JPH09278543A - 真空脱ガス装置内張り用キャスタブル耐火物 - Google Patents

真空脱ガス装置内張り用キャスタブル耐火物

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JPH09278543A
JPH09278543A JP8089649A JP8964996A JPH09278543A JP H09278543 A JPH09278543 A JP H09278543A JP 8089649 A JP8089649 A JP 8089649A JP 8964996 A JP8964996 A JP 8964996A JP H09278543 A JPH09278543 A JP H09278543A
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JP
Japan
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weight
refractory
spinel
alumina
vacuum degassing
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JP8089649A
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Inventor
Shiro Sukenari
祐成史郎
Mitsuharu Yano
矢野光春
Tetsuo Fujii
藤井哲郎
Toyoyasu Obana
尾花豊康
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Harima Ceramic Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Harima Ceramic Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空脱ガス装置の内張りとしての用途におい
て、優れた耐用性を示すキャスタブル耐火物を提供す
る。 【解決手段】 アルミナ40〜90重量%、見掛気孔率
が学振法2(日本学術振興会の規格)に準じた測定で1
〜10%のMgO・Al23 系スピネル10〜60重
量%を主材とした耐火骨材配合物100重量%と、アル
ミナセメントおよび/または軽焼マグネシア外掛け0.
5〜10重量%とを含む真空脱ガス装置内張り用キャス
タブル耐火物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空脱ガス装置の
内張りにおいて、耐用性に優れたキャスタブル耐火物に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、RH式、DH式などの真空脱ガス
装置に内張りされる耐火物は、マグネシア−クロム質レ
ンガが一般的である。しかし、レンガ積みは高度な築炉
技術が要求されること、機械化施工が容易でないなどの
問題がある。
【0003】そこで、レンガ積みに代え、不定形耐火物
による内張りが試みられている。しかし、真空脱ガス装
置は他の工業窯炉と異なり、炉内が減圧下でしかも溶鋼
が常に循環するという特殊、かつ過酷な使用条件であ
る。このため、従来、不定形耐火物の使用は天蓋あるい
は排ガス孔に留まり、溶鋼が直接接触する下部槽などで
の不定形耐火物化は今だ実用化していないのが現状であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】例えば特開平2−16
6821号公報、特開平4−160068号公報、平5
−97526号公報、特開平5−117049号公報
に、取鍋用としてアルミナ−スピネル質あるいはアルミ
ナ−マグネシア質のキャスタブル耐火物が提案されてい
る。
【0005】この材質は、アルミナの容積安定性とスピ
ネルまたはマグネシアがもつ耐スラグ性とによって、優
