JPH09123373A - ジアゾティント用ポリエステルフィルム - Google Patents

ジアゾティント用ポリエステルフィルム

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JPH09123373A
JPH09123373A JP28021395A JP28021395A JPH09123373A JP H09123373 A JPH09123373 A JP H09123373A JP 28021395 A JP28021395 A JP 28021395A JP 28021395 A JP28021395 A JP 28021395A JP H09123373 A JPH09123373 A JP H09123373A
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film
polyester
diazo
laminated
polyester film
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JP28021395A
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English (en)
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Jun Hirata
純 平田
Hagumu Takada
育 高田
Takashi Mimura
尚 三村
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ポリエステルフィルム基体の少なくとも片面
に、実質的に1層からなる積層膜が設けられた積層フィ
ルムにおいて、該積層膜は厚み方向に相分離し、かつそ
の相分離界面は、各相の混在相が存在することを特徴と
するジアゾティント用ポリエステルフィルム。 【効果】本発明の積層フィルムは、ジアゾ感光塗料との
密着性、耐スクラッチ性などに優れ、高温高湿環境下に
おいても初期の密着性を維持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はジアゾティント用ポ
リエステルフィルムに関するものであり、詳しくは耐ス
クラッチ性、密着性、耐湿密着性などに優れるジアゾテ
ィント用ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、いろいろの分野において各種高分
子が幅広く使用されている。その中でもポリエステル、
特にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレートあるいはポリ−
1、4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート及び
これらを主体とするポリエステルは優れた物理的、化学
的特性を有しており、繊維、フィルムあるいはシート更
にはその成型品として広く使用されている。
【0003】特に、ポリエステルフィルムは耐熱性、耐
薬品性、機械的特性において優れた性質を有するため
に、磁気記録材料、各種写真材料、包装材料、電気絶縁
材料、一般工業材料等多くの用途に用いられている。
【0004】しかしながら、一般にポリエステル自体が
不活性で接着性に乏しいため、フィルム表面に種々の被
覆物、例えばジアゾ感光塗料を塗布する際には、該被覆
物との接着性を良好とするためにフィルム表面にコロナ
放電あるいはプラズマ等の物理的な処理やアルカリある
いはアミン類の化学薬品を使用した化学的な処理をする
方法、さらには易接着性物質をコーティングする方法な
どが知られている。
【0005】しかし物理的あるいは化学的な表面処理方
法は十分な接着性が得られないばかりか、方法によって
は工程が煩雑となり、コストアップとなる。
【0006】一方易接着物質をコーティングする方法は
ポリエステルフィルムの製造工程内で実施でき、コスト
面で有利であり、かつ種々の被覆物に対応できる接着性
物質を選択することが可能であることから、アクリル樹
脂、水溶性および水分散性ポリエステルを易接着性物質
としてポリエステルフィルムに積層したものなどが提案
されてきた(特公平3−62551号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし前述した従来の
技術には次のような問題点がある。すなわちアクリル樹
脂、水溶性あるいは水分散性ポリエステルを積層した場
合には所望の接着性が得られたとしても塗膜の耐スクラ
ッチ性、耐湿性などが劣るため、引っ掻きでの密着性、
高温高湿環境下での密着性が劣るなどの問題がある。本
発明はこれらの欠点を解消せしめ、耐スクラッチ性、密
着性、耐湿密着性などに優れ、かつ高温高湿環境下にお
いても密着性の低下の少ないジアゾティント用ポリエス
テルフィルムを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリエステル
フィルムの少なくとも片面に、実質的に1層からなる積
層膜が設けられた積層フィルムにおいて、該積層膜は厚
み方向に相分離し、かつその相分離界面は、各相の混在
相が存在することを特徴とするジアゾティント用ポリエ
ステルフィルムをその骨子とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】ここで、ジアゾ易接着フィルム用
途の一つであるティント用ポリエステルフィルムについ
て説明する。ジアゾ易接着フィルムの用途としては、第
二原図、ティント、プルーフ、捺染用途などがあり、テ
ィントはその中の一つである。
【0010】ティント用途は、写真印刷用平網原版ある
いはアミ伏せ専用スクリーンとも呼称され、ジアゾフィ
ルムで非常に細かい、ラウンド、スクエアーなどと呼ば
れる形状の網点を作っておき、カラー写真製版時にその
色合い、色調、色の濃淡、線ぼかし等の調整を行うもの
である。構成としては、ポリエステル基体上の易接着層
側にジアゾ感材層を積層したものである。使い方として
は、例えば、ジアゾフィルムの感材層側に原画をそのま
ま重ね合わせて乾式ジアゾ複写機に挿入し露光させる。
感光部(原画の空白部分)のジアゾ化合物は光によって
分解され、光分解物を生成して後工程の現像でも発色し
なくなる。一方、非感光部(線あるいは点などで光が遮
弊された部分)のジアゾ化合物は、カプラーの存在下、
次工程でアンモニアガス(アルカリ)現像によってアゾ
色素が生成され、線あるいは点の部分が発色する。
【0011】以上のような使われ方をするため、ジアゾ
ティント用ポリエステルフィルムの易接着層は、ポリエ
ステル基体フィルムとジアゾ感材層を強固に接着する必
要があるが、ジアゾ感材層は一般に、セルロースアセテ
ート系およびアクリル系ポリマからなり、例えばアクリ
ル樹脂単独を易接着層に用いた場合には、ジアゾ感材層
との密着性は良好となるが、ポリエステル基体フィルム
との密着性は不十分である。
【0012】また、反対にポリエステル樹脂層やポリウ
レタン樹脂層を易接着層として用いた場合には、ポリエ
ステル基体フィルムとの密着性は十分であるが、ジアゾ
