JPH0831642A - 面実装型空心コイル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コイルの搬送や実装が容易で、回路基板上の
位置に安定して取り付けることができ、小型で実装面積
が小さく、低コストの面実装型空心コイルを提供するこ
とを目的とするものである。 【構成】 本発明の面実装型空心コイルは、導電線１０
を複数回巻回して導電線１０上に入出力端部を複数設
け、いずれの入出力端部もコイル巻回部１１の外周側面
に形成した複数の平面上に設けられていることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、一般の電子機器や通信
機器などの回路基板に装着される面実装型空心コイルに
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年の各種情報通信システムの発達には
めざましいものがあり、これと歩調を一にして情報端末
機器の小型軽量、高性能化に対するニーズが高まってき
ている。このため電子部品の回路基板への実装はますま
す高密度になり、電子部品の小型化が強く要望されてき
ている。電子部品の小型化は多くの場合各構成部材の小
型化と同時にリード線をできるだけ無くすという方向
（以下リードレス化という）で進んでいる。電子回路の
重要な構成要素の１つであるインダクタンス部品として
のコイルは導電線を所定の数だけ巻回するもので、その
構造から小型化及びリードレス化が難しい電子部品の１
つである。さらに小型化されたとしてもリードレス型コ
イル（以下チップ型コイルという）は予め指定された回
路基板上の位置に安定して取り付けることが難しく、回
路基板上へのコイル部品の実装を煩雑なものとしてい
た。

【０００３】そこで最近、こうした問題を解決するため
に次のような技術が提案（実開平４−５２７１４号公
報）されている。この技術について図５（ａ）、図５
（ｂ）及び図６を参照しながら説明する。すなわち図５
（ａ）は従来のチップ型空心コイルの側面図で、図５
（ｂ）は従来のチップ型空心コイルの正面図で、図６は
従来のチップ型空心コイルの回路基板への載置図であ
る。図５（ａ）、図５（ｂ）に示すように導電線１を円
筒状に巻回してコイル巻回部２を形成し、チップ型空心
コイルを得る。このとき入力端子４の入出力端部４ａ、
４ｂが、いわば端部の面内に含まれるような形でコイル
巻回部２の外周面から引き出されている。このチップ型
空心コイルは図６に示したように回路基板５の表面に形
成された配線回路６に載置されハンダ７で導通接続され
る。この技術によるとチップ型空心コイルの巻き始めと
巻き終わりの導電線がチップ型空心コイルの両端におい
て大きく脚を広げた形状となるため、コイル取り付け面
の投影面積が大きくなってチップ型空心コイルが取り付
け面上に安定して自立し、チップ型空心コイルの回路基
板上への座りを向上させることができるものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらこの実開
平４−５２７１４号公報に記載された従来のチップ型空
心コイルは、コイルの回路基板上への座りを向上させる
ものの、導電線をコイルの両端で脚を広げるため回路基
板上のコイルの実装面積を余分に必要とし、部品実装密
度が低下するし、実装作業でのコイルの搬送においても
脚がじゃまになって支障がでるという問題がある。また
導電線を折り曲げる作業が必要であるから、コイルの製
造コストを引き上げることにもなっていた。

【０００５】そこで本発明は前記従来の問題点を解決す
るもので、コイルの搬送や実装が容易で、回路基板上の
位置に安定して取り付けることができ、小型で実装面積
が小さく、低コストの面実装型空心コイルを提供するこ
とを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の面実装型空心コイルは、導電線を複数回巻回
して導電線上に入出力端部を複数設け、いずれの入出力
端部もコイル巻回部の外周側面に形成した平面上に設け
ていることを特徴とする。

【０００７】さらに、平面を複数形成し、そのそれぞれ
に複数の入出力端部を設けるのが望ましい。

【０００８】さらに、面実装型空心コイルのインダクタ
ンスが、入出力端部を設ける位置によって選択できるこ
とが好ましい。

【０００９】

【作用】本発明の面実装型空心コイルはコイル巻回部の
外周側面に平面を形成し、この平面内に入出力端部を設
けているから、実装面積を小さくでき、コイルの搬送や
実装が容易で、しかも回路基板上への座りを安定にでき
る。

【００１０】さらに、面実装型空心コイルの外周に、入
出力端部を設けた複数の平面を備えているから、平面の
方向性に煩わされることなくいずれの面が回路基板上に
載置されたとしてもそのまま安定して実装することがで
きる。

【００１１】さらに、面実装型空心コイルの平面に設け
られた入出力端部の位置を変えることでインダクタンス
を任意に選べるから、外形寸法を変えないで多種類の面
実装型空心コイルを得ることができる。

