JPH0920736A - アクロレイン類を原料とする生分解性キレート剤、l,l−プロパンジアミンジコハク酸類とそのアルカリ金属塩の製造方法 - Google Patents

アクロレイン類を原料とする生分解性キレート剤、l,l−プロパンジアミンジコハク酸類とそのアルカリ金属塩の製造方法

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JPH0920736A
JPH0920736A JP7186598A JP18659895A JPH0920736A JP H0920736 A JPH0920736 A JP H0920736A JP 7186598 A JP7186598 A JP 7186598A JP 18659895 A JP18659895 A JP 18659895A JP H0920736 A JPH0920736 A JP H0920736A
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schiff base
aspartic acid
acid
alkali metal
reaction
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Hiroshi Yamamoto
浩 山本
Yasuyuki Takayanagi
恭之 高柳
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Nitto Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nitto Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 入手容易なアクロレイン類とL−アスパラギ
ン酸を原料とし、生分解性に優れたL,L−プロパンジ
アミンジコハク酸類を再現性の良い易工程、高収率、高
純度で提供する。 【構成】 アクロレイン類にL−アスパラギン酸をアル
カリ性条件下で付加した後、更に1分子のL−アスパラ
ギン酸を縮合させて生成したシッフ塩基を、触媒存在下
に接触水素添加により還元するL,L−プロパンジアミ
ンジコハク酸(PDDS)類のアルカリ金属塩の製造方
法。また上記の生成したシッフ塩基を、触媒存在下に接
触水素添加により還元し、次いで鉱酸で酸析結晶化する
L,L−PDDS類の製造方法。および上記の生成した
シッフ塩基を金属水素化物により還元するL,L−PD
DS類のアルカリ金属塩の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクロレイン類とL−
アスパラギン酸から、L,L−プロパンジアミンジコハ
ク酸類およびそのアルカリ金属塩を製造する方法に関す
る。
【0002】L,L−プロパンジアミンジコハク酸類お
よびそのアルカリ金属塩は、生分解性キレート剤とし
て、洗浄剤組成物、洗剤ビルダー、重金属封鎖剤、過酸
化物安定剤などに広く用いられる。
【0003】
【従来の技術】L,L−プロパンジアミンジコハク酸
(以下、L,L−PDDSという)を製造する方法は、
従来から幾つか知られている。例えば、1分子の1,3
−ジクロロプロパンに2分子のL−アスパラギン酸を付
加する方法(Zhurnal Obschei Khimii1978年, 49巻, 3
号, 663 ページ) 、また、PDDSの立体異性体混合物
を製造する従来技術としては、1分子の1,3−プロパ
ンジアミンに2分子のマレイン酸を付加する方法(Zhur
nal Obschei Khimii 1978年, 49巻, 3 号, 669 ペー
ジ) が知られている。これら従来技術の問題点について
以下に述べる。
【0004】1,3−ジクロロプロパンを用いる従来技
術は、L,L−PDDS以外にも副生成物を伴うため、
目的物を実用的な反応収率で得るには至っていない。ま
た、反応収率が反応液のpH、反応温度、滴下速度等の
微細な変動によって大きく左右されるため、再現性のあ
る易工程とは成り難い。しかも、反応後にクロル化合物
が排出されるため、その廃液処理の点で重大な課題を残
す。
【0005】また、PDDSの立体異性体混合物を製造
する従来技術は、PDDSのD,D−体とD,L−体と
を、目的とするL,L−PDDS以上の生成比で与える
ため、PDDSの生分解性キレート剤としての実用性に
課題を残している。すなわち、D,D−PDDSは、生
