JPH09250027A - 改良されたアクリル系複合繊維 - Google Patents
改良されたアクリル系複合繊維Info
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- JPH09250027A JPH09250027A JP8333996A JP8333996A JPH09250027A JP H09250027 A JPH09250027 A JP H09250027A JP 8333996 A JP8333996 A JP 8333996A JP 8333996 A JP8333996 A JP 8333996A JP H09250027 A JPH09250027 A JP H09250027A
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Abstract
クなアクリル系複合繊維を提供する。 【構成】 高低両熱収縮性成分から成る複合繊維であっ
て、高熱収縮性成分中のスルホン酸基がある特定の範囲
であり、且つもう一方の低熱収縮性成分中の塩基性基
が、ある特定の範囲である水可逆性と熱収縮差による捲
縮発現性を併せ持ったアクリル系複合繊維。 【効果】 天然ウ−ルに近い自然な風合いで、しかも実
用染色での染色加工性に優れ、染色後も変わらぬ風合い
を有する高品位な繊維製品が得られる。さらに、繊維製
品の用途、目的に合わせ風合いの異なる複合繊維を自在
に設計できる。
Description
且つ染色加工後も捲縮の発現性が低下しないことを特徴
とする、天然ウールライクな風合いを有するアクリロニ
トリル系複合繊維に関するものである。
の優れた捲縮特性、嵩高性、発色性などから衣料用もし
くはカーペットなどの繊維素材として工業的に生産され
ている。 その製造方法の一つとして、該繊維を構成す
る複合成分としてスルホン酸基(水可逆性成分)の含有
量を異にする少なくとも2種のアクリロニトリル共重合
体を溶解せしめた原液を複合紡糸口金に導いて、複合成
分を接合せしめたサイドバイサイド型アクリロニトリル
系複合繊維を製造する技術が知られている。(たとえば
特公昭57−35288号公報) 尚、本発明で水可逆性とは水膨潤による伸びと乾燥によ
る収縮が繰り返し起こる性質をいう。
性成分が繊維の全長にわたって均一に層状をなして配列
されているために、捲縮が均一であり、捲縮が繊維軸方
向に自然に変化している天然ウールの風合いと異なり硬
い。また、水可逆性捲縮を示すアクリロニトリル系繊維
はそのスルホン酸基のために、水可逆性が大きくなるに
したがい染色速度が速くなり、実用染色で染色むらが起
こり易く、アクリロニトリル系繊維の特徴である良好な
発色性を有する繊維製品が得られない。
逆性成分であるスルホン酸基の含有量を繊維軸方向に変
化させる事によって、より天然ウールに近い風合いを得
るとともに、染色加工性を併せ改良しようとする技術を
既に提案している。(特開平7−216654号公報)
る改良効果、すなわち、風合いや染色加工性が改良され
た高品位のアクリロニトリル系複合繊維が得られるもの
の、水可逆性成分であり且つ染着座席ともなるスルホン
酸基が、一般的に用いられるカチオン染料で染色される
ことにより封鎖され、水可逆性捲縮能が低下するという
問題が避けられない。又、濃色に染めるに従い封鎖され
るスルホン酸基の量が増加し、水可逆性捲縮能はさらに
低下し、目的とする捲縮特性、嵩高性が得られなくなる
という欠点も明らかに成ってきた。
全てが染色された物であり、従来の技術で作られた繊維
製品は嵩高風合いの低下が避けられない。さらに、同一
の繊維構造物でも個体毎の色調に濃色から淡色までバラ
イティ−を持たせたり、繊維製品一個体の中でも濃色部
や淡色部を混在させ付加価値を高めようとしている。こ
のような市場の要望に対して、従来の技術では、糸染や
