JPH09287023A - マルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管の製造方法 - Google Patents
マルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管の製造方法Info
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- JPH09287023A JPH09287023A JP9838096A JP9838096A JPH09287023A JP H09287023 A JPH09287023 A JP H09287023A JP 9838096 A JP9838096 A JP 9838096A JP 9838096 A JP9838096 A JP 9838096A JP H09287023 A JPH09287023 A JP H09287023A
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Abstract
い、異方性がなく強度と耐食性に優れたマルテンサイト
系ステンレス鋼の継目無鋼管を製造する方法の提供。 【解決手段】マルテンサイト系のステンレス鋼を用いて
継目無鋼管を製造する方法であって、下記〜の工程
を順次行うことを特徴とする。 中空素管に施す延伸加工および仕上げ加工を、両加
工における合計の加工度で40%以上、仕上げ温度 800〜
1100℃で行い継目無鋼管とする工程、 上記継目無鋼管を補熱炉に装入し、下記の (a)式で
規定されるfnの値が22000 から27000 までの間の値と
なる温度T (℃) および時間t(hr)での補熱を行う工
程、 補熱炉から取り出した継目無鋼管を、少なくとも60
0 ℃までは10℃/分以上の冷却速度として 200℃以下ま
で冷却し、次いで 500〜780 ℃で焼き戻す工程。 fn=(T+ 273) × (21+ logt) ・・・ (a) ただし、T≧ 800 (℃) である。
Description
マルテンサイト組織となるステンレス鋼を用い、高強度
で、かつ、靱性および耐食性に優れた継目無鋼管を製造
する方法に関するものである。
鋼管は、従来、製管後、焼入れ−焼戻しの熱処理を施し
て製品としている。この方法では、製管後に一旦冷却し
た鋼管を再加熱して焼入れをしなければならないので、
工程が多く、またエネルギー消費も大きい。そこで、普
通鋼および低合金鋼の継目無鋼管の製造で採用されてい
る、いわゆる「直接焼入れ」をマルテンサイト系ステン
レス鋼の継目無鋼管の製造にも適用する試みがなされて
いる。
ドレルミル方式で製管した後の鋼管をそのまま室温まで
冷却した後、特定の条件で焼戻しを行う方法が、また、
特開平5-98347 号公報には、熱間加工後のマルテンサイ
ト系ステンレス鋼(鋼板、鋼管等) をそのまま直ちに2
段階の冷却を行う方法が、それぞれ開示されている。
は、集合組織の形成が甚だしく、結晶粒界に析出したク
ロム炭化物の影響と重畳して、靱性等の機械的性質、耐
硫化物応力割れ性(耐SSC性)等の耐食性に著しく異
方性が現れる。
る方法として、仕上げ圧延後に完全に再結晶する条件で
熱間加工を行い、直接焼入れする方法を提案した(特開
平4-110420号公報、参照) 。しかしながら、マルテンサ
イト系ステンレス鋼の再結晶温度は、低合金鋼に較べて
著しく高いので、通常の継目無鋼管の製管ミルでは、製
品サイズによって完全に再結晶させることが困難な場合
がある。また、再結晶温度以上の高温で仕上げができる
サイズの鋼管であっても、その鋼管の部位によって温度
ムラがあって、これが製品に好ましくない影響を及ぼ
す。
いは圧延後の鋼管が圧延ロールや搬送ラインのビーム等
に全面均一に接触することはない。従って、1本の鋼管
の部位(長手方向および円周方向の位置)によって冷却
状況が異なり、相当の温度差が生じる。このような鋼管
をそのまま焼入れすると、部位によっては未再結晶のま
ま焼入れされることになり、その結果として1本の鋼管
内に異方性のある部分や機械的性質および耐食性の異な
る部分が発生してしまう。即ち、製品鋼管は、特性にバ
