JPH09208796A - 金型汚染性の改良された熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

金型汚染性の改良された熱可塑性樹脂組成物

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JPH09208796A
JPH09208796A JP2146396A JP2146396A JPH09208796A JP H09208796 A JPH09208796 A JP H09208796A JP 2146396 A JP2146396 A JP 2146396A JP 2146396 A JP2146396 A JP 2146396A JP H09208796 A JPH09208796 A JP H09208796A
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ethylene
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resin composition
propylene
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JP2146396A
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English (en)
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Takayuki Nagai
井 隆 之 永
Toshio Niimi
美 俊 生 新
Yukito Zanka
華 幸 仁 残
Ikuo Tsutsumi
育 雄 堤
Hiroki Sato
藤 寛 樹 佐
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Mitsubishi Chemical Corp
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 外観、曲げ弾性率、引張り伸び、耐熱性、表
面硬度、耐衝撃性が良好な、自動車内装部品等の射出成
形品に好適な、熱可塑性樹脂組成物。 【解決手段】 下記(A)〜(D)成分100重量部に
対して下記(E)〜(G)成分を配合してなる金型汚染
性の改良された熱可塑性樹脂組成物。 (A)プロピレン・エチレンブロック共重合体55〜7
5重量%、(B)エチレン・プロピレン共重合体ゴム0
〜10重量%、(C)エチレン・α−オレフィン共重合
体ゴム5〜15重量%、(D)タルク15〜25重量
%、(E)一般式(1)に示すヒンダードアミン (Rは炭素数3以上のエステル基等の炭化水素基)0.
05〜2重量部、(F)トリアリールフォスファイト
0.01〜1重量部、(G)一般式[2]で表わされる
金属塩 (RCOO)2 X (2) (Rは分子量290〜500の1価の炭化水素基、Xは
Zn、Mg、Ca)0.05〜4重量部。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロピレン・エチ
レンブロック共重合体、エチレン・プロピレン共重合体
ゴム、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂、タル
ク、及び、添加剤混合物により構成され、射出成形時の
加工性が良好で、外観にも優れ、曲げ弾性率、耐熱性、
表面硬度、耐衝撃性、引張り伸びが良好な、金型汚染性
の抑制された特に自動車内装部品等の射出成形品に好適
な、熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンに、エチレン・プロピレ
ン共重合体や各種エチレン系共重合体及びタルクを加え
て、耐衝撃性や剛性を高めようとする試みは従来より数
多く行なわれている。例えば、優れた耐衝撃性を有する
特公昭63−42929号、特開昭64−150号、特
開昭64−66263号、特開平1−204946号の
各公報に記載の組成物が知られている。しかし、上記特
公昭63−42929号公報に記載の組成物では、格段
に高結晶性のポリプロピレンを用いていないために十分
な曲げ弾性率や耐熱性が得られていない。また、特開昭
64−150号、特開昭64−66263号、特開平1
−204946号の各公報に記載の組成物では、タルク
の含有量が少ないためにバンパーの様な用途には適して
いるが、内装材に使用するには曲げ弾性率が大幅に不足
したものである。また、エチレン・α−オレフィン共重
合体と多量の無機充填剤を配合した特公平4−1593
45号公報に記載の組成物が知られているが、比重が大
きく自動車を軽量化する観点から好ましくないものであ
る。
【0003】一方、タルクを配合したポリプロピレン系
複合材は成形加工における性能においても非常に高度な
ものが要求されてきており、特に生産現場においては、
連続生産を行なっていく際に、金型にブリード物が付着
して製品の外観、特にシボ構造の目にブリード物が詰ま
り、製品グロスが高くなるという悪影響を及ぼすことが
特に自動車内装材において指摘されている。このような
問題点を解決しつつ物性を維持するプロピレン重合体
