JPH091639A - 延伸ブロー成形用プリフォーム及びそれを用いる成形法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 二軸延伸プラスチックボトルの製造に際し
て、原料樹脂の使用量を低減でき、製品であるプラスチ
ックボトルの重量を減量でき、さらに底部の延伸薄肉化
が良好なプラスチックボトルを製造し得る延伸ブロー成
形用プリフォーム及び該プリフォームを使用するプラス
チックボトルの成形法を提供する。 【構成】 プリフォームの胴部と底部との接続部近傍に
特定寸法の厚み縮小テーパー部を設け、プリフォームの
厚み縮小テーパ部からボトルの接地部を形成し、プリフ
ォームの薄肉化された半球状底部から十分に延伸された
上底を形成した。 【効果】 底部の強度を十分に高く維持し且つ容器の自
立安定性を保持しながら、底部の重量を低減し、素材コ
ストを低くし、容器を軽量化することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、延伸ブロー成形用プリ
フォーム及びそれを用いる成形法に関するもので、より
詳細には、二軸延伸プラスチックボトルの製造に際して
原料樹脂の使用量を低減でき、製品となるプラスチック
ボトルの重量を減量でき、さらに底部の均一延伸薄肉化
が可能な延伸ブロー成形用プリフォーム及びこれを用い
る成形法に関する。

【０００２】

【従来の技術】延伸ブロー成形プラスチックボトル、特
にポリエステルボトルは今日では一般化しており、その
優れた透明性と適度なガスバリヤー性とにより、液体洗
剤、シャンプー、化粧品、醤油、ソース等の液体商品の
外に、ビール、コーラ、サイダー等の炭酸飲料や、果
汁、ミネラルウオータ等の他の飲料容器に広く使用され
ている。

【０００３】ポリエステルボトルの成形に際しては、ポ
リエステルの射出成形により、最終容器より寸法のかな
り小さい且つポリエステルが非晶質である有底プリフォ
ームをその延伸温度においてブロー金型中で軸方向に引
張延伸すると共に、周方向にブロー延伸する方法が採用
されている。

【０００４】この有底プリフォームの形状としては、ボ
トルの口頸部、例えば密封用開口端、蓋係合用ネジ及び
支持リング等からなる口頸部を有し且つ全体としての形
状が試験管状のものが一般的である。しかし、一方で
は、製品の強度、延伸度等を向上させるために、この有
底プリフォームの形状を改良することが試みられてきて
いる。

【０００５】例えば、特公昭６２−５４６９６号公報に
は、瓶胴部相当部の肉厚に対して、瓶底部相当部と瓶肩
部相当部との各肉厚を約８０％程度乃至８０％以下とし
た中間素材を該底部及び該肩部の延伸率が該胴部に比べ
てより大きくなるように二軸延伸することを特徴とする
合成樹脂二軸延伸瓶の成形方法が記載されている。この
方法により、底部及び肩部が十分に延伸された合成樹脂
二軸延伸瓶が得られることも記載されている。

【０００６】また、特開平２−２５８２１４号公報に
は、内壁面を特定の形状としてなる有底のプラスチック
プリフォームが記載されており、このプリフォームを使
用してブロー成形することにより、安定性や強度に優れ
たプラスチックボトルが得られることが記載されてい
る。

【０００７】更に、特開平３−２６５１３号公報には、
口部、胴部及び底部を有する円筒状の二軸延伸ブロー成
形用予備成形体であって、該胴部に少なくとも薄肉の帯
状部分を有するものが記載されている。この予備成形体
を加熱すると薄肉の帯状部が厚肉の他の部分に比べ急速
に温度低下が起こるので、このことを利用して製品の特
定の部分を薄肉化することが可能となる旨が記載されて
いる。