れた耐用性が得られる。しかし、この材質は取鍋などで
は良好な結果が得られても、真空脱ガス装置の使用条件
では十分なものではない。
【0006】本発明はこれらの従来材質を改良し、真空
脱ガス装置の内張りとしての用途において、優れた耐用
性を示すキャスタブル耐火物を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】取鍋などの通常の溶鋼容
器におけるアルミナ−スピネル質キャスタブル耐火物の
損耗は、主としてスラグによるものである。すなわち、
スラグ中のCaOおよびSiO2成分をアルミナが捕ら
え、若干のFeOおよびMnOはスピネルが捕らえる。
その結果、スラグはSiO2富化となって高粘性とな
り、耐火物組織内部への浸潤が抑制され、耐火物の溶損
が防止される。
【0008】これに対し真空脱ガス装置は、溶鋼を環流
させるシュノーケルを取鍋の溶鋼中に浸漬し、スラグの
吸い上げを避けた状態で操業されるため、真空槽内の溶
鋼にはスラグ成分がほとんど混入しない。したがって、
真空脱ガス装置の内張りの主たる損耗原因はスラグでは
なく、溶鋼の酸化で生成したFeO、Fe23などのF
e酸化物である。
【0009】Fe酸化物は耐火物組成中のアルミナと液
相反応し、低融物を生成する。また耐火物組成中のスピ
ネルは、固相反応でFe酸化物を捕らえるとともに、そ
の気孔にFe酸化物が侵入して粒子組織を破壊する。
【0010】最近、真空脱ガス装置は一部において操業
中に酸素吹きが行われるようになりこの場合、Fe酸化
物の生成がより多くなり、Fe酸化物が原因の溶損が特
に著しい。
【0011】また、真空脱ガス装置は操業中に常時溶鋼
が環流しており、溶鋼流による摩耗作用も内張り損耗の
大きな要因となっている。酸素吹き込みが行われる場合
は、溶鋼温度の上昇や溶鋼の乱流でこの摩耗が顕著なも
のとなる。
【0012】このように、真空脱ガス装置の内張りの損
耗機構は、取鍋などの通常の溶鋼容器では見ることがで
きない特殊でかつ過酷なものであり、従来のアルミナー
スピネル質キャスタブル耐火物では十分な耐用が得られ
なかった。
【0013】本発明は、真空脱ガス装置の内張りとして
の用途において、上記の問題を解決したキャスタブル耐
火物である。その特徴とするところは、特許請求の範囲
に記載したとおりである。すなわち、見掛気孔率1〜1
0%のMgO・Al23 系スピネル(以下、単にスピ
ネルと称する)を特定の割合で使用することにより、真
空脱ガス装置の内張りにおいて、耐用性を格段に向上さ
せたアルミナ−スピネル質キャスタブル耐火物である。
【0014】
【発明の実施の形態】アルミナ−スピネル質キャスタブ
ル耐火物は前記したように、取鍋などの溶鋼容器の内張
りとして従来からよく知られている。本発明者らはこれ
を真空脱ガス装置の内張りとして使用した場合、その耐
用性にスピネルの見掛気孔率が大きく関係していること
を知った。
【0015】図1は、真空脱ガス装置の使用条件を想定
した侵食試験法により、耐火物の溶損・浸潤性とスピネ
ルの見掛気孔率との関係を調べたものである。すなわ
ち、電融アルミナ5〜1mm:40重量%、電融アルミ
ナ1mm以下:10重量%、焼結アルミナ0.075m
m以下:20重量%、仮焼アルミナ:10重量%、電融
スピネル1mm以下:20重量%、アルミナセメント外
掛け5重量%を基本配合物としたキャスタブル耐火物に
おいて、前記スピネルの見掛気孔率のみを変化させて試
験した。
【0016】この結果から、耐火物の耐溶損・浸潤性
は、図1の真空脱ガス装置の使用条件ではスピネルの見
掛気孔率が10%以下になると耐溶損・浸潤性ともに大
幅に向上することが確認される。
【0017】図2は、電融アルミナおよび焼結スピネル
の骨材5〜1mm:35重量%、1mm以下:40重量
%、焼結アルミナ0.075mm以下:15重量%、仮
焼アルミナ:10重量%、アルミナセメント外掛け5重
量%の配合物よりなるキャスタブル耐火物において、前
記の焼結スピネルとして見掛気孔率がそれぞれA:3.
