JPH0890204A - 減圧吸引加圧鋳造方法および装置 - Google Patents

減圧吸引加圧鋳造方法および装置

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JPH0890204A
JPH0890204A JP22447994A JP22447994A JPH0890204A JP H0890204 A JPH0890204 A JP H0890204A JP 22447994 A JP22447994 A JP 22447994A JP 22447994 A JP22447994 A JP 22447994A JP H0890204 A JPH0890204 A JP H0890204A
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JP
Japan
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molten metal
mold
pressurizing
feeder
pressure
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Application number
JP22447994A
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Hiroshi Onuma
寛 大沼
Kimio Kubo
公雄 久保
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Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Publication date
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  • Casting Support Devices, Ladles, And Melt Control Thereby (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複雑形状で肉薄な鋳物を、引け巣、ガス欠陥
等の鋳造欠陥がなく、高品質に鋳造する鋳造方法および
鋳造設備を得る。 【構成】 製品キャビティおよび/または押湯のうち湯
道から離れた溶融金属の最終充填部近傍の鋳型表面に吸
引口を形成し、この吸引口を介して吸引および加圧す
る。 【作用】 溶融金属が急速に製品キャビティおよび押湯
に充填され、また、溶湯内のガスの気泡化を抑制し、更
に、押湯の指向性凝固が促進されるとともに、押湯の未
凝固部への加圧効果が一層大きくなり押湯効果が促進さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、減圧吸引加圧鋳造装置
および方法に関し、特に複雑形状や薄肉の鋳鋼や鋳物な
ど、鋳造性に劣り、引け性が高く、ガス欠陥が発生し易
い鋳物の製造に適した減圧吸引加圧鋳造装置および方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、5mm以下というような薄い部
分を有する薄肉鋳物を鋳造する場合、鋳型との接触によ
って注湯された溶湯の冷却凝固が促進されるため、溶湯
の流動性が悪くなり、湯廻り不良等の欠陥が発生し易く
なる。また、溶融金属は凝固時に収縮が生じるため、引
け巣やきれ割れ欠陥が生じやすい。これらの鋳造欠陥は
押湯によって対策されているが、適正な押湯力を得るた
めには適切な大きさの押湯が必要であり、また、指向性
の凝固を促進するために、押湯の先端部を凸状に盗んだ
形状にしてホットスポット部を形成し、その部分より大
気圧を加えることにより押湯効果を加える中子(一般に
「ウイリアムズコア」という」を設けることが知られて
いる。このウイリアムズコアは、熱飽和し易い形状にす
ることによって凝固を遅らせると共に、凝固過程での溶
湯補給に必要な圧力を溶融金属に作用させるものであ
る。しかし、押湯が大きいと歩留が悪く、製造コストが
高くなる問題がある。また、ウイリアムズコアに安定か
つ有効に大気圧を作用させることは困難である。更に、
溶融金属は、空気中からガスを吸収し易く、凝固後の鋳
物の中にガス欠陥として残り問題となる。