【０００８】更にまた、特開平４−３６６６０４号公報
には、瓶体底部相当部と瓶体胴部相当部との間に環状の
段差部を設けることにより、該瓶体底部相当部を厚肉に
し若しくは薄肉にし又は胴部よりも細径に絞り込んだこ
とを特徴とする合成樹脂瓶体ブロー成形用予備成形体が
記載されている。このように底部相当部を厚肉にし若し
くは薄肉にし又は胴部よりも細径に絞り込んだ予備成形
体を条件に応じてブロー成形することにより、瓶体底部
の極端な偏肉及び局部薄肉化を防止できることが記載さ
れている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】一方、飲料用ポリエス
テルボトルの分野でも、特に、省資源化、コストダウ
ン、製品重量の減量及び減容等を目的として、新規成形
方法、新規ボトル形状等の開発、特に新規プリフォーム
形状が各容器製造メーカーにより試みられている。

【００１０】かかる目的を達成するために、プリフォー
ムの胴部肉厚を薄くすることが考えられるが、このアプ
ローチは、ボトル性能（例えば強度）、成形性、充填ラ
イン、搬送時の取り扱い等の観点から限界があり、かか
る限界を越えない範囲内で薄肉化を行わなければならな
い。また、プリフォームの口頸部、特にノズル部につい
ては規格があるため、プリフォームの口頸部の形状の変
更により原料樹脂及び製品の重量の減量を行うことは困
難である。

【００１１】従って、本発明の目的は、二軸延伸プラス
チックボトルの製造に際して、原料樹脂の使用量を低減
でき、製品であるプラスチックボトルの重量を減量で
き、さらに底部の延伸薄肉化が良好なプラスチックボト
ルを製造し得る延伸ブロー成形用プリフォーム及び該プ
リフォームを使用するプラスチックボトルの成形法を提
供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、プラスチックボトルの底部、特に上底部の薄
肉化を行うことにより、即ちプリフォームの底部相当
部、特に上底部相当部の薄肉化を行うことにより、製品
のボトル性能等に影響を与えることなく上記目的を達成
できると考え、有底プリフォームの形状を種々検討し
た。その結果、前述した従来技術では到底実現できない
程の原料樹脂の減量をもたらすプリフォームの形状の開
発に成功し、本発明を完成するに至った。。

【００１３】即ち、本発明によれば、胴部と胴部の一端
に設けられた口頸部と胴部の他端に設けられた閉塞底部
とを備えた延伸ブロー成形用プリフォームにおいて、前
記胴部は筒状乃至テーパー状であり且つ前記底部は実質
上半球状であって、内面側にあっては滑らかに接続され
ていると共に外面側にあっては底に向けて外径の縮小す
るテーパー部を介して接続され、胴部の厚み（ｄ₁）と
底部の厚み（ｄ₂）との比（ｄ₁／ｄ₂）は１．０乃至
１．５の範囲にあり、且つテーパー部のテーパー角度は
２乃至１２度の範囲にあることを特徴とする延伸ブロー
成形用プリフォームが提供される。

【００１４】本発明によればまた、上記プリフォームを
延伸温度に加熱し、このプリフォームを、前記半球部が
底中央及び外径縮小テーパー部が底外周となるように、
軸方向に引っ張り延伸すると共に周方向にブロー延伸
し、ついで底中央を底打ちして、前記外径縮小テーパー
部を接地部及びそれより外周の底部分とすると共に、半
球部を接地部よりも内側の上底に成形することを特徴と
するプラスチック延伸ボトルの成形法が提供される。

【００１５】

【作用】本発明は、延伸ブロー成形用プリフォームの底
部接続部近傍の胴部に、特定形状のテーパー状部分を設
けたことが特徴である。即ち、本発明のプリフォーム
は、前記実質上半球状の閉塞底部と円筒状の胴部とが、
内面側にあっては滑らかに接続されていると共に外面側
にあっては底に向けて外径の縮小するテーパー部を介し
て接続され、胴部の厚み（ｄ₁ ）と底部の厚み（ｄ₂ ）
との比は（ｄ₁ ／ｄ ₂ ）は１．０乃至１．５、特に１．
１乃至１．４の範囲にあり、且つテーパー部のテーパー
角度は２乃至１２度、特に３乃至１０の範囲にあること
を顕著な特徴とするものである。

【００１６】本発明においては、上記プリフォームを延
伸温度に加熱し、このプリフォームを、前記半球部が底
中央及び外径縮小テーパー部が底外周となるように、軸
方向に引っ張り延伸すると共に周方向にブロー延伸し、
ついで底中央を底打ちして、前記外径縮小テーパー部を
接地部及びそれより外周の底部分とすると共に、半球部
を接地部よりも内側の上底に成形する。