ピ−ス染を行った場合には、色調が濃色であるか、淡色
であるか、によって出来上がった繊維製品の風合いが異
なっていたりする。また、色調によって乾燥セット、タ
ンブラ−加工等の後工程処理条件を一々調整しなければ
ならない煩雑さを伴うという欠点が明らかに成ってき
た。
き従来技術に付随する欠点を改善すべく研究を繰り返し
た結果本発明に至ったものである。すなわち本発明の目
的とするところは、濃色に染色された繊維製品において
も水可逆性に基づく優れた捲縮特性を有し、天然ウ−ル
ライクな風合いと染色加工性に優れたアクリロニトリル
系複合繊維を提供することである。また、色調の濃淡に
かかわらず、所定の風合いの製品が得られ、さらに染色
後工程の処理も容易である繊維製品を提供するものであ
る。
アクリロニトリル系重合体成分中のアクリロニトリルモ
ノマー量の差が1から6重量%である2種の高低両熱収
縮性アクリロニトリル系重合体成分を繊維軸方向にサイ
ドバイサイドに接合してなる複合繊維において、該複合
繊維を構成する2成分のうち、アクリロニトリルモノマ
ー量の多い低熱収縮性成分は、塩基性基含有モノマ−を
共重合してなるアクリロニトリル系重合体からなり、他
方アクリロニトリルモノマー量の少ない高熱収縮性成分
は、スルホン酸基含有モノマ−を共重合してなるアクリ
ロニトリル系重合体又は、該重合体とスルホン酸基を多
量に含有する第3の重合体との混合アクリロニトリル系
重合体からなり、さらに好ましくは高熱収縮性成分中の
繊維軸方向全スルホン酸基の量が0.24〜2重量%で
あることを特徴とする改良されたアクリル系複合繊維に
よって達成される。
スルホン酸基の量が数3及び数4を満足する範囲で繊維
軸方向に50〜600mmの周期で変化していることを
特徴とする改良されたアクリル系複合繊維によってより
良く達成される。
リロニトリル成分が90重量%以上であることを特徴と
する改良されたアクリル系複合繊維によってさらに高レ
ベルで達成される。
発明は、アクリロニトリル系複合繊維中の2成分間のア
クリロニトリルモノマー量の差が1から6重量%である
ものを前提とする。すなわち両成分中のアクリロニトリ
ルモノマーの共重合割合の差が1重量%未満では、熱感
性すなわちアクリロニトリル含有量の差に基づく熱収縮
性差による捲縮発現が小さく、目的とする複合繊維を得
る事が出来ない。一方、6重量%を超えると熱収縮性差
による捲縮が大きくなりすぎて、本発明の技術をもって
しても目的とする天然ウールに近い風合のアクリロニト
リル系複合繊維を得ることが出来ない。
重合体は一般に良く知られた水系懸濁重合などによって
得られ、第二成分モノマーとしはアクリル酸メチルエス
テル、酢酸ビニール、メタクリル酸などが例示される。
また本発明はこれら高低両熱収縮性アクリロニトリル系
重合体成分が、サイドバイサイドに接合している複合繊
維である。両成分の量は高熱収縮性アクリロニトリル系
重合体成分が20〜80重量%で低熱収縮性アクリロニ
トリル系重合体成分が80〜20重量%のものである。
成分のうち、アクリロニトリルモノマ−量の多い低熱収
縮性成分は、第三成分モノマーとして化1(一般式
(I))および/または化2(一般式(II))で示さ
れる塩基性基含有モノマ−を0.5重量%ないし7重量
%、望ましくは1重量%ないし7重量%を含有するアク
リロニトリル系重合体から成る必要がある。ここにおい
て該重合体中の化1(一般式(I))および/または化
2(一般式(II))で示される塩基性基含有モノマ−
が0.5重量%に満たない量しか含有しない繊維におい
ては、実用上アニオン染料可染といえるのに必要なレベ
ルの染色性が得られず、また7重量%を越える量を含有
することは繊維の物理的性質や、化学的性質を悪くする
だけでなんら利益がない。尚、かかる塩基性基含有モノ
マ−としては、ジメチルアミノエチルアクリレ−ト、ジ