【0003】複雑な形状をした薄肉鋳物を製造する方法
の一つとして、ロストワックス鋳造法が知られている。
このロストワックス鋳造法においては、セラミックス鋳
型を用い、鋳造時に鋳型を700℃〜900℃に加熱す
ることにより充填時の溶湯の冷却速度を遅くし、溶湯の
流動性を良くするものである。しかしながら、高価なセ
ラミックス鋳型を使用するため、鋳型の造型に費用がか
かり、複雑形状で薄肉の鋳物を鋳造するには製造コスト
が相当に高くなる。
【0004】鋳込み速度の調節が比較的容易な鋳造法と
して低圧鋳造法があるが、鋳造時にキャビテイの未充填
部の背圧が上昇するため、薄肉鋳物や複雑形状の鋳物で
は湯廻り性が悪くなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】更に、薄肉鋳物の鋳造
方法として、特公昭60−35227号公報には、鋳型
内キャビティを減圧して溶湯を鋳型空洞部に吸引鋳造す
る減圧吸引鋳造方法の開示があり、最近用いられてきて
いる。しかしながら、特公昭60−35227号公報の
ものは、溶湯に浸漬されない鋳型部分から空気を巻き込
み易く、減圧吸引の効果が不十分である。また、高さが
小さく単純形状のものは鋳造できるが、高さや肉厚部が
あり複雑形状の鋳物に適用するのが難しい。そして、高
真空状態で保持するため、溶融金属の圧力が低下して気
泡状態になりやすく、凝固後にガス欠陥として残り、健
全な鋳造製品を得ることが難しい。更に、減圧吸引鋳造
では、充填が完了した溶融金属を高真空状態で保持する
ため、前述のウイリアムコアを用いて押湯力を付加させ
ることができないという欠点がある。
【0006】薄肉鋳物を得る鋳造方法として、特開昭6
2−114761号公報には、溶融金属を鋳型に充填さ
せる過程では、鋳型に減圧力を及ぼして溶融金属を吸引
し、溶融金属が充填後は、溶融金属の溶湯面を加圧して
溶融金属に加圧力を与える吸引加圧鋳造法の開示があ
る。
【0007】しかしながら、特開昭62−114761
号公報では、溶湯を通しての鋳物製品部への加圧には限
界がある。つまり、一般に金属の凝固形態はデンドライ
ト成長であるが、デンドライト間の溶湯には圧力損失が
生じるため、溶湯を通して製品部に均等に加圧効果を及
ぼす事は不可能である。従って、溶湯面に近い部分では
溶融金属の押湯効果は得られるが、製品部や押湯は溶湯
面から離れている場合が多く、その効果が得られない難
い。
【0008】上述したように、従来の鋳造技術では、溶
融金属を製品キャビティおよび押湯に急速充填すると共
に、凝固中に押湯効果を出すことは困難である。本発明
の目的は、上記従来の鋳造技術の課題を解決し、溶融金
属を製品キャビティおよび押湯に急速充填すると共に、
凝固中に押湯効果を出して、5mm以下と薄肉でかつ複
雑形状の鋳物を欠陥なく鋳造するのに最適な減圧吸引加
圧鋳造方法およびその装置を提供することを目的とす
る。ことは困難であった。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、減圧容器内に配置された鋳型の
製品キャビティ、押湯の近傍に吸引口を設けることによ
って、吸引効果と加圧効果が著しく高められ、溶融金属
中のガス気泡を縮小または排除し、押湯の指向性凝固を
促進し、引け巣や切れ欠陥を最小限にし、複雑な形状で
薄肉鋳物を、鋳造欠陥なく低コストで製造できることを
見い出し本発明に想到した。
【0010】即ち、本発明の減圧吸引加圧鋳造方法は、
溶融金属を減圧吸引により鋳型に注湯し、前記溶融金属
が少なくとも凝固完了するあいだ加圧する減圧吸引加圧
鋳造方法であって、(a) 湯道と、前記湯道に連通す
る製品キャビティと、前記製品キャビティに連通する押
湯とを有し、前記製品キャビティおよび/または押湯の
うち湯道から離れた溶融金属の最終充填部近傍の鋳型表
面に吸引口を形成する鋳型を準備する工程、(b) 底
部に少なくとも1つ以上の開口部を有する減圧容器の開
口部内に、前記鋳型の湯道が開口するように配設する工
程、(c) 前記湯道を溶融金属に浸漬した後、前記減
圧容器に取り付けた減圧装置により前記鋳型内を前記吸
引口を介して減圧し、前記製品キャビティ内および前記
押湯内に前記溶融金属を急速に充填する工程、(d)
少なくとも1つ以上の開口部を有する密閉部材により、
前記減圧容器の開口部を密閉する工程、(d) 前記減