【００１７】延伸ブロー成形用プリフォームにおいて、
前記胴部と前記底部との接続部を胴部から底部にかけて
次第に厚みが上記テーパー角度で減少するテーパー状と
したので、これを延伸したとき、単位断面積あたりの応
力が胴部から底部にかけて次第に大きくなる。このた
め、延伸の困難である底部中央部の十分且つ均一な延伸
及び薄肉化が可能となり、耐座屈強度等を低下させるこ
となく、上底部の均一な薄肉化がもたらされ、上底部の
重量目付を従来のそれの半分或いはそれ以下に減少させ
ることが可能となる。

【００１８】上記テーパ部を、内面側にあっては滑らか
に接続されていると共に外面側にあっては底に向けて外
径の縮小する形状としたことは、プリフォームの成形性
の点でも、また、プリフォームの延伸成形性の点でも利
点をもたらす。即ち、樹脂の射出成形に際しては、テー
パー部を介して胴部、さらには口部への樹脂の流入が円
滑に行われるので、射出成形性が良好であり、また射出
型からの型抜きも良好である。また、テーパー部によ
り、延伸開始点が徐々に胴部に移行するので、延伸操作
も円滑に行うことができる。更に、射出型の外型は、一
般にスライドインサート、キャビティ、ゲートパッドの
３個の部品で構成されるが、本発明では、ゲートパッド
を上記のテーパー部を設けたものに変更するのみで、所
定形状のプリフォームを形成することができる。

【００１９】最終プラスチックボトルの底部において、
底の外周に接地部を設け、底の中央に接地部よりも上方
に位置する上底を設ける理由は、底中央が多少変形して
もボトルの自立性が損なわれないようにするためである
が、接地部が変形すると自立性が損なわれることは自明
である。また、接地部があまりに薄肉化すると、この部
分がブロー成形時に破損したり、熱殺菌中に変形したり
する恐れがある。更に、設置部等の底外周部では、周方
向のブロー延伸倍率が大きくなるので、薄肉化傾向が大
きい。本発明では、外径縮小テーパー部を接地部及びそ
れより外周の底部分とすることにより、これらの部分の
過度の薄肉化を防止することができ、ボトルの自立安定
性を高めることができる。

【００２０】本発明において、プリフォームの胴部の厚
み（ｄ₁ ）と底部の厚み（ｄ₂ ）との比は（ｄ₁ ／ｄ
₂ ）が上記範囲にあることも重要であり、この比が上記
範囲よりも小さいと、上底の高度の延伸や薄肉化による
目付の低減が不満足となり、一方上記範囲よりも大きい
と、上底の膨出変形が大きくなり、強度も低下するよう
になる。また、テーパー部のテーパー角度が、上記範囲
よりも小さいと、上記の厚み比を達成することが困難と
なって、上底の高度の延伸や薄肉化による目付の低減が
不満足となり、一方上記範囲よりも大きいと、テーパ部
における応力集中が過大となって、円滑な延伸操作が困
難となる。

【００２１】即ち、胴部の一部をテーパー状とし、これ
に接続する半球状底部を薄肉化したことにより原料樹脂
の使用量を減らすことが可能となると共に、底部が高延
伸且つ均一薄肉化されるので強度等のボトル性能が良好
なプラスチックボトルが得られる。

【００２２】

【発明の好適態様】本発明を添付図面に示す具体例に基
づいて以下詳細に説明する。本発明のプリフォームの例
を示す図１及び図２において、このプリフォームは熱可
塑性樹脂の射出成形で製造される。例えば、ポリエチレ
ンテレフタレートの射出成形及び過冷却により実質上非
晶質の状態で製造される。このプリフォームは、大別し
て口頸部１、胴部２、閉塞底部３及び胴部と閉塞底部と
を接続するテーパー部４からなっている。

【００２３】口頸部１は密封用開口端５、蓋係合用ネジ
６及び支持リング７を備えている。口頸部１は、非晶質
の状態で存在しても、或いは、その剛性や耐熱性を付与
するために、熱処理により結晶化（白化）されていても
よい。

