JPH0948829A - 熱可塑性樹脂の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂の製造方法

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JPH0948829A
JPH0948829A JP24845695A JP24845695A JPH0948829A JP H0948829 A JPH0948829 A JP H0948829A JP 24845695 A JP24845695 A JP 24845695A JP 24845695 A JP24845695 A JP 24845695A JP H0948829 A JPH0948829 A JP H0948829A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
polyorganosiloxane
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polymerization
graft
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JP24845695A
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English (en)
Inventor
Motoki Okaniwa
求樹 岡庭
Norifumi Sumimoto
典史 住本
Yoshihisa Ota
芳久 大田
Nobuo Kawahashi
信夫 川橋
Kazuki Iwai
一樹 岩井
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐候性、耐薬品性に特に優れ、摺動性、耐摩
耗性および耐衝撃性に優れたポリオルガノシロキサン系
熱可塑性樹脂の製造方法を提供する。 【構成】 一般式 R1 nSiO(4-n)/2(式中、R1は置
換または非置換の1価の炭化水素基であり、nは0〜3
の整数を示す)で表される構造単位を有するオルガノシ
ロキサン(1)を縮合させて得られるポリオルガノシロ
キサン(2)の存在下に、少なくとも1種のビニルモノ
マー(3)を特定の開始剤(4)を用いてグラフト重合
させる、ポリオルガノシロキサン系熱可塑性樹脂の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオルガノシロキサ
ン系熱可塑性樹脂の製造方法に関し、さらに詳しくは耐
候性に特に優れ、摺動性、耐摩耗性および耐衝撃性な
ど、他の物性も良好なポリオルガノシロキサン系熱可塑
性樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱可塑性樹脂の衝撃強度を改善す
るために、ゴムで変性する技術が確立されている。例え
ば、ブタジエンゴムでスチレン−アクリロニトリル樹脂
(AS樹脂)を強化したABS樹脂や、アクリルゴムで
AS樹脂を強化したAAS樹脂などである。 このよう
なベースゴム成分として、シリコーンゴムが考えられる
が、ポリオルガノシロキサンと熱可塑性樹脂とを単に配
合しただけでは、これらの成分間の相溶性が悪いため、
得られる配合物の耐衝撃性が不十分である。そこで、A
BS樹脂のように、ゴムにビニルモノマーをグラフトさ
せる技術が必要であるが、一般にポリオルガノシロキサ
ンは、ビニルモノマーとの反応性に乏しく、グラフト共
重合体の形成が困難である。この種のグラフト共重合体
を形成するために、数種の方法が開示されている。例え
ば、特開昭50−109282号公報には、ビニル基ま
たはアリル基含有ポリオルガノシロキサンの存在下にビ
ニルモノマーを重合させることにより、グラフト共重合
体を形成させ、衝撃強度を改善することが提案されてい
る。しかしこの場合、グラフト共重合体中に残存する未
反応のビニル基またはアリル基による耐候性の低下がみ
られ、これを犠牲にすることなく、ポリオルガノシロキ
サン系熱可塑性樹脂の特徴である摺動性、耐摩耗性およ
び耐衝撃性を維持、向上させることは困難であった。さ
らに、ポリオルガノシロキサンにビニル基またはアリル
基を導入するためのグラフト交叉剤は高価であり、工業
化するうえではその使用部数には制限があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の従来
技術の課題を背景にしてなされたものであって、特に耐
候性に優れ、そして摺動性、耐摩耗性および耐衝撃性な
ど他の物性も良好な、ポリオルガノシロキサン系熱可塑
性樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、一
般式 R1 nSiO(4-n)/2(式中、R1は置換または非置
換の1価の炭化水素基であり、nは0〜3の整数を示
す)で表される構造単位を有するオルガノシロキサン
(1)を縮合させて得られるポリオルガノシロキサン
(2)の存在下に、少なくとも1種のビニルモノマー
(3)を、下記開始剤(4)を用いてグラフト重合させ
ることを特徴とする熱可塑性樹脂の製造方法を提供す
る。 開始剤(4):開始剤が分解して生成する有機ラジカル
の構造式が
【化2】 (式中、R2、R3、R4は水素原子または炭素数1〜1
0のアルキル基を表す)で表される有機過酸化物。
【0005】以下、本願発明について詳細に説明する。
本発明に使用されるオルガノシロキサン(1)は、前記
一般式で表される構造単位を有するものであり、直鎖
状、分岐状または環状構造を有するが、好ましくは環状
構造を有するオルガノシロキサンである。このオルガノ