ラツキの多い実用に耐えないものになる。
後に別ラインで再加熱して行われている従来の焼入れ−
焼戻し処理を、製管ライン内で製管に引き続いて行い、
しかも、あらゆる製品サイズにおいて異方性がなく強度
と耐食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼の継目
無鋼管を製造する方法を提供することにある。
にマルテンサイト組織となるステンレス鋼を用いて継目
無鋼管を製造する方法であって、下記〜の工程を順
次行うことを特徴とする継目無鋼管の製造方法、を要旨
とする。
加工を、両加工における合計の加工度で40%以上、仕上
げ温度 800〜1100℃で行い継目無鋼管とする工程、 上記継目無鋼管を補熱炉に装入し、下記の (a)式で
規定されるfnの値が22000 から27000 までの間の値と
なる温度T (℃) および時間t(hr)での補熱を行う工
程、 補熱炉から取り出した継目無鋼管を、少なくとも 6
00℃までは10℃/分以上の冷却速度として200 ℃以下に
冷却した後、 500〜780 ℃で焼き戻す工程。
マルテンサイト組織となるステンレス鋼」とは、常温で
マルテンサイト主体の組織(50%未満のδフェライトを
含んでいてもよい) となるステンレス鋼である。その化
学組成には特に制約はないが、一般的な成分およびその
含有量を例示すれば下記のとおりである(%は重量%で
ある)。
n:2 %以下、 Cr: 8〜17%、sol.Al:0.005
〜0.1 %、P、S:それぞれ0.05%以下、Mo:0〜3
%、Ni: 0〜8 %、Cu: 0〜5 %、N:0.001 〜0.15
%、B:0 〜0.01%、Ti、Nb、V:それぞれ 0〜0.5
%、Ca、Mg、Y、希土類元素 (La、Ce等) :それぞれ 0
〜0.01%。
他の合金元素を含有していてもよい。
て順次説明する。なお、製管素材 (ビレット) は、イン
ゴットまたは連続鋳造したスラブ、ブルーム等から分塊
圧延や鍛造を経て製造したビレットでもよいし、また、
連続鋳造で丸ビレットを鋳造すれば、そのまま穿孔工程
に付すことができる。
の製造、即ち、穿孔は、どんな方法で行ってもよい。例
えば、傾斜ロール圧延機等のいわゆるピアサーで行うこ
とができる。穿孔条件は、通常のマルテンサイト系ステ
ンレス鋼の継目無鋼管製造の場合と基本的に同じでよ
い。ただし、次工程の延伸圧延において厚肉の中空素管
を大きな加工度で圧延するには大きなミル・パワーを要
する。従って、次工程の圧延加工の加工度を大きくする
ためには、穿孔工程でできるだけ薄肉にしておくのが好
ましい。例えば、ピアサーをコーン型にし、交叉角を付
けたロールで拡管薄肉化が可能なタイプのピアサーを使
用して穿孔する方法が推奨される。
加工を行う設備には、マンネスマン・マンドレルミル方
式、マンネスマン・プラグミル方式等、種々の方式があ
る。本発明方法ではいずれの方式をも採用できる。例え
ばマンドレルミル方式では、マンドレルミルで延伸加
工、サイザーまたはレデューサーで仕上げ加工が行われ
る。
低温加工になり、結晶粒微細化に重要な加工工程であ
る。これらの加工での仕上げ温度が 800℃よりも低くな
ると、後の補熱でも十分に固溶しない粗大なクロム炭化
物が析出し、製品鋼管の耐SSC性および靱性が低下す
る。一方、1100℃を超えると結晶粒が粗大化して、やは
り耐SSC性および靱性が低下する。従って、仕上げ温
度は 800〜1100℃としなければならない。なお、組織微
細化の点から仕上げ温度は 800〜900 ℃程度と低くする
のが望ましい。
40 %未満であれば、結晶粒の微細化が十分でない。こ
の加工度の上限には特に制限はないが、90%を超えると
工具への負担が大きいので40〜90%の範囲とするのが好
ましい。
と仕上げ加工工程の間隔はなるべく短くするのがよい。
即ち、延伸加工時に導入された転位が回復する前に仕上
げ加工を実施して、十分に歪を蓄積した後に再結晶によ
る微細化を図ればその効果が大きい。
機 (例えばマンドレルミル) と、仕上げ加工を行う圧延
機 (例えばサイザーまたはレデューサー) との間隔を、
前者で加工された中空素管の長さよりも短い間隔をおい
て設置した設備を使用して実施することができる。例え
