JPH09132849A - 吸水性シートおよびその製造法 - Google Patents

吸水性シートおよびその製造法

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JPH09132849A
JPH09132849A JP7283278A JP28327895A JPH09132849A JP H09132849 A JPH09132849 A JP H09132849A JP 7283278 A JP7283278 A JP 7283278A JP 28327895 A JP28327895 A JP 28327895A JP H09132849 A JPH09132849 A JP H09132849A
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fiber
fibers
water
binder
absorbent sheet
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JP7283278A
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Yasuyuki Oku
恭行 奥
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸水性、曲げ強さなどの力学的特性、寸法安
定性に優れ、かつ加工性の良好な吸水性シートおよびそ
の製造法を提供することを目的とする。 【解決手段】 表面に1つ以上の連続あるいは不連続の
溝を有する親水性の異形断面繊維、バインダー繊維、お
よび金属架橋繊維を含有し、各繊維が捲縮を有し、繊維
長が25mm以上の短繊維で、かつ該バインダー繊維の
配合量が全固形分に対し15〜50重量%である吸水性
シート。表面に1つ以上の連続あるいは不連続の溝を有
する親水性の異形断面繊維、バインダー繊維、金属架橋
繊維を含有する繊維群を開繊し、カード法にてウェブ化
し、該ウェブを単層あるいは複数層積層して、加熱加圧
処理を行い、バインダー繊維と接する繊維を融着させる
ことを特徴とする吸水性シートの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸水性シートに関す
る。さらに詳しくは、吸水性、力学的特性、寸法安定性
に優れ、加湿器用吸水材、結露吸水材、水蒸散板、調湿
板などに活用し得る吸水性シートおよびその製造法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、加湿器用吸水材、結露吸水材、調
湿板、濾過材などの分野において、多孔性シート(本発
明では、吸水性シート)が広く利用されるようになって
いる。多孔性シートとしては、従来、ポリオレフィンな
どの熱可塑性樹脂の微粒体をシート状に焼結成形したも
のや、該樹脂の有孔フィルムと多孔性基材とを接合した
ものなどが使用されている。しかしながら、上記の熱可
塑性樹脂は一般に疎水性であるため、これらの多孔性シ
ートは吸水性に劣るものとなり、吸水材としては有効に
機能しないという問題点があった。
【0003】従来の多孔性シートのかかる問題点を解決
し、吸水性に優れ、かつ曲げ強さなどの力学的特性の良
好な多孔性シートが、特開平1−283129号公報に
開示されている。該公報の多孔性シートは、強化繊維か
らなるシート、例えば、ポリエステル繊維の不織布など
に熱硬化性フェノール樹脂の微粒子の水分散液を含浸
し、乾燥させた後、加圧加熱処理して上記フェノール樹
脂を硬化させてシートを形成し、ついでシリカ系の微粒
子の水分散液を含浸し、乾燥させて得られるものであ
る。
【0004】また、特開平3−81349号公報には難
燃性を、特開平3−86529号公報には表面平滑性を
付与した吸水性および力学的特性の双方に優れる多孔性
シートが開示されているが、その基本的な構成および製
造方法は上記公報と類似したものである。
【0005】しかしながら、上記の方法によって得られ
る多孔性シートには、2次加工の際にフェノール樹脂の