圧容器に取り付けた加圧装置により、前記吸引口を介し
て前記製品キャビティおよび押湯を加圧する工程、以上
の工程の組み合わせからなることを特徴とする。
【0011】そして、前記吸引口のうち前記製品キャビ
ティおよび/または押湯に近接する部分に、鋳型の他の
部分より通気性が良い材料からなる多孔質部材を設け
る。また、前記押湯の溶融金属の最終充填部および/ま
たは最終凝固部の近傍に、前記鋳型表面と前記押湯との
距離を他の部分より小さくする吸引口を設ける。更に、
減圧前に前記減圧容器内を不活性ガスで置換する。更に
また、前記減圧容器内の加圧を不活性ガスで行う。
【0012】次に、本発明の減圧吸引加圧鋳造装置は、
溶融金属を減圧吸引により鋳型に注湯し、前記溶融金属
が少なくとも凝固完了する間加圧する減圧吸引加圧鋳造
装置であって、(a) 底部に少なくとも1つ以上の開
口部を有する減圧容器と、(a) 前記減圧容器内に配
設され、湯道と、前記湯道に連通する製品キャビティ
と、前記製品キャビティに連通する押湯とを有し、前記
製品キャビティおよび/または押湯のうち前記湯道から
離れた溶融金属の最終充填部近傍の鋳型表面に吸引口を
形成し、前記減圧容器の開口部より前記湯道が開口する
鋳型と、(c) 前記湯道を溶融金属に浸漬した後、前
記吸引口を介して減圧し前記製品キャビティ内および前
記押湯内に前記溶融金属を急速に充填する前記減圧容器
に取り付けた減圧装置と、(d) 少なくとも1つ以上
の開口部を有し、前記減圧容器の開口部を密閉するする
密閉部材と、(d) 前記吸引口を介して前記製品キャ
ビティおよび押湯を加圧する前記減圧容器に取り付けた
加圧装置と、からなることを特徴とする。
【0013】そして、前記鋳型は、前記吸引口のうち前
記製品キャビティおよび/または押湯に近接する部分
に、鋳型の他の部分より通気性が良い材料からなる多孔
質部材を有する。また、前記鋳型は、押湯の溶融金属の
最終充填部および/または最終凝固部の近傍に、前記鋳
型表面と前記押湯との距離を他の部分より小さくする吸
引口を形成する。更に、前記減圧装置は、減圧前に前記
減圧容器内を不活性ガスでの置換手段を有する。更にま
た、前記加圧装置は、減圧容器内の不活性ガスでの加圧
手段を有する。
【0014】本発明の減圧吸引加圧鋳造方法および装置
は、溶湯温度が高く、複雑形状で薄肉であり、製造する
のが困難な鋳鋼等に利用するのが好ましい。このような
鋳鋼は、高い耐熱性および耐酸化性を有する。また、溶
湯温度、凝固収縮率、溶融金属内のガス成分の含有率が
高く、薄肉鋳物を製造するのが困難な低合金鋳鋼等に利
用するのも好ましい。このような鋳鋼は、高い機械的性
質を有するが、その組成の一例は以下の通りである。C
:0.05〜0.45重量%、Si:0.4 〜2重
量%、Mn:0.3 〜1重量%、Cr:16〜25重
量%、W :0〜3重量%、Ni:0〜2重量%、Nb
および/またはV:0.01〜1重量%、残部:Feお
よび不可避的不純物、上記組成の鋳鋼は、通常のα相の
他にγ相から転移した相(α相+炭化物)でα’相と呼
ばれる相を有する。α’相の(α相+α’相)に対する
面積率は20〜90%であるのが好ましい。
【作用】
【0015】製品キャビティおよび/または押湯のうち
湯道から離れた溶融金属の最終充填部近傍の鋳型表面に
吸引口を形成した鋳型により、減圧装置により減圧容器
内を減圧すると、吸引口から製品キャビティおよび押湯
に急速に金属溶湯を充填し、加圧装置により減圧容器内
を加圧すると、吸引口を介して製品キャビティ内および
押湯内の溶融金属中のガス気泡を縮小または排除し、更
に、押湯と鋳型表面とのあいだの鋳型部分の熱飽和(放
熱が飽和した状態)が速くなることによって、吸引口近
傍の押湯の凝固を遅らせて、製品キャビティ内への押湯
力を付与する。
【0016】更に、前記吸引口のうち前記製品キャビテ
ィおよび/または押湯に近接する部分に、鋳型の他の部
分より通気性が良い材料からなる多孔質部材を設けれ
ば、いっそう急速に金属溶湯を充填するので、複雑形状
で薄肉の鋳物でも溶融金属が製品キャビティに十分に充
填され、更に押湯効果が向上する。減圧前に前記減圧容
器内を不活性ガスで置換、および/または減圧容器内の
加圧を不活性ガスで行えば、金属溶湯の酸化が少なく、
機械的性質に優れた高品質の鋳物を鋳造することができ
る。
