JPH09235119A - 低活性ジルコニアの水性ゾル及びその製法 - Google Patents

低活性ジルコニアの水性ゾル及びその製法

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JPH09235119A
JPH09235119A JP4602596A JP4602596A JPH09235119A JP H09235119 A JPH09235119 A JP H09235119A JP 4602596 A JP4602596 A JP 4602596A JP 4602596 A JP4602596 A JP 4602596A JP H09235119 A JPH09235119 A JP H09235119A
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zirconia
sol
colloidal
colloidal zirconia
water
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JP4602596A
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Takao Kaga
隆生 加賀
Yutaka Kimura
裕 木村
Fumio Saito
文雄 斉藤
Hiroaki Tanaka
弘明 田中
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Nissan Chemical Corp
Original Assignee
Nissan Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体等材料表面に付着が起こっても、水洗
で容易に除去できるような低活性コロイド状ジルコニア
の安定な水性ゾルを製造すること。 【解決手段】 目的とするゾルの製法は、10〜400m2/g
の比表面積と20〜500nmの粒子径を有し、且つ 4〜15重
量%の脱水性水分を保有する原料コロイド状ジルコニア
を、 400〜1000℃で 0.5〜50時間焼成して、 0.1〜2 重
量%の脱水性水分を保有する焼成ジルコニア粉末を生成
させ、次いでこの焼成ジルコニア粉末を、水溶性の酸又
はアルカリが存在する水中で粉砕することにより、 5〜
200m2/g の比表面積と20〜1500 nm の粒子径を有し、且
つ 0.1〜3 重量%の脱水性水分を保有するコロイド状ジ
ルコニアを 5〜80重量%の濃度に含有する安定な水性ゾ
ルを生成させることからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低活性ジルコニア
の安定な水性ゾルとその製法に関する。特に、このゾル
のコロイド状ジルコニアは、20〜1500nmの粒子
径を有し、そして材料表面に付着しても、その材料を水
中で洗浄すれば、その材料表面からその付着コロイド状
ジルコニアが除去される如き低い表面活性を示す。
【0002】
【従来の技術】米国特許第2984628号には、緻密
であって、電子顕微鏡観察による5〜200nmの平均
粒子径(D)、窒素ガス吸着法により測定される5〜4
00m 2 /gの比表面積そしてA×D=1000〜20
00の関係を持つ究極のコロイド状ジルコニア粒子の安
定の酸性水性ゾルが開示されている。上記ゾルは、ジル
コニウム塩を120〜300℃の温度で加圧下に加熱し
て上記塩を加水分解する方法により製造される。
【0003】特開平2−167826号公報には、コロ
イド状ジルコニアの安定なアルカリ性水性ゾルが開示さ
れている。そのゾルは、50nmの粒子径を持つコロイ
ド状ジルコニアの酸性水性ゾルに、水溶性の、ヒドロキ
シル基を持つ有機化合物を添加し、次いでその生成した
ゾルに6〜14のpHを持つゾルが形成されるように塩
基性化合物を添加する方法により製造される。
【0004】これらの引例に開示されているようなゾル
と関連する従来技術のゾル中のジルコニアのコロイド状
粒子は、材料、例えば半導体材料の表面をそれらゾルで
研磨しそしてその後水で洗浄した場合、その表面にコロ
イド状粒子のまま付着してその材料の表面上に残留する
か、又は、そのゾルは容器内で接触した場合に、容器を
空にしその後水で洗浄した場合に、その内壁上にコロイ
ド状粒子のまま付着してその容器の内壁上に残留する。
従って、従来技術のジルコニアのコロイド状粒子は、高
い表面活性を持つか又は高度に活性な表面を有する点に
特徴を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的の一つ
は、コロイド状ジルコニアが材料の表面に付着したと
き、その表面を水で又は水中で洗浄することによりその
表面から容易に除去されるような低表面活性を持つコロ
イド状ジルコニアの安定な水性ゾルを提供することであ
る。
【0006】本発明の別の目的は、そのような低表面活
性を持つコロイド状ジルコニアの安定な水性ゾルを製造
するための方法を提供することある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に従って提供され
るコロイド状ジルコニアの安定な水性ゾルは、コロイド
状ジルコニアが、窒素ガス吸着法により測定される5〜
200m2 /gの比表面積と動的光散乱法により測定さ
れる20〜1500nmの粒子径を持つコロイド状ジル
コニアの安定な水性ゾルである。
【0008】そのゾルのコロイド状ジルコニアの特徴
は、そのゾルを150℃で3時間にわたり乾燥して、コ
ロイド状ジルコニアの乾燥粉末を得たとき、その乾燥粉
末は、その乾燥粉末を1100℃で1時間にわたり加熱
すると、脱水により、その乾燥粉末の0.1〜3重量%
の重量減少を示すことである。換言すると、そのゾルの
コロイド状ジルコニアは、0.1〜3重量%の脱水性の
水分を保有している。そのゾルは、コロイド状ジルコニ
アをZrO2 として5〜80重量%の量で持ちそしてコ
ロイド状ジルコニアのZrO2 1モルに対して、0.0
1〜100ミリ当量の量で水溶性酸又は1〜100ミリ