【００２４】胴部２は、全体として筒状乃至底に向けて
径の縮小するテーパー状であり、一般に型抜けの良好な
ように、０．３乃至２度程度の小さいテーパー角を有し
ていることが望ましい。胴部３は、口頸部の下端部８に
滑らかに接続され、次第に厚み（外径）が増大してほぼ
一定の厚みｄ₁ となっている。この厚みｄ₁ は、プラス
チックボトルの容積や形状及び用途によっても相違する
が、一般に２．５乃至６ｍｍ、特に３乃至４．５ｍｍの
範囲にある。胴部２の長さは、容器の大きさによるのは
当然であるが、テーパー部をも含めて、一般に６０乃至
２００ｍｍ、特に９０乃至１４０ｍｍの範囲にある。

【００２５】閉塞底部３は、実質上半球状であって、そ
の厚みｄ₂ は半球の全体にわたってほぼ一定であり、プ
ラスチックボトルの容積や形状及び用途によっても相違
するが、一般に２．５乃至４．５ｍｍ、特に３乃至４ｍ
ｍの範囲にある。閉塞底部３の内径Ｒは、胴部２と滑ら
かに接続するものであり、胴部２の内径によっても相違
するが、一般に６乃至１６ｍｍ、特に７乃至１０ｍｍの
範囲が適当である。

【００２６】胴部２と閉塞底部３とは、プリフォームの
内面９にあっては滑らかに接続されていると共に、プリ
フォームの外面にあっては底に向けて外径の縮小するテ
ーパー部４を介して接続されている。ここで、胴部２の
厚み（ｄ₁）と閉塞底部の厚み（ｄ₂）との比（ｄ₁／
ｄ₂）は一般に１．０乃至１．５の範囲、特に１．１乃
至１．４の範囲にあるのがよく、且つテーパー部のテー
パー角度（θ）は一般に２乃至１２度の範囲、特に３乃
至１０度の範囲である。

【００２７】テーパー部４の外面の断面形状は、ストレ
ート（直線）であるのが一般的であるが、上に凸或いは
上に凹の曲線状であってもよい。後者の場合、テーパー
部の角度（θ）は、テーパー部とストレートな胴部との
大径の接続部１０と、テーパー部と閉塞底部との小径の
接続部１１とを結ぶ線がなすテーパー角を意味する。ま
た、前者の場合、接続部１０及び接続部１１には一定の
曲率半径（Ｒ１）の曲率部を設けてもよい。この曲率半
径（Ｒ１）は１０ｍｍ以下が適当である。

【００２８】テーパー部４と半球状の閉塞底部３とは、
図１に示すとおり、直接接続されていても、また図２に
示すとおり、両者の間には、厚みが一定で長さの短いス
トレート部分１２が設けられていてもよい。このストレ
ート部分１２の長さは、底部厚みｄ₂ の１倍以下、特に
０．５倍以下であるのが好ましい。

【００２９】本発明のプリフォーム成形用プラスチック
としては、成形可能な熱可塑性樹脂であれば任意のもの
を用いることができる。このような樹脂として、ポリエ
チレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリブチレンテレフ
タレート（ＰＢＴ）、ポリエチレンナフタレート等の熱
可塑性ポリエステル；ポリカーボネート類；アクリル−
ブタジエン−スチレン共重合体（ＡＢＳ樹脂）；ポリア
セタール樹脂；ナイロン６、ナイロン６６、それらの共
重合ナイロン等のナイロン類；ポリメチルメタクリレー
ト等のアクリル樹脂；アイソタクチック・ポリプロピレ
ン；ポリスチレン等の他、低−、中−、或いは高−密度
ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレ
ン−ブテン−１共重合体、スチレン−ブタジエン熱可塑
性エラストマー等を挙げることができる。これらのプラ
スチックには、製品の品質を損なわない範囲内で種々の
添加剤、例えば着色剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、
核剤等を配合することができる。

