JPH09176000A - 医療用貼付剤 - Google Patents

医療用貼付剤

Info

Publication number
JPH09176000A
JPH09176000A JP34304995A JP34304995A JPH09176000A JP H09176000 A JPH09176000 A JP H09176000A JP 34304995 A JP34304995 A JP 34304995A JP 34304995 A JP34304995 A JP 34304995A JP H09176000 A JPH09176000 A JP H09176000A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester elastomer
drug
acid
adhesive layer
polyester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34304995A
Other languages
English (en)
Inventor
Takanori Miyoshi
孝則 三好
Shunichi Matsumura
俊一 松村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP34304995A priority Critical patent/JPH09176000A/ja
Publication of JPH09176000A publication Critical patent/JPH09176000A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 皮膚密着性に優れ、経皮吸収性の薬物を皮膚
から生体内に吸収させる能力を増大させる疾患治療用の
貼付剤を提供する。 【解決手段】 基材の片面にポリエステルエラストマ─
多孔質膜を介して薬物を含有する厚さ1〜30μm の粘
着剤層が設けられてなる貼付剤であって、該ポリエステ
ルエラストマー多孔質膜の空孔率が10%以上95%未
満である医療用貼付材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療用貼付剤に関
し、さらに詳しくは皮膚への密着性に優れ、しかも経皮
吸収性の薬物を皮膚から生体内に吸収させる能力を増大
させる、疾患治療用の医療用貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、シート状の外用貼付剤により薬物
を経皮的に生体内に投与し、これによって疾患の治療を
行う試みは、全身性、局所性の別を問わず数多くの提案
がなされている。しかし、これらの貼付剤の大部分は、
薬物を含有する粘着剤を基材の片面に塗布したものであ
り、一般的には12〜24時間貼付するが、貼付後も7
0%以上の薬物がテープ中に残存している。そのため、
実際に治療に必要な量に対し何倍もの薬物を含有させね
ばならず、極めて不経済であった。
【0003】このため、この問題を解決するために、い
かに述べる提案がなされている。
【0004】第一の提案としては、疾患の治療に密封包
帯療法(いわゆるODT療法)を採用したものである。
即ち、皮膚に軟膏等の外用薬を塗り、この上を非通気性
のフィルムで覆い、効果的に薬物を経皮吸収させるもの
である。しかしながら、上記の提案では、幹部への取り
付けなどの処置が面倒であるばかりでなく、嵩張り、剥
がれ易い。しかも、患部の面積が大きかったり形状が複
雑であったりする場合、或は患部が伸縮するような場合
には患部へ密着し難いといった問題があった。
【0005】第二の提案としては、基材フィルムの片面
に、薬物を含有しない粘着剤層を介して、薬物を含有す
る粘着剤を設け、この2つの粘着剤層の合計量が20〜
100μmとするものである(特公昭60−5569号
公報)。上記の提案では、粘着剤層全体に薬物を均一濃
度で含有させる方法に比較して、粘着剤層における皮膚
への粘着面側の薬物濃度が高く、この結果、外用貼付剤
の表面濃度との濃度勾配が大であることによって皮膚か
らの吸収速度が増大されるが、以下に述べる問題があっ
た。 即ち、粘着剤層中での拡散速度が大きい薬物は、
外用貼付剤を製造後、使用するまでの間に薬物が拡散、
移動し、粘着剤中において、表面側、つまり皮膚への貼
付面側と、基材フィルム側との薬物濃度がほぼ同一とな
り、結局2層にする意味がないものとなる。この問題は
拡散速度の小さい薬物ではある程度防止しうるが、薬物
の拡散速度が小さいと薬効の持続性に欠けるといった問
題が発生する。従って、これらの問題を一挙に解決する
には、基材と薬物含有粘着剤層との間に介在される、薬
物を含まない粘着剤として、薬物の分配率が低く、しか
も薬物の拡散が起こり難いものを選択する必要がある
が、このような粘着剤の選択は実際にはかなり困難で、
実用性に欠けるものであった。
【0006】第3の提案としては、経方向5〜20%、
緯方向50〜150%の伸度を有し、かつ伸長前の厚さ
が0.05〜0.5mmの範囲で規定される織布の片面
にポリウレタン弾性体層を厚さ0.01〜0.1設けた
伸縮性基布上に、膏剤を付与してなるものである(実開
昭47−19479号公報)。この提案のものはポリウ
レタン弾性体層を介在させて伸縮性織布の伸縮性に追従
させ、皮膚面の動きに応じて面方向に伸縮させようとす
るものであるが、このポリウレタン弾性体層は発泡体で
はないので厚み方向のクッション性が不十分であり、緩
衝体としての機能を十分に発現できない結果、膏体を厚
くする必要がある。ところが膏体を厚くすると、当該膏
体内部の薬物が有効に利用されなくなるので、予め、実
際の治療に必要な量に対して何倍もの薬物を含有させな
ければならず極めて不経済であるなどの問題がある。
【0007】第3の提案の改良である第4の提案として