1%、C:8.4%、D:20.8%の3種類のものを
使用し、このスピネルの配合割合を変化させた場合の熱
間強度を測定したものである。
【0018】真空脱ガス装置内は溶鋼の還流による損耗
作用を受ける。熱間強度は、この摩耗に対する抵抗性を
評価したものである。図2のとおり、見掛気孔率の低い
スピネルA及びスピネルCを使用したものは、見掛気孔
率の高いスピネルDを使用した場合の熱間強度に比べ
て、熱間強度が優れている。特に見掛気孔率の低いスピ
ネルA及びスピネルCを使用したものは、10〜60重
量%の使用範囲において見掛気孔率の高いスピネルDを
使用した場合の熱間強度最大値、すなわちスピネルDを
30重量%使用時を上回っている。このことは、見掛気
孔率の低いスピネルを使用することで、溶鋼の還流によ
る損耗作用に対する抵抗性が著しく高まることを示す。
【0019】なお、図1における真空脱ガス装置・溶鋼
取鍋を想定した侵食試験法および図2の熱間強度試験
は、いずれも後述の実施例で示した試験法と同様にして
行ったものである。
【0020】本願明細書でいう耐火原料粉末の見掛気孔
率は、学振法2(日本学術振興会の規格)のマグネシア
クリンカ−の見掛気孔率の測定法に準じて測定したもの
とする。すなわち、粒径2〜3.36mmの耐火原料粉
末によって測定したものをいう。本発明では施工体の密
充填化を図るためにスピネルを微粉でも使用するが、微
粉の見掛気孔率についても、微粉砕前の粒径2〜3.3
6mmの粒子で測定した数値とする。
【0021】本発明の材質では、見掛気孔率1〜10%
のスピネルを10〜60重量%使用することにより、ス
ピネルはFe酸化物中のFeOを優先的に固溶し、材料
中に浸潤したFe酸化物は酸素濃度が高まりFe23
多くなる。これによってFe酸化物の粘性が上昇し、材
料内部への浸潤が少なくなる。FeOを固溶したMgO
・Al23スピネルはMgO・FeO・Al23スピネ
ルとして結晶構造が残るため、組織の破壊はない。ま
た、スピネルの気孔中へのFe酸化物の侵入も少なく、
粒子組織の破壊が低減し、耐火物の耐食性が格段に向上
する。
【0022】真空脱ガス装置では真空槽内の減圧でスピ
ネル粒子の気孔中が減圧され、気孔率の大きなスピネル
はFeOの固溶速度が加速されるだけでなく、気孔中の
奥部へFe23が侵入し粒子組織を破壊することで耐火
物組織が脆弱化する。見掛気孔率が10%以下のスピネ
ルの使用が、真空脱ガス装置の使用条件で耐溶損・浸潤
性ともに向上するのは、粒子の気孔径が小さいことで、
減圧下においてもFe23が気孔中に侵入され難いため
と思われる。
【0023】本発明の材質は、さらに熱間強度に優れて
いる。これは見掛気孔率の小さいスピネルの使用によ
り、スピネルとアルミナとの接触面積が大きくなり、ア
ルミナ粒子の表面にスピネル質のセラミックボンドが形
成されやすくなるためと考えられる。この為、溶鋼の還
流による損耗作用に対する抵抗性が高まるばかりでな
く、アルミナとFe酸化物との液相反応が抑制され、耐
溶損・浸潤性が向上するものと思われる。
【0024】本発明の材質は気孔率の低いスピネルを使
用するためか、施工体の通気性が乏しく、乾燥性に劣
り、乾燥を急ぐあまり急激に昇温すると爆裂する。真空
脱ガス装置は溶鋼容器などと違って密閉構造となってお
り、乾燥性に劣る材質では乾燥時間が特に長くなり、不
定形耐火物による内張りがもつ施工の省力化の効果が十
分に発揮されなくなる。本発明の材質は、さらに耐火粗
大粒子を配合すると、乾燥性の問題を解決することがで
きる。これは、耐火粗大粒子の周囲が水分蒸発時の通気
孔となり、乾燥性を向上するためと考えられる。
【0025】本発明では、耐火骨材の一部として、さら
に硬焼マグネシアおよび/または電融マグネシアを配合
してもよい。これらの配合は残存膨張性を付与し、キレ
ツなどを防止することで耐用性をさらに向上させる効果
をもつ。
【0026】以下、本発明の材質について、配合原料お
よびその割合をさらに詳しく説明する。
【0027】本発明で使用するアルミナは、構造安定性
に優れ、耐スポ−リング性付与の効果をもつ。電融品、
焼結品のいずれでもよい。具体例は焼結アルミナ、電融
