JPH09176782A - 耐破壊性能に優れた建築用高張力鋼材及びその製造方法 - Google Patents

耐破壊性能に優れた建築用高張力鋼材及びその製造方法

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JPH09176782A
JPH09176782A JP33662295A JP33662295A JPH09176782A JP H09176782 A JPH09176782 A JP H09176782A JP 33662295 A JP33662295 A JP 33662295A JP 33662295 A JP33662295 A JP 33662295A JP H09176782 A JPH09176782 A JP H09176782A
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JP
Japan
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steel material
steel
surface layer
construction
cooling
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Application number
JP33662295A
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Inventor
Toshinaga Hasegawa
俊永 長谷川
Hidesato Mabuchi
秀里 間渕
Yukio Tomita
幸男 冨田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、使用中に大地震等による大きくか
つ繰り返しの塑性歪を受けるような場合にも、塑性歪に
よる材質の劣化が非常に小さく、塑性変形後においても
脆性き裂を容易にする延性き裂の発生や進展を抑制し、
かつ万一破壊が発生した場合でもその脆性き裂を停止で
きる安全性の非常に大きな耐破壊性能に優れた構造物用
鋼材を提供する。 【解決手段】 母材の強度・靭性、溶接継手靭性確保の
ために化学成分範囲を適正化した上で、延性破壊の発生
特性及びき裂の伝播停止特性の繰り返し塑性変形後の劣
化を抑制するためにP,S,Oを極力低減し、さらに固
溶Nの低減のために全N量の低減とともにN固定元素A
l,Ti,Zr,Nb,Ta,V,Bを適切に含有さ
せ、さらに、表層に平均粒径が3μm以下で厚みが板厚
の10〜33%の超細粒組織を付与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は使用中に大地震等に
よる大きくかつ繰り返しの塑性歪を受けるような構造物
に使用される強度部材用の鋼材及びその製造方法に関す
るものである。例えば、この方法で製造した鋼材は海洋
構造物、圧力容器、造船、橋梁、建築物、ラインパイプ
等の溶接鋼構造物一般に用いることができるが、特に耐
震性を必要とする建築、橋梁等の構造物用鋼材として有
用である。また、鋼材の形態としては特に問わないが、
構造部材として用いられ、低温靭性が要求される鋼板、
特に厚板、鋼管素材あるいは形鋼に有用である。
【0002】
【従来の技術】近年、建築物の高層化、橋梁の大スパン
化等に見られるように構造物は大型化の傾向にあり、該
用途に使用される鋼材には、地震、台風等による構造物
の崩壊防止のための性能確保が重要な課題となってい
る。特に、阪神大震災の経験から、設計、施工上の特段
の配慮なしに構造物の安全性を鋼材の性能によって確保
しようとすると、延性破壊、脆性破壊の両面で安全性の
高い鋼材が必要であることが認識されつつある。
【0003】最近、高層建築用鋼材に延性破壊性能に配
慮した低降伏比鋼(低YR鋼)や高一様伸び鋼の使用が
検討されつつある。地震による構造物の崩壊が材料の延
性破壊のみによって引き起こされるのであれば、このよ
うな鋼材の使用は構造物の安全性向上につながる。
【0004】しかし、阪神大震災のような巨大地震にお
いては鋼材は必ずしも延性破壊で終局的な崩壊に至って
いるわけではなく、延性破壊の後に引き続いて脆性破壊
を生じ、脆性き裂が全体に伝播することによって最終的
な構造物の崩壊を引き起こす場合があることが震災後の
様々な調査によって示された。
【0005】また、地震による変形は単純ではなく、特
に巨大地震の場合にはその巨大かつ継続的な振動によっ
て、鋼材に塑性変形が生じるようなレベルの大きな力が
繰り返しかかると考えることが妥当である。
【0006】以上の観点から、数十年〜数百年に1回と
いうような巨大地震や巨大台風によっても構造物が崩壊
しないためには、鋼材が追加的に具備すべき特性のう
ち、特に下記の〜の特性を追加することが重要とな
る。
【0007】延性特性の向上により、地震のエネルギ
ーを吸収し得る延性破壊能に優れるとともに、延性き裂
の発生、伝播抵抗が大きい。 繰り返し塑性変形による靭性劣化が小さい。 一旦脆性き裂が発生しても、途中で停止して部材及び
構造物全体の破壊、崩壊につながらない。 従来から、上記特性の確保に対しては種々の分野におい
て、個々の特性に関しては一部その向上技術が開発され
てきた。
【0008】延性破壊能については、低降伏比化の手段
については数多く提案されており、さらに、焼入停止温
度の制御によりセメンタイトを安定化させて、直接的に
延性特性(一様伸び)を向上させて延性破壊能を確保す
る技術も特開平6−25737号公報に開示されてい
る。
【0009】脆性き裂の停止に対しては従来からNiの