エチルアミノエチルメタアクリレ−ト、ジエチルアミノ
プロピルメタアクリレ−ト、ジメチルアミノブチルアク
リレ−ト等の化1(一般式(I))で示されるアミノ基
を有するアクリル酸エステル、またはメタアクリル酸エ
ステル類や、メタアクリロイルオキシエチルトリメチル
アンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルト
リメチルアンモニウムニトライド等の化2(一般式(I
I))で示される4級アンモニウム基を有するアクリル
酸エステル、またはメタアクリル酸エステル類である。
アクリロニトリルモノマ−量の少ない高熱収縮性成分
は、第三成分モノマーとしてメタアリルスルホン酸、ア
リルスルホン酸、スチレンパラスルホン酸あるいはビニ
ルスルホン酸、およびこれらの塩を共重合せしめたアク
リロニトリル系重合体、または該第三成分モノマーを多
量に含有する第3の重合体と該アクリロニトリル系重合
体との混合体成分であり、該高熱収縮性成分中の繊維軸
方向の全スルホン酸基の量が0.24〜2重量%の範囲
で目的が効果的に達成される。
の全スルホン酸基の量とは、該複合繊維を高低両熱収縮
性成分に2分割したときに、その高熱収縮性成分中に含
有されるスルホン酸基の量であり、アクリロニトリル系
共重合体のスルホン酸基、またはアクリロニトリル系重
合体のスルホン酸基の量に第3の重合体のスルホン酸基
の量を加えたスルホン酸基の量の合計を言う。
ン酸基の量が0.24重量%未満である場合、水感性捲
縮すなわち水可逆性に基づく捲縮発現能が低下し、ボリ
ューム感のある風合いを有する繊維製品が得にくくな
り、一度ヘタリ現象を生じるとその回復が著しく困難に
なる問題を生じるため、複合繊維として商品価値を与え
るものとはならない。
スルホン酸基の量が2重量%を越える量を含有すること
は、繊維の水膨潤性が増大し、染浴中では著しく伸び、
乾燥後には著しく収縮し、実用染色加工を困難にするば
かりでなく、繊維の物理的性質や、化学的性質を悪くす
るだけでなんら利益がない。
合繊維は、該繊維を構成する高熱収縮性成分中のスルホ
ン酸基の量を繊維軸方向に数3および数4を満足する範
囲で、かつ繊維軸方向に50〜600mmの周期で変化
させることによって、より良く目的を達成することが出
来る。該高熱収縮性成分中のスルホン酸基の量を繊維軸
方向に変化させることは、高スルホン酸基含有部分の繊
維の高捲縮性能が、バルキーヤーン中に少量の高収縮綿
を混在せしめたときと同じ作用によって、複合繊維全体
の嵩高性、ボリューム感を与えるために、同一量のスル
ホン酸基を均一に層状に配列してなる複合繊維に比べ繊
維製品は高嵩高性、高ボリュ−ム感を示す。
感レベルを同一にしようとした場合、スルホン酸基を均
一に層状に配列してなる複合繊維に比べ全スルホン酸基
の量を低くすることが可能となり、実用染色加工を容易
ならしめるとともに、無駄なスルホン酸基を含有せしめ
ることなく、得られる繊維の物理的性質や、化学的性質
の悪化が低減される。一方、天然ウールのソフトでボリ
ューム感の有る風合いは、捲縮が繊維軸方向にゆるやか
に分布していることによると考えられているが、本願発
明ではこれを次に述べる手段によって実現している。
高熱収縮性成分中のスルホン酸基の量を繊維軸方向に数
3および数4によって規定する範囲で、50〜600m
mの周期をもって変化させることによって本発明の目的
をより良く達成している。さらに本発明によって作られ
る該複合繊維の特徴はこの変化の程度を調整することに
より繊維製品の用途、目的に合わせ風合いの異なる複合
繊維を自在に設計出来ることにある。
方向スルホン酸基変化の1周期内でのスルホン酸基の量
の極大値/極小値(Bmax/Bmin )の比が2以上で、よ
り天然ウ−ルに近いソフトでボリューム感の有る風合い
となるが、スルホン酸基の量の極大値(Bmax )が2.