は、基材と薬物含有粘着剤層との間に圧縮硬度が0.0
05kg/cm2 (JIS K6767による方法での
測定)発泡体を介在させるものである(特公平7−72
131号公報)。この提案のものは第3の提案よりも厚
み方向のクッション性が改善されるため、粘着剤層の厚
みを薄くすることが出来る。しかしながら、ここで用い
られる発泡体としてはポリエチレン、ポリ塩化ビニル、
ポリウレタン、ポリスチレン、シリコンラバー、エチレ
ンプロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、ニトリ
ルゴム、ポリブタジエンといった軟質合成樹脂が挙げら
れている。この内、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リスチレンは伸縮性に乏しく、このため皮膚に貼付した
とき貼付部の皮膚感覚が良くなく違和感を生じる上に、
貼付剤が皮膚の動きに追随しにくい。そのため、かぶれ
が生じる原因となってしまう。また、ポリ塩化ビニルは
可塑剤を使用せねばならず、これらの可塑剤が粘着剤層
に表面移行することによって混入するため、医療用貼付
剤素材としては好ましくない。また、ポリウレタンは、
製造時にモノマーとしてイソシアネートを用いるため、
皮膚に対する刺激性があって貼付剤には不向きである。
加えて耐光性が悪く変色してしまい、長時間使用するに
はやはり不適当である。クロロプレンゴムやポリブタジ
エンゴムなど不飽和結合を有する軟質合成樹脂では、そ
の構造のために耐光性や耐熱性が劣っており、長時間の
使用には不適当である。さらに、合成樹脂の発泡体は一
般に透湿性が低く、したがって水蒸気透過性が不十分
で、皮膚が蒸れたりかぶれたりするといった心配が懸念
される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、皮膚への密
着性に優れ、しかも経皮吸収性の薬物を皮膚から生体内
に吸収させる能力を増大させる、疾患治療用の貼付剤を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前述の問題
点を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリエステル
エラストマー多孔質膜を基材と粘着剤層の間に介するこ
とにより所望の医療用貼付剤が得られることを見い出し
た。
【0010】即ち、本発明は基材の片面にポリエステル
エラストマー多孔質膜を介して薬物を含有する厚さ1〜
30μmの粘着剤層が設けられてなる貼付剤であって、
該ポリエステルエラストマー多孔質膜の空孔率が10%
以上95%未満であることを特徴とする医療用貼付剤で
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明に用いられる基材としては、可撓性
を有する素材で形成されたフィルムやシートであれば特
に限定されることなく使用でき、フィルムやシート、不
織布、織布、紙、金属箔、又はこれらの積層フィルムや
シートなどの形態で使用される。
【0013】好ましいフィルムやシートの具体例として
は、塩ビ、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタ
ン、低密度ポリエチレン、ポリエステルエラストマー、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレン
テレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート
(PEN)等のポリエステルを挙げることができる。こ
の中で、蒸れないという点で適度な透湿性を有するもの
が望ましく、塩ビ、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポ
リエステルエラストマー、PETがより好ましい。
【0014】上記基材の厚さは、用途に応じて選べばよ
いが、通常5〜1000μm、好ましくは10〜500
μmである。
【0015】本発明で用いられるポリエステルエラスト
マー多孔質膜は、ポリエステルエラストマーからなる空
孔率10%以上95%未満の多孔質フィルムである。本
発明の空孔率とは用いたポリマーの密度に対する膜の見
かけ密度の比(見かけ密度/ポリマーの密度)である。
特に空孔率が20%以上90%未満であることが好まし
い。空孔率が10%未満であるとクッション性が乏しく
なり、粘着剤層の厚さを薄く出来ないため、好ましくな
い。一方、空孔率が95%以上では加工が困難となり好
ましくない。
【0016】本発明に用いられるポリエステルエラスト
マーは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とする結晶
性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテル
及び/又は低結晶性ないしは非晶性のポリエステルをソ
フトセグエメントとするものが好ましい。
【0017】ハードセグメントである結晶性ポリエステ
ルを構成する芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ
ルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジ
フェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジ
カルボン酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸
などが例示され、これらのうちテレフタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸が好ましく、特に2,6−ナフ
タレンジカルボン酸が好ましい。また、ポリマーの結晶