当量の量で水溶性アルカリを持つ。
【0009】本発明のコロイド状ジルコニアの安定な水
性ゾルの製法は、10〜400m2/gの比表面積と2
0〜500nmの粒子径を有し、そして4〜15重量%
の脱水性の水分を保有するコロイド状ジルコニアを、4
00〜1000℃の温度で0.05〜50時間焼成する
ことにより、0.1〜2重量%の脱水性の水分を保有す
る焼成ジルコニアを形成させる工程、及び上記焼成ジル
コニアを、この焼成ジルコニアのZrO2 1モル当たり
0.01〜100ミリ当量の水溶性酸又は1〜100ミ
リ当量の水溶性アルカリを含有する水媒体中、上記焼成
ジルコニアのZrO2 濃度を5〜80重量%に保って、
上記焼成前コロイド状ジルコニアの粒子径の1〜3倍の
粒子径を有するコロイド状ジルコニアの水性ゾルが形成
されるまで粉砕を続ける工程からなる。
【0010】焼成ジルコニアを形成させる工程に用いら
れるコロイド状ジルコニアは、原料のジルコニアゾルに
由来し、このコロイド状ジルコニアは、そのコロイド状
ジルコニアを150℃の温度で3時間にわたり乾燥し
て、乾燥ジルコニア粉末を得たとき、その乾燥粉末は、
その乾燥粉末を1100℃で1時間にわたり加熱する
と、脱水により、その乾燥粉末の4〜15重量%の重量
減少を示すことに特徴がある。換言すると、そのゾルの
コロイド状ジルコニアは、4〜15重量%の脱水性の水
分を保有している。
【0011】その焼成ジルコニアは、その焼成ジルコニ
アを150℃の温度で3時間にわたり乾燥して、乾燥焼
成ジルコニア粉末を得たとき、その乾燥粉末は、その乾
燥粉末を1100℃で1時間にわたり加熱すると、脱水
により、その乾燥粉末の0.1〜2重量%の重量減少を
示すことに特徴がある。換言すると、その焼成ジルコニ
アは、粉砕の前に、0.1〜2重量%の脱水性の水分を
保有している。
【0012】コロイド状ジルコニアの比表面積は、慣用
の窒素ガス吸着法により測定される。コロイド状ジルコ
ニアの粒子径は、市販品の装置、例えば米国のコールタ
ー(Coulter) 社製の「N4 」という名称の装置を使用す
ることによる動的光散乱法により測定される。ゾル、コ
ロイド状ジルコニア、コロイド状ジルコニア粉末、焼成
ジルコニア及び1100℃での加熱後のジルコニア中に
含有される水溶性酸又は水溶性アルカリの量は、当該技
術分野で知られている化学分析により測定される。
【0013】本発明のコロイド状ジルコニアの安定な水
性ゾルは、本質的には、コロイド状ジルコニアの原料ゾ
ル又はコロイド状ジルコニアの原料ゾルを例えば80〜
200℃の温度で乾燥することにより得られる粉状のコ
ロイド状ジルコニアを、焼成し、それにより焼成ジルコ
ニアを形成する工程と、焼成ジルコニアを酸又はアルカ
リの存在下水中で粉砕する工程からなる方法により製造
される。
【0014】原料ゾル中のコロイド状ジルコニアは、窒
素ガス吸着法により測定される10〜400、好ましく
は20〜300そして更に好ましくは20〜500m2
/gの比表面積、及び動的光散乱法により測定される2
0〜500、好ましくは50〜400そして更に好まし
くは70〜300nmの粒子径を有するものでよい。そ
の原料ゾルのコロイド状ジルコニアは、そのコロイド状
ジルコニアを150℃の温度で3時間にわたり乾燥し
て、乾燥ジルコニア粉末を得たとき、その乾燥粉末は、
その乾燥粉末を1100℃で1時間にわたり加熱する
と、脱水により、その乾燥粉末の4〜15重量%の重量
減少を示すことに特徴がある。換言すると、そのゾルの
コロイド状ジルコニアは、4〜15重量%の脱水性の水
分を保有している。
【0015】コロイド状ジルコニアの原料ゾルは、当該
技術分野で知られている方法で製造されてよく、例え
ば、米国特許第2984628号に開示されているよう
に、水性媒体中のジルコニウム塩を加熱してその塩を加
水分解しそして媒体中にコロイド状ジルコニアを形成さ
せる方法で製造される。原料ゾルは、例えばオキシ塩化
ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム又
は酢酸ジルコニウムのようなジルコニウム塩を水1リッ
トル当たり0.01〜2モルのジルコニウムイオン濃度
において、100〜200℃の温度で加圧下1〜100
時間にわたり加熱し、それによりコロイド状ジルコニア
の酸性水性ゾルを形成させる方法により製造するのが好
ましい。
【0016】精製された型の原料ゾルは、酸性ゾルを限
外ろ過することにより製造され得る。アルカリ性型の原
料ゾルは、酸性ゾルにアルカリ性物質を添加することに
より得ることができ、これは特開平2−167826号
公報に開示されているとおりである。コロイド状ジルコ
ニアとしては、それら粒子の凝集によって形成された大
きい粒子の形態にあっても使用することができ、例え
ば、コロイド状ジルコニアのゾルを中性域のpHに調整
することにより生成するスラリーも使用することができ
る。
【0017】10〜400m2 /gの比表面積と20〜
500nmの粒子径を持つコロイド状ジルコニアの粉末
を形成させるために、原料ゾルを、乾燥器、好ましくは
スプレードライヤー中で80〜200℃、好ましくは1
00〜150℃で乾燥してよい。コロイド状ジルコニア
の粉末は、その粉末がより高い温度で再乾燥されると重
量が減少し、そしてその粒子は、それがより高い温度、
例えば500℃で焼成されてすら更に重量が減少する。
しかし、1100℃の温度で加熱した後の粉末は、その
粉末を1100℃より高い温度で再び加熱した後では重
量が減少しない。粉末の重量の減少は、粉末からの脱水
による水の放出のせいばかりではなく粉末中に含まれて
いる酸、アルカリ又は塩のような、水以外の揮散性物質
の放出のせいでもあることが見出されていた。
【0018】原料コロイド状ジルコニアの粉末から脱水
され得る水の量(H)は、粉末を150℃で3時間にわ
たり乾燥した後の粉末の重量(W1 )と粉末中のH2
以外の揮散性成分の重量(C1 )を測定し、そして粉末
を1100℃で1時間にわたり加熱した後の粉末の重量
(W2 )と粉末中のH2 O以外の揮散性成分の重量(C