シロキサン(1)の有する置換または非置換の1価の炭
化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ビニル基、フェニル基、およびそれらをハロゲン
原子またはシアノ基で置換した置換炭化水素基などを挙
げることができる。また、前記平均組成式中、nの値は
0〜3の整数である。オルガノシロキサン(1)の具体
例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オク
タメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペ
ンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサ
ン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサンなど
の環状化合物のほかに、直鎖状あるいは分岐状のオルガ
ノシロキサンを挙げることができる。なお、このオルガ
ノシロキサン(1)は、あらかじめ縮合された、例えば
ポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜10,0
00程度のポリオルガノシロキサンであってもよい。ま
た、オルガノシロキサン(1)が、ポリオルガノシロキ
サンである場合、その分子鎖末端は、例えば水酸基、ア
ルコキシ基、トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリ
ル基、メチルフェニルビニルシリル基、メチルジフェニ
ルシリル基などで封鎖されていてもよい。
【0006】ポリオルガノシロキサンの製造時に、目的
の性能を損なわない範囲でグラフト交叉剤を使用するこ
とができる。該グラフト交叉剤の使用量は(1)成分1
00重量部に対して、好ましくは10重量部以下、さら
に好ましくは5重量部以下、特に好ましくは0重量部で
ある。グラフト交叉剤を使用し、その使用量が多くなる
と、グラフトしたビニルポリマーの分子量が低下し、そ
の結果十分な耐衝撃性が得られず、そして、未反応の二
重結合が存在するため耐候性も低下する。従って、グラ
フト交叉剤の使用量が0重量部であると、耐候性が一段
と優れた本発明のポリオルガノシロキサン系熱可塑性樹
脂が得られる。グラフト交叉剤としては例えば下記の化
合物が挙げられる。これらの化合物としては、具体的に
はp−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、1−
(m−ビニルフェニル)メチルジメチルイソプロポキシ
シラン、2−(p−ビニルフェニル)エチレンメチルジ
メトキシシラン、3−(p−ビニルフェノキシ)プロピ
ルメチルジエトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイ
ロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、1−(o−
ビニルフェニル)−1,1,2−トリメチル−2,2−
ジメトキシジシラン、1−(p−ビニルフェニル)−
1,1−ジフェニル−3−エチル−3,3−ジエトキシ
シロキサン、m−ビニルフェニル−[3−(トリエトキ
シシリル)プロピル]ジフェニルシラン、[3−(p−
イソプロペニルベンゾイルアミノ)プロピル]フェニル
ジプロポキシシランなどのほか、これらの混合物を挙げ
ることができる。グラフト交叉剤としては、好ましくは
p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、2−(p
−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3
−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメト
キシシランであり、さらに好ましくはp−ビニルフェニ
ルメチルジメトキシシランである。
【0007】さらにポリオルガノシロキサン製造に際
し、得られる樹脂の耐衝撃性を改良するために、第3成
分として架橋剤を添加することもできる。この架橋剤と
しては、例えばメチルトリメトキシシラン、フェニルト
リメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどの3
官能性架橋剤、テトラエトキシシランなどの4官能性架
橋剤を挙げることができる。
【0008】ポリオルガノシロキサンはオルガノシロキ
サン(1)と場合によってはグラフト交叉剤や架橋剤の
混合物が用いられる。オルガノシロキサン(1)または
この混合物を水とアルキルベンゼンスルホン酸などの乳
化剤存在下で乳化させた後、ホモミキサーなどを用いて
剪断混合することで製造することができる。また、機械
的混合を必要としない場合もある。
【0009】次に、このようにして得られるポリオルガ
ノシロキサン(2)に、ビニルモノマー(3)をグラフ
ト重合することにより、グラフト共重合体を含有する本
発明のポリオルガノシロキサン系熱可塑性樹脂が得られ
る。本発明に使用されるビニルモノマー(3)として
は、例えばスチレン、α−メチルスチレン、スチレンス
ルホン酸ナトリウムなどの芳香族アルケニル化合物;メ
チルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチ
ルヘキシルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ア
リルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;メチ
ルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレ
ート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミ
ノエチルメタクリレートなどのアクリル酸エステル;ア
クリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビ
ニル化合物;エチレン、プロピレンなどのオレフィン;
ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの共役ジオ
レフィン;および酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン、トリアリルイソシアヌレート、アクリル酸、メタ
クリル酸、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシ
ルマレイミド、無水マレイン酸などが挙げられ、これら
は単独であるいは混合して使用される。これらのビニル
モノマー(3)のうち、本発明のポリオルガノシロキサ
ン系熱可塑性樹脂の耐衝撃性をより向上させる目的とし
ては、65〜75重量%のスチレンおよび35〜25重
量%のアクリロニトリルを含むものが好ましい。
【0010】また、このようにして得られるグラフト共
重合体のグラフト率は、通常、10重量%以上、好まし
くは20重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上
である。このように、グラフト共重合体のグラフト率が
高いと、グラフト共重合体と直接グラフトしなかったビ
ニルポリマーとの間の界面接着力が増大し、そのため該
ビニルポリマー中にポリオルガノシロキサン(2)が均
一に分散し、良好な外観と優れた衝撃強度を有する熱可
塑性樹脂が得られる。本発明の熱可塑性樹脂を製造する
に際しては、ポリオルガノシロキサン(2)にビニルモ
ノマー(3)を通常のラジカル重合によってグラフト重
合し、グラフト共重合体を含有する組成物として得られ
る。
【0011】ラジカル重合の製造方法は、例えば乳化重
合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合が挙げられる。ここ
でラジカル重合開始剤の種類によっては、前述のように
アルキルベンゼンスルホン酸により酸性となっているポ
リオルガノシロキサン(2)のラテックスをアルカリで
中和する必要がある。このアルカリとしては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭
酸水素ナトリウム、トリエタノールアミン、トリエチル
アミンなどが用いられる。
【0012】本発明に使用されるラジカル重合開始剤
(4)としては、分解後に生成する有機ラジカルの構造
式が
【化3】 (式中、R2、R3、R4は水素原子または炭素数1〜1
0のアルキル基を表す)で表される有機過酸化物であ
り、例えばパーオキシエステル系、パーオキシモノカー
ボネイト系、ジアルキルパーオキサイド系、ハイドロパ
ーオキサイド、及びパーオキシケタル系が挙げられる。
パーオキシエステル系としては、t−ブチルパーオキシ
ネオデカノネイト、t−ブチルパーオキシビバレイト、
t−ブチルパーオキシ2-エチルヘキサネイト、t−ブチ
ルパーオキシイソブチレイト、t−ブチルパーオキシマ
レイン酸、t−ブチルパーオキシ3、5、5-トリメチルヘ
キサネイト、t−ブチルパーオキシラウレイト、t−ブ
チルパーオキシアセテイトネ、t−ブチルパーオキシ-
m-トルイルベンゾエイト及びビス(t−ブチルパーオ
キシ)イソフタレイトなどが挙げられる。パーオキシモ
ノカーボネイト系としては、t−ブチルパーオキシイソ
プロピルモノカーボネイト、t−ブチルパーオキシ2-エ
チルヘキセルモノカーボネイト、t−ブチルパーオキシ
アリルモノカーボネイトなどが挙げられる。ハイドロパ
ーオキサイド系としては、t−ブチルハイドロパーオキ
サイド、メチルハイドロパーオキサイド、エチルハイド
ロパーオキサイド、n−プロピルハイドロハイオキサイ
ド等が挙げられる。ジアルキルパーオキサイド系として
は、2、5-ジメチル-2、5-ビス(t−ブトキシパーオキ
シ)ヘキサン−ブチルクミルパーオキサド、ジーt−ブ
チルパーオキサイドなどが挙げられる。パーオキシケタ
ール系としては、1、1-ビス(t-ブチルパーオキシ)
3、3、5-トリメチルシクロヘキサン、1、1-ビス(t−
ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2、2-ビス(t-ブ
チルパーオキシ)ブタン、n-ブチル4、4-ビス(t−ブ
チルパーオキシ)バレレイト、2、2-ビス(4、4−ジー
t−ブチルパーオキシヘキシル)プロパンなどが挙げら
れる。これらの中でより好しいのはパーオキシエステル
系、パーオキシモノカーボネイト系、ジアルキルパーオ
キサイド系、ハイドロパーオキサイド系、特に好ましく
はパーオキシエステル系、ジアルキルパーオキサイド
系、ハイドロパーオキサイド系である。
【0013】これら有機過酸化物は、熱解離系あるいは
含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方、含糖ピロ
リン酸鉄処方/スルホキシレート処方の混合処方などの
還元剤との組み合わせによるレドックス系の開始剤が用
いられる。また上記有機過酸化物以外では高いグラフト
率が得られず、その結果、ポリオルガノシロキサン
(2)とグラフトされたビニルモノマー間の界面接着力
が低下し、層状剥離が生じてグラフト共重合体に十分な
衝撃強度が得られない。この開始剤の使用量は、ポリオ
ルガノシロキサン(2)成分100重量部に対して0.
01〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは0.1
〜5重量部であり、0.01重量部未満ではモノマー転
化率が低く、未反応モノマーが多くなる。また10重量
部を超えるとグラフト反応後、残存する有機過酸化物
が、熱可塑性樹脂の混練りの際、重合体の熱分解を誘発
し、衝撃強度が劣る。
【0014】この際のラジカル重合法としては、乳化重
合あるいは溶液重合によって実施することが好ましい。
より好ましくは、重合溶媒の連鎖移動反応の影響を受け
にくい乳化重合によって実施することが好ましい。乳化
重合に際しては、公知の乳化剤、前記ラジカル開始剤、
連鎖移動剤などが使用される。ここで、乳化剤として
は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル
硫酸ナトリウム、ジフェニルエーテルジスルホン酸ナト
リウム、コハク酸ジアルカリエステルスルホン酸ナトリ
ウムなどのアニオン系乳化剤、あるいはポリオキシエチ
レンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルア
リールエーテルなどのノニオン系乳化剤の1種または2
種以上を挙げることができる。乳化剤の使用量は、ビニ
ルモノマー(3)に対して、通常、0.5〜5重量%程
度である。連鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプ
タン、オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカ
プタン、n−ヘキシルメルカプタンなどのメルカプタン
類;四塩化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン化合物
が、ビニルモノマー(3)に対して、通常、0.02〜
1重量%使用される。
【0015】乳化重合に際しては、ラジカル重合開始
剤、乳化剤、連鎖移動剤などの他に、必要に応じて各種
電解質、pH調整剤などを併用して、ビニルモノマー
(3)100重量部に対して、通常、水を100〜50
0重量部と、前記ラジカル重合開始剤、乳化剤、連鎖移
動剤などを前記範囲内の量を使用し、重合温度5〜15
0℃、好ましくは50〜140℃、重合時間0.1〜1
0時間の条件で乳化重合される。なお、乳化重合の場合
は、オルガノシロキサン(1)の縮合によって得られ
る、ポリオルガノシロキサン(2)を含有するラテック
スに、ビニルモノマー(3)およびラジカル開始剤を加
えることによって実施することもできる。
【0016】一方、溶液重合の場合は、ポリオルガノシ
ロキサン(2)およびビニルモノマー(3)を、有機溶
媒に溶解し、これにラジカル開始剤、必要に応じて連鎖
移動剤、各種添加剤を加えてラジカル重合させる。この
溶液重合で使用される有機溶媒としては、トルエン、n
−ヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、テトラヒ
ドロフランなどが挙げられる。溶液重合に際しては、ラ
ジカル重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤などを併用
して、ビニルモノマー(3)100重量部に対して、通
常、有機溶媒を80〜500重量部と、前記ラジカル重
合開始剤、連鎖移動剤などを前記範囲内の量を使用し、
重合温度5〜150℃、好ましくは50〜130℃、重
合時間1〜10時間の条件で溶液重合される。この溶液
重合の場合は、乳化重合の場合よりも不純物を著しく減
少することができる。
【0017】本発明のポリオルガノシロキサン系熱可塑
性樹脂は、乳化重合により製造した場合、通常の塩凝固
法により凝固させ、得られた粉末を水洗したのち、乾燥
することによって精製される。また、溶液重合の場合、
水蒸気蒸留によって未反応の単量体と溶媒を留去したの
ち、得られる樹脂の塊を細かく砕いて乾燥することによ
って精製される。
【0018】これらの方法で得られたグラフト共重合体
を含有する本発明の熱可塑性樹脂は、押し出し機などの
混練り機でペレット化することができる。この際、要求
される性能に応じて他の既知の重合体を、通常、99重
量%以下、好ましくは90重量%以下程度適宜ブレンド
し、熱可塑性樹脂組成物(以下、単に「熱可塑性樹脂組
成物」という)として用いてもよい。
【0019】このような重合体として、例えばポリブタ
ジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、天然ゴム
などのジエン系ゴム;アクリルゴム、エチレン−プロピ
レン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合
体、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレンなどのオレ
フィン系ゴム;スチレン−ブタジエンブロック共重合
体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
体、スチレン−ブタジエン−スチレンラジアルテレブロ
ック共重合体などの芳香族ビニル−共役ジエン系ブロッ
ク共重合体;該ブロック共重合体の水素化物;ポリプロ
ピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレン−アク
リロニトリル共重合体、ゴム強化ポリスチレン(HIP
S)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂
(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレ
ン−スチレン樹脂(AES樹脂)、メタクリル酸メチル
−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、アクリロ
ニトリル−ブタジエン−メタクリル酸メチル−スチレン
樹脂、アクリロニトリル−n−ブチルアクリレート−ス
チレン樹脂(AAS樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリカー
ボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチルテ
レフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、エポキシ
樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、PPS樹脂、ポリエーテルエー
テルケトン、PPO樹脂、スチレン−メタクリル酸メチ
ル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ゴム
変性PPO樹脂、スチレン−マレイミド系共重合体、ゴ
ム変性スチレン−マレイミド系共重合体、ポリアミド系
エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどが挙げ
られる。ペレット化された熱可塑性樹脂(組成物)は、
圧縮成形、射出成形などの通常の手段により、加工、成
形される。
【0020】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例中の部および%は、特に断ら
ない限り重量部および重量%である。また、実施例中、
各種の測定項目は、下記に従った。グラフト率 グラフト重合生成物の一定重量(x)をアセトン中に投
入し、振とう機で2時間振とうし、遊離の共重合体を溶
解させ、遠心分離機を用いて回転数23,000rpm
で30分間遠心分離し、不溶分を得る。次に、真空乾燥
機を用いて120℃で1時間乾燥し、不溶分重量(y)
を得、次式によりグラフト率を算出した。 グラフト率=〔y−x×グラフト重合生成物中の(4)
成分分率〕/〔x×グラフト重合生成物中の(4)成分
分率〕×100(%)アイゾット衝撃強度(ノッチ付き) ASTM D256に従い、1/4インチ試験片を使用
し、23℃で測定。耐候性試験 サンシャインウェザーメーター〔東洋理化(株)製、WE
−USN−HC型〕を用い、200時間暴露(63℃、
雨あり)後、アイゾット衝撃強度を測定。摺動特性 摺動試験は、鈴木式摺動試験機を使用し、相手材として
はスチール(S45C)を用いた。試験片は、外径2
5.6mm、内径20.0mmの中空円筒状のものを用
い、相手材も同様の形状のものを用いた。摩耗量の測定
条件は、室温23℃、湿度50%の雰囲気中で荷重5K
g、走行速度3.75cm/秒で測定した。動摩擦係数
は、次式によって算出する。 μ=〔3×F×R×(r2 2−r1 2)〕/〔P×(r2
3−r1 3)〕 (式中、μは動摩擦係数、Fはロードセルに与える力、
Pは荷重、Rはロードセルまでのアーム長、r1 は内
径、r2 は外径を表す。) 摩耗係数の測定条件は、室温23℃、湿度50%の雰囲
気中で、荷重10Kg、走行速度15cm/秒、80,
000回転(走行距離6km)で測定した。
【0021】実施例1 コンデンサー、窒素導入口及び攪拌機を備えたセパラブ
ルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン
(1)100部をドデシルベンゼンスルホン酸2.0部を溶解
した蒸留水300部中に入れ、ホモミキサーにより10分
攪拌して乳化微分散させた。この混合液を、コンデンサ
ー、窒素導入口及び攪拌機を備えたセパラブルフラスコ
に移し、攪拌混合しながら90℃で6時間加熱し、35℃で5
時間冷却することで縮合を完結させた。得られたポリオ
ルガノシロキサン(2)のオクタメチルシクロテトラシ
ロキサンの重添加率は87.9%であった。このポリオルガ
ノシロキサンラテクッスを炭酸水素ナトリウムでpH7
に中和し、このポリオルガノシロキサンラテクッスを固
形分換算で35部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム0.5部及び蒸留水140部を混合し、滴下ビン、コンデ
ンサー、窒素導入口及び攪拌機を備えたセパラブルフラ
スコに移し、さらに全スチレン量の34%に相当するスチ
レン15.8部、全アクリロニトリル量の34%に相当するア
クルロニトリル6.29部、ピロリン酸ソーダ0.2部、ブド
ウ糖0.25部、硫酸第一鉄0.004部およびt−ブチルパー
オキシラウレイト0.27部を加え、窒素を流しながら70℃
まで昇温しバッチ重合した。1時後、残りのスチレン30.
