JPH09121791A - 低タンパク米の製造方法 - Google Patents

低タンパク米の製造方法

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JPH09121791A
JPH09121791A JP7280795A JP28079595A JPH09121791A JP H09121791 A JPH09121791 A JP H09121791A JP 7280795 A JP7280795 A JP 7280795A JP 28079595 A JP28079595 A JP 28079595A JP H09121791 A JPH09121791 A JP H09121791A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 未炊飯米を簡便な処理工程で低タンパク化で
きると共に、未炊飯米に近い透通った色を呈し、かつ割
れ難い性質を有し、洗米せずに通常の米と同様な炊飯や
電子レンジでの炊飯を行うことができ、さらに食感が良
好な炊飯米を喫食することが可能な低タンパク米の製造
方法を提供しようとするものである。 【構成】 未炊飯米を耐熱性のタンパク質分解酵素の存
在下、45〜70℃の温度で酵素処理して低タンパク化
を行う工程と、低タンパク化した未炊飯米を乾燥処理し
て水分含有量を25〜40重量%にする工程と、乾燥処
理した未炊飯米をクッキング値(C値)が6(分)以上
になるように加熱処理する工程とを具備したことを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低タンパク米の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】腎臓病患者は、全国に60万人〜70万
人いるといわれ、年々増加する傾向にある。腎臓病患者
は、腎臓でのタンパク質の代謝能力が低下しているた
め、食事制限が厳しく、1日の摂取量も制限されてい
る。例えば、成人男子が1日に摂取するのに適したタン
パク質量は約70gであるのに対し、腎臓病患者の場合
は35g以下と、成人男子の半分以下に抑える必要があ
る。
【0003】ところで、普通のご飯一膳分のタンパク質
量は約5gであるので、1日3膳摂るとすると、約15
gになる。このため、ご飯のみを喫食するだけでも腎臓
病患者にとって非常に負担になる。このような腎臓病患
者用の食事としてはタンパク質を低減し、他の栄養素を
損なわないような食物を摂ることが必要である。
【0004】このようなことから主食である米に関し、
腎臓病患者用の低タンパク化の研究がなされている。例
えば、米の表層に多く存在するタンパク質を物理的に5
0%程度削り取った特精米、および澱粉を糊化した後、
米粒状に成形、乾燥する工程等により作られた人造米が
知られている。
【0005】また、特開平6−217719号公報には
乳酸菌を使用した米の低タンパク化の方法が開示され、
このような方法で得られた米を無菌パックすることによ
り“万有ゆめごはん”や“ひかり”の商品名で販売され
ている。
【0006】さらに、特開平2−167040号公報に
は米に含まれるグロブリンをタンパク質分解酵素で処理
し、グロブリン含有量を低減して低アレルゲン米を製造
する方法が開示されている。
【0007】しかしながら、特精米や人造米は米粒が小
さく、デンプン粒に近く、炊飯特性が劣り、良好な食感
を有する炊飯米を喫食することが困難である。乳酸菌を
利用した低タンパク化は、米の精白度が88〜89%と
厳しい範囲にある米を使用する必要があり、また、低タ
ンパク化を行うのに6日間も要する。しかも、低タンパ
ク化し、乾燥した米は割れ易いという問題があった。そ
の上、得られた米を炊飯する場合には炊飯の前に一度蒸
す必要があり、通常の米と同様な炊飯の仕方では良好な
食感を有する炊飯米を喫食することが非常に困難であ
る。
【0008】低アレルゲン米の製造方法は、その目的は