4重量%越える場合、捲縮数が高く成りすぎ風合いが極
めて硬くなり、目的とする繊維製品が得られないばかり
か、アクリロニトリル系繊維としての外観の品位を著し
く損ねる。一方、極小値(Bmin )が0.24重量%未
満では乾燥時の捲縮発現は低く、水感性に基づく複合繊
維としての嵩高性が得られない。
量が繊維軸方向に50〜600mm、好ましくは50〜
400mmの周期で変化している必要がある。該周期が
下限を下回る場合では、工業的には生産性が極めて悪く
採用しがたく、一方かかる範囲の上限を越える場合にお
いては、スルホン酸基を均一に層状に配列してなる複合
繊維との差異が小さくなり、前述した効果が減少する。
性成分中の全スルホン酸基の量が繊維軸方向に変化して
なるアクリロニトリル系複合繊維を湿式紡糸法を用いて
製造する場合において、無機系溶剤を用いるときは、一
般に良く知られた水系縣濁重合法を用いて、塩基性基含
有モノマ−を共重合してなる低熱収縮性アクリロニトリ
ル系重合体(Ap )とスルホン酸基含有モノマ−を共重
合してなる高熱収縮性アクリロニトリル系重合体(Bp
)を各々溶解し、原液を作成する(低熱収縮性アクリ
ロニトリル系重合体原液(Ad )、高熱収縮性アクリロ
ニトリル系重合体原液(Bd )とする)。
含有する第3の重合体を紡糸送り配管の途中で、定量ポ
ンプの回転数を変えることにより添加量を経時的に変化
させながらBd に加え、連続的に混合溶解しながら、も
う一方の成分であるAd とともに複合紡糸口金に導き凝
固浴に押しだし、ついで水洗、延伸、緻密化乾燥、湿熱
処理、油剤処理、捲縮処理等を施し、最終繊維に作成さ
れる。尚、添加量を経時的に変化させる方法としては連
続的変化させる方法や、段階的に変化させる方法があ
る。
てはこれによって制約されるものではないが、例えばア
クリロニトリル/アクリル酸メチルエステル/スチレン
パラスルホン酸ソ−ダ単量体からなりアンモニュムパ−
サルファイト/ピロ亜硫酸ソ−ダのレドックス系触媒に
て通常の水系連続重合で得られるラテックス等である。
リロニトリル系複合繊維を構成する低熱収縮性成分中の
アクリロニトリル成分が90%重量%以上であることに
よって、さらに高レベルにより良く目的を達成すること
が出来る。すなわち、アクリロニトリル系繊維において
は、アクリロニトリル成分が高い程、熱水中、湿潤時の
ヤング率が高くなり、繊維製品の寸法安定性が向上す
る。従って低熱収縮性成分中のアクリロニトリル成分が
90%重量%未満である場合染色加工時および洗濯時の
寸法安定性が劣り、より高レベルでの高品位なアクリロ
ニトリル繊維製品が得られない。
が、実施例中、水感率、捲縮特性、染着度他の特性は次
の測定法により求めた値である。また実施例中で使用す
る用語の略号を以下に示す。 (1)水感率(%) L1 :原綿を約300dに相当する本数だけ引き揃え荷
重11mg/dを加え、原長を測定した長さ。 LW :同試料を水中フリーな状態で15分間沸騰させ、
除冷(20℃以下)後、水分を濾紙で取り去り、荷重1
1mg/dを加え、長さを測定した長さ。 LD :次いで、同試料をフリーな状態で80℃で30分
乾燥させ、除冷(室温)後、荷重11mg/dを加え、
長さを測定した長さ。
の評価項目の特性が、下記であることを示す。 (4)編地風合い 試料:5Gx2P天竺の編地 測定:触感判定 ◎:天然ウールに極めて近い良好なボリュ−ムとソフト
風合いを有する。 ○:良好なボリュ−ムとソフト風合いを有する。 △:ボリュ−ムがやや劣り、やや硬い風合いを有する。 ×:ボリュ−ムが劣り、風合いが硬い。
