JPH0794343B2 - マグネシアクリンカー及びその製造方法 - Google Patents

マグネシアクリンカー及びその製造方法

Info

Publication number
JPH0794343B2
JPH0794343B2 JP2332575A JP33257590A JPH0794343B2 JP H0794343 B2 JPH0794343 B2 JP H0794343B2 JP 2332575 A JP2332575 A JP 2332575A JP 33257590 A JP33257590 A JP 33257590A JP H0794343 B2 JPH0794343 B2 JP H0794343B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnesia clinker
less
weight
resistance
zircon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2332575A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04198058A (ja
Inventor
彰 兼安
英雄 八百井
幸弘 末川
修美 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2332575A priority Critical patent/JPH0794343B2/ja
Publication of JPH04198058A publication Critical patent/JPH04198058A/ja
Publication of JPH0794343B2 publication Critical patent/JPH0794343B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はマグネシアクリンカー及びその製造方法に関
し、特に溶融金属用塩基性耐火物の原料として有用であ
るマグネシアクリンカー及びその製造方法に関する。
[発明の背景] 最近の鉄鋼技術の進歩に伴ない、製鋼炉に使用される耐
火物として、過酷な条件下で優れた耐食性[耐スラグ溶
損性及び耐スラグ浸透(侵潤)性]を有する耐火物が要
求されている。また、省エネルギー及び省力の面から、
定形耐火物よりも不定形耐火物の方が需要が大きくなっ
てきた。特に、連続鋳造法で使用される取鍋やタンディ
ッシュ等においては、不定形耐火物の割合が増大してい
る。
取鍋においては、従来の酸性耐火物であるシャモット質
やロウ石質のれんがからジルコン質耐火物へ移行し、更
に鋼のクリーンスチール化のために中性乃至塩基性の耐
火物に変わる傾向にある。
塩基性耐火物の主要原料であるマグネシアクリンカー
は、主要鉱物のペリクレースが高融点(約2830℃)であ
り、且つ塩基性スラグに対して優れた耐浸食性を有する
ことが知られており、転炉等操業条件の厳しい鉄鋼工程
における内張り炉材として使用されている。しかしなが
ら、マグネシアクリンカーは、比較的熱膨張率が大きい
とか、また粒界部へのスラグの浸透等により耐スポーリ
ング性が劣るという欠点を有している。マグネシアクリ
ンカーの耐スポーリング性を改良するために、グラファ
イトを10〜20%配合したマグネシア−カーボン質耐火れ
んが開発されているが、マグネシア−カーボン質の不定
形耐火物は現在未だ得られていない。
また、マグネシアクリンカーは耐消化性が劣るという問
題点もある。即ち、マグネシアクリンカーを流し込み材
のような不定形耐火物として使用する場合、MgOが添加
される水と反応して水酸化マグネシウムになり、この水
酸化物が体積膨張を起こしクラックが発生して崩落した
り、実使用時の温度上昇に伴ない分解により内部圧力が
上昇して爆裂崩壊するという問題点もある。従って、マ
グネシアクリンカーの耐消化性を向上させる必要があ
る。
マグネシアクリンカーの耐消化性を改善する目的で、Mg
OにSiO2やFe2O3を添加することが提案されているが、こ
れらの物質の添加によっては、耐火物へのスラグの浸透
を十分抑制することはできなかった。
また、マグネシアクリンカーに熱膨張率が低いジルコニ
アを含有させた耐火物が提案されている。例えば特公昭
60−44262号公報には、MgOの含有率が95%以上であり、
ZrO2の含有率が0.05〜2.0%であり、SiO2の含有率が0.2
〜1.0%であり、酸化ジルコニウムを含有する鉱物のマ
トリックスがマグネシア結晶を包みこんでいる構造のマ