含有が有効であることが知られている。また、最近では
特開平4−141517号公報に示されるような表層部
に超細粒組織を付与することによりNi量を高めること
なく、脆性き裂の伝播停止特性を向上させる技術が開発
されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、阪神大
震災を経験する以前には、必要な鋼材特性としては想像
もしなかった前記〜の特性、特に,については
必ずしも十分認識されておらず、そのため、〜の特
性を同時に満足して、設計、施工上の特段の配慮なしに
数十年〜数百年に1回というような巨大地震や巨大台風
に遭遇しても、構造物を崩壊させずにすむような耐破壊
性能に優れた鋼材及びその製造技術は現段階で完全に確
立されているとは言い得ない。
【0011】構造物としての安全性確保の観点からは当
然のことながら脆性破壊の発生の抑制を考慮することが
第一である。しかし、稀に見る巨大地震時の安全性確保
の観点から見るとさらに、脆性破壊の発生を容易にする
延性き裂の発生・進展の抑制を図ること、及び延性き裂
進展後のき裂先端で生じる塑性域での大きな靭性劣化
や、繰り返しの塑性変形後での大きな靭性の劣化が生じ
ないことまでもが鋼板に課せられた新たな課題となる。
【0012】ただし、構造物は特性の劣化した溶接部を
有し、また脆性破壊の起点となるような欠陥の存在を皆
無にすることは不可能であり、溶接部及び欠陥の存在を
前提とした場合には、脆性破壊の発生自体を完全に抑制
することは非常に困難であり、経済的にも非常に不利で
ある。
【0013】従って、万が一の脆性破壊を許容した上
で、そのき裂の伝播を阻止できる脆性き裂の伝播停止特
性を延性破壊特性、塑性変形後の靭性確保と両立させる
ことが課題となる。
【0014】表層部に超細粒組織を形成せしめて脆性き
裂の伝播停止特性を向上する技術は、特開平4−141
517号公報等で開示されているが、本発明が目的とし
ているような大地震等により大きな塑性変形を受けるよ
うな場合には、表層部に超細粒塑性を形成させただけで
は靭性、延性、脆性き裂伝播停止特性等、破壊に対する
抵抗を確保することは困難であり、以下に述べるよう
に、さらに不純物元素の厳密な制御、Nの固定のための
成分の工夫によって初めて達成される。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、延性破壊の発
生特性及びき裂の伝播停止特性の向上には不純物として
のP,SさらにOを極力低減する必要があり、繰り返し
塑性変形後もその特性を維持するためには固溶Nの低減
が重要であること、さらに繰り返し塑性変形等の塑性歪
による靭性劣化を抑制するためにも鋼中の固溶Nを低減
する必要があり、そのためには窒化物を形成してNを固
定する効果のあるAl,Ti,Zr,Nb,Ta,V,
Bを適切に含有させることが重要であることを詳細な実
験解析により知見した。
【0016】さらに、鋼種、成分範囲によらず延性破壊
特性、脆性破壊発生特性(靭性)と脆性き裂の伝播停止
特性を両立させ得る手段としては、表層に超細粒組織を
付与することにより、脆性き裂の伝播停止特性向上を図
ることが最も好ましいことを見出した。
【0017】また、特にその平均フェライト粒径が3μ
m以下となるような超細粒組織では、塑性歪が10%を
超えるような厳しい塑性変形を受けた場合においても、
シャルピー衝撃特性や脆性き裂の伝播停止特性の劣化が
フェライト粒径が5μm以上の通常の組織に比べて顕著
に小さくなることを明らかにした。
【0018】さらに、N量の低減、窒化物形成元素によ
るNの固定、表層部への超細粒層の付与は溶接継手の靭
性や延性向上にも有効であることが実験的に確かめられ
た。本発明は、以上の知見を総合的に解析することによ
って化学成分の限定により、延性の向上や塑性変形によ
る靭性の劣化を図った鋼において、該表層超細粒組織が
存在することにより一層の耐破壊性能の向上が図れる技
術を確立し、発明するに至ったものであり、その要旨と
する所は以下の通りである。
【0019】(1)重量%で、C:0.01〜0.15
%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.1〜2.0
%、Al:0.003〜0.1%、N:0.001〜
0.005%を含有し、不純物としてのP,S,Oの含
有量がP:0.01%以下、S:0.01%以下、O:
0.006%以下で、かつ、N(%)−Al(%)/
3.0≦0で、残部鉄及び不可避不純物からなる鋼材で
あって、該鋼材を構成する外表面のうち少なくとも2つ
の外表面に関して、表層から全厚みの10〜33%の範
囲の平均フェライト粒径が3μm以下の超細粒組織であ
ることを特徴とする耐破壊性能に優れた建築用高張力鋼
材。
【0020】(2)重量%で、Ti:0.003〜0.
020%、Zr:0.003〜0.10%、Nb:0.
002〜0.050%、Ta:0.005〜0.20
%、V:0.005〜0.20%、B:0.0002〜
0.003%の1種または2種以上を含有し、N(%)
−Al(%)/3.0−Ti(%)/3.4−Zr
(%)/6.5−Nb(%)/13.2−Ta(%)/
25.8−V(%)/10.9−B(%)/2.0≦0
であることを特徴とする前記(1)記載の耐破壊性能に
優れた建築用高張力鋼材。
【0021】(3)重量%で、Cr:0.01〜2.0
%、Mo:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜4.
0%、Cu:0.01〜2.0%、W:0.01〜2.