感材層との密着性は不十分となる。また、ポリエステル
樹脂にアクリルモノマをグラフトしたグラフトポリマで
はいずれに対しても十分な密着性を得ることができな
い。この相反する現象を解決するために、本発明者らは
2種の樹脂、例えばアクリル樹脂とポリエステル樹脂を
併用し、易接着層が形成される際の塗布条件を制御する
ことにより、この両者が相分離構造をとり、ポリエステ
ル基体フィルム側にポリエステル樹脂、気相側にアクリ
ル樹脂となる、いわゆる2相構造をとることを見出し
た。
【0013】本発明のポリエステルフィルムのポリエス
テルとはジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導
体とグリコールとのエステル化もしくはエステル交換な
らびに重縮合反応によって製造されるものである。ポリ
エステルの種類についてはフィルムに形成しうるもので
あれば特に限定されない。フィルムに形成しうる好適な
ポリエステルとしてはジカルボン酸成分として芳香族ジ
カルボン酸を使用したものがよく、例えばポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンα、β−ビ
ス(2−クロルフェノキシ)エタン4,4,−ジカルボ
キシレートなどであり、これらの中でも品質、経済性な
どを総合的に勘案するとポリエチレンテレフタレートが
最も好ましい。そのため以後はポリエチレンテレフタレ
ート(以後PETと略称する)をポリエステルの代表例
として記述を進める。
【0014】PETとは80モル%以上、好ましくは9
0モル%以上、更に好ましくは95モル%以上がエチレ
ンテレフタレートを繰り返し単位とするものであるが、
一部他のジカルボン酸成分、ジオール成分を共重合して
も良い。またこのPET中に公知の添加剤、例えば耐熱
安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有
機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充
填剤、帯電防止剤、核剤などを配合しても良い。上述し
たPETフィルムの極限粘度(25℃のオルソクロロフ
ェノール中で測定)は0.4〜1.2dl/g好ましく
は0.5〜0.8dl/gの範囲にあるものが本発明の
内容に適したものである。
【0015】本発明におけるポリエステルフィルムは積
層膜が設けられた状態において機械的、熱的特性の点か
ら二軸配向されているものが好ましい。例えばポリエス
テルを乾燥後、溶融押し出しして未延伸シートとし、続
いて二軸延伸、熱処理してフィルムを製造する。二軸延
伸は縦、横逐次延伸あるいは、二軸同時延伸のいずれで
もよく延伸倍率は特に限定されるものではないが通常は
縦、横それぞれ2〜5倍が適当である。あるいは縦、横
延伸後、縦、横いづれかの方向に再延伸してもよい。ま
た、ポリエステルの厚みは特に限定されるものではない
が、2〜500μmが好ましく用いられている。
【0016】本発明のポリエステルフィルム面に設けら
れる積層膜は、ジアゾ感材層との適合性、密着性などか
ら、本発明においては表層がアクリル樹脂を主たる構成
成分とし、その下部がポリエステル樹脂を主たる構成成
分とするのが好ましく、更にその界面はアクリル樹脂お
よびポリエステル樹脂の混合物であることが好ましい。
【0017】アクリル樹脂の組成も特に限定されるもの
ではないが、成分中にアクリロニトリルを含有するもの
が耐スクラッチ性、密着性の観点から好ましく用いられ
る。アクリロニトリルの共重合量も特に限定されるもの
ではないが、耐スクラッチ性、密着性の観点から1〜3
0重量%、好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは
3〜15重量%である。1重量%未満ではその改良効果
が小さく、30重量%を超えると耐スクラッチ性、密着
性が低下する傾向にある。
【0018】このようなアクリル樹脂は公知の方法によ
って製造することができ、該樹脂を構成するモノマ成分
として下記のものを例示することができるが上記要件を
満たすものであれば特に限定するものではない。該アク
リル樹脂の重合に供するモノマとしてはアルキルアクリ
レート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−
エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロ
ヘキシル基、フェニル基、ベンジル基など)を基本骨格
とし、更に官能基を付与するため以下のような官能基を
有するモノマと共重合される。すなわち官能基としては
カルボキシル基、メチロール基、酸無水物基、スルホン
酸基、アミド基またはアルキロール化されたアミド基、
アミノ基(置換アミノ基を含む)あるいはアルキロール
化されたアミノ基、水酸基、エポキシ基などを例示する
ことができ、これらの塩、エステル化物を共重合しても
良い。
【0019】カルボキシル基および/またはその塩、あ
るいは酸無水物基を有する化合物としては、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル
酸、クロトン酸、これらのカルボン酸のアルカリ金属
塩、アンモニウム塩、あるいは無水物などが挙げられ
る。
【0020】スルホン酸基および/またはその塩を有す
る化合物としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホ
ン酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが
挙げられる。
【0021】アミド基あるいはアルキロール化されたア
ミド基を有する化合物としてはアクリルアミド、メタク
リルアミド、N−メチルメタクリルアミド、メチロール
化アクリルアミド、メチロール化メタクリルアミド、ウ
レイドビニルエーテル、β−ウレイドイソブチルビニル
エーテル、ウレイドエチルアクリレートなどが挙げられ
る。
【0022】アミノ基あるいはアルキロール化されたア
ミノ基および/またはその塩を有する化合物としてはジ
エチルアミノエチルビニルエーテル、2−アミノエチル
ビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、
2−アミノブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテ
ル、およびそれらのアミノ基をメチロール化したもの、
ハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、サルトンなどによ
り四級塩化したものなどが挙げられる。
【0023】水酸基を有する化合物としては、β−ヒド
ロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β
−ヒドロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシ
ビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテ
ル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチ
レングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモ
ノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタク
リレートなどが挙げられる。
【0024】エポキシ基を有する化合物としてはグリシ
ジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙
げられる。
【0025】さらに上記以外に次のような化合物を併用
しても良い。すなわちメタクリロニトリル、スチレン
類、ブチルビニルエーテル、マレイン酸モノあるいはジ
アルキルエステル、イタコン酸モノあるいはジアルキル
エステル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニ
リデン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリド
ン、ビニルトリスアルコキシシランなどであり、勿論こ
れらに限定されるものではない。
【0026】これらの架橋性官能基を有するモノマおよ
び他の化合物は基本骨格となるモノマと任意の比率で共
重合され、2種以上のモノマを共重合させてもよい。好
ましい比率の具体例としては、基本骨格となるモノマに
対して架橋性官能基を有するモノマの割合は、通常1〜
30重量%程度である。
【0027】本発明において用いるアクリル樹脂のガラ
ス転移温度は特に限定されるものではないが、0℃以
上、80℃以下、好ましくは10℃以上、50℃以下と
することが望ましい。ガラス転移温度が低いアクリル樹
脂を用いた場合には高温高湿下での密着性、耐スクラッ
チ性が劣る傾向にあり、逆に高過ぎる場合は延伸時に亀
裂を生じることがあり好ましくない。アクリル樹脂のガ
ラス転移温度は用いるモノマによって任意に設定するこ
とができ、例えば高いガラス転移温度のポリマを得るに
はメチルメタクリレートの共重合量を増加させ、低いガ
ラス転移点の樹脂を得るには長鎖のアルキルアクリレー
トの共重合量の増加が有効である。またアクリル樹脂の
分子量を10万以上とすることにより、易接着層の強靭
性が増すので特に好ましい。
【0028】上記アクリル樹脂は水に溶解あるいは乳
化、懸濁し得るものが環境汚染や防爆性の点で好まし
く、このような共重合体は親水性基を有するモノマ(ア
クリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスル
ホン酸およびその塩など)との共重合や界面活性剤を用
いた乳化重合、懸濁重合、界面活性剤を用いないソープ
フリー重合など公知の方法によって作成することができ
る。
【0029】本発明における好ましいアクリル樹脂の組
成の一例としては、メチルメタクリレート、ブチルアク
リレートあるいはエチルアクリレート共重合体を基本骨
格とし、アクリル酸、アクリロニトリルあるいはグリシ
ジルメタクリレート、アクリルアミドなどを少量共重合
したアクリル共重合体が挙げられる。
【0030】本発明においては、該アクリル樹脂層の下
部にポリエステル樹脂層が設けられていることが重要で
ある。
【0031】ポリエステル樹脂も特に限定されるもので
はないが、分子内にスルホン酸塩基を有しない水性ポリ
エステル樹脂が耐スクラッチ性、密着性、耐湿密着性の
観点から好ましく用いられる。水性ポリエステル樹脂の
ガラス転移温度は、20℃以上、90℃未満、好ましく
は40℃以上、80℃未満である。ガラス転移温度が2
0℃未満では耐湿密着性に劣るようになり、逆に90℃
以上では造膜性に劣るようになるので好ましくない。ア
クリル樹脂層/ポリエステル樹脂層の積層比は90/1
0〜10/90の範囲が耐スクラッチの点で好ましい。
【0032】本発明におけるポリエステル樹脂の好まし
い組成の一例としては、ジカルボン酸成分としてテレフ
タル酸、イソフタル酸、ジオール成分としてエチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジ
オールなどの共重合ポリエステルを挙げることができ
る。また、ポリエステル樹脂中のカルボン酸濃度を上げ
るために3官能以上のジカルボン酸を用いるのが好まし
く、トリメリット酸、無水トリメリット酸などが好まし
く用いられる。特にスルホン酸塩基を含有しないポリエ
ステル樹脂を水性化するには、カルボン酸濃度を高くし
てその部分をアンモニウム化する方法が用いられる。
【0033】また、本発明においては上記アクリル樹脂
およびポリエステル樹脂に架橋剤を添加することが相分
離をより明確に起こさせるために有効であり、かつ、耐
スクラッチ性、密着性の点から好ましい。本発明でいう
架橋剤とは特に限定されるものではなく、積層膜を構成
する樹脂に存在する官能基、例えばヒドロキシル基、カ
ルボキシル基、アミド基などと架橋反応し得るものであ
り、代表例としてはメチロール化あるいはアルキロール
化した尿素系、メラミン系、アクリルアミド系、ポリア
ミド系樹脂、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、
アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チ
タネート系カップリング剤などを挙げることができる
が、本発明においては耐スクラッチ性、密着性等の点か
らメチロール化メラミンが好ましく用いられる。
【0034】架橋剤の添加量は、本発明の効果をより顕
著に発現させるには易接着層中に架橋剤が固形分重量比
で0.5〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、更
に好ましくは3〜10重量%の範囲が好ましい。架橋剤
が0.5重量%未満、あるいは30重量%を超えるよう
になると耐スクラッチ性が低下する傾向にあるので好ま
しくない。また、本発明の効果を損なわない範囲である
ならば、他の架橋剤を併用してもよい。
【0035】本発明における架橋剤の効果は、相分離を
効果的に発現させること、および易接着層と基体フィル
ム、易接着層とジアゾ感材層をより強固に密着、結合さ
せる役割をなしている。
【0036】また易接着層中には本発明の効果を阻害し
ない範囲内で公知の添加剤、例えば耐熱安定剤、耐酸化
安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、染
料、脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤あるいは
ポリシロキ酸などの消泡剤を配合しても良く、さらには
滑り性などを付与する目的でクレー、マイカ、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、カオリン、湿式および乾式シリ
カ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、アルミナなどの無機粒子、さらにはアクリル酸類、
スチレンなどを構成成分とする有機粒子等を配合しても
良い。これらの無機あるいは有機粒子の平均粒径は0.
