JPH07109690A - 多孔吸水性シート及びその製造方法 - Google Patents

多孔吸水性シート及びその製造方法

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JPH07109690A
JPH07109690A JP5256822A JP25682293A JPH07109690A JP H07109690 A JPH07109690 A JP H07109690A JP 5256822 A JP5256822 A JP 5256822A JP 25682293 A JP25682293 A JP 25682293A JP H07109690 A JPH07109690 A JP H07109690A
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JP
Japan
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fiber
water
absorbent sheet
section
cross
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JP5256822A
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Katsushi Ogami
勝志 大上
Yasuyuki Oku
恭行 奥
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸水性、曲げ強さ等の力学的特性、寸法安定
性に優れ、且つ2次加工性の良好な多孔吸水性シート及
びその製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 繊維断面が長軸と短軸を有し、長軸径(L)
と短軸径(S)の比(L/S)が、1≦L/S≦3であ
る親水性を有する繊維の表面に、少なくとも1つ以上の
連続あるいは不連続の溝を有する繊維である異形断面繊
維、バインダー繊維、並びにアクリル系繊維に架橋結合
を導入し、加水分解反応によってカルボキシル基と残部
にアミド基を導入し、ついで一価の金属イオンを付加あ
るいは多価の金属イオンを架橋させて得られる繊維であ
る金属架橋繊維を含有してなる多孔吸水性シート及びそ
の製造方法である。好ましくは、該異形断面繊維が、ポ
リビニルアルコール系繊維である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸水性、力学的特性、
寸法安定性に優れ、加湿器用吸水材、結露吸水材、水蒸
散板、調湿板等に活用し得る多孔吸水性シート及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、加湿器用吸水材、結露吸水材、調
湿板、濾過材等の分野において、多孔性シートが広く利
用されるようになっている。多孔性シートとしては、従
来、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂の微粒体をシート
状に焼結成形したものや、該樹脂の有孔フィルムと多孔
性基材とを接合したもの等が使用されている。しかしな
がら、上記の熱可塑性樹脂は一般に疎水性であるため、
これらの多孔性シートは吸水性に劣るものとなり、吸水
材としては有効に機能しないという問題点があった。
【0003】従来の多孔性シートのかかる問題点を解決
し、吸水性に優れ、且つ曲げ強さ等の力学的特性の良好
な多孔性シートが、特開平1−283129号公報に開
示されている。該公報の多孔性シートは、強化繊維から
なるシート、例えば、ポリエステル繊維の不織布等に熱
硬化性フェノール樹脂の微粒子の水分散液を含浸し、乾
燥させた後、加圧加熱処理して上記フェノール樹脂を硬
化させてシートを形成し、ついでシリカ系の微粒子の水
分散液を含浸し、乾燥させて得られるものである。又、
特開平3−81349号公報には難燃性を、特開平3−
86529号公報には表面平滑性を付与した吸水性及び
力学的特性の双方に優れる多孔性シートが開示されてい
るが、その基本的な構成及び製造方法は上記公報と類似
したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法によって得られる多孔性シートには、2次加工の際
にフェノール樹脂の微粒子が脱落する等の問題点が有
り、且つフェノール樹脂及びシリカ系の微粒子の添着の
際に含浸、乾燥工程を経ねばならず、生産性にも劣ると
いう問題点があった。本発明は、これらの問題点を解決
するものであり、吸水性、曲げ強さ等の力学的特性、寸
法安定性に優れ、且つ2次加工性の良好な多孔吸水性シ
ート及び該シートを容易に製造することができる製造方
法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、多孔吸水性シー
ト及びその製造方法を発明するに至った。即ち、本発明
の多孔吸水性シートは、繊維断面が長軸と短軸を有し、
長軸径(L)と短軸径(S)の比(L/S)が、1≦L
/S≦3である親水性を有する繊維の表面に、少なくと
も1つ以上の連続あるいは不連続の溝を有する繊維であ
る異形断面繊維、バインダー繊維、並びにアクリル系繊
維に架橋結合を導入し、加水分解反応によってカルボキ
シル基と残部にアミド基を導入し、ついで一価の金属イ
オンを付加あるいは多価の金属イオンを架橋させて得ら
れる繊維である金属架橋繊維を含有してなることを特徴
とするものである。
【0006】又、本発明の多孔吸水性シートにおいて、
異形断面繊維は、ポリビニルアルコール系繊維であるこ
とを特徴とするものである。
【0007】又、本発明の多孔吸水性シートの製造方法
は、繊維断面が長軸と短軸を有し、長軸径(L)と短軸
径(S)の比(L/S)が、1≦L/S≦3である親水
性を有する繊維の表面に、少なくとも1つ以上の連続あ
るいは不連続の溝を有する繊維である異形断面繊維、バ
インダー繊維、並びにアクリル系繊維に架橋結合を導入
し、加水分解反応によってカルボキシル基と残部にアミ
ド基を導入し、ついで一価の金属イオンを付加あるいは
多価の金属イオンを架橋させて得られる繊維である金属
架橋繊維を水中に混合して、水性スラリーを調製し、湿
式抄紙法により該水性スラリーを用いてウェブを抄造
し、該ウェブを単層あるいは複数層積層して、加圧加熱
処理することを特徴とするものである。
【0008】以下、本発明について、詳細に説明する。
まず、本発明で使用する繊維について、以下に具体的に
説明する。
【0009】本発明で用いる異形断面繊維とは、繊維断
面が長軸と短軸を有し、長軸径(L)と短軸径(S)の
比(L/S)が、1≦L/S≦3である親水性を有する
繊維の表面に、少なくとも1つ以上の連続あるいは不連
続の溝を有する繊維である。繊維断面形状としては、T
型、Y型、U型、星型等を例示することができるが、断
面形状についてはこの限りではない。
【0010】一般に、不織布シートの吸水性は、それを
構成する繊維自体の性質はもちろんのこと、繊維の形状
や繊維の集合状態に強く依存する。取分け、後2者が不
織布シートの吸水性に及ぼす影響は多大である。真円や
楕円形の断面形状を有する繊維は、その表面に溝状の通
水経路を持たないばかりでなく、該繊維のみで構成され
た不織布シートでは、繊維の充填率が高くなるため、該
シート内における繊維間の通水経路の形成が不十分なも
のとなり、優れた吸水性を有する不織布シートを得るこ
とは困難である。しかしながら、1≦L/S≦3の異形
断面繊維を含有してなる多孔吸水性シートの場合、異形
断面繊維表面に溝状の通水経路が存在するのに加えて、
該繊維の特殊な断面形状のために、繊維同士が該シート
内で接触あるいは近接した際にも、該シート内に多数の
細孔が形成され、繊維間の通水経路が形成されるので、
優れた吸水性を有する多孔吸水性シートとなる。但し、
L/Sの値が3を超えて大きいと、異形断面繊維を含有
してなるシートであっても、上述の細孔形成能を十分に
発揮することができず、繊維間の通水経路が不足するた
め、優れた吸水性を有するシートを得ることができない
ので好ましくない。
【0011】異形断面繊維の種類としては、親水性を有
するものであれば特に限定されるものではなく、ポリビ
ニルアルコール系繊維、再生繊維、アセテート繊維、ポ
