JPH0939497A

JPH0939497A - 疑似七宝装飾品

Info

Publication number: JPH0939497A
Application number: JP19026095A
Authority: JP
Inventors: Eiji Suzuki; 英治鈴木; Noboru Otsuka; 昇大塚; Yasuhide Narita; 康秀成田
Original assignee: Tokai Rika Co Ltd
Current assignee: Tokai Rika Co Ltd
Priority date: 1995-07-26
Filing date: 1995-07-26
Publication date: 1997-02-10

Abstract

(57)【要約】【課題】軽くてコストが安く、しかも出来栄えの安定
する疑似七宝装飾品を提供する。【解決手段】透明プラスチック成形品からなる基材１
の裏面に凹部１ａを形成し、この凹部１ａ内に金属質の
着色面４を形成し、基材１の裏面に印刷面２，３を形成
する。そして、印刷面２，３を、七宝焼の表面を模倣し
た色柄を有するものとして構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、疑似七宝装飾品に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、例えば自動車用のエンブレム
などの装飾品として、七宝焼が用いられている。七宝焼
の装飾品の製作工程を図３に示している。まず、第１工
程として、予め作成した鍛造型により銅板１０の表面に
凹凸模様をつけるコイニング加工を行い、銅板１０を図
３（ａ）に示す形状に加工する。次に第２工程として銅
板１０の周囲の不要な部分（バリ）１０ａを除去するト
リミング加工を行い、銅板１０を図３（ｂ）に示すよう
に加工する。トリミングの後、第３工程として銅板１０
の表面に薬剤ｃ，ｄを塗布する施薬工程を行う（図３
（ｃ））。図示の例では、深さの違う凹部ａ，ｂに同じ
色の顔料を含んだ薬剤ｄを塗布しており、薬剤ｃは、薬
剤ｄとは違う色の顔料を含んでいる。凹部ａ，ｂは、深
さが違うため、七宝焼が完成したときには色の濃さが違
って見えることになる。

【０００３】施薬工程を終えると、次に第４工程として
焼成を行って薬剤ｃ，ｄを銅板１０に焼き付ける。次
に、第５工程として、焼き付けた薬剤を研磨し（図３
（ｄ））、さらに第６工程として仕上げ焼成を行う。そ
の後、第７工程としてバフ研磨を行う（図３（ｅ））。
図示の例では、銅板１０が露出するようにしており、そ
の銅板の露出部分に対して第８工程としてメッキを行っ
て製作を完了するようにしている。この場合、バフ研磨
で滑らかにした表面にメッキをするため、メッキの部分
だけがその厚さ分わずかに突出することになる。なお、
メッキ工程は付加的に行われるものであって、必ず行わ
れる工程ではなく、行わない場合、装飾品の表面は平面
的なものとなる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】以上のような工程を経
て製作される七宝焼の装飾品は、見栄えに高級感があ
り、自動車用のエンブレム等に適したものではあるが、
製作工程が多いうえに殆どの工程で手作業を要するた
め、コストが高く、出来ばえにばらつきが生じやすいと
いう問題があった。また、基材として銅板を用いている
ために重量が重いという点も問題であった。

【０００５】したがって、本発明の解決すべき技術的課
題は、軽くてコストが安く、しかも出来栄えの安定す
る、七宝焼のような装飾品、つまり疑似七宝装飾品を提
供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段及び作用・効果】上述の技
術的課題を解決するため、本発明に係る疑似七宝装飾品
は以下のように構成されている。すなわち、この疑似七
宝装飾品は、裏面に凹部が形成された透明プラスチック
成形品からなる基材と、この凹部に形成された着色面
と、基材の裏面に形成された表示面とを備え、表示面
が、七宝焼を模した色柄を有することを特徴としてい
る。この構成において、成形品の原料としては、例え
ば、ＰＭＭＡ（ポリメタクリル酸メチル）、ＰＣ（ポリ
カーボネート）、ＡＢＳ（アクリロニトリル・ブタジエ
ン・スチレン）樹脂などのエンジニアリングプラスチッ
ク材料を用い、装飾品を自動車用エンブレムとして十分
な強度を有するものにすることができる。