米アレルギー患者向けに開発されたものであり、タンパ
ク質量は1/2以下に軽減されておらず、いわゆる腎臓
病患者用の低タンパク米ではない。また、低アレルゲン
化の酵素反応温度は37℃で界面活性剤を使用するとい
う複雑な処理を必要とするため、コスト高になる。しか
も、炊飯の方法も煩雑になる。
【0009】上述したように従来の方法で米を低タンパ
ク化するには米を厳選したり、煩雑な工程で処理を行う
ことを必要とし、しかも低タンパク化された米はタンパ
ク質が多く存在する米の表層を破壊するため、吸水性が
高く、通常の炊飯方法では食感が良好な炊飯米を喫食す
ることができない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、未炊飯米を
簡便な処理工程で低タンパク化できると共に、未炊飯米
に近い透通った色を呈し、かつ割れ難い性質を有し、洗
米せずに通常の米と同様な炊飯や電子レンジでの炊飯を
行うことができ、さらに食感が良好な炊飯米を喫食する
ことが可能な低タンパク米の製造方法を提供しようとす
るものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる低タンパ
ク米の製造方法は、未炊飯米を耐熱性のタンパク質分解
酵素の存在下、45〜70℃の温度で酵素処理して低タ
ンパク化を行う工程と、低タンパク化した未炊飯米を乾
燥処理して水分含有量を25〜40重量%にする工程
と、乾燥処理した未炊飯米をクッキング値(C値)が6
(分)以上になるように加熱処理する工程とを具備した
ことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる低タンパク
米の製造方法を詳細に説明する。 (第1工程)まず、未炊飯米を耐熱性のタンパク質分解
酵素の存在下、45〜70℃の温度で酵素処理して低タ
ンパク化を行う。
【0013】前記未炊飯米としては、キララ、ササニシ
キ、コシヒカリ等の任意のうるち米を用いることができ
る。前記タンパク質分解酵素としては、酸性側に反応至
適pHを有するもの、アルカリ側に反応至適pHを有す
るもの、いずれも使用することができる。酸性側の酵素
としては、例えばペプチダーゼR、プロテアーゼP「ア
マノ」3(いずれも天野製薬株式会社製商品名)等を用
いることができる。アルカリ側の酵素としては、例えば
プロテアーゼS(天野製薬株式会社製商品名)、アルカ
ラーゼ、エスペラーゼ(いずれもノボ・ノルディスク社
製商品名)、オリエンターゼ22BF(阪急共栄物産社
販売)等を用いることができる。前記酵素を含む溶液の
pHは、酸性側で4〜5、アルカリ側で9〜10にする
ことが好ましい。
【0014】前記タンパク質分解酵素を溶かす緩衝液
は、食用として使用でき、かつ腎臓病患者にとって摂取
を避けるリン、カリを含まないものであればよく、特に
制限されないが、酸性側の酵素に対してはクエン酸緩衝
液、酢酸緩衝液が好適であり、アルカリ側の酵素に対し
てはグリシン緩衝液が好適である。
【0015】前記タンパク質分解酵素の力価は、未炊飯
米を低タンパク化できればよく、特に制限はない。ただ
し、コスト面や炊飯後の食感を考慮すると、前記タンパ
ク質分解酵素の力価は米25gに対して25000ユニ
ット以下にすることが好ましい。ここで、酵素の力価1
ユニットとはカゼインを基質とし、45℃、10分間
(アルカリ側酵素はpH8.0、酸性側酵素はpH5.
5)の反応で、1分間に1μgのチロシンを遊離させる
酵素量を意味する。
【0016】前記酵素処理時の温度を前記範囲に規定し
たのは、次のような理由によるものである。処理温度を
45℃未満にすると、酵素の反応性が低下して、未炊飯
米の低タンパク化の処理時間が長くなり、しかも雑菌の
繁殖を防止することができなくなる。一方、処理温度が
70℃を越えると酵素の安定性が低下して未炊飯米を十
分に低タンパク化することができなくなる。より好まし
い処理温度は、45〜60℃である。
【0017】前記未炊飯米の酵素処理は、前記米をタン