7部、残りのアクリロニトリル12.21部、ドデシルベンゼ
ンスルホ酸ナトリウム1.084部及び蒸留水42部、t−ブ
チルパーオキシラウレイト0.135部をホモミキサーによ
り5分間攪拌して乳化微分散させた混合液を滴下ビンを
使用して3時間にわたって添加する滴下重合を行った。
滴下終後、1時間重合反応させ、重合が終了したので冷
却した。得れたグラフト共重合体ラテックスを、2部の
塩化カルシウム2水和物を溶解した温水中に投入し、塩
析凝固を行って、グラフト共重合体を含む熱可塑性樹脂
を分離した。この熱可塑性樹脂をよく水洗したのち、80
℃で24時間乾燥し精製を完了した。次いで、この熱可塑
性樹脂粉末57部と、スチレンおよびアクルロニトリルの
共重合体(AS樹脂)43部とを混合し、熱可塑性樹脂組成
物を調整した。この熱可塑性樹脂組成物を2軸押し出し
機を使用し、シリンダー温度230℃で押し出し加工し、
ペレットを得た。得られた熱可塑性樹脂組物は、耐候
性、摺動性、衝撃性の優れたものであった。評価結果を
表1に示す。
【0022】実施例2 実施例1において、グラフト共重合体を合成する際に、
有機過酸化物としてジーt−ブチルパーオキサイドをバ
ッチ重合時に0.55部使用し、バッチ重合時間を3時間と
し、滴下重合時に0.25部用いる以外は、実施例1と同に
して熱可塑性樹脂を調整し、実施例1と同様にして評価
した。得られた熱可塑性樹脂組物は、耐候性、摺動性、
衝撃性の優れたものであった。結果を表1に示す。 実施例3 実施例1において、グラフト共重合体を合成する際に、
有機過酸化物としてt−ブチルハイドロパーオキサイド
をバッチ重合時に0.059部使用し、滴下重合時に0.029部
用いる以外は、実施例1と同様にして熱可塑性脂を調整
し、実施例1と同様にして評価した。得られた熱可塑性
樹脂組成物は、耐候性、摺動性、衝撃性の優れたもので
あった。結果を表1に示す。 実施例4 実施例1において、グラフト共重合体を製造する際に、
有機過酸化物としてt−ブチルパーオキシアセテートを
バッチ重合時に0.131部使用し、滴下重合時に0.065部用
いる以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂を製造
し、実施例1と同様にして評価した。得られた熱可塑性
樹脂組成物は、耐候性、摺動性、耐衝撃性の優れたもの
であった。結果を表1に示す。 実施例5、6 実施例1において、グラフト共重合体製造時のビニルモ
ノマーの種類、使用量、およびブレンド樹脂の種類、使
用量を変更し、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂を製
造し、実施例1と同様にして評価した。 得られた熱可
塑性樹脂組成物は、耐候性、摺動性、耐衝撃性の優れた
ものであった。結果を表1に示す。 実施例7 実施例1において、ポリオルガノシロキサン(2)の製造時
にグラフト交叉剤使用量を変更したる以外は、同様にし
て実施例1と同様にして熱可塑性樹脂を調整し、実施例1
と同様にしてポリオルガノシロキサン(II)を調整
し、これを使用したグラフト共重合体調整時のビニルモ
ノマーの種類、使用量、およびブレンド樹脂の種類、使
用量を変更した実施例1と同様にして熱可塑性樹脂を調
整し実施例1と同様にして評価した。得られた熱可塑性
樹脂組成物は、耐候性、摺動性、耐衝撃性の優れたもの
であった。結果を表1に示す。
【0023】比較例1 実施例1において、グラフト共重合体を合成する際に、
有機過酸化物としてジイソプロピルベンゼンハイドロパ
ーオキサイドをバッチ重合時に0.128部使し、滴下重合
時に0.064部用いる以外は、実施例1と同様にして熱可塑
性樹脂を調整し、実施例1と同様にして評価した。結果
を表1に示す。 比較例2 実施例1において、グラト共重合体を合成する際に、有
機過酸化物としてクメンハイドロパーオキサイドをバッ