【００３０】特に、熱可塑性樹脂としてポリエステルを
使用するのが好ましく、この場合、そのポリエステルの
固有粘度（η）はボトル成形用グレードでよく、０．６
５ｄｌ／ｇ以上、特に０．７０乃至０．９０ｄｌ／ｇの
範囲にあり、且つジエチレングリコール単位の含有量が
１．６０重量％以下、特に１．５０重量％以下の範囲内
にあるものが好適に使用される。

【００３１】本発明によるプリフォームは、射出成形法
により製造される。この射出成形に用いる金型を示す図
３において、この金型は、プリフォームの内面を規定す
るコア金型２０並びにプリフォームの外面を規定するス
ライドインサート金型２１、キャビティ金型２２及びゲ
ートパッド２３から成る。スライドインサート金型２１
は、主としてプリフォームの口頸部を成形するものであ
ると共に、これを通してコア金型２０をキャビティ内に
スライドさせながら挿入し且つ引き出すものである。キ
ャビティ金型２２は、プリフォームの胴部を形成させる
ものであり、スライドインサート金型２１及びキャビテ
ィ金型２２の形状はそれ自体公知のものである。

【００３２】ゲートパッド２３は、プリフォームのテー
パー部及び閉塞底部を形成すると共に、樹脂をキャビテ
ィ内に射出させるためのゲート２４を備えているもので
ある。

【００３３】上記装置を使用すると、ゲートパッド２３
を図３に示す形状のものに変更するのみで、上底重量を
顕著に減少させたボトル製造用のプリフォームを製造す
ることが可能となる。

【００３４】得られたプリフォームの口部に耐熱性、剛
性を与えるため、プリフォームの段階で口頸部を熱処理
により結晶化させ、白化させてもよく、また後述の二軸
延伸ブロー成形によりプリフォームをボトルに成形後、
得られたプラスチックボトルの口頸部を結晶化させ、白
化させてもよい。

【００３５】上記プリフォームを延伸温度に加熱し、こ
のプリフォームを、前記半球部が底中央及び外径縮小テ
ーパー部が底外周となるように、軸方向に引っ張り延伸
すると共に周方向にブロー延伸し、ついで底中央を底打
ちして、前記外径縮小テーパー部を接地部及びそれより
外周の底部分とすると共に、半球部を接地部よりも内側
の上底に成形する。

【００３６】延伸ブロー成形に先だって、プリフォーム
を、熱風、赤外線ヒーター、高周波誘導加熱等の手段で
延伸適性温度まで予備加熱する。その温度範囲は、８５
乃至１２０℃、特に９５乃至１１０℃の範囲にあるのが
よい。

【００３７】このプリフォームを、それ自体公知の延伸
ブロー成形機中に供給し、金型内にセットして、延伸棒
の押し込みにより軸方向に引張延伸すると共に、流体の
吹き込みにより周方向へブロー延伸し、最後に底部を底
打ち金型で底打ちして上底を形成する。この際、前述し
た作用により、上底になる部分を軽量化させつつ、十分
に延伸させて、所望の強度を得ることができる。

【００３８】最終容器における延伸倍率は、面積倍率で
８乃至１２倍が適当であり、この内でも、軸方向延伸倍
率を１．８乃至２．７倍とし、周方向延伸倍率を３．０
乃至４．５倍とするのがよい。また、接地部からの上底
中心部の高さは、１０乃至１８ｍｍが適当である。

【００３９】本発明の方法で製造されるボトルの一例を
示す図４（正面図）、図５（側面図）、図６（平面
図）、図７（底面図）、図８（Ａ−Ａ断面図）、図９
（Ｂ−Ｂ断面図）、図１０（Ｃ−Ｃ断面図）、図１１
（Ｄ−Ｄ断面図）において、このボトルは、口頸部３
０、台錐状の肩部３１、上胴部３２、下胴部３３及び底
部３４から成る。

【００４０】底部３４は、接地部３５と接地部から上に
盛り上がった上底３６とから形成されており、プリフォ
ームの径縮小テーパ部（４）が接地部３５となり、プリ
フォームの薄肉化された半球状底部（３）が上底３６と
なっている。この上底３６には、底の補強の目的でリブ
３７が放射状に設けられていることが理解されるべきで
ある。