パク質分解酵素溶液に静止して行ってもよいが、酵素液
を循環したり、エアーバブリングにより撹拌しながら処
理することが反応速度の向上の点で好ましい。このよう
な循環やエアーバブリングを採用する場合には、米が割
れないように緩慢に行うことが好ましい。
【0018】例えば、酵素液を循環させながら米をタン
パク質分解酵素溶液で低タンパク化する場合には、酵素
液を貯留可能な酵素反応槽と、所定量の未炊飯米を収容
し前記反応槽内に槽外へ取り出すことができるように収
納支持される通液可能な米筐と、前記反応槽内に槽内支
持の米筐が水没するレベルまで酵素液を供給する給液手
段と、前記反応槽内の酵素溶液を米筐収容米が躍動しな
い程度の弱い水流で循環させる酵素溶液循環手段と、前
記反応槽内の酵素溶液を米筐収容米の酵素反応後に排出
させる酵素液排出口と、前記酵素溶液の排出後に前記反
応槽内に米筐収容米が躍動しないように洗浄水を供給す
る洗浄水供給手段と、前記反応槽の下部に接続され米筐
収容米の洗浄の際に洗浄水を米筐水没レベルの位置から
溢水させるサイフォン式のオーバーフロー管とを具備し
た米の低タンパク化装置が用いられる。
【0019】このような酵素処理する第1工程におい
て、酵素処理した米を水洗した後にpH調整することを
許容する。このpH調整は、酵素処理後の米の白色化
と、アルカリ側の酵素溶液で処理された米を酸性側に戻
して保存性を高めるために行う。pH調整には、酸溶液
が用いられる。この酸溶液は、食用に使用できるもので
あればいかなるものでよく、例えばクエン酸溶液、酢酸
溶液、乳酸溶液等を用いることができる。
【0020】(第2工程)前記第1工程で得られた低タ
ンパク化した未炊飯米を乾燥処理して水分含有量を25
〜40重量%にする。
【0021】前記乾燥により低タンパク化した未炊飯米
の水分含有量を規定したのは、次のような理由によるも
のである。前記米の水分含有量を25重量%未満にする
と、割れを防止することができなくなる。一方、前記米
の水分含有量が40重量%を越えると、この後の加熱処
理によりおかゆのようなべちゃべちゃした状態になる。
より好ましい前記低タンパク化した未炊飯米の水分含有
量は、34〜38重量%である。
【0022】(第3工程)前記第2工程で乾燥処理した
未炊飯米をクッキング値(C値)が6(分)以上になる
ように加熱処理する。
【0023】前記加熱処理においては、未炊飯米を水分
が透過しない適切な包材(例えばレトルトパウチ)に密
封した状態で行うことが好ましい。前記加熱処理におい
て、C値を6(分)未満にすると得られた低タンパク米
に白むらが生じて米本来の外観性が損なわれる。より好
ましいC値は、9(分)以上である。
【0024】以上説明した本発明によれば、未炊飯米を
耐熱性のタンパク質分解酵素の存在下、45〜70℃の
温度で酵素処理することによって、前記米中のタンパク
質が容易に酵素分解反応されるため、簡単かつ短時間で
低タンパク化(タンパク質含有量を処理前の1/2以下
に低減)できる。
【0025】また、酵素反応温度を45〜70℃の比較
的高温で行うことによって、雑菌の繁殖を防止できる。
さらに、低タンパク化した未炊飯米を水分含有量が25
〜40重量%になるように乾燥処理することにより、衝
撃等によるわれを防止できる。
【0026】さらに、前記乾燥後にC値が6(分)以上
になるように加熱処理することによって、米本来の外観
に近い透通った色を呈する低タンパク米を得ることがで
きる。
【0027】さらにまた、通常の米と同様な条件で炊飯
しても食感が良好な低タンパク炊飯米を喫食することが
できる。その上、電子レンジで炊飯しても食感が良好な
低タンパク炊飯米を喫食することができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。 (実施例1)図1は、実施例1の低タンパク米の製造に
用いられる低タンパク化装置を全体的に示す構成説明
図、図2は図1の低タンパク化装置に用いる酵素反応槽
の中央縦断面図、図3は図1の低タンパク化装置に用い