0%の1種または2種以上を含有することを特徴とする
前記(1)または(2)記載の耐破壊性能に優れた建築
用高張力鋼材。
【0022】(4)重量%で、Mg:0.0005〜
0.01%、Ca:0.0005〜0.01%、RE
M:0.005〜0.10%のうち1種または2種以上
を合計で0.0005〜0.10%を含有することを特
徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の耐
破壊性能に優れた建築用高張力鋼材。
【0023】(5)鋼片をAc3 変態点以上、1250
℃以下の温度に加熱し、950℃以下でのオーステナイ
ト域での累積圧下率が10〜50%の粗圧延を行った
後、その段階での鋼片全厚みの10%〜33%に対応す
る少なくとも2つの外表面の表層部の領域を、Ar3
態点以上の温度から2〜40℃/sの冷却速度で冷却を
開始し、Ar3 変態点以下で冷却を停止して復熱させる
ことを1回以上経由させる過程で、最後の冷却後の復熱
が終了するまでの間に累積圧下率が20〜90%の仕上
げ圧延を完了させ、該圧延完了後の鋼材の前記表層域を
(Ac1 変態点−50℃)〜(Ac3 変態点+50℃)
の範囲に復熱させて前記(1)〜(4)のいずれかに記
載の鋼材を製造することを特徴とする耐破壊性能に優れ
た建築用高張力鋼材の製造方法。
【0024】(6)復熱終了後の鋼板を5〜40℃/s
の冷却速度で20℃〜650℃まで冷却することを特徴
とする前記(5)記載の耐破壊性能に優れた建築用高張
力鋼材の製造方法。 (7)450℃〜650℃で焼戻しを行うことを特徴と
する前記(5)または(6)記載の耐破壊性能に優れた
建築用高張力鋼材の製造方法。 なおここで言う高張力鋼材とは高張力鋼板(厚板)のみ
ならず、形鋼、管材をも含む鋼材を指すものである。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明における化学成分に関して
の要件は、延性特性の向上のための不純物としてのP,
S,O量の制限、及び、塑性変形による靭性劣化の抑制
のためのNの固定のための化学成分の限定にある。以
下、先ずこれらの要件について詳細に説明する。
【0026】塑性変形能の向上、延性き裂の発生、進展
の抑制のためには、鋼のフェライト母地の延性を高める
必要があり、そのためには固溶P,C,Nを低減するこ
とが好ましい。Cに関してはフェライト中の固溶限が小
さく、析出物を形成しやすいため、実用鋼ではその延性
特性に対する悪影響は無視できる。また、Cは強度確保
の上で必須の元素であるため、完全に除くことは好まし
くない。
【0027】Nは窒化物による加熱オーステナイト粒径
の微細化に有効であり、また不純物としてその含有は避
けられないが、Cと異なり、実用鋼でも一定量フェライ
ト母地中に固溶し、延性特性に悪影響を及ぼす。さら
に、固溶Nが存在する状態で塑性変形後あるいは延性き
裂進展後、鋼が塑性変形を受けると、塑性変形で生じた
転位との相互作用や転位線上への微細析出により靭性が
顕著に劣化するため、固溶Nは極限まで低減すべきであ
る。
【0028】そのためには窒化物形成元素によりNを固
定する必要がある。窒化物形成元素としては、他の特性
への影響が最も小さい点でAlが好ましく、脆性き裂の
伝播停止特性に最も重要な表層部の超細粒組織に10%
の塑性歪を付与したことによる靭性の劣化が、シャルピ
ー試験の破面遷移温度の上昇で20℃以下となるために
必要なAl量を実験的に求めると、(1)式のような関
係が得られた。 N(%)−Al(%)/3.0≦0 …(1)
【0029】従って、本発明においては、後述する理由
により限定した範囲内のAl,Nの含有量を前提とした
上で、NとAl量を(1)式の関係に限定する。また、
窒化物形成元素として、Alに加えて、Ti,Zr,N
b,Ta,V,Bの1種または2種以上を選択的に用い
ることもできる。
【0030】その場合、Al,Ti,Zr,Nb,T
a,V,Bの含有量は(1)式と同様の判定基準のもと
に塑性変形による靭性劣化が抑制されるために必要なN
量との関係式((2)式)が成立するようにその含有量
を調整する必要があるため、N量との関係でTi,Z
r,Nb,Ta,V,Bは(2)式の関係が成立するよ
うに限定する。 N(%)−Al(%)/3.0−Ti(%)/3.4−Zr(%)/ 6.5−Nb(%)/13.2−Ta(%)/25.8−V(%)/ 10.9−B(%)/2.0≦0 …(2)
【0031】不純物としてのP量を限定することも重要
である。即ち、Pはフェライト母地の延性を劣化させる
ため、塑性変形能、延性き裂の発生、進展特性向上のた
めにその含有量を限定する必要がある。P量は少ないほ
ど好ましいが、P量を低減することは精錬工程へ負荷を
かけて生産性の低下、コストの上昇を招くため、延性特
性劣化に対して許容できるPの下限量を実験結果に基づ
いて0.01%以下とする。
【0032】即ち、P量の増加にともなう延性特性の劣
化の度合いは0.01%を超えるとその程度が顕著にな
る。P量が0.01%以下ではPの悪影響の程度は小さ
くなる。
【0033】従って、本発明においては不純物としての
P量を0.01%以下に限定する。ただし、偏析部での
局所的な塑性変形や延性破壊特性の劣化が影響を及ぼす
ような構造物に使用される場合には、精錬の問題を度外
視すれば、P量は0.007%以下に限定する方がより
好ましい。
【0034】SはMnSを形成するため延性破壊特性を
劣化させる。特に延性き裂の伝播特性を劣化させる。固
溶P,Nが多い条件のもとでは延性破壊の発生特性が低
下しているため、Sによる延性き裂の伝播特性の劣化は
鋼材全体の塑性変形能や延性破壊特性に大きく影響を及
ぼし、Sを10ppm 以下程度まで極端に低減する必要が
生じる。
【0035】ただし、本発明のようにP,N量の低減や
固溶Nの窒化物形成元素による固定が図られていれば、
延性破壊の発生までの抵抗が大となるため、Sの許容量
は広がることから、本発明では実験結果に基づいて不純
物としてのSを0.01%以下に限定する。
【0036】さらに、Oも延性に有害な介在物を形成す
るために極力低減することが好ましいが、Sと同様、固
溶P,Nが低減されていれば母地の延性がある程度確保
されるため、固溶P,Nの低減が図られていない場合に
比べて許容量は高く、実験結果に基づけば、0.006
%以下に限定する必要がある。
【0037】上記が本発明の要件である塑性変形能及び
延性破壊特性の向上、さらに塑性変形後の靭性劣化抑制
のための成分限定範囲であるが、本発明のもう一つの重
要な要件である脆性き裂の伝播停止特性向上のために
は、前記成分の限定に加えて後述するその他の成分限定
を前提とした上で、鋼材の少なくとも2つの面の表層部
において、平均フェライト粒径が3μm以下の超細粒組