定 ○:原綿と処理後の白色度差がグレ−スケ−ル3.5級
以上 △:原綿と処理後の白色度差がグレ−スケ−ル2.5級
以上〜3.5級未満 ×:原綿と処理後の白色度差がグレ−スケ−ル2.5級
未満 (6)染色加工性 試料:メ−トル番手20番双糸 綛 測定:染色後の綛形状を視感判定 ○:綣縮発現むらが少なく良好で実用染色で問題ない。 △:綣縮発現むらがやや大きいが実用染色可能。 ×:綣縮発現むらが大きく実用染色不可。 綛染処方: C法:染料 Suminol Fast Cyanine Green G 3.0%owf D法:染料 Cath Blue GL H200 2.5%owf 浴比:1/100 昇温カ−ブ:60℃から20分間かけて100℃に昇温
し、45分間保持した後、徐冷した後綛を取り出す。
重合体 Bp :スルホン酸基含有モノマ−を含有する高熱収縮
性共重合体 Cp :極性モノマ−を含有しない低熱収縮性共重合体 Ad :低熱収縮性共重合体(Ap)の原液 Bd :高熱収縮性共重合体(Bp)の原液 Cd :低熱収縮性共重合体(Cp)の原液 L :スルホン酸基を多量に含有する第3の重合体 BI :高熱収縮性共重合体原液(Bd)にスルホン酸
を多量に含有する第3の重合体(L)を加えた原液
ニトリルとアクリル酸メチルエステルの合量が98重量
%で、その比率が表1に示す範囲であり、且つメタアリ
ルスルホン酸ソ−ダが2重量%(スルホン酸量として1
重量%)である[η]=1.5の共重合体を用いた。ま
た低熱収縮性成分であるAp 成分はアクリロニトリル9
3重量%、酢酸ビニル4重量%とジメチルアミノエチル
メタアクリレ−ト3重量%を含有する[η]=1.5の
共重合体を用いた。Ap 、Bp 両共重合体をそれぞれロ
ダンソーダ48%水溶液に溶解し、共重合体濃度が11
重量%となるよう紡糸原液(Ad,Bd)を準備した。
装置にAp /Bp 成分比が1/1となるように原液(A
d/Bd)をそれぞれ複合紡糸装置に導いた。ついで複
合紡糸装置に導いたAd/Bd原液は0℃、10%ロダ
ンソーダ水溶液中に湿式紡糸し、得られた湿潤フィラメ
ントは沸水中で10倍延伸後、115℃の熱風中で乾燥
する。得られた繊維を110℃の加圧水蒸気中で熱処理
を行い5dの複合繊維を作成した。試料作成条件の詳細
を表1に示す。かくして得られた繊維をこの後常法に従
って紡績し、メートル番手20番手双糸の紡績糸に作成
し、綛染後さらに5ゲージ2プライで天竺の編地に形成
した。かくして得られた複合繊維原綿と編地は表2に示
すごとき特性であった。
料No2〜4対比、高低熱収縮性2成分のアクリロニト
リル含有量の差が1重量%未満である試料No1は熱感
性綣縮が低い。一方、アクリロニトリル含有量の差が7
重量%である試料No5は熱感性綣縮が高過ぎ風合いが
硬く、水可逆性綣縮の付与によっても本発明の目的であ
る天然ウ−ルライクなソフトでバルキ−感のある繊維製
品が得られないことが容易に理解される。
ニトリル88重量%、アクリル酸メチルエステル10重
量%とメタアリルスルホン酸ソ−ダ2重量%、(スルホ
ン酸量として1重量%)を含有する[η]=1.5の共
重合体を用いた。また低熱収縮性成分であるAp 成分は
アクリロニトリル90重量%、酢酸ビニルとジメチルア
ミノエチルメタアクリレ−トの合量が10重量%で、そ
の比率が表3、表4に示す範囲であり、[η]=1.5
の共重合体を用いた。Ap 、Bp 両共重合体をそれぞれ