2 )を再度測定し、そして 等式:H=(W1 −C1
−(W2 −C2 )によるHを決定することにより得られ
る。コロイド状ジルコニアから脱水され得る水の量は、
(H/W1 )×100により与えられる重量%で表され
る。
【0019】焼成ジルコニアを形成させる工程では、電
気炉又はガス炉中のセラミック又は金属製容器のような
容器中で、原料ゾル又はスラリーを焼成するか、又は好
ましくは原料ゾルを乾燥することにより得られたコロイ
ド状ジルコニアを焼成する。焼成は、分当たり1〜10
℃の速度で温度を上げることにより開始するのが好まし
く、そして焼成を400〜1000℃、好ましくは50
0〜950℃そして更に好ましくは600〜900℃の
温度で実施して焼成ジルコニアを形成させる。焼成ジル
コニアは、これを150℃で3時間乾燥して乾燥粉末を
得、次にこの乾燥粉末を1100℃で1時間加熱したと
き、この乾燥粉末に基づいて0.1〜2、好ましくは
0.1〜1.5そして更に好ましくは0.1〜1%の、
脱水による重量減少を示す特徴を持っている。換言する
と、焼成ジルコニアは、0.1〜2、好ましくは0.1
〜1.5、最も好ましくは0.1〜1重量%の脱水性の
水分を保有している。焼成を0.05〜50時間の時間
内に400〜1000℃の温度で完了することが好まし
く、そして更に短い時間内により高い温度で焼成を完了
することが最も好ましい。焼成後のジルコニアを室温に
冷却する。
【0020】焼成により得られる焼成ジルコニアから脱
水される水の量(Q)も上述のようにして、即ち、15
0℃で3時間にわたり乾燥した後の焼成ジルコニアの重
量(W3 )とH2 O以外の揮散分の重量(C3 )及び1
100℃で1時間にわたり加熱した後のジルコニアの重
量(W4 )とH2 O以外の揮散分の重量(C4 )から、
等式:Q=(W3 −C3 )−(W4 −C4 )に従って得
られる。焼成ジルコニアからの脱水される水の量は、
(Q/W3 )×100により与えられる重量%で表現さ
れる。焼成ジルコニアは、焼成前のコロイド状ジルコニ
アの比表面積と比較してより低い比表面積を持つ。
【0021】次いで、焼成ジルコニアを水中、5〜8
0、好ましくは10〜60そして更に好ましくは20〜
50重量%の焼成ジルコニアのZrO2 濃度で粉砕す
る。酸性型コロイド状ジルコニアの安定なゾルは、焼成
ジルコニアを、焼成ジルコニア中のZrO2 の1モルに
対して0.01〜100、好ましくは0.03〜50そ
して更に好ましくは0.05〜30ミリ当量の水溶性酸
を含有する水中で、粉砕することにより得られる。この
酸性ゾルは、1〜6、好ましくは2〜6そして更に好ま
しくは3〜6のpHを持つ。アルカリ性型コロイド状ジ
ルコニアの安定なゾルは、焼成ジルコニアを、焼成ジル
コニア中のZrO2 の1モルに対して1〜100、好ま
しくは3〜50そして更に好ましくは5〜30ミリ当量
の水溶性アルカリを含有する水中で、粉砕することによ
り得られる。このアルカリ性ゾルは、8〜13.5、好
ましくは9〜13そして更に好ましくは10〜13のp
Hを持つ。別の、アルカリ性型のコロイド状ジルコニア
の安定なゾルは、アルカリ性物質を上述のようにして製
造した酸性ゾルへ添加することにより得られる。
【0022】ゾル中の水溶性酸は、例えば塩化水素、硝
酸、硫酸のような無機酸、例えば蟻酸、酢酸、蓚酸、酒
石酸、クエン酸、乳酸のような有機酸又はそれらの酸性
塩であってよい。ゾル中の水溶性アルカリは、例えばナ
トリウム、カリウム又はリチウムのような金属の水酸化
物、例えばテトラエタノールアンモニウム、モノエチル
トリエタノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウ
ム又はトリメチルベンジルアンモニウムのような第四級
アンモニウムの水酸化物、又は、例えば、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、アミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチル
エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、モノ
プロパノールアミン又はモルホリンのようなアミン、又
はアンモニアでよい。
【0023】粉砕は、更に水溶性の高分子物質のタイプ
の添加物、例えばキサンタンゴム(xanthan gum) 、ロー
カストビーンガム(locust bean gum) 、グアーゴム、カ
ルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ナトリ
ウムポリアクリレート、ポリエチレンオキシド等々のよ
うなもの、又はグリセリン、プロピレングリコール、エ
チレングリコール等々のような多価アルコールの存在下
で実施してもよい。
【0024】粉砕を、例えばボールミル、サンドミル又
はアトリッションミルのようなミル中で実施してもよ
く、焼成前のコロイド状ジルコニアの粒子径の1〜3
倍、好ましくは1〜2.5倍そしてより好ましくは1〜
2倍の粒子径を持つコロイド状ジルコニアの水性ゾルが
形成されるまでの時間にわたり粉砕を継続する。粉砕
は、ボールミルによる場合、例えば20〜100時間の
間に完了する。
【0025】キサンタンゴム(xanthan gum) 、ローカス
トビーンガム(locust bean gum) 又はグアーゴムのよう
な水溶性高分子物質を、高い粘度を持つコロイド状ジル
コニアの好ましいゾルを形成するために、そのような物
質がなしに粉砕することにより形成したゾルに添加する
と効果的である。粉砕後に得られるゾル中のコロイド状
ジルコニアは、窒素ガス吸着法により測定される5〜2
00m2 /gの比表面積と動的光散乱法により測定され
る20〜1500nmの粒子径を持ち、そしてゾル中の
コロイド状ジルコニアは、そのゾルを150℃で3時間
にわたり乾燥して、コロイド状ジルコニアの粉末を得た
とき、その粉末は、その粉末を1100℃で1時間にわ
たり加熱すると、脱水により、コロイド状ジルコニアの
粉末を基準にして0.1〜3、好ましくは0.1〜2.
