JPH0913967A - スラント型内燃機関における冷却装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スラント型内燃機関１において、そのシリン
ダブロック３の上面側に、ラジエータ８からの冷却水戻
り管路９が接続されるサーモスタット弁ケース６を設
け、この弁ケース６内に、ジグルピンバルブ１７を備え
たサーモスタット弁１５を設ける場合に、前記ジグルピ
ンバルブ１７からの空気抜きが確実にできるようにす
る。 【構成】 前記サーモスタット弁１５の弁座板１５ａに
エンボス部１６を設け、このエンボス部１６のうち略鉛
直面の部分に、前記ジグルピンバルブ１７を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シリンダブロックにお
けるシリンダボアの軸線をクランク軸の方向から見て水
平面に対して傾斜（スラント）して成るいわゆるスラン
ト型の内燃機関において、その冷却装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】先行技術としての特公平４−７７１３４
号公報には、前記スラント型内燃機関に対する冷却装置
について、そのシリンダブロックの上面に締結したシリ
ンダヘッドにおける冷却水ジャケットからの冷却水出口
に、ラジエータのアッパタンクへの冷却水流出管路を接
続する一方、シリンダブロックの左右両長手側面のうち
傾斜により上側になる長手側面に、サーモスタット弁ケ
ースを一体的に設けて、このサーモスタット弁ケース
に、前記ラジエータのロアタンクからの冷却水戻り管路
を接続すると共に、このサーモスタット弁ケース内を、
冷却水を前記シリンダブロックにおける冷却水ジャケッ
トに供給する冷却水ポンプの吸い込み側に連通し、前記
サーモスタット弁ケース内に、冷却水の温度が低いとき
前記冷却水戻り管路のサーモスタット弁ケース内への連
通を遮断し、冷却水の温度が高いとき前記冷却水戻り管
路をサーモスタット弁ケース内に連通するように構成し
たサーモスタット弁を設けて成る冷却装置を提案してい
る。

【０００３】そして、この冷却装置は、サーモスタット
弁の作動により、冷却水が、その温度が低い暖機運転の
状態では、バイパス通路を通ってシリンダブロックにお
ける冷却水ジャケットとシリンダヘッドにおける冷却水
ジャケットとの間を循環し、その温度が高い状態では、
前記バイパス通路の流れを遮断して、シリンダブロック
における冷却水ジャケット及びシリンダヘッドにおける
冷却水ジャケットとラジエータとの間を循環するように
構成したものである。

【０００４】ところで、この冷却装置においても、前記
サーモスタット弁に、冷却水の注入に際しての空気抜き
用のジグルピンバルブを、当該サーモスタット弁をバイ
パスするように設けることが必要である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】この場合において、従
来、ジグルピンバルブを備えたサーモスタット弁は、例
えば、実開昭６０−９１８６９号公報等に記載されてい
るように、その軸線を略水平にして取付け、その軸線と
直角な平面にした弁座板に、前記ジグルピンバルブを、
当該ジグルピンバルブが弁座板を直角方向に貫通するよ
うにして設けると言う構成にしている。

【０００６】しかし、この従来におけるジグルピンバル
ブを備えたサーモスタット弁を、前記したスラント型内
燃機関に対する冷却装置に適用した場合には、以下に述
べるような問題があった。すなわち、シリンダブロック
の左右両長手側面のうち傾斜により上側になる長手側面
に、サーモスタット弁ケースを一体的に設けて、このサ
ーモスタット弁ケース内にサーモスタット弁を設けた場
合、このサーモスタット弁の軸線は、水平面に対して傾
斜し、従って、この軸線に対して直角の弁座板も、水平
面に対して傾斜することにより、この弁座板に対して直
角方向に貫通するように設けられたジグルピンバルブ
は、その重量で閉じた状態になって、冷却水の注入に際
しての空気抜きの役目を殆ど果たさない状態になるか
ら、前記サーモスタット弁ケース内にまで冷却水を注入
できないと言う事態を招来することになる。

【０００７】そこで、従来は、前記サーモスタット弁に
おける弁座板に、数ミリ程度の小孔を穿設することによ
って、空気抜きを行うように構成しているが、この小孔
に詰まりが発生するおそれがあるのであり、しかも、暖
機運転の状態において、ラジエータで冷やされた冷却水
が、前記小孔よりサーモスタット弁ケース内に流入する
ことにより、これだけ、冷却水の温度上昇が遅れるか
ら、暖機運転中におけるカーヒータによる暖房性能が低
下するばかりか、暖機運転に要する時間が長くなるので
あった。