微粒子が脱落するなどの問題点が有り、かつフェノール
樹脂およびシリカ系の微粒子の添着が別工程となり、工
程が煩雑で生産性にも劣るという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題点を解決するものであり、吸水性、曲げ強さなどの力
学的特性、寸法安定性に優れ、かつ2次加工性の良好な
吸水性シートおよび工程が簡便な該吸水性シートの製造
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決するために鋭意検討した結果、特定の親水性を有
する繊維を組み合わせ、これらをバインダー繊維で固定
することで吸水性シートを得られることを見い出した。
本発明はこれらの知見をもとに達成されたものである。
【0008】即ち、本発明は、表面に1つ以上の連続あ
るいは不連続の溝を有する親水性の異形断面繊維、バイ
ンダー繊維、および金属架橋繊維を含有し、各繊維が捲
縮を有し、繊維長が25mm以上の短繊維で、かつ該バ
インダー繊維の配合量が全固形分当り15〜50重量%
であることを特徴とする吸水性シートである。
【0009】また、表面に1つ以上の連続あるいは不連
続の溝を有する親水性の異形断面繊維、バインダー繊
維、金属架橋繊維、および親水性の高弾性繊維を含有
し、各繊維が捲縮を有し、繊維長が25mm以上の短繊
維で、かつ該バインダー繊維の配合量が全固形分当り1
5〜50重量%であることを特徴とする吸水性シートで
ある。
【0010】また、好ましくは異形断面繊維がポリビニ
ルアルコール系繊維であることを特徴とする吸水性シー
トである。
【0011】また、表面に1つ以上の連続あるいは不連
続の溝を有する親水性の異形断面繊維、バインダー繊
維、および金属架橋繊維を含有する繊維群を開繊し、カ
ード法にてウェブ化し、該ウェブを単層あるいは複数層
積層して、加熱加圧処理を行い、バインダー繊維と接す
る繊維を融着させることを特徴とする吸水性シートの製
造法である。
【0012】また、表面に1つ以上の連続あるいは不連
続の溝を有する親水性の異形断面繊維、バインダー繊
維、金属架橋繊維を含有する繊維群を開繊し、カード法
にてウェブ化し、該ウェブを単層あるいは複数層積層し
て、該ウェブを構成する繊維を交絡させた後、加熱加圧
処理を行い、バインダー繊維と接する繊維を融着させる
ことを特徴とする吸水性シートの製造法である。
【0013】さらには、好ましくは親水性の高弾性繊維
を含有する上記の吸水性シートの製造法である。
【0014】以下、本発明について詳細に説明する。ま
ず、本発明で使用する繊維の役割につき説明を行う。異
型断面繊維は、表面に形成された溝が通水経路となり水
を運ぶ。バインダー繊維は構成する繊維を接着により結
合させ、吸水性シートに強度を付与する。また、吸水性
シートが吸水したとき、繊維が膨潤し、厚みが変化する
のを抑制する。金属架橋繊維は、非常に親水性に富み、
繊維全体が水を伝わるので、水が運ばれる速度がきわめ
て速いのが特徴である。
【0015】さらに、本発明で使用する繊維について詳
細かつ具体的に説明する。本発明で用いる異形断面繊維
とは、親水性で、表面に少なくとも1つ以上の連続ある
いは不連続の溝を有するものである。溝の形状に特に制
限はなく、断面形状がT型、Y型、U型、星型などのも
のであれば、凹部が溝の役割をはたし得るし、単にスト
リーク状の溝を有するものであってもよい。
【0016】一般に、不織布シートの吸水性は、それを
構成する繊維自体の性質はもちろんのこと、繊維の形状
や繊維の集合状態に強く依存する。取分け、後二者が不
織布シートの吸水性に及ぼす影響は多大である。
【0017】真円や楕円形の断面形状を有する繊維は、
その表面に溝状の通水経路を持たないばかりでなく、該
繊維のみで構成された不織布シートでは、繊維の充填率
が高くなり、シートが緻密になるため、該シート内にお
ける繊維間の通水経路の形成が不十分なものとなり、優
れた吸水性を有する不織布シートを得ることは困難であ
る。
【0018】しかしながら、繊維表面に存在する連続あ