5そして更に好ましくは0.1〜2重量%の重量減少を
示すという特徴を示す。換言すると、製品ゾル中のコロ
イド状ジルコニアは、0.1〜3、好ましくは0.1〜
2.5そして更に好ましくは0.1〜2重量%の脱水さ
れ得る水分を保有している。粉末を加熱する時に粉末か
ら脱水され得る水の量は、上述の原料ゾル中のコロイド
状ジルコニアにおけるのと同様にして得られる。
【0026】製品ゾルは、コロイド状ジルコニアをZr
2 として5〜80重量%の量で含有する。そしてその
ゾルは、そのゾル中のコロイド状ジルコニアのZrO2
1モルに対して、0.01〜100ミリ当量の量で水溶
性酸又は1〜100ミリ当量の量で水溶性アルカリを有
する。粉砕の後に得られるゾル中のコロイド状ジルコニ
アは、原料ゾル中のコロイド状ジルコニアと比較して顕
著に低い表面活性を持ち、そのゾルは安定であり、5〜
80重量%のZrO2 濃度を持ち、そして1〜6の酸性
pH又は8〜13.5のアルカリ性pHを持つ。
【0027】粉砕の後に得られるコロイド状ジルコニア
のゾルは、所望ならば、ゾルをイオン交換樹脂を通して
脱イオン化することにより又はゾルを限外ろ過すること
により精製することができる。米国特許第298462
8号に示されるようにして、ジルコニウム塩の水性溶液
を120〜150℃で加熱することからなる方法により
形成されたコロイド状ジルコニアは、10000のよう
なA×Dの大きい値を持ち、それはその米国特許明細書
に記述されている上限値2000をはるかに超えるこ
と;そしてそのコロイド状ジルコニアは、窒素ガス吸着
法により測定されると、電子顕微鏡により又は動的光散
乱法により測定される平均粒子径から計算される比表面
積より遙かに大きい比表面積を持つので、その方法によ
り形成したコロイド状ジルコニアは緻密構造を持ってい
ないということが見出された、そして更に見出されたこ
とは、その方法により形成したコロイド状ジルコニア
は、そのコロイド状ジルコニアを高温で加熱した時にそ
れからの脱水による重量減少、例えば、約7%を示すこ
と、 例えば約800℃における焼成の後のジルコニア
は、たとえその焼成はコロイド状ジルコニアの粒子径を
殆ど変えないにしても、焼成前のコロイド状ジルコニア
の比表面積より遙かに低い比表面積を持つこと、及びそ
の方法により形成したコロイド状ジルコニアは、例えば
そのコロイド状ジルコニアで表面を研磨した後のような
材料の表面へ付着しているコロイド状ジルコニアが、表
面が水中で洗浄される時すら表面から除去されない程度
に高い表面活性を持っていることである。
【0028】そのような従来技術により形成したコロイ
ド状ジルコニアは、ジルコニアの微細粒子の凝集形態で
存在するこれら微細粒子からなる究極粒子であること、
ジルコニアのその微細粒子はその微細粒子の表面上にZ
r原子に結合した多くのOH基を持ちそしてそのOH基
はその粒子に高表面活性を付与すること、及び、コロイ
ド状ジルコニアの焼成の際に、微細粒子の幾つかは変化
してより大きい粒子に合一され、そしてジルコニアの隣
接するコロイド状粒子は、互いに連結して一緒になると
いうことが考えられる。
【0029】従って、本発明において、焼成の結果起き
るコロイド状ジルコニアの重量減少は、Zr原子に結合
しているOH基の縮合反応により、コロイド状ジルコニ
アからの脱水反応により形成される水の放出によるもの
であること、その焼成が微細粒子のジルコニアのより大
きい粒子への成長の原因になり、そのより大きい粒子は
ジルコニアの単位重量当たりのOH基の顕著な減少数に
由来する低表面活性を持つこと;しかしながら、その焼
成により形成された焼成ジルコニアは粒子上に外部から
加えられた機械力により粉砕され得るが、その焼成前の
コロイド状ジルコニアより小さい粒子を形成する程度に
は微小に細分化できないので、その焼成はジルコニアの
微細粒子の間に、Zr−O−Zrとして表現される化学
結合を持つ完全な格子構造を形成させる程には強くない
ということが考えられる。
【0030】又、粉砕工程で水中に存在する酸又はアル
カリは、粉砕により形成したコロイド状ジルコニアの粒
子を水中に安定して分散させるための安定剤として機能
すると信じられている。
【0031】
【発明の実施の形態】しかしながら、コロイド状ジルコ
ニアの好ましいゾルは、本発明の好ましい方法に従って
製造される。10m2 /gより小さいか又は400m2
/gより大きい比表面積を持つ原料コロイド状ジルコニ
アは、その焼成に使用するのに好ましくない。というの
は10m2 /gより小さい比表面積では粉砕工程で安定
なゾル製品が得られず、そして400m2 /gより大き
い比表面積では粉砕工程で低い表面活性を持つコロイド
状ジルコニアの製品が得られないからである。
【0032】20nmより小さいか又は500nmより
大きい粒子径を持つコロイド状ジルコニアは、その焼成
に使用するのに好ましくない。というのは20nmより
小さい粒子径は焼成の間にジルコニアの焼結の原因にな
る傾向があり、そして500nmより大きい粒子径は、
ゾル製品中で不安定に沈殿するコロイド状ジルコニア製
品を生成する傾向があるからである。
