JPH09275040A - 中高圧アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の化成方法 - Google Patents
中高圧アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の化成方法Info
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- JPH09275040A JPH09275040A JP8102070A JP10207096A JPH09275040A JP H09275040 A JPH09275040 A JP H09275040A JP 8102070 A JP8102070 A JP 8102070A JP 10207096 A JP10207096 A JP 10207096A JP H09275040 A JPH09275040 A JP H09275040A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 中高圧アルミニウム電解コンデンサ用電極箔
の化成方法において、空孔欠陥の露出・修復を改善して
耐久性に優れた製品を提供する。 【解決手段】 拡面処理を施した高純度のアルミニウム
箔を、水和処理し、次いで直鎖ジカルボン酸水溶液中で
浸漬処理したのち、再度水和処理し、次いで陽極酸化処
理した後、熱処理を含む減極処理を行なう。
の化成方法において、空孔欠陥の露出・修復を改善して
耐久性に優れた製品を提供する。 【解決手段】 拡面処理を施した高純度のアルミニウム
箔を、水和処理し、次いで直鎖ジカルボン酸水溶液中で
浸漬処理したのち、再度水和処理し、次いで陽極酸化処
理した後、熱処理を含む減極処理を行なう。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に中高圧用のア
ルミニウム電解コンデンサ用電極箔に有効な化成方法に
関する。
ルミニウム電解コンデンサ用電極箔に有効な化成方法に
関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、アルミニウム電解コンデンサの陽
極アルミニウム箔は拡面処理を施した高純度のアルミニ
ウム箔に水和処理を行なったのち、陽極酸化処理を行な
って結晶性の酸化アルミニウムを表面に生成し、これを
誘電体皮膜として利用している。ところで上記におい
て、陽極酸化により結晶性の酸化アルミニウムを形成す
る際に必然的に空孔欠陥が発生する。この空孔欠陥は、
水和処理により生成した水酸化アルミニウムが脱水する
際に起こる体積収縮により発生し、その内部には酸素ガ
スが封じ込められる。この空孔欠陥が誘電体皮膜に存在
すると、電解コンデンサとして使用したときに、空孔欠
陥が露出して皮膜の劣化をきたすので、通常は陽極酸化
処理後に熱処理・化学的処理・機械的処理を施して結晶
性の酸化アルミニウムの生成時に発生する皮膜内部及び
厚さ方向の空孔欠陥を露出させ、再度陽極酸化処理を施
して露出した空孔欠陥の修復を行なって空孔欠陥の少な
い誘電体皮膜を形成している。
極アルミニウム箔は拡面処理を施した高純度のアルミニ
ウム箔に水和処理を行なったのち、陽極酸化処理を行な
って結晶性の酸化アルミニウムを表面に生成し、これを
誘電体皮膜として利用している。ところで上記におい
て、陽極酸化により結晶性の酸化アルミニウムを形成す
る際に必然的に空孔欠陥が発生する。この空孔欠陥は、
水和処理により生成した水酸化アルミニウムが脱水する
際に起こる体積収縮により発生し、その内部には酸素ガ
スが封じ込められる。この空孔欠陥が誘電体皮膜に存在
すると、電解コンデンサとして使用したときに、空孔欠
陥が露出して皮膜の劣化をきたすので、通常は陽極酸化
処理後に熱処理・化学的処理・機械的処理を施して結晶
性の酸化アルミニウムの生成時に発生する皮膜内部及び
厚さ方向の空孔欠陥を露出させ、再度陽極酸化処理を施
して露出した空孔欠陥の修復を行なって空孔欠陥の少な
い誘電体皮膜を形成している。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかし、熱処理後の減
極処理において、１回の熱処理と再陽極酸化処理によ