性を損なわない範囲(例えば20モル%以下)で、これ
ら酸成分の一部をコハク酸、アジピン酸、セバチン酸、
デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸などの脂肪
族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂
環族ジカルボン酸等で置き換えてもよい。上記ジカルボ
ン酸成分として1種のみを使用してもよく2種以上を併
用してもよい。また、上記ジカルボン酸と同様に、その
エステル形成性誘導体を用いてもよい。
【0018】また、ハードセグメントである結晶性ポリ
エステルを構成するジオール成分としては、例えば、エ
チレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメ
チレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロ
ヘキサンジメタノールを挙げることが出来る。ジオール
成分としてはこれらのうち、テトラメチレングリコール
が特に好ましい。かかるジオール成分としては2種以上
を併用してもよい。また、上記ジオールと同様に、その
エステル形成性誘導体を用いてもよい。
【0019】また、上記結晶性ポリエステルは、ポリマ
ーの結晶性を損なわない範囲(例えば20モル%以下)
で、これらの一部を、ε−オキシカプロン酸、オキシ安
息香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸などのオキシカル
ボン酸などの他種カルボン酸から構成されるポリエステ
ルで置き換えてもよい。
【0020】ソフトセグメントを構成するポリエーテル
としては、ポリオキシアルキレングリコールを好ましく
挙げることが出来る。かかるポリオキシアルキレングリ
コールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコー
ル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシトリ
メチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコ
ール及びこれらの共重合体が例示され、これらのうち特
にポリオキシテトラメチレングリコールが好ましい。こ
れらのポリオキシアルキレングリコールの平均分子量は
500〜20000とすることが好ましく、600〜4
000が特に好ましい。
【0021】また、他のソフトセグメントを構成する低
結晶ないしは非晶性のポリエステルとしては、得られる
ポリエステルエラストマーのソフトセグメントとして作
用するならば特に制限はないが、例えば、下記のジカル
ボン酸成分及びジオール成分とから構成されるポリエス
テルや下記のヒドロキシカルボン酸誘導体から構成され
るポリエステルを挙げることが出来る。
【0022】ジカルボン酸成分;コハク酸、アジピン
酸、スペリン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ド
デカンジカルボン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカ
ルボン酸、イソフタル酸、これらのエステル形成性誘導
体など。
【0023】ジオール成分;エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメ
チレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペ
ンチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジ
オール、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオー
ル、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコー
ル、ドデカメチレングリコール、これらのエステル形成
性誘導体など。
【0024】ヒドロキシカルボン酸誘導体;ε−カプロ
ラクトン、γ−バレロラクトン、乳酸、グリコール酸な
ど。
【0025】本発明におけるポリエステルエラストマー
は、ハードセグメントとしてポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、又はポリブチレンナフタレートを、ソフトセグ
メントとしてポリオキシテトラメチレングリコールを好
ましく用いることができる。
【0026】上記ポリエステルエラストマーにおけるハ
ードセグメントの含有量は、ハードセグメントとソフト
セグメントとの合計量に対して10〜50重量%である
ことが望ましい。ハードセグメントの含有量が10重量
%より少ないと得られるエラストマーの耐熱性が不足
し、また50重量%より多いと弾性特性が低下するため
好ましくない。ハードセグメントの好適な含有量は20
〜40重量%である。
【0027】本発明におけるポリエステルエラストマー
の固有粘度は、フェノール/1,1,2,2−テトラク
ロロエタン混合溶媒(重量比4/6、温度35℃)中で
測定したとき、0.5〜6.0であることが好ましい。
特に、固有粘度が0.5未満では、実用的な強度が不足
したり、エラストマーとしての弾性特性が十分発揮でき
ないことがある。
【0028】本発明で使用するポリエステルエラストマ
ーは、ソフトセグメントがポリエーテルの場合には、結
晶性ポリエステルを構成する上述の芳香族ジカルボン酸
及びジオール、及びポリエーテルとして例えばポリオキ
シアルキレングリコールを用いて、従来公知の重合法に
より製造することが出来る。またソフトセグメントがジ
カルボン酸成分とジオール成分よりなるポリエステルの
場合には、ハードセグメントを構成する結晶性ポリエス
テル及びソフトセグメントを構成する低結晶性ないしは