【0033】コロイド状ジルコニアが焼成される温度
が、400℃より低いか又は1000℃より高いと好ま
しくない。というのは400℃より低い温度では粉砕工
程で表面活性の低いコロイド状ジルコニアの製品を生成
せず、そして1000℃より高い温度では粉砕工程でゾ
ル製品中で安定に分散できないコロイド状ジルコニア製
品を生成するからである。900℃より高い、特に95
0℃より高い焼成温度は、粉砕工程で焼成前のコロイド
状ジルコニアの粒子径から大きく乖離した粒子径を持つ
コロイド状ジルコニアを生成するので不利であり、そし
て600℃より低い、特に500℃より低い焼成温度
は、粉砕工程で、約3%より大きく乖離した脱水重量減
(換言すれば約3%より大きい)を示すコロイド状ジル
コニアを与えるので不利である。
【0034】0.05時間より短いか又は50時間より
長い焼成時間は、好ましくない。というのは、0.05
時間より短い時間は製造において再現性に乏しくそして
50時間より長い時間は、付加的利益がなく、製法の効
率を下げるからである。0.1%より少ないか又は2%
より多い脱水性の水分を保有する焼成したコロイド状ジ
ルコニアは好ましくない。というのは0.1%より少な
い脱水性の水分量ではゾル製品中で安定に分散し得るコ
ロイド状ジルコニア製品が得られず、そして2%より多
い脱水性の水分量では低い表面活性を持つコロイド状ジ
ルコニア製品を得られないからである。
【0035】粉砕工程におけるZrO2 1モルに対して
0.01ミリ当量より少ない量の酸又は1ミリ当量より
少ない量のアルカリは好ましくない。というのはその量
の酸又はアルカリでは、粉砕の間、コロイド状ジルコニ
アを十分に分散しないからである。粉砕工程におけるZ
rO2 1モルに対して100ミリ当量より多い量の酸又
はアルカリでは、安定なゾル製品が得られずそしてその
製品中のコロイド状ジルコニアがゾル中で凝集する傾向
がある。
【0036】粉砕工程に於ける5重量%より低いか又は
80重量%より高いZrO2 濃度は好ましくない。とい
うのは5重量%より少ない濃度のゾル製品は通常その次
の濃縮を必要として製法を非効率的にし、そして80重
量%より高い濃度はゾル中でコロイド状ジルコニアが安
定に分散できない製品を生成するからである。粉砕工程
は、原料ゾルにおけるコロイド状ジルコニア粒子径より
小さい粒子径を持つコロイド状ジルコニアを生成できな
い。粉砕工程で、原料ゾル中のコロイド状ジルコニアの
粒子径の3倍より大きい粒子径を持つコロイド状ジルコ
ニアを生成させると、このコロイド状ジルコニアは、ゾ
ル製品中で沈殿する傾向がある。
【0037】
【実施例】下記の実施例により、本発明を更に説明す
る。これらの実施例により、本発明の範囲の限定を意図
するものではない。 実施例1 この実施例では、酸性のコロイド状ジルコニアの原料ゾ
ル(S1 )とコロイド状ジルコニアの粉末(P1 )を調
整する。
【0038】オキシ塩化ジルコニウムの水溶液を、純水
2100gにオキシ塩化ジルコニウム1000gを溶解
することにより調整する。その全溶液に、攪拌下、25
%アンモニア水264gを添加する。アンモニアを含有
するオキシ塩化ジルコニウム溶液全量を、オートクレー
ブ中、130℃で7時間にわたり加熱し、次いでオート
クレーブ中の液体を室温まで冷却し、そして回収する。
回収した液体のpHは1以下であり、米国のコールター
(Coulter) 社製の「N4 」と呼ばれる装置を使用する動
的光散乱法により測定される粒子径89nmを有するコ
ロイド状ジルコニアの水性ゾルである。そのコロイド状
ジルコニアは電子顕微鏡写真中では100nmの平均粒
子径を有する。
【0039】3200gの回収ゾルに、25%アンモニ
ア水11.7gを添加してpH5.2のコロイド状ジル
コニアの水性ゾルを形成する。pH5.2のコロイド状
ジルコニアに純水を添加し、次いで希釈ゾルを限外ろ過
器を通して濃縮する。希釈と限外ろ過を繰り返すあい
だ、ゾルに合計28kgの水を添加する。その結果、
4.6のpH、38重量%のZrO2 濃度、0.88重
量%のCl濃度そして0.1重量%以下のNH3 濃度を
有するコロイド状ジルコニア910gを得る。
【0040】ゾル(S1 )を、入口温度190℃、出口
温度100℃のスプレードライヤー中で乾燥して、N2
ガス吸着法により測定される128m2 /gの比表面積
を持つコロイド状ジルコニアの粉末(P1 )を形成す
る。コロイド状ジルコニアの 100(nm)×128
(m2 /g) の計算は、12800の数値になる。本
実験のコロイド状ジルコニアは、米国特許第29846
28号の明細書に示されている2000の上限値を遙か
に超えている値である、12800の脅威的値を持つこ
とが見出される。
【0041】粉末(P1 )を、150℃で3時間にわた
り乾燥器中で乾燥する。乾燥した後の粉末は、化学分析
によると2.28重量%のClを含有する。次いで乾燥
した後の粉末11.085gを1100℃の温度で1時
間にわたり電気炉中で加熱する。10.150gの加熱
後のジルコニア粉末を得る。化学分析をすると、この加
熱後の粉末中のCl含量は0.01%以下である。この