るいは不連続の溝が通水経路として機能する。さらに
は、該繊維の特殊な断面形状のために、繊維同士が該シ
ート内で接触あるいは近接した際にも、異型断面を持た
ない繊維同士に比べ、接する面積が少ないため、繊維間
で空隙が残り、該シート内に多数の細孔が形成され、繊
維間の通水経路が確保される。これら経路を毛細管現象
により、後述する繊維と組み合わせることで、本発明の
吸水性シートは優れた吸水性が発現すると考えられる。
【0019】しかしながら、あまりに偏平な繊維を用い
た場合、加圧工程で、吸水性シートが緻密になるため、
繊維断面において、長軸径(L)と短軸径(S)の偏平
比(L/S)が3以下であることが好ましい。
【0020】異形断面繊維の種類としては、親水性を有
するものであれば特に限定されるものではなく、ポリビ
ニルアルコール系繊維、再生繊維、アセテート繊維、ポ
リアミド系繊維、エチレンビニルアルコール系繊維な
ど、あるいはコロナ放電処理やプラズマ処理などによる
表面改質、アクリル酸などの親水性化合物のグラフト重
合、多孔質化などによって親水性を付与された繊維など
を単独あるいは複数混合して使用することができる。通
水経路を構成する異形断面繊維自体が親水性を有し、吸
水性シートに優れた吸水性を付与することが、本発明の
特徴の一つである。
【0021】上記の繊維の中でも、ポリビニルアルコー
ル系繊維は、ヤング率が大きく、吸水性シートに良好な
力学的特性、例えば、曲げ強さなどを付与できる点で特
に好ましい繊維である。また、シートが形成される工程
で、緻密に異形断面繊維として、この様な高ヤング率の
繊維を使用すれば、吸水性シートの力学的特性を容易に
向上させることができる。また、該繊維は菌類やカビ類
に対して完全な抵抗性を有しており、吸水板や水蒸散板
の様な水廻りの用途において、優れた耐菌性、耐カビ性
を示すことが期待される。
【0022】異形断面繊維の繊度は、0.1〜15デニ
ール(以下、dと略す。)が好ましい。さらに、好まし
くは0.3d〜15dである。0.1d未満の繊維は、
吸水性シートが緻密になり、吸水性シート内における繊
維間の通水経路が減少するので好ましくない。15dを
超えて大きいと、空隙は確保されるが、繊維間隔が広く
なり、複数の繊維のよる細孔形成が抑制され、毛細管現
象により水が進行することが阻害されるため吸水が低下
し、好ましくない。また、0.3d未満であると、カー
ドからの紡出が難しく、均一なウェブが得られないとい
う問題点がある。
【0023】異形断面繊維は、吸水性シート内で、他の
構成成分であるバインダー繊維、金属架橋繊維、および
高弾性繊維が過不足なく配合された部分の残りの部分に
用いられ、その配合量に特に上限はなく、吸水性シート
重量の30%以上であることが好ましい。さらに好まし
くは40%以上である。30%未満では、細孔形成能が
低下し、吸水性シート内における繊維間の通水経路が減
少するので好ましくない。
【0024】次に、バインダー繊維について説明する。
本発明で用いられるバインダー繊維としては、熱溶融性
繊維あるいは熱水溶解性繊維が例示される。熱溶融性繊
維は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドなど
の合成樹脂から選ばれた繊維状のもので、合成樹脂の融
点以上の温度で処理することによって合成樹脂が溶融
し、接着し、強度を発現するものである。熱水溶解性繊
維は、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコー
ルなどの合成樹脂から選ばれた繊維状のもので、加熱に
より含水状態のウェブを乾燥させる工程で水温の上昇に
よって溶解し、ウェブが乾燥することで接する繊維と接
着し、強度を発現するものである。
【0025】バインダー繊維の繊度は、0.1〜15d
が好ましい。さらに、好ましくは0.3d〜15dであ
る。0.1d未満では、吸水性シートが緻密になり、通
水経路が確保されず、吸水性が低下するため好ましくな
い。また、15dを超えて大きいと、吸水性シート内の
バインダー繊維の本数が少なくなり、接着力の低下を補