【００４１】ボトルの口頸部３０はプリフォームの口頸
部（１）と同じ形状及び寸法であり、肩部３１はプリフ
ォームの口頸部下部（８）或いは更に肉厚の増大部（８
ａ）から形成されている。

【００４２】ボトルの上胴部３２及び下胴部３３には、
減圧変形吸収用のパネル部（ミラー部）３８がリブ３９
を介して形成されている。また、上胴部３２と下胴部３
３との間には、補強用の周状凹ビード４０が形成されて
いる。

【００４３】本発明の方法で製造されるボトルの他の例
を示す図１２（正面図）、図１３（側面図）、図１４
（平面図）、図１５（底面図）、図１６（Ａ−Ａ断面
図）、図１７（Ｂ−Ｂ断面図）において、このボトル
は、口頸部３０、台錐状の肩部３１、上胴部３２、下胴
部３３及び底部３４から成ることは、図４乃至１１の場
合と同様であるが、この例では上底３６はドーム状に膨
出して形成されている。

【００４４】また、上胴部３２には補強用の周状の凹ビ
ード４１が小間隔をおいて多数配置され、下胴部３３に
はパネル部３８がリブ３９を介して設けられているが、
このパネル部３８にも細かな凹凸ビード４２が形成され
ている。

【００４５】これら何れの例でも、プリフォームの径縮
小テーパ部（４）から接地部３５を形成し、プリフォー
ムの薄肉化された半球状底部（３）から十分に延伸され
た上底３６を形成したため、底部の強度を十分に高く維
持し且つ容器の自立安定性を保持しながら、底部の重量
を低減し、素材コストを低くし、容器を軽量化すること
ができる。

【００４６】

【実施例】本発明を次の例により説明する。

【００４７】実施例１ 図３に示したのと同様な射出型を使用し、ポリエチレン
テレフタレートの射出成形により、図１に示す形状で、
下記の寸法を有するプリフォームを製造した。 全長 １５２ｍｍ 口頸部開口内径 ２０ｍｍ 胴部テーパー角 １゜ 胴部厚み ４．５ｍｍ 底部厚み ３．６ｍｍ 底部内面曲率半径 ９ｍｍ 開口部から厚み縮小テーパー部の開始端までの距離 １２８ｍｍ 厚み縮小テーパー部のテーパー角 ８゜ プリフォーム重量 ５７ｇ

【００４８】上記プリフォームを１０５℃の温度に予備
加熱し、公知の二軸延伸ブロー成形機により、縦延伸倍
率２．１倍及び横延伸倍率４．４倍で延伸ブロー成形
し、図１２乃至１７に示す形状のボトルに成形した。

【００４９】比較のため、厚み縮小テーパー部を設け
ず、底部厚みが胴部厚みと同一の４．５ｍｍであるプリ
フォームを使用して、同様のボトルを成形した。

【００５０】得られたボトルについて、上底を切り出
し、その重量を測定したところ、比較ボトルの上底は１
０．２ｇであるのに対して、本実施例のボトルのそれは
５．５ｇであった。また、耐熱性ボトルに必要な４５ｋ
ｇ以上の圧縮強度が得られ、自立性も極めて満足のいく
ものであった。

【００５１】実施例２ 図３に示したのと同様な射出型を使用し、ポリエチレン
テレフタレートの射出成形により、図２に示す形状で、
下記の寸法を有するプリフォームを製造した。 全長 １５８ｍｍ 口頸部開口内径 ２１ｍｍ 胴部テーパー角 １．１゜ 胴部厚み ４．５ｍｍ 底部厚み ３．６ｍｍ 底部内面曲率半径 ９ｍｍ 開口部から厚み縮小テーパー部の開始端までの距離 １３７ｍｍ 厚み縮小テーパー部のテーパー角 １０゜ テーパー部下ストレート部分の長さ ２ｍｍ プリフォーム重量 ６５ｇ

【００５２】上記プリフォームの口頸部のみを加熱し
て、口部結晶化を行った。このプリフォームを１０５℃
の温度に予備加熱し、公知の二軸延伸ブロー成形機によ
り、縦延伸倍率２．１倍及び横延伸倍率４．４倍で延伸
ブロー成形し、図４乃至１１に示す形状のボトルに成形
した。