る酵素反応槽の横断側面図である。図中1は、酵素溶液
Pを貯留可能な酵素反応槽、2は所定量の未炊飯米Aを
収容して酵素反応槽1内に収納支持される上下複数段
(例えば上下3段)の米筐で、この各段の米筐2は米粒
が落下しない多数の通液小孔(図示せず)を有するトレ
ー又はかご形の形状に構成され、槽内両側レール3に支
持される車輪4を備えている。
【0029】前記各段の米筐2は、酵素反応槽1の前壁
開口部から槽内両側レール3に沿って車輪4のガイドの
もとに挿入することにより酵素反応槽1内に収納支持さ
れ、前記反応槽1の前壁開口部を液漏れしないように閉
塞する開閉蓋5を槽内酵素溶液Pの排出後に図3に示す
ように開放して、槽外へ取り出すことができるように装
備されている。
【0030】前記反応槽1の上部には、多数の散水孔を
有するシャワー生成パネル6で区画された空室7が設け
られ、この空室7を介して酵素溶液P又は洗浄水Wが反
応槽1内に水撃作用の少ないシャワー水として供給され
るようになっている。
【0031】前記反応槽1の下部には、バルブd1の付
いたドレン排出管8と、反応槽1内の酵素溶液Pを未炊
飯米Aの酵素反応後に排出させる酵素溶液排出口9とが
設けられ、このドレン排出管8及び酵素溶液排出口9が
開口する槽底部と最下段の米筐2aとで区画される下部
液室10には槽内酵素溶液Pを加温保持させる電気ヒー
タ11と、槽内底部側の酵素溶液Pを緩やかに撹拌させ
る回転翼12(図示省略のモータで回転駆動される)と
が内装されている。
【0032】酵素溶液循環手段13は、前記反応槽1内
の酵素溶液Pを未炊飯米Aが躍動しない程度の弱い水流
で循環させるもので、反応槽1の下部液室10と上部空
室7を連結するバルブV1の付いた循環配管路14に、
槽内の酵素溶液Pを下方から上方へ循環させる循環ポン
プ15を組込んだ構成となっている。
【0033】給液手段20は、前記反応槽1内に槽内支
持の米筐2が図1に示すように水没するレベルLまで酵
素溶液Pを供給するもので、酵素溶液Pを作る酵素溶液
タンク21と、反応槽1の酵素溶液排出口9から排出さ
れる酵素溶液Pを回収する酵素溶液回収タンク22と、
この酵素溶液回収タンク22と前記酵素溶液タンク21
とから供給される酵素溶液Pを混合して酵素反応槽1へ
供給する混合槽23とから構成されている。
【0034】前記酵素溶液タンク21は、バルブd3の
付いたドレン排出管24と、酵素粉末とpH調整剤をタ
ンク内に投入する蓋開閉口25と、水W′又は緩衝液を
前記タンク21内に供給するバルブV5の付いた給水管
26とを有し、このタンク21内に作られた酵素溶液P
を吸出ポンプ27の作動で吸い上げてバルブV4の付い
た酵素溶液供給管28を介して混合槽23に送給するよ
うになっている。
【0035】なお、この酵素溶液タンク21内には酵素
溶液Pを加温保持させる電気ヒータ11aと、前記酵素
溶液Pを緩やかに撹拌させる回転翼12a(図示省略の
モータで回転駆動される)とが設けられている。
【0036】前記酵素溶液回収タンク22は、バルブd
2の付いたドレン排出管29と、タンク上壁に開設され
た通気孔30と、タンク内酵素溶液を加温保持させる電
気ヒータ11bとを有し、このタンク22内に回収され
た酵素溶液Pを吸出ポンプ31の作動で吸い上げて、バ
ルブV3の付いた酵素溶液供給管32を介して混合槽2
3に送給するようになっている。
【0037】なお、酵素反応槽1の酵素溶液排出口9と
酵素溶液回収タンク22とを接続するバルブV2の付い
た連結配管路16には、酵素反応槽1内の酵素溶液Pを
回収タンク22に送る回収用ポンプ17が組込まれてい
る。また、前記混合槽23内にはモータ(図示せず)で
回転駆動される酵素溶液混合用の回転翼12bが設けら
れている。このような回転翼12bを混合槽23内に設
けると、酵素溶液タンク21と酵素溶液回収タンク22
とから供給される酵素溶液Pをすばやく混合して、バル
ブV6の付いた接続管路18から前記酵素反応槽1へ供
給することができる。
【0038】給水管路37は、前記反応槽1の下部液室