が、特開平5−209094号公報及び特開平6−17
982号公報に提案されているが、該公報には耐候性処
方については述べられておらず、一般に耐候性向上に用
いられる安定材がこの様な問題に悪影響を与えることに
鑑み、未だ解決する点が残されているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な課
題を解決しつつ、高流動性で成形加工性に優れ、金型汚
染性が抑制されて、かつ良好な物性を発現した、特にイ
ンストルメントパネルを初めとする自動車内装部品等の
射出成形品に好適な熱可塑性樹脂組成物を提供すること
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
に解決するために鋭意研究を重ねた結果、高流動性で極
めて高い結晶性を有するプロピレン単独重合体部分を備
えたプロピレン・エチレンブロック共重合体に、分子内
に結晶性セグメントを含有するエラストマー状の共重合
体及びタルクを特定の比率で配合することにより、高流
動性で成形加工性に優れ、かつ良好な物性を発現した熱
可塑性樹脂組成物が得られることを見いだし本発明を完
成するに至ったものである。すなわち、本発明は、下記
(A)〜(D)成分はそれらの和を配合量基準とし、該
和の100重量部に対して下記(E)〜(G)成分を配
合してなることを特徴とする金型汚染性の改良された熱
可塑性樹脂組成物である。 (A)成分: プロピレン単独重合部分のメルトフローレート(MFR)が1 5〜50g/10分、同アイソタクチックペンタッド分率が0.97以上で、か つブロック共重合体のMFRが10〜30g/10分、エチレン含量が2〜6重 量%であるプロピレン・エチレンブロック共重合体 55〜75重量% (B)成分: 30〜60℃に融解温度を持ち、MFRが0.2〜2g/10 分であるエチレン・プロピレン共重合体ゴム 0〜10重量% (C)成分: 60〜100℃に融解温度を持ち、MFRが0.3〜2g/1 0分であるエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム 5〜15重量% (D)成分: 平均粒径が5μm以下であり、比表面積が3.5m2 /g以上 であるタルク 15〜25重量% (E)成分:
【0006】
【化2】
【0007】 構造(Rは炭素数3以上のエステル基、エーテル基を含有していても良い炭化水 素基)を有するヒンダードアミン 0.05〜2重量部 (F)成分: トリアリールフォスファイト 0.01〜1重量部 (G)成分: 下記一般式[I]で表わされる金属塩 0.05〜4重量部 一般式[I] (RCOO)2 X (但し、式中のRは分子量290〜500の1価の炭化
水素基、XはZn、Mg又はCaを表わす。)
【0008】
【発明の実施の形態】
[I] 構成成分 (A) プロピレン・エチレンブロック共重合体((A)
成分)プロピレン・エチレンブロック共重合体の物性 本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するプロピレン・エ
チレンブロック共重合体((A)成分)は、メルトフロ
ーレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が1
0〜30g/10分、好ましくは12〜28g/10
分、特に好ましくは15〜25g/10分のものが用い
られる。プロピレン・エチレンブロック共重合体のMF
Rが前記範囲未満であると、流動性が不足し、薄肉成形
品を成形する際に大きな型締め力のある成形機を必要と
するか、或いは、成形温度を高くする必要性が生じるの
で、生産性に悪影響を及ぼす。プロピレン・エチレンブ
ロック共重合体のMFRが前記範囲を超えると、耐衝撃
性等の特性が不十分である。上記プロピレン・エチレン
ブロック共重合体のMFRは、重合時に調整したもの、
或いは、重合後にジアシル・パーオキサイド、ジアルキ
ルパーオキサイド等の有機過酸化物で調整したものであ
っても良い。上記プロピレン・エチレンブロック共重合
体中のエチレン含量は2〜6重量%、好ましくは3〜6
重量%のものであり、該ブロック共重合体部分のエチレ
ン含量は30〜50重量%のものが好ましい。エチレン
含量が上記範囲未満のものは耐熱性が劣り、逆に、上記
範囲を超えるものは曲げ弾性や表面硬度が不足する。
【0009】また、該プロピレン・エチレンブロック共
重合体中のプロピレン単独重合体部分のMFRが15〜
50g/10分、好ましくは17〜45g/10分、特
に好ましくは20〜40g/10分であり、そのアイソ
タクチックペンタッド分率が0.97以上、好ましくは
0.975以上、特に好ましくは0.98〜0.99の
ものである。上記プロピレン・エチレンブロック共重合
体中のプロピレン単独重合体部分のMFRが前記範囲未
満であるとコンパウンド材のMFRが低くなり、成形性
が劣り、また、MFRが前記範囲を超えると耐衝撃性が
不良となる。また、プロピレン・エチレンブロック共重
合体中のプロピレン単独重合体部分のアイソタクチック
ペンタッド分率(P)が上記範囲未満では曲げ弾性率が
不十分であるので不適当である。なお、ここでアイソタ
クチックペンタッド分率(P)とは、13C−NMRを用
