JPH09281233A - ソーナー用聴音処理方法及びソーナー聴音装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 目標以外の方位の周波数（反射波）が重なる
場合でもその影響を被らずに目標の方位の判別を適確に
行い得るソーナー聴音装置を提供すること。 【解決手段】 このソーナー聴音装置は、従来装置と同
様に、４５度間隔に置かれて目標からの反射波を受波し
て受信信号を出力する方位装置（セクタ）１〜８と、受
信信号を周波数変換して周波数信号を出力する周波数変
換回路９〜１６と、周波数信号を加算して聴音信号を出
力する加算器４２とを備える他、受信信号を検波して検
波信号を出力する検波回路２５〜３２と、検波信号を抽
出保持して保持信号を出力する抽出／保持（Ｓ／Ｈ）回
路３３〜４４と、保持信号から検波積分値を比較した結
果に基づいて周波数信号の出力を制御する制御信号を出
力する出力制御回路４１と、制御信号に応じて周波数信
号の出力をオン，オフ切り替えして加算器へ送出するス
イッチ回路１７〜２４とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、目標以外の方位か
らの周波数の重なりの影響を排除し得るソーナー用聴音
処理方法及びそれを適用したアクチブソーナー等に備え
られるソーナー聴音装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のアクチブソーナーにおい
ては、聴音による目標方位判別の方法として、Ｎ個（Ｎ
は２以上の自然数）のセクタ（０〜３６０度方位をＮ等
分した各方位範囲の部分）から聞こえる音の周波数をＮ
個の異なる周波数に各々変換して加算合成した音を聞く
という方法が採用されている。この方法によれば、どの
周波数が聞こえるかを判定することにより、目標がどの
方位（セクタ）から聞こえているかを聴音のみにより判
別することができる。

【０００３】図３は、従来のソーナー聴音装置の基本構
成をブロック図により示したものである。このソーナー
聴音装置は、特定の平面上で等角度間隔（ここでは４５
度間隔）に置かれると共に、目標へ向けて送波した音波
に関する目標からの反射波を受波して電気変換すること
で別個に受信信号を出力する複数（ここでは８個）の方
位装置（セクタ）１〜８と、受信信号を周波数変換する
ことで別個に周波数信号を出力する複数（ここでも８
個）の周波数変換回路９〜１６と、周波数信号を加算し
て聴音信号を出力する加算器４２とを備えている。ここ
で、方位装置１〜８及び周波数変換回路９〜１６はそれ
ぞれα，β，γ，δ，ε，ζ，η，θの識別子で区別さ
れ、それぞれ固有の識別子に対応するもの同士が１対１
で接続されている。

【０００４】このソーナー聴音装置において、目標から
の反射波はそれぞれ分散されて方位装置１〜８で受波さ
れ、方位装置１〜８からは別個に受信信号が出力され
る。これらの受信信号はそれぞれに対応する周波数変換
回路９〜１６に入力され、周波数変換回路９〜１６から
は別個に周波数信号が出力され、これらの周波数信号は
何れも加算器４２に入力される。加算器４２では入力さ
れた周波数信号を加算合成して聴音信号を出力する。こ
の聴音信号を発音することによって、どの周波数が聞こ
えるかが判るため、聴音のみによる目標の方位の判別が
可能となる。

【０００５】因みに、このようなアクチブソーナーにお
けるソーナー聴音に関連する技術としては、例えば特開
昭５８−１２２４３８号公報や特開平１−１６９３８４
号公報に開示されたアクチブソーナーの聴音方式，特開
昭６３−１１８８２号公報に開示されたソーナー受信装
置，特開平１−６４１４号公報に開示されたソーナー聴
音装置等が挙げられる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述したアクチブソー
ナーの場合、実際には目標以外の方位からも音波の反射
波が少々入り込んでそれらの周波数が重なって合成処理
されるため、しばしばソーナー聴音回路において目標の
周波数の判別，即ち、目標の方位の判別が困難となるこ
とがある。

【０００７】本発明は、このような問題点を解決すべく
なされたもので、その技術的課題は、目標以外の方位か
らの周波数が重なる場合でもその影響を被らずに目標の
方位の判別を適確に行い得るソーナー用聴音処理方法及
びソーナー聴音装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、目標か
らの反射波を特定の平面上で等角度間隔に置かれた複数
の方位受信で受波して電気変換することで出力される複
数の別個な受信信号に対し、それぞれ周波数変換するこ
とで出力される複数の別個な周波数信号を加算して聴音
信号を得るソーナー用聴音処理に際して、複数の別個な
受信信号をそれぞれ検波して出力される複数の別個な検
波信号をそれぞれ積分した値を比較した結果に基づい
て、複数の別個な周波数信号の出力をそれぞれ制御する
ソーナー用聴音処理方法が得られる。

