JP3717745B2 - マンドレルバーとその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シームレス鋼管を熱間圧延する際に、鋼管内部に挿入されるマンドレルバーとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シームレス鋼管の製造方法は、高生産性で寸法精度の高いマンネスマンマンドレルミル方式による製造方法が広く採用されている。そのプロセスにおいて、マンドレルバーはピアサーで穿孔されたホローシェルの内面に挿入され、数スタンドの連続したマンドレルミルにて圧延が実施される。マンドレルバーは、圧延中もしくは圧延後にホローシェルから引き抜かれる。従ってマンドレルバーの表層は昇温と降温が交互に繰り返され、降伏応力以上の圧縮応力と引張り応力が繰り返し作用するので、クラック発生や摩耗により、短時間で寿命となる問題がある。
【0003】
従来のマンドレルバーには、例えばJIS−G−4404規格のSKD6,61,62系統の材料(特開昭60−2623号公報)、またはこれらの改良鋼(特開平1−306544号、特開平2−25543号各公報)が使用されている。しかしながら、これらの鋼は高温強度が高く、耐ヒートチェック性(耐熱亀裂性)に優れるものの、靭性が低いという問題点があるので、靭性を改善する熱処理を施して使用されるのが一般的である。
【0004】
従来、マンドレルバーのような大型工具の製造方法では焼き割れ、置き割れの発生が問題となるので、焼入れ処理の際に中心部までマルテンサイト主体の組織とするための水冷は実施されていなかった。高Crの工具鋼に対して水焼入れを実施すると、焼き割れや遅れ破壊が発生するのは当業者によく知られていることである。また、マンドレルバーの中心部を含めた全体を高強度とすると、全体の靭性が低下し、折損などの重大なトラブルが発生しやすくなる。
【0005】
従って、工業的には圧延後空冷や、再加熱後空冷のノルマライズ処理、または球状化焼鈍処理とし、マンドレルバーの中心部では炭化物とベイナイト主体の組織として強度を下げざるを得なかった。
特開昭60−2623号公報には、マンドレルバーの形状に成形した後、空冷または再加熱後空冷のノルマ処理や球状化処理を施して、中心部はベイナイトまたはフェライトの混じったベイナイト組織や炭化物の球状化組織として強度を下げて、靭性を確保し、再度高周波加熱等で表層のみを焼入れして強化する方法が開示されている。また、表面のみを改質する手段として、特開昭59−1678号公報には、レーザー光線を表面に照射する方法が開示されている。
【0006】
マンドレルバーの表面を高周波焼き入れ等によって改質して高強度とし、高い高温強度と耐摩耗性を得ながら、全体の靭性は中心部の軟質部によって確保することによって、折損等の重大なトラブルを回避しながら寿命を向上することができるようになりつつある。
【0007】
一方、表層には過酷な熱応力が作用するとともに、マンドレルバー全体には圧延中もしくは圧延後にシェルから引き抜くために大きな引張り応力が働き、使用中、徐々にバーの長さが伸び、径が縮小して寿命となる問題も発生する。また、ヒートチェックによるき裂が進展すると、表層以外の高温強度は小さいため、き裂進展スピードが大きくなり、寿命が低下する問題も発生する。
【0008】
特開平5−69013号公報には、バーの長さが使用中に伸びて、径が縮小して寿命となることに対する1つの解決方法が提案されている。すなわち、外面と中心部の硬度差をショア硬度で15以下に抑える、すなわち中心部の硬度を表層硬度に近づけることによってバーの使用中の伸長を抑制することを意図している。しかしながら、この方法は単純に焼戻し温度を低下させて中心部の硬度を確保するに過ぎず、当然中心部の靭性が低下する問題が発生するが、これに対する解決策がとられていない。従って、確かにマンドレルバーの伸長による径縮小の問題がクリアできても、マンドレルバーの折損等が再度問題となってくるため、この技術を適用しても単純には寿命向上にはつながらない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、中心部の強度が表層部と同等の高強度で、かつ高靱性の寿命の長いマンドレルバーとその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、大型の工具であるマンドレルバーを成形後水焼入れしても焼き割れや、置き割れが発生しない工具鋼を開発することを目標に、水焼入れしたときの焼き割れ、置き割れにおよぼすマンドレルバー形状と、合金元素の影響を調べるため、鋭意実験、検討した結果、下記の知見を得るに至った。