【００１２】

【実施例】以下本発明の実施例の詳細を図面に基づいて
説明する。図１は本発明の一実施例における面実装型空
心コイルの斜視図である。図１において、１０は導電
線、１０ａは導電線１０の巻き始め、１０ｂは巻き終わ
りであり、１１はコイル巻回部、１２ａ、１２ｂは第１
の入出力端部である。ポリウレタンなどの絶縁物で被覆
された線径０．３ミリの導電線１０を、その一部に平面
を有する巻枠を治具として複数回密に巻回してコイル巻
回部１１は形成されている。したがってコイル巻回部１
１には図１に示すような平面が外周側部に形成されてい
る。このとき導電線１０の巻き始め１０ａは面実装型空
心コイルの端部の面内に収納し、面外にはみ出さないよ
うにしてある。図１には図示していないが導電線１０の
巻き終わり１０ｂも巻き始め１０ａと同様に端部の面内
に収納されているとともに、コイル巻回部１１の外周か
ら外へ突出しないように構成されている。ここでコイル
巻回部１１の外周の一部を平面にするには、この実施例
で用いた巻枠を用いる方法以外に導電線１０を円筒状に
巻回して後に成形加工する方法などがあり、いずれの方
法でも構わない。またこの実施例ではコイル巻回部１１
の上下に２つの平面を形成しているが、回路基板上へ載
置するため平面が１つ形成されていれば足りるものであ
る。つぎにコイル巻回部１１の回路基板上へ載置する側
の平面に含まれる導電線１０の一部にレーザー光線を照
射して被覆絶縁物を溶融除去し、長さが０．５ミリの導
体部を露出させ、これを第１の入出力端部１２ａ、１２
ｂとする。ここではレーザー光線を照射する方法を用い
ているが、これ以外にハンダごてなどのような熱源を直
接接触させて被覆絶縁物を溶融除去する方法や、回転砥
石によって機械的に被覆絶縁物を除去する方法もある。
また、ここではコイル巻回部１１を形成後に第１の入出
力端部１２ａ、１２ｂを設けているが、予め導電線１０
に第１の入出力端部１２ａ、１２ｂを設けて後に巻回し
てコイル巻回部１１を形成する方法もある。導電線１０
の線径や巻回数、コイル巻回部１１の寸法形状や製造コ
ストなどを含めて最適な方法を選べばよく特に限定する
ものではない。ここで得られた面実装型空心コイルをパ
ーツフィーダで供給し、部品実装機によって連続的にハ
ンダペーストを印刷した回路基板上に載置し、連続移動
方式の熱風溶融処理法（リフロー）よって配線回路にハ
ンダ付けすると、連続的にこの面実装空心コイルを実装
することができる。一例としてインダクタンスが１２ｎ
Ｈで８００ＭＨｚ帯域用の６回巻き面実装型空心コイル
を１．５ミリ×１．５ミリ×３ミリの大きさとすること
ができた。本実施例による面実装型空心コイルは導電線
１０の巻き始め１０ａおよび巻き終わり１０ｂが端部の
面内に収納されて外部へ突出していないので、搬送経路
での引っかかりによる詰まりが無くパーツフィーダでの
部品実装機への搬送が円滑にでき実装が容易である。ま
たコイル巻回部１１の外周側面に平面を設けているから
安定して回路基板上に載置でき、リフロー炉内の移動中
も座りが安定してハンダ付け歩留まりが向上する効果が
ある。

【００１３】さらに本発明の他の実施例における面実装
型空心コイルについて説明する。図２は本発明の他の実
施例における面実装型空心コイルの斜視図である。図３
は本発明の別の実施例における面実装型空心コイルの載
置図である。図２、図３において１０は導電線、１０ａ
は導電線１０の巻き始め、１０ｂは巻き終わりであり１
１はコイル巻回部である。１２ａ、１２ｂはコイル巻回
部１１の外周側部に設けた平面に形成した第１の入出力
端部で、１２′ａ、１２′ｂは第１の入出力端部１２
ａ、１２ｂが存在する平面と対向させた平面に形成した
第２の入出力端部である。導電線１０の巻き始め１０ａ
および巻き終わり１０ｂが端部の面内に収納され、コイ
ル巻回部１１の外周面から外部へ突出していないのは図
１の実施例と同じであるが、この実施例においてはコイ
ル巻回部１１の外周側部に平面が複数、ここでは２つ設
けられており、第１の入出力端部１２ａ、１２ｂ、第２
の入出力端部１２′ａ、１２′ｂが巻き始め１０ａ、巻
き終わり１０ｂの近傍で導体部を露出させて形成されて
いる。面実装型空心コイルの形成方法および第１の入出
力端部１２ａ、１２ｂ、第２の入出力端部１２′ａ、１
２′ｂを設ける方法については図１の実施例について説
明したものと同様である。図１の実施例と同様にインダ
クタンスが１２ｎＨで、８００ＭＨｚ帯域用の６回巻き
面実装型空心コイルを１．５ミリ×１．５ミリ×３ミリ
の大きさとすることができた。図３において１３は回路
基板１５の表面に設けられている配線回路であって、ハ
ンダ１４によって面実装型空心コイルの入出力端部１２
ａ、１２ｂに接続されている。ハンダ１４は面実装型空
心コイルの回路への接続とともに回路基板１５への装着
を行うものである。ところでこの回路基板１５に面実装
型空心コイルを高速で連続的に載置するためにパーツフ
ィーダやエンボス方式によるテーピング供給を行うのが
適当である。しかしこれを可能にするには面実装型空心
コイルは形状が単純であることに加え、載置方向に方向
性がなく回路基板１５をどのような方向に載置してもそ
のまま装着できることが必要である。この実施例の面実
装型空心コイルにおいては対向する２つの平面を設け、
それぞれの面に第１の入出力端部１２ａ、１２ｂおよび
第２の入出力端部１２′ａ、１２′ｂを設けているの
で、どちらの面が回路基板１５上に載置されても平面の
方向性に注意を払う必要が無く、ハンダ１４で配線回路
１３に導通接続することができる。