分解性に乏しく、環境中に大量に放出された際に深刻な
事態が懸念される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら従来
技術の問題点を解決すべくなされたもので、L,L−P
DDS類およびそのアルカリ金属塩の工業的に有利な製
造方法を提供することを目的としており、具体的には、
工業的に入手が極めて容易なアクロレイン類とL−アス
パラギン酸を原料とし、生分解性に極めて優れたL,L
−PDDS類を、再現性の良い易工程にて、高収率、高
純度で提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究の結果、アクロレインのL−アス
パラギン酸に対する共役付加反応により、3−オキソプ
ロピル−L−アスパラギン酸が容易に生成することを見
いだした。また、このようにして得られた2−オキソプ
ロピル−L−アスパラギン酸が、更に1分子のL−アス
パラギン酸と脱水縮合反応を経て、シッフ塩基を容易に
生成することを見いだした。そして、このシッフ塩基を
接触水素添加あるいは金属水素化物による還元反応に供
すると、目的とするL,L−PDDSが高収率、高純度
で,ラセミ化を伴わずに得られることを見いだした。ま
た、アクロレンをメタアクロレインに代えた場合でも同
様に、2−メチル−L,L−プロパンジアミンジコハク
酸(以下、L,L−MePDDSという)が得られるこ
とを見いだした。
【0008】すなわち、本発明は、アクロレイン類にL
−アスパラギン酸をアルカリ性条件下で付加した後、更
に1分子のL−アスパラギン酸を縮合させて生成したシ
ッフ塩基を、触媒存在下に接触水素添加により還元する
ことを特徴とする、L,L−プロパンジアミンジコハク
酸類のアルカリ金属塩の製造方法に関する。
【0009】また、本発明は、アクロレイン類にL−ア
スパラギン酸をアルカリ性条件下で付加した後、更に1
分子のL−アスパラギン酸を縮合させて生成したシッフ
塩基を、触媒存在下に接触水素添加により還元し、次い
で鉱酸で酸析結晶化することことを特徴とする、L,L
−プロパンジアミンジコハク酸の製造方法に関する。
【0010】さらに、本発明は、アクロレイン類にL−
アスパラギン酸をアルカリ性条件下で付加した後、更に
1分子のL−アスパラギン酸を縮合させて生成したシッ
フ塩基を、金属水素化物により還元することを特徴とす
る、L,L−プロパンジアミンジコハク酸類のアルカリ
金属塩の製造方法に関する。
【0011】以下に原料としてアクロレインを用いて
L,L−PDDSおよびそのアルカリ金属塩を製造する
場合について説明するが、メタアクロレインを用いても
同様の操作で、L,L−MePDDSおよびそのアルカ
リ金属塩を製造することができる。
【0012】本発明の方法は、1分子のアクロレインを
1分子のL−アスパラギン酸のアミノ基にアルカリ性条
件下で共役付加させ、3−オキソプロピル−L−アスパ
ラギン酸を生成する共役付加工程、また、その反応生成
物である2−オキソプロピル−L−アスパラギン酸のア
ルデヒド基に、更に1分子のL−アスパラギン酸のアミ
ノ基を脱水縮合させるシッフ塩基生成工程、更に、その
反応生成物であるシッフ塩基を接触水素添加あるいは金
属水素化物によって水素化するシッフ塩基還元工程、そ
して、その反応生成物に鉱酸を添加して目的とするL,
L−PDDSを単離する酸析結晶化工程からなる。
【0013】あるいは、1分子のアクロレインを1分子
のL−アスパラギン酸のアミノ基にアルカリ性条件下で
共役付加させ、3−オキソプロピル−L−アスパラギン
酸を生成する共役付加工程、また、その反応生成物であ
る3−オキソプロピル−L−アスパラギン酸のアルデヒ
ド基に、更に1分子のL−アスパラギン酸のアミノ基を
脱水縮合させるシッフ塩基生成工程、更に、その反応生
成物であるシッフ塩基をを接触水素添加あるいは金属水
素化物によって水素化するシッフ塩基還元工程、そし
て、その反応生成物を濃縮して目的とするL,L−PD
DSのアルカリ金属塩を単離する蒸発乾固工程からな
る。
【0014】本発明において用いられるアクロレイン
は、医薬品、繊維処理剤、架橋縮合剤、アリルアルコー
ル、グリセリンなどの原料として広く用いられており、
工業原料として極めて容易に入手できる。また、同様に
メタアクロレインも、工業原料として入手が容易であ
る。いずれの場合も用いられる形態としては、重量濃度
20〜100%の好ましくは80〜90%の水溶液品が
一般的である。