り、空孔欠陥を充分に露出・修復することは困難であ
り、そのため一般的にはこれらの処理を複数回繰り返し
行なっている。しかしながら、上記した処理を何度繰り
返し行なっても、すべての空孔欠陥を露出・修復させる
ことは困難であると共に、製造設備の面や生産効率の面
などからも自から制約を受け、空孔欠陥を露出・修復す
る方策として必ずしも有効な手段ではなかった。そこで
本発明は、上記した空孔欠陥を軽度の減極処理により効
率的に露出・修復させて耐久性に優れた特に中高圧陽極
用に有効な電極箔の化成方法を提供することを目的とし
たものである。
極処理において、１回の熱処理と再陽極酸化処理によ
り、空孔欠陥を充分に露出・修復することは困難であ
り、そのため一般的にはこれらの処理を複数回繰り返し
行なっている。しかしながら、上記した処理を何度繰り
返し行なっても、すべての空孔欠陥を露出・修復させる
ことは困難であると共に、製造設備の面や生産効率の面
などからも自から制約を受け、空孔欠陥を露出・修復す
る方策として必ずしも有効な手段ではなかった。そこで
本発明は、上記した空孔欠陥を軽度の減極処理により効
率的に露出・修復させて耐久性に優れた特に中高圧陽極
用に有効な電極箔の化成方法を提供することを目的とし
たものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した目的
を達成するために、拡面処理を施した高純度のアルミニ
ウム箔を、純水中に浸漬して水和処理を行なう第一工程
と、直鎖ジカルボン酸を含む水溶液中で浸漬処理する第
二工程と、純水中に浸漬して水和処理を行なう第三工程
と、陽極酸化処理後に熱処理を含む減極処理工程とから
成ることを特徴としたものであり、好ましくは第一工程
及び第三工程における水和処理温度をそれぞれ摂氏７０
度以上とするものである。
を達成するために、拡面処理を施した高純度のアルミニ
ウム箔を、純水中に浸漬して水和処理を行なう第一工程
と、直鎖ジカルボン酸を含む水溶液中で浸漬処理する第
二工程と、純水中に浸漬して水和処理を行なう第三工程
と、陽極酸化処理後に熱処理を含む減極処理工程とから
成ることを特徴としたものであり、好ましくは第一工程
及び第三工程における水和処理温度をそれぞれ摂氏７０
度以上とするものである。
【０００５】
【作用】しかして、上記において、陽極酸化処理により
結晶性の酸化アルミニウムを形成させる際に発生した空
孔欠陥は、熱処理を含む減極処理工程において、空孔欠
陥内に封じ込められた酸素ガスが加熱されることにより
体積膨脹して、空孔欠陥の表層にある酸化物層を破壊し
て空孔欠陥が露出する。上記における体積膨脹は、高温
度ほど著しくなり、空孔欠陥の露出効果は大きくなる
が、下地の金属アルミニウムの融点を超えて高温度にす
ることはできないからその温度には自から限界がある。
しかるに本発明によれば、化成処理工程における水和処
理工程を二回に分けて、その間に直鎖ジカルボン酸水溶
液中に浸漬する処理を挿入したので、前段の水和処理に
よって生成した水和皮膜の表面に直鎖ジカルボン酸が吸
着し、後段の水和処理によってこの吸着層の表側に新た
な水和皮膜が生成する。すなわち、水和皮膜の中間部に
直鎖ジカルボン酸を含む水和皮膜が生じ、この水和皮膜
に陽極酸化処理を行なうことにより、中間部に直鎖ジカ
ルボン酸を含む結晶性酸化物が生成される。
結晶性の酸化アルミニウムを形成させる際に発生した空
孔欠陥は、熱処理を含む減極処理工程において、空孔欠
陥内に封じ込められた酸素ガスが加熱されることにより
体積膨脹して、空孔欠陥の表層にある酸化物層を破壊し
て空孔欠陥が露出する。上記における体積膨脹は、高温
度ほど著しくなり、空孔欠陥の露出効果は大きくなる
が、下地の金属アルミニウムの融点を超えて高温度にす
ることはできないからその温度には自から限界がある。
しかるに本発明によれば、化成処理工程における水和処
理工程を二回に分けて、その間に直鎖ジカルボン酸水溶
液中に浸漬する処理を挿入したので、前段の水和処理に
よって生成した水和皮膜の表面に直鎖ジカルボン酸が吸
着し、後段の水和処理によってこの吸着層の表側に新た
な水和皮膜が生成する。すなわち、水和皮膜の中間部に
直鎖ジカルボン酸を含む水和皮膜が生じ、この水和皮膜
に陽極酸化処理を行なうことにより、中間部に直鎖ジカ