いて測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単
位でのアイソタクチック分率である。
【0010】プロピレン・エチレンブロック共重合体の
製造 上記プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造に
は、高立体規則性触媒が用いられる。上記高立体規則性
触媒の製造例としては、四塩化チタンを有機アルミニウ
ム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容
体で処理して得られた三塩化チタン組成物と、有機アル
ミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルとを組み
合わせる方法(特開昭56−100806号、特開昭5
6−120712号、特開昭58−104907号の各
公報参照)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チ
タンと各種の電子供与体を接触させる担持型触媒の方法
(特開昭57−63310号、特開昭63−43915
号、特開昭63−83116号の各公報参照)等の方法
を例示することができる。上記触媒の存在下、気相流動
床、溶液法、スラリー法等の製造プロセスを適用して、
プロピレンとエチレンとをブロック共重合することによ
り得ることができる。
【0011】配合量比 上記プロピレン・エチレンブロック共重合体の配合量
は、上記(A)〜(D)成分の合計量基準で55〜75
重量%、好ましくは56〜70重量%、特に好ましくは
60〜70重量%含有させることが重要である。該配合
量が上記範囲未満であると曲げ弾性率が劣り、逆に、上
記範囲を超えると耐衝撃性が低下する。
【0012】(B) エチレン・プロピレン共重合体ゴム
((B)成分)エチレン・プロピレン共重合体ゴムの物性 本発明の熱可塑性樹脂組成物を場合により構成するエチ
レン・プロピレン共重合体ゴム((B)成分)は、メル
トフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷
重)が0.2〜2g/10分、好ましくは0.3〜1.
5g/10分であるエチレン・プロピレン共重合体ゴム
が用いられる。上記共重合体ゴムのMFRが上記範囲未
満の場合には、衝撃強度が低下する。また、逆に、上記
範囲を超える場合には製品の光沢が高くなり、艶消し状
の外観が必要な製品には不適当である。
【0013】また、エチレン・プロピレン共重合体ゴム
は分子内に適当量の結晶性セグメントを有することが重
要であり、示差走査熱量計(DSC:Differen
tial Scanning Calorimete
r) による測定で30〜60℃、好ましくは35〜55
℃、特に好ましくは40〜50℃に融解温度を持つもの
が用いられる。融解温度が上記範囲未満のものであると
結晶性が低く、表面硬度が不十分となる。逆に、上記範
囲を超えるものでは耐衝撃性が不足するので不適当なも
のとなる。該エチレン・プロピレン共重合体ゴムのプロ
ピレンの含量は12〜30重量%、特に15〜25重量
%のものが、耐衝撃性及び表面硬度の観点から良好であ
るので好ましい。このエチレン・プロピレン共重合体ゴ
ムは、第三成分としてエチリデンノルボルネン、1,4
−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン等を用いたもの
であっても良い。上記エチレン・プロピレン共重合体ゴ
ムは、1種類である必要はなく、2種以上の混合物であ
っても良い。
【0014】エチレン・プロピレン共重合体ゴムの製造 上記エチレン・プロピレン共重合体ゴムは、上記(A)
成分と同様に、チーグラー型触媒、フィリップス型触媒
等のイオン重合触媒の存在下で、気相流動床、溶液法、
スラリー法等の製造プロセスを適用して、エチレンとプ
ロピレンを共重合することにより、場合により第三成分
を添加して共重合することにより得られるものである。
【0015】配合量比 上記エチレン・プロピレン共重合体ゴムの配合量は、熱
可塑性樹脂組成物中に0〜10重量%、好ましくは2〜
8重量%、特に好ましくは3〜6重量%含有させること
が重要である。該配合量が上記範囲を超えると表面硬度
が低下する傾向がある。
【0016】(C) エチレン・α−オレフィン共重合体
ゴム((C)成分)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムの物性 本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するエチレン・α−
オレフィン共重合体ゴム((C)成分)は、示差走査熱
量計(DSC:Differential Scann
ing Calorimeter) による測定で60〜
100℃、好ましくは65〜90℃、特に好ましくは7
0〜80℃に融解温度を持つものが用いられる。融解温
度が上記範囲未満のものであると結晶性が低く、表面硬
度が不十分となる。逆に、上記範囲を超えるものでは耐
衝撃性が不足するものとなる。また、エチレン・α−オ
レフィン共重合体ゴムのメルトフローレート(MFR:
230℃、2.16kg荷重)は、0.3〜2g/10