織を表層から板厚の10〜33%の厚さにわたって存在
させることが必要となる。
【0038】表層部に超細粒組織を形成させることによ
って、脆性き裂の進展中に、表層部に延性破壊であるシ
アリップが形成され、脆性き裂伝播停止特性が向上す
る。本方法によれば、Ni添加等、合金成分の添加、調
整によらずに脆性き裂伝播停止特性が向上できる点で有
利である。
【0039】高速で進展中している脆性き裂に抵抗して
シアリップを確実に生成させるためには、表層部の脆性
破壊の発生及び伝播停止特性を鋼板の要求靭性よりも顕
著に向上させる必要があり、そのためには該表層部のフ
ェライト粒径を顕著に微細化させることが必須条件とな
る。
【0040】該表層部のフェライト粒径は当然微細であ
るほど好ましいが、シアリップの形成が確実で、製造工
程に過大な負荷をかけない範囲として、本発明において
は、該表層部の平均フェライト粒径を3μm以下に限定
する。
【0041】なお、該表層部のフェライト粒組織は結晶
粒径にばらつきの少ない整粒であることが好ましいが、
平均粒径の2倍超の粗大粒が存在しても、その存在割合
が該表層部全体に対して10%以内であれば、表層部の
脆性破壊特性に対して実質的に悪影響を及ぼさないた
め、許容される。
【0042】万一、欠陥部や溶接部等から脆性破壊が発
生し、伝播に至っても、表層部が確実に延性破壊してシ
アリップとなるためには、上記フェライト粒径の限定が
必須条件となるが、脆性き裂の伝播停止特性の向上に対
してはさらに該表層超細粒層の厚みも重要な要件とな
る。
【0043】即ち、鋼板内部の通常組織の脆性き裂を停
止させるためには、シリアップ部でその伝播エネルギー
を吸収する必要があるが、シアリップの厚みが不十分で
あると、たとえシアリップが形成されても脆性き裂の停
止に至らない場合が生じる。脆性き裂の伝播を確実に停
止するには、シアリップはある程度の厚みが必要とな
る。
【0044】当然シアリップの厚みは厚ければ厚いほど
き裂の停止効果が大となるが、必要以上の超細粒層の厚
みを確保しようとすると、製造工程に過大な負荷をかけ
たり、製造条件によっては母材の延性や鋼板の形状、表
面性状等の劣化につながる。
【0045】これらの問題を生じない範囲として、本発
明においては平均フェライト粒径が3μm以下の表層超
細粒組織の厚みを表裏面各々について、下限を表層から
板厚の10%、上限を表層から板厚の33%と限定す
る。
【0046】該表層超細粒層は鋼材の全ての表面に付与
することが好ましいが、上記条件を満足すれば、最低限
2つの表面に該超細粒層を付与すれば脆性き裂の停止に
は有効である。
【0047】なお、塑性変形後の靭性、脆性き裂伝播停
止特性、延性の確保に有効な、N量の低減、窒化物形成
元素によるNの固定、表層部への超細粒層の付与は溶接
継手の靭性や延性を向上させる付加的な効果も有してい
ることが有効であることが実験的に確かめられた。
【0048】即ち、大入熱溶接における溶接熱影響部の
靭性に対しては固溶Nの悪影響が大きいが、本発明のよ
うにN量や固溶N量を厳密に制御しておけば固溶Nの溶
接熱影響部靭性への悪影響は極小化される。
【0049】また、表層部に形成された超細粒層は溶接
熱影響部の内で溶接ビード直近の1300℃以上に再加
熱されるような領域では完全に消滅するが、より低温に
加熱されている熱影響部では超細粒組織は消滅するもの
の、変態前の超細粒組織の影響が残存して、該溶接熱影
響部の組織を微細化する効果があるため、溶接熱影響部
の靭性向上に対しても効果がある。
【0050】以上が本発明の耐破壊性能に優れた建築用
高張力鋼材の要件であるが、個々の化学成分についても
下記に述べる理由により、各々限定する必要がある。即
ち、Cは鋼の強度を向上させる有効な成分として含有す
るもので、0.01%未満では構造用鋼に必要な強度の
確保が困難であるが、0.15%を超える過剰の含有は
延性破壊特性の劣化により本発明が目的としている耐破
壊性能の低下を招く。また、靭性や耐溶接割れ性等も低
下させるので、0.01〜0.15%の範囲とした。
【0051】次に、Siは脱酸元素として、また、母材
の強度確保に有効な元素であるが、0.01%未満の含
有では脱酸が不十分となり、また強度確保に不利であ
る。逆に1.0%を超える過剰の含有は粗大な酸化物を
形成して延性や靭性の劣化を招く。そこで、Siの範囲
は0.01〜1.0%とした。
【0052】また、Mnは母材の強度、靭性の確保に必
要な元素であり、最低限0.1%以上含有する必要があ
るが、溶接部の靭性、割れ性等材質上許容できる範囲で
上限を2.0%とした。
【0053】Alは本発明の要件の一つであるNの固定
に有効な元素であり、かつ、脱酸、γ粒径の細粒化等に
有効な元素であるが、効果を発揮するためには0.00
3%以上含有する必要がある。一方、0.1%を超えて
過剰に含有すると、粗大な酸化物を形成して延性を極端
に劣化させるため、0.003%〜0.1%の範囲に限
定する必要がある。
【0054】Nは、固溶Nが存在すると、前述したよう
に延性破壊特性の劣化や塑性変形後の靭性劣化が生じる
ため、(1)式あるいは(2)式に従って、Al,T
i,Zr,Nb,Ta,V,Bを適正量含有させる必要
がある。ただし、全含有量としても下記の理由により限
定する必要がある。
【0055】即ち、NはAlやTiと結びついてγ粒微
細化に有効に働くため、微量であれば機械的特性に有効
に働く。また、工業的に鋼中のNを完全に除去すること
は不可能であり、必要以上に低減することは製造工程に
過大な負荷をかけるため好ましくない。
【0056】そのため、工業的に制御が可能で、製造工
程への負荷が許容できる範囲として下限を0.001%
とする。過剰に含有すると、(1)式あるいは(2)式
を満足しても、製造履歴によっては延性破壊特性や塑性
変形後の靭性に悪影響を及ぼす可能性があるため、許容
できる範囲として上限を0.005%とする。
【0057】Pについては、前述したように、フェライ
ト母地の延性を劣化させるため、塑性変形能、延性き裂
の発生、進展特性向上のためにその含有量を限定する必
要がある。P量は少ないほど好ましいが、P量を低減す
ることは精錬工程へ負荷をかけて生産性の低下、コスト
の上昇を招くため、延性特性劣化に対して許容できるP
の下限量を実験結果に基づいて0.01%以下とする。
【0058】即ち、P量の増加にともなって延性特性は
劣化するが、0.01を超えるとその程度が顕著にな
る。P量が0.01%以下ではPの悪影響の程度は小さ
くなる。従って、本発明においては不純物としてのP量
を0.01%以下に限定する。
【0059】ただし、偏析部での局所的な塑性変形や延
性破壊特性の劣化が影響を及ぼすような構造物に使用さ
れる場合には、精錬の問題を度外視すれば、P量は0.