アルミナ、ばん土けつ岩、シリマナイト、ボーキサイト
などである。微粉部には仮焼アルミナを使用してもよ
い。アルミナのAl23 純度は、アルミナ配合物全体
として95重量%以上が好ましい。
【0028】耐火骨材に占めるアルミナの割合は、40
重量%未満では構造安定性に劣るために耐スポーリング
性が低下する。90重量%を超えるとその分、スピネル
の配合量が少なくなり、耐溶損性および耐浸潤性に劣
る。
【0029】スピネルは、Al23 とMgOを主成分
とし、その理論組成は重量比71.7:28.3である
が、これに限らず、MgOが3〜90重量%であれば使
用できる。好ましくは、MgOが5〜50重量%のもの
を使用する。電融品、焼結品を問わない。
【0030】耐火原料として一般に使用されるスピネル
は、焼結品では見掛気孔率20%程度のものである。ま
た、電融品は焼結品より見掛気孔率は小さい。しかし、
焼結品、電融品ともに、その製造技術によって見掛気孔
率は幅広くコントロールをすることができる。本発明で
は、この中で見掛気孔率が特に1〜10%のスピネルを
使用する。
【0031】スピネルの見掛気孔率が1%未満ではスピ
ネル粒子が緻密過多となるためか耐スポーリング性が低
下する。見掛気孔率が10%を超えるスピネルでは、粒
子内にFe2O3 が侵入するためか、耐食性の低下を
招く。
【0032】耐火骨材に占めるスピネルの割合は、10
重量%未満ではFe酸化物に対する耐溶損性および耐浸
潤性に劣る。60重量%を超えると耐スポーリング性に
劣る。
【0033】アルミナセメントおよび/または軽焼マグ
ネシアは結合剤としての役割を持つ。配合割合は外掛け
0.5〜10重量%である。さらに好ましい配合割合は
1〜5重量%である。0.5重量%未満では施工体が強
度不足となる。10重量%を超えると耐食性の低下を招
く。
【0034】軽焼マグネシアは、水酸化マグネシウムを
800〜1300℃程度の比較的低温で焼成し、製造さ
れる。ヨード吸着量が1〜50ヨードmg/gの微粉末
である。
【0035】アルミナおよびスピネルの粒径は従来材質
と特に変わり無く、密充填組織が得られるように、粗
粒、中粒、微粒に調整する。最大粒径は、10mm未
満、好ましくは3〜8mmである。
【0036】耐火粗大粒子の具体的な材質は、アルミナ
および/またはスピネルを主材としたものである。焼結
品、電融品のいずれでもよい。また、経済性などの面か
ら、炉材の使用後品であってもよい。
【0037】耐火粗大粒子の粒径は、特に限定されるも
のではないが、10〜50mmが好ましい。さらに好ま
しくは、10〜30mmである。10mm未満では耐火
粗大粒子がもつ乾燥性の効果がない。粒径が大き過ぎる
と混練性の低下とともに、耐火粗大粒子による通気性が
過多となって溶鋼の浸潤を招くためか、耐食性が低下す
る。
【0038】耐火粗大粒子の割合は、耐火骨材配合物1
00重量%に対して外掛け40重量%以下とする。好ま
しくは10〜30重量%である。耐火粗大粒子による効
果を得るには、少なくとも外掛け5重量%が必要であ
る。外掛け40重量%を超えると混練性に劣り、しかも
配合物全体の密充填組織が得られないことで耐食性およ
び耐摩耗性が低下する。
【0039】硬焼マグネシアおよび/または電融マグネ
シアの配合割合は、耐火骨材配合物100重量%のう
ち、内掛け10重量%以下、好ましくは0.5〜5重量
%である。10重量%を超えると耐スポーリング性に劣
る。また、その粒径は、分散性を高めるために1mm以
下が好ましく、さらに好ましくは0.5mm以下であ
る。
【0040】硬焼マグネシアは水酸化マグネシウムを1
800℃以上、好ましくは1900〜2000℃の超高
温で焼成して得られる。また、電融マグネシアは仮焼マ
グネシア、硬焼マグネシアあるいはマグネサイトを電気
炉で溶融して得られる。
【0041】本発明のキャスタブル耐火物は以上の配合
組成を必須要件とするが、本発明の効果を阻害しない範
囲であれば、シリカ超微粉、解こう剤、焼結剤、硬化
剤、硬化遅延剤、繊維類、金属粉、あるいは上記以外の
耐火性骨材、耐火性超微粉、などを添加してもよい。
【0042】繊維類としては、有機繊維、セラミック繊