分、好ましくは0.4〜1.9g/10分の範囲のもの
が用いられる。該MFRが上記範囲未満のものはIZO
D衝撃等の物性が低下する。逆に、上記範囲を超えるも
のは耐衝撃性の改良効果が低下する。
【0017】エチレンと共重合するα−オレフィンとし
ては、炭素数4〜12、好ましくは4〜8の末端オレフ
ィン化合物であり、具体的には1−ブテン、3−メチル
−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプ
テン等を挙げることができる。これらの中でも1−ブテ
ンとの共重合物が衝撃強度、引張り伸び、表面硬度のバ
ランスに優れる点で特に好ましい。これらの共重合α−
オレフィンは1種類である必要はなく、場合によっては
2種以上の混合物を用いた多元共重合体であっても良
い。このような多元共重合体の場合には炭素数4〜12
のα−オレフィンに加えて、更にプロピレンを用いるこ
ともできる。また、エチレン・α−オレフィン共重合体
ゴムの密度が、0.90g/cm3未満、特に0.87
〜0.89g/cm3 のものは、耐衝撃性及び表面硬度
の観点からより一層良好なものとなるので好ましい。上
記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムは、1種類で
ある必要はなく、2種以上の混合物であっても良い。
【0018】エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムの
製造 上記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムは、チーグ
ラー型触媒、フィリップス型触媒等のイオン重合触媒の
存在下、気相流動床、溶液法、スラリー法等の製造プロ
セスを適用して、エチレンとα−オレフィンを共重合す
ることにより得ることができる。α−オレフィンの含有
量に関わらず溶融温度が上記範囲内にあるものであれば
良い。このα−オレフィンの含有量は5〜25重量%、
特に17〜23重量%のものが耐衝撃性及び表面硬度の
点から好ましい。
【0019】配合量比 上記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムの配合量
は、熱可塑性樹脂組成物中に5〜15重量%、好ましく
は6〜13重量%、特に好ましくは8〜12重量%含有
させることが重要である。該配合量が上記範囲未満では
耐衝撃性が低下し、逆に、上記範囲を超えると表面硬度
が低下する。
【0020】(D) タルク((D)成分)タルクの物性 本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するタルク((D)
成分)としては、平均粒径が5μm以下、好ましくは
0.5〜3μmであり、かつ比表面積が3.5m2 /g
以上、好ましくは3.5〜6m2 /gのものである。こ
れらが上記範囲外のものでは耐衝撃性が低下するので不
適当である。該平均粒径の測定は、液層沈降式光透過法
(例えば、島津製作所製CP型等)を用いて測定した粒
度累積分曲線から読み取った累積量50重量%の時の粒
径値より求められる。また、比表面積の測定は、空気透
過法(例えば、島津製作所製SS−100型恒圧通気式
比表面積測定装置等)による測定値より求められる。ま
た、これらタルクは、一般に、乾式粉砕後、乾式分級す
ることにより製造される。タルクは、重合体との接着性
或いは分散性を向上させる目的で、各種の有機チタネー
ト系カップリング剤、シランカップリング剤、脂肪酸、
脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等によって表面処理した
ものを用いても良い。
【0021】配合量比 タルクの配合量は、15〜25重量%であり、好ましく
は17〜23重量%である。タルクの配合量が上記範囲
未満では曲げ弾性率が不足し、上記範囲を超える場合は
比重が大きくなり過ぎる。
【0022】(E) ヒンダードアミン成分((E)成
分) 本発明の熱可塑性樹脂組成物には、耐候剤として
【0023】
【化3】
【0024】構造(Rは炭素数3以上のエステル基、エ
ーテル基を含有していても良い炭化水素基)を有するヒ
ンダードアミンが用いられる。このヒンダードアミン
は、好ましくはテトラメチルピペリジル構造を有するヒ
ンダードアミンであり、具体的には、[4−(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニ
ル]−N−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル
フェニル)メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン、[4−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオニ
ル]−N−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル
フェニル)メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン、[4−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオニ
ル]−N−(4−ヒドロキシフェニル)メチル−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ−(N−β
−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−
4−ヒドロキシ−ピペリジルスクシネート)等を挙げる
ことができる。これらのヒンダードアミン化合物の中で
は、[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル
フェニル)プロピオニル]−N−(4−ヒドロキシ−
3,5−ジ−t−ブチルフェニル)メチル−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ−(N−β−ヒ
ドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−
ヒドロキシ−ピペリジルスクシネート)を用いれば、金
型を汚染しないで耐候性を発揮することができる点で特
に好ましい。
【0025】これらヒンダードアミン系安定剤の配合量
は、(A)〜(D)成分100重量部に対して0.05
〜2重量部、好ましくは0.08〜0.5重量部、特に
好ましくは0.1〜0.3重量部である。配合量が上記
範囲を超える場合は金型汚染に悪影響を及ぼし、逆に、
上記範囲未満であると実用的耐候性能が低下する。
【0026】(F) トリアリールフォスファイト成分
((F)成分) 本発明の熱可塑性樹脂組成物には、酸化防止剤としてト
リアリールフォスファイトが用いられる。トリアリール
フォスファイトとしては、例えば、トリフェニルフォス
ファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、トリ
スジノニルフェニルフォスファイト、トリス−(p−t
−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス−(2,4
−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等を挙げる
ことができる。これら化合物の中で、耐加水分解性、高
温時の加工安定性、金型汚染防止性の観点から、トリス
−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
等用いることが好ましい。これらトリアリールフォスフ
ァイトの配合量は、(A)〜(D)成分100重量部に
対して0.01〜1重量部、好ましくは0.01〜0.
5重量部、特に好ましくは0.01〜0.15重量部で
ある。配合量が上記範囲を超える場合は金型汚染に悪影
響を及ぼし、逆に、上記範囲未満であると成形加工時の
安定性が低下する。
【0027】(G) 金属塩成分((E)成分) 本発明の熱可塑性樹脂組成物には、分散剤として下記一
般式[I]で表わされる金属塩が用いられる。 一般式[I] (RCOO)2 X (但し、式中のRは分子量290〜500、好ましくは
290〜400の1価の炭化水素基、XはZn、Mg又
はCaを表わす。) 上記金属塩は、タルクの分散剤及び着色する際の顔料分
散剤として用いられ、金型汚染を高度に防止するために
は、上記一般式[I]で表わされる金属塩を使用するこ
とが重要である。上記Rの分子量が上記範囲未満である
と、金型が汚染され易い。逆に、上記範囲を超えるとタ
ルクや顔料の分散性が劣る。
【0028】具体的には、ベヘン酸カルシウム、ベヘン
酸マグネシウム、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸亜鉛、モン
タン酸カルシウム、モンタン酸マグネシウム、メリシン
酸カルシウム、メリシン酸マグネシウム、メリシン酸亜
鉛、セロチン酸カルシウム、セロチン酸マグネシウム、
セロチン酸亜鉛、リグノセリン酸カルシウム、リグノセ
リン酸マグネシウム、リグノセリン酸亜鉛を挙げること
ができる。これら金属塩の中では、ベヘン酸カルシウ
ム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸
亜鉛、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム
等を用いることが好ましい。これら金属塩の配合量は、
(A)〜(D)成分100重量部に対して0.05〜4
重量部、好ましくは0.1〜2重量部、特に好ましくは
0.2〜1重量部である。配合量が上記範囲を超える場
合は金型汚染に悪影響を及ぼし、逆に、上記範囲未満で
あると顔料、タルク等の分散性が不足して物性に悪影響
を与える。
【0029】(H) 付加的成分(任意成分) 本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記(A)〜(G)
の必須成分以外に本発明の効果を著しく損なわない範囲
で、上記以外の付加的成分を添加することができる。こ
の様な付加的成分((H)成分)としては、フェノール
系酸化防止剤、キナクリドン、ペリレン、フタロシアニ
ン、カーボンブラック等の着色物質、繊維状チタン酸カ