【０００９】又、本発明によれば、上記ソーナー用聴音
処理方法において、複数の別個な周波数信号の出力に関
する制御では、複数の別個な検波信号をそれぞれ積分し
た値を比較した結果、複数の方位受信のうちから最大値
に対応するものを決定すると共に、該最大値が所定値以
上であれば残りの方位受信に関する該周波数信号の出力
をそれぞれ遮断し、該所定値未満であれば該複数の方位
受信の全部に関する該周波数信号の出力をそれぞれ許可
するように切り替え制御するソーナー用聴音処理方法が
得られる。

【００１０】一方、本発明によれば、特定の平面上で等
角度間隔に置かれると共に、目標からの反射波を受波し
て電気変換することで別個に受信信号を出力する複数の
方位装置と、受信信号を周波数変換することで別個に周
波数信号を出力する複数の周波数変換回路と、周波数信
号を加算して聴音信号を出力する加算器とを備えたソー
ナー聴音装置において、受信信号を検波して別個に検波
信号を出力する複数の検波回路と、検波信号を抽出保持
して別個に保持信号を出力する複数の抽出／保持回路
と、保持信号から検波積分値を比較すると共に、該比較
結果に基づいて周波数信号の出力を別個に制御するため
の制御信号を出力する出力制御回路と、制御信号に応じ
て周波数信号の出力を別個にオン，オフ切り替えして加
算器へ送出する複数のスイッチ回路とを備えたソーナー
聴音装置が得られる。

【００１１】更に、本発明によれば、上記ソーナー聴音
装置において、出力制御回路は、検波積分値を比較した
結果、複数の方位装置のうちから最大値に対応するもの
を決定すると共に、該最大値が所定値以上であれば残り
の方位装置に関する周波数信号の出力をそれぞれ遮断
し、該所定値未満であれば該複数の方位装置の全部に関
する該周波数信号の出力をそれぞれ許可するソーナー聴
音装置が得られる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げ、本発明のソ
ーナー用聴音処理方法及びソーナー聴音装置について、
図面を参照して詳細に説明する。

【００１３】最初に、本発明のソーナー用聴音処理方法
の概要について簡単に説明する。このソーナー用聴音処
理方法は、目標へ向けて送波した音波に関する目標から
の反射波を特定の平面上で等角度間隔に置かれた複数の
方位受信で受波して電気変換することで出力される複数
の別個な受信信号に対し、それぞれ周波数変換すること
で出力される複数の別個な周波数信号を加算して聴音信
号を得るソーナー用聴音処理に際して、複数の別個な受
信信号をそれぞれ検波して出力される複数の別個な検波
信号をそれぞれ積分した値を比較した結果に基づいて、
複数の別個な周波数信号の出力をそれぞれ制御するもの
である。

【００１４】又、複数の別個な周波数信号の出力に関す
る制御では、複数の別個な検波信号をそれぞれ積分した
値を比較した結果、複数の方位受信のうちから最大値に
対応するものを決定すると共に、その最大値が所定値以
上であれば残りの方位受信に関する周波数信号の出力を
それぞれ遮断し、所定値未満であれば複数の方位受信の
全部に関する周波数信号の出力をそれぞれ許可するよう
に切り替え制御するようにする。この結果、目標以外の
方位からの周波数が重なる場合でもその影響を被らずに
目標の方位の判別を適確に行うことが可能となる。

【００１５】図１は、このソーナー用聴音処理方法を適
用した一実施例に係るソーナー聴音装置の基本構成をブ
ロック図により示したものである。

【００１６】このソーナー聴音装置は、図３に示した従
来装置と同様に、特定の平面上で等角度間隔（４５度間
隔）に置かれると共に、目標へ向けて送波した音波に関
する目標からの反射波を受波して電気変換することで別
個に受信信号を出力する複数（８個）の方位装置（セク
タ）１〜８と、受信信号を周波数変換することで別個に
周波数信号を出力する複数（８個）の周波数変換回路９
〜１６と、周波数信号を加算して聴音信号を出力する加
算器４２とを備える他、更に、受信信号を検波して別個
に検波信号を出力する複数（８個）の検波回路２５〜３
２と、検波信号を抽出保持して別個に保持信号を出力す
る複数（８個）の抽出／保持（Ｓ／Ｈ）回路３３〜４４
と、保持信号から検波積分値を比較すると共に、その比
較結果に基づいて周波数信号の出力を別個に制御するた
めの制御信号を出力する出力制御回路４１と、制御信号
に応じて周波数信号の出力を別個にオン，オフ切り替え
して加算器へ送出する複数（８個）のスイッチ回路１７
〜２４とを備えている。