維、金属繊維などである。有機繊維としては、ビニロ
ン、紙繊維などであり、その添加量は耐火骨材に対する
割合で外掛け0.5重量%以下とする。金属粉は、A
l,Si,Mgあるいはその合金であり、耐火骨材に対
する割合で外掛け5重量%程度以下とする。
【0043】結合剤は、本発明で使用するアルミナセメ
ントおよび/または軽焼マグネシア以外にも、これに例
えばケイ酸ソーダ、アルミナゾル、リン酸アルミニウム
などを組み合わせて使用することもできる。
【0044】分散剤、硬化調整剤などの添加は従来のキ
ャスタブル耐火物と同様である。分散剤としては、例え
ばトリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、ポ
リアクリル酸ソーダ、リグニンスルホン酸ソーダなどか
ら選ばれる一種または二種以上を外掛け0.01〜1重
量%添加する。硬化調整剤としては、例えばホウ酸、ホ
ウ酸アンモニウム、ウルトラポリリン酸ソーダ、炭酸リ
チウム、などから選ばれる1種または2種以上を例えば
外掛け0.01〜1重量%添加する。
【0045】施工は、配合物全体に対する外掛けで3〜
8重量%程度の水分を添加して混練し、型枠を用いて鋳
込み成形される。鋳込みの際に充填性を向上させるた
め、一般には型枠にバイブレ−タ−を取り付けるか、あ
るいは不定形耐火物中に棒状バイブレ−タ−を挿入す
る。
【0046】
【実施例】つぎに、本発明実施例とその比較例を示す。
【0047】表1は、各例で用いたスピネルの見掛気孔
率と化学組成である。表2は、各例で用いた耐火粗大粒
子の化学組成を示す。表3ないし5は、本発明実施例と
その比較例の配合組成であり、同時にこの配合組成より
得られたキャスタブル耐火物の物性値を示す。
【0048】スピネルの見掛気孔率は、学振法2(日本
学術振興会の規格、日本学術振興会第124委員会試験
法分科会)のマグネシアクリンカーの見掛気孔率の測定
法に準じ、媒液に油を使用して粒径2〜3.36mmの
耐火原料粉末によって測定した。微粉についても、微粉
砕前の粒径2〜3.36mmの粒子で測定した。
【0049】各例は、いずれも耐火骨材100重量%に
対する割合で分散剤としてヘキサメタリン酸ソーダを外
掛け0.1重量%添加し、さらに配合物全体に対する外
掛けで施工水5重量%添加したものを混練し、型枠内に
振動付与して鋳込んだ後、養生・乾燥(110℃×24
時間)して試験片を得た。
【0050】試験方法は、以下のとおりである。
【0051】熱間強度;JIS−R2553に準じ、1
500℃での曲げ強さを測定した。 耐食性;真空脱ガス装置を想定した侵食試験法によっ
て、溶損寸法を測定し、比較例3の溶損寸法を100と
した指数で示した。数値が小さいほど耐食性に優れてい
る。真空槽内の溶鋼にはスラグが殆ど存在しないため、
鋼片のみを溶剤として使用した。真空誘導炉(10to
rr)で1600℃×3時間、侵食させた後、溶損寸法
を測定した。
【0052】耐スラグ浸潤性;前記の侵食試験を行なっ
た後の試験片について、スラグ浸潤寸法を測定し、比較
例3の寸法を100とした指数で示した。数値が小さい
ほど浸潤性が小さい。
【0053】乾燥性;500℃の温度下で急激な加熱乾
燥を行ない、施工体のフクレあるいは爆裂の有無を調べ
た。
【0054】線変化率;JIS−R2554に準じて測
定した。
【0055】上記とは別に、一部の実施例および比較例
において実機試験を行なった。この試験では250tの
RH式真空脱ガス装置の真空槽に内張りし、溶鋼が直接
接触する下部槽の耐ハクリ性および耐用性を測定した。
なお、試験結果において空欄は、試験しなかったことを
示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】本発明実施例は、いずれも真空脱ガス装置
の使用条件による侵食試験においては、耐溶損性および
耐浸潤性に良好な結果が得られた。また、実機試験では
この効果はさらに顕著なものとなる。これに対し、溶鋼
取鍋の使用条件による侵食試験では、耐溶損性、耐浸潤
性ともにスピネルの見掛気孔率に大きく影響されない本
発明実施例の中でも、耐火粗大粒子を配合したものは、