【0011】
a)焼入れした後の金属組織を、マルテンサイト量が多くベイナイトの少ない組織にすると、焼戻し後の高温強度が大きく改善されるのみならず、靱性も大きく改善される。
【0012】
b)しかし、マンドレルバーバーの直径と、合金成分中のP含有量とが水焼入れした場合に生じる焼き割れや置き割れに関係しており、[Pの含有量(質量%)≦7.5/マンドレルバーの直径]の関係を満たしている場合において、安定して焼き割れや、遅れ破壊が回避でき、マンドレルバーの水焼入れによる製造が工業的に可能である。
【0013】
本発明は、上記のような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
【0014】
(1)質量%で、C:0.25〜0.4%、Si:1%以下、Mn:0.3〜1.5%、Cr:2.5〜9.5%、V:0.1〜1%、Al:0.001〜0.1%、S:0.03%以下、N:0.015%以下、P:下記式(a)を満足する量を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、金属組織がマンドレルバーの中心部まで焼戻しマルテンサイトの面積率が50%以上のマルテンサイトを主体とした組織であることを特徴とする高寿命マンドレルバー。
【0015】
P≦7.5D ・・・・・・・(a)
ここで、D:マンドレルバーの直径(mm)
(2)質量%で、C:0.25〜0.4%、Si:1%以下、Mn:0.3〜1.5%、Cr:2.5〜9.5%、V:0.1〜1%、Al:0.001〜0.1%、S:0.03%以下、N:0.015%以下、P:下記式(a)を満足する量を含み、さらに下記のグループa)〜c)のうちの1グループ以上の元素を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、金属組織がマンドレルバーの中心部まで焼戻しマルテンサイトの面積率が50%以上の焼戻しマルテンサイトを主体とした組織であることを特徴とする高寿命マンドレルバー。
【0016】
P≦7.5D ・・・・・・・(a)
ここで、D:マンドレルバーの直径(mm)
a)Ni:0.1〜2%
b)Mo:0.1〜2%、W:0.1〜3%、Nb:0.005〜0.5%の1種以上
c)B:0.0005〜0.01%
(3)上記(1)または(2)に記載の化学組成の工具鋼を用いてマンドレルバーの形状に成形した後、900〜1100℃の温度範囲内でマンドレルバーの中心部と表層部との温度差が50℃以下となるように加熱し、その後水冷にて焼入れを施して中心部の組織をマルテンサイト主体の組織とし、さらに焼戻しを施してマンドレルバーの中心部の金属組織を焼戻しマルテンサイトの面積率が50%以上の焼戻しマルテンサイト主体の組織とすることを特徴とする高寿命マンドレルバーの製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のマンドレルバーの化学組成および製造方法について説明する。なお、化学組成の%表示は全て質量%とする。
【0018】
C:
Cは、鋼の焼入性を高めると共に靱性を向上させ、焼戻し時に炭窒化物として2次析出して高温強度を向上させる作用を有する。しかし、その含有量が0.25%未満ではその効果が乏しく、0.4%を超えて含有させると、水焼入れした場合にP含有量を後述する量に規制しても焼き割れ、遅れ破壊が発生するので、C含有量は0.25〜0.4%とした。
【0019】
Si:
Siは、鋼の脱酸を目的として添加する。また、焼戻し軟化抵抗を高めて常温の強度上昇にも寄与するが、高温強度、靭性が低下する弊害もある。脱酸および焼戻し軟化抵抗の改善の目的で含有させる場合は0.1%以上とするのが好ましい。一方、1%を超えて含有させた場合、著しい高温強度の低下と、靭性の低下をもたらすため上限は1%とした。
【0020】
Mn:
Mnは、鋼の焼入れ性を増し、強度および靭性確保のために有効な成分である。含有量が0.3%未満では、焼入れ性の不足によって強度、靱性ともに満足する製品を製造することが難しい。一方で、1.5%を超えて含有させる場合は、偏析が増加して靱性を低下させる。したがって、Mn含有量は0.3〜1.5%とした。
【0021】
Cr:
Crは、靱性および耐摩耗性の向上に有効な元素であるが、その含有量が2.5%未満では十分な効果が得られず、9.5%を超えると、高温強度の低下を招くようになるので、Cr含有量は2.5〜9.5%とした。特に高温強度と破壊靭性のバランスが優れているのは4.5〜5.5%である。