【００１７】即ち、ここでは方位装置１〜８，周波数変
換回路９〜１６，検波回路２５〜３２，抽出／保持（Ｓ
／Ｈ）回路３３〜４４，及びスイッチ回路１７〜２４が
それぞれα，β，γ，δ，ε，ζ，η，θの識別子で区
別され、それぞれ固有の識別子に対応するもの同士が１
対１で接続されている。このうち、出力制御回路４１
は、保持信号における検波積分値を比較した結果、複数
（８個）の方位装置１〜８のうちから最大値に対応する
ものを決定すると共に、その最大値が所定値以上であれ
ば残りの方位装置に関する周波数信号の出力をそれぞれ
遮断し、所定値未満であれば複数（８個）の方位装置の
全部に関する周波数信号の出力をそれぞれ許可する。

【００１８】次に、このソーナー聴音装置の動作を説明
する。このソーナー聴音装置においては、目標へ向けて
送波した音波に関する目標からの反射波は、４５度間隔
で配備された方位装置１〜８で受波されると、受信信号
として変換出力される。受信信号は周波数変換回路９〜
１６に入力され、周波数に変換されて周波数信号が出力
される。この周波数信号はスイッチ回路１７〜２４に入
力される。

【００１９】一方、方位装置１〜８からの受信信号は、
検波回路２５〜３２にも入力され、ここで検波出力され
た検波信号が抽出／保持（Ｓ／Ｈ）回路３３〜４０で抽
出，保持されて保持信号として出力される。保持信号は
出力制御回路４１に入力されると、その検波積分値が比
較され、その結果に基づいてスイッチ回路１７〜２４に
おける周波数信号の出力を別個に制御するための制御信
号を出力する。この制御信号は、検波積分値の比較結果
として、先ず方位装置１〜８のうちから最大レベル値に
対応するものを決定し、これによりその最大レベル値が
所定の閾値レベル以上であればスイッチ回路１７〜２４
において残りの方位装置に関する周波数信号の出力をそ
れぞれ遮断するが、所定の閾値レベル未満であれば方位
装置１〜８の全部に関するスイッチ回路１７〜２４にお
ける周波数信号の出力をそれぞれ許可する。

【００２０】即ち、例えば方位装置３が最大レベル値に
対応して所定の閾値レベル以上であれば方位装置１，２
及び方位装置４〜８に関するスイッチ回路１７，１８及
び方位装置２０〜２４の出力は零となる。このような動
作を順次繰り返すことにより、所定の閾値レベル以上の
目標からの反射波が常に１つの方位装置３から出力され
るため、１つの周波数のみに関する聴音信号に基づく発
音が得られ、周波数の判別，即ち、方位の判別が容易に
なる。

【００２１】図２は、このソーナー聴音装置の要部にお
ける入出力動作を説明するために示した波形図であり、
同図（Ａ）はスイッチ回路１７〜２４の入力波形に関す
るもの，同図（Ｂ）は加算器４２の出力波形に関するも
のである。

【００２２】ここでは、方位装置１〜８から出力される
と共に、周波数変換回路９〜１６に入力されて周波数変
換される受信信号が図２（Ａ）に示されるように、１０
０Ｈｚ間隔でずれた固有の周波数１０００Ｈｚ，１１０
０Ｈｚ，１２００Ｈｚ，１３００Ｈｚ，１４００Ｈｚ，
１５００Ｈｚ，１６００Ｈｚ，１７００Ｈｚを有し、目
標からの反射波に係る信号成分はＴ周期の間に存在する
と共に、上述した９０度から１３５度までの方位に配備
された１３００Ｈｚの方位装置３が最大レベル値に対応
し、これに近接する他の方位装置１，２及び方位装置
４，５にも少々目標からの反射波が入り込む場合を仮定
している。

【００２３】この場合、方位装置３の受信信号レベルが
最も大きく、しかも出力制御回路４２で設定される所定
の閾値レベル（スレッショルドレベル）Ａを越えている
ため、出力制御回路４１ではスイッチ回路１９のみをオ
ンとし、他のスイッチ回路１７，１８及びスイッチ回路
２０〜２４をオフとしてこれらの周波数信号の出力を遮
断して信号レベルを零とする。この結果、加算器４２か
ら出力される聴音信号は、図２（Ｂ）に示されるように
方位装置３に関する１３００Ｈｚ成分のみを有するもの
となる。