うべくバインダー繊維の配合量を増やさねばならず、吸
水性に寄与する繊維の含有量が低下するため、好ましく
ない。また、0.3d未満であると、カードからの紡出
が難しく、均一なウェブが得られないという問題点があ
る。
【0026】バインダー繊維の配合量は、吸水性シート
重量の15〜50%が好ましく、さらに好ましくは20
〜40%である。15%未満では、接着力が不足し、他
の構成繊維を固定することが困難で、吸水性シートの力
学的特性の低下、毛羽立ちの発生、寸法安定性の低下を
招く。50%を超えると、接着力は大きいが、バインダ
ー繊維の溶融可塑化によって吸水性シートの吸水性が低
下してしまう。また、バインダー繊維が、他の吸水性に
寄与する繊維の表面を覆う面積が大きくなり、吸水性が
低下してしまう。さらに、接着により吸水性シートが緻
密になりやすいため好ましくない。
【0027】次に、金属架橋繊維について説明する。本
発明で用いられる金属架橋繊維は、特開平2−8452
8号公報や特開平2−84532号公報に開示されてい
る様なアクリル系繊維を改質したものであり、アクリル
系繊維に架橋結合を導入し、加水分解反応によってカル
ボキシル基と残部にアミド基を導入し、ついで一価の金
属イオンを付加、あるいは多価の金属イオンを架橋させ
て得られる公知の繊維である。このような繊維の中で、
親水性に富み、吸水し、水を速やかに運ぶことができる
繊維は全て使用することができる。
【0028】アクリル系繊維に架橋結合を導入する方法
としては、ヒドラジン、ヒドロキシルアミンなどで残存
ニトリル基を処理する方法や、ホルムアルデヒド、ベン
ズアルデヒドなどのアルデヒド類を酸性触媒下で反応さ
せる方法が挙げられる。
【0029】また、加水分解反応によってカルボキシル
基と残部にアミド基を導入する方法としては、アルカリ
金属水酸化物、アンモニアなどの塩基性水溶液、あるい
は硝酸、硫酸、塩酸などの鉱酸水溶液中で原料繊維を加
熱処理する方法などが挙げられる。この加水分解反応に
より、アクリル系繊維中のニトリル基が実質的に消失
し、カルボキシル基と残部にアミド基が導入される。
【0030】さらに架橋、加水分解したアクリル系繊維
に一価の金属イオンを付加、あるいは多価の金属イオン
を架橋する方法としては、リチウム、ナトリウム、カリ
ウムなどの一価の金属塩水溶液、あるいは亜鉛、銅、カ
ルシウム、鉄などの多価の金属塩水溶液で処理する方法
が挙げられる。
【0031】金属架橋繊維は、繊維内部に水を持つこと
ができ、繊維自体が水を運ぶことが可能であるため、該
繊維は吸水能が高く、大きな吸水速度を示す。故に金属
架橋繊維が適量含有する吸水性シートは大きな吸水性を
示すものとなる。
【0032】金属架橋繊維の繊度は、0.1〜15dが
好ましい。さらに、好ましくは0.3d〜15dであ
る。0.1d未満では、シートが緻密になり、細孔形成
能が低下し、吸水性シート内における繊維間の通水経路
が減少するので好ましくない。また、15dを超えて大
きいと、空隙は確保されるが、繊維間隔が広くなり、複
数の繊維のよる細孔形成が抑制され、毛細管現象により
水が進行することが阻害されるため吸水が低下し、好ま
しくない。また、0.3d未満であると、カードからの
紡出が難しく、均一なウェブが得られないという問題点
がある。
【0033】金属架橋繊維の配合量は、吸水性シート重
量の1〜30%以下が好ましく、さらに好ましくは1〜
20%である。1%未満では、吸水材としての効果が小
さく、吸水性シートの吸水性の向上に有効に作用しない
ので好ましくない。一方、30%を超えて多いと、金属
架橋繊維は単糸強度が小さく、かつ吸水時の膨潤性が著
しいので、吸水性シートの力学的特性が低下するばかり
でなく、該繊維の吸水時の膨潤によって、該シート内の
通水経路の閉塞や、該シートの吸水時における厚み方向
の寸法安定性の低下を招くので好ましくない。
【0034】これらの繊維は捲縮を有していることが好
ましい。捲縮を有する繊維を用いることで、単にカード
によりウェブ化するとき、カーディングが行いやすいだ
けでなく、シートに強度などの物性を付与する製造工程