グネシアクリンカーが開示されている。しかしながら、
このマグネシアクリンカーは耐構造スポーリング性にお
いて必ずしも十分な性質を示さない。
また、特開昭62−275055号公報には、MgO+ZrO298%以
上、MgO68〜93%、ZrO25〜30%、SiO20.5%以下である
マグネシアクリンカーが開示されている。しかしなが
ら、このマグネシアクリンカーも耐構造スポーリング性
において必ずしも満足されるものではない。
加えて、先行技術として特開昭51−34911号公報及び特
開昭60−11263号公報に記載された耐火物がある。特開
昭51−34911号公報には、MgO含有量85〜95重量%とし、
水酸化マグネシウムスラリー、石灰生成材料及びジルコ
ンを混合し、混合物をか焼し、ついで死焼し、クリンカ
ーの構成鉱物がペリクレース、カルシウムジルコネート
及びダイカルシウムシリケートから構成されるマグネシ
アクリンカーである。この公報の記載から判断すると、
このマグネシアクリンカーはCaO/SiO2比が1.5以上のマ
グネシアクリンカーであり、CaO/SiO2比が1以下である
本発明のマグネシアクリンカーとは鉱物組成が異なり、
全く異なるマグネシアクリンカーであり、耐消化性及び
耐スラグ溶損性において、本発明のマグネシアクリンカ
ーとは顕著に相違している。更に、特開昭60−1263号公
報に記載の発明は、低熱伝導率の耐火物を提供すること
を目的としており、化学組成上ジルコン20〜65重量%及
びMgO80〜35重量%から構成されており、低熱伝導率化
を行なうために、ある程度気孔を有する方が良いとの思
想から、この耐火物の焼結性は見掛気孔率が15%以上、
嵩密度(かさ比重)が3.0g/cm3程度であり、本発明のマ
グネシアクリンカーとは大幅に焼結性(見掛気孔率及び
嵩密度)が劣り、耐食性において十分な効果を示さな
い。
本発明者等はマグネシアクリンカーの耐スポーリング性
の改善について研究した結果、MgO、ZrO2及びSiO2を特
定範囲の量で含有し、ペリクレースを主成分とし立方晶
ジルコニア及びフォルステライトを副成分とする鉱物組
成を有すうマグネシアクリンカーが、優れた耐消化性、
耐スラグ溶損性及び耐スポーリング性を有しており、製
鋼用耐火物原料として有用であることを見出し本発明に
到達した。
[発明の目的] 本発明の目的は、製鋼用塩基性耐火物原料として有用で
ある優れた耐消化性、耐スラグ溶損性、耐スラグ浸透性
及び耐スポーリング性を有するマグネシアクリンカー及
びその製造方法を提供することにある。
[発明の要旨] 本発明は、それぞれ酸化物換算で65〜96重量%のMgO、
2.6〜20重量%のZrO2、1.3〜10重量%のSiO2、2重量%
以下のCaO、0.5重量%以下のFe2O3、及び1重量%以下
のAl2O3からなる化学組成を有し、ベリクレースを主成
分とし立方晶ジルコニア及びフォルステライトを副成分
とする鉱物組成を有し、見掛気孔率が7%以下で、嵩密
度が3.2g/cm3以上であることを特徴とするマグネシアク
リンカーである。
他の本発明は、マグネシウム源としてのケーキ状乃至粉
末状の水酸化マグネシウムと、粉末状のジルコン又は酸
化ジルコニウム及びシリカの混合物とを含む混合物であ
って、それぞれ酸化物換算で、65〜96重量%のMgO、2.6
〜20重量%のZrO2、1.3〜10重量%のSiO2、2重量%以
下のCaO、0.5重量%以下のFe2O3、及び1重量%以下のA
l2O3からなる化学組成を有する混合物の水性スラリーを
濾別脱水し、得られたケーキを乾燥した後成形し、又は
粉末状の活性酸化マグネシウムと粉末状のジルコン又は
酸化ジルコニウム及びシリカの混合物とを均一に混合し
た後成形し、得られた成形物を1500〜1850℃の温度で焼
成することを特徴とする、ペリクレースを主成分とし立
方晶ジルコニア及びフォルステライトを副成分とする鉱
物組成を有し、見掛気孔率が7%以下で、嵩密度が3.2g
/cm3以上であるマグネシアクリンカーの製造方法であ
る。
本発明の好適な実施態様は下記の通りである。
(1)上記化学組成が、夫々酸化物換算で、75〜95重量
%のMgO、3.0〜15重量%のZrO2、1.5〜7.0重量%のSi
O2、1.5重量%以下のCaO、0.2重量%以下のFe2O3、及び
0.5重量%以下のAl2O3からなることを特徴とする、上記
マグネシアクリンカー及びその製造方法。
(2)上記マグネシアクリンカーが、ペリクレース56〜
94.3重量%、立方晶ジルコニア2.6〜20重量%及びフォ