を実施例1と同じ方法で溶解し、紡糸原液(Ad,B
d)を準備した。
繊維を作成した。試料作成の詳細を表3、4に示す。か
くして得られた繊維をこの後常法に従って紡績し、メー
トル番手20番手双糸の紡績糸に作成し、綛染後さらに
5ゲージ2プライで天竺の編地に形成した。かくして得
られた複合繊維原綿と編地は表5、表6に示すごとき特
性であった。
縮性成分中のジメチルアミノエチルアクリレ−トの含有
量に係わりなく、綣縮発現性は良好で得られる繊維製品
はソフトでバルキ−感に優れているが、本発明品である
試料No7〜11に対し、ジメチルアミノエチルアクリ
レ−トの含有量が、0.5重量%未満である試料No6
はアニオン染料における染着度が低く、アクリル繊維の
特徴である良好な染色特性が得られない。一方、ジメチ
ルアミノエチルアクリレ−トの含有量が7重量%を越え
る試料No12は、ジメチルアミノエチルアクリレ−ト
を多量に含有することによって、耐熱白度安定性が著し
く劣り、アクリル繊維としての品位を低下させているこ
とが、理解される。
メチルエステル10重量%を含有する[η]=1.5の
共重合体(Cp)を準備し,実施例2で用いたBpとC
p両共重合体をそれぞれを実施例1と同じ方法で溶解
し、紡糸原液(Bd,Cd)を準備した。
合繊維を作成した。試料作成の詳細を表7に示す。かく
して得られた繊維をこの後常法に従って紡績し、メート
ル番手20番手双糸の紡績糸に作成し、5ゲージ2プラ
イで天竺の編地に形成した。ついで、それぞれの染色処
方で実施例2の試料No9とともに綛染を行った。得ら
れた複合繊維原綿と編地は表8に示すごとき特性であっ
た。
て作られた、試料No13、14は、当然のことながら
アニオン染料では染色出来ず、カチオン染料で染色する
と染着座席であるスルホン酸基が、染料によって封鎖さ
れ水可逆性が低下し、染色後水感率が著しく低下すると
共に染色速度が著しく速く、均一な染色性が得られない
ことが理解される。一方、アニオン染料で染色された本
発明からなる実施例2の試料No9と実施例4の試料N
o18は、染色後水感率がほとんど低下せず、目的とす
る良好な風合いが得られていることが容易に理解され
る。
ニトリル88重量%、アクリル酸メチルエステルとメタ
アリルスルホン酸ソ−ダの合量が12重量%で、且つ表
9に示すスルホン酸量を含有する[η]=1.5の共重
合体を用いた。また低熱収縮性成分であるAp 成分は実
施例2と同じ共重合体を用いた。Ap 、Bp 両共重合体
をそれぞれを実施例1と同じ方法で溶解し、紡糸原液
(Ad,Bd)を準備した。
繊維を作成した。試料作成の詳細を表9にしめす。かく
して得られた繊維をこの後常法に従って紡績し、メート
ル番手20番手双糸の紡績糸に作成し、綛染後さらに5
ゲージ2プライで天竺の編地に形成した。かくして得ら
れた複合繊維原綿と編地は表10に示すごとき特性であ
った。
中のスルホン酸基の量が増加するに従い、水感率は増大
し綣縮発現性は向上する。本発明になる試料No9、1
6〜18に対し、高熱収縮性成分中のスルホン酸基の量
が0.24重量%未満である試料No15は水可逆性に
基づく綣縮発現が低く、ボリュ−ム感のある繊維製品が
得られない。一方、スルホン酸基の量が2重量%を越え
ている試料No19は、水可逆性に基づく綣縮発現が高
過ぎ、風合いが硬くなるばかりでなく、スルホン酸基を
多量に含有するために耐熱白度安定性も劣り、繊維製品
としての品位を損なうことが明白である。
ニトリル88重量%、アクリル酸メチルエステル11.