【００１４】つぎに外観寸法形状を同じにしたままイン
ダクタンスの大きさを変えた面実装型空心コイルについ
て図４で説明する。図４は本発明のさらに別の実施例に
おける面実装型空心コイルの斜視図である。図２と共通
する符号の説明は重複するからここでは省略する。図４
において導電線１０の巻き始め１０ａおよび巻き終わり
１０ｂが端部の面内に収納されコイル巻回部１１の外周
へ突出する部分を持たず、面実装型空心コイルの外周側
部の回路基板へ載置する側と対向する側にも平面を設け
ているのは図２、図３の実施例と同じである。しかし図
２、図３の実施例と異なって巻き始め１０ａ、巻き終わ
り１０ｂの近傍に入出力端部を設けるのではなく、導電
線１０を何回か巻回した後その位置で導電線１０の一部
にそれぞれ第１の入出力端部１２ａ、１２ｂおよび第２
の入出力端部１２′ａ、１２′ｂを設ける。本実施例で
は２巻き目と５巻き目に入出力端部を設けている。ここ
でコイル巻回部１１の形成方法および第１の入出力端部
１２ａ、１２ｂおよび第２の入出力端部１２′ａ、１
２′ｂを設ける方法は図３、図４の実施例で説明した通
りである。この実施例の場合面実装型空心コイルの大き
さは変化させずにインダクタンスを変化させることがで
きる。例えば図４に示すように６回巻きした面実装型空
心コイルで、８００ＭＨｚでのインダクタンスが７ｎＨ
で１．５ミリ×１．５ミリ×３ミリ程度の大きさとなっ
た。このようにこの実施例によれば面実装型空心コイル
の外観形状を変えることなく、第１の入出力端部１２
ａ、１２ｂおよび第２の入出力端部１２′ａ、１２′ｂ
の位置を変えるだけで任意にインダクタンスの大きさを
選ぶことができるものである。この外観形状を変えない
という点は、多種類の面実装型空心コイルを搬送方法や
設備、治具を変更することなく回路基板１５上に載置で
きるということであり、きわめて実装に有効なものであ
る。

【００１５】

【発明の効果】以上の実施例から明らかなように本発明
によれば、コイル巻回部の外周側面に平面を形成し、こ
の平面内に入出力端部を設けているから、実装面積を小
さくでき、コイルの搬送や実装が容易で、しかも回路基
板上への座りを安定にできる。

【００１６】さらに、面実装型空心コイルの外周に、入
出力端部を設けた複数の平面を備えているから、実装に
際して平面の方向性に注意を払う必要が無くなる。

【００１７】さらに、面実装型空心コイルの平面に設け
られた入出力端部の位置を変えることでインダクタンス
を任意に選べるから、多種類の面実装型空心コイルを搬
送方法や設備、治具を変更することなく回路基板上に載
置できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における面実装型空心コイル
の斜視図

【図２】本発明の他の実施例における面実装型空心コイ
ルの斜視図

【図３】本発明の別の実施例における面実装型空心コイ
ルの載置図

【図４】本発明のさらに別の実施例における面実装型空
心コイルの斜視図

【図５】（ａ）従来のチップ型空心コイルの側面図 （ｂ）従来のチップ型空心コイルの正面図

【図６】従来のチップ型空心コイルの回路基板への載置
図

【符号の説明】

１、１０ 導電線 ２、１１ コイル巻回部 ４ 入出力端子 ４ａ、４ｂ 入出力端部 ５、１５ 回路基板 ６、１３ 配線回路 ７、１４ ハンダ １０ａ 巻き始め １０ｂ 巻き終わり １２ａ、１２ｂ 第１の入出力端部 １２′ａ、１２′ｂ 第２の入出力端部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】導電線を複数回巻回して形成したコイル巻
   回部と、前記導電線上に複数設けた入出力端部を備えて
   おり、前記コイル巻回部の外周側面には平面を形成する
   とともに前記入出力端部のいずれもを前記平面上に設け
   ていることを特徴とする面実装型空心コイル。
2. 【請求項２】前記平面を複数形成するとともに、そのそ
   れぞれに複数の入出力端部を設けたことを特徴とする請
   求項１記載の面実装型空心コイル。
3. 【請求項３】前記面実装型空心コイルのインダクタンス
   が、前記入出力端部を設ける位置によって選択されるこ
   とを特徴とする請求項１または２記載の面実装型空心コ
   イル。