【0015】本発明において用いられるアスパラギン酸
は、D−体、L−体、およびラセミ体のいずれを選択し
ても化学反応的には同様であるが、生分解性に極めて優
れたL,L−PDDSを得ようとする目的からL−体の
みが好ましく選択される。その際、L−アスパラギン酸
は、工業的に入手できる純度70%以上、好ましくは8
5%以上の固体が使用できるが、その製造途中で得られ
るアルカリ金属塩またはそのアルカリ金属塩の水溶液を
直接用いることもできる。
【0016】本発明の共役付加工程において用いられる
L−アスパラギン酸の使用量は、アクロレインに対し、
1.8〜2.6倍モル、好ましくは1.9〜2.2倍モ
ルの範囲で適宜選択される。この使用量は、次工程のシ
ッフ塩基生成工程を連続的に実施するため、アクロレイ
ンに対し約2倍モルのL−アスパラギン酸を、あらかじ
め存在させることによる。しかし、次工程のシッフ塩基
生成工程を段階的に実施する場合は、アクロレインに対
し、0.8〜1.6倍モル、好ましくは0.9〜1.2
倍モルのL−アスパラギン酸を使用することが望まし
い。
【0017】共役付加工程におけるpH条件は、アルカ
リ金属水酸化物、またはその水溶液の添加によって中性
〜弱アルカリ性に設定される。アルカリ金属としては、
Li、Na,K,好ましくは、Naが用いられる。アル
カリ金属水酸化物の代わりに、L−アスパラギン酸アル
カリ金属塩、またはその水溶液を直接用いてもよい。
【0018】共役付加工程における設定pHは、7〜1
3、好ましくは8〜12の範囲で適宜選択される。pH
13以上では、アクロレインの重合分解に由来する着色
が著しく、また一方、pH7以下でも、反応性の低下の
ため3−オキソプロピル−L−アスパラギン酸の生成が
円滑に進行せず、結果的にアクロレインの重合分解につ
ながる。このように共役付加工程における設定pHは、
極めて重要な要素であるが、本法の有利な点は、反応液
中に高濃度で存在するL−アスパラギン酸の強力な緩衝
作用のため、一旦設定されたpH値が工程中ほとんど一
定に保持されることである。
【0019】共役付加工程における混合方法としては、
L−アスパラギン酸のアルカリ性水溶液にアクロレンを
反応液中に蓄積しない程度の速度で滴下する方法が、最
も一般的に採用される。アクロレン水溶液にL−アスパ
ラギン酸のアルカリ性水溶液を滴下する方法も可能であ
るが、滴下途中において反応液中に大過剰存在するアク
ロレインの重合分解を不必要に引き起こす恐れがある。
いずれの場合にも滴下の際に、発熱が生じる。滴下時の
反応液の温度は、0〜60℃、好ましくは0〜50℃の
範囲で実施することが望ましい。滴下時の急激な温度上
昇は、反応液の著しい着色を引き起こし、共役付加工程
において目的とする3−オキソプロピル−L−アスパラ
ギン酸の反応収率は、大きく低下する。
【0020】共役付加工程における熟成温度は、0〜6
0℃、好ましくは0〜50℃の範囲で適宜選択される。
また、熟成時間は、1〜24時間、好ましくは1〜4時
間の範囲で適宜選択される。尚、アクロレインの気化損
失を防ぐため、共役付加工程における滴下および熟成を
通して反応装置に冷却管を装着することは、反応を効率
よく進行させるためにも、安全性の見地からも必要であ
る。
【0021】本発明におけるシッフ塩基生成工程は、前
工程のある共役付加工程と連続的に実施されるのが有利
である。すなわち、共役付加工程において、アクロレイ
ンを約2倍モルのL−アスパラギン酸存在下に反応させ
ると、3−オキソプロピル−L−アスパラギン酸の生成
に引き続き、更にもう1分子のL−アスパラギン酸が脱
水縮合してシッフ塩基の生成が進行する。この連続的工
程において、共役付加が不可逆的に進行するのに対しシ
ッフ塩基生成が可逆的であるため、仮にシッフ塩基生成
が共役付加に先んずることがあっても、3−オキソプロ
ピル−L−アスパラギン酸のシッフ塩基の生成が、結果
的に大きく優先的に進行する。
【0022】シッフ塩基生成工程を共役付加工程と連続
的に実施する場合、設定pHは、7〜13、好ましくは
8〜12の範囲がよい。熟成温度は、0〜60℃、好ま
しくは0〜50℃の範囲がよい。また、熟成時間は、0
〜24時間、好ましくは0〜4時間の範囲で適宜選択さ
れる。
【0023】シッフ塩基生成工程を共役付加工程に対
し、段階的に分割して実施することも可能である。その
際、段階的に追加するアスパラギン酸の量は、対アクロ
レイン0.8〜1.6倍モル、好ましくは0.9〜1.