ルボン酸を含む結晶性酸化物が生成される。
【０００６】次いでこの結晶性酸化物に熱処理を行なう
と、中間部に取り込まれた直鎖ジカルボン酸が熱分解し
て、主に二酸化炭素ガスを発生する。この熱分解は、直
鎖ジカルボン酸が結晶中に取り込まれている場合には起
こりにくく、空孔表面に存在する場合には起こり易く、
従って、熱処理により、空孔欠陥内の酸素ガスの膨脹と
同時に直鎖ジカルボン酸の分解反応による二酸化炭素ガ
スの発生により著しく効率的に空孔欠陥の露出を実現す
ることができる。
と、中間部に取り込まれた直鎖ジカルボン酸が熱分解し
て、主に二酸化炭素ガスを発生する。この熱分解は、直
鎖ジカルボン酸が結晶中に取り込まれている場合には起
こりにくく、空孔表面に存在する場合には起こり易く、
従って、熱処理により、空孔欠陥内の酸素ガスの膨脹と
同時に直鎖ジカルボン酸の分解反応による二酸化炭素ガ
スの発生により著しく効率的に空孔欠陥の露出を実現す
ることができる。
【０００７】特に本発明において、中間層に直鎖ジカル
ボン酸を含む酸化物を生成したのは、空孔欠陥の位置が
この部分に集中しているためであり、この部分において
熱分解と体積膨脹が発生しないとその効果が充分に発揮
できないこと、また、直鎖ジカルボン酸を含む水溶液に
浸漬処理することは、比較的低温で熱分解して二酸化炭
素となり、体積膨脹が著しい点と、陽極酸化工程で電気
化学的反応を妨害しない点から選択したものである。
ボン酸を含む酸化物を生成したのは、空孔欠陥の位置が
この部分に集中しているためであり、この部分において
熱分解と体積膨脹が発生しないとその効果が充分に発揮
できないこと、また、直鎖ジカルボン酸を含む水溶液に
浸漬処理することは、比較的低温で熱分解して二酸化炭
素となり、体積膨脹が著しい点と、陽極酸化工程で電気
化学的反応を妨害しない点から選択したものである。
【０００８】なお使用可能な直鎖ジカルボン酸として
は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸が好ましく、こ
のほかに、ピメリン酸、シベリン酸等の直鎖飽和ジカル
ボン酸が使用でき、またシトラコン酸、アコニット酸、
リンゴ酸、クエン酸等の直鎖不飽和ジカルボン酸も使用
することができる。
は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸が好ましく、こ
のほかに、ピメリン酸、シベリン酸等の直鎖飽和ジカル
ボン酸が使用でき、またシトラコン酸、アコニット酸、
リンゴ酸、クエン酸等の直鎖不飽和ジカルボン酸も使用
することができる。
【０００９】また使用可能な高純度アルミニウム箔とし
ては、通常使用される９９．９９％以上のものが好まし
いが、中高圧電解コンデンサ用に拡面処理できるもので
あれば、９９．９％以上のアルミニウム純度のものであ
っても、充分所期の目的を達成することが可能である。
ては、通常使用される９９．９９％以上のものが好まし
いが、中高圧電解コンデンサ用に拡面処理できるもので
あれば、９９．９％以上のアルミニウム純度のものであ
っても、充分所期の目的を達成することが可能である。
【００１０】
【実施の態様】以下本発明の実施例を比較例との関係に
おいて詳述する。 （実施例１）拡面処理を施した９９．９９％以上の高純
度アルミニウム箔を９５℃の純水中に５分間浸漬した
後、８５℃、５％のシュウ酸水溶液中に５分間浸漬処理
を施し、再度９５℃の純水中に５分間浸漬処理を施した
後、８５℃の７ｗｔ％ホウ酸水溶液中で２０ｍＡ／ｃｍ
2 の化成電圧４００Ｖの陽極酸化を行い、４００Ｖに上
昇した後、１５分間定電圧保持を行い、漏洩電流を減少
させた後５２０℃、５分間の熱処理を大気雰囲気下で行
い、再度同条件で陽極酸化を施し、この時の電気量と耐
電圧特性とを測定した。次いでこの化成箔を、純水中で
２時間沸騰煮沸して促進劣化試験を行なった後、耐電圧
特性を測定して促進劣化試験前の値と比較した。
おいて詳述する。 （実施例１）拡面処理を施した９９．９９％以上の高純
度アルミニウム箔を９５℃の純水中に５分間浸漬した
後、８５℃、５％のシュウ酸水溶液中に５分間浸漬処理
を施し、再度９５℃の純水中に５分間浸漬処理を施した
後、８５℃の７ｗｔ％ホウ酸水溶液中で２０ｍＡ／ｃｍ