【0017】次に、ガス欠陥、引け巣、きれ割れ欠陥等
の発生機構について図面により詳細に説明する。図5
は、種々の欠陥の発生を大きく左右する溶湯補給の機構
と、圧力分布、そして欠陥の起点となるポロシティの生
成機構を模式的に示す図である。図5(A)は、金属溶
湯が凝固中のデンドライト間流動補給と液相補給を示
し、図5(B)は、ポロシティの生成条件を示し、横軸
が金属溶湯の注入口からの距離、縦軸がデンドライト間
に加わる圧力である。
【0018】通常の鋳造の場合、凝固初期では、未凝固
領域が大きいため、凝固収縮に対する溶湯補給は図1に
示すように液相補給が支配的である。この時の溶融金属
圧力(P)は低下が少なく、溶融金属中に溶け込んだガ
スの気泡化圧力(Pg)に比べて十分大きいため、ポロ
シティは生成しない。ところが、凝固中期から末期にな
ると凝固が進み、溶湯補給はデンドライト間流動補給へ
と移行する。この時にはデンドライト間の流動抵抗等に
より溶融金属圧力Pは低下し、これに対して未凝固部分
の溶融金属中に溶け込んだガスは濃縮され、気泡化圧力
(Pg)は上昇する。そして、溶融金属圧力(P)と気
泡化圧力(Pg)が逆転したときにポロシティが発生す
る。
【0019】ポロシティの発生は、図1(B)に示すよ
うに、ある特定の加圧力を溶融金属に加えることによ
り、溶融金属圧力Pがデンドライト間流動補給の領域に
おいても気泡化圧力Pgを逆転させないことにより防ぐ
ことができる。図3は、加圧による効果を説明するため
の概念図である。溶湯内を直接、長時間加圧することに
より、溶湯内のガスの気泡化を抑制することができる。
また吸引口18と押湯8aとの距離は近接しているため
熱飽和部分8bが生じる。このため、吸引口18近傍の
押湯8a部分には相対的に凝固が遅れる未凝固部分8c
が生じる。押湯8a内の凝固速度は吸引口18と押湯8
aとの距離を適宜調節することにより制御することがで
きる。減圧容器2内は加圧されているので、吸引口18
を介して押湯8a内に加圧され、溶湯の未凝固部分から
の押湯効果は急速に増大し長時間持続する。押湯8a内
の加圧効果は吸引口18と押湯8aとの距離を適宜調節
することにより制御することができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の減圧吸引加圧鋳造装置および
方法を図面を用いて詳細に説明する。 (実施例1)図1は、本発明の実施例による減圧吸引鋳
造装置を示す概略断面図である。本発明の減圧吸引加圧
鋳造装置1は、底部に開口部を有する減圧容器2内に、
製品キャビティ7と湯道6と押湯8a等を有する鋳型4
を配設し、減圧容器2に上方から減圧吸引力を作用させ
て、鋳型4下端の溶湯導入部5から溶融金属15を吸引
して製品キャビティ7内および押湯8a内に注湯を行
い、充填完了後、速やかに、図2に示すように減圧容器
2の開口部を密閉容器17で密閉し、前記減圧容器2内
を加圧して、加圧状態で凝固させるものである。具体的
には、減圧吸引加圧鋳造装置1は、減圧容器(例えば、
内径600mm、高さ800mmを有する鉄製の減圧容
器)2を有し、減圧容器2の底部には開口部3が設けら
れている。また、減圧容器2の上部には蓋部材2aが密
封状態で係合しており、蓋部材2aの上端部には減圧フ
レキシブル管9、加圧フレキシブル管10が取り付けら
れている。減圧フレキシブル管9は、減圧制御手段11
を介し、真空ポンプ等の減圧装置12に接続される。加
圧フレキシブル管10は、加圧制御手段13を介し、加
圧タンク等の加圧装置14に接続される。
【0021】減圧容器2内には、砂鋳型4が収容され
る。本実施例では、造型性および通気性の点からけい砂
等を用いた砂鋳型が好適である。例えば、けい砂7号を
材料として造型したコールドボックス型が好ましい。砂
鋳型4には、砂鋳型下面より下方に突出した溶湯導入部
5が設けられており、砂鋳型4は溶湯導入部5が開口部
3より下方に突出するように減圧容器2内に配置され
る。
【0022】砂鋳型4内には、湯道6(例えば、縦20
mm、横30mmの断面を有する)が溶湯導入部5から
垂直方向に延在し、湯道6には製品キャビティ7が連通
している。製品キャビティ7としては、例えば、外径6
0mm、長さ200mm、肉厚2.5mmのパイプ部7
a、外径80mm、幅3mmのフランジ部7bおよびパ
イプ部より突き出た外径10mm、直径20mmのボス