7重量%とメタアリルスルホン酸ソ−ダ0.3重量%、
(スルホン酸量として0.15重量%)を含有する
[η]=1.5の共重合体を用いた。また低熱収縮性成
分であるAp 成分は実施例2と同じ共重合体を用い、A
p 、Bp 両共重合体をそれぞれを実施例1と同じ方法で
溶解し、紡糸原液(Ad,Bd)を準備した。
リル酸メチルエステル20重量%、スルホン酸基含有モ
ノマーとしてスチレンスルホン酸ソーダ30重量%をア
ンモニュームパーサルファイト/ピロ亜硫酸ソーダのレ
ドックス系触媒で連続重合してスルホン酸基を11.2
重量%含有し、乾燥固形分が19重量%である半透明ラ
テックス(L)を準備した。
装置にAp /Bp 成分比が1/1となるように原液(A
d)はそのまま複合紡糸装置に導いた。一方、原液(B
d)を紡糸送り配管に組み込んだ高速攪拌が出来るイン
ラインミキサーに送り、別に準備したラテックス(L)
も前記のインラインミキサーに送り込み、スルホン酸基
の量、Bmax./Bmin.比とBmax.〜Bmin.の周期が表1
1、12に示す量になるようにBd中に添加、混合、溶
解して、混合原液(BI)を連続的に作成し、複合紡糸
装置に導いた。ここで、ラテックス (L)をインライ
ンミキサーに送り込む方法としては定量性に優れたギヤ
ポンプを用いた。
液は実施例1と同じ方法で湿式紡糸、乾燥、熱処理を行
い5dの複合繊維を作成した。試料作成の詳細を表1
1、12に示す。かくして得られた繊維をこの後常法に
従って紡績し、メートル番手20番手双糸の紡績糸に作
成し、綛染後さらに5ゲージ2プライで天竺の編地に形
成した。かくして得られた複合繊維原綿と編地は表1
3、14に示すごとき特性であった。
分中のスルホン酸基の量を繊維軸方向に変化させること
により、より良く天然ウ−ルライクな風合いが得られて
いる本発明品の試料No21、No23、No24に対
し、スルホン酸基の極小値が0.24重量%未満である
試料No20では、綣縮発現性が低下し、繊維製品のバ
ルキ−風合いがやや不足する。また、スルホン酸基の量
の極大値/極小値の比が2未満である試料No22で
は、繊維軸方向における綣縮発現性の変化が小さく、よ
り高度に本発明の目的が達成されない。さらに、スルホ
ン酸基の量の極大値が2.4を越えている試料No25
は、綣縮発現性が高くなるとともに耐熱白度安定性も低
下し、より高度に本発明の目的が達成されないことが理
解される。一方、表12、表14の記載から、スルホン
酸基変化の1周期が長くなるに従い捲縮変動率が小さく
なりボリューム感、ソフト性が低下し、周期長さが70
0mmである試料No29では、綣縮発現性の変化が小
さく、ボリュ−ム感、ソフト性がやや劣り、より高度に
本発明の目的が達成されないことが理解される。また、
生産性を無視すれば周期長さが40mmの試料を作成す
る事も可能であるが、コストパホ−マンスから工業的に
は採用出来ない。
ニトリルとアクリル酸メチルエステルの合量が98重量
%で、その比率が表15に示す範囲であり、メタアリル
スルホン酸ソ−ダ2重量%、(スルホン酸量として1重
量%)を含有する[η]=1.5の共重合体を用いた。
また低熱収縮性成分であるAp 成分はアクリロニトリル
と酢酸ビニルの合量が97重量%で、その比率が表15
に示す範囲であり、ジメチルアミノエチルメタアクリレ
−ト3重量%を含有する[η]=1.5の共重合体を用
いた。Ap 、Bp 両共重合体をそれぞれを実施例1と同