01〜1μmが好ましく、その添加量は通常30重量%
未満が好ましい。
【0037】本発明における易接着層の厚みは、0.0
05〜3μm、好ましくは0.03〜1μm、更に好ま
しくは0.05〜0.5μmの範囲が好ましい。易接着
層の厚みが厚過ぎると塗膜自体が劈開しやすくなり、逆
に薄過ぎると耐スクラッチ性、密着性等が悪化する傾向
にある。基体フィルム上への塗布の方法は公知の塗布方
法、例えばリバースコート法、グラビアコート法、ロッ
ドコート法、ダイコート法などを用いることができる。
【0038】本発明においては、ポリエステルフィルム
の少なくとも片面に実質的に1層からなる積層膜が設け
られた積層フィルムにおいて、該積層膜は厚み方向に相
分離し、かつその相分離界面は、各相の混在相が存在す
ることを特徴とする積層フィルムであって、特に積層膜
の表層がアクリル樹脂を主たる構成成分とし、ポリエス
テルフィルム基体に近い部分がポリエステル樹脂を主た
る構成成分とする塗膜であって、アクリル樹脂とポリエ
ステル樹脂の界面は各々の混在層が存在することが好ま
しい。
【0039】本発明における相分離構造を得るために
は、例えばポリエステル樹脂とアクリル樹脂を混合した
塗剤に架橋剤を混入させ、コーティング法で基体フィル
ム上に特定の条件下で塗布、乾燥、延伸することにより
本発明の積層膜構成を得る方法が挙げられる。
【0040】上記特定の条件下とは、以下のような雰囲
気温度で塗剤を塗布後、乾燥、延伸することをいう。ま
ず基体ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)以下で
乾燥後、一気にTg以上の温度に上げ、再度Tg近傍
(但しTg以上)の温度で乾燥、引き続き延伸すること
をいう。要約すれば、結晶配向が完了する前のポリエス
テルフィルムの少なくとも片面に、凝集エネルギーの異
なる少なくとも2種の水溶性または水分散性樹脂を混合
し、塗布後、乾燥し、その後少なくとも一軸に延伸され
た積層フィルムにおいて、塗布前に基体フィルムの表面
にコロナ放電処理を施し、該表面の濡れ張力が45dy
n/cm以上、好ましくは47dyn/cm以上、更に
好ましくは50dyn/cm以上であって、かつ塗布後
であって延伸前の段階において急速に乾燥し、その後延
伸されることを特徴とするものである。
【0041】次に本発明の積層フィルムの製造方法につ
いて基体フィルムとしてポリエチレンテレフタレート
(以下、PETと略称する)フィルムを例にして説明す
るが、当然これに限定されるものではない。
【0042】積層膜を構成するポリエステル樹脂ペレッ
ト(極限粘度0.62dl/g)を常法に従って真空乾
燥後、約280℃で溶融押押出し、シート状溶融体を静
電印加(7kV)キャスト法を用いて表面温度約25℃
のキャストドラム上で冷却固化せしめて未延伸PETフ
ィルムを作る。この未延伸フィルムを80℃から100
℃に加熱されたロール間で縦方向に2.5〜5倍延伸す
る。このフィルムの少なくとも片面に空気中でコロナ放
電処理を施して、該表面の濡れ張力を45dyn/cm
以上とし、その処理面に積層膜を形成する塗剤を塗布す
る。この塗布されたフィルムをクリップで把持しながら
140℃に加熱された乾燥ゾーンに導き水分を乾燥させ
た後、120℃に加熱しつつクリップで把持しながら幅
方向に3.5倍延伸し、引き続き160〜230℃の熱
処理ゾーンで1〜10秒間の熱処理を行いポリエステル
フィルムの結晶配向を完了させる。この熱処理中に必要
に応じて3〜12%の弛緩処理を施しても良い。二軸延
伸は縦、横逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいづれでも
よく、縦、横延伸後、縦、横いづれかの方向に再延伸し
てもよい。また、ポリエステルの厚みは特に限定される
ものではないが、2〜200μmが好ましく用いられ
る。この場合に用いる塗布液は環境汚染や防爆性の点で
水系が好ましい。
【0043】なお、フィルム基体にもアクリル、ポリエ
ステルまたはメラミンから選ばれる少なくとも一種を含
有せしめることができる。この場合は、易接着層と基体
フィルムの易滑性、接着性が向上するなどの効果があ
る。アクリル、ポリエステルまたはメラミンを含有させ
る場合には、その添加量が5ppm以上20重量%未満
であるのが易滑性、接着性の点で好ましい。もちろん、
該アクリル、ポリエステル及びメラミンは基体フィルム
上に設けるコーティング組成物(本発明の易接着フィル
ムの再生ペレットなどを含む)であっても良い。
【0044】かくして得られた積層フィルムの易接着層
側にジアゾ感材層を塗布する。
【0045】
【特性の測定方法および効果の評価方法】本発明におけ
る特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりで
ある。
【0046】(1)密着性 ジアゾ感材塗料を乾燥後の厚みが6μmとなるようにフ
ィルム面上にバーコーターを用いて塗布しコート層を設
けた。塗布後、100℃で2分間乾燥し、乾燥後乾式ジ
アゾ複写機“RICOPY”SM2300F((株)リ
コー製)で現像し、未露光部(発色部)に1mm幅にク
ロスカット(碁盤目)を入れ、セロハン粘着テープ(ニ