【0022】
V:
Vは、高温強度を高めるのに必要な元素である。Vの含有量が0.1%未満ではその効果が乏しく、1%を超えると被削性と靱性を悪化させる。そこでV含有量は0.1〜1%とした。
【0023】
Al
Alは、鋼の脱酸に必要な元素であり、その含有量が0.001%未満ではその効果を得ることができない。また0.1%を超えると清浄度が低下して靭性の低下や鋼中の地疵の原因となる。そのためAl含有量は0.001〜0.1%とした。
【0024】
Ni:
Niは、Mnと同様に焼入性を向上させて靱性を改善するのに有効な元素であり、必要により含有させるが、高温強度を低下させる弊害もある。靭性の改善を目的として含有させる場合は0.1%未満ではその効果が乏しいので、0.1%以上とする。好ましくは0.5%以上である。含有量が2%を超えると変態点を下げて高温強度の大きな低下を招く。したがって、Niを含有させる場合には2%以下とする。
【0025】
Mo、W、Nb:
Mo、WおよびNbは、鋼の焼入性と焼戻し軟化抵抗を向上させ、靱性と高温強度を高める作用を有するので必要により含有させる。
【0026】
Moは、上記効果を得るには0.1%以上が必要で、好ましくは0.5%以上である。一方、2%を超えると被削性および靱性が低下する。したがって、Moを含有させる場合は0.1〜2%とした。
【0027】
Wは、鋼の焼入れ性と焼戻し軟化抵抗を向上させ靱性と強度を高める作用がある。これらの効果を得るために0.1%以上含有させる。好ましくは0.5%以上である。一方、3%を超るとかえって靱性が低下するので、含有させる場合は、上限を3%とした。
【0028】
Nbは、鋼の焼戻し軟化抵抗を高めて高温強度を向上させるとともに、結晶粒を微細化にして靱性を向上させる作用を有する。含有させる場合は、0.005%以上が必要で、好ましくは0.01%以上である。一方、0.5%を超えると靱性が低下する。
【0029】
B:
Bは、必要により含有させる元素で、鋼の焼入れ性を高め、マンドレルバーの中心部のマルテンサイト率を高める作用を有する。また、Nを固定してVC、NbC等の二次析出炭化物の析出を加速して高温強度を改善する作用も有する。これらの効果を得るため、0.0005%以上とする。しかし、0.01%を超えると靱性が低下する。
【0030】
S:
Sは、硫化物を形成し、被削性を向上させる作用があるが、靱性を低下させるので、0.03%以下とした。好ましくは、0.01%以下、さらに好ましくは0.005%以下である。可能な限り低いことが望ましい。
【0031】
N:
Nは、Vと窒化物を形成して焼入れのための加熱時の固溶V量を減少させる。固溶V量が少ないと焼戻し時に2次析出するV炭窒化物の量が減少し、高温強度が低下する。したがって、N含有量は0.015%以下とした。
【0032】
P:
不純物のPは、本発明において重要な意味を有する元素であり、マンドレルバーの直径に応じて、P含有量を規制することで、マンドレルバーの水焼入れが安定し、中心部まで高温強度および靭性に優れたマンドレルバーが提供できるようになる。マンドレルバーの直径をD(mm)とすると、バーの直径Dに応じて、7.5/D以下のP含有量に制限すると、水焼入れを実施しても焼き割れ、遅れ破壊による置き割れの発生確率は限りなく小さくなり、実質的に発生しない。この値を超えるPレベルのマンドレルバーを水焼入れすると、焼き割れや遅れ破壊の発生確率がゼロでなくなり、生産性を著しく低下させる。
【0033】
次に、製造方法について説明する。
【0034】
上記化学組成を有する鋼塊を分解圧延等の熱間加工によりマンドレルバーの形状に成形し、下記の条件で熱処理を施し、さらに機械加工により製品寸法に仕上げてマンドレルバーを製造する。
【0035】
焼入れのための加熱:
二次析出を引き起こし高温強度を向上させるMC型炭化物を固溶させるためには900℃以上の加熱が必要である。一方、1100℃を超えると結晶粒が粗大となって耐ヒートチェック性が低下するので、加熱温度は900℃〜1100℃とした。
【0036】
マンドレルバーの中心部と表層部の硬度差が小さい均質な組織を得るためには、マンドレルバーの部位による焼入れ温度差を小さくする必要がある。焼入れ時のマンドレルバーの表層部と内部の温度差が50℃を超えると組織の不均一度が大きくなり、マンドレルバーの寿命が低下する。したがって、焼入れ温度のマンドレルバーの部位による温度差を50℃以下とした。実際には中心部の温度に関しては、外面の温度、熱伝達係数、熱伝導率から中心部の温度を予測し、外面の温度との差が50℃以下となる時間以上均熱した後、焼き入れを実施する。温度差はより小さいことが望ましく、20℃以下が好ましい。