チ重合時に0.163部使用し、滴下重合時に0.082部用いる
以外は、実施例1と同様にして熱可性樹脂を調整し、実
施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。 比較例3 比較例1における、グラフト交叉剤使用量を変更したる
以外は、同様にしてポリオルガノシロサン(2)を調整
し、これを使用したグラト共重合体調整時のビニルモノ
マーの種類、使量、およびブレンド樹脂の種類、使用量
を変更した実施例1と同様にして熱可塑性樹脂を整し、
実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1から明らかなように、本発明(実施例1
〜6)では耐候性に優れ、摺動性、耐摩耗性および耐衝
撃性のバランスのとれた熱可塑性樹脂が得られたことが
わかる。これに対し、比較例1、および2は開始剤とし
て、ベンゼン環を有すジイソロピルベンゼンハイドロパ
ーオキサイド、クメンハドロパーオキサイドを用いた例
であり、グラフト反応が全く進行しないためグラフト率
が極端に低く、ゴムとマトリックス相との界面接着力が
著しく低下するため、耐衝撃性、耐摩耗性が極端に低下
している。また、比較例3は、交叉剤の使用量が本発明
の上限を超えた場合であり、比較例1、2と比較しグラフ
ト共重合体のグラフト率が極端に高く、グラフト体同志
の絡み合いが起き、グラフト体のミクロ分散がされず、
耐衝撃性が低下し、さらに残存2重結合が多いため、耐
候性試験後の衝撃強度の低下が著しい。
【0026】
【発明の効果】本発明のポリオルガノシロキサン熱可塑
性樹脂は、耐候性に特に優れ、摺動性、耐摩耗性および
耐衝撃性などの他の物性も良好であり、従来の熱可塑性
樹脂では得ることの出来ない幅広い優れた性能を有す
る。従って、本発明のポリオルガノシロキサン系熱可塑
性樹脂は、従来の熱可塑性樹脂が展開出来なかった分野
にも広く応用可能であり、その工業的価値は極めて大き
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川橋 信夫 東京都中央区築地2丁目11番24号日本合成 ゴム株式会社内 (72)発明者 岩井 一樹 東京都中央区築地2丁目11番24号日本合成 ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 R1 nSiO(4-n)/2(式中、R1
    置換または非置換の1価の炭化水素基であり、nは0〜
    3の整数を示す)で表される構造単位を有するオルガノ
    シロキサン(1)を縮合させて得られるポリオルガノシ
    ロキサン(2)の存在下に、少なくとも1種のビニルモ
    ノマー(3)を下記開始剤(4)を用いてグラフト重合
    させることを特徴とする熱可塑性樹脂の製造方法。 開始剤(4):開始剤が分解して生成する有機ラジカル
    の構造式が 【化1】 (式中、R2、R3、R4は水素原子または炭素数1〜1
    0のアルキル基を表す)で表される有機過酸化物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116163054A (zh) * 2023-04-26 2023-05-26 比音勒芬服饰股份有限公司 一种高弹透气的立体针织品面料及其制备方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116163054A (zh) * 2023-04-26 2023-05-26 比音勒芬服饰股份有限公司 一种高弹透气的立体针织品面料及其制备方法
CN116163054B (zh) * 2023-04-26 2023-06-16 比音勒芬服饰股份有限公司 一种高弹透气的立体针织品面料及其制备方法

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