乾燥性に優れている真空脱ガス装置は気密性が高いの
で、乾燥性の向上に大きく貢献する。
【0062】また、硬焼マグネシアを配合した実施例で
は残存膨張性を付与し、キレツの拡大防止に効果があ
る。
【0063】これに対しスピネルを配合しない比較例1
及び配合量が本発明の範囲内より少ない比較例4は、ス
ピネルがもつ耐浸潤性の効果が全く得られないために、
耐浸潤性、耐食性ともに大きく劣る。
【0064】スピネルについて見掛気孔率は本発明の範
囲内であるが、配合量が本発明の範囲内より多い比較例
2は、実機試験において耐ハクリ性および耐用性に劣
る。比較例3は本発明の範囲より見掛気孔率が小さい電
融スピネルを使用したものであり、スピネルが緻密過多
であるためか、実機試験において耐ハクリ性に劣る。逆
に見掛気孔率が本発明で限定した範囲より大きい電融ス
ピネルまたは焼結スピネルを使用した比較例5,比較例
6,比較例7は、耐食性に劣る。比較例8は、耐火粗大
粒子の配合量が多過ぎるために、実機試験において耐食
性に劣る。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のキャスタ
ブル耐火物は、真空脱ガス装置における特殊でかつ厳し
い使用条件下においてはじめてその優れた効果を発揮す
るものである。本発明の材質は、真空脱ガス装置内張り
の不定形耐火物化に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空脱ガス装置の使用条件を想定した侵食試験
法による、耐火物の溶損・浸潤性とスピネルの見掛気孔
率との関係を示すグラフ。
【図2】見掛気孔率の異なるスピネルにおける、熱間強
度とスピネル配合量との関係を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井哲郎 兵庫県高砂市荒井町新浜1丁目3番1号 ハリマセラミック株式会社内 (72)発明者 尾花豊康 兵庫県高砂市荒井町新浜1丁目3番1号 ハリマセラミック株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミナ40〜90重量%、見掛気孔率
    が学振法2(日本学術振興会の規格)に準じた測定で1
    〜10%のMgO・Al23 系スピネル10〜60重
    量%を主材とした耐火骨材配合物100重量%と、アル
    ミナセメントおよび/または軽焼マグネシア外掛け0.
    5〜10重量%とを含む真空脱ガス装置内張り用キャス
    タブル耐火物。
  2. 【請求項2】 アルミナ40〜90重量%未満、見掛気
    孔率が学振法2(日本学術振興会の規格)に準じた測定
    で1〜10%のMgO・Al23 系スピネル10〜6
    0重量%未満、硬焼マグネシアおよび/または電融マグ
    ネシア10重量%以下を主材とした耐火骨材配合物10
    0重量%と、アルミナセメントおよび/または軽焼マグ
    ネシア外掛け0.5〜10重量%とを含む真空脱ガス装
    置内張り用キャスタブル耐火物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の真空脱ガス装置
    内張り用キャスタブル耐火物において、耐火骨材配合物
    100重量%に対する割合で、さらに耐火粗大粒子を外
    掛け40重量%以下含む真空脱ガス装置内張り用キャス
    タブル耐火物。
  4. 【請求項4】 耐火粗大粒子の粒径が10〜50mmで
    ある請求項3記載の真空脱ガス装置内張り用キャスタブ
    ル耐火物。
  5. 【請求項5】 請求項3または4記載の耐火粗大粒子
    が、アルミナおよび/またはMgO・Al23 系スピ
    ネルを主体とした材質である真空脱ガス装置内張り用キ
    ャスタブル耐火物。
JP8089649A 1996-04-11 1996-04-11 真空脱ガス装置内張り用キャスタブル耐火物 Pending JPH09278543A (ja)

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