JPH0874331A - 部材の継ぎ合わせ構造並びに接合構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は大規模木造建築物の柱、梁等に用い
られる集成材等の部材の継ぎ合わせ部並びに接合部の強
度が著しく向上する構造に係るものである。 【構成】 部材の継ぎ合わせ部において、仕口はフィン
ガージョイント４により継ぎ合わせされ、更にフィンガ
ー面５とフラット面６とのいずれか一方または双方に対
して補強板３をフィンガージョイント３２により接合す
ることを特徴とする。更に部材を組み合わせて成る構造
体ユニットにおいて、部材の接合部の全部または一部は
フィンガージョイント２により接合されることを特徴と
する。更にまた部材を組み合わせて成る構造体ユニット
における部材の接合部の全部または一部はフィンガージ
ョイント２により接合され、このフィンガージョイント
２におけるフィンガー面５に対して補強板３をフィンガ
ージョイント３２により接合することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の目的】

【産業上の利用分野】本発明は大規模木造建築物の柱、
梁等に用いられる集成材等の部材の継ぎ合わせ部並びに
接合部の強度が著しく向上する構造に係るものである。
因みにこの明細書中において、継ぎ合わせとは部材の端
部同士を合わせることをいい、一方接合とは部材の側周
部と端部とを合わせることをいう。

【０００２】

【発明の背景】近時、木構造振興の気運の高まりは、体
育館等のスポーツ施設、コンサートホール等の音楽施設
等の大規模建築物の分野にも及んでいる。そしてこれら
の大規模木造建築物に適用し得る大断面材、長い直通材
あるいは湾曲材として、集成材が用いられている。前記
集成材は、スポット用に対応できるようにあらかじめ生
産しておく直材を中心としたストックビームを加工（プ
レカット）したものを継ぎ合わせたり接合して用いる。

【０００３】この継ぎ合わせに際しては従来から図７に
示すように、継ぎ合わせ部をラージフィンガージョイン
トにより継ぎ合わせる方法が採られている。このような
フィンガージョイント４は、垂直方向への応力Ｆｂに対
する耐力性が高いものの、水平方向への応力Ｆｈには意
外と弱く、更に継ぎ合わせ面を引き離そうとする方向に
作用する張力Ｆｔには弱いという欠点があった。従っ
て、梁等の直通部における部材の継ぎ合わせ部、あるい
はトラス構造、ラーメン構造等の構造体ユニットにおけ
る部材の接合部の一部または全部には従来、一例として
図８に示すような金属製の接合部材を用いてボルト締め
を行っていたが、このような工法ではボルト孔による断
面欠損による耐力低下があり、外観も損なわれ、更に火
災時には金属部分が軟化し耐力低下するとともに、高温
になるため周囲の木材を炭化させてしまうという問題点
があった。このため垂直方向、水平方向ともに高耐力性
を有するとともに、外観を損なわず、更に防火性も兼ね
備えた部材の継ぎ合わせ構造並びに接合構造の出現が望
まれていた。

【０００４】

【開発を試みた技術的事項】本発明はこのような背景を
考慮しなされたものであって、部材の継ぎ合わせ部及び
接合部の強度を著しく向上することのできる、新規な部
材の継ぎ合わせ構造並びに接合構造の開発を試みたもの
である。

【０００５】

【発明の構成】

【目的達成の手段】請求項１記載の部材の継ぎ合わせ構
造は、部材の継ぎ合わせ部において、仕口はフィンガー
ジョイントにより継ぎ合わせされ、更にフィンガー面と
フラット面とのいずれか一方または双方に対して補強板
をフィンガージョイントにより接合することを特徴とす
る。

【０００６】また請求項２記載の部材の接合構造は、部
材を組み合わせて成る構造体ユニットにおいて、部材の
接合部の全部または一部はフィンガージョイントにより
接合されることを特徴とする。

【０００７】更にまた請求項３記載の部材の接合構造
は、部材を組み合わせて成る構造体ユニットにおける部
材の接合部の全部または一部はフィンガージョイントに
より接合され、このフィンガージョイントにおけるフィ
ンガー面に対して補強板をフィンガージョイントにより
接合することを特徴とする。そしてこれら手段をもって
前記目的を達成しようというものである。