非晶性のポリエステルを従来公知の重合法により別々に
製造し、かかる2種のポリエステルを溶融条件下に混練
してエステル−エステル交換反応せしめることにより製
造することが出来る。また、ソフトセグメントがヒドロ
キシカルボン酸誘導体からなるポリエステルの場合は、
ヒドロキシカルボン酸誘導体中にハードセグメント成分
のポリエステルを加え、ヒドロキシカルボン酸誘導体を
重合することにより製造することが出来る。
【0029】本発明において、ポリエステルエラストマ
ーの多孔質膜は、例えば水に可溶であり、かつ上記のポ
リエステルエラストマーを、ある温度以上で溶解するが
その温度以下では溶解することが出来ない極性溶媒に溶
解させ、こうして得られる溶液組成物を用いることによ
り好ましく製造することができる。この際の極性溶媒と
しては、水と混和性があり、用いるポリエステルエラス
トマーを加熱等により溶解することができ、更にこのポ
リエステルエラストマーが溶解した溶液組成物を冷却す
るなどして特定温度以下にすると、相分離に伴い溶液組
成物がゲル化し白化させることが出来るような溶媒から
選ぶことが出来る。このような極性溶媒としては、N−
メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルム
アミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミドなど
を例示することが出来る。これらのうち、N−メチルピ
ロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好まし
い。例えば、NMPは、室温ではポリエステルエラスト
マーを溶解して25重量%溶液を作製することは出来な
いが、100℃に加熱することにより、均一に溶解する
ことが出来る。この溶液組成物を支持基板上に流延し、
放冷するとやがてゲル化し、白化する。
【0030】かかる極性溶媒は、1種のみを用いてもよ
く、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記特性
を損なわない限り、他の溶媒や無機塩、添加剤などを加
えてもかまわない。
【0031】上記溶液組成物中のポリエステルエラスト
マー濃度は、1〜70重量%であることが好ましい。ポ
リエステルエラストマー濃度が1重量%より少ないとフ
ィルムやシートの形態を保持するのが難しく、また、7
0重量%より多いと空孔率の高いフィルムを得るのが困
難となる。ポリエステルエラストマー濃度は3〜50重
量%であることがより好ましい。
【0032】上記ポリエステルエラストマーの溶液組成
物は、上記ポリエステルエラストマーを上記極性溶媒に
加熱溶解することにより得る。この際の加熱溶解温度
は、用いるポリエステルエラストマーの構造或は濃度、
用いる極性溶媒等によって異なるが、該ポリエステルエ
ラストマーが均一に溶解するために必要な温度であれば
よく、通常は溶解開始温度以上200℃以下であり、5
0〜150℃が好ましい。
【0033】次に、上記溶液組成物は、例えばドクター
ブレード等を用いて支持基板上に流延され膜状物に成形
される。この流延直後の膜状物は透明であり、かかる膜
状物の形状は限定されない。また、この際に用いられる
支持基板の種類も特に限定されないが、例えばPET、
ポリエステルエラストマー等のポリマーフィルム、ガラ
ス板、金属板、プラスチック板、布状物等を挙げること
が出来る。また、貼付剤の基材上に直接流延してもかま
わない。かかる支持基板は、流延と同時にゲル化し流延
が困難になるのを防ぐため、ゲル化する温度以上に暖め
ておいてもよい。
【0034】上記膜状物は冷却されると、相分離に伴う
ゲル化が生じる。本発明でいうゲル化とは、ポリエステ
ルエラストマーが均一に溶解した透明な溶液組成物が白
色に濁り、なおかつ膜状物の形態を保持した状態のこと
である。ゲル化を生じさせるための冷却時間は特に限定
されないが、通常は5時間以内、より好ましくは2時間
以内である。また冷却方法も特に限定されず、室温で放
冷してもよく、また氷冷や冷却装置を用いてもよい。
【0035】このゲル化を生じせしめることによって、
得られる膜状物内部の多孔構造を均一にすることがで
き、透湿性の優れた膜状物を得ることが出来る。ゲル化
を生じさせることなく、後述する抽出処理を直接行う
と、厚さ方向、即ち表層部分と中心部分とが均一な多孔
構造を形成することが出来ず、得られるフィルムの透湿
性が悪くなる。
【0036】このようにして得られたゲル化した膜状物
は、次いで水性溶媒によって上記極性溶媒が抽出され
る。ここで水性溶媒とは、水、又は無機塩や低級脂肪族
アルコール、極性溶媒等を少なくとも1種溶解した水溶
液を意味する。用いる水性溶媒の温度は特に限定されな
いが、通常0〜100℃、好ましくは5〜80℃であ
る。抽出の方法としては特に限定されず、例えばかかる
ゲル化した膜状物を、支持基板とともに、あるいは支持
基板から剥がしてから水性溶媒に浸漬する、又は水性溶
媒で洗浄する等の方法を選択することが出来る。また、
抽出に要する時間は抽出方法によって異なるが、通常は
5時間以内、より好ましくは3時間以内である。
【0037】このようにして得られた膜状物は、乾燥さ
れて、最終的に厚さ通常数μm〜3mm程度のポリエス
テルエラストマーの多孔質フィルムとなる。この際の乾
燥温度はポリエステル温度の融解温度以下であれば特に
限定されることはなく、また、常圧で乾燥しても減圧下
で乾燥してもかまわない。乾燥温度は、通常150℃以
下、好ましくは130℃以下である。
【0038】上記方法により製造すると、透湿性の優れ
たポリエステルエラストマーの多孔質フィルムを得るこ
とができる。経皮吸収製剤は水蒸気透過性が劣ると、長
時間使用時に蒸れによる皮膚の軟化、発疹、発赤、かぶ
れなどが生じる。上記方法により得られたポリエステル
エラストマーの多孔質フィルムを本発明に使用するとク