ルステライト3〜24重量%からなる鉱物組成を有ること
を特徴とする、上記マグネシアクリンカー及びその製造
方法。
(3)上記マグネシアクリンカーが、2%以下の見掛気
孔率、3.35g/cm3以上の嵩密度、及び好ましくは45μm
以上のペリクレース結晶の平均粒径値を有することを特
徴とする上記マグネシアクリンカー及びその製造方法。
(4)上記マグネシウム源が、粉末状の水酸化マグネシ
ウムであることを特徴とする上記マグネシアクリンカー
及びその製造方法。
(5)上記原料のジルコンが、55μm以下の平均粒径を
有する粉末状のジルコンであることを特徴とする上記マ
グネシアクリンカーの製造方法。
(6)上記焼成温度が1600〜1800℃であることを特徴と
する上記マグネシアクリンカーの製造方法。
[発明の詳細な記述] 本発明のマグネシアクリンカーは、それぞれ酸化物換算
で、65〜96重量%のMgO、2.6〜20重量%のZrO2、1.3〜1
0重量%のSiO2、2重量%以下のCaO、0.5重量%以下のF
e2O3及び1重量%以下のAl2O3からなる化学組成を有
し、ペリクレース(MgO)を主成分とし立方晶ジルコニ
ア(ZrO2)及びフォルステライト(Mg2SiO4)を副成分
とする鉱物組成を有し、見掛気孔率が7%以下で、嵩密
度が3.2g/cm3以上であるマグネシアクリンカーである。
本発明のマグネシアクリンカーの化学組成は、夫々酸化
物換算で、75〜95重量%のMgO、3.5〜15重量%のZrO2
1.5〜7.0重量%のSiO2、1.5重量%以下のCaO、0.2重量
%以下のFe2O3、及び0.5重量%以下のAl2O3からなるこ
とが好ましい。
上記化学組成で、MgOの含有量が上記範囲よりも大きい
とマグネシアクリンカーの耐消化性が低下し、上記範囲
よりも小さいとマグネシアクリンカーの見掛気孔率が増
大すると共に耐スラグ浸食性が悪くなる。
上記化学組成で、ZrO2又はSiO2の含有量が上記範囲より
も多くなると、マグネシアクリンカー中のペリクレース
結晶の粒界部にあるマトリックスの量が増加し、そのた
めにマグネシアクリンカーの製造中にペリクレース結晶
の成長が抑制されてペリクレース結晶の平均粒径が小さ
くなり、マグネシアクリンカーの見掛気孔率が増大し耐
スラグ溶損性が劣る。また、ZrO2又はSiO2の含有量が上
記範囲よりも少なくなると、マグネシアクリンカーの耐
消化性、耐スラグ浸透(侵潤)性及び耐スポーリング性
が劣る。
また、MgO、ZrO2及びSiO2以外の成分はできるだけ少な
いことが好ましい。MgO、ZrO2及びSiO2以外の成分の含
有量が大き過ぎると、マグネシアクリンカーの耐食性が
劣ることになる。
また、本発明のマグネシアクリンカーの鉱物組成は、ペ
リクレース56〜94.3重量%、立方晶ジルコニア2.6〜20
重量%及びフォルステライト3〜24重量%からなること
が好ましい。ペリクレース結晶は、結晶が大きいほど耐
スラグ溶損性に効果がある。本発明のマグネシアクリン
カーは従来のマグネシアクリンカーの焼成温度より、幾
分低温においても高焼結性を示すが、焼成温度が低い場
合、ペリクレース結晶の大きさが小さく、実使用上耐ス
ラグ溶損性が問題となる。このため、本発明のマグネシ
アクリンカーのペリクレース平均結晶粒径値は、45μm
以上であることが好ましい。
本発明のマグネシアクリンカーにおいては、この大きな
ペリクレース結晶の粒界部に立方晶ジルコニア及びフォ
ルステライト結晶が均質に分散分布した微構造を有して
おり、そのために本発明のマグネシアクリンカーは、耐
火物原料、特に不定形耐火物原料として優れた耐スポー
リング性と耐消化性とを示す。
更に、本発明のマグネシアクリンカーは、見掛気孔率が
2%以下で、嵩密度が3.35g/cm3以上であることが好ま
しい。本発明のマグネシアクリンカーが上記のような見
掛気孔率及び嵩密度を有することによって、本発明のマ
グネシアクリンカーを含有する耐火物を使用する際、例
えば、この耐火物の取鍋に溶鋼を注入するときのような
加熱時に、耐火物の容積安定性が優れているという利点
を示す。
本発明のマグネシアクリンカーは、前記のような本発明
の製造方法によって製造することができる。
本発明の製造方法において、原料のマグネシウム源とし
ては、天然に産するマグネサイトやブルーサイト、合成
水酸化マグネシウム及び酸化マグネシウムの何れであっ
てもよい。この合成水酸化マグネシウムとしては、例え
ば、海水、苦汁、かん水などのマグネシウム含有水溶液
に、石灰乳のようなアルカリ性物質を添加し反応させて
得られる水酸化マグネシウムを挙げることができる。ま