007%以下に限定する方がより好ましい。
【0060】Sについても、前述したように、MnSを
形成するため延性破壊特性を劣化させる。特に延性き裂
の伝播特性を劣化させる。固溶P,Nが多い条件のもと
では延性破壊の発生特性が低下しているため、Sによる
延性き裂の伝播特性の劣化は鋼材全体の塑性変形能や延
性破壊特性に大きく影響を及ぼし、Sを0.001%以
下程度まで極端に低減する必要が生じる。
【0061】ただし、本発明のようにP,N量の低減や
固溶Nの窒化物形成元素による固定が図られていれば、
延性破壊の発生までの抵抗が大となるため、Sの許容量
は広がることから、本発明では実験結果に基づいて不純
物としてのSを0.01%以下に限定する。
【0062】さらに、Oについても前述したように、O
は延性に有害な介在物を形成するために極力低減するこ
とが好ましいが、Sと同様、固溶P,Nが低減されてい
れば母地の延性がある程度確保されるため、固溶P,N
の低減が図られていない場合に比べて許容量は高く、実
験結果に基づけば、0.006%以下に限定する必要が
ある。
【0063】Ti,Zr,Nb,Ta,V,BはN固定
を主目的として、必要に応じて1種または2種以上を選
択的に含有するが、個々の元素についても下記に示す理
由によりその成分量を限定する必要がある。
【0064】TiはN固定に有効な元素であり、さら
に、析出強化により母材強度向上に寄与するとともに、
TiNの形成によりγ粒微細化にも有効な元素である
が、効果を発揮するためには0.003%以上の含有が
必要である。一方、0.02%を超えると、粗大な析出
物、介在物を形成して靭性や延性を劣化させるため、上
限を0.02%とする。
【0065】Zrも窒化物を形成する元素であり、Nの
固定に有効であるが、その効果を発揮するためには0.
003%以上の含有が必要である。一方、0.10%を
超えると、Tiと同様、粗大な析出物、介在物を形成し
て靭性や延性を劣化させるため、0.003〜0.10
%の範囲に限定する。
【0066】NbもNの固定に有効な元素であるが、過
剰の含有では析出脆化により靭性が劣化する。従って、
靭性の劣化を招かずに、効果を発揮できる範囲として、
0.002〜0.05%の範囲に限定する。
【0067】TaもNの固定に有効な元素であるが、効
果を発揮するためには0.005%以上の含有が必要で
ある。一方、0.02%を超えると、析出脆化や粗大な
析出物、介在物による靭性劣化を生じるため、上限を
0.20%とする。
【0068】VもVNを形成してNの固定に有効な元素
であるが、Nbと同様、過剰の含有では析出脆化により
靭性が劣化する。従って、靭性の劣化を招かずに、効果
を発揮できる範囲として、0.005〜0.20%の範
囲に限定する。
【0069】Bは微量で確実にNと結びつくため、N固
定に有効な元素であり、効果を発揮するためには0.0
002%以上必要である。一方、0.003%を超えて
過剰に含有するとBNが粗大となり、延性や靭性に悪影
響を及ぼす。また溶接性も劣化させるため、上限を0.
003%とする。
【0070】以上に加えて、所望の強度レベルに応じて
母材強度の上昇、靭性確保の目的で、必要に応じてC
r,Ni,Mo,Cu,Wの1種または2種以上を含有
することができる。先ず、Cr及びMoはいずれも母材
の強度向上に有効な元素であるが、明瞭な効果を生じる
ためには0.01%以上必要であり、一方、2.0%を
超えて添加すると、靭性及び溶接性が劣化する傾向を有
するため、0.01〜2.0%の範囲とする。
【0071】また、Niは母材の強度と靭性を同時に向
上でき、非常に有効な元素であるが、効果を発揮させる
ためには0.01%以上含有させる必要がある。含有量
が多くなると強度、靭性は向上するが4.0%を超えて
添加しても効果が飽和する一方で、溶接性が劣化するた
め、上限を4.0%とする。
【0072】次に、CuもほぼNiと同様の効果を有す
るが、2.0%超では熱間加工性に問題を生じるため、
0.01〜2.0%の範囲に限定する。Wは固溶強化及
び析出強化により母材強度の上昇に有効であるが、効果
を発揮するためには0.01%以上必要である。一方、
2.0%を超えて過剰に含有すると、靭性劣化が顕著と
なるため、上限を2.0%とする。
【0073】さらに、延性の向上、継手靭性の向上のた
めに、必要に応じて、Mg,Ca,REMの1種または
2種以上を含有することができる。Mg,Ca,REM
はいずれも硫化物の熱間圧延中の展伸を抑制して延性特
性向上に有効である。酸化物を微細化させて継手靭性の
向上にも有効に働く。その効果を発揮するための下限の
含有量は、Mg及びCaは0.0005%、REMは
0.005%である。一方、過剰に含有すると、硫化物
や酸化物の粗大化を生じ、延性、靭性の劣化を招くた
め、上限を各々、Mg,Caは0.01%、REMは
0.10%とする。
【0074】次に、本発明の耐破壊性能に優れた建築用
高張力鋼板の製造に際しての限定理由を述べる。上記理
由により限定した化学成分を有する鋼において、脆性き
裂伝播停止特性の向上のために、鋼材の少なくとも2つ
の面の表層部において、平均フェライト粒径が3μm以
下の超細粒組織を表層から板厚の10〜33%の厚さに
わたって存在させる必要がある。本発明で限定する特徴
を有する表層超細粒層は以下に示すように製造条件を限
定することによって形成させることができる。
【0075】鋼片を熱間圧延するに際し、熱間圧延中あ
るいは熱間圧延途中で表層部の適当な厚みの領域を水冷
等の手段により、Ar3 変態点よりも低い温度まで一旦
冷却して内部と温度差をつけた後、温度差のついたまま
の状態からさらに熱間圧延を行うと、Ar3 変態点より
も低い温度まで一旦冷却された領域は、復熱及びその過