ッション性が優れるために粘着剤層の厚さを薄く出来る
だけでなく、透湿性が優れるために使用時の蒸れを解消
できるため、より好ましい。
【0039】上記ポリエステルエラストマーの多孔質膜
の厚さは、用途に応じて適宜選べばよいが、通常10〜
3000μm、好ましくは30〜2000μmである。
【0040】上記方法によって得られるポリエステルエ
ラストマーの多孔質フィルムの構造及び性能は、使用す
る材料、製造条件によって影響される。例えば、空孔率
は溶液組成物中のポリエステルエラストマー濃度に影響
される。
【0041】本発明によれば、上記ポリエステルエラス
トマーからなる多孔質膜の上に、薬物を含有する粘着剤
層が形成される。かかる粘着剤層を構成する好ましい粘
着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリ
コーン系粘着剤などが用いられ、本発明の貼付剤の使用
目的によって適時選択される。すなわち、この貼付剤を
経皮吸収製剤として用いる場合には、薬物が最も効果的
に皮膚より吸収され、なおかつ皮膚への刺激性が低くな
るように粘着剤を選択すればよい。
【0042】アクリル系粘着剤としては、特に、炭素数
4〜18の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とか
ら得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独
重合体又は共重合体及び/又は上記(メタ)アクリル酸
アルキルエステルとその他の官能性モノマーとの共重合
体が好適に用いられる。
【0043】上記(メタ)アクリル酸エステルとして
は、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリ
ル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−
エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸
デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、
アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブ
チル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル
酸イソオクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イ
ソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステア
リルなどが例示される。
【0044】上記官能性モノマーの例としては、水酸基
を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、
アミド基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー
などが挙げられる。水酸基を有するモノマーとしては、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアル
キル(メタ)アクリレートが例示される。カルボキシル
基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル
酸などのα−β不飽和カルボン酸、マレイン酸ブチルな
どのマレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸、フ
マル酸、クロトン酸などが例示される。無水マレイン酸
もマレイン酸と同様の(共)重合成分を与える。アミド
基を有するモノマーとしては、アクリルアミド、ジメチ
ルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドなどのアル
キル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチルアクリル
アミド、エトキシメチルアクリルアミドなどのアルキル
エーテルメチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセト
ンアクリルアミド、ビニルピロリドンなどが例示され
る。アミノ基を有するモノマーとしては、ジメチルアミ
ノエチルアクリレートなどが例示される。
【0045】上記以外の共重合性モノマーとしては、酢
酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニ
ル、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブタジ
エンなども使用できる。粘着剤中には(メタ)アクリル
酸アルキルエステルが(共)重合成分として50重量%
以上含有されることが好ましい。
【0046】アクリル系粘着剤には更に必要に応じて多
官能性モノマーが加えられ、他のモノマー成分と共重合
されることもある。この多官能性モノマーの添加によ
り、生成する重合体間にごくわずかに架橋が生じ、それ
により粘着剤内部の凝集力が増大する。そのため、貼付
された皮膚の性状や発汗量にほとんど無関係に貼付剤剥
離時のいわゆる糊残り現象がほぼ解消される。しかも、
この多官能性モノマーの添加は低皮膚刺激性には何ら悪
影響を与えない。このような多官能性モノマーとして
は、例えば、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)ア
クリレート、テトラ(メタ)アクリレートなどがある
が、これに限定されない。また、これら多官能性モノマ
ーは2種以上を組み合わせて用いてもよい。多官能性モ
ノマーは粘着剤の製造に供される全モノマー中に0.0
05〜0.5重量%の割合で使用される。多官能性モノ