2倍モル用いるのがよい。その場合、反応液の急激なp
H変動を抑制するため、7〜13、好ましくは8〜12
の範囲のアルカリ金属塩として用いるのが好ましい。
【0024】シッフ塩基生成工程を共役付加工程に対
し、段階的に実施する場合、熟成時間は、2〜24時
間、好ましくは1〜4時間の範囲で適宜選択される。こ
のように、二工程の段階的実施は、工程の煩雑さおよび
熟成時間の延長の点において不利であるが、目的に応じ
て3−オキソプロピル−L−アスパラギン酸またはその
アルカリ金属塩を単離しょうとする場合に採用される。
【0025】本発明におけるシッフ塩基還元工程にて実
施される水素化反応は、触媒を用いた接触水素添加反
応、または金属水素化物による還元反応によって達成さ
れる。
【0026】シッフ塩基還元工程の接触水素添加反応に
おいて用いられる触媒は、ニッケル、パラジウム、ロジ
ウム、ルテニウム、プラチナなどの重金属が不均一触媒
として用いられる。この内、反応性および原料の入手性
に最も優れるのがニッケルであり、ラネーNiとして用
いられる。また、その他の重金属も使用可能であるが原
料の入手性の見地から、Pd−C、Rh−C、Rh−A
2 3 、PtO2 などとして、回収再利用することが
望ましい。
【0027】シッフ塩基還元工程の接触水素添加反応に
おいて用いられる触媒の使用量は、、シッフ塩基生成工
程において用いたアクロレインに対し、1〜30モル
%、好ましくは5〜10モル%用いられる。
【0028】シッフ塩基還元工程の接触水素添加反応
は、シッフ塩基生成工程後の反応生成物に直接触媒を添
加し、水素雰囲気下にて激しく攪拌することによって開
始される。水素圧は、0〜100気圧、好ましくは20
〜50気圧の範囲で適宜選択される。
【0029】シッフ塩基還元工程の接触水素添加反応に
おける反応温度は、20〜100℃、好ましくは40〜
70℃の範囲で適宜選択される。また、熟成時間は、1
〜24時間、好ましくは2〜5時間の範囲で適宜選択さ
れる。反応後、使用した触媒は、静置沈降後の傾斜濾
過、あるいは、セライト等の濾過序剤を用いた濾過によ
って速やかに濾別される。濾別された触媒は、洗浄およ
び活性化の後、再生利用されることが望ましい。
【0030】得られる濾液は、無色または微褐色の、や
や粘性を帯びた、透明な液体であり、次工程の蒸発乾固
工程、あるいは、酸析結晶化工程に直接用いられる。
【0031】本発明における蒸発乾固工程は、シッフ塩
基還元工程において接触水素添加反応を実施し、しか
も、反応収率が高い場合に、目的とするL,L−PDD
Sのアルカリ金属塩を直接取得することを目的とする。
【0032】本発明の蒸発乾固工程は、接触水素添加反
応によるシッフ塩基還元工程後の反応生成物を加熱濃縮
して得られるスラリーを、スプレードライ方式により粉
末結晶下することによって得られる。その際、加熱濃縮
に先立ち、シッフ塩基還元工程後の反応生成物にアルカ
リ金属水酸化物の水溶液を加え、pHを適宜調節するこ
とにより、L,L−PDDSの2〜4アルカリ金属塩が
生成可能である。
【0033】次に、本発明のシッフ塩基還元工程におい
て、金属水素化物による還元反応にを実施する場合につ
いて述べる。
【0034】シッフ塩基還元工程において用いられる金
属水素化物としては、NaBH3 CN、NaBH4 、N
aH2 PO2 等が用いられるが、反応の際の設定pHは
それぞれ異なる。NaBH3 CNを用いる場合は、設定
pH5〜12、好ましくは、5〜7がよい。NaBH4
を用いる場合は、設定pH9〜13、好ましくは、10
〜12がよい。また、NaH2 PO2 を用いる場合は、
設定pH8〜13、好ましくは、10〜12がよい。い
ずれの金属水素化物のを用いた場合でも、高アルカリ性
側程、還元電位が増大するため反応性は上昇するが、ア
ルカリ性条件が強すぎると副生生物の増大と着色が増大
するので、反応を設定pH範囲外で実施することは、後
の目的物取得の際、深刻な収率低下につながるので避け
るべきである。
【0035】金属水素化物を用いたシッフ塩基還元工程
における反応温度は、0〜100℃、好ましくは20〜
50℃の範囲で適宜選択される。また、熟成時間は、1
〜36時間、好ましくは4〜8時間の範囲で適宜選択さ
れる。得られる反応液は、黄褐色または茶褐色の液体で
あり、次工程の酸析結晶化工程に直接用いられる。
【0036】本発明における酸析結晶化工程は、シッフ
塩基還元工程後得られた反応液に、鉱酸を加えることに
よって達成される。用いられる鉱酸としては、硫酸、塩