た、酸化マグネシウムとしては、天然に産出するマグネ
サイトやブルーサイト、水酸化マグネシウムなどのか焼
物などのような活性酸化マグネシウムを挙げることがで
きる。マグネシウム源として特に好ましいものは水酸化
マグネシウムであり、これを使用することによって見掛
気孔率が小さく、優れた耐消化性、耐スラグ溶損性及び
耐スポーリング性を有するマグネシアクリンカーを容易
に得ることができる。特に、CaOは、ZrO2及びSiO2成分
と反応して低溶融化合物を生成し、マグネシアクリンカ
ーを製造する際の焼成時に焼結困難の原因となったり、
マグネシアクリンカーの耐食性に悪影響を及ぼすので、
CaO含有量のできるだけ少ない水酸化マグネシウムを使
用することが好ましい。
本発明の製造方法における原料のジルコン(組成:ZrSiO
4)としては、天然に産するものを使用することができ
る。マグネシアクリンカーにおいて、ペリクレース結晶
の粒界部に立方晶ジルコニア及びフォルステライト結晶
を均質に分散分布させるために、マグネシウム化合物と
の均質な混合が可能なように、ジルコンはできるだけ粒
度の小さいものであることが好ましく、特に平均粒径値
が55μm以下である粉末であることが好ましい。このよ
うな粉末状のジルコンは機械的粉砕により容易に得るこ
とができる。
本発明の製造方法においては、上記ジルコンの代わり
に、酸化ジルコニウムとシリカ(特に非晶質のシリカが
好ましい)との混合物を使用してもよい。
本発明の製造方法においては、先ず、前記のようなマグ
ネシウム源と前記のようなジルコンとを含む混合物の水
性スラリーを調製する。このスラリーの調製は、例え
ば、マグネシウム源とジルコンとの混合物を水中に分散
させる方法、マグネシウム源のスラリーにジルコンを混
合する方法などの方法によって行なうことができる。マ
グネシウム源として水酸化マグネシウムを使用する場合
は、水酸化マグネシウムは一般にその製造過程で水性ス
ラリーとして得られるので、この水酸化マグネシウムの
水性スラリーにジルコンを混合させてマグネシウム源と
ジルコンとを含む混合物の水性スラリーを調製すること
が、工業的に便利である。マグネシウム源として活性酸
化マグネシウムを使用する場合は、スラリーを調製する
ことなく粉末状の活性酸化マグネシウムと粉末状のジル
コンとを均一に混合するだけでもよい。
上記マグネシウム源とジルコンとを含む混合物中の化学
組成は、夫々酸化物換算で、65〜96重量%、好ましくは
75〜95重量%のMgO、2.6〜20重量%、好ましくは3.0〜1
5重量%のZrO2、1.3〜10重量%、好ましくは1.5〜7.0重
量%のSiO2、2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下
のCaO、0.5重量%以下、好ましくは0.2重量%以下のFe2
O3及び1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下のAl2O3
からなる組成である。CaO、Fe2O3及びAl2O3の含有量が
上記の範囲内になるように、使用するマグネシウム源及
びジルコンの純度を制御することが必要である。
上記スラリー中の固体の濃度は特に限定されず、マグネ
シウム源とジルコンとの均一な混合が可能であるような
濃度であればよい。一般的に、20〜75重量%の固体濃度
が適当である。
本発明の製造方法において、次に、上記水性スラリーを
濾別脱水してケーキを得、このケーキを好ましくは3〜
20重量%の水分含有率になるまで乾燥する。得られた乾
燥物を、造粒、押出し成形、加圧成形などによって成形
物に成形する。特に、100〜6000kg/cm2の圧力で加圧成
形することが好ましい。この際、乾燥物にバインダーと
して硫酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどの水溶液
を添加してもよい。粉末状の活性酸化マグネシウムと粉
末状のジルコンとの混合物を使用した場合は、この混合
物を上記乾燥物と同様にして成形することができる。
上記ジルコンの代わりに、酸化ジルコニウムとシリカと
の混合物を使用する場合も同様に行なうことができる。
上記のようにして得られた成形物をそのままか又は適当
な大きさに破砕して、例えばロータリーキルンを使用し
て、1500〜1850℃、好ましくは1600〜1800℃の温度で焼
成することによって、本発明のマグネシアクリンカーを
製造することができる。焼成温度が上記範囲よりも低い
とマグネシアクリンカーを含有する耐火物の加熱時の容