【００２４】このため、上述したように目標以外の方位
の周波数が重なる場合でもその影響を被らずに目標の方
位の判別を適確に行うことが可能となる。

【００２５】

【発明の効果】以上に述べた通り、本発明のソーナー用
聴音処理方法及びソーナー聴音装置によれば、方位受信
（方位装置）からの受信信号を検波して抽出，保持した
検波積分値の比較結果に基づいて、受信信号が周波数変
換された周波数信号の出力を制御した上で加算すること
により聴音信号を得ているので、目標以外の方位からの
周波数が重なる場合でもその影響を被らずに聴音のみに
よる目標の方位の判別を一層適確に行い得るようにな
る。特に、検波積分値の比較結果として、方位装置のう
ちから最大値に対応するものを決定し、その最大値が所
定値以上であれば残りの方位装置に関する周波数信号の
出力をそれぞれ遮断し、所定値未満であれば方位装置の
全部に関する周波数信号の出力をそれぞれ許可するよう
に周波数信号の出力を切り替え制御して聴音信号を得て
いるので、周波数の判別，即ち、方位の判別に際しての
信号処理が高精度化され、アクチブソーナーへの適用が
一層有効となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のソーナー用聴音処理方法を適用した一
実施例に係るソーナー聴音装置の基本構成を示したブロ
ック図である。

【図２】図１に示すソーナー聴音装置の要部における入
出力動作を説明するために示した波形図であり、（Ａ）
はスイッチ回路の入力波形に関するもの，（Ｂ）は加算
器の出力波形に関するものである。

【図３】従来のソーナー聴音装置の基本構成を示したブ
ロック図である。

【符号の説明】

１〜８ 方位装置（セクタ）α〜θ ９〜１６ 周波数変換回路α〜θ １７〜２４ スイッチ回路α〜θ ２５〜３２ 検波回路α〜θ ３３〜４０ 抽出／保持（Ｓ／Ｈ）回路α〜θ ４１ 出力制御回路 ４２ 加算器

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 目標からの反射波を特定の平面上で等角
   度間隔に置かれた複数の方位受信で受波して電気変換す
   ることで出力される複数の別個な受信信号に対し、それ
   ぞれ周波数変換することで出力される複数の別個な周波
   数信号を加算して聴音信号を得るソーナー用聴音処理に
   際して、前記複数の別個な受信信号をそれぞれ検波して
   出力される複数の別個な検波信号をそれぞれ積分した値
   を比較した結果に基づいて、前記複数の別個な周波数信
   号の出力をそれぞれ制御することを特徴とするソーナー
   用聴音処理方法。
2. 【請求項２】 請求項１記載のソーナー用聴音処理方法
   において、前記複数の別個な周波数信号の出力に関する
   制御では、前記複数の別個な検波信号をそれぞれ積分し
   た値を比較した結果、前記複数の方位受信のうちから最
   大値に対応するものを決定すると共に、該最大値が所定
   値以上であれば残りの方位受信に関する該周波数信号の
   出力をそれぞれ遮断し、該所定値未満であれば該複数の
   方位受信の全部に関する該周波数信号の出力をそれぞれ
   許可するように切り替え制御することを特徴とするソー
   ナー用聴音処理方法。
3. 【請求項３】 特定の平面上で等角度間隔に置かれると
   共に、目標からの反射波を受波して電気変換することで
   別個に受信信号を出力する複数の方位装置と、前記受信
   信号を周波数変換することで別個に周波数信号を出力す
   る複数の周波数変換回路と、前記周波数信号を加算して
   聴音信号を出力する加算器とを備えたソーナー聴音装置
   において、前記受信信号を検波して別個に検波信号を出
   力する複数の検波回路と、前記検波信号を抽出保持して
   別個に保持信号を出力する複数の抽出／保持回路と、前
   記保持信号から検波積分値を比較すると共に、該比較結
   果に基づいて前記周波数信号の出力を別個に制御するた
   めの制御信号を出力する出力制御回路と、前記制御信号
   に応じて前記周波数信号の出力を別個にオン，オフ切り
   替えして前記加算器へ送出する複数のスイッチ回路とを
   備えたことを特徴とするソーナー聴音装置。
4. 【請求項４】 請求項３記載のソーナー聴音装置におい
   て、前記出力制御回路は、前記検波積分値を比較した結
   果、前記複数の方位装置のうちから最大値に対応するも
   のを決定すると共に、該最大値が所定値以上であれば残
   りの方位装置に関する前記周波数信号の出力をそれぞれ
   遮断し、該所定値未満であれば該複数の方位装置の全部
   に関する該周波数信号の出力をそれぞれ許可するもので
   あることを特徴とするソーナー聴音装置。