において、加熱加圧したときに、捲縮がクッションの役
割を果たし、加圧に対して、適度な反発があり、シート
が緻密になり、高密度化することを抑制でき、吸水性シ
ート内に適度な通水経路を確保することができる。捲縮
を有しない繊維を用いた場合は、カーディングが難し
く、ウェブ化が困難であるだけでなく、バインダー繊維
が溶融し、強度が発現する温度で、加圧した場合、低圧
でも高密度化しやすいため、圧力の制御が難しいという
問題がある。
【0035】捲縮の数は、25mmあたり5〜25個の
範囲が好ましく、8〜18個の範囲がさらに好ましい。
5個より少ないと、繊維がカードのワイヤーに沈んでし
まって、繊維を紡出すること困難であり、繊維の絡みが
少なく、ウェブの形態を保持するのが難しく、次の工程
へウェブを搬送することが困難である。また、25個を
超えたものは、ネップが発生し、カードからの紡出が劣
ったものとなり、均一なウェブが得られない。
【0036】繊維長は25mm以上が好ましい。さらに
好ましくは25〜100mmの範囲である。25mmよ
り短いと、カードから紡出されたウェブは繊維間の絡み
が少なく、ウェブの形態を保持するのが難しく、次の工
程へウェブを搬送することが困難である。25mmを超
えた繊維からなる3成分の構成により、弾性に優れた吸
水性シートを得ることができる。
【0037】また、本発明の吸水性シートにさらに高弾
性を付与するために、親水性の高弾性繊維を含有させる
ことが好ましい。親水性の高弾性繊維とは、ガラス、炭
素繊維などの無機繊維、銅繊維、ステンレス繊維などの
金属繊維、フェノール繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポ
リイミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、芳香
族ポリエステル繊維などのエンプラ繊維で、高弾性を有
する繊維で、しかも、水に対して親和性を有するもの、
撥水性でないものをさす。高弾性繊維の繊維長、繊度
は、本発明で用いる、異形断面繊維、金属架橋繊維、バ
インダー繊維と同じ範囲のものを使用することができ
る。
【0038】高弾性繊維は、剛性が大きく、吸水性シー
トに曲げ強さを付与し、他の繊維間に入り込むことで吸
水性シート内の通水経路を閉塞するのを防ぎ、吸水速度
を維持することができる。
【0039】高弾性繊維には、ガラス繊維や炭素繊維の
ように捲縮を付与するのが難しい繊維もあるので、この
場合、他の捲縮を有する繊維とともにカードから紡出で
きる配合量は、シート重量に対し、20重量%以下の範
囲が好ましい。
【0040】さらに、抗菌性や防カビ性を有する繊維を
混繊することも、吸水性シートに抗菌防カビ性を付与で
きる点からも好ましい。しかしながら、本発明の吸水性
シートの性能を阻害する範囲であってならないのは言う
までもない。
【0041】次に、本発明の吸水性シートの製造法につ
いて説明する。本発明の吸水性シートの製造法は、繊維
を混繊し、開繊した後、カードを用いてウェブ化した
後、積層などの方法にて、所望の目付けに調製し、熱カ
レンダーや熱プレスなどを用い加熱加圧処理によって、
バインダー繊維を融着し、所望の厚みの吸水性シートを
得ることができる。
【0042】また、該ウェブをシリンダドライヤー、ヤ
ンキードライヤー、エアドライヤーなどで一旦、バイン
ダー繊維を溶融させた後、単層あるいは複数層積層し、
加圧加熱処理しても良い。
【0043】さらに、積層後、加熱加圧の前に、ニード
ルパンチ、ウォータージェットなどの方法で、構成する
繊維を交絡させる方法を用いてもよい。繊維を交絡させ
ることで、厚み方向にも通水経路を確保し、吸水性シー
トを伝わる水が表裏で異なるといった現象を防ぎ、優れ
た吸水性を示すことができる。また、積層ウェブの厚み
を抑えることができるので、次の工程への移行が行いや
すいというメリットもある。
【0044】
【作用】本発明の吸水性シートは、異形断面繊維、およ
び金属架橋繊維をバインダー繊維で一体化させたもので
あり、吸水性、曲げ強さなどの力学的特性や寸法安定性