【0037】
焼入れ:
従来よく用いられている放冷による焼入れでは中心部までマルテンサイト主体の組織が得られないので、水焼入れが必要である。冷却速度は速ければ速いほどマルテンサイトの量が増加し、性能が向上するので、水以外の高冷却能冷媒を用いてもよい。冷却方法は特に規定しないが、例えば攪拌した水槽へのどぶ漬けや、加熱後リング状のシャワー水冷装置にマンドレルバーを挿入する等の方法が考えられる。また、Mf点温度以下まで冷却すればよく、ステップ冷却を採用してもよい。なお、焼入れ後の焼き割れ、置き割れ感受性は十分低下しているが、さらに安全係数を高めるためには、冷却時に回転させたり、焼戻しは焼入れ後24時間以内、好ましくは2時間以内に実施するとよい。
【0038】
焼入組織:
焼入れ後の金属組織がマルテンサイト主体とする組織とは、マルテンサイト率が50体積%以上をいう。マルテンサイト率の求め方以下の方法により求めるものとする。
【0039】
マルテンサイトとベイナイトは、ミクロ組織の観察によって区別することが困難であるので、下記式により求める。マンドレルバーを製作した鋼材から厚さ10mmの鋼板を製作し、水焼入れした後のショア硬さをH1、鋼板を焼入れ温度から少なくとも500℃までを20℃/時間以下の冷却速度で徐冷した鋼板のショア硬さをH2とし、また実際のマンドレルバーのショア硬さをHとして、次式により求める。
【0040】
マルテンサイト率(%)=(H−H2)/(H1−H2)×100
マルテンサイト率が50%未満では、十分な靭性が得られず、高強度化ができないので、中心部までマルテンサイト主体の組織すなわちマルテンサイト率が50%以上である必要がある。
【0041】
焼戻し:
焼戻し温度は、通常おこなわれている温度である500〜700℃でよく、靱性と強度のバランスが最も良好となる硬度がHRC37程度になる温度、580〜640℃が好ましい。焼入後の金属組織がマルテンサイト50%以上の鋼を、焼戻しすれば焼戻しマルテンサイト50%以上の組織となり、その他はベイナイトやフェライトとなる。 焼戻しマルテンサイト主体の組織とすることにより、靱性と高温強度が改善される。
【0042】
【実施例】
電気炉で溶製して得た表1に示す化学組成の鋼塊を分塊圧延し、直径75〜450mm、長さ10〜15mのマンドレルバーを製造し、800〜850℃で焼鈍をした。その後表2に示す各温度に加熱し、水冷または放冷により焼入れを実施した。
【0043】
焼入れのための加熱時間を種々変化させて、マンドレルバーの中心部と表層部の温度差を変化させた。温度差を表2に示す。この温度差は、外面の温度、熱伝達係数、熱伝導率から計算することにより求めた温度である。
【0044】
【表1】
Figure 0003717745
【表2】
Figure 0003717745
焼入れ処理後、マンドレルバーの一部を切断して中心部から採取した試料、および別途熱処理を施した試料のそれぞれの硬度を測定し前記式により焼入れ後のマルテンサイト量を求めた。また、マンドレルバーの外表面を目視観察して焼割れの有無を調べた。また、24時間放置後置き割れ発生の有無も調べた。
【0045】
引き続き、マンドレルバーに600〜625℃の温度範囲で焼戻しを施し、HRC硬度で約37に強度調整をおこなった。一部比較材として、放冷して軟化させたマンドレルバーを再度高周波焼入れを実施して、表層のみを硬化したマンドレルバーも製造した。
【0046】
切断したマンドレルバーの一部分の中心部から高温引張り試験片および破壊靭性試験片を各2個採取し、試験後平均値で高温強度と靱性を評価した。
【0047】
なお、高温引張り試験は、JIS14A号試験片(直径D=6mm)にてJIS G0567に準拠して試験温度650℃でおこない、0.2%耐力を測定した。また、破壊靱性試験はASTM E399−83に準じて測定した。上記試験結果を表2に示す。
【0048】
次いで、マンドレルバーの寿命を調べるため、5スタンドのマンドレルミルにより圧延をおこない、何パスでマンドレルバーが使用できなくなるかを調査した。マンドレルミルによる鋼管1本の圧延を1パスとした。マンドレルバーを繰り返し使用し、廃却に至るまでのパス回数を調べた。マンドレルバーの表面を目視観察し、肌荒れ、熱亀裂、折損が発生した場合、およびマンドレルバーが延びて、その直径が1mm減少した場合を廃却基準とした。