リアミド系繊維、エチレンビニルアルコール系繊維等、
あるいはコロナ放電処理やプラズマ処理等による表面改
質、アクリル酸等の親水性化合物のグラフト重合、多孔
質化等によって親水性を付与された繊維等を単独あるい
は複数混合して使用することができる。通水経路を構成
する異形断面繊維自体が親水性を有し、多孔吸水性シー
トに優れた吸水性を付与することが、本発明の特徴の一
つである。
【0012】上記の繊維の中でも、ポリビニルアルコー
ル系繊維は、ヤング率が大きく、多孔吸水性シートに良
好な力学的特性、例えば、曲げ強さ等を付与できる点で
特に好ましい繊維である。異形断面繊維として、この様
な高ヤング率の繊維を使用すれば、多孔吸水性シートの
力学的特性を容易に向上させることができる。又、該繊
維は、菌類やカビ類に対して完全な抵抗性を有してお
り、吸水板や水蒸散板の様な水廻りの用途において、優
れた耐菌性、耐カビ性を示すことが期待される。
【0013】あるいは、多孔吸水性シートの諸性能を阻
害しない範囲内で、ガラス繊維や炭素繊維の様な極めて
ヤング率の大きな無機繊維を混抄し、多孔吸水性シート
の力学的特性を改良することもできる。
【0014】異形断面繊維の繊度は、0.1〜15デニ
ール(以下、dと略す。)が好ましい。0.1d未満で
は、細孔形成能が低下し、多孔吸水性シート内における
繊維間の通水経路が減少するので好ましくない。又、1
5dを超えて大きいと、細孔形成能は大きいが、抄紙時
のウェブの含水率が低くなり、ワイヤーからのピックア
ップが困難になる。異形断面繊維の繊維長は1〜20m
mが好ましく、更に好ましくは3〜6mmである。1m
mよりも短いと、緻密な多孔吸水性シートになり、吸水
性が低下する。20mmを超えて長いと、水中での分散
が悪くなり、均一で地合の良好な多孔吸水性シートが得
られない。
【0015】異形断面繊維の配合量は、多孔吸水性シー
ト重量の30〜85%が好ましく、更に好ましくは40
〜80%である。30%未満では、細孔形成能が低下
し、多孔吸水性シート内における繊維間の通水経路が減
少するので好ましくない。85%を超えると、細孔形成
能は大きいが、バインダー繊維の配合量が低下し、多孔
吸水性シートの力学的特性が低下してしまう。
【0016】次に、バインダー繊維について、以下に説
明する。本発明で用いられるバインダー繊維としては、
熱溶融性繊維あるいは熱水溶解性繊維が例示される。熱
溶融性繊維は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリア
ミド等の合成樹脂から選ばれた繊維状のもので、合成樹
脂の融点以上の温度で処理することによって合成樹脂が
溶融し、接着及び強度を発現するものである。熱水溶解
性繊維は、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアル
コール等の合成樹脂から選ばれた繊維状のもので、加熱
により含水状態のウェブを乾燥させる工程で水温の上昇
によって溶解し、ウェブが乾燥することで接着及び強度
を発現するものである。
【0017】バインダー繊維の繊度は、0.1〜15d
が好ましい。0.1d未満では、スラリーの濾水度が小
さくなり、生産性の低下を招く。15dを超えて大きい
と、多孔吸水性シート内のバインダー繊維の本数が少な
くなり、接着力の低下を補うべくバインダー繊維の配合
量を増やさねばならず、バインダー繊維の溶融可塑化に
起因する該シートの吸水性の低下が大きくなるばかりで
なく、ウェブの含水率が小さくなり、ワイヤーからのピ
ックアップが困難になるので好ましくない。繊維長は1
〜20mmが好ましく、更に好ましくは3〜6mmであ
る。1mmよりも短いと、緻密な多孔吸水性シートにな
り、吸水性が低下する。20mmを超えて長いと、水中
での分散が悪くなり、均一で地合の良好な多孔吸水性シ
ートが得られない。
【0018】バインダー繊維の配合量は、多孔吸水性シ
ート重量の15〜50%が好ましく、更に好ましくは2
0〜40%である。15%未満では、接着力に不足し、
多孔吸水性シートの力学的特性の低下や毛羽立ちの発生
を招く。50%を超えると、接着力は大きいが、バイン