じ方法で溶解し、紡糸原液(Ad,Bd)を準備した。
繊維を作成した。試料作成の詳細を表15に示す。かく
して得られた繊維をこの後常法に従って紡績し、メート
ル番手20番手双糸の紡績糸に作成し、綛染後さらに5
ゲージ2プライで天竺の編地に形成した。かくして得ら
れた複合繊維原綿と編地は表16に示すごとき特性であ
った。
分中のアクリロニトリル含有量が90重量%以上であ
る、本発明の試料No9、31、32に対し、アクリロ
ニトリル含有量が90重量%未満である試料No30で
は、染浴中での伸びが大きく、糸むらを生じ、得られる
繊維製品の外観品位が劣ることが理解される。
範囲でスルホン酸基を含有し、もう一方の成分である低
熱収縮性成分が、ある特定の範囲で塩基性基を含有して
いる複合繊維であって、そのアクリロニトリル含有量に
基づく熱収縮性差とスルホン酸基からもたらされる水可
逆性の綣縮によって天然ウ−ルライクな風合いの複合繊
維が得られることである。本発明による特筆すべき最大
の効果は、低熱収縮性成分に導入した塩基性基を染着座
席としてアニオン染料で染色することによって、良好な
染色性が得られると共に、染色後においても水可逆性綣
縮が低下せず、濃、中、淡色いずれの色調に染色した場
合でも、バルキ−感があり、ソフトな風合いを有する繊
維製品が得られることである。また、染色後工程で特別
な調整を要せずに高品位な外観を有する繊維製品が得ら
れることである。
量を繊維軸方向にある特定の範囲で周期的に変化させ、
繊維軸方向に緩やかな、調和の取れた捲縮変動を与える
ことによって、よりバルキ−感があり、ソフトな風合い
が得られる。さらには、高熱収縮性成分中のスルホン酸
基の量を繊維軸方向に周期的に変化させる程度を調整す
ることにより、繊維製品の用途、目的に合わせ風合いの
異なる複合繊維を自在に設計出来るというメリットを生
じることも、本発明の特筆すべき効果の一つである。
Claims (4)
- 【請求項1】アクリロニトリル系重合体成分中のアクリ
ロニトリルモノマー量の差が1から6重量%である2種
の高低両熱収縮性アクリロニトリル系重合体成分を繊維
軸方向にサイドバイサイドに接合してなる複合繊維にお
いて、該複合繊維を構成する2成分のうち、アクリロニ
トリルモノマー量の多い低熱収縮性成分は、塩基性基含
有モノマ−を共重合してなるアクリロニトリル系重合体
からなり、他方アクリロニトリルモノマー量の少ない高
熱収縮性成分は、スルホン酸基含有モノマ−を共重合し
てなるアクリロニトリル系重合体又は、該重合体とスル
ホン酸基を多量に含有する第3の重合体との混合アクリ
ロニトリル系重合体からなる事を特徴とする改良された
アクリル系複合繊維。 - 【請求項2】高熱収縮性成分中の繊維軸方向全スルホン
酸基の量が0.24〜2重量%であることを特徴とする
請求項1記載の改良されたアクリル系複合繊維。 - 【請求項3】高熱収縮性成分中の繊維軸方向のスルホン
酸基の量が数1および数2を満足する範囲で繊維軸方向
に50〜600mmの周期で変化していることを特徴と
する請求項1又は2記載の改良されたアクリル系複合繊
維。 【数1】 【数2】 - 【請求項4】低熱収縮性成分中のアクリロニトリル成分
が90重量%以上であることを特徴とする請求項1又は
2記載の改良されたアクリル系複合繊維。
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