第３発明の場合もまた、化粧シート２の基材７との
接触面は隠蔽インクからなる隠蔽層であるから、上述し
た接着剤からなる接着層８を用いる他にヒートシール剤
やポリオレフィン系のホットメルト剤を使用する方法が
可能である。一方、第２発明の場合、化粧シート２の基
材７との接触面は金属膜層５であり、基材７中の樹脂と
熱接着し難いから上述した接着剤からなる接着層８を用
いることが必要である。

【００２１】本発明の化粧板１において、基材（コアー
紙）７としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などの樹
脂を含浸したクラフト紙を用いることが望ましい。その
理由は、比較的低コストで強度もあるからである。特に
第３発明の場合、基材７は、印刷層の模様をより鮮明に
するために、 0.5〜10wt％、より好ましくは１〜６wt％
の酸化チタンを添加含有したものを用いることが望まし
い。この理由は、酸化チタンの含有量が 0.5wt％未満に
なると化粧板１を壁面やカウンターなどの下地材となる
合板、パーチクルボード、プラスターボード、ＭＤＦ等
と貼り合わせした場合、前記下地材の色等の影響が急に
あらわれ隠蔽効果がなくなる。一方、10wt％を超えると
コスト高となるからである。そして、含浸用樹脂材料と
しては、ＤＡＰ（ジアリルフタレート樹脂）やフェノー
ル樹脂、メラミン樹脂、酢酸ビニル樹脂、オレフィン系
樹脂、ポリエーテルサルフォン（ＰＥＳ）、フェノキシ
樹脂、アクリル−オレフィン系共重合体、ウレタン−オ
レフィン系樹脂複合体、ＤＡＰ−ポリエステル樹脂複合
体などを用いることができる。なかでも、靱性に優れ、
折り曲げ加工してもクラックが生じにくいことから、Ｄ
ＡＰが望ましい。また、熱可塑性樹脂は靱性および折り
曲げ加工性に優れる。

【００２２】なお、本発明においては、熱可塑性樹脂製
の透明フィルム３の透明性を減殺しない程度に耐磨耗性
を向上するために、厚さが10〜150 μｍ程度のオーバー
レイ紙よりなる被覆層を設けることができる。

【００２３】次に、本発明にかかる化粧板の一製造方法
について説明する。本発明の製造方法においては、．まず、坪量60〜230 ｇ／ｍ²のクラフト紙にＤＡＰ
や酢酸ビニル樹脂などの樹脂を含浸、乾燥させて基材
（コアー紙）７を作成する。特に第３発明のように酸化
チタンを含有した基材（コアー紙）７を用いることが望
ましい場合は以下のようにして基材（コアー紙）７を作
成する。即ち、ウレタン樹脂またはエポキシ樹脂のいず
れか一方、あるいは両方をバインダーとして用い、酸化
チタン粒子と紙の繊維を均一に分散，固定化して作成す
る。なお、水溶性のバインダー（例えば、カチオン性デ
ンプンや硫酸アルミニウムなど）は、酸化チタン粒子と
紙繊維の結合が水分のアタックを受けると切れやすいの
で、耐煮沸性（JIS K 6902）の点で好ましくない。

【００２４】．一方、熱可塑性樹脂製の透明フィルム
３の一面に、グラビア印刷やオフセット印刷、スクリー
ン印刷等により、模様印刷層４を形成する。この場合、
透明フィルム３に印刷するため、平坦な印刷表面からの
光を観ることになり非常に鮮明な印刷模様が得られる。
このの工程において、模様印刷層４の剥離を防止する
ために、透明フィルム３の表面を、物理処理、化学処理
あるいはこれらの併用処理に供することが望ましい。物
理処理としては、例えば、コロナ放電処理、グロー放電
処理、プラズマ励起不活性ガスによるケーシング処理、
酸素プラズマ処理、アーク放電処理、プラズマ重合処
理、イオンビームによる表面多孔化（粗面化）、ガスバ
ーナー処理、サンドブラスト（表面粗面化）がある。化
学処理としては、例えば、薬品のエッチング効果による
表面多孔化処理（具体的には、30％NaOH中に80℃で３分
間浸漬する処理、ヒドラジン処理など）、カップリング
剤による表面処理（具体的には、シラン，チタン，クロ
ム系カップリング剤、シリルパーオキサイド溶液による
浸漬処理）、モノマーやポリマーのコーティング処理
（プライマーやアンダーコートとして利用）がある。さ
らに、模様印刷層４の剥離を防止するための他の方法と
して、印刷インク中に、１液または２液タイプのウレタ
ン樹脂や酢酸ビニル系接着剤を添加することが望まし
い。