ば、エキストラクティングサイザーによって、直ちに仕
上げ圧延を実施するとともにホローシェルからバーを引
き抜く作業を同時に行うような圧延プロセスが好まし
い。
管を製管ラインに設けた補熱炉に装入して行う。この補
熱には、前の加工で歪を導入した鋼管を再結晶させて微
細組織とすること、圧延加工中に析出したクロム炭化物
を固溶させること、および鋼管を均一に熱して特性のバ
ラツキや局部的異方性を少なくする、という多くの目的
がある。補熱炉を用いることによって、管全体の温度の
均一化のみならず温度の正確な調整が可能になり、製品
に望まれる特性に合わせた熱処理条件の選択ができると
いう利点がある。
化物の析出および粗大化が著しい。
る。即ち、前記 (a)式のT(℃)は 800以上としなけれ
ばならない。
直ちに結晶粒の成長、粗大化が始まるので、補熱は短時
間にしなければならない。補熱の温度T(℃)と時間t
(hr)の関係は、再結晶の活性化エネルギーから導出さ
れる前記 (a)式のfnの値が22000〜27000 となるよう
に調整する必要がある。fnの値が 22000より小さい条
件の補熱では再結晶が完全に完了せず、一方、fnが 2
7000を超える条件では結晶粒の粗大化が著しく、製品鋼
管の耐SSC性および靱性が低下する。
の適正温度より高い場合、同等である場合、およびそれ
より低い場合、のいずれもあり得る。従って、本発明方
法で補熱というのは、圧延仕上げ温度からの徐冷、仕上
げ温度とほぼ同じ温度での保持、仕上げ温度からの加熱
(昇温)のいずれもあり得る。前記 (a)式の条件を満足
する限り、ヒートパターンには何ら制約はない。なお、
(a)式を満たす条件で補熱すれば、管全体の温度の均一
化も達成される。
ス鋼の焼入れ性は高いので、補熱炉を出た鋼管の冷却
は、クロム炭化物が析出しない速度であれば十分であ
る。少なくとも、クロム炭化物が析出しやすい温度域で
ある 600℃までは 10 ℃/分以上の冷却速度で冷却す
る。それによって炭化物の析出は実用上問題にならない
程度に抑えることができる。600 ℃より低温では、任意
の冷却速度で、実質的なMf点である200 ℃以下まで冷
却すればよい。ただし、残留オーステナイトをできるだ
け少なくするために室温まで完全に冷し切るのが好まし
い。
ンサイト組織を焼き戻して、製品鋼管の靱性と耐SSC
性を向上させるために行う。500 ℃よりも低温では焼戻
し効果が十分ではなく、780 ℃を超える温度では強度低
下を招く。なお、焼戻しの時間は 5分から1時間程度で
よい。
ビレットを作製して、マンネスマン−マンドレルミルを
用いて圧延を行い、外径 273.1mm、肉厚 9.3 mm の鋼管
を製造した。製造条件は表2に示すとおりである。な
お、補熱後の熱処理において600℃よりも低温域での冷
却は空冷とし、それぞれの冷却終了温度から焼戻し温度
の再加熱した。鋼管強度は鋼種によって変化するので、
この焼戻し温度を変えてどの鋼種においても耐力 (降伏
強度) が 60 kgf/mm2 前後になるように調整した。
号公報に開示した方法に準じ、十分に高温で加工を終了
させ、再結晶させた後の鋼管を直接焼入れし、焼戻しの
処理を施した例である。
に3mおきの3カ所およびこれらの各位置について円周
方向に4等分した位置の合計12カ所から管軸方向に引張
試験片、シャルピー衝撃試験片および耐食性試験片を採
取し、下記の試験を行い機械的性質および耐食性を調べ
た。
棒試験片を用いて行った。シャルピー衝撃試験は、5mm
×10mm×55mmの2mmVノッチ試験片を用い、0℃での衝
撃値で評価した。耐食性 (耐SSC性)は、NACE TM 01
77 METHOD-A に規定された定荷重試験に従い、45kgf/mm
2 の応力を負荷し、「30atm. CO2+0.01 atm. H2S +5
%NaCl」の溶液に浸漬し、200 時間後の割れの有無によ
って評価した。試験結果を表3に示す。
所の試験片による最大値(M)、最小値(m)、平均
値、およびバラツキ(M−m)で示した。また、異方性
は衝撃試験片の破面にセパレーションが発生しているか
否かで示した。耐SSC性は、12カ所からの試験片のう