積安定性が低下し、上記範囲よりも高いと焼結が困難と
なる。
本発明のマグネシアクリンカーは、前記のような性状を
有しているので、優れた耐消化性、耐スラグ溶損性、耐
スラグ浸透(侵潤)性及び耐スポーリング性を有してお
り、製鋼用塩基性耐火物の原料として有用である、 次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1] 海水から製造した水酸化マグネシウム水性スラリー(固
形分:29重量%、化学組成:灼熱基準の重量%で表わし
て、MgO=98.5%、CaO=0.87%、SiO2=0.14%、その他
の酸化物=0.52%)に、ジルコン粉末(平均粒径=11.6
μm、化学組成:灼熱基準の重量%で表わして、ZrO2
66.2%、SiO2=32.8%、その他の成分=0.72%)を、水
酸化マグネシウムのMgOに対して5重量%添加し、均一
になるように十分混合した。得られた混合物スラリーを
濾過脱水し、ケーキを乾燥器内で110℃で水分含有率が
7重量%になるまで乾燥した。得られた乾燥物を、圧力
1000kg/cm2で加圧成形して、直径10mm×長さ20mmのブリ
ケットにし、このブリケットをロータリーキルンで1700
℃の温度で1時間焼成して、マグネシアクリンカーを製
造した。
得られたマグネシアクリンカーの、化学組成、見掛気孔
率、嵩密度、ペリクレース結晶の平均粒径、耐消化性、
耐スラグ浸食性、耐スポーリング性及び鉱物組成を、下
記の試験方法により測定した。その結果を第1表に示
す。
[実施例2] ジルコン粉末の添加量を、水酸化マグネシウムのMgOに
対して10重量%に変えた他は、実施例1におけると同様
にしてマグネシアクリンカーを製造した。
得られたマグネシアクリンカーの、化学組成、見掛気孔
率、嵩密度、ペリクレース結晶の平均粒径値、耐消化
性、耐スラグ浸食性、耐スポーリング性及び鉱物組成
を、下記の試験方法により測定した。その結果を第1表
に示す。
[実施例3] ジルコン粉末の添加量を、水酸化マグネシウムのMgOに
対して20重量%に変えた他は、実施例1におけると同様
にしてマグネシアクリンカーを製造した。
得られたマグネシアクリンカーの、化学組成、見掛気孔
率、嵩密度、ペリクレース結晶の平均粒径値、耐消化
性、耐スラグ浸食性、耐スポーリング性及び鉱物組成
を、下記の試験方法により測定した。その結果を第1表
に示す。
[実施例4] ジルコン粉末の代わりに、ZrO2源としての酸化ジルコニ
ウムとSiO2源としての非晶質シリカとの混合物を使用し
て、水酸化マグネシウムのMgOに対して、ZrO210重量%
及びSiO23重量%を添加した他は、実施例1におけると
同様にしてマグネシアクリンカーを製造した。
得られたマグネシアクリンカーの、化学組成、見掛気孔
率、嵩密度、ペリクレース結晶の平均粒径値、耐消化
性、耐スラグ浸食性、耐スポーリング性及び鉱物組成
を、下記の試験方法により測定した。その結果を第1表
に示す。
[実施例5] 天然産マグネサイト鉱石 −(固形分:29重量%、 天然産マグネサイト鉱石(化学組成:灼熱基準の重量%
で表わして、MgO=97.8%、CaO=1.48%、SiO2=0.32
%、Fe2O3=0.22%、Al2O3=0.08%、B2O3=0.02%)を
1000℃の温度でか焼して活性酸化マグネシウムとし、こ
れに実施例1で使用したジルコン粉末を、活性酸化マグ
ネシウムのMgOに対して10重量%添加し、振動ボールミ
ル内で均一に混合し、この混合物を成形圧2000kg/cm2
加圧成形して、直径10mm×長さ20mmのブリケットにし、
このブリケットをロータリーキルンで1700℃の温度で1
時間焼成して、マグネシアクリンカーを製造した。
得られたマグネシアクリンカーの、化学組成、見掛気孔
率、嵩密度、ペリクレース結晶の平均粒径、耐消化性、
耐スラグ浸食性、耐スポーリング性及び鉱物組成を、下
記の試験方法により測定した。その結果を第1表に示
す。
[比較例1] ジルコン粉末の添加量を、水酸化マグネシウムのMgOに
対して40重量%に変えた他は、実施例1におけると同様
にしてマグネシアクリンカーを製造した。
得られたマグネシアクリンカーの、化学組成、見掛気孔
率、嵩密度、ペリクレース結晶の平均粒径、耐消化性、
耐スラグ浸食性、耐スポーリング性及び鉱物組成を、下
記の試験方法により測定した。その結果を第1表に示
す。
[比較例2] ジルコン粉末の代わりに非晶質シリカを、マグネシアク
リンカー中のSiO2含有量が3%になるように添加した他
は、実施例1におけると同様にしてマグネシアクリンカ
ーを製造した。