【００２５】．次に、第１発明にかかる化粧板１で
は、上記で模様印刷層４を形成した熱可塑性樹脂製の
透明フィルム３と、その印刷層４に接する面に金属膜層
５を被覆した熱可塑性樹脂フィルム６とを、ウレタン系
接着剤をコートして接着加工することにより化粧シート
２を作成する。第２発明にかかる化粧板１では、上記
で形成した模様印刷面にさらに、蒸着などの方法によっ
て金属膜層５を被覆し、化粧シート２を作成する。第３
発明にかかる化粧板１では、上記で形成した模様印刷
面にさらに、グラビア印刷やオフセット印刷、スクリー
ン印刷などの方法によって隠蔽インクからなる隠蔽層
４′を被覆し、化粧シート２を作成する。

【００２６】．上記で作成した化粧シート２もしく
は上記で作成した基材７の接着面に接着剤を塗布して
接着層８を形成し、化粧シート２と基材７が接触するよ
うに積層して、50〜170 ℃、５〜40kg／cm²で加熱加圧
することにより、化粧板１を製造する。この場合、化粧
シート２と接着する基材７の表面は、連続加熱加圧成形
を用いた量産時にも化粧シート２との完全な接着性を確
保するために、平滑度を、JISP 8119−1976に規定する
ベック平滑度で２〜40秒、より好ましくは３〜20秒とす
ることが望ましい。この理由は、ベック平滑度が２秒未
満になると、化粧板１の意匠性が低下する。一方、ベッ
ク平滑度が40秒を超えると、基材７の表面が平滑になり
すぎ、化粧シート２との接着性が悪くなって、耐煮沸性
（JIS K 6902）の点で好ましくないからである。

【００２７】

【実施例】以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説
明する。（実施例１）本実施例にかかる化粧板１は、図１に示す
ように、ジアリルフタレート樹脂含浸紙よりなる基材７
と、この基材７上に積層される，基材側の面に幾何学模
様の印刷層４をバック印刷した50μｍのポリエチレンテ
レフタレート樹脂製透明フィルム３とその印刷層４に接
する面にアルミを 0.1μｍ真空蒸着した25μｍのポリエ
チレンテレフタレート樹脂製フィルム６とをウレタン系
接着剤をアルミ面に塗布して接着加工してなる化粧シー
ト２と、により構成した。

【００２８】ここで、本実施例にかかる化粧板１は、以
下の方法により製造した。まず、図４に示すように、表
面が平滑なスチールベルト11を具えた連続加熱加圧成形
機10のその上下のスチールベルト11の間に、下層として
ジアリルフタレート樹脂含浸紙12、上層としてポリエチ
レンテレフタレート樹脂化粧シート13が積層されるよう
に、この連続加熱加圧成形機10の入口14より挿入した。
そしてこれらを、表面温度150 ℃のスチールベルト11に
より圧力15kg／cm²にて連続的に熱圧着して一体化する
ことにより化粧板１を製造した。

【００２９】また、これとは別の製造方法として、図５
に示すように、熱圧着機20の加圧板21b 上に、１枚のジ
アリルフタレート樹脂含浸紙12を配置し、この上に、ポ
リエチレンテレフタレート樹脂化粧シート13を積層し、
さらにこの上に、表面が平滑なステンレス板22を配置し
た。そしてこれらを、表面温度150 ℃の加圧板21a, 21b
により圧力15kg／cm²にて熱圧着して一体化することに
より化粧板１を製造した。