程の加工によりフェライト主体組織となるため、該フェ
ライト主体組織を有する表層部は内部の顕熱により復熱
されながら加工を受けることになり、この復熱中の加工
条件を適正化することにより、表層部のフェライト結晶
粒が顕著に細粒化する。
【0076】従って、最終的な鋼材における表層超細粒
層の割合は、表層を一旦冷却した際にAr3 変態点まで
低下した領域の割合とほぼ一致することになる。
【0077】上記熱間圧延工程において、以下に示すよ
うな条件を満足することによって超細粒化が達成され
る。先ず、鋼片をオーステナイト域に再加熱するが、こ
の場合の温度としてはAc3 変態点以上、1250℃以
下が好ましい。即ち、Ac3 変態点未満ではオーステナ
イト単相にならず、フェライト相が残存し、該フェライ
ト相が残存すると後の工程の如何によらず、表層に均一
な超細粒組織を形成することができない。
【0078】一方、1250℃超では加熱オーステナイ
ト粒径が極端に粗大となるため、後の圧延によっても粒
径の微細化ができず、板厚中心部の靭性確保ができな
い。従って、本発明では鋼片の加熱温度をAc3 変態点
〜1250℃に限定する。
【0079】鋼片を加熱後、950℃以下のオーステナ
イト域で累積圧下率が10〜50%の圧延を行う。これ
は変態前のオーステナイト粒径を実質的に微細化して、
後の工程で表層を超細粒組織とするためと、内部の通常
組織の靭性を確保するためである。なお、オーステナイ
ト粒の実質的な微細化とは、再結晶オーステナイトの微
細化とともに未再結晶圧延によるオーステナイト粒の展
伸化も指す。
【0080】低温のオーステナイト域での圧下がオース
テナイトの実質的な微細化に有効であるが、950℃超
の圧下はオーステナイトの微細化に有効でないため、本
発明においては950℃以下の温度での圧下率を限定す
る。950℃以下の圧下率は10%未満では加工の効果
が不足するため、オーステナイトの微細化に効果がな
い。
【0081】950℃以下のオーステナイト域での圧下
率は大きければ大きいほどオーステナイトの微細化に有
効であるが、その効果は50%超では飽和傾向にあるこ
とと、該圧下率が50%超と大きくなると、オーステナ
イトの細粒化には有効であるものの、後のフェライトを
超細粒化する上で必須である復熱過程での圧下率が確保
できなくなるため、本発明では950℃以下での圧下率
の上限を50%とする。
【0082】なお、950℃超の温度での圧下はオース
テナイトの微細化に対する効果が小さいが、後の復熱工
程での必要圧下率を確保できる範囲であれば、材質に悪
影響を及ぼすものではないので、初期スラブ厚みが大き
い場合等、必要に応じて950℃超の温度での加工を行
ってもかまわない。
【0083】上記の条件で十分オーステナイト粒の微細
化、未再結晶域圧延を施した上で、該鋼材の超細粒層と
すべき表層部を水冷等の手段により冷却し、該鋼材の水
冷前の熱間圧延時点での板厚の10〜33%に対応する
各表層部の領域をAr3 変態点以下まで冷却するととも
に、表層部と内部に温度差をつけるが、その際、該鋼材
の水冷前の熱間圧延時点での板厚の10〜33%に対応
する各表層部の領域の冷却速度は2℃/s以上にする必
要がある。
【0084】これは冷却速度が2℃/s未満では冷却前
の熱間圧延により、オーステナイトを微細化しておいて
も冷却後の変態組織が粗大となり、その後の復熱中の圧
延で均一な超微細フェライト組織を得ることが困難とな
るためである。冷却速度は大きい方が組織微細化の観点
からは好ましいが、40℃/sを超えて急冷しても効果
が飽和する上に、不必要に急冷することは鋼板の形状維
持のためには好ましくないため、上限を40℃/sとす
る。
【0085】また、上記の950℃以下での圧延を行っ
た後の冷却はAr3 変態点以上から開始する。これは、
単相オーステナイトから冷却することで表層超細粒層を
均一に形成させるためである。即ち、該表層部が強制冷
却前にAr3 変態点未満となると、フェライトが一部粗
大に生成し、その部分での超細粒化が阻害されるためで
ある。
【0086】以上の理由により、該鋼材の冷却前の熱間
圧延時点での板厚の10〜33%に対応する各表層部の
領域を2℃/s〜40℃/sの冷却速度でAr3 変態点
以下まで冷却し、その後仕上げ圧延を行う際、内部の顕
熱によるか、及び/または外部からの加熱を利用して、
板厚の10〜33%に対応する各表層部の領域を昇温中
に圧延を施すことにより、該領域の組織が超微細化し、
脆性き裂伝播停止特性向上に寄与できるようになる。
【0087】後述するように、上記復熱過程の加工は1
回もしくは2回以上繰り返してもよいが、最後の冷却後
の復熱過程での圧延後の復熱温度は(Ac1 変態点−5
0℃)〜(Ac3 変態点+50℃)の範囲にする必要が
ある。
【0088】即ち、該最終復熱温度が(Ac1 変態点−
50℃)よりも低いと、加工後の加工フェライトの回復
・再結晶が十分でないため、超細粒化が不十分で、脆性
き裂伝播停止特性が向上しない。
【0089】一方、該最終復熱温度が(Ac1 変態点+
50℃)よりも高いと、加工により超細粒化したフェラ
イトの一部が再度オーステナイトに逆変態することによ
って消失してしまい、その割合が無視できないほど多く
なって靭性及び脆性き裂伝播停止特性を損なう。従っ
て、本発明においては、最後の冷却後の復熱過程での圧
延後の復熱温度は(Ac1 変態点−50℃)〜(Ac3
変態点+50℃)の範囲に限定する。
【0090】以上のAr3 変態点以下への冷却と復熱中
の加工工程は1回でもよいが、複数回繰り返すことによ
り効果が重畳するため、2回以上繰り返しても所望の微
細組織を得ることが可能である。
【0091】その場合、各復熱段階の最高温度あるいは