【０００８】

【発明の作用】請求項１に記載された発明によれば、仕
口がフィンガージョイントにより継ぎ合わされた部材の
フィンガー面とフラット面とのいずれか一方または双方
に対して補強板をフィンガージョイントにより接合する
ので、あらゆる方向への応力に対する耐力が増し、更に
接合面を引き離そうとする方向に作用する張力に対する
耐力が増す。

【０００９】また請求項２に記載された発明によれば、
部材を組み合わせて成る構造体ユニットにおいて、部材
の接合部の全部または一部はフィンガージョイントによ
り接合されるので、部材同士の接合力が増す。

【００１０】更にまた請求項３に記載された発明によれ
ば、部材を組み合わせて成る構造体ユニットにおける部
材の接合部の全部または一部はフィンガージョイントに
より接合され、このフィンガージョイントにおけるフィ
ンガー面に対して補強板をフィンガージョイントにより
接合するので、部材同士の接合力がより一層増す。

【００１１】

【実施例】

（Ｉ）請求項１に対応する実施例 以下本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明す
る。図１中符号１で示すものが本発明の適用対象である
部材の一例である集成材である。このものは製材挽板を
接着剤Ｂで積層接着してブロック状にしたものであり、
スポット用に対応できるようにあらかじめ直材を中心と
したストックビームとして生産しておく。そしてこれを
自動仕口加工盤により加工（プレカット）したものを継
ぎ合わせて大断面材、長い直通材あるいは湾曲材を得
る。

【００１２】まず請求項１に定義したように仕口がフィ
ンガージョイント４により継ぎ合わされた集成材１の継
ぎ合わせ部において、フィンガー単体４１が見える面で
あるフィンガー面５と、フィンガー単体４１が見えない
面であるフラット面６とのいずれか一方または双方に対
して補強板３をフィンガージョイント３２により継ぎ合
わせる継ぎ合わせ構造について説明する。

【００１３】図１、２に示すように補強板３及びフィン
ガー面５もしくはフラット面６における集成材１の継ぎ
合わせ部には、Ｖ形波形状のフィンガー単体３１が一例
として１０ｍｍピッチで刻み込んであり、これらを互い
に噛み合うように接合する。そして接合面に対して接着
材Ｂを塗布した後、適宜の手段により接合面全域に一様
な圧がかかるようにして、接着剤Ｂの養成時間だけ継続
して保つ。このようにして集成材１と補強板３とに設け
られた個々のフィンガー単体３１とが互いに噛み合うた
め、接合面を引き離そうとする方向に作用する張力Ｆｔ
及び水平方向の応力Ｆｈに対しての耐力性が極めて高く
なる。更に図３に示すようにフィンガー面５及びフラッ
ト面６における集成材１の継ぎ合わせ部分を補強板３に
よって覆えば、水平方向の応力Ｆｈ、垂直方向の応力Ｆ
ｂ等あらゆる方向に対しての耐力性が高まる。

【００１４】（II) 請求項２に対応する実施例 次に請求項２に定義するとともに図４〜６に示すよう
に、部材を組み合わせて成るトラス構造、もしくはラー
メン構造等の構造体ユニットにおいて、部材の接合部の
全部または一部がフィンガージョイント２により接合さ
れる接合構造について説明する。

【００１５】まず図４、５に示すトラス構造体について
説明する。このようなトラス構造体における部材の接合
はメリコミやスベリがないように行うことが要求されて
いる。このためトラス構造体における水平材に溝を切り
込み、ここにフィンガー単体２１を刻み込む。また斜材
に対しては、接合状態で水平になるようにフィンガー単
体２１を刻み込む。そして双方のフィンガー単体２１に
接着剤Ｂを塗布して接合するのである。因みにフィンガ
ー単体２１は一例として１０ｍｍピッチ程度のものを適
用するが、これに限られない。また図５（ａ）（ｂ）
（ｃ）に示すように、斜材と水平材との間にフィンガー
単体２１をＶ形波形状に刻み込んだ金具７を設け、この
金具７に斜材を一例としてボルトで接合し、水平材及び
金具７双方のフィンガー単体２１を一例として接着剤Ｂ
により接合し、トラス構造体を構成してもよい。以上ト
ラス構造体における実施例を示したが、もちろん図６に
示すようなラーメン構造体に適用することもできる。