酸、硝酸等があげられるが、特に硫酸が好ましく用いら
れる。硫酸は、工業的に入手可能な純度60〜98%の
ものから選択され、加水分解工程によって得られた反応
液をpH1.0〜3.0、好ましくは、1.5〜2.5
に調節するための必要量が用いられる。硫酸滴下時の温
度は、10〜100℃、好ましくは40〜80℃の範囲
で実施するのが良く、滴下時間は、0.5〜3時間、好
ましくは1〜2時間の範囲が良い。
【0037】目的物であるL,L−PDDSは、硫酸添
加後の反応物を0〜50℃、好ましくは10〜40℃に
て、0〜72時間、好ましくは1〜5時間熟成した後、
析出する結晶を、吸引濾過または遠心濾過することによ
って得られる。
【0038】得られる目的物の結晶は、通常、結晶表面
に付着した微量の硫酸根を含む母液を少量の水を用いて
洗浄する以外、再結晶化を行わなくとも充分高純度であ
る。
【0039】シッフ塩基還元工程に接触水素添加反応を
用いた場合、特に有利なことは、酸析結晶化工程におい
て、中和反応によって生成した硫酸ナトリウム以外の副
生成物が生じないことであり、工業生産における廃液処
理を考えた場合、極めて有利なプロセスとなる。
【0040】
【実施例】次に、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】実施例1 攪拌機、温度計、滴下漏斗および蒸留装置を付したオー
トクレーブ型反応器に、水 (1,079kg)を仕込み、48重量
%NaOH水溶液(1,254kg, 15.1kmol)、次いでL−ア
スパラギン酸 (1,000kg, 7.52kmol)を攪拌下に連続して
溶解した。このようにして調製した酸換算30重量%のL
−アスパラギン酸二ナトリウム水溶液に、97重量%アク
ロレイン (210kg, 3.67kmol)を、反応液温度40℃、およ
び攪拌下に、1.5 時間かけて滴下した。滴下終了後、反
応液温度40〜50℃で、更に4.5 時間、攪拌を継続した。
この反応液にラネーニッケル (W6, 50重量%懸濁液,42
kg, 0.37kmol) を加え、反応装置内の空気を水素ガスで
充分置換した後、装置を密閉し水素圧を50気圧まで上昇
させ、次いで、激しい攪拌下にて、反応液温度を25℃か
ら75℃まで1 時間かけて徐々に昇温させた後、50℃にて
5.5 時間、激しい攪拌を続けた。この間、水素圧が75気
圧まで低下する毎に、水素の補給を行い100 気圧とし
た。反応液を室温まで放冷静置後、上清を吸引濾過装置
上にあけ、次いで残査も吸引濾過装置上にあけに水 (15
0kg)で洗浄し、濾液 (3,690kg)を得た。この濾液を、加
熱濃縮して得られるスラリ− (2,897kg)を、スプレ−ド
ライ方式によって、120 ℃で粉末乾燥し、L,L−PD
DSの4ナトリウム塩(1,593kg, 3.85kmol 、粗収率 1
05%)を薄い褐色粉末結晶 (融点 200℃) として得た。キ
ラルカラムを用いたHPLC分析の結果、生成したL,
L−PDDSの光学純度は、99%以上であった。また、
この粗結晶中の成分は、L,L−PDDS 98.3酸換算
重量%、L−アスパラギン酸 1.7酸換算重量%、であっ
た。
【0042】実施例2 実施例1と同様にラネーニッケルにて水素添加反応を行
い、濾液 (2,700 kg)を得た。この濾液に、98重量%硫
酸 (1,310kg, 13.1kmol) を1.5 時間かけて滴下した。
この間、反応液の温度は80℃に昇温した。反応液を再び
33℃まで放冷し、析出したL,L−PDDSの結晶を遠
心分離にて濾過した。更に、20℃の水 (40kg)で二回洗
浄して湿結晶 (1,392g) を得た。送風乾燥後のL,L−
PDDS(988kg, 3.22kmol,収率88%)は、均一な白色
結晶であり、HPLC分析の結果、生成したL,L−P
DDSの化学純度および光学純度は、いずれも99%以上
であった。
【0043】実施例3 実施例2と同様に共役付加反応、シッフ塩基生成反応と
を連続的に行った。この反応液に、NaBH4 (43kg,
1.13kmol)を水 (400 kg) にあらかじめ溶解して作成し
ておいた懸濁液を、反応液温度10℃、攪拌下、0.5 時間
にて加えた。その後、反応液温度を45℃まで昇温させ、
更に5.5 時間、攪拌を続けた。この反応液に、98重量%
硫酸 (1,540kg, 15.4kmol) を1.5 時間かけて滴下し
た。この間、反応液の温度は80℃に昇温した。反応液を
再び33℃まで放冷し、析出したL,L−PDDSの結晶
を遠心分離にて濾過した。更に、20℃の水 (40kg) で二