ダー繊維の溶融可塑化によって多孔吸水性シートの吸水
性が低下してしまう。
【0019】次に、金属架橋繊維について、以下に説明
する。本発明で用いられる金属架橋繊維は、特開平2−
84528号公報や特開平2−84532号公報に開示
されている様なアクリル系繊維を改質したものであり、
アクリル系繊維に架橋結合を導入し、加水分解反応によ
ってカルボキシル基と残部にアミド基を導入し、ついで
一価の金属イオンを付加、あるいは多価の金属イオンを
架橋させて得られる公知の繊維は全て使用することがで
きる。
【0020】アクリル系繊維に架橋結合を導入する方法
としては、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン等で残存ニ
トリル基を処理する方法や、ホルムアルデヒド、ベンズ
アルデヒド等のアルデヒド類を酸性触媒下で反応させる
方法が挙げられる。
【0021】又、加水分解反応によってカルボキシル基
と残部にアミド基を導入する方法としては、アルカリ金
属水酸化物、アンモニア等の塩基性水溶液、あるいは硝
酸、硫酸、塩酸等の鉱酸水溶液中で原料繊維を加熱処理
する方法等が挙げられる。この加水分解反応により、ア
クリル系繊維中のニトリル基が実質的に消失し、カルボ
キシル基と残部にアミド基が導入される。
【0022】架橋、加水分解したアクリル系繊維に一価
の金属イオンを付加、あるいは多価の金属イオンを架橋
する方法としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等
の一価の金属塩水溶液、あるいは亜鉛、銅、カルシウ
ム、鉄等の多価の金属塩水溶液で処理する方法が挙げら
れる。
【0023】本発明で用いられる金属架橋繊維は、優れ
た吸水性及び吸湿性を有するものであり、更に、吸放湿
性、消臭性、抗菌性、防カビ性、難燃性等の性能をも有
するものである。
【0024】上述の異形断面繊維とバインダー繊維とが
一体化したシートに、優れた吸水性を有する金属架橋繊
維の適量を吸水助材として混抄すれば、更に良好な吸水
性が得られ、吸水板や水蒸散板の様な極めて大きな吸水
速度を要求される用途への応用も可能となる。又、金属
架橋繊維は抗菌性、防カビ性を有しており、上記の様な
水廻りの用途において、優れた抗菌性能、防カビ性能を
発揮することが期待される。
【0025】金属架橋繊維の繊度は、0.1〜15dが
好ましい。0.1d未満では、スラリーの濾水度が小さ
くなり、生産性の低下を招く。15dを超えて大きい
と、ウェブの含水率が小さくなり、ワイヤーからのピッ
クアップが困難になる。繊維長は1〜20mmが好まし
く、更に好ましくは3〜6mmである。1mmよりも短
いと、緻密な多孔吸水性シートになり、吸水性が低下す
るばかりでなく、該シートの力学的特性が低下してしま
う。20mmを超えて長いと、水中での分散が悪くな
り、均一で地合の良好な多孔吸水性シートが得られな
い。
【0026】金属架橋繊維の配合量は、多孔吸水性シー
ト重量の1〜30%が好ましく、更に好ましくは1〜2
0%である。1%未満では、吸水助材としての効果が小
さく、多孔吸水性シートの吸水性の向上に有効に作用し
ないので好ましくない。一方、30%を超えて多いと、
金属架橋繊維は単糸強度が小さく、且つ吸水時の膨潤性
が著しいので、多孔吸水性シートの力学的特性が低下す
るばかりでなく、該繊維の吸水時の膨潤によって、該シ
ート内の通水経路の閉塞や、該シートの吸水時における
厚み方向の寸法安定性の低下を招くので好ましくない。
【0027】次に、本発明の多孔吸水性シートの製造方
法について、以下に説明する。本発明の異形断面繊維、
バインダー繊維、並びに金属架橋繊維を水中に順次添加
し、水性スラリーを調製する。水中に添加する順序に特
に制限はない。水性スラリーの繊維濃度は、均一な分散
状態の確保と効率的な生産のためには、0.1〜5重量
%であることが好ましい。この様にして調製した水性ス
ラリーを円網、長網、傾斜式ワイヤーを有する抄紙機、
あるいはこれらを複数備えている抄紙機を用いて抄造
し、ウェブを形成する。
【0028】この様にして形成されたウェブを単層ある
いは複数層積層し、熱プレス等を用いて加圧加熱処理を