【００１６】（III)請求項３に対応する実施例 次に請求項３に定義するとともに図５に示すように、部
材を組み合わせて成るトラス構造体、もしくはラーメン
構造体等の構造体ユニットにおいて、部材の接合部の全
部または一部はフィンガージョイント２により接合さ
れ、フィンガー面５に対して補強板３をフィンガージョ
イント３２により接合する接合構造について説明する。
この構造は、請求項２において定義した構造に対して補
強板３を設ける構造であって、フィンガー単体２１が見
える面であるフィンガー面５に対してフィンガー単体３
１を刻み込み、ここに補強板３を接着剤Ｂにより接合す
るものである。

【００１７】(IV) 他の改変例 前記した実施例においては接着剤Ｂによる接合を行った
が、もちろん図６に示すように一方の部材の接合面に対
してナットを埋め込みこれを固定するとともに、もう一
方の部材の接合部に対して穴を設け、ここからボルトを
挿入し、ボルト及びナットの係合による接合を行って
も、あらゆる方向への応力、更に接合面を引き離そうと
する方向に作用する張力Ｆｔに対する耐力性を高めるこ
とができる。

【００１８】

【発明の効果】本発明は以上述べたような構成を有する
ものであり、これによって以下のような効果を発揮す
る。請求項１に記載された発明によれば、仕口がフィン
ガージョイント４により継ぎ合わされた部材のフィンガ
ー面５とフラット面６とのいずれか一方または双方に対
して補強板３をフィンガージョイント３２により接合す
るので、あらゆる方向への応力に対する耐力が増し、更
に接合面を引き離そうとする方向に作用する張力に対す
る耐力が増す。

【００１９】また請求項２に記載された発明によれば、
部材を組み合わせて成る構造体ユニットにおいて、部材
の接合部の全部または一部はフィンガージョイント２に
より接合されるので、部材同士の接合力が増す。

【００２０】更にまた請求項３に記載された発明によれ
ば、部材を組み合わせて成る構造体ユニットにおける部
材の接合部の全部または一部はフィンガージョイント２
により接合され、このフィンガージョイント２における
フィンガー面５に対して補強板３をフィンガージョイン
ト３２により接合するので、部材同士の接合力がより一
層増す。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の部材の継ぎ合わせ構造を示す斜視図で
ある。

【図２】本発明の部材の継ぎ合わせ構造の仕口の加工状
態を示す斜視図である。

【図３】補強板の接合状態を示す平面図である。

【図４】トラス構造体に対する本発明の部材の接合構造
を示す斜視図である。

【図５】同上、補強板及び金具の接合状態を示す平面図
及び斜視図である。

【図６】接合部にボルトを用いた実施例を示す斜視図で
ある。

【図７】従来より行われていた木質構造体の継ぎ合わせ
構造を示す斜視図である。

【図８】同上金属部材を用いた木質構造体の接合構造を
示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 集成材 ２ フィンガージョイント ３ 補強板 ４ フィンガージョイント ５ フィンガー面 ６ フラット面 ７ 金具 ２１ フィンガー単体 ３１ フィンガー単体 ３２ フィンガージョイント ４１ フィンガー単体 Ｂ 接着剤 Ｆｂ 応力 Ｆｈ 応力 Ｆｔ 張力

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 部材の継ぎ合わせ部において、仕口はフ
   ィンガージョイントにより継ぎ合わせされ、更にフィン
   ガー面とフラット面とのいずれか一方または双方に対し
   て補強板をフィンガージョイントにより接合することを
   特徴とする、部材の継ぎ合わせ構造。
2. 【請求項２】 部材を組み合わせて成る構造体ユニット
   において、部材の接合部の全部または一部はフィンガー
   ジョイントにより接合されることを特徴とする、部材の
   接合構造。
3. 【請求項３】 部材を組み合わせて成る構造体ユニット
   における部材の接合部の全部または一部はフィンガージ
   ョイントにより接合され、このフィンガージョイントに
   おけるフィンガー面に対して補強板をフィンガージョイ
   ントにより接合することを特徴とする、部材の接合構
   造。