部7cからなる形状の例が挙げられるが、勿論これに限
定されるものではない。製品キャビティ7内面には塗型
剤を0.01〜0.4mm、例えば0.15mmの厚さ
に塗布するのが好ましい。製品キャビティ7の上端に
は、押湯8a(吐かせを兼ねる)および堰8bが設けら
れている。なお、減圧容器2と、蓋部材2aと、鋳型4
との間にはそれぞれパッキン23が配置されており、減
圧容器2の密封状態の低下を防止するとともに、鋳型4
の製品キャビティ7の減圧度が低下するのも防止してい
る。
【0023】減圧側に臨む鋳型4の上面には、前記製品
キャビティ7の押湯8a等に向かって凹部状に切り込ま
れた吸引口18が形成されている。吸引口18は、押湯
8aとの間に介在する鋳砂が鋳造時の機械的、熱的衝撃
によって破砕しない程度に押湯8aに近接しているのが
好ましい。具体的には、吸引口18の底部から押湯8a
までの距離は約15〜30mmとするのが好ましい。ま
た、吸引口18の直径は鋳型4の機械的強度が低下しな
い程度であれば特に限定されず、製品キャビティ7およ
び押湯8a等のサイズに応じて適宜設定することができ
る。具体的例として、50mm程度の吸引口18の直径
とすることができる。減圧容器2の外側面には、減圧吸
引加圧鋳造装置1が溶湯保持炉14内の溶湯15に浸漬
されたことを検知する湯面センサ−19が取り付けられ
ている。
【0024】図1の減圧吸引加圧鋳造装置1により鋳造
を行う場合、まず鋳型4の溶湯導入部5を溶湯保持炉1
4内の溶湯15に浸漬する。減圧容器2の側面に取り付
けた湯面センサー19により、溶湯導入部5の浸漬を感
知すると、減圧容器2の下降を停止し、保護枠24の底
の前記溶湯導入部5近傍が溶解するのを待って、減圧装
置11を作動させて減圧を開始する。減圧容器2内を減
圧すると、吸引口18を介して製品キャビティ7内の空
気は吸引されるので、湯道6内に入った溶湯は製品キャ
ビティ7内に急速に充填される。製品キャビティ7内の
減圧度は吸引口18と押し湯8aとの距離を適宜調節す
ることにより制御することができる。
【0025】溶融金属が急速に充填完了した後、鋳型4
の溶湯導入部5を溶湯保持炉14内の溶湯15から引き
上げる。このとき、湯道6の未凝固部分は溶湯保持炉1
4に流れ落ちるが、製品キャビティ7内の溶融金属は流
れ落ちないように堰が即座に凝固するサイズに調整して
ある。減圧容器2の開口部3を、密閉容器17にて密閉
した後、加圧装置13を作動させて加圧を開始する。
【0026】(実施例2)図4は、図1および図2の減
圧吸引加圧鋳造装置の別の実施例を示す概略断面図であ
り、基本的な構成は図1の減圧吸引加圧鋳造装置と同じ
である。従って、図1および図2と同じ部材には同じ番
号を付してある。図4では、吸引口18と、溶湯最終充
填部としての押し湯8aとの間に、鋳型4本体よりも大
きな通気度を有する多孔性部材16が設けられている。
多孔性部材16は、例えば鋳型より粒度の粗い鋳砂を円
板状、平板状等につき固めて形成したものが好ましい。
この多孔性部材16は、造型時に、鋳型4に一体的に埋
設しても良いが、別体として形成し、鋳造時に鋳型4に
嵌め込んで使用することもできる。
【0027】鋳型4と多孔性部材16との通気度の関係
は、後者が前者よりも大きければ効果はあるが、後者が
前者の約3〜30倍であるのが好ましい。この通気度の
例として、例えば鋳型を珪砂6号として通気度を26
1、多孔性部材16を珪砂5号として通気度を785か
ら、鋳型をジルコンとして通気度を48、多孔性部材1
6を珪砂4号として通気度を1130とるのが好まし
い。ただし、通気度は(JIS)Z2603−1976
「鋳物砂の通気度試験方法」により測定したものであ
る。
【0028】更に本実施例では、加圧装置14に不活性
ガス供給手段25(図示せず)が接続されている。不活
性ガス供給手段25は、不活性ガスを減圧容器2内に圧
入し、減圧容器2の空気をパ−ジして不活性ガスにより
置換する。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガ
ス等が好ましい。
【0029】図4の減圧吸引加圧鋳造装置の操作は、ま
ず減圧容器2内の雰囲気を不活性ガスで置換する工程を
行う。そのためには、先ず減圧装置12を作働させて減
圧容器2内の空気をパージし、不活性ガス供給手段25