【００５３】比較のため、厚み縮小テーパー部を設け
ず、底部厚みが胴部厚みと同一の４．５ｍｍであるプリ
フォームを使用して、同様のボトルを成形した。

【００５４】得られたボトルについて、上底を切り出
し、その重量を測定したところ、比較ボトルの上底は１
０．２ｇであるのに対して、本実施例のボトルのそれは
５．５ｇであった。また、ウーロン茶を８５℃で熱間充
填し、密封したところ、容器底部の膨出変形がなく、自
立性も極めて満足のいくものであった。

【００５５】

【発明の効果】本発明によれば、プリフォームの胴部と
底部との接続部近傍に特定寸法の厚み縮小テーパー部を
設け、プリフォームの厚み縮小テーパ部からボトルの接
地部を形成し、プリフォームの薄肉化された半球状底部
から十分に延伸された上底を形成したため、底部の強度
を十分に高く維持し且つ容器の自立安定性を保持しなが
ら、底部の重量を低減し、素材コストを低くし、容器を
軽量化することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のプリフォームの一例を示す断面図であ
る。

【図２】本発明のプリフォームの他の例を示す断面図で
ある。

【図３】本発明のプリフォームの射出型の一例を示す一
部断面図である。

【図４】本発明の方法で製造されるボトルの一例を示す
正面図である。

【図５】図４のボトルの側面図である。

【図６】図４のボトルの平面図である。

【図７】図４のボトルの底面図である。

【図８】図４のボトルのＡ−Ａ断面図である。

【図９】図４のボトルのＢ−Ｂ断面図である。

【図１０】図４のボトルのＣ−Ｃ断面図である。

【図１１】図４のボトルのＤ−Ｄ断面図である。

【図１２】本発明の方法で製造されるボトルの他の例を
示す正面図である。

【図１３】図１２のボトルの側面図である。

【図１４】図１２のボトルの平面図である。

【図１５】図１２のボトルの底面図である。

【図１６】図１２のボトルのＡ−Ａ断面図である。

【図１７】図１２のボトルのＢ−Ｂ断面図である。

【符号の説明】

１ 口頸部 ２ 胴部 ３ 閉塞底部 ４ テーパー部 ５ 密封用開口端 ６ 蓋係合用ネジ ７ 支持リング ８ プリフォームの口頸部の下端部 ９ プリフォームの内面 １０ 大径の接続部 １１ 小径の接続部 １２ ストレート部分 ２０ コア金型 ２１ スライドインサート金型 ２２ キャビティ金型 ２３ ゲートパッド ２４ ゲート ３０ ボトルの口頸部 ３１ 台錐状の肩部 ３２ 上胴部 ３３ 下胴部 ３４ 底部 ３５ 接地部 ３６ 上底 ３７ 補強リブ ３８ パネル部（ミラー部） ３９ リブ ４０ 周状凹ビード ４１ 周状の凹ビード ４２ 凹凸ビード

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 胴部と胴部の一端に設けられた口頸部と
   胴部の他端に設けられた閉塞底部とを備えた延伸ブロー
   成形用プリフォームにおいて、 前記胴部は筒状乃至テーパー状であり且つ前記底部は実
   質上半球状であって、内面側にあっては滑らかに接続さ
   れていると共に外面側にあっては底に向けて外径の縮小
   するテーパー部を介して接続され、胴部の厚み（ｄ₁）
   と底部の厚み（ｄ₂）との比（ｄ₁／ｄ₂）は１．０乃至
   １．５の範囲にあり、且つテーパー部のテーパー角度は
   ２乃至１２度の範囲にあることを特徴とする延伸ブロー
   成形用プリフォーム。
2. 【請求項２】 請求項１記載のプリフォームを延伸温度
   に加熱し、このプリフォームを、前記半球部が底中央及
   び外径縮小テーパー部が底外周となるように、軸方向に
   引っ張り延伸すると共に周方向にブロー延伸し、ついで
   底中央を底打ちして、前記外径縮小テーパー部を接地部
   及びそれより外周の底部分とすると共に、半球部を接地
   部よりも内側の上底に成形することを特徴とするプラス
   チック延伸ボトルの成形法。