【０００７】上記構成によれば、プラスチック成形品の
表面は仕上げなくても滑らかであるから、七宝焼の場合
のような出来栄えのばらつきは生じない。また、七宝焼
の表面の滑らかさやつやは、プラスチック成形品の表面
からほぼ同等のものが得られる。また、七宝焼を模した
色柄を透明基材の裏面に設けており、かつ着色面を形成
した裏面の凹部が表面から見たときに凸部として見える
ので、その着色面をメッキ色にしておけば、上述した七
宝焼とほぼ同じ外観を得ることができる。なお、凹部
は、メッキ色にする場合は、金属質の顔料を含む塗料で
形成したり、真空蒸着により形成したりすることが出来
る。

【０００８】上記構成の疑似七宝装飾品は、予め作成し
た金型によりプラスチック成形をした後、裏面に印刷な
どの方法で七宝焼を模した表示面を形成し、さらに凹部
にメッキ色などを着色するという、少ない工程で製作す
ることができる。したがって、コストを安くすることが
出来る。さらに、基材をプラスチック成形品にしている
ので、七宝焼と比較して大幅な軽量化が実現できる。

【０００９】また、本発明によれば、透明プラスチック
成形品からなる基材と、基材の裏面に形成された表示面
とを備え、表示面が、七宝焼を模した色柄を有している
ことを特徴とする疑似七宝装飾品が提供される。このよ
うに構成すれば、凹部を形成していないので七宝焼の一
部にメッキをした場合の外観とは異なるが、メッキをし
ていない、表面が平面的な七宝焼と比較すればほぼ同じ
外観が得られる。

【００１０】また、この構成においては、表示面を、基
材に転写箔を付着して構成することができる。このよう
に構成すれば、プラスチック成形と転写の二工程もしく
はインモールド転写成形の一工程で、疑似七宝装飾品を
極めて簡単に製作できる。

【００１１】また、上記各構成においては、基材の周縁
端面を、裏面から前面に向かって内側へ傾斜する傾斜面
として形成することが好ましい。端面が表面に直角であ
れば、装飾品を斜め前方から見たときに、光の屈折の関
係で裏面の色柄が不自然に見えるおそれがあるが、この
ように端面を傾斜面にすれば、斜め前方からでも裏面の
色柄を自然に見られるので、より七宝焼に近い外観が得
られる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、
図１と図２を用いて詳細に説明する。

【００１３】まず、本発明に係る疑似七宝装飾品の第１
の実施の形態について、図１の断面図を用いて説明す
る。図において、１はエンジニアリングプラスチック材
料で成形した基材であり、裏面には、縦、横、深さとも
に0.5mm〜1mm程度の大きさの凹部１ａが形成されてい
る。この装飾品は、自動車のエンブレムとして構成され
ており、表面は、図では表れていないが、自動車のボデ
ィのわずかに湾曲した形状に合わせてわずかに湾曲して
いる。また、厚さｔｇは、図３の七宝焼の厚さｔｇと同
一である。

【００１４】この基材１の裏面の凹部１ａの周囲には、
七宝焼に似せた色柄の表示面として、図３の七宝焼の装
飾品の濃く見える部分ａに対応した濃い色の印刷面２
と、薄く見える部分ｂに対応した薄い色の印刷面３が形
成されている。別の色の顔料を含んだ薬剤ｃを使用した
七宝焼に似せる場合は、その色に対応したインキも使用
して印刷すればよい。そして、印刷面２，３の上から、
アルミニウムやクロムなどの金属を真空蒸着した金属面
４が着色面として形成され、さらに、色の隠蔽性を高
め、金属面４の腐食を防止するために裏打ち塗装５を行
っている。

【００１５】上記構成によれば、七宝焼の表面の滑らか
さやつやは、プラスチック成形品１の表面からほぼ同等
のものが得られ、しかも、基材１をプラスチック成形品
にしているから表面の仕上げのばらつきが生じない。ま
た、七宝焼を模した色柄を透明基材１の裏面に設けてお
り、金属質にした裏面の凹部１ａが表面から見たときに
わずかな凸部として見えるので、表面にメッキをした七
宝焼とほぼ同じ外観を得ることができる。