10に接続され槽内酵素溶液Pを排出回収させた後に前
記反応槽1内に底部側から洗浄予備水Waを未炊飯米A
が浮動しない程度の弱い水流で米筐水没レベルLの位置
まで供給するものである。洗浄水供給管路33は、前記
反応槽1内に洗浄予備水が米筐水没レベルLに達する位
置まで供給された後に前記反応槽1内に上部から洗浄水
Wを供給するものである。前記洗浄水供給管路33と前
記給水管路37とにより洗浄水供給手段が構成される。
なお、この洗浄水供給管路33と前記給水管路37には
バルブV7,V9が設けられ、反応槽1内に洗浄予備水
Waを米筐水没レベルLの位置まで供給した後に洗浄水
供給管路33のバルブV7を開けて反応槽1の上部空室
7に洗浄水Wを供給すると、シャワー生成パネル6の散
水孔から水撃作用の少ないシャワー水として槽内貯留水
(洗浄予備水)の液面上に散水されるようになる。この
ため、酵素反応後の米が洗浄時に形崩れすることがなく
なる。
【0039】サイフォン式のオーバーフロー管34は、
反応槽1の下部液室10に接続され米筐収容米Aの洗浄
の際に洗浄水Wを米筐水没レベルLの位置から溢水させ
るもので、このオーバーフロー管34にもバルブV8が
設けられている。
【0040】次に、前述した低タンパク化装置を用いて
未炊飯米(キララ)を低タンパク化する方法を説明す
る。まず、1000gの未炊飯米(キララ)Aを収容し
た上下3段の米筐2を酵素反応槽1内に図1に示すよう
に収納支持させた。つづいて、酵素溶液タンク21に4
000mlの0.05M酢酸緩衝液(pH4.0)およ
びペプチターゼR(天野製薬株式会社製商品名)を総活
性が40000ユニットになるように入れ、回転翼12
aを回して酵素溶液Pを調製した。
【0041】次いで、バルブV4,V6を開け吸出ポン
プ27を作動させて、酵素溶液タンク21内の酵素溶液
Pを酵素反応槽1内に供給する。この時、酵素溶液Pは
シャワー生成パネル6の散水孔から水撃作用の少ないシ
ャワー水として反応槽1内に供給される。つづいて、酵
素反応槽1内に米筐2が水没するレベルL(オーバーフ
ロー管34による溢水位置)まで酵素溶液Pが溜まった
ら、吸出ポンプ27を止め、バルブV4,V6を閉じ
た。酵素反応槽1の回転翼12を回転させ、バルブV1
を開け、循環ポンプ15を作動させて、槽下部液室10
の酵素溶液Pを緩やかに撹拌しながら、槽内酵素溶液P
を未炊飯米Aが躍動しない程度の弱い水流で循環させて
12時間酵素反応を行った。この時、槽内酵素溶液Pは
電気ヒータ11によって45℃に加温保持した。
【0042】酵素反応終了後にバルブV1を閉じ循環ポ
ンプ15を止める。つづいて、バルブV2を開け、回収
用ポンプ17を作動させて、酵素反応槽1内の酵素溶液
Pを酵素溶液回収タンク22に移し、反応槽1内が空に
なった段階でバルブV2を閉じ回収用ポンプ17を止め
た。
【0043】次いで、槽内の酵素溶液Pの排出回収後に
給水管路37のバルブV9を開けて、洗浄予備水Waを
米筐水没レベルLに達する位置まで供給した。前記反応
槽1内に洗浄予備水Waが米筐水没レベルLの位置まで
供給されたら前記バルブV9を閉じ、洗浄水供給管路3
3のバルブV7とオーバーフロー管34のバルブV8を
開けて、洗浄水Wを反応槽1内に供給しながらオーバー
フロー管34から排出することにより低タンパク化され
た米の洗浄を2時間行った。米筐に収容された米の洗浄
終了後に洗浄水供給管路33のバルブV7とオーバーフ
ロー管34のバルブV8を閉じ、ドレン排出管8のバル
ブd1を開けて、反応槽1内の残留洗浄水Wを全部排出
した。
【0044】次いで、前記洗浄後の米を0.5%のクエ
ン酸水溶液2000mlに1時間浸漬し、再び1時間流
水にて水洗した後、米の水分が35%になるように風乾
した。ひきつづき、風乾した米をレトルトパウチに入
れ、密封後、温度90℃、加圧1気圧の条件で20分間
保持して加熱処理を行った。なお、この加熱処理による
C値は11(分)であった。この工程により、低タンパ