最低温度は任意であっても本発明の温度条件に従えば、
超細粒化する。ただし、好ましくは途中の復熱温度の上
限は(Ac3 変態点+100℃)以下とする方が細粒化
の効果が確実に重畳する点で好ましい。
【0092】最初の冷却後から最後の復熱に至るまでの
圧延としての仕上げ圧延の累積圧下率は大きい方が均一
かつ安定に超細粒組織を得られる。そのためには、仕上
げ圧延の累積圧下率は最低限20%必要である。圧下率
は大きいほど超細粒化には有利であるが、圧下率が90
%を超えるような圧延は効果が飽和し、生産性を極端に
阻害するため好ましくない。従って、本発明では仕上げ
圧延の累積圧下率は20〜90%に限定する。
【0093】以上が、本発明の製造方法に関する要件で
あり、圧延、復熱が終了した段階で所望の組織を得るこ
とができる。最終的な復熱終了後の冷却は放冷あるいは
強制冷却等手段によらず目的の脆性き裂伝播停止特性と
靭性を得ることはできるが、強度の向上等、用途によっ
ては復熱終了後の鋼板を5〜40℃/sの冷却速度で2
0〜650℃まで冷却したり、復熱終了後の鋼板を放冷
後あるいは5〜40℃/sの冷却速度で20〜650℃
まで冷却後、450℃〜650℃で焼戻しすることもで
きる。
【0094】最終的な復熱後に強制冷却する場合、冷却
速度が5℃/s未満では強制冷却による材質改善効果が
顕著でなく、40℃/s超では効果が飽和する上、鋼板
形状を損なう恐れがある。また、強制冷却の停止温度は
20℃以下では冷却停止による材質向上が期待できない
上、冷却に時間を要するので好ましくなく、冷却停止温
度が650℃超ではまだ変態を完了しない場合があり、
強度の極端な低下や靭性劣化を招く恐れがある。
【0095】焼戻し温度が450℃未満であると、硬化
相の焼戻しや残留応力の解放が不十分となるため、靭性
劣化や形状劣化が生じる可能性が大きい。一方、焼戻し
温度が650℃超では表層に形成された超細粒フェライ
トの成長が生じて混粒組織となる懸念があるため、強制
冷却後の焼戻し温度を450℃〜650℃に限定する。
【0096】
【実施例】表1に示す化学成分の供試鋼を用いて、表2
に示す製造条件で製造した板厚25mmあるいは50mmの
厚鋼板について、製造まま及び歪を10%付与した後の
母材の強度及びシャルピー試験による靭性(破面遷移温
度vTrs)、ESSO試験による脆性き裂伝播停止特
性(Kca値が400 kgf・mm-3/2となる温度)、延性
破壊発生の限界CTOD値(δi )、及び溶接継手特性
(溶接ままでのシャルピー特性(−20℃での吸収エネ
ルギーの平均値)、溶接まま及び10%歪付与後の
δi )を表3に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
【表7】
【0104】
【表8】
【0105】
【表9】
【0106】
【表10】
【0107】
【表11】
【0108】
【表12】
【0109】母材の引張特性は板厚のt/4部から試験
方向が圧延方向と直角となるようにして採取した平行部
直径が6mmで評点間距離が25mmの丸棒試験片により実
施した。母材のシャルピー衝撃特性も引張試験と同一の
位置、方法で採取し、破面遷移温度(vTrs)を求め
た。延性破壊発生の限界CTOD値(δi )は板厚中心
部から試験片の長手方向が圧延方向と直角となるように
採取した疲労ノッチ付き3点曲げ試験片により実施し
た。
【0110】溶接条件は、板厚が25mmの鋼板について
は片面1層のサブマージアーク溶接、板厚が50mmの鋼
板については両面1層溶接とした。いずれも溶接入熱は
約190〜200kJ/cmの範囲に入るように調整して溶
接を実施した。
【0111】継手の2mmV ノッチシャルピー衝撃試験片
及びδi 測定用の試験片は表面下7mmの位置が試験片の
中心部となるようにして、溶接金属とHAZの境界(融
合部:FL)からHAZ側に1mm入った位置がノッチ位
置となるよう採取した。なお、引張特性及び母材、継手
のδi の測定は全て室温で求めた。
【0112】表1に示すように、鋼番A1〜A16の鋼
板は本発明の範囲内の化学成分及び表層超細粒組織を有
するため、脆性き裂の伝播停止特性の指標であるES
SO試験により求められたKca値が400 kgf・mm
-3/2となる温度が非常に良好であるばかりでなく、10
%の大きな歪を付与した後にもその劣化が非常に小さ
い、通常の丸棒引張試験で求められる伸びに加えてき
裂が存在する場合の延性破壊の発生特性を示すδi も歪
付与有無にかかわらず良好な値を維持する、溶接継手
のシャルピー特性も建築、橋梁等の構造物に安全に用い
るために必要な特性を有しており、継手のδi も母材と
同様、歪付与後でも十分高い値が得られている。
【0113】即ち本発明により製造された鋼材は、使用
中に大地震等による大きくかつ繰り返しの塑性歪を受け
るような構造物に使用された場合にも従来にない高い安
全性を有していることが明白である。
【0114】一方、鋼番B1〜B10は比較例であり、
本発明の要件を満足していないために、表3に示した特
性のいずれかが本発明の鋼に比べて劣っている。即ち、
鋼番B1は全N量が過剰であるため、歪付与前のESS
O特性も本発明の鋼に比べて劣るが、特に歪付与後のE
SSO特性及びδi が顕著に劣る。
【0115】鋼番B2は全N量が過剰な上、固溶N固定
のためのAl等の量が不十分であるため、歪付与後の脆
性き裂伝播停止特性やδi の値が本発明鋼に比べて劣化
している。鋼番B3は全N量としては本発明の化学成分
範囲であるが、Nの固定が不十分であるため、即ち、
(1)式の値が正の値となるため、歪付与による材質劣
化が大きい。
【0116】鋼番B4は固溶Nの固定に最も有効なAl
の含有量が不十分であるため、Nの固定が十分でなく、