得られたマグネシアクリンカーの、化学組成、見掛気孔
率、嵩密度、ペリクレース結晶の平均粒径、耐消化性、
耐スラグ浸食性、耐スポーリング性及び鉱物組成を、下
記の試験方法により測定した。その結果を第1表に示
す。
[比較例3] 比較例2で得たマグネシアクリンカーに、実施例1で使
用したジルコン粉末を10重量%添加し、バインダーとし
て28゜Beの硫酸マグネシウム水溶液を6重量%添加し、
成形圧2000kg/cm2で加圧成形して、直径10mm×長さ20mm
のブリケットにし、このブリケットをロータリーキルン
で1700℃の温度で1時間焼成して、マグネシアクリンカ
ーを製造した。
得られたマグネシアクリンカーの、化学組成、見掛気孔
率、嵩密度、ペリクレース結晶の平均粒径値、耐消化
性、耐スラグ浸食性、耐スポーリング性及び鉱物組成
を、下記の試験方法により測定した。その結果を第1表
に示す。
[試験方法I] 化学組成 日本学術振興会第124委員会試験法分科会において決定
された「学振法 マグネシアクリンカーの化学分析法」
(1981年版 耐火物手帳参照)に準じて行なった。
見掛気孔率 日本学術振興会第124委員会試験法分科会において決定
された「学振法2 マグネシアクリンカーの見掛け気孔
率、見掛け比重及びかさ比重の測定方法」(1981年版
耐火物手帳参照)に準じて行なった。
嵩密度 日本学術振興会第124委員会試験法分科会において決定
された「学振法2 マグネシアクリンカーの見掛け気孔
率、見掛け比重及びかさ比重の測定方法」(1981年版
耐火物手帳参照)に準じて行なった。
なお、嵩密度は下記の計算式により求めた。
(但し、W1=試料クリンカーの乾燥重量(g) W2=白灯油で飽和した試料の白灯油中の重量(g) W3=白灯油で飽和した試料の重量(g) S=測定温度における白灯油の密度(g/cm3) ペリクレース結晶の平均粒径 Fullman法(Journal of Metals,447,(1953))に準
じ、試料研磨面を撮影した写真上で各ペリクレース結晶
を50個以上読み取り、その平均値を1.57倍してペリクレ
ース結晶の平均粒径とした。
耐消化性 日本学術振興会第124委員会試験法分科会において決定
された「学振法 マグネシアクリンカーの消化性試験方
法」(1981年版 耐火物手帳参照)に準じて行なった。
オートクレーブを用いて、1〜3.36mmのマグネシアクリ
ンカーを125℃の温度、5気圧の水蒸気圧力下に3時間
保持し試験した。この試料の重量増加率(重増率)及び
粉化率を測定した。
耐スラグ浸食性 粒度5〜3mm、3〜1mm、1mm以下のマグネシアクリンカ
ーを20:30:50の重量比率で混合し、バインダーとして28
゜Beの硫酸マグネシウム水溶液を6重量%添加した後、
成形圧500kg/cm2で成形し、一昼夜乾燥器内で110℃の温
度で乾燥後、酸素−プロパン炉で温度1750℃で1時間焼
結させ、角型の焼成マグネシアれんがを作成した。これ
を戸田超耐火物(株)製の回転スラグ浸食試験機内に内
張りし、転炉スラグ(CaO/SiO2比=3)を浸食材として
温度1700℃×1時間を1サイクルとして10サイクル行な
った後、焼成マグネシアれんが耐火物に対するスラグの
浸透(侵潤)層厚さ(mm)及びれんがの溶損量(溶損厚
さ、mm)を測定した。
耐スポーリング性 上記耐スラグ浸食性の試験で作成した方法と同様の方法
で焼成マグネシアれんがを作成し、戸田超耐火物(株)
製の回転スラグ浸食試験機内に内張りし、転炉スラグ
(CaO/SiO2比=3)を浸食材として、温度1600℃×1時
間を1サイクルとして5サイクル行なった後、更に、16
00℃に0.5時間急熱した後、500℃に急冷する操作を5サ
イクル行なった後、試料の切断面を観察し、スラグ浸透
(侵潤)層と未浸透層との間の亀裂発生の有無及びその
程度を、下記の基準で評価した。
AA:亀裂なし、AB:微小亀裂が僅かにあり、BB:微小亀裂
あり、CC:大きな亀裂あり。
鉱物組成 マグネシアクリンカーを細かく粉砕し、X線ディフラク
トメーターを用いて粉末回折法により鉱物組成を固定
し、また各鉱物のピーク強度から鉱物の相対的な存在頻
度を下記の基準で評価した。
多い+++++>++++>+++>++>+少ない 第1表の結果から明らかなように、実施例1〜5で得ら
れた本発明のマグネシアクリンカーは、見掛気孔率が小
さく嵩密度が高く、耐消化性に優れており、スラグ浸透
層厚さが著しく小さく耐スラグ浸食性が優れており、耐
スポーリング性にも著しく優れている。
これに対して、本発明の範囲外のZrO2を多量に含有する