に優れるものである。また、加工性時に粉体や繊維の脱
落も見られない。異形断面繊維の混抄によって、吸水性
シート内に多数の細孔が形成され、該シート内に多数の
通水経路を確保することができる上、繊維内部まで水を
保持できる金属架橋繊維を組み合わせることで、極めて
良好な吸水性を有する吸水性シートを得ることができ
る。また、高弾性繊維を用いることでさらに、弾性に優
れ、加工性に優れた吸水性シートを得ることができる。
本発明の吸水性シートは、吸水性、力学的特性、寸法安
定性および加工性などに優れた点から、加湿器用吸水
材、結露吸水材、調湿板、濾過材、水蒸散板などの広範
な分野で活用することができる。
【0045】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
実施例中の「部」および「%」は、各々「重量部」およ
び「重量%」であることを意味する。なお、実施例およ
び比較例における、目付け、厚み、吸水時間、曲げ強
さ、加工性、脱落性、寸法安定性は、以下の方法で測定
した。なお、実施例、比較例にて製造した試料は、20
℃、65%の条件にて24時間放置した後、測定に用い
た。
【0046】<目付け>20×20cm角にトリミング
し、5サンプルを計量した平均値より、1m2当たりの
重量を求めた。単位;g/m2
【0047】<厚み>20×20cm角にトリミング
し、1サンプル当たり4点、5サンプルをマイクロメー
ターを用いて測定した平均値を厚みとした。単位;mm
【0048】<吸水時間>吸水性シートを幅20mm、
長さ150mmに裁断した後、試験片の一端30mmを
20℃の純水に浸漬し、水が試験片中を水面より40m
m上昇するのに要する時間を吸水時間とし、吸水性の指
標とした。なお、吸水時間が25秒以内であれば、吸水
性は良好と判断した。単位;秒
【0049】<曲げ強さ>曲げ強さは、JIS K−7
203に従い、吸水性シートを、幅25mm、長さ12
5mmに裁断し、加圧くさびおよび支持台(オリエンテ
ック社製)を用いて、テンシロン測定機(オリエンテッ
ク社製、HTM−100)で測定した。なお、曲げ強さ
が50kg/cm2以上であれば、力学的特性は良好であ
ると判断した。単位;kg/cm2
【0050】<加工性>JIS K−6301の2号型
ダンベル形状の試料の打ち抜き加工を行った。加工性と
して打ち抜きが良好なものを○、打ち抜き時に試料に皺
が入ったり変形するもの、うまく打ち抜けないものを×
とした。
【0051】<脱落性>吸水性シートを10×10cm
にトリミングした後、トリミング面を下にして、該シー
トを軽く叩いたとき、粉体、繊維が脱落するか否かを目
視により調べた。脱落性として、脱落がないものを○、
少し脱落があるものを△、脱落が多いものを×とした。
○のみを良好であるとした。
【0052】<寸法安定性>吸水性シートを20℃の純
水に十分に浸漬し、浸漬前後の該シートの厚みを測定し
た。なお、浸漬前後の厚みの変化率の絶対値が10%以
内であれば、寸法安定性は良好であると判断した。単
位;%
【0053】実施例1〜4、比較例1〜2 親水性の異形断面繊維として、繊度4d、繊維長51m
mのY型断面を有するビニロン繊維(クラレ社製、VP
Y402)、バインダー繊維として、鞘部の融点が11
0℃の繊度2d、繊維長51mmの芯鞘型ポリエステル
バインダー繊維(ユニチカ社製、メルティー408
0)、金属架橋繊維として、ナトリウムイオンが付加さ
れた、繊度3d、繊維長51mmの繊維(東洋紡績社
製、N−38)で捲縮を有するステープルを表1の水準
となるよう計量後、混繊し、カードにてウェブ化した
後、クロスラッパーにて、目付け約700g/m2となる
よう積層し、ニードルパンチを行い、繊維を交絡し、積
層ウェブとした。
【0054】ついで、該積層ウェブについて、熱プレス
装置を用いて140℃、面圧2.0kg/cm2で20分
間加圧加熱処理して、吸水性シートを得た。
【0055】実施例5 高弾性繊維として、繊維径9μm、繊維長51mmのガ
ラス繊維を併用し、表1の水準で用いる以外は、実施例