【０００８】本発明は、これらの問題を解消したスラン
ト型内燃機関における冷却装置を提供することを技術的
課題とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この技術的課題を達成す
るため本発明は、「シリンダブロックにおけるシリンダ
ボアの軸線を水平面に対して傾斜し、このシリンダブロ
ックの左右両長手側面のうち傾斜により上側になる長手
側面に、サーモスタット弁ケースを一体的に設けて、こ
のサーモスタット弁ケースに、ラジエータからの冷却水
戻り管路を接続すると共に、このサーモスタット弁ケー
ス内を、冷却水を前記シリンダブロックに供給する冷却
水ポンプの吸い込み側に連通する一方、シリンダヘッド
における冷却水出口に、ラジエータのアッパタンクへの
冷却水流出管路を接続し、前記サーモスタット弁ケース
内に、冷却水の温度が低いとき前記冷却水戻り管路のサ
ーモスタット弁ケース内への連通を遮断し、冷却水の温
度が高いとき前記冷却水戻り管路をサーモスタット弁ケ
ース内に連通するように構成したサーモスタット弁を設
けて成るスラント型内燃機関において、前記サーモスタ
ット弁における弁座板に、エンボス部を、当該エンボス
部の一部に略鉛直面を形成するように設けて、このエン
ボス部における略鉛直面の部分に、ジグルピンバルブ
を、当該ジグルピンバルブが貫通するように設ける。」
と言う構成にした。

【００１０】

【作 用】このように、サーモスタット弁における弁
座板に、エンボス部を、当該エンボス部の一部に略鉛直
面を形成するように設けて、このエンボス部における略
鉛直面の部分に、ジグルピンバルブを、当該ジグルピン
バルブが貫通するように設けることにより、シリンダブ
ロックにおける上側の長手側面に一体的に設けたサーモ
スタット弁ケース内にサーモスタット弁を挿入した場合
に、当該サーモスタット弁における軸線が水平面に対し
て傾斜することになっても、前記ジグルピンバルブの軸
線を、略水平の姿勢にすることができるから、冷却水の
注入に際して、前記ジグルピンバルブが閉じた状態にな
ることを防止できて、空気抜きを行うことができる。

【００１１】

【発明の効果】従って、本発明によると、スラント型内
燃機関における冷却装置において、そのサーモスタット
弁における弁座板、従来のように、殊更、空気抜き用の
小孔を穿設することを必要としないから、確実な空気抜
きを確保でき、しかも、暖機に要する時間を短縮できる
と共に、暖機運転中におけるカーヒータによる暖房性能
を向上できる効果を有する。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を、図面について説明
する。図において符号１は、シリンダボアの軸線１ａを
クランク軸１ｂの方向から見て水平面２に対して適宜角
度θだけ傾斜したスラント型の内燃機関を示し、この内
燃機関１は、内部に冷却水ジャケット３ａを形成したシ
リンダブロック３と、このシリンダブロック３の下面に
締結したオイルパン４と、前記シリンダブロック３の上
面に締結したシリンダヘッド５とによって構成されてい
る。

【００１３】前記内燃機関１のシリンダブロック３にお
ける左右両長手側面のうち傾斜により上側になる長手側
面には、サーモスタット弁ケース６が一体的に造形さ
れ、このサーモスタット弁ケース６に接合されたエルボ
管７には、二点鎖線で示すラジエータ８のロアタンク８
ａからの冷却水戻り管路９が接続されている。また、前
記シリンダブロック３には、前記クランク軸１ｂからの
動力伝達によって駆動される冷却水ポンプ１０が、当該
冷却水ポンプ１０における吸い込み側が通路１１を介し
て前記サーモスタット弁ケース６内に、吐出側が通路１
２を介してシリンダブロック３における冷却水ジャケッ
ト３ａに各々連通するように設けられている。

【００１４】一方、前記シリンダヘッド５における冷却
水ジャケット５ａからの冷却水出口５ｂには、前記ラジ
エータ８のアッパタンク８ｂへの冷却水流出管路１３が
接続されている。更に、前記シリンダブロック３の内部
には、前記シリンダヘッド５における冷却水出口５ｂ
と、前記サーモスタット弁ケース６内とを連通するバイ
パス通路１４が設けられている。