リウム、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、繊維
状硼酸アルミニウム、炭酸カルシウム等のウイスカー、
炭素繊維やガラス繊維等の物質を例示することができ
る。 [II] 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 (1) 混 練 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記構成成分を通常
の、押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダ
ープラストグラフ、ニーダー等を用いて、常温で混練す
ることにより製造されるが、これらの中でも押出機、特
に二軸押出機を用いて製造することが好ましい。 (2) 成形加工 また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形加工法は、特
に限定されるものではないが、奏される発明の効果から
みて、射出成形法を用いることが最も適している。
【0030】[III] 熱可塑性樹脂組成物 (1) 物 性 上記方法によって製造される本発明の熱可塑性樹脂組成
物は、射出成形時の加工性が良好で、外観にも優れ、曲
げ弾性率、耐衝撃性、引張り伸び、表面硬度、耐熱性が
良好な、金型汚染性の抑制された下記の物性を示すこと
ができる。 (a) MFR :8g/10分以上、好ましくは9
g/10分以上、 (b) 曲げ弾性率:20,000kg/cm2 以上、
好ましくは21,000kg/cm2 以上、 (c) アイゾット(IZOD)衝撃値(23℃):1
5kg・cm/cm以上、好ましくは17kg・cm/
cm以上、 (d) 引張り伸び:200%以上、好ましくは210
%以上、 (e) 熱変形温度:120℃以上、好ましくは125
℃以上、 (f) ロックウエル硬度:70以上、好ましくは74
以上、 (g) 光沢 :55%以下、好ましくは48%以
下、 また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、低光沢を目的と
した表面シボ加工を施した金型で成形体を成形した場
合、該金型シボ加工部のグロスの変化量が2,000シ
ョット成形後で1.0以下であることが好ましい。
【0031】(2) 用 途 上記の物性を示すことができる素材であることから、種
々の成形品に加工することができるが、中でも、自動車
内装材部品等の射出成形品、特に、インストルメントパ
ネル、ドアトリム、コンソールボックス、各種ピラー材
等に成形することが好ましい。
【0032】
【実施例】以下に示す実験例によって、本発明を更に具
体的に説明する。 [I] 測定法 (1) MFR : ASTM−D1238に準拠
し、2.16kg荷重にて230℃の温度で測定した。 (2) アイソタクチックペンタッド分率(P): 13
C−NMRを用いてMacromolecule、8、
687(1975)に記載の方法に基づき測定した。 (3) 融解温度 : 示差走査熱量計(DSC:Di
fferentialScanning Calori
meter) を用い、180℃の温度にまで加熱してサ
ンプルを融解させた後、10℃/分の速度で−100℃
の温度まで冷却し、その後、20℃/分の速度で昇温し
て、得られるサーモグラムのピーク位置より読み取っ
た。
【0033】(4) 曲げ弾性率: ASTM−D79
0に準拠し、23℃における曲げ速度2mm/分で測定
した。 (5) 耐衝撃性 : ASTM−D785に準拠し、
23℃におけるアイゾット衝撃値で評価した。 (6) 引張伸び : ASTM−D638に準拠し、
23℃において10mm/分の速度で引張り試験を行な
い、その伸び率を測定した。 (7) 表面硬度 : ASTM−D785に準拠し、
23℃におけるロツクウエル硬度をRスケールで評価し
た。 (8) 熱変形温度(HDT:Heat Deform
ation Temperatur) : AST
M−D523に準拠し、4.6kg荷重にて測定した。
【0034】(9) 光沢 : ASTM−D52
3に準拠し、入射角60度の条件で測定した。 (10)金型汚染性: 180〜220μmの深さのシ
ボに、更に艶消しのために全体的に0.5〜15μmの
深さのシボ加工を施した金型で、350mm×100m
m×3mmtなる形状のテストピースを2,000ショ
ット成形して、1ショット目と2,000ショット目の
金型シボ加工部のグロスの変化を測定し、その変化量が
1.0以下の場合を○、1.0を超える場合を×と判定
した。 (11)耐候性 : フェードメーター(スガ試験機
社製FAL−AU・H型試験機、ブラックパネル83
℃、雨なし条件)にて、1,000時間以内にクラック
が生じたものを×、生じなかったものを○と判定した。
【0035】[II] 実験例 実施例1〜21及び比較例1〜21 表1〜7に示す原材料を、表8及び表9に示す組成の割
合で配合し、更に、酸化防止剤としてテトラキス[メチ
レン−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバガイギ
ー社製商品名「RA1010」)を0.1重量部の割合
で配合し、これらを川田製作所製スーパーミキサーで5