2と同じ方法にて吸水性シートを得た。
【0056】
【表1】
【0057】実施例6 3成分の繊維長を25mmにする以外は実施例2と同じ
方法で吸水性シートを得た。
【0058】比較例3 3成分の繊維長を10mmとし、カードにてウェブ化し
たが、クロスラッパーの工程でウェブがめくれ上がり、
均一に積層することが出なかった。平均目付け約700
g/m2となるよう積層し、ニードルパンチにて、積層ウ
ェブとした。以降実施例2と同じ方法で吸水性シートを
得た。
【0059】比較例4 3成分の繊維の捲縮がないものを用い、カードにてウェ
ブ化をしたが、ワイヤーの針の間に繊維が入り込み、繊
維が充分に紡出できないため、均一なウェブを得ること
ができなかった。平均目付け700g/m2となるように
積層し、ニードルパンチにて、積層ウェブとした。以
降、実施例2と同じ方法で吸水性シートを得た。
【0060】実施例7 ウェブを積層し、ニードルパンチ処理を行わないこと以
外は、実施例2と同じ方法で吸水性シートを得た。ニー
ドルパンチを行わないため、積層ウェブの厚みが厚く、
次の工程への移行が、少し困難であったが、特に大きな
問題とはならなかった。
【0061】以上、実施例1〜7、比較例1〜4の吸水
性シートについて、各種物性および性能評価を行なった
結果を表2に示した。
【0062】
【表2】
【0063】比較例5 異形断面繊維の代わりに、繊度4d、繊維長51mmの
レギュラー形状のビニロン繊維用いる以外は、実施例2
と同じ方法にて吸水性シートを得た。
【0064】比較例6 異型断面繊維として、繊度2d、繊維長5mmの非親水
性のT型断面ポリエステル繊維を用いる以外は、実施例
2と同じ方法にて吸水性シートを得た。
【0065】比較例7 異型断面繊維およびバインダー繊維をそれぞれ70部、
30部とした以外は、実施例2と同じ方法で吸水性シー
トを得た。
【0066】比較例8 繊度2d、繊維長51mmで鞘部の融点が130℃の芯
鞘型ポリエステル熱融着繊維50%、繊度4d、繊維長
51mmで鞘部の融点が130℃の芯鞘型ポリエステル
繊維50%をカーディングマシンにてウェブ化し、ウェ
ブAを得た。一方、平均粒子径100μmのフェノール
樹脂(ユニチカ社製、UA−100)を水中にて濃度5
%で分散させ、これを分散液Aとした。さらに、粒径
0.1μmの微粉末無水珪酸を水中にて、濃度10%で
分散させた分散液Bを得た。
【0067】ウェブAに分散液Aを含浸し、フェノール
樹脂の付着量が全ウェブ重量に対し、35%となるよう
マングルにて分散液Aを絞った後、100℃で20分乾
燥し、未硬化のフェノール樹脂が付着した目付け920
g/m2のウェブBを得た。ウェブBを熱プレス装置を用
いて、160℃、面圧1.0kg/cm2で、5分間加圧
加熱処理した。さらに、分散液Bを含浸し、100℃で
20分乾燥し、微粉末無水珪酸が添着した吸水性シート
を得た。この時、微粉末無水珪酸の添着量は吸水性シー
ト重量に対し1.5%であった。
【0068】比較例9 平均粒子径の100μmフェノール樹脂(ユニチカ社
製、UA−100)100部、平均繊度4d、平均繊維
長5mmのポリエステル繊維をカーディングマシンで混
合し、ウェブ化し、150℃に設定されたカレンダーロ
ールを通し、厚さ10mm、目付け800g/m2のマッ
トを得た。該マットを熱プレス装置を用いて、160
℃、面圧1.0kg/cm2で、5分間加圧加熱処理し
て、フェノール樹脂を硬化させた。さらに、比較例8で
用いた分散液Bを含浸した後、100℃で20分乾燥
し、微粉末無水珪酸が添着した吸水性シートを得た。こ
の時、微粉末無水珪酸の添着量は吸水性シート重量に対
し1.5%であった。
【0069】以上、比較例5〜9の吸水性シートについ
て、各種物性および性能評価を行なった結果を表3に示
す。
【0070】
【表3】
【0071】本実施例より、本発明の吸水性シートは、
吸水性、力学特性、寸法安定性、加工性に優れた特性を
示し、粉体の脱落もなく取り扱い性に優れていることが
判明した。
【0072】本実施例、比較例より、バインダー繊維が