ク米約1200gが得られた。
【0045】得られた低タンパク米の分析結果(乾燥物
換算)を下記表1に示す。なお、表1には低タンパク化
処理前の米(キララ)の成分分析結果(乾燥物換算)を
併記する。
【0046】
【表1】
【0047】(実施例2)まず、0.5Mグリシン−水
酸化ナトリウム緩衝液(pH9.0)2000mlにプ
ロテアーゼS(天野製薬株式会社製商品名)を総活性が
100万ユニットになるように溶解して酵素溶液を調製
した。つづいて、槽に前記酵素溶液を収容し、さらに洗
米した米(キララ)1000gを収容し、室温で2時間
浸漬した後、前記酵素溶液を60℃に保持しながら、エ
アーバブリングにより前記酵素溶液を撹拌しながら24
時間処理した。酵素処理後の米を流水にて2時間水洗し
た。次いで、洗浄後の米を0.05%の酢酸緩衝液(p
H4.0)2000mlに1時間浸漬し、再度、流水に
て1時間水洗した後、米の水分が37%になるように風
乾した。ひきつづき、風乾した米をレトルトパウチに入
れ、密封した後、温度110℃、加圧1気圧の条件で1
0分間保持して加熱処理を行った。なお、この加熱処理
によるC値は24(分)であった。この工程により、低
タンパク米1220gが得られた。
【0048】得られた低タンパク米の分析結果(乾燥物
換算)を下記表2に示す。なお、表2には低タンパク化
処理前の米(キララ)の成分分析結果(乾燥物換算)を
併記する。
【0049】
【表2】
【0050】(比較例1)この比較例1は、低アレルゲ
ン米の製造方法に用いられるアクチナーゼ(科研製薬株
式会社製商品名)のような耐熱性に欠けるタンパク質分
解酵素を使用して低タンパク化を試みた例である。
【0051】まず、0.5Mグリシン−水酸化ナトリウ
ム緩衝液(pH9.0)2000mlにアクチナーゼ
(科研製薬株式会社製商品名)を総活性が100万ユニ
ットになるように溶解して酵素溶液を調製した。つづい
て、この酵素溶液に洗米した米(キララ)1000gを
室温で2時間浸漬した後、前記酵素溶液を37℃および
60℃に保持しながら、エアーバブリングにより前記酵
素溶液を撹拌しながら24時間それぞれ処理した。酵素
処理後の各米を流水にて2時間水洗した。次いで、洗浄
後の各米を0.05%の酢酸緩衝液(pH4.0)20
00mlに1時間浸漬し、再度、流水にて1時間水洗し
た後、米の水分が35%になるように風乾した。この工
程により、酵素処理米約1200gが得られた。
【0052】得られた酵素処理米(37℃および60℃
の処理)の分析結果(乾燥物換算)を下記表3に示す。
なお、表3には酵素処理前の米(キララ)の成分分析結
果(乾燥物換算)を併記する。
【0053】
【表3】
【0054】前記表1〜表3から明らかなように実施例
1、2のように耐熱性のタンパク質分解酵素を含む溶液
で45〜70℃の温度で範囲(60℃)で未炊飯米を酵
素処理することにより、タンパク質含有量が酵素処理前
の米の1/2以下に低減された低タンパク米を得ること
ができる。
【0055】これに対し、タンパク質分解酵素として耐
熱性に欠けるアクチナーゼを用いる比較例1では、酵素
溶液を37℃に保持した処理においてタンパク質含有量
が酵素処理前の米の1/2以下に低減された低タンパク
米を得ることができない。また、比較例1において酵素
溶液を60℃に保持した処理では酵素が過酷な条件に置
かれる。このため、タンパク質の分解能力が低下して低
タンパク化効果は37℃の処理の場合に比べてさらに低
下する。
【0056】(低タンパク米の評価)実施例1で用いた
市販のキララ150gを水洗した後、水200ccを加
え、1時間浸漬し、電子ジヤー炊飯器(NZF−T0
5;象印マホービン株式会社製商品名)を用いて炊飯し
た。これを参照例とする。なお、炊飯時間は約17分
間、蒸らし時間は約10分間として炊き上げた。
【0057】実施例1で得られた低タンパク米100g
と水90ccを電子ジヤー炊飯器(NZF−T05;象
印マホービン株式会社製商品名)に入れ、軽く撹拌した