行ない、多孔吸水性シートを得る。あるいは、該ウェブ
をシリンダドライヤー、ヤンキードライヤー、エアドラ
イヤー等で乾燥させた後、単層あるいは複数層積層し、
熱カレンダーや熱プレス等で加圧加熱処理しても構わな
い。
【0029】
【作用】本発明の多孔吸水性シートは、異形断面繊維及
び金属架橋繊維をバインダー繊維で一体化させたもので
あり、曲げ強さ等の力学的特性や寸法安定性に優れるも
のである。異形断面繊維の混抄によって、多孔吸水性シ
ート内に多数の細孔が形成され、該シート内に多数の通
水経路を確保することができる上、該繊維及び金属架橋
繊維が親水性を有するため、極めて良好な吸水性を有す
る多孔吸水性シートを得ることができる。更に、必要に
応じてヤング率の大きな異形断面繊維を混抄したり、多
孔吸水性シートの諸性能を阻害しない範囲内で無機繊維
等を混抄することによって、該シートの力学的特性を容
易に向上させることも可能である。又、本発明で用いら
れる金属架橋繊維は、抗菌性、防カビ性を有しており、
加湿器用吸水材や水蒸散板の様な水廻りの用途におい
て、優れた抗菌性能、防カビ性能を発揮することが期待
される。
【0030】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
実施例中の「部」及び「%」は、各々「重量部」及び
「重量%」であることを意味する。なお、実施例及び比
較例におけるL/Sの値、吸水時間、曲げ強さ、圧力損
失、寸法安定性は、以下の方法で測定した。
【0031】[L/S値]走査型電子顕微鏡を用いて異
形断面繊維の断面写真を撮影し、写真中の繊維の10本
をランダムに抽出して各々のL及びSを測定し、その平
均値を基にしてL/S値として表示した。
【0032】[吸水時間(秒)]多孔吸水性シートを縦
方向及び横方向について、幅20mm、長さ150mm
に裁断した後、試験片の一端30mmを20℃の純水に
浸漬し、水が試験片中を水面より40mm上昇するのに
要する時間を吸水時間(秒)とし、吸水性の指標とし
た。なお、吸水時間が25秒以内であれば、吸水性は極
めて良好である。
【0033】[曲げ強さ(kg/cm2)]曲げ強さ
は、JIS−K7203に従い、多孔吸水性シートを縦
方向及び横方向について、幅25mm、長さ125mm
に裁断し、加圧くさび及び支持台(オリエンテック社
製)を用いて、テンシロン測定機(オリエンテック社
製、HTM−100)で測定した。なお、曲げ強さが5
0kg/cm2以上であれば、力学的特性は良好であ
る。
【0034】[圧力損失(mmH2O)]圧力損失は、
JIS−B9908の形式1に従い、風速5.3cm/
秒で測定した。なお、この値が小さいほど、多孔吸水性
シートの表面から裏面に貫通した連続気孔数が多く、多
孔性に富むことを意味する。
【0035】[寸法安定性(%)]多孔吸水性シートを
20℃の純水に十分に浸漬し、浸漬前後の該シートの厚
みを測定した。なお、浸漬前後の厚みの変化率の絶対値
が10%以内であれば、寸法安定性は良好である。
【0036】実施例1〜5 異形断面繊維として、L/S=1.1、繊度2d、繊維
長6mmのY型ビニロン繊維、バインダー繊維として、
鞘部の融点が110℃の繊度4d、繊維長5mmの芯鞘
型ポリエステルバインダー繊維、並びに金属架橋繊維と
して、アクリル系繊維に架橋結合を導入し、加水分解反
応により3.5mmol/gのカルボキシル基と残部に
アミド基を導入し、ついで一価のナトリウムイオンを付
加させて得られる繊度3d、繊維長6mmの繊維を水中
で添加混合し、0.3%濃度の水性スラリーを調製し
た。この時、Y型ビニロン繊維、バインダー繊維、並び
に金属架橋繊維の混合比を40/40/20(実施例
1)、50/30/20(実施例2)、60/30/1
0(実施例3)、70/20/10(実施例4)、80
/15/5(実施例5)の5水準で調製した。ついで、
該水性スラリーを用いて乾燥重量で100g/m2のウ
ェブを角型手抄装置(金網80メッシュ、金網寸法25
cm×25cm)で抄造し、該ウェブを5枚積層し、熱
プレス装置を用いて140℃、面圧1.0kg/cm2
で20分間加圧加熱処理して、乾燥重量で500g/m
2の多孔吸水性シートを得た。これらの多孔吸水性シー