歪付与によるESSO特性及びδi の劣化が顕著であ
る。鋼番B5はPが過剰であるため、延性破壊特性及び
ESSO特性が歪付与前でも低めであり、さらに、歪付
与後の延性破壊特性及びESSO特性は大きく低下す
る。
【0117】鋼番B6はSが過剰であるため、特に延性
特性(絞り値,δi )が歪付与前、付与後とも本発明鋼
に比べて大幅に劣る。鋼番B7はCが過剰であるため、
歪付与前後における延性破壊特性及びESSO特性は低
めである上に、溶接継手の靭性が顕著に劣る。
【0118】鋼番B8は化学成分としては本発明鋼の範
囲内であるが、表層部の超細粒組織を有していないた
め、ESSO特性が歪付与前、歪付与後とも顕著に劣化
している。鋼番B9は表層部に中心部に比較して細粒の
組織を有しているが、その粒径が本発明の要件を満足せ
ず、粗大であるため、十分な脆性き裂伝播停止特性が歪
付与前後とも得られない。
【0119】鋼番B10は表層超細粒層の厚さが不十分
であるため、十分な脆性き裂伝播停止特性が歪付与前後
とも得られない。鋼番B11はO量が過剰であるため、
特に延性破壊特性が劣る。鋼番B12は延性特性に有害
なSとOとがともに過剰であるため、伸びやδi が塑性
変形前においても顕著に劣る。
【0120】以上の実施例から、本発明によれば、予歪
を付与する前はもちろん、及び大地震等で大きな変形を
受けた場合を想定した10%の予歪付与後においてもシ
ャルピー特性、脆性き裂伝播停止特性及び延性破壊特性
(絞り値,δi )が非常に良好な鋼材を得ることが可能
であることが明白である。
【0121】
【発明の効果】本発明は使用中に大地震等による大きく
かつ繰り返しの塑性歪を受けるような場合にも塑性歪に
よる材質の劣化が非常に小さく、塑性変形後においても
脆性き裂を容易にする延性き裂の発生や進展を抑制し、
かつ万一破壊が発生した場合でもその脆性き裂を停止で
きる安全性の非常に大きな構造物用鋼材を特殊な合金成
分を用いることなく、通常の鋼材の製造プロセスにおい
て可能にしたものであり、その産業上の効果は極めて大
きい。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.01〜0.15%、 Si:0.01〜1.0%、 Mn:0.1〜2.0%、 Al:0.003〜0.1%、 N :0.001〜0.005%を含有し、 不純物としてのP,S,Oの含有量が P :0.01%以下、 S :0.01%以下、 O :0.006%以下で、かつ、 N(%)−Al(%)/3.0≦0で、 残部鉄及び不可避不純物からなる鋼材であって、該鋼材
    を構成する外表面のうち少なくとも2つの外表面に関し
    て、表層から全厚みの10〜33%の範囲内の平均フェ
    ライト粒径が3μm以下の超細粒組織であることを特徴
    とする耐破壊性能に優れた建築用高張力鋼材。
  2. 【請求項2】 重量%で、 Ti:0.003〜0.020%、 Zr:0.003〜0.10%、 Nb:0.002〜0.050%、 Ta:0.005〜0.20%、 V :0.005〜0.20%、 B :0.0002〜0.003% の1種または2種以上を含有し、 N(%)−Al(%)/3.0−Ti(%)/3.4−
    Zr(%)/6.5−Nb(%)/13.2−Ta
    (%)/25.8−V(%)/10.9−B(%)/
    2.0≦0 であることを特徴とする請求項1記載の耐破壊性能に優
    れた建築用高張力鋼材。
  3. 【請求項3】 重量%で、 Cr:0.01〜2.0%、 Mo:0.01〜2.0%、 Ni:0.01〜4.0%、 Cu:0.01〜2.0%、 W :0.01〜2.0% の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求
    項1または2記載の耐破壊性能に優れた建築用高張力鋼
    材。
  4. 【請求項4】 重量%で、 Mg:0.0005〜0.01%、 Ca:0.0005〜0.01%、 REM:0.005〜0.10% のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の耐破壊性能に優れた建
    築用高張力鋼材。
  5. 【請求項5】 鋼片をAc3 変態点以上、1250℃以
    下の温度に加熱し、950℃以下でのオーステナイト域
    での累積圧下率が10〜50%の粗圧延を行った後、そ
    の段階での鋼片全厚みの10%〜33%に対応する少な
    くとも2つの外表面の表層部の領域を、Ar3 変態点以
    上の温度から2〜40℃/sの冷却速度で冷却を開始
    し、Ar3 変態点以下で冷却を停止して復熱させること
    を1回以上経由させる過程で、最後の冷却後の復熱が終
    了するまでの間に累積圧下率が20〜90%の仕上げ圧
    延を完了させ、該圧延完了後の鋼材の前記表層域を(A
    1 変態点−50℃)〜(Ac3 変態点+50℃)の範
    囲に復熱させて請求項1〜4のいずれかに記載の鋼材を
    製造することを特徴とする耐破壊性能に優れた建築用高
    張力鋼材の製造方法。
  6. 【請求項6】 復熱終了後の鋼材を5〜40℃/sの冷
    却速度で20℃〜650℃まで冷却することを特徴とす
    る請求項5記載の耐破壊性能に優れた建築用高張力鋼材
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 450℃〜650℃で焼戻しを行うこと
    を特徴とする請求項5または6記載の耐破壊性能に優れ
    た建築用高張力鋼材の製造方法。
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