【００３０】（実施例２）本実施例にかかる化粧板１
は、図１に示すように、酢酸ビニル樹脂を含浸した樹脂
含浸紙よりなる基材７と、この基材７上に積層される，
基材側の面に木目模様の印刷層４をバック印刷した50μ
ｍのアクリル樹脂製透明フィルム３とその印刷層４に接
する面にアルミを 0.1μｍ真空蒸着した25μｍのポリエ
チレンテレフタレート樹脂製フィルム６とをウレタン系
接着剤をアルミ面に塗布して接着加工してなる化粧シー
ト２と、により構成した。

【００３１】（実施例３）本実施例にかかる化粧板１
は、図２に示すように、ジアリルフタレート樹脂含浸紙
よりなる基材７と、この基材７上に積層される，基材側
の面に幾何学模様の印刷層４をバック印刷し、さらにこ
の模様印刷面にアルミを 0.1μｍ真空蒸着してなる化粧
シート２と、により構成した。

【００３２】（実施例４）本実施例にかかる化粧板１
は、図３に示すように、ジアリルフタレート樹脂含浸紙
よりなる基材７と、この基材７上に積層される，基材側
の面に幾何学模様の印刷層４をバック印刷し、さらにこ
の模様印刷面にパールインクからなる隠蔽層を 0.1μｍ
被覆形成してなる化粧シート２と、により構成した。

【００３３】（比較例１）本比較例にかかる化粧板は、
ジアリルフタレート樹脂含浸紙よりなる基材と、この上
にメラミン樹脂含浸紙よりなる化粧シートと、さらにそ
の上にメラミン樹脂含浸紙よりなる 150μｍのオーバー
レイ層とにより構成した。

【００３４】（比較例２）本比較例にかかる化粧板は、
ジアリルフタレート樹脂含浸紙よりなる基材と、この上
にメラミン樹脂含浸紙よりなる化粧シートと、さらにそ
の上にアクリル樹脂フィルムよりなる50μｍの熱可塑性
樹脂フィルム層とにより構成した。

【００３５】なお、上記各実施例において、熱可塑性樹
脂製の透明フィルム３には、耐光性を向上させるために
紫外線吸収剤を添加してある。この紫外線吸収剤として
は、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチ
ル酸フェニル系等のものを用いることができる。

【００３６】上記実施例および比較例において得られた
化粧板について、模様の色彩等の目視検査を行った。そ
の結果、本発明にかかる化粧板は、鮮やかな金属調の立
体的な模様を観察することができ、インクの転写性に優
れ、原型の模様に忠実な再現ができる意匠性に優れた化
粧板であった。これに対し、比較例にかかる化粧板はい
ずれも、模様の色彩がくすんで見え鮮やかさに欠けてい
た。

【００３７】また、これらの化粧板について、JIS-K-69
02に基づく耐光性試験を行い、試験後の化粧シートにお
けるヒビや割れの発生、色調の変化について総合的に判
定した。その結果、本発明にかかる化粧板は、ヒビや割
れの発生、および色調の変化はなく、耐光性に優れるも
のであった。これに対し、比較例にかかる化粧板はいず
れも、ヒビや割れの発生もしくは色調の変化を招き、本
発明にかかる化粧板に比べて耐光性が劣ることが確認で
きた。さらに、本発明にかかる化粧板は、比較例にかか
る化粧板に比べて加工性に優れることも確認することが
できた。

【００３８】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、以
下の効果を奏する。 (1) 化粧シートを構成する印刷シートとして、熱可塑性
樹脂製の透明フィルムを用いているので、印刷インク
は、転写性に優れ、微細な模様でも鮮明に印刷でき、原
型の模様に忠実な再現が可能となる。しかも、しかも、
化粧シートは、熱可塑性樹脂製のフィルムを用いている
ので、常温で折り曲げても印刷層にクラックなどが発生
せず、加工性に優れる。 (2) 化粧シートを構成する模様印刷層には金属膜層を被
覆もしくは積層しているので、模様が吸湿や酸化などに
よって劣化するのを阻止でき、耐光性に優れた化粧板を
提供することができる。 (3) 前記模様印刷層が、鏡面状態の金属膜層あるいは隠
蔽層が背景となって立体的に浮かび上がるので、金属調
で立体的な意匠性に優れた化粧板を提供することができ
る。 (4) 熱可塑性樹脂製の化粧シートと樹脂含浸紙からなる
基材とからなる複合化粧板であるので、基材にクラック
が発生しても化粧シートに至ることはなく、常温での曲
げ加工に優れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一化粧板を示す(a) 斜視図と、(b) Ａ
−Ａ線拡大断面図である。