加熱による粉末の重量減少から、コロイド状ジルコニア
の粉末(P1 )は、粉末(P 1 )を150℃で3時間に
わたり乾燥することにより調整した粉末を基準にして、
乾燥した後の粉末を1100℃で1時間にわたり加熱す
る時は、6.2重量%の水が脱水されていることが見出
される。
【0042】実施例2 この実施例では、アルカリ性のコロイド状ジルコニアの
原料ゾル(S2 )とコロイド状ジルコニアの粉末(P
2 )を調整する。pH4.6のコロイド状ジルコニアの
精製ゾル(S1 )を、実施例1と同様にして調整する。
【0043】1000gのゾル(S1 )に、攪拌下、ク
エン酸31g次いで25%アンモニア水39gを添加す
る。クエン酸とアンモニアを含有するゾルに純水を添加
し、次いで希釈したゾルを限外ろ過器を通して濃縮す
る。希釈とそれに続く限外ろ過を繰り返す間に全量7.
8kgの純水を添加する。8.6のpH、36重量%の
ZrO2 濃度、0.01重量%以下のCl濃度、2.5
重量%のクエン酸濃度そして0.08重量%のNH3
度を有するコロイド状ジルコニアの精製ゾル(S2 )1
050gを得る。ゾル中のコロイド状ジルコニアは、装
置N4 で測定される粒子径104nmを有する。
【0044】ゾル(S2 )を、入口温度190℃、出口
温度100℃のスプレードライヤー中で乾燥して、N2
ガス吸着法により測定される135m2 /gの比表面積
を持つコロイド状ジルコニアの粉末(P2 )を得る。粉
末(P2 )を、150℃で3時間にわたり乾燥器中で乾
燥する。乾燥後の粉末は、化学分析によると、6.88
重量%のクエン酸含量、0.01重量%以下のCl含量
そして0.01重量%以下のNH3 含量を有する。次い
で乾燥後の粉末11.713gを1100℃の温度で1
時間にわたり電気炉中で加熱する。加熱後、10.16
2gのジルコニア粉末を得る。取得した粉末は、0.0
1重量%以下より少ない量でクエン酸を含有する。
【0045】コロイド状ジルコニアの粉末(P2 )は、
粉末(P2 )を150℃で3時間にわたり乾燥すること
により調整した粉末を基準にして、乾燥した後の粉末を
1100℃で1時間にわたり加熱する時は、6.4重量
%の水が脱水されていることが見出される。 実施例3 この実施例ではコロイド状ジルコニアの粉末(P2 )を
いろいろの条件で焼成して焼成ジルコニアを形成させ、
そして焼成したジルコニアを水中で粉砕する。
【0046】粉末(P2 )を電気炉中、第1表に記載し
た温度と時間で焼成して、焼成ジルコニア(T1 )ない
し(T6 )(T6 は比較例である。)を形成させる。ジ
ルコニア(T1 )は化学分析によると30ppm(重
量)のClを含有する。ジルコニア(T1 )ないし(T
6 )それぞれについて比表面積(m2 /g)を測定し、
そしてジルコニア(T1 )ないし(T6 )それぞれにつ
いて重量減少率(脱水量,%)を、上述と同様の方法に
より、すなわち、焼成ジルコニア(T1)ないし(T
6 )を150℃で3時間にわたり乾燥した後、1100
℃で1時間にわたり加熱する方法により得る。結果を第
1表に示す。
【0047】
【表1】 第 1 表 ───────────────────────────────── 焼成 温度 時間 比表面積 脱水量 ジルコニア (℃) (hr) (m2/g) (%) ───────────────────────────────── T1 500 0.1 60.5 1.2 T2 750 2 20.1 0.35 T3 950 2 14.8 0.16 T4 500 0.1 60.5 1.2 T5 500 0.1 60.5 1.2 T6 1200 2 4.8 0.1 以下 ───────────────────────────────── 高純度の塩酸を純水に溶解することにより、0.2ミリ
当量のHClを含有する塩化水素水溶液204gを調整
する。
【0048】次いで、ジルコニア(T1 )96g、調整
した塩化水素水溶液204g及び5mmの直径を持つジ
ルコニア製硬質ビーズ700gを、8cmの直径を持つ
ボールミル中に投入する。ミルを密閉し、92時間にわ
たり200rpmの速度で回転する。ミルから、5.4
のpHと31重量%のZrO2 濃度を有するコロイド状
ジルコニアの安定な水性ゾル(Z1 )を回収する。
【0049】ゾル(Z1 )中のコロイド状ジルコニアの
粒子径は、装置N4 により測定すると152nmであ
る。ゾル(Z1 )を、入口温度190℃、出口温度10
0℃のスプレードライヤー中で乾燥して、コロイド状ジ
ルコニア粉末を得る。その粉末は、N2 ガス吸着法によ
り測定される61.8m2 /gの比表面積を示す。
【0050】このミル粉砕は、焼成ジルコニアを152
nmの粒子径を有するコロイド状ジルコニアへの粉砕を
もたらすが、ゾル(Z1 )中のコロイド状ジルコニアの
61.8m2 /gの比表面積は焼成ジルコニア(T1
の60.5m2 /gの比表面積と比較して殆ど変化して
いないこと、及びその152nmの粒子径はゾル(S
2 )中のコロイド状ジルコニアの粒子径104nmの
1.5倍であることが認められる。
【0051】次いで、61.8m2 /gの比表面積を持