【００１６】上記構成の疑似七宝装飾品の製作は、予め
作成した金型によりプラスチック成形をした後、七宝焼
に用いる薬剤に含まれるのと同じ顔料を含んだインクで
裏面に印刷を施し、さらに凹部１ａに真空蒸着した後、
裏打ち塗装することで行える。このように、この装飾品
は少ない工程で製作することができるから、コストを安
くすることができる。なお、凹部１ａは、金属色にする
場合は蒸着以外にも金属質の顔料を含む塗料による塗装
でも形成することが可能である。また、金属質以外の塗
料を用いた着色面を形成して、金属質にした場合とは違
った立体感を出すこともできる。

【００１７】次に、本発明の第２の実施の形態につい
て、図２を用いて説明する。この例は、裏面に凹部を形
成していない点が第１の実施形態とは異なっている。透
明プラスチック基材６は、ほぼ平坦な板状であるが、表
面は、図では表れていないが、自動車のボディのわずか
に湾曲した形状に合わせてわずかに湾曲している。ま
た、その裏面に、七宝焼の色柄を模した表示面７が形成
され、図３の七宝焼と同じ厚さｔｇになっている。この
表示面７は、濃い色の印刷面７ａ、薄い色の印刷面７
ｂ、そして金属質の印刷面７ｃから構成されている。表
示面７は、プラスチック基材６の裏面に印刷して形成し
たり、印刷面７ａ，７ｂ，７ｃを有する転写箔を予め形
成しておき、これを用いて形成したりできる。

【００１８】このように構成すれば、表面から見たとき
に金属質の印刷面７ｃがわずかな凸部としては表れない
が、全体としてはメッキをした七宝焼とほぼ同じ外観が
得られる。また、印刷面７ｃを金属質以外の色の印刷面
として形成すれば、メッキをしない場合の、表面が平面
的な七宝焼とほぼ同じ外観の装飾品が得られる。なお、
図２の構成であれば、プラスチック成形と印刷もしくは
転写の二工程、またはインモールド転写成形の一工程
で、成形品を極めて簡単に製作できる。

【００１９】次に、これらの実施形態の変形例について
説明する。図１及び図２に仮想線で示すように、基材の
周縁端面を、裏面から前面に向かって角度ｈ（例えば５
゜〜１５゜）で内側へ傾斜した傾斜面にすることが好ま
しい。端面が表面に直角であれば、装飾品を斜め前方か
ら見たときに、光の屈折との関係で裏面の色柄が不自然
に見えるおそれがあるが、このように端面を傾斜面にす
れば、斜め前方からでも裏面の色柄を見やすくなるの
で、より七宝焼に近い外観が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態に係る疑似七宝装
飾品の断面図である。

【図２】本発明の第２の実施の形態に係る疑似七宝装
飾品の断面図である。

【図３】七宝焼の製作工程を示す図である。

【符号の説明】

１基材１ａ凹部２，３印刷面（表示面）４金属面（着色面）５裏打ち塗装６基材７表示面７ａ，７ｂ，７ｃ印刷面

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】裏面に凹部(1a)が形成された透明プラス
チック成形品からなる基材(1)と、上記凹部(1a)に形成された着色面(4)と、上記基材(1)の裏面に形成された表示面(2,3)とを備え、上記表示面(2,3)が、七宝焼を模した色柄を有している
ことを特徴とする疑似七宝装飾品。
【請求項２】透明プラスチック成形品からなる基材
(6)と、上記基材(6)の裏面に形成された表示面(7)とを備え、上記表示面(7)が、七宝焼を模した色柄を有しているこ
とを特徴とする疑似七宝装飾品。
【請求項３】上記表示面(7)が、上記基材(6)に付着し
た転写箔により構成されたことを特徴とする請求項２記
載の疑似七宝装飾品。
【請求項４】上記基材(1,6)の周縁端面が、裏面から
前面に向かって内側へ傾斜する傾斜面として形成された
ことを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載
の疑似七宝装飾品。