2 の化成電圧４００Ｖの陽極酸化を行い、４００Ｖに上
昇した後、１５分間定電圧保持を行い、漏洩電流を減少
させた後５２０℃、５分間の熱処理を大気雰囲気下で行
い、再度同条件で陽極酸化を施し、この時の電気量と耐
電圧特性とを測定した。次いでこの化成箔を、純水中で
２時間沸騰煮沸して促進劣化試験を行なった後、耐電圧
特性を測定して促進劣化試験前の値と比較した。
【００１１】（実施例２）拡面処理を施した高純度アル
ミニウム箔を、９５℃の純水中に２分間浸漬した後、６
０℃、５％のコハク酸水溶液中に５分間浸漬処理を施
し、再度９５℃の純水中に５分間浸漬処理を行なった
後、８５℃の７ｗｔ％ホウ酸水溶液中で２０ｍＡ／ｃｍ
2 の化成電圧４００Ｖの陽極酸化を行い、４００Ｖに上
昇した後、１５分間定電圧保持を行い、漏洩電流を減少
させた後、５２０℃、５分間の熱処理を大気雰囲気下で
行い、再度同条件で陽極酸化を施し、この時の電気量と
耐電圧特性とを測定した。次いでこの化成箔を、純水中
で２時間沸騰煮沸して促進劣化試験を行なった後、耐電
圧特性を測定して促進劣化試験前の値と比較した。
ミニウム箔を、９５℃の純水中に２分間浸漬した後、６
０℃、５％のコハク酸水溶液中に５分間浸漬処理を施
し、再度９５℃の純水中に５分間浸漬処理を行なった
後、８５℃の７ｗｔ％ホウ酸水溶液中で２０ｍＡ／ｃｍ
2 の化成電圧４００Ｖの陽極酸化を行い、４００Ｖに上
昇した後、１５分間定電圧保持を行い、漏洩電流を減少
させた後、５２０℃、５分間の熱処理を大気雰囲気下で
行い、再度同条件で陽極酸化を施し、この時の電気量と
耐電圧特性とを測定した。次いでこの化成箔を、純水中
で２時間沸騰煮沸して促進劣化試験を行なった後、耐電
圧特性を測定して促進劣化試験前の値と比較した。
【００１２】（比較例１）比較例１は、実施例１におけ
る水和処理を１回のみとして「８５℃、５％のシュウ酸
水溶液中に５分間浸漬処理する工程」を省略した場合を
例示している。すなわち、拡面処理を施した高純度アル
ミニウム箔を、９５℃の純水中に１０分間浸漬した後、
８５℃の７ｗｔ％ホウ酸水溶液中で２０ｍＡ／ｃｍ2 の
化成電圧４００Ｖの陽極酸化を行い、４００Ｖに上昇し
た後、１５分間定電圧保持を行い、漏洩電流を減少させ
た後、５２０℃、５分間の熱処理を大気雰囲気下で行い
再度同条件で陽極酸化を施し、この時の電気量と耐電圧
特性とを測定した。次いでこの化成箔を純水中で２時間
沸騰煮沸して促進劣化試験を行なった後、耐電圧特性を
測定して促進劣化試験前の値と比較した。
る水和処理を１回のみとして「８５℃、５％のシュウ酸
水溶液中に５分間浸漬処理する工程」を省略した場合を
例示している。すなわち、拡面処理を施した高純度アル
ミニウム箔を、９５℃の純水中に１０分間浸漬した後、
８５℃の７ｗｔ％ホウ酸水溶液中で２０ｍＡ／ｃｍ2 の
化成電圧４００Ｖの陽極酸化を行い、４００Ｖに上昇し
た後、１５分間定電圧保持を行い、漏洩電流を減少させ
た後、５２０℃、５分間の熱処理を大気雰囲気下で行い
再度同条件で陽極酸化を施し、この時の電気量と耐電圧
特性とを測定した。次いでこの化成箔を純水中で２時間
沸騰煮沸して促進劣化試験を行なった後、耐電圧特性を
測定して促進劣化試験前の値と比較した。
【００１３】（比較例２）比較例２は、実施例１におけ
る後段の水和処理を省略した場合を例示している。すな
わち、拡面処理を施した高純度アルミニウム箔を９５℃
の純水中に１０分間浸漬した後、８５℃、５％のシュウ
酸水溶液中に５分間浸漬処理を施し、８５℃の７ｗｔ％
ホウ酸水溶液中で２０ｍＡ／ｃｍ2 の化成電圧４００Ｖ
の陽極酸化を行い、４００Ｖに上昇した後、１５分間定
電圧保持を行い、漏洩電流を減少させた後、５２０℃、
５分間の熱処理を大気雰囲気下で行い、再度同条件で陽
極酸化を施し、この時の電気量と耐電圧特性とを測定し
た。次いでこの化成箔を、純水中で２時間沸騰煮沸して
促進劣化試験を行なった後、耐電圧特性を測定して促進
劣化前の値と比較した。
る後段の水和処理を省略した場合を例示している。すな
わち、拡面処理を施した高純度アルミニウム箔を９５℃
の純水中に１０分間浸漬した後、８５℃、５％のシュウ
酸水溶液中に５分間浸漬処理を施し、８５℃の７ｗｔ％
ホウ酸水溶液中で２０ｍＡ／ｃｍ2 の化成電圧４００Ｖ