【００１５】符号１５は、弁座板１５ａを備えたボトム
バイパス式のサーモスタット弁を示し、このサーモスタ
ット弁１５は、前記サーモスタット弁ケース６内に、そ
の弁座板１５ａの外周部を前記サーモスタット弁ケース
６とエルボ管７との間に挟むようにして挿入され、且
つ、このサーモスタット弁１５は、冷却水の温度が低い
とき前記冷却水戻り管路９のサーモスタット弁ケース６
内への連通を遮断すると共に前記冷却水出口５ｂからの
バイパス通路１４をサーモスタット弁ケース６内に連通
し、冷却水の温度が高いとき前記冷却水戻り管路９をサ
ーモスタット弁ケース６内に連通すると共に前記バイパ
ス通路１４のサーモスタット弁ケース６内への連通を遮
断するように作動するものである。

【００１６】これにより、シリンダブロック３の冷却水
ジャケット３ａ内、及びシリンダヘッド５の冷却水ジャ
ケット５ａ内における冷却水は、その温度が低い状態で
は、冷却水ポンプ１０により、バイパス通路１４を通っ
て循環するが、その温度高くなると、冷却水ポンプ１０
により、冷却水流出管路１３及び冷却水戻り管路９を通
って、ラジエータ８との間を循環する。

【００１７】そして、前記サーモスタット弁１５におけ
る弁座板１５ａには、図４に示すように、エンボス部１
６を、当該エンボス部１６の一部に略鉛直面１６ａを形
成するように設けて、このエンボス部１６における略鉛
直面１６ａの部分に、ジグルピンバルブ１７を、当該ジ
グルピンバルブ１７が貫通するように設けるのである。

【００１８】このように構成することにより、シリンダ
ブロック３における上側の長手側面に一体的に設けたサ
ーモスタット弁ケース６内に、サーモスタット弁１５を
挿入した場合に、当該サーモスタット弁１５における軸
線１５ｂが水平面に対して傾斜することになっても、こ
のサーモスタット弁１５における弁座板１５ａに取付け
したジグルピンバルブ１７の軸線１７ａを、略水平の姿
勢にすることができ、冷却水の注入に際して、前記ジグ
ルピンバルブが閉じた状態になることを防止できるか
ら、従来のように、前記弁座板１５ａに空気抜き用の小
孔を穿設することなく、前記ジグルピンバルブ１７にて
空気抜きを確実に行うことができるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示すスラント型内燃機関の正
面図である。

【図２】図１の要部を示す縦断正面図である。

【図３】図２のIII −III 視断面図である。

【図４】サーモスタット弁の要部を示す拡大図である。

【符号の説明】

１ 内燃機関 １ａ シリンダボアの軸線 １ｂ クランク軸 ２ 水平面 ３ シリンダブロック ３ａ シリンダブロックの冷却水ジ
ャケット ５ シリンダヘッド ５ａ シリンダヘッドの冷却水ジャ
ケット ５ｂ シリンダヘッドの冷却水出口 ６ サーモスタット弁ケース ７ エルボ管 ８ ラジエータ ９ 冷却水戻り管路 １０ 冷却水ポンプ １３ 冷却水流出管路 １４ バイパス通路 １５ サーモスタット弁 １５ａ サーモスタット弁の弁座板 １６ エンボス部 １６ａ エンボス部の垂直面 １７ ジグルピンバルブ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダブロックにおけるシリンダボアの
   軸線を水平面に対して傾斜し、このシリンダブロックの
   左右両長手側面のうち傾斜により上側になる長手側面
   に、サーモスタット弁ケースを一体的に設けて、このサ
   ーモスタット弁ケースに、ラジエータからの冷却水戻り
   管路を接続すると共に、このサーモスタット弁ケース内
   を、冷却水を前記シリンダブロックに供給する冷却水ポ
   ンプの吸い込み側に連通する一方、シリンダヘッドにお
   ける冷却水出口に、ラジエータのアッパタンクへの冷却
   水流出管路を接続し、前記サーモスタット弁ケース内
   に、冷却水の温度が低いとき前記冷却水戻り管路のサー
   モスタット弁ケース内への連通を遮断し、冷却水の温度
   が高いとき前記冷却水戻り管路をサーモスタット弁ケー
   ス内に連通するように構成したサーモスタット弁を設け
   て成るスラント型内燃機関において、前記サーモスタッ
   ト弁における弁座板に、エンボス部を、当該エンボス部
   の一部に略鉛直面を形成するように設けて、このエンボ
   ス部における略鉛直面の部分に、ジグルピンバルブを、
   当該ジグルピンバルブが貫通するように設けたことを特
   徴とするスラント型内燃機関における冷却装置。