チバン(株)製)を貼付け、手で強く圧着した後、18
0度方向に急速に剥離した。この時のフィルム面側に残
存した被覆層の残存面積率を測定し、全く剥離しないも
のを[◎]、残存面積率90%以上を[○]とし、それ
に満たないものは全て[×]とした。
【0047】(2)耐湿密着性 上記(1)で作成したコート層を設けたフィルムを40
℃×90%RHの雰囲気下に15時間放置し、取り出し
後乾式ジアゾ複写機“RICOPY”SM2300F
((株)リコー製)で現像し、未露光部(発色部)に1
mm幅にクロスカット(碁盤目)を入れ、セロハン粘着
テープ(ニチバン(株)製)を貼付け、手で強く圧着し
た後、180度方向に急速に剥離した。この時のフィル
ム面側に残存した被覆層の残存面積率を測定し、全く剥
離しないものを[◎]、残存面積率90%以上を[○]
とし、それに満たないものは全て[×]とした。
【0048】(3)耐スクラッチ性 ジアゾ感材塗料を乾燥後の厚みが6μmとなるようにフ
ィルム面上にバーコーターを用いて塗布し被覆層を設け
た。塗布後、100℃で2分間乾燥し、乾燥後乾式ジア
ゾ複写機“RICOPY”SM2300F((株)リコ
ー製)で現像した。この未露光部(発色部)に新東科学
(株)製表面性測定機“HEIDON”−14DRを用
いて、先端が0.1mmφのサファイア針を直角にあて
がい、サンプル移動速度100mm/minでサファイ
ア針に掛かる荷重を変更し、先の未露光部(発色部)表
面が傷つき始める荷重を耐スクラッチ性の指標とし以下
の基準で判定した。なお、表面が傷つき始める荷重は鉛
筆硬度と相関しているものである。
【0049】 ○:120g以上 △:80以上120g未満 ×:80g未満
【0050】(4)ガラス転移温度 各種樹脂を示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製
“ロボット”DSC、RDSC 220型)を用いて、
300℃、5分ホールド後、液体窒素で急冷してから昇
温速度20℃/分で測定した。
【0051】(5)易接着層の断面形態、相分離構造 易接着層の断面形態、相分離構造は、易接着フィルムの
断面を超薄切片に切り出し、Ru O4 染色Os O4 染色
超薄切片法によりTEM(透過型電子顕微鏡)で観察/
写真撮影を行い、その断面写真から易接着層の相分離状
態の確認および各々のポリマの厚みなどの計測を行っ
た。また、染色法による濃度差でポリマ種を判定し、不
明瞭な部分をポリマ混在相とした。
【0052】観察方法 装置:透過型電子顕微鏡(日立(株)製H−7100F
A型) 測定条件:加速電圧 100kV 試料調整:凍結超薄切片法
【0053】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて説明するが必
ずしもこれに限定されるものではない。
【0054】実施例1 平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重
量%および平均粒径1.5μmの同じくコロイダルシリ
カを0.005%含有するPETペレット(極限粘度
0.62dI/g)を充分に真空乾燥した後、押出機に
供給して280℃で溶融押出し、10μmカットの金属
焼結フィルターで瀘過した後、T型口金よりシート状に
押出し、これを30℃の冷却ドラムに巻き付けて冷却固
化せしめた。この間のシートと冷却ドラムとの密着性を
向上させるため、シート側にワイヤー電極を配置して6
KVの直流電圧を印加した。かくして得られた未延伸P
ETフィルムを95℃に加熱して長手方向に3.5倍延
伸し、一軸延伸フィルムとした。
【0055】このフィルムの一方の面に空気雰囲気中で
コロナ放電処理を施し、基体フィルムの濡れ張力を52
dyn/cmとし、その処理面に下記の配合比(固形分
比)となるような易接着層形成塗料を調製し、グラビア
コート方式で塗布した。塗布厚みは二軸延伸後において
易接着層が0.1μmとなるようにした。塗剤が塗布さ
れた一軸延伸フィルムをテンター内に導き、140℃の
予熱工程で水分を乾燥させた後、120℃に加熱しつつ
クリップで把持しながら幅方向に3.5倍延伸し、積層
厚み0.1μm、フィルム厚み50μmの積層ポリエス
テルフィルムを得た。得られた積層膜のTEMによる断
面観察の結果、該積層膜は厚み方向に相分離しており、
これらの樹脂の混在相が存在していた。
【0056】 [易接着層形成塗料] (A)MMA/BA/AA/AN共重合アクリルエマルション 配合比50重量部 65/35/ 2/ 5 重量比 MMA:メチルメタクリレート BA :ブチルアクリレート AA :アクリル酸 AN :アクリロニトリル
【0057】 (B)IPA/DEG/NPG共重合ポリエステル 50重量部 50/ 20/30 モル% 上記酸性分とグリコール成分からなるアンモニウム塩型水分散体 IPA :イソフタル酸 DEG :ジエチレングリコール NPG :ネオペンチルグリコール
【0058】 (C)メチロール化メラミン 5重量部 積層膜を設けた表面に、溶剤としてエチレングリコール
モノメチルエーテル(メチルセロソルブ)を主成分とし
たジアゾ感材層を設けた。この積層膜側に設けたジアゾ