後、直ちに電源を入れた。炊飯時間は、約12分間、蒸
らし時間は約10分間として炊き上げた。
【0058】実施例2で得られた低タンパク米100g
と水80ccを電子レンジ(株式会社 東芝製商品名;
ER−1020JF(W))で600Wの出力で7分間
加熱して炊飯した。
【0059】得られた参照例、実施例1、2、参照例
1、2の炊飯米について、外観、香り、味、粘りおよび
硬さを6人のパネラーにより官能検査を行った。その結
果を下記表4〜表8に示す。
【0060】なお、外観、香り、味、粘りおよび硬さは
次に示す5段階で評価した。 1)外観の評価 5;非常に良好 4;光沢があり、白く粒が揃っている 3;白くふっくらしている 2;色がくすみ割れている 1;不良 2)香り 5;非常に良好 4;炊飯特有の香りが良好 3;概ね良好 2;少し異臭あり 1;不良 3)味 5;非常に良好 4;旨味、甘味を感じる 3;概ね良好 2;無味 1;不良 4)粘り 5;非常に良好 4;適度な粘りを有し、良好 3;ややもちもち感がある 2;べちゃついている 1:不良 5)硬さ 5;非常に良好 4;歯応えがあり、良好 3;概ね良好 2;硬い 1;不良
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】
【0065】
【表8】
【0066】前記表4〜表8から明らかなように実施例
1、2の低タンパク米は、低タンパク化処理前の米(参
照例)と同等の外観、香り、味、粘りおよび硬さを有す
ることがわかる。
【0067】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば未
炊飯米を簡便な処理工程で低タンパク化できると共に、
未炊飯米に近い透通った色を呈し、かつ割れ難い性質を
有し、洗米せずに通常の米と同様な炊飯や電子レンジで
の炊飯を行うことができ、さらに食感が良好な炊飯米を
喫食できる腎臓病患者に有用な低タンパク米の製造方法
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の低タンパク化に使用される
低タンパク化装置を全体的に示した構成説明図。
【図2】図1の低タンパク化装置に用いる酵素反応槽の
中央縦断面図。
【図3】図1の低タンパク化装置に用いる酵素反応槽の
横断側面図。
【符号の説明】
1…酵素反応槽、P…酵素溶液、2…米筐、A…未炊飯
米、6…シャワー生成パネル、8…ドレン排出管、9…
酵素液排出口、11(11a,11b)…電気ヒータ、
12(12a,12b)…回転翼、13…酵素溶液循環
手段、14…循環配管路、15…循環ポンプ、20…酵
素溶液の給液手段、21…酵素溶液タンク、酵素液回収
タンク、23…混合槽、27,31…酵素液吸出ポン
プ、W…洗浄水、Wa…洗浄予備水、33…洗浄水供給
管路、34…オーバーフロー管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 幸次 東京都港区港南2丁目13番40号 東洋水産 株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未炊飯米を耐熱性のタンパク質分解酵素
    の存在下、45〜70℃の温度で酵素処理して低タンパ
    ク化を行う工程と、 低タンパク化した未炊飯米を乾燥処理して水分含有量を
    25〜40重量%にする工程と、 乾燥処理した未炊飯米をクッキング値(C値)が6
    (分)以上になるように加熱処理する工程とを具備した
    ことを特徴とする低タンパク米の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記酵素処理は、槽内で前記未炊飯米お
    よびタンパク質分解酵素を含む溶液を緩慢に循環させる
    か、もしくはエアーバブリングを行って撹拌させること
    を特徴とする請求項1記載の低タンパク米の製造方法。
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