ち、何本が合格(割れ発生無し) であったか、により評
価した。
強度、靱性ともに良好であり、鋼管の部位によるそれら
の値の差異は極めて小さい。即ち、バラツキが小さい。
また、上記本発明例の衝撃試験片の破面には異方性の指
標となるセパレーションが見られない。
全てに割れが無く、耐SSC性も良好である。
部位による機械的性質、特に強度のバラツキが大きい。
また、耐SSC性試験でも全数合格には到っていない。
件のどれかが本発明で定める条件を満たしていない比較
例である。これらのうち、試番15は延伸加工と仕上げ加
工の合計加工度が 5%と小さく、試番16は仕上げ温度が
高過ぎて、いずれもオーステナイト結晶粒が粗大にな
り、靱性および耐SSC性が劣る。
物が粗大に成長し、かつフェライト変態が起きたために
強度が低く、靱性および耐SSC性が劣る。
に再結晶が十分でなくセパレーションが観察された。即
ち、異方性が大きい。他方、試番19は、fnの値が大き
過ぎてオーステナイト結晶粒が粗大化したため、靱性お
よび耐SSC性が劣る。
速度が小さいので、粗大炭化物の析出によって靱性およ
び耐SSC性が低下している。一方、試番21は、冷却終
了温度が高過ぎたためにマルテンサイト変態が完了しな
い状態で焼戻されてしまい、強度が低く、靱性および耐
SSC性も劣っている。
法によって製造したマルテンサイト系ステンレス鋼の継
目無鋼管には、従来の直接焼入れ法で製造された鋼管の
難点であった特性のバラツキが殆どなく、かつ異方性も
ない。本発明方法は、製管から熱処理まで、連続的にオ
ンラインで実施できるので、継目無鋼管の製造における
生産性の向上と製造コストの低減にも大きく寄与する。
Claims (1)
- 【請求項1】常温で実質的にマルテンサイト組織となる
ステンレス鋼を用いて継目無鋼管を製造する方法であっ
て、下記〜の工程を順次行うことを特徴とする継目
無鋼管の製造方法。 中空素管に施す延伸加工および仕上げ加工を、両加
工における合計の加工度で40%以上、仕上げ温度 800〜
1100℃で行い継目無鋼管とする工程、 上記継目無鋼管を補熱炉に装入し、下記の (a)式で
規定されるfnの値が22000 から27000 までの間の値と
なる温度T (℃) および時間t(hr)での補熱を行う工
程、 補熱炉から取り出した継目無鋼管を、少なくとも 6
00℃までは10℃/分以上の冷却速度として200 ℃以下に
冷却した後、 500〜780 ℃で焼き戻す工程。 fn=(T+ 273) × (21+ logt) ・・・ (a) ただし、T≧ 800 (℃) である。
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JP09838096A JP3694967B2 (ja) | 1996-04-19 | 1996-04-19 | マルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管の製造方法 |
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JP2001129602A (ja) * | 1999-11-04 | 2001-05-15 | Sumitomo Metal Ind Ltd | デスケール性と耐食性に優れたマルテンサイト系ステンレス継目無鋼管の製造方法 |
JP2002348610A (ja) * | 2001-05-22 | 2002-12-04 | Sumitomo Metal Ind Ltd | マルテンサイト系ステンレス鋼管の製造方法 |
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CN109750222A (zh) * | 2017-12-08 | 2019-05-14 | 上海落日新材料科技有限公司 | 一种高性能马氏体不锈钢及其高平面度板制造方法 |
-
1996
- 1996-04-19 JP JP09838096A patent/JP3694967B2/ja not_active Expired - Fee Related
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