回洗浄して湿結晶 (1,341g) を得た。送風乾燥後のL,
L−PDDS(999kg, 3.27kmol, 収率89%)は、均一な
白色結晶であり、HPLC分析の結果、生成したL,L
−PDDSの化学純度および光学純度は、いずれも99%
以上であった。
【0044】実施例4〜6 97重量%アクロレイン (210kg)の代わりに99重量%メタ
クロレイン (259kg)を用いた以外、実施例1〜3と同様
の操作を実施し、L,L−MePDDSおよびそのの4
ナトリウム塩を得た。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】本発明の方法によれば、工業的に入手が極
めて容易なアクロレイン類とL−アスパラギン酸を原料
とし、生分解性に極めて優れたL,L−PDDS類およ
びそのアルカリ金属塩を、高収率、高純度で得ることが
できる。また、本発明は次のような利点もある。 (1)アクロレンおよびメタクロレインは、極めて入手
の容易な汎用工業原料であり、L,L−PDDSおよび
L,L−MePDDSの大量工業生産の原料として適切
である。 (2)プロセス上、共役付加、シッフ塩基生成、シッフ
塩基還元のいずれの工程も、温和な条件にて進行するた
め、反応の制御が容易である。特に、原料として高濃度
で使用するL−アスパラギン酸の緩衝効果によってpH
の変動が小さく保持されるため、煩雑なpH調整が不要
である。 (3)シッフ塩基還元工程にて、特に接触水素添加反応
を用いた場合、酸析結晶化工程での主な副生成物は硫酸
ナトリウムのみであり、L,L−PDDSおよびL,L
−MePDDSの大量工業生産における廃液処理を考え
た場合、極めて有利なプロセスとなる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクロレイン類にL−アスパラギン酸を
    アルカリ性条件下で付加した後、更に1分子のL−アス
    パラギン酸を縮合させて生成したシッフ塩基を、触媒存
    在下に接触水素添加により還元することを特徴とする、
    L,L−プロパンジアミンジコハク酸類のアルカリ金属
    塩の製造方法。
  2. 【請求項2】 アクロレイン類にL−アスパラギン酸を
    アルカリ性条件下で付加した後、更に1分子のL−アス
    パラギン酸を縮合させて生成したシッフ塩基を、触媒存
    在下に接触水素添加により還元し、次いで鉱酸で酸析結
    晶化することを特徴とする、L,L−プロパンジアミン
    ジコハク酸類の製造方法。
  3. 【請求項3】 アクロレイン類にL−アスパラギン酸を
    アルカリ性条件下で付加した後、更に1分子のL−アス
    パラギン酸を縮合させて生成したシッフ塩基を、金属水
    素化物により還元することを特徴とする、L,L−プロ
    パンジアミンジコハク酸類のアルカリ金属塩の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 アクロレイン類が、アクロレインまたは
    メタアクロレインである請求項1、2または3記載の製
    造方法。
JP7186598A 1995-05-09 1995-06-30 アクロレイン類を原料とする生分解性キレート剤、l,l−プロパンジアミンジコハク酸類とそのアルカリ金属塩の製造方法 Pending JPH0920736A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114437252A (zh) * 2020-10-16 2022-05-06 中国石油化工股份有限公司 一种苯乙烯-共轭二烯共聚物催化加氢胶液中残余镍的脱除方法
CN114456119A (zh) * 2022-02-08 2022-05-10 湖南工业大学 一种氢化腰果酚-杂环席夫碱化合物及制备方法和应用、聚乳酸复合材料及制备方法

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CN114456119A (zh) * 2022-02-08 2022-05-10 湖南工业大学 一种氢化腰果酚-杂环席夫碱化合物及制备方法和应用、聚乳酸复合材料及制备方法
CN114456119B (zh) * 2022-02-08 2023-09-01 湖南工业大学 一种氢化腰果酚-杂环席夫碱化合物及制备方法和应用、聚乳酸复合材料及制备方法

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