【図２】本発明の他の化粧板を示す(a) 斜視図と、(b)
Ａ−Ａ線拡大断面図である。

【図３】本発明のさらに他の化粧板を示す(a) 斜視図
と、(b) Ａ−Ａ線拡大断面図である。

【図４】本発明に係る化粧板の一製造工程を示す図であ
る。

【図５】本発明に係る化粧板の一製造工程を示す図であ
る。

【符号の説明】１化粧板２，13 化粧シート３熱可塑性樹脂製の透明フィルム４印刷層４′隠蔽層５金属膜層６熱可塑性樹脂フィルム７，12 基材（樹脂含浸紙）８接着層 10 連続加熱加圧成形機 11 スチールベルト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｅ０４Ｆ 13/08 8913−2ＥＥ０４Ｆ 13/08 Ａ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】樹脂含浸紙からなる基材と、その基材上
に接着層を介して積層した化粧シートとからなる化粧板
において、前記化粧シートを、上層の透明フィルムと基材に接する
下層の樹脂フィルムとで構成し、上記透明フィルムに
は、基材側のフィルム面に模様の印刷層を設け、一方、
この印刷層に対向する上記樹脂フィルム上面には金属膜
層を被覆したことを特徴とする化粧板。
【請求項２】樹脂含浸紙からなる基材と、その基材上
に接着層を介して積層した化粧シートとからなる化粧板
において、前記化粧シートを、基材側の面に、模様の印刷層とその
表面を覆う金属膜層とを順次に形成してなる熱可塑性樹
脂製の透明フィルムにて構成したことを特徴とする化粧
板。
【請求項３】樹脂含浸紙からなる基材と、その基材上
に接着層を介して積層した化粧シートとからなる化粧板
において、前記化粧シートを、基材側の面に、模様の印刷層とその
表面を覆う隠蔽インクからなる隠蔽層とを順次に形成し
てなる熱可塑性樹脂製の透明フィルムにて構成したこと
を特徴とする化粧板。
【請求項４】基材上に、化粧シートを積層して加熱加
圧することにより、化粧板を製造する方法において、 (1) コアー紙に樹脂を含浸して基材を形成する工程、 (2) 基材側に模様を印刷した熱可塑性樹脂製の透明フィ
ルムと、その模様印刷層に対向する面に金属膜層を被覆
した熱可塑性樹脂フィルムとを、接着層を介して重合接
着することにより化粧シートを形成する工程、 (3) 基材上に、接着層を介して上記化粧シートを、それ
の前記透明フィルムを上側として積層し、加熱加圧する
工程、を経ることを特徴とする化粧板の製造方法。
【請求項５】基材上に、化粧シートを積層して加熱加
圧することにより、化粧板を製造する方法において、 (1) コアー紙に樹脂を含浸して基材を作成する工程、 (2) 熱可塑性樹脂製の透明フィルムの基材側となる面に
模様を印刷し、さらにこの模様印刷面に金属膜層を被覆
することにより、化粧シートを形成する工程、 (3) 基材上に、接着層を介して上記化粧シートを、それ
の金属膜層を基材側にして積層し、加熱加圧する工程、を経ることを特徴とする化粧板の製造方法。
【請求項６】基材上に、化粧シートを積層して加熱加
圧することにより、化粧板を製造する方法において、 (1) コアー紙に樹脂を含浸して基材を作成する工程、 (2) 熱可塑性樹脂製の透明フィルムの基材側となる面に
模様を印刷し、さらにこの模様印刷面に隠蔽インクから
なる隠蔽層を被覆することにより、化粧シートを形成す
る工程、 (3) 基材上に、接着層を介して上記化粧シートを、それ
の隠蔽層を基材側にして積層し、加熱加圧する工程、を経ることを特徴とする化粧板の製造方法。