マーの使用量が0.005重量%未満であると、架橋に
よる内部凝集力の向上の効果が小さく、また0.5重量
%を越えると重合により得られる粘着剤の架橋が多すぎ
るため粘着力が低下してしまう。
【0047】ゴム系粘着剤としては、天然ゴム、スチレ
ン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソ
プレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、エチレン−酢
酸ビニル共重合体などのゴム弾性体100重量部に、粘
着付与剤20〜200重量部、及び適量の軟化剤、安定
剤などを添加してなるものが使用される。
【0048】シリコーン系粘着剤としては、ポリジメチ
ルシロキサンなどを主成分とするものが使用される。
【0049】上記粘着剤中には、例えばロジン系樹脂、
ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹
脂、テルペン−フェノール樹脂などの粘着性付与剤、液
状ポリブテン、鉱油、ラノリン、液状ポリイソブチレ
ン、液状ポリアクリレートなどの可塑剤、充填剤、老化
防止剤などの配合剤が必要に応じて添加される。
【0050】また、上記粘着剤を用いる際に、凝集力不
足のために皮膚貼付後、適用皮膚面に糊残り現象を生じ
て皮膚面の汚染を起こす恐れがある場合は、皮膚接着性
を損なわない範囲で適度な化学的架橋処理や物理的架橋
処理を施すことが好ましい。化学的架橋処理としては、
過酸化ベンゾイルの如き有機過酸化物、イソシアネート
系架橋剤、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属
化合物などの添加による処理方法などが挙げられる。
又、物理的架橋処理としては、例えば電子線、β線、γ
線、エックス線の如き電離性放射線の照射、紫外線吸収
剤添加後の紫外線の照射などの方法が挙げられる。
【0051】また、本発明に用いられる、粘着剤層中に
含まれる薬物としては、本発明の医療用貼付剤を外皮に
適用した際に経皮的に生体内に吸収されて薬理学的効果
を発揮する可能性のある経皮吸収性の薬物であれば局所
系又は全身系の薬物のいずれのものも用いられる。
【0052】このような薬物としては、例えば以下に列
挙するものが挙げられ、これらの薬物は必要に応じて2
種以上併用される。
【0053】イ)コルチコスレロイド類:例えばハイド
ロコーチゾン、プレドニゾロン、ベクロメタゾンプロピ
オネート、フルメタゾン、トリアムシロノン、トリアム
シロノロンアセトニド、フルオシノロン、フルオシロノ
ンアセトニド、フルオシロノンアセトニドアセテート、
プロピオン酸クロベタゾールなど、
【0054】ロ)鎮痛消炎剤:例えばアセトアミノフェ
ン、メフェナム酸、フルフェナム酸、インドメタシン、
ジクロフェナック、ジクロフェナックナトリウム、アル
クロフェナック、オキシフェンブタゾン、フェニルブタ
ゾン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、サリチル
酸、サリチル酸メチル、1-メントール、カンファー、ス
リンダック、トルメチンナトリウム、ナプロキセン、フ
ェンブフェンなど、
【0055】ハ)催眠鎮静剤:例えばフェノバルビター
ル、アモバルビタール、シクロバルビタール、トリアゾ
ラム、ニトラゼパム、ロラゼパム、ハロペリドールな
ど、 ニ)精神安定剤:例えばフェノバルビタール、アモバル
ビタール、シクロバルビタール、トリアゾラム、ニトラ
ゼパム、ロザレパム、ハロペリドールなど、 ホ)抗高血圧剤:例えばクロニジン、塩酸クロニジン、
ピンドロール、プロプラノロール、塩酸プロプラノロー
ル、ブフラノール、インデノロール、ニバジピン、ニモ
ジピン、ロフェジキシン、ニトレンジピン、ニプラジロ
ール、ブクモロール、ニフェジピンなど、
【0056】ヘ)降圧利尿剤:例えばハイドロサイアザ
イド、ベンドロフルメサイアザイド、シクロペンチアザ
イドなど、 ト)抗生物質:例えばペニシリン、テトラサイクリン、
オキシテトラサイクリン、硫酸フラジオマイシン、エリ
スロマイシン、クロラムフェニコールなど、 チ)麻酔剤:例えばリドカイン、塩酸ジブカイン、ベン
ゾカイン、アミノ安息香酸エチルなど、 リ)抗菌性物質:例えば塩酸ベンザルコリウム、ニトロ
フラゾン、ナイスチタン、アセトフルファミン、クロト
リマゾールなど、
【0057】ヌ)抗真菌物質:例えばペンタマイシン、
アムホテリシンB、ピロールニトリン、クロトリマゾー
ルなど、 ル)ビタミン剤:例えばビタミンA、エルゴカルジフェ
ロール、コレカルシフェロール、オクトチアシン、リボ
フラビン酪酸エステルなど、 ヲ)抗癲癇剤:例えばニトラゼパム、メプロバメロー
ル、クロナゼパムなど、 ワ)冠血管拡張剤:例えばニトログリセリン、ニトログ
リコール、イソソルビドジナイトレート、エリスリトー
ルテトラナイトレート、ペンタエリスリトールテトラナ
イトレート、プロパチルナイトレートなど、 カ)抗ヒスタミン剤:例えば塩酸ジフェンヒドラミン、
クロルフェニラミン、ジフェニルイミダゾールなど、
【0058】ヨ)鎮咳剤:例えば臭化水素酸デキストロ
メトルファン、硫酸テルブタソン、エフェドリン、塩酸
エフェドリン、硫酸サルブタモール、塩酸イソプロテレ
ノール、硫酸イソプロテレノールなど、 タ)性ホルモン:例えばプロゲステロン、エストラジオ
ールなど、 レ)抗鬱剤:例えばドキセピン ソ)脳循環改善剤:例えばヒデルギン、イフェンプロジ
ルなど、 ツ)制吐剤、抗潰瘍剤:例えばメトクロプラミド、クレ
ボプライド、ドンペリドン、スコポラミン、臭化水素酸
スコポラミンなど、 ネ)生体医薬:例えばポリペプチド類、プロスタグラン
ジン類など、 ナ)その他:例えばフェンタニール、ジゴキシン、デス
モプレシン、ジヒドロエルゴタミンメタンスルホン酸、
ジヒドロエルゴタミン酒石酸、5-フルオロウラシル、メ