つ粉末を150℃で3時間にわたり乾燥器中で乾燥す
る。乾燥後の粉末は、化学分析によると0.1重量%以
下のクエン酸を含有する。粉末10.447gを110
0℃で1時間にわたり加熱することにより加熱後のジル
コニア10.173gが得られる。ゾル(Z1 )中のコ
ロイド状ジルコニアは、スプレードライヤー中で得られ
る粉末を150℃で3時間にわたり乾燥することにより
調整されるコロイド状ジルコニアの粉末を基準にして、
乾燥した後の粉末を1100℃で1時間にわたり加熱す
る時は、2.6重量%の水が脱水されていることが見出
される。
【0052】実施例4 実施例3と同様にして、焼成ジルコニア(T2 )ないし
(T6 )の各々を、水中、第2表に示したミリ当量の量
の酸又はアルカリの存在下、粉砕する。ジルコニア(T
2 )ないし(T5 )からは安定な水性ゾル(Z2 )ない
し(Z5 )が得られたが、ジルコニア(T6 )からは水
性スラリーが得られた。各々のゾル中のコロイド状ジル
コニアの比表面積は、対応するジルコニア(T2 )ない
し(T5)のそれと比較して殆ど変化していない。ジル
コニア(T6 )を粉砕することにより生成するスラリー
中のジルコニアの比表面積は7.2m2 /gであって、
ジルコニア(T6 )の4.8m2 /gより若干大きい。
【0053】各々のゾル中のコロイド状ジルコニアの粒
子径は装置N4 により測定され、そして第2表に記載さ
れている。ゾル中のコロイド状ジルコニアと、粉砕によ
り形成したスラリー中のジルコニアの各々からの脱水さ
れた水の量は実施例3と同様にして測定され、そして第
2表に記載されている。
【0054】
【表2】 第 2 表 ─────────────────────────────────── 生成物 焼成 酸又はアルカリ 粒子径 脱水量 ジルコニア (ミリ当量) (nm) (%) ─────────────────────────────────── Z11 HCl 0.2 152 2.6 Z22 HCl 0.2 190 0.81 Z33 HCl 0.2 213 0.56 Z44 HNO3 0.2 163 2.5 Z55 KOH 10.2 212 2.6 スラリー T6 HCl 0.2 - 0.1 以下 ─────────────────────────────────── 実施例5 この実施例では、ゾル(Z1 )からコロイド状ジルコニ
アのアルカリ性ゾルを調整する。
【0055】実施例3と同様にして調整したゾル(Z
1 )1000gに、1000gの純水を添加して15重
量%のZrO2 濃度を有するコロイド状ジルコニアの希
釈ゾルを調整する。次いでその希釈ゾルの全量に、5重
量%の濃度を有する水酸化カリウムの水溶液36gを添
加し、得られたゾルを室温で4時間にわたり強く攪拌す
る。10.4のpHを有するコロイド状ジルコニアの安
定なアルカリ性ゾルを得る。10.4のpHを有するゾ
ルから蒸留で水を除くことにより、20重量%のZrO
2 濃度を有するコロイド状ジルコニアの濃縮ゾルを調整
する。
【0056】実施例6 この実施例では、ゾル(Z3 )中のコロイド状ジルコニ
アの表面活性を、原料ゾル(S1 )の対照例と比較して
試験する。ゾル(Z3 )とゾル(S1 )の各々を、長さ
7.5cm、巾2.5cmの透明なガラス板の表面上に
塗布し、室内環境中で乾燥しコロイド状ジルコニアをガ
ラス板の表面上に付着させる。
【0057】次いで、振動数28kHz(キロヘル
ツ)、出力210Wの超音波を水に加え、その水中に上
記のガラス板を室温で60分間にわたり浸漬する。ゾル
(Z3 )からの付着したコロイド状ジルコニアはガラス
表面から除去されるが、ゾル(S 1 )中からの付着した
コロイド状ジルコニアはガラス板から殆ど脱落しない。
【0058】
【発明の効果】本発明のコロイド状ジルコニアの安定な
水性ゾルは、酸性又はアルカリ性であってよく、水溶性
の有機添加剤を含有でき、そして工業製品として供給さ
れ得る。そのゾルは、いろいろな分野、例えば精密鋳造
に使用するための耐熱性を強化した鋳型を製造するため
の結合剤、材料例えば金属、セラミック又はコンクリー
トをウォータージェット切断するための水性媒体中に含
有される研磨剤、又はいろいろな材料の表面を粗に、精
密に又は鏡面様に研磨するための研磨剤、等々に適用で
きる。
【0059】ゾルが、半導体、例えばケイ素、ゲルマニ
ウム又はIII−V族、II−VI族又は I−VII 族の型の化合
物のような半導体の表面;レンズ、プリズム、ブラウン
管、ICやLSI用マスク等の光学ガラス;結晶化ガラ
ス、無アルカリガラス、低アルカリガラス、石英ガラ
ス、ケイ酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス、リン酸塩ガラ
ス、ゲルマン酸塩ガラス、タングステン酸塩ガラス、モ
リブデン酸塩ガラス、テルル酸塩ガラス、ホウケイ酸塩
ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、アルミノホウ酸塩ガ
ラス、フッ化物ガラス、フツリン酸塩ガラス、オキシハ
ロゲン化物ガラス、オキシナイトライドガラス、カルコ