および加圧装置14を作動させて減圧容器2内を不活性
ガスで充満する。その後、鋳型4を収納した減圧容器2
を下降させて、溶湯導入部5を溶湯保持炉14内の溶湯
15に浸漬し、保護枠24の底が溶解したのち、減圧し
て溶湯の吸引を行う。
【0030】(実施例3)下記の表1に示す組成の鋳鋼
の溶湯(1560℃)を用いて、図1に示す減圧吸引加
圧鋳造装置により、様々な条件で鋳造実験を行ったとこ
ろ、図6に示すように溶湯中の窒素(N)レベルに応じ
て凝固時の加圧を適正に選んだところ、製品キャビティ
内および押湯内に溶湯が急速に充填され、製品キャビテ
ィ部への押湯効果も高く、肉厚2.0mmまで不廻り、
引け巣、ガス欠陥等の鋳造欠陥のないものが得られた。
【0031】
【表1】化学組成(質量%) Si Mn Cr Mo Fe 0.40 0.70 0.75 1.05 0.20 残部
【0032】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の減圧吸引加
圧鋳造方法および装置によれば、製品キャビティおよび
/または押湯のうち湯道から離れた溶融金属の最終充填
部近傍の鋳型表面に吸引口を形成し、この吸引口を介し
て吸引および加圧するので、溶融金属が急速に製品キャ
ビティおよび押湯に充填され、また、溶湯内のガスの気
泡化を抑制し、更に、押湯の指向性凝固が促進されると
ともに、押湯の未凝固部への加圧効果が一層大きくなり
押湯効果が促進される。このような本発明の減圧吸引加
圧鋳造装置および方法によれば、複雑形状で肉薄な鋳物
を、引け巣、ガス欠陥等の鋳造欠陥がなく、高品質に鋳
造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の減圧吸引加圧鋳造装置を示
す概略断面図である。
【図2】図1の一実施例の減圧吸引加圧鋳造装置の減圧
容器を密閉する状態を示す概略断面図である。
【図3】加圧による効果を説明するための概念図であ
る。
【図4】本発明の別の実施例の減圧吸引加圧鋳造装置を
示す概略断面図である。
【図5】種々の欠陥の発生を大きく左右する溶湯補給の
機構と、圧力分布、そして欠陥の起点となるポロシティ
の生成機構を模式的に示す図である。
【図6】溶湯中の窒素(N)レベルに応じて凝固時の加
圧を適正に選んだ場合に発生する鋳造欠陥を示す図であ
る。
【符号の説明】
1:減圧吸引加圧鋳造装置、2:減圧容器、
3:開口部、4:鋳型、 5:溶湯導入
口、 6:湯道、7:製品キャビティ 8
a:押し湯 8b:熱飽和部分 8c:未凝固部分 9,10:減圧フレキシブル
管、11:減圧制御手段、 12:減圧装置、
13:加圧制御手段、14:加圧装置、
15:溶湯、 16:多孔性部材、17:密
閉容器 18:吸引口 19:湯
面センサー 24:保護枠、 25:不活性ガス供給手
段。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属を減圧吸引により鋳型に注湯
    し、前記溶融金属が少なくとも凝固完了するあいだ加圧
    する減圧吸引加圧鋳造方法であって、(a) 湯道と、
    前記湯道に連通する製品キャビティと、前記製品キャビ
    ティに連通する押湯とを有し、前記製品キャビティおよ
    び/または押湯のうち湯道から離れた溶融金属の最終充
    填部近傍の鋳型表面に吸引口を形成する鋳型を準備する
    工程、(b) 底部に少なくとも1つ以上の開口部を有
    する減圧容器の開口部内に、前記鋳型の湯道が開口する
    ように配設する工程、(c) 前記湯道を溶融金属に浸
    漬した後、前記減圧容器に取り付けた減圧装置により前
    記鋳型内を前記吸引口を介して減圧し、前記製品キャビ
    ティ内および前記押湯内に前記溶融金属を急速に充填す
    る工程、(d) 少なくとも1つ以上の開口部を有する
    密閉部材により、前記減圧容器の開口部を密閉する工
    程、(d) 前記減圧容器に取り付けた加圧装置によ
    り、前記吸引口を介して前記製品キャビティおよび押湯
    を加圧する工程、以上の工程の組み合わせからなること
    を特徴とする減圧吸引加圧鋳造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の減圧吸引加圧鋳造方法に