比較例1で得られたマグネシアクリンカーは、見掛気孔
率が大きく、スラグ溶損量が著しく大きく耐スラグ浸食
性が劣っている。
ZrO2を含有しない比較例2で得られたマグネシアクリン
カーは、スラグ溶損量は小さいもののスラグ浸透層厚さ
が著しく大きくスラグの浸透(侵潤)を抑制できず、そ
のために耐スポーリング性が劣っている。
更に、MgO源として死焼酸化マグネシウム(マグネシア
クリンカーを使用した比較例3で得られたマグネシアク
リンカーは、見掛気孔率が大きく、スラグ浸透層厚さ及
びスラグ溶損量が何れも大きく耐スラグ浸食性が劣って
いる。
[発明の効果] 本発明のマグネシアクリンカーは、優れた耐消化性、耐
スラグ溶損性、耐スラグ浸透性及び耐スポーリング性を
有し、特に製鋼用耐火物の原料として有用なマグネシア
クリンカーである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 兼安 彰 山口県宇部市大字小串1985番地 宇部化学 工業株式会社内 (72)発明者 八百井 英雄 愛知県東海市東海町5丁目3番地 新日本 製鐵株式会社名古屋製鐵所内 (72)発明者 末川 幸弘 福岡県北九州市八幡西区東浜町1番1号 黒崎窯業株式会社内 (72)発明者 松本 修美 兵庫県高砂市荒井町新浜1丁目3番1号 ハリマセラミック株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれ酸化物換算で、65〜96重量%のMg
    O、2.6〜20重量%のZrO2、1.3〜10重量%のSiO2、2重
    量%以下のCaO、0.5重量%以下のFe2O3、及び1重量%
    以下のAl2O3からなる化学組成を有し、ベリクレースを
    主成分とし立方晶ジルコニア及びフォルステライトを副
    成分とする鉱物組成を有し、見掛気孔率が7%以下で、
    嵩密度が3.2g/cm3以上であることを特徴とするマグネシ
    アクリンカー。
  2. 【請求項2】マグネシウム源としてのケーキ状乃至粉末
    状の水酸化マグネシウムと、粉末状のジルコン又は酸化
    ジルコニウム及びシリカの混合物とを含む混合物であっ
    て、それぞれ酸化物換算で、65〜96重量%のMgO、2.6〜
    20重量%のZrO2、1.3〜10重量%のSiO2、2重量%以下
    のCaO、0.5重量%以下のFe2O3、及び1重量%以下のAl2
    O3からなる化学組成を有する混合物の水性スラリーを濾
    別脱水し、得られたケーキを乾燥した後成形し、又は粉
    末状の活性酸化マグネシウムと粉末状のジルコン又は酸
    化ジルコニウム及びシリカの混合物とを均一に混合した
    後成形し、得られた成形物を1500〜1850℃の温度で焼成
    することを特徴とする、ペリクレースを主成分とし立方
    晶ジルコニア及びフォルステライトを副成分とする鉱物
    組成を有し、見掛気孔率が7%以下で、嵩密度が3.2g/c
    m3以上であるマグネシアクリンカーの製造方法。
JP2332575A 1990-11-28 1990-11-28 マグネシアクリンカー及びその製造方法 Expired - Lifetime JPH0794343B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2332575A JPH0794343B2 (ja) 1990-11-28 1990-11-28 マグネシアクリンカー及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2332575A JPH0794343B2 (ja) 1990-11-28 1990-11-28 マグネシアクリンカー及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04198058A JPH04198058A (ja) 1992-07-17
JPH0794343B2 true JPH0794343B2 (ja) 1995-10-11

Family

ID=18256457

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2332575A Expired - Lifetime JPH0794343B2 (ja) 1990-11-28 1990-11-28 マグネシアクリンカー及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0794343B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7306642B2 (en) * 2002-03-13 2007-12-11 Ceramem Corporation High CTE reaction-bonded ceramic membrane supports