ルカプトリンなど、が挙げられる。
【0059】そして、これらの薬物は所望により溶解剤
のごとき配合剤との混合系で用いることが出来る。この
溶解剤としては、ベンジルアルコール、ブチルベンゾエ
ート、ミリスチン酸イソプロピル、オクタノール、1,
3−ブタンジオール、プロピレングリコール、クロタミ
トン、ポリプロピレングリコール、エチレングリコー
ル、グリセリンなどが挙げられる。
【0060】上記感圧接着性の粘着剤と薬物との混合割
合は、用いる粘着剤や薬物の種類や量によっても異なる
が、通常は両者の混合物中に占める薬物の割合が0.1
〜30重量%の範囲となるように調製するのが好まし
い。
【0061】そして本発明の最も大きな特徴は、上記基
材の片面に上述のポリエステルエラストマー多孔質膜を
介して薬物含有粘着剤層を形成した点にあり、これによ
って所期の目的を達成しうるのである。上記の基材にポ
リエステルエラストマー多孔質膜を介して薬剤含有粘着
剤層を設ける方法としては、ポリエステルエラストマー
多孔質膜を直接基材上で製造したり、熱接着等の方法で
基材に多孔質膜を貼り合わせる等の方法により基材上に
ポリエステルエラストマー多孔質膜を形成させておき、
この多孔質膜側に直接薬物含有粘着剤を塗布して設ける
か、あるいは離型紙上に薬物を含有する粘着剤層を形成
させ、該離型紙を多孔質膜側に重ね合わせる方法など常
法手段を適宜選択して採用することが出来る。
【0062】しかしながら、上記ポリエステルエラスト
マーの多孔質膜は、前記した方法で基材上に一体成形す
ることが出来る。したがって、このようにして製造する
と、かかる基材と多孔質膜とは、密着性、接着性に優
れ、皮膚の伸縮や屈曲等の運動によって剥がれにくい。
さらに該基材と該多孔質膜とを例えば熱的に、または接
着剤を用いて貼り合わせる工程を省くことができ、生産
性に優れており、好ましく製造することが出来る。
【0063】また、必要に応じて多孔質膜と薬物含有粘
着剤層との間、また多孔質膜と基材との間に可撓性のフ
ィルムを介在させてもよい。
【0064】この薬物含有粘着剤層の厚さは、組み合わ
せる薬物や粘着剤の種類、更に薬物の溶解性等の点を考
慮し設計されるが多孔質膜の緩衝作用により薄くするこ
とが可能であり、従ってその厚さは1〜30μmとする
ことができ、薬物の粘着剤層中での拡散速度の比較的小
さいものにあっては1〜25μmが好ましい。かかる厚
さが30μmを超えると薬剤の残存率が高くなる。ま
た、透湿性も低下し、かぶれの原因になることがある。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、基材と薬物を含有する
粘着剤層との間に空孔率の高いポリエステルエラストマ
ー多孔質膜を用いたため、粘着剤層を薄くしても皮膚の
伸縮や屈曲によって剥がれることがない。そのため、薬
物を含有する粘着剤層を薄くすることが出来ることによ
り薬物の経皮吸収性及び薬物の利用率を高くすることが
可能となる。
【0066】また、本発明に用いるポリエステルエラス
トマー多孔質膜には必要に応じて高い透湿性(水蒸気透
過性)を付与することが出来るため、貼付時の蒸れ、か
ぶれを防ぎ、低刺激性でなおかつ長時間の使用が可能な
経皮吸収製剤を得ることが出来る。 かかる透湿性は、
具体的には透湿度500g/m2 ・24hr以上(JI
S Z0208による方法での測定、40℃、相対湿度
90%)であることが好ましく、1000〜5000g
/m2 ・24hrがさらに好ましい。
【0067】
【実施例】以下に、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
経皮吸収製剤の特性は以下の方法で評価した。
【0068】(貼付性)5×5cmの各試料片を成人男
子の胸部に貼付し、3時間後の皮膚への接着状態を目視
にて下記の基準により判定した。なお、表1中の数値は
試料数5個の平均値である。 1点:脱落又は20%未満の接着 2点:60%以下の接着 3点:80%未満の接着 4点:80%以上の接着 5点:完全接着
【0069】(かぶれ)貼付性試験後の皮膚の紅斑の程
度を下記の基準により点数で判定した。 0点:紅斑なし 1点:極軽度の紅斑 2点:明らかな紅斑 4点:強い紅斑 5人の平均が1点未満を◎、1〜2点を○、2〜3点を
△、3点以上を×とした。
【0070】(残存率)貼付性試験において貼付した試
験片を回収し、該回収試験片中に残存する薬物量をガス
クロマトグラフィーで定量し、未貼付試料中の含有量を
100%としたときの割合を残存率とする。
【0071】[実施例1] 1)ポリエステルエラストマー多孔質膜を積層した基材の
製造 ポリエステルエラストマー(以下EL−1と称する。ハ
ードセグメント;ポリブチレン−2,6−ナフタレート
30重量%,ソフトセグメント;ポリオキシテトラメチ
レングリコール(平均分子量2000)70重量%,固
有粘度1.73,融点180℃)5gをNMP15gに
120℃で溶解させた。これを30℃に加熱した、基材
となる厚さ15μmのポリエチレンテレフタレート(P
ET)フィルム上に100μmのドクターブレードで流
延し、室温で30分放冷した。流延面が白濁したことを
確認した後、PETフィルムごと50℃の水に浸漬し
た。30分後フィルムを取り出し、乾燥して、PETフ
ィルムに積層された白色で表面性の良いポリエステルエ
ラストマー多孔質膜を得た。ポリエステルエラストマー
多孔質膜部分のみの膜厚は82μmであり、空孔率は6
2.8%、透気度は18.15sec(JIS−P81
17)、透湿度1680g/m2 ・24hr(JIS
Z0208による方法での測定、40℃、相対湿度90
%)であり、極めて通気性及び透湿性に優れている。
【0072】2)貼付剤の製造 2−エチルヘキシルアクリレート97.4部、メタクリ
ル酸32.5部、ポリエチレングリコール(重合度1
4)ジメタクリレート0.1部、過酸化ベンゾイル1.