本発明例である、番号1〜8に示す水焼入れを実施したマンドレルバーは、Pのレベルを直径に応じて規制した値以下に調整したため、焼き割れ、置き割れが発生しなかった。また、中心部のマルテンサイト率も十分大きく、高温強度および靭性に優れている。その結果高寿命が得られた。
【0049】
比較例の番号9〜11に関しては、P量が本発明で規定する範囲を超えており、焼き割れ、置き割れが発生し、マンドレルバーとして使用できなかった。番号12〜16は焼入れ時に放冷しており、十分なマルテンサイト量が確保できず、高温強度および靭性ともに不芳であり、き裂進展が大きく、また折損が発生して、低寿命であった。
【0050】
従来例の高周波焼入れプロセス材では、中心部の強度が小さく、径縮小の問題が発生して寿命が低下した。
【0051】
図1は、表2に示した結果に基づいて、焼入れ後のマルテンサイト分率と破壊靱性との関係を図で示したものである。
【0052】
焼入れ時の冷却速度変化によって、マルテンサイト分率を変化させ、焼戻し温度を調整して初期硬度をほぼHRC37にそろえた材料の破壊靭性を示す。
【0053】
焼入れ時のベイナイト量が減少し、マルテンサイト量が上昇することによって、破壊靱性が大きく改善されている。
【0054】
図2は、表2に示した結果に基づいて、焼入れ後のマルテンサイト量と高温強度との関係を図で示したものある。破壊靭性と同様に、焼入れ時の冷却速度変化によって、マルテンサイト分率を変化させ、焼戻し温度を調整して初期硬度をほぼHRC37にそろえた材料の高温強度を測定したものである。焼入れ時のベイナイト量が減少し、マルテンサイト量が上昇することによって、高温強度が大きく改善されている。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のマンドレルバーにはみられない中心部の高温強度と靱性とに優れたマンドレルバーが得られ、寿命が大きく延びるので、工具原単位が大きく低減でき、産業上の効果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼入れ後のマルテンサイト率と破壊靱性との関係を示す図である。
【図2】焼入れ後のマルテンサイト率と高温強度との関係を示す図である。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.25〜0.4%、Si:1%以下、Mn:0.3〜1.5%、Cr:2.5〜9.5%、V:0.1〜1%、Al:0.001〜0.1%、S:0.03%以下、N:0.015%以下、P:下記式(a)を満足する量を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、金属組織がマンドレルバーの中心部まで焼戻しマルテンサイトの面積率が50%以上のマルテンサイトを主体とした組織であることを特徴とする高寿命マンドレルバー。
    P≦7.5D ・・・・・・・(a)
    ここで、D:マンドレルバーの直径(mm)
  2. 質量%で、C:0.25〜0.4%、Si:1%以下、Mn:0.3〜1.5%、Cr:2.5〜9.5%、V:0.1〜1%、Al:0.001〜0.1%、S:0.03%以下、N:0.015%以下、P:下記式(a)を満足する量を含み、さらに下記のグループa)〜c)のうちの1グループ以上の元素を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、金属組織がマンドレルバーの中心部まで焼戻しマルテンサイトの面積率が50%以上の焼戻しマルテンサイトを主体とした組織であることを特徴とする高寿命マンドレルバー。
    P≦7.5D ・・・・・・・(a)
    ここで、D:マンドレルバーの直径(mm)
    a)Ni:0.1〜2%
    b)Mo:0.1〜2%、W:0.1〜3%、Nb:0.005〜0.5%の1種以上
    c)B:0.0005〜0.01%
  3. 請求項1または2に記載の化学組成の工具鋼を用いてマンドレルバーの形状に成形した後、900〜1100℃の温度範囲内でマンドレルバーの中心部と表層部との温度差が50℃以下となるように加熱し、その後水冷にて焼入れを施して中心部の組織をマルテンサイト主体の組織とし、さらに焼戻しを施してマンドレルバーの中心部の金属組織を焼戻しマルテンサイトの面積率が50%以上の焼戻しマルテンサイト主体の組織とすることを特徴とする高寿命マンドレルバーの製造方法。
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