US20050181928A1 (en) * 2004-02-12 2005-08-18 Hayward Peter J. Reaction-bonded porous magnesia body
DE102004042742A1 (de) * 2004-09-03 2006-03-23 Refractory Intellectual Property Gmbh & Co. Kg Gebrannter feuerfester keramischer Formkörper
JP2015067457A (ja) * 2013-09-26 2015-04-13 黒崎播磨株式会社 マグネシア系れんが
CN112279577B (zh) * 2020-10-29 2022-09-20 中交四航工程研究院有限公司 一种大体积后浇带混凝土裂缝的控制方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04198058A (ja) 1992-07-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
G Kahrizsangi et al. Effect of nano-sized Fe2O3 on microstructure and hydration resistance of MgO-CaO refractories
JP5943032B2 (ja) 軽量断熱アルミナ・マグネシア質耐火物の製造方法
Singh et al. High alumina castables: A comparison among various sol-gel bonding systems
CN115321961A (zh) 一种高纯度致密六铝酸钙系耐火材料及其制备方法
JP2005154180A (ja) アルミナセメント組成物及び不定形耐火物
JPH0794343B2 (ja) マグネシアクリンカー及びその製造方法
WO2001090030A1 (en) Insulating raw material for high temperature applications
JPH05254924A (ja) クロム固溶スピネル及びコランダムよりなるクリンカー並びにそれを用いて得られる耐火物
JPH02102167A (ja) スピネル・コランダム質クリンカーとその製造法
JP2002234776A (ja) 溶鋼取鍋用不定形耐火組成物
JPH0755857B2 (ja) スピネル構造とコランダム構造とからなるクリンカーおよび耐火物
RU2140407C1 (ru) Огнеупорная бетонная смесь
Kalpaklı Comparative study for physical properties and corrosion mechanism of synthetic and in situ MgAl2O4 spinel formation zero cement refractory castables
JP2747325B2 (ja) 大きい気孔を有するスピネル含有マグネシア質クリンカーおよびその製造法
JP4538779B2 (ja) マグネシア−アルミナ系クリンカーおよびそれを用いて得られる耐火物
JPH0692723A (ja) ジルコニア含有マグネシアアルミナ系スピネルクリンカー並びにそれを用いて得られる耐火物
KR890000623B1 (ko) 내소화성 카르시아질내화물
JPH09301766A (ja) 多孔質スピネルクリンカー及びその製造方法
JP4588239B2 (ja) アルミナセメント、アルミナセメント組成物、及びそれを用いた不定形耐火物
JP2005067930A (ja) アルミナセメント、アルミナセメント組成物及びそれを用いた不定形耐火物
JPH0755856B2 (ja) スピネル構造からなるクリンカーおよび耐火物
JPH11147758A (ja) 耐火物原料の製造方法
JP2548085B2 (ja) 不定形耐火物組成
JP2568825B2 (ja) ジルコニア含有マグネシアクリンカ−及びその製造方法
SU1058940A1 (ru) Шихта дл изготовлени огнеупоров