感材コート層の密着性、耐スクラッチ性は極めて良好で
あり、高温高湿環境下においても密着性の低下がなかっ
た。
【0059】実施例2 実施例1の(A)(B)の各成分比を下記のように変更
した以外は実施例1とまったく同様にして、易接着層を
形成するための水性塗剤を作成し、積層厚み0.1μm
を設けた厚み50μmの積層ポリエステルフィルムを得
た。得られた積層膜のTEMによる断面観察の結果、該
積層膜は厚み方向に相分離しており、これらの樹脂の混
在相が存在していた。この積層ポリエステルフィルムの
評価結果を表1に示す。この易接着層側に設けたジアゾ
感材コート層の密着性、耐スクラッチ性は極めて良好で
あり、高温高湿環境下においても密着性の低下がなかっ
た。
【0060】 (A)MMA/BA/AA/AN共重合アクリルエマルション 配合比80重量部 65/35/ 2/ 5 重量比
【0061】 (B)IPA/DEG/NPG共重合ポリエステル 20重量部 50/ 20/30 モル% 上記酸性分とグリコール成分からなるアンモニウム塩型水分散体
【0062】 (C)メチロール化メラミン 5重量部
【0063】実施例3 実施例1の共重合アクリルエマルションを下記の様な組
成とし、共重合ポリエステルのと配合比をの組成を下記
の様に変更した以外は実施例1とまったく同様にして、
積層膜を形成するための水性塗剤を作成し、積層厚み
0.1μmを設けた厚み50μmの積層ポリエステルフ
ィルムを得た。得られた積層膜のTEMによる断面観察
の結果、該積層膜は厚み方向に相分離しており、これら
の樹脂の混在相が存在していた。この積層ポリエステル
フィルムの評価結果を表1に示す。この積層膜側に設け
たジアゾ感材コート層の密着性、耐スクラッチ性は極め
て良好であり、高温高湿環境下においても密着性の低下
がなかった。
【0064】 (A)MMA/EA/AA/N−MAM共重合アクリルエマルション 配合比20重量部 65/35/ 2/ 3 重量比 N−MAM:N−メチロ−ルアクリルアミド
【0065】 (B)IPA/DEG/NPG共重合ポリエステル 80重量部 50// 20/30 モル% 上記酸性分とグリコール成分からなるアンモニウム塩型水分散体
【0066】 (C)メチロール化メラミン 10重量部
【0067】実施例4 積層膜の組成をアクリル、ウレタンの組合せに変更した
以外は、実施例1とまったく同様にして、積層膜を形成
するための水性塗剤を作成し、積層厚み0.1μmを設
けた厚み50μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた積層膜のTEMによる断面観察の結果、該積層
膜は厚み方向に相分離しており、これらの樹脂の混在相
が存在していた。この積層ポリエステルフィルムの評価
結果を表1に示す。この易接着層側に設けたジアゾ感材
コート層の密着性、耐スクラッチ性は極めて良好であ
り、高温高湿環境下においても密着性の低下がなかっ
た。
【0068】 (A)MMA/BA/AA/AN共重合アクリルエマルション 配合比50重量部 65/35/ 2/ 5 重量比
【0069】 (B)ポリウレタン“ハイドラン”HW−350 50重量部 (大日本インキ化学工業(株)製)
【0070】 (C)メチロール化メラミン 10重量部
【0071】実施例5 基体フィルムとして、実施例1で用いたポリエチレンテ
レフタレートの代わりに、実施例1の積層ポリエステル
を粉砕してペレット化し、そのペレットを10重量部、
ポリエチレンテレフタレートに添加して用いた以外は、
実施例1と全く同様にして、積層厚み0.1μmを設け
た厚み50μmの積層ポリエステルフィルムを得た。す
なわち、アクリル共重合樹脂50重量部、共重合ポリエ
ステル樹脂50重量部、メチロール化メラミン5重量部
からなる積層膜を有したポリエステルフィルムのペレッ
ト10重量%をポリエチレンテレフタレートに混合して
用いた。基材フィルムに塗布する積層膜の組成は実施例
1と全く同様のものを用いた。得られた積層膜のTEM
による断面観察の結果、該積層膜は厚み方向に相分離し
ており、これらの樹脂の混在相が存在していた。この積
層ポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。この
易接着層側に設けたジアゾ感材コート層の密着性、耐ス
クラッチ性は極めて良好であり、高温高湿環境下におい
ても密着性の低下がなかった。
【0072】実施例6 基体フィルムをポリエチレンテレフタレートに代えて、
ポリエチレン2,6ーナフタレートにした他は実施例1
と同様にして本発明の積層フィルムを得た。即ち、エチ
レングリコールとナフタレン2,6−ジカルボン酸ジメ
チルをエステル交換反応後、重縮合し、極限粘度0.6
7のポリエチレン2,6−ナフタレート(2,6−PE
N)チップを製造した。エステル交換反応条件は、触媒
として酢酸カルシウムを用い、200〜230℃で7時
間、重縮合反応は三酸化アンチモンを用い、280〜3
00℃で3時間であった。このチップに平均粒径0.2
μmの二酸化ケイ素0.2重量%を含有させた後、十分
に乾燥し、押出機に供給して300℃で溶融し、10μ
mカットの金属焼結フィルターで瀘過した後、T字型口