分間混合した後、神戸製鋼所製FCM二軸混練機にて2
10℃の設定温度で混練造粒することにより熱可塑性樹
脂組成物を得た。その後、型締め力100トンの射出成
形機にて成形温度210℃で各種試験片を作成し、上記
各種測定法に従って測定を行ない、その評価結果を表1
0及び表11に示す。金型汚染性については、上記テス
トピースを型締め圧265トンの成形機で連続2,00
0ショット成形を行ない、前述の測定法に従って評価を
行なった。更に、実施例1〜8については更に10,0
00ショットまで成形を行ない、グロスの変化率を測定
したが、その変化率は1.0以下であった。その評価結
果を表10及び表11に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【0045】
【表10】
【0046】
【表11】
【0047】
【発明の効果】このような本発明の熱可塑性樹脂組成物
は、プロピレン・エチレンブロック共重合体、エチレン
・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・α−オレフィン
共重合体樹脂、タルク、及び、特定の添加剤により構成
されていることから、射出成形時の加工性が良好で、外
観にも優れ、曲げ弾性率、耐衝撃性、引張り伸び、耐熱
性、表面硬度が良好な、金型汚染性の抑制された特に自
動車内装部品等の射出成形品に好適に使用することがで
きる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/3432 C08K 5/3432 5/524 5/524 //(C08L 53/00 23:08) (72)発明者 残 華 幸 仁 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 堤 育 雄 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 佐 藤 寛 樹 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(A)〜(D)成分はそれらの和を配
    合量基準とし、該和の100重量部に対して下記(E)
    〜(G)成分を配合してなることを特徴とする金型汚染
    性の改良された熱可塑性樹脂組成物。 (A)成分: プロピレン単独重合部分のメルトフローレート(MFR)が1 5〜50g/10分、同アイソタクチックペンタッド分率が0.97以上で、か つブロック共重合体のMFRが10〜30g/10分、エチレン含量が2〜6重 量%であるプロピレン・エチレンブロック共重合体 55〜75重量% (B)成分: 30〜60℃に融解温度を持ち、MFRが0.2〜2g/10 分であるエチレン・プロピレン共重合体ゴム 0〜10重量% (C)成分: 60〜100℃に融解温度を持ち、MFRが0.3〜2g/1 0分であるエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム 5〜15重量% (D)成分: 平均粒径が5μm以下であり、比表面積が3.5m2 /g以上 であるタルク 15〜25重量% (E)成分: 【化1】 構造(Rは炭素数3以上のエステル基、エーテル基を含有していても良い炭化水 素基)を有するヒンダードアミン 0.05〜2重量部 (F)成分: トリアリールフォスファイト 0.01〜1重量部 (G)成分: 下記一般式[I]で表わされる金属塩 0.05〜4重量部 一般式[I] (RCOO)2 X (但し、式中のRは分子量290〜500の1価の炭化
    水素基、XはZn、Mg又はCaを表わす。)
  2. 【請求項2】組成物が、MFRが8g/10分以上で、
    23℃における曲げ弾性率が20,000kg/cm2
    以上、アイゾット衝撃値が15kg・cm/cm以上、
    引張り伸びが200%以上、熱変形温度が120℃以
    上、ロックウエル硬度が70以上である、請求項1に記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】低光沢を目的とした表面シボ加工を施した
    金型で成形体を成形した場合、該金型シボ加工部のグロ
    スの変化量が2,000ショット成形後で1.0以下で
    ある、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09227759A (ja) * 1996-02-22 1997-09-02 Mitsubishi Chem Corp 金型汚染性の改良された熱可塑性樹脂組成物
JP2002012720A (ja) * 2000-07-03 2002-01-15 Grand Polymer Co Ltd 金型汚染性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物
JP2016027161A (ja) * 2015-08-28 2016-02-18 株式会社フジクラ 難燃性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブル

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