    おいて、前記吸引口のうち前記製品キャビティおよび/
    または押湯に近接する部分に、鋳型の他の部分より通気
    性が良い材料からなる多孔質部材を設けることを特徴と
    する減圧吸引加圧鋳造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の減圧吸引
    加圧鋳造方法において、前記押湯の溶融金属の最終充填
    部および/または最終凝固部の近傍に、前記鋳型表面と
    前記押湯との距離を他の部分より小さくする吸引口を設
    けることを特徴とする減圧吸引加圧鋳造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3いずれかに記載の
    減圧吸引加圧鋳造方法において、減圧前に前記減圧容器
    内を不活性ガスで置換することを特徴とする減圧吸引加
    圧鋳造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4いずれかに記載の
    減圧吸引加圧鋳造方法において、前記減圧容器内の加圧
    を不活性ガスで行うことを特徴とする減圧吸引加圧鋳造
    方法。
  6. 【請求項6】 溶融金属を減圧吸引により鋳型に注湯
    し、前記溶融金属が少なくとも凝固完了する間加圧する
    減圧吸引加圧鋳造装置であって、(a) 底部に少なく
    とも1つ以上の開口部を有する減圧容器と、(a) 前
    記減圧容器内に配設され、湯道と、前記湯道に連通する
    製品キャビティと、前記製品キャビティに連通する押湯
    とを有し、前記製品キャビティおよび/または押湯のう
    ち前記湯道から離れた溶融金属の最終充填部近傍の鋳型
    表面に吸引口を形成し、前記減圧容器の開口部より前記
    湯道が開口する鋳型と、(c) 前記湯道を溶融金属に
    浸漬した後、前記吸引口を介して減圧し前記製品キャビ
    ティ内および前記押湯内に前記溶融金属を急速に充填す
    る前記減圧容器に取り付けた減圧装置と、(d) 少な
    くとも1つ以上の開口部を有し、前記減圧容器の開口部
    を密閉するする密閉部材と、(d) 前記吸引口を介し
    て前記製品キャビティおよび押湯を加圧する前記減圧容
    器に取り付けた加圧装置と、からなることを特徴とする
    減圧吸引加圧鋳造装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の減圧吸引加圧鋳造装置に
    おいて、前記鋳型は、前記吸引口のうち前記製品キャビ
    ティおよび/または押湯に近接する部分に、鋳型の他の
    部分より通気性が良い材料からなる多孔質部材を有する
    ことを特徴とする減圧吸引加圧鋳造装置。
  8. 【請求項8】 請求項6または請求項7記載の減圧吸引
    加圧鋳造装置において、前記鋳型は、押湯の溶融金属の
    最終充填部および/または最終凝固部の近傍に、前記鋳
    型表面と前記押湯との距離を他の部分より小さくする吸
    引口を形成することを特徴とする減圧吸引加圧鋳造装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項6乃至請求項8いずれかに記載の
    減圧吸引加圧鋳造装置において、前記減圧装置は、減圧
    前に前記減圧容器内を不活性ガスでの置換手段を有する
    ことを特徴とする減圧吸引加圧鋳造装置。
  10. 【請求項10】 請求項6乃至請求項9いずれかに記載
    の減圧吸引加圧鋳造装置において、前記加圧装置は、減
    圧容器内の不活性ガスでの加圧手段を有することを特徴
    とする減圧吸引加圧鋳造装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001105121A (ja) * 1999-09-30 2001-04-17 Aisin Takaoka Ltd 石膏鋳型を用いた鋳造方法及び鋳造装置
JP2016068113A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 日立金属株式会社 鋳造物品の製造方法

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