ゲン化物ガラス、金属ガラス;光ファイバーに使用する
ための石英ガラス、液晶セルに使用するためのガラス、
光学セラミックに使用するためのニオブ酸リチウム又は
タンタル酸リチウムの表面;電子又は電気製品の部品に
使用するための水晶、窒化アルミニウム、アルミナ、フ
ェライト又はジルコニアの表面;多層配線半導体デバイ
スにおける層間絶縁膜、及びアルミニウム、銅、タング
ステン又はそれらの合金のようなメタル配線の表面;基
材例えば磁気記録媒体用ディスクの上に設けられたNi
−P等のメッキ層の表面、特にNi90〜92%とP8
〜10%の組成の硬質Ni−Pメッキ層の表面、酸化ア
ルミ層の表面あるいはアルミニウム、その合金、アルマ
イト、ガラス、グラスカーボン等の基材表面;そして炭
化タングステンのような超硬合金の表面;更に、例えば
ポリサルフォン、ポリカーボネイト、ナイロンのような
硬質プラスチックの表面を研磨するのに有用であること
が明瞭である。本発明のコロイド状ジルコニアのゾル
は、所望に応じ、硝酸塩、有機酸、金属石鹸、キレート
化合物、グルコン酸、スルファミン酸、アミン塩、過酸
化水素水、次亜塩素酸塩等を添加して使用することがで
き、研磨剤として更に有用である。
【0060】本発明のコロイド状ジルコニアのゾルは、
Zr以外の他の金属酸化物のゾルのコロイド状粒子の表
面上の電荷が、ジルコニアのコロイド状粒子のそれと同
じである限りは、そのZr以外の他の金属酸化物のゾル
と所望の比率で、例えばジルコニア100重量部に対し
て10〜90重量部で混合してもよい。かくして、例え
ばアルカリ性のコロイド状ジルコニアの水性ゾルをアル
カリ性のコロイド状シリカの水性ゾルと混合することに
より、又は酸性のコロイド状ジルコニアを酸性のコロイ
ド状アルミナの水性ゾルと混合することにより、混合ゾ
ルが得られる。
【0061】混合ゾルは、上述のような各種材料あるい
は基材の表面を研磨するのにも有用である。そして、混
合ゾルは、所望に応じ、硝酸塩、有機酸、金属石鹸、キ
レート化合物、グルコン酸、スルファミン酸、アミン
塩、過酸化水素水、次亜塩素酸塩等を添加して使用する
ことができ、研磨剤として更に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 弘明 東京都千代田区神田錦町3丁目7番地1 日産化学工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5〜200m2 /gの比表面積と20〜
    1500nmの粒子径を有し、そして0.1〜3重量%
    の脱水性の水分を保有するコロイド状ジルコニアをその
    ZrO2 として5〜80重量%の濃度に含有し、そして
    このコロイド状ジルコニアのZrO2 1モル当たり0.
    01〜100ミリ当量の水溶性酸を更に含有するコロイ
    ド状ジルコニアの安定な水性ゾル。
  2. 【請求項2】 10〜400m2 /gの比表面積と20
    〜500nmの粒子径を有し、そして4〜15重量%の
    脱水性の水分を保有するコロイド状ジルコニアを、40
    0〜1000℃の温度で0.05〜50時間焼成するこ
    とにより、0.1〜2重量%の脱水性の水分を保有する
    焼成ジルコニアを形成させる工程、及び上記焼成ジルコ
    ニアを、この焼成ジルコニアのZrO2 1モル当たり
    0.01〜100ミリ当量の水溶性酸を含有する水媒体
    中、上記焼成ジルコニアのZrO 2 濃度を5〜80重量
    %に保って、上記焼成前コロイド状ジルコニアの粒子径
    の1〜3倍の粒子径を有するコロイド状ジルコニアの水
    性ゾルが形成されるまで粉砕を続ける工程からなる請求
    項1に記載のコロイド状ジルコニアの安定な水性ゾルの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 5〜200m2 /gの比表面積と20〜
    1500nmの粒子径を有し、そして0.1〜3重量%
    の脱水性の水分を保有するコロイド状ジルコニアをその
    ZrO2 として5〜80重量%の濃度に含有し、そして
    このコロイド状ジルコニアのZrO2 1モル当たり1〜
    100ミリ当量の量で水溶性アルカリを更に含有するコ
    ロイド状ジルコニアの安定な水性ゾル。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の焼成ジルコニアを形成
    させる工程、及びこの工程で得られた焼成ジルコニア
    を、この焼成ジルコニアのZrO2 1モル当たり1〜1
    00ミリ当量の水溶性アルカリを含有する水媒体中、上
    記焼成ジルコニアのZrO2 濃度を5〜80重量%に保
    って、上記焼成前コロイド状ジルコニアの粒子径の1〜
    3倍の粒子径を有するコロイド状ジルコニアの水性ゾル
    が形成されるまで粉砕を続ける工程からなる請求項3に
    記載のコロイド状ジルコニアの安定な水性ゾルの製造方
    法。
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