0部、及び酢酸エチル100部を還流冷却器、撹拌機を
有する反応容器に仕込み、窒素雰囲気下60〜70℃で
ゆっくり撹拌しながら9時間重合反応を続けた。反応転
化率は99.5〜99.9%であった。得られた重合溶
液に酢酸エチル500部を加えて固形分濃度約20%の
粘着剤溶液を調製した。
【0073】得られたアクリル系粘着剤溶液の固形分8
0部に対してジクロフェナックを20部添加、混合し、
この溶液を剥離紙上に乾燥後の粘着剤層の厚みが20μ
mとなるように塗工し、粘着剤層を乾燥させた。
【0074】上記ポリエステルエラストマー多孔質膜を
積層した基材であるPETフィルム面と反対側の、ポリ
エステルエラストマー多孔質膜側に上記粘着剤層を転写
して、本発明の貼付剤を得た。かかる貼付剤について、
貼付性、かぶれ、及び薬物残存率を評価した。結果を表
1に示す。
【0075】[比較例1]ポリエステルエラストマー多
孔質膜を介さず、実施例1において基材上に直接粘着剤
層を形成させて貼付剤を得た。
【0076】[比較例2]粘着剤層の厚みを50μmとし
た以外は比較例1と同様にして貼付剤を得た。
【0077】上記実施例、比較例の結果を表1にまとめ
て示す。
【0078】
【表1】
【0079】表1からわかるように実施例の試料はいず
れの項目においても優れた効果を示すことが認められ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の片面にポリエステルエラストマー
    多孔質膜を介して薬物を含有する厚さ1〜30μmの粘
    着剤層が設けられてなる貼付剤であって、該ポリエステ
    ルエラストマー多孔質膜の空孔率が10%以上95%未
    満であることを特徴とする医療用貼付剤。
  2. 【請求項2】 ポリエステルエラストマー多孔質膜が、
    芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とする結晶性ポリエ
    ステルをハードセグメントとし、ポリエーテル及び/又
    は低結晶性ないしは非晶性のポリエステルをソフトセグ
    エメントとするポリエステルエラストマーから主として
    なることを特徴とする請求項1記載の医療用貼付剤。
  3. 【請求項3】 ソフトセグメントがポリエーテルである
    ことを特徴とする請求項2記載の医療用貼付剤。
  4. 【請求項4】 ポリエステルエラストマー多孔膜質が、
    ポリエステルエラストマーと、水と混和しうる極性溶媒
    とからなる溶液組成物を支持基板上に流延し、ついで冷
    却してゲル化させた後、水性溶媒によって該溶液組成物
    から該極性溶媒を抽出することによって得られることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療用貼付
    剤。
JP34304995A 1995-12-28 1995-12-28 医療用貼付剤 Pending JPH09176000A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34304995A JPH09176000A (ja) 1995-12-28 1995-12-28 医療用貼付剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34304995A JPH09176000A (ja) 1995-12-28 1995-12-28 医療用貼付剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09176000A true JPH09176000A (ja) 1997-07-08

Family

ID=18358549

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34304995A Pending JPH09176000A (ja) 1995-12-28 1995-12-28 医療用貼付剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09176000A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002200111A (ja) * 2000-12-28 2002-07-16 Kyowa Ltd 貼付剤
JP2003526680A (ja) * 2000-03-10 2003-09-09 ダレクト コーポレーション オピオイド製剤
WO2009154169A1 (ja) 2008-06-19 2009-12-23 学校法人近畿大学 ペプチド誘導体およびそれを含む涙液分泌促進組成物

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003526680A (ja) * 2000-03-10 2003-09-09 ダレクト コーポレーション オピオイド製剤
JP4969009B2 (ja) * 2000-03-10 2012-07-04 ダレクト コーポレーション オピオイド製剤
JP2002200111A (ja) * 2000-12-28 2002-07-16 Kyowa Ltd 貼付剤
JP4620861B2 (ja) * 2000-12-28 2011-01-26 株式会社共和 貼付剤
WO2009154169A1 (ja) 2008-06-19 2009-12-23 学校法人近畿大学 ペプチド誘導体およびそれを含む涙液分泌促進組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4323797B2 (ja) 最適化した接着特性を有する親水性感圧接着剤の調製
JP6068324B2 (ja) 非晶質薬物の経皮系、製造方法、および安定化
JP5702434B2 (ja) 経皮薬物送達システムにおいて有用な非反応型接着剤
JP5155900B2 (ja) 架橋型皮膚用粘着剤
EP1696013B1 (en) Pressure sensitive adhesive and patch
JP6359032B2 (ja) 経皮薬物送達用のマルチポリマー組成物
IE912181A1 (en) Patch with a high content of softening ingredients
CA2896336C (en) Compositions and methods for transdermal delivery of non-steroidal anti-inflammatory agents
JP4272636B2 (ja) 架橋型皮膚用粘着剤
WO2001066095A1 (fr) Timbre extensible
JPWO2010074183A1 (ja) 経皮吸収型製剤
WO2014159582A1 (en) Amphetamine transdermal compositions with acrylic block copolymer
JPS6393714A (ja) 経皮吸収貼付剤
JP2003093434A (ja) 伸縮性外用貼付剤
JPS62153214A (ja) 医薬製剤
JPH09176000A (ja) 医療用貼付剤
JPH0429927A (ja) 貼付剤
WO2006093066A1 (ja) 粘着基材及び該粘着基材を含む医療用貼付製剤
JPH11349476A (ja) 医療用貼付材
JPH0336806B2 (ja)
JPH1045571A (ja) 貼付剤
JPH0413617A (ja) 貼付剤
JPH07165563A (ja) テープ製剤
JPS61267512A (ja) 積層構造物
JPS63270060A (ja) 抗菌性粘着部材