トについて、各種物性及び性能評価を行なった結果を表
1に示す。
【0037】実施例6 異形断面繊維として、L/S=1.9、繊度2d、繊維
長6mmのY型ビニロン繊維を60部、実施例1〜5で
使用したバインダー繊維及び金属架橋繊維を各々、30
部及び10部含有してなる0.3%濃度の水性スラリー
を調製した。ついで、該水性スラリーより上記方法で、
乾燥重量で500g/m2の多孔吸水性シートを得た。
この多孔吸水性シートについて、各種物性及び性能評価
を行なった結果を表1に示す。
【0038】実施例7 異形断面繊維として、L/S=2.8、繊度2d、繊維
長6mmのY型ビニロン繊維を60部、実施例1〜5で
使用したバインダー繊維及び金属架橋繊維を各々、30
部及び10部含有してなる0.3%濃度の水性スラリー
を調製した。ついで、該水性スラリーより上記方法で、
乾燥重量で500g/m2の多孔吸水性シートを得た。
この多孔吸水性シートについて、各種物性及び性能評価
を行なった結果を表1に示す。
【0039】実施例8 異形断面繊維として、L/S=1.2、繊度1.7d、
繊維長5mmのY型レーヨン繊維を60部、実施例1〜
5で使用したバインダー繊維及び金属架橋繊維を各々、
30部及び10部含有してなる0.3%濃度の水性スラ
リーを調製した。ついで、該水性スラリーより上記方法
で、乾燥重量で500g/m2の多孔吸水性シートを得
た。この多孔吸水性シートについて、各種物性及び性能
評価を行なった結果を表1に示す。
【0040】比較例1 異形断面繊維として、L/S=3.3、繊度2d、繊維
長6mmのマユ型ビニロン繊維を60部、実施例1〜5
で使用したバインダー繊維及び金属架橋繊維を各々、3
0部及び10部含有してなる0.3%濃度の水性スラリ
ーを調製した。ついで、該水性スラリーより上記方法
で、乾燥重量で500g/m2の多孔吸水性シートを得
た。この多孔吸水性シートについて、各種物性及び性能
評価を行なった結果を表1に示す。
【0041】比較例2 実施例1〜5で使用した異形断面繊維及びバインダー繊
維を各々、70部及び30部含有してなる0.3%濃度
の水性スラリーを調製した。ついで、該水性スラリーよ
り上記方法で、乾燥重量で500g/m2の多孔吸水性
シートを得た。この多孔吸水性シートについて、各種物
性及び性能評価を行なった結果を表1に示す。
【0042】比較例3 実施例1〜5で使用したバインダー繊維及び金属架橋繊
維を各々、40部及び60部含有してなる0.3%濃度
の水性スラリーを調製した。ついで、該水性スラリーよ
り上記方法で、乾燥重量で500g/m2の多孔吸水性
シートを得た。この多孔吸水性シートについて、各種物
性及び性能評価を行なった結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】1≦L/S≦3の異形断面繊維を混抄した
実施例の多孔吸水性シートと、L/S>3の異形断面繊
維を混抄した比較例1の多孔吸水性シートとを比較する
と、実施例の多孔吸水性シートは、低密度で、且つ圧力
損失も小さい。この結果は、1≦L/S≦3の異形断面
繊維が、多孔吸水性シート内の細孔形成に有効に作用す
ることを示している。従って、実施例の多孔吸水性シー
トは、該シート内に多数の通水経路を有し、比較例1の
多孔吸水性シートよりも良好な吸水性を示す。
【0045】金属架橋繊維を混抄した実施例の多孔吸水
性シートと、該繊維を混抄しなかった比較例2の多孔吸
水性シートとを比較すると、密度や圧力損失の値は両者
間でほぼ同程度であるが、比較例2の多孔吸水性シート
の吸水性は、実施例の多孔吸水性シートに比べてやや不
良である。この結果は、金属架橋繊維が吸水助材とし
て、多孔吸水性シートの吸水性の向上に有効に作用する
ことを示している。
【0046】金属架橋繊維/バインダー繊維=60/4
0の比較例3の多孔吸水性シートは、吸水性、曲げ強
さ、寸法安定性の何れも不良である。吸水性が不良であ
った最大の要因として、異形断面繊維の混抄が皆無であ
ったため、多孔吸水性シート内に通水経路が有効に形成
されなかったことが挙げられる。又、吸水時の膨潤が激
しい金属架橋繊維の配合量が多く、寸法安定性に欠ける