多いものは、実施例に比べ、曲げ強度は大きいものの、
吸水性が劣る。バインダー繊維による接着部分が多く、
他の繊維表面を覆ったこと、吸水性シートが緻密化した
ことが原因と考えられる。逆にバインダー繊維が少ない
と、接着部分が少なく、接着力が弱いため、寸法安定性
が悪いばかりか、加工性が悪い。また、繊維の脱落が多
少見られ、取り扱いに劣るものである。
【0073】金属架橋繊維を用いない場合、吸水速度が
不十分であった。また、ガラス繊維を用いない場合、ガ
ラス繊維を用いたものと同じ条件でプレスした場合、シ
ートが緻密になり吸水性の低下が見られた。
【0074】バインダー繊維と親水性の粉体を用いたも
のは、粉体の脱落が多く、取扱いの点で問題点がある。
即ち、フェノール樹脂の微粒子を用いたものは、吸水
性、曲げ強度、寸法安定性は良好であったが、長繊維ウ
ェブ、トリミング後にフェノール樹脂の脱落が見られ
た。
【0075】
【発明の効果】以上の結果から、本発明の吸水性シート
は、異形断面繊維および金属架橋繊維をバインダー繊維
で一体化させたものであり、曲げ強さなどの力学的特性
や寸法安定性、加工性に優れるものである。異形断面繊
維によって、吸水性シート内に多数の細孔が形成され、
該シート内に多くの通水経路を確保できる上、該繊維お
よび金属架橋繊維が親水性を有するため、極めて良好な
吸水性を有する吸水性シートを得ることができる。さら
に、高弾性繊維により、金属架橋繊維の膨潤による通水
経路の閉塞が抑制できる。さらに、熱可塑性樹脂の微粒
体を使用している従来の多孔性シートとは異なり、2次
加工時の樹脂の脱落などの問題は皆無である。また、本
発明の製造法を用いれば、含浸などの煩雑な工程を経る
ことなく、簡便、かつ容易に吸水性シートを製造するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04H 1/42 D04H 1/42 W

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に1つ以上の連続あるいは不連続の
    溝を有する親水性の異形断面繊維、バインダー繊維、お
    よび金属架橋繊維を含有し、各繊維が捲縮を有し、繊維
    長が25mm以上の短繊維で、かつ該バインダー繊維の
    配合量が全固形分当り15〜50重量%であることを特
    徴とする吸水性シート。
  2. 【請求項2】 表面に1つ以上の連続あるいは不連続の
    溝を有する親水性の異形断面繊維、バインダー繊維、金
    属架橋繊維、および親水性の高弾性繊維を含有し、各繊
    維が捲縮を有し、繊維長が25mm以上の短繊維で、か
    つ該バインダー繊維の配合量が全固形分当り15〜50
    重量%であることを特徴とする吸水性シート。
  3. 【請求項3】 異形断面繊維がポリビニルアルコール系
    繊維であることを特徴とする請求項1または2記載の吸
    水性シート。
  4. 【請求項4】 表面に1つ以上の連続あるいは不連続の
    溝を有する親水性の異形断面繊維、バインダー繊維、お
    よび金属架橋繊維を含有する繊維群を開繊し、カード法
    にてウェブ化し、該ウェブを単層あるいは複数層積層し
    て、加熱加圧処理を行い、バインダー繊維と接する繊維
    を融着させることを特徴とする吸水性シートの製造法。
  5. 【請求項5】 表面に1つ以上の連続あるいは不連続の
    溝を有する親水性の異形断面繊維、バインダー繊維、金
    属架橋繊維の3成分を含有する繊維群を開繊し、カード
    法にてウェブ化し、該ウェブを単層あるいは複数層積層
    して、該ウェブを構成する繊維を交絡させた後、加熱加
    圧処理を行い、バインダー繊維と接する繊維を融着させ
    ることを特徴とする吸水性シートの製造法。
  6. 【請求項6】 親水性の高弾性繊維を含有することを特
    徴とする請求項4または5記載の吸水性シートの製造
    法。
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