の陽極酸化を行い、４００Ｖに上昇した後、１５分間定
電圧保持を行い、漏洩電流を減少させた後、５２０℃、
５分間の熱処理を大気雰囲気下で行い、再度同条件で陽
極酸化を施し、この時の電気量と耐電圧特性とを測定し
た。次いでこの化成箔を、純水中で２時間沸騰煮沸して
促進劣化試験を行なった後、耐電圧特性を測定して促進
劣化前の値と比較した。
【００１４】（比較例３）比較例３は、実施例２におけ
る「６０℃、５％のコハク酸水溶液中に５分間浸漬処
理」する工程を、「８５℃、８％のホウ酸水溶液中に５
分間浸漬処理」する工程に代えた場合を例示している。
すなわち、拡面処理を施した高純度アルミニウム箔を、
９５℃の純水中に２分間浸漬した後、８５℃、８％のホ
ウ酸水溶液中に５分間浸漬処理を施し、再度９５℃の純
水中に５分間浸漬処理を行なった後、８５℃の７ｗｔ％
ホウ酸水溶液中で２０ｍＡ／ｃｍ2 の化成電圧４００Ｖ
の陽極酸化を行い、４００Ｖに上昇した後、１５分間定
電圧保持を行い、漏洩電流を減少させた後、５２０℃、
５分間の熱処理を大気雰囲気下で行い、再度同条件で陽
極酸化を施し、この時の電気量と耐電圧特性とを測定し
た。次いでこの化成箔を、純水中で２時間沸騰煮沸して
促進劣化試験を行なった後、耐電圧特性を測定して促進
劣化試験前の値と比較した。
る「６０℃、５％のコハク酸水溶液中に５分間浸漬処
理」する工程を、「８５℃、８％のホウ酸水溶液中に５
分間浸漬処理」する工程に代えた場合を例示している。
すなわち、拡面処理を施した高純度アルミニウム箔を、
９５℃の純水中に２分間浸漬した後、８５℃、８％のホ
ウ酸水溶液中に５分間浸漬処理を施し、再度９５℃の純
水中に５分間浸漬処理を行なった後、８５℃の７ｗｔ％
ホウ酸水溶液中で２０ｍＡ／ｃｍ2 の化成電圧４００Ｖ
の陽極酸化を行い、４００Ｖに上昇した後、１５分間定
電圧保持を行い、漏洩電流を減少させた後、５２０℃、
５分間の熱処理を大気雰囲気下で行い、再度同条件で陽
極酸化を施し、この時の電気量と耐電圧特性とを測定し
た。次いでこの化成箔を、純水中で２時間沸騰煮沸して
促進劣化試験を行なった後、耐電圧特性を測定して促進
劣化試験前の値と比較した。
【００１５】その結果を表１で示す。
【表１】
【００１６】以上の結果から明らかなように、いずれの
実施例においても、再陽極酸化を施した時の電気量は、
比較例１乃至３のいずれと比較しても極めて大きく、こ
のことから熱処理による空孔欠陥の露出効果が顕著であ
ることが理解できる。また純水中での２時間の沸騰煮沸
による促進劣化試験後においても、耐電圧特性の低下は
全く見られなかった。また直鎖ジカルボン酸であるシュ
ウ酸水溶液で浸漬処理を行なっても、後段の水和処理を
行なわない比較例２の場合にはその効果は小さく、さら
にまた熱分解しないホウ酸水溶液処理を、前後に区分し
た水和処理の中間に挿入した比較例３の場合も全く効果
が得られなかった。
実施例においても、再陽極酸化を施した時の電気量は、
比較例１乃至３のいずれと比較しても極めて大きく、こ
のことから熱処理による空孔欠陥の露出効果が顕著であ
ることが理解できる。また純水中での２時間の沸騰煮沸
による促進劣化試験後においても、耐電圧特性の低下は
全く見られなかった。また直鎖ジカルボン酸であるシュ
ウ酸水溶液で浸漬処理を行なっても、後段の水和処理を
行なわない比較例２の場合にはその効果は小さく、さら
にまた熱分解しないホウ酸水溶液処理を、前後に区分し
た水和処理の中間に挿入した比較例３の場合も全く効果
が得られなかった。
【００１７】なお上記した実施例１及び２における処理
温度、処理時間及び液濃度は、当該使用した直鎖ジカル
ボン酸においてそれぞれ最も好ましい条件であり、これ
らの条件は、直鎖ジカルボン酸の種類によって異なる。
また水和処理の温度として、第一工程及び第三工程にお
いて７０℃以下で行なった場合には、水和物の生成に時
間を要し、作業性を欠く。従って水和処理の温度として
第一工程においても、また第三工程にいても少なくとも
７０℃以上が好ましい。また陽極酸化処理における電流
密度と化成電圧及び空孔欠陥を露出処理するための５２
０℃、５分間の熱処理条件は、いずれも従来から実施さ
れている公知の条件を適用したものである。
温度、処理時間及び液濃度は、当該使用した直鎖ジカル
ボン酸においてそれぞれ最も好ましい条件であり、これ