金よりシート状に押出し、これを表面温度30℃の冷却
ドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この間のシート
と冷却ドラム表面との密着性を向上させるため、シート
側にワイヤー電極を配置して、6000Vの直流電圧を
印加した。かくして得られた未延伸の2,6−PENフ
ィルムを140℃に加熱されたロール間で縦方向に4.
0倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムの
片面に空気雰囲気中でコロナ放電処理を施し表面濡れ張
力を48dyn/cmとし、その処理面にグラビアコー
ト方式で、実施例1で使用したのと同様の水性樹脂層を
二軸延伸後の厚みが0.1μmになるように塗布した。
塗布された一軸延伸フィルムをテンター内に導き150
℃の温度で乾燥させた後、130℃の温度で幅方向に
4.0倍延伸し、続いて215℃で5秒間熱処理を施
し、易接着層厚み0.1μmを設けた厚み50μmの積
層ポリエステルフィルムを得た。この易接着層側に設け
たジアゾ感材コート層の密着性、耐スクラッチ性は極め
て良好であり、高温高湿環境下においても密着性の低下
がなかった。
【0073】比較例1 平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015%
および平均粒径1.5μmの同じくコロイダルシリカを
0.005%含有するPETペレット(極限粘度0.6
2dI/g)を充分に真空乾燥した後、押出機に供給し
て280℃で溶融押出し、10μmカットの金属焼結フ
ィルターで瀘過した後、T型口金よりシート状に押出
し、これを30℃の冷却ドラムに巻き付けて冷却固化せ
しめた。この間のシートと冷却ドラムとの密着性を向上
させるため、シート側にワイヤー電極を配置して6kV
の直流電圧を印加した。かくして得られた未延伸PET
フィルムを95℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸
し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムの一方の面
に空気雰囲気中でコロナ放電処理を施し、その処理面に
アクリル共重合樹脂単独の水性樹脂層形成塗料を調製し
グラビアコート方式で塗布した。塗布厚みは二軸延伸後
において易接着層が0.1μmとなるようにした。
【0074】 (A)MMA/BA/AA/AN共重合アクリルエマルション 配合比100重量部 65/35/ 2/ 5 重量比
【0075】この易接着塗剤が塗布された一軸延伸フイ
ルムを140℃に加熱された予熱ゾーンに導き水分を乾
燥させた後、連続的に130℃の加熱ゾーンでクリップ
に把持して幅方向に3.5倍延伸し、続いて225℃の
加熱ゾーンで5秒間熱処理を施し、易接着層厚み0.1
μmを設けた厚み50μmの積層ポリエステルフィルム
を得た。
【0076】この積層ポリエステルフィルムの評価結果
を表1に示す。この易接着層側に設けたジアゾ感材コー
ト層の密着性、耐スクラッチ性は劣っており、高温高湿
環境下において密着性の低下があった。
【0077】比較例2 易接着層の組成を下記のように変更した他は、実施例1
と全く同様にして、易接着層厚み0.1μmを設けた厚
み50μmの積層ポリエステルフィルムを得た。この積
層ポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。耐ス
クラッチ性が劣っていた。
【0078】 (A)MMA/BA/AA/AN共重合アクリルエマルション 配合比65重量部 65/35/ 2/ 5 重量%
【0079】 (B)メチロール化メラミン 35重量部
【0080】比較例3 組成を下記のように変更した他は実施例1とまったく同
様にして易接着層厚み0.1μmを設けた厚み50μm
の積層ポリエステルフィルムを得た。この積層ポリエス
テルフィルムの評価結果を表1に示す。耐スクラッチ
性、高温高湿環境下においての密着性が劣っていた。
【0081】 (A)MMA/BA/AA/AN共重合アクリルエマルション 配合比99.5重量部 65/35/ 2/ 5 重量比
【0082】 (B)メチロール化メラミン 0.5重量部
【0083】比較例4 組成を下記のように変更した他は実施例1とまったく同
様にして易接着層厚み0.1μmを設けた厚み50μm
の積層ポリエステルフィルムを得た。この積層ポリエス
テルフィルムの評価結果を表1に示す。耐スクラッチ
性、密着性、高温高湿環境下においての密着性が劣って
いた。
【0084】 (A)IPA/DEG/NPG共重合ポリエステル 配合比100重量部 50/ 20/30 モル% 上記酸性分とグリコール成分からなるアンモニウム塩型水分散体
【0085】比較例5 ポリエステル基体フィルムの表面に、空気雰囲気中でコ
ロナ放電処理を施し、濡れ張力を50dyn/cmとし
た表面に、実施例1で用いたものと全く同様の共重合ポ
リエステル樹脂50重量部相当分を塗布、乾燥後、さら
にそのポリエステル樹脂塗膜の表面に実施例1で用いた
のと全く同様の共重合アクリル樹脂50重量部相当分を
塗布し、比較例1と全く同様にして乾燥、熱処理を施