多孔吸水性シートとなったばかりでなく、該繊維の膨潤
によって数少ない通水経路を閉塞してしまったため、比
較例1の多孔吸水性シートと同程度の気孔率を有するに
もかかわらず、比較例1の多孔吸水性シートよりも更に
吸水性に劣る多孔吸水性シートになったものと考えられ
る。曲げ強さが不十分であった要因としては、金属架橋
繊維の単糸強度が小さいことや、高ヤング率を有する異
形断面繊維の混抄が皆無であったことなどが考えられ
る。
【0047】
【発明の効果】本発明の多孔吸水性シートは、異形断面
繊維及び金属架橋繊維をバインダー繊維で一体化させた
ものであり、曲げ強さ等の力学的特性や寸法安定性に優
れるものである。異形断面繊維の混抄によって、多孔吸
水性シート内に多数の細孔が形成され、該シート内に多
くの通水経路を確保できる上、該繊維及び金属架橋繊維
が親水性を有するため、極めて良好な吸水性を有する多
孔吸水性シートを得ることができる。更に、熱可塑性樹
脂の微粒体を使用している従来の多孔性シートとは異な
り、2次加工時の樹脂の脱落等の問題は皆無である。従
って、本発明の多孔吸水性シートは、吸水性、力学的特
性、寸法安定性及び加工性等に優れ、加湿器用吸水材、
結露吸水材、調湿板、濾過材、水蒸散板等の広範な分野
で活用することができる。又、本発明の製造方法を用い
れば、含浸等の煩雑な工程を経ることなく、簡便、且つ
容易に多孔吸水性シートを製造することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04H 1/42 L 7199−3B 1/54 H 7199−3B 13/00 7199−3B D21H 15/02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維断面が長軸と短軸を有し、長軸径
    (L)と短軸径(S)の比(L/S)が、1≦L/S≦
    3である親水性を有する繊維の表面に、少なくとも1つ
    以上の連続あるいは不連続の溝を有する繊維である異形
    断面繊維、バインダー繊維、並びにアクリル系繊維に架
    橋結合を導入し、加水分解反応によってカルボキシル基
    と残部にアミド基を導入し、ついで一価の金属イオンを
    付加あるいは多価の金属イオンを架橋させて得られる繊
    維である金属架橋繊維を含有してなる多孔吸水性シー
    ト。
  2. 【請求項2】 異形断面繊維が、ポリビニルアルコール
    系繊維であることを特徴とする請求項1記載の多孔吸水
    性シート。
  3. 【請求項3】 繊維断面が長軸と短軸を有し、長軸径
    (L)と短軸径(S)の比(L/S)が、1≦L/S≦
    3である親水性を有する繊維の表面に、少なくとも1つ
    以上の連続あるいは不連続の溝を有する繊維である異形
    断面繊維、バインダー繊維、並びにアクリル系繊維に架
    橋結合を導入し、加水分解反応によってカルボキシル基
    と残部にアミド基を導入し、ついで一価の金属イオンを
    付加あるいは多価の金属イオンを架橋させて得られる繊
    維である金属架橋繊維を水中に混合して、水性スラリー
    を調製し、湿式抄紙法により該水性スラリーを用いてウ
    ェブを抄造し、該ウェブを単層あるいは複数層積層し
    て、加圧加熱処理することを特徴とする多孔吸水性シー
    トの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006095623A1 (ja) * 2005-03-08 2006-09-14 Kuraray Co., Ltd 清掃用不織布

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006095623A1 (ja) * 2005-03-08 2006-09-14 Kuraray Co., Ltd 清掃用不織布
JPWO2006095623A1 (ja) * 2005-03-08 2008-08-14 株式会社クラレ 清掃用不織布

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