らの条件は、直鎖ジカルボン酸の種類によって異なる。
また水和処理の温度として、第一工程及び第三工程にお
いて７０℃以下で行なった場合には、水和物の生成に時
間を要し、作業性を欠く。従って水和処理の温度として
第一工程においても、また第三工程にいても少なくとも
７０℃以上が好ましい。また陽極酸化処理における電流
密度と化成電圧及び空孔欠陥を露出処理するための５２
０℃、５分間の熱処理条件は、いずれも従来から実施さ
れている公知の条件を適用したものである。
【００１８】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば前後の水
和処理工程の中間に、直鎖ジカルボン酸水溶液による浸
漬処理工程を挿入したので、熱処理による減極工程にお
いて、空孔欠陥の露出を著しく促進し、かつその空孔欠
陥の露出は、再陽極酸化処理によって修復されて、残存
する空孔欠陥を著しく低減することができて耐久性に優
れ、かつ、再陽極酸化時の電気量も著しく向上する中高
圧用のアルミニウム電極箔を提供することができる。
和処理工程の中間に、直鎖ジカルボン酸水溶液による浸
漬処理工程を挿入したので、熱処理による減極工程にお
いて、空孔欠陥の露出を著しく促進し、かつその空孔欠
陥の露出は、再陽極酸化処理によって修復されて、残存
する空孔欠陥を著しく低減することができて耐久性に優
れ、かつ、再陽極酸化時の電気量も著しく向上する中高
圧用のアルミニウム電極箔を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梶山 隆 静岡県庵原郡蒲原町蒲原１丁目34番１号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内
Claims (2)
- 【請求項１】 拡面処理を施した高純度のアルミニウム
箔を、純水中に浸漬して水和処理を行なう第一工程と、
直鎖ジカルボン酸を含む水溶液中で浸漬処理する第二工
程と、純水中に浸漬して水和処理を行なう第三工程と、
陽極酸化処理後に熱処理を含む減極処理工程とから成る
ことを特徴とした中高圧アルミニウム電解コンデンサ用
電極箔の化成方法。 - 【請求項２】 第一工程及び第三工程における水和処理
温度をそれぞれ摂氏７０度以上とした請求項１記載の中
高圧アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の化成方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10207096A JP3309176B2 (ja) | 1996-04-02 | 1996-04-02 | 中高圧アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の化成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10207096A JP3309176B2 (ja) | 1996-04-02 | 1996-04-02 | 中高圧アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の化成方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09275040A true JPH09275040A (ja) | 1997-10-21 |
| JP3309176B2 JP3309176B2 (ja) | 2002-07-29 |
Family
ID=14317514
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10207096A Expired - Fee Related JP3309176B2 (ja) | 1996-04-02 | 1996-04-02 | 中高圧アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の化成方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
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