し、トータル積層厚み0.1μmを設けた厚み50μm
の積層ポリエステルフィルムを得た。つまり2段コート
を行ったのであるが、得られた積層膜のTEMによる断
面観察の結果、該積層膜は厚み方向に相分離はしている
ものの、これらの樹脂の混在相は全く存在していなかっ
た。この積層ポリエステルフィルムの評価結果を表1に
示す。耐スクラッチ性、密着性、高温高湿環境下におい
ての密着性が劣っていた。
【0086】 1段目コート IPA/DEG/NPG共重合ポリエステル 配合比50重量部 50/ 20/30 モル% 上記酸性分とグリコール成分からなるアンモニウム塩型水分散体
【0087】 2段目コート MMA/BA/AA/AN共重合アクリルエマルション 50重量部
【0088】実施例7 基材フィルムとして、実施例1で得られた積層フィルム
をペレット化し、そのペレット10重量%をポリエチレ
ンテレフタレートに混合して用いた以外は、実施例1と
同様にして、塗布厚み0.1μm、フィルム厚み50μ
mのジアゾ易接着フィルムを得た。塗剤としては、実施
例1で用いたものと同様のものを用いた。
【0089】かくして得られたフィルムの特性を表1に
示すが、ベースフィルムにアクリル/ポリエステル/メ
ラミンを有していても、接着性に優れていることがわか
る。
【表1】
【0090】
【本発明の効果】本発明は、ポリエステルフィルムの少
なくとも片面に、アクリル樹脂およびポリエステル樹脂
からなる易接着層を設けてなる積層フィルムであって、
高温高湿環境下での密着性に優れ、耐スクラッチ性を有
し、ジアゾティント用フィルムに使用される基体フィル
ムに好ましく用いられる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルム基体の少なくとも
    片面に、実質的に1層からなる積層膜が設けられた積層
    フィルムにおいて、該積層膜は厚み方向に相分離し、か
    つその相分離界面は、各相の混在相が存在することを特
    徴とするジアゾティント用ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 積層膜の表層がアクリル樹脂を主たる構
    成成分とし、その下部がポリエステル樹脂を主たる構成
    成分とすることを特徴とする請求項1に記載のジアゾテ
    ィント用ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 積層膜中におけるアクリル樹脂を主たる
    構成成分とする層と該ポリエステル樹脂を主たる構成成
    分とする層の積層厚み比が、90/10〜10/90の
    範囲にあることを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載のジアゾティント用ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 積層膜中に架橋剤を0.5〜30重量%
    含有していることを特徴とする請求項1〜請求項3のい
    ずれかに記載のジアゾティント用ポリエステルフィル
    ム。
  5. 【請求項5】 積層膜中におけるポリエステル樹脂が分
    子内にスルホン酸塩基を有しない水性ポリエステル樹脂
    からなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれ
    かに記載のジアゾティント用ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 積層膜中におけるポリエステル樹脂のガ
    ラス転移温度が20℃以上、90℃未満であることを特
    徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のジアゾ
    ティント用ポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】 積層膜中におけるアクリル樹脂がアクリ
    ロニトリルを共重合したことを特徴とする請求項1〜請
    求項6のいずれかに記載のジアゾティント用ポリエステ
    ルフィルム。
  8. 【請求項8】 積層膜の厚さが0.005〜3μmであ
    ることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記
    載のジアゾティント用ポリエステルフィルム。
  9. 【請求項9】 ポリエステルフィルム基体が、ポリエチ
    レンテレフタレートまたはポリエチレン2,6ナフタレ
    ートを主要構成成分とするポリマからなることを特徴と
    する請求項1〜請求項8のいずれかに記載のジアゾティ
    ント用ポリエステルフィルム。
  10. 【請求項10】 ポリエステルフィルム基体が、アクリ
    ル樹脂、ポリエステル樹脂またはメラミンから選ばれる
    少なくとも1種を含有した組成物からなることを特徴と
    する請求項1〜請求項9のいずれか記載のジアゾティン
    ト用ポリエステルフィルム。
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