JPH08298930A - 渋味を低減した茶抽出物または茶飲料とその製造方法 - Google Patents

渋味を低減した茶抽出物または茶飲料とその製造方法

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JPH08298930A
JPH08298930A JP7135701A JP13570195A JPH08298930A JP H08298930 A JPH08298930 A JP H08298930A JP 7135701 A JP7135701 A JP 7135701A JP 13570195 A JP13570195 A JP 13570195A JP H08298930 A JPH08298930 A JP H08298930A
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Fumio Nanjo
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Masahiko Hara
征彦 原
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隆彦 万代
Takashi Shibuya
孝 渋谷
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 渋みを低減した茶抽出物または茶飲料、並び
に茶抽出物または茶飲料をデキストリン,サイクロデキ
ストリンおよび澱粉のうちの少なくとも1種と混ぜ、こ
れにサイクロマルトデキストリングルカノトランスフェ
ラーゼを作用させることを特徴とする渋みを低減した茶
抽出物または茶飲料の製造方法および渋みを低減した茶
抽出物または茶飲料を含有する飲食物。 【効果】 本発明の渋みを低減した茶抽出物および茶飲
料は、生理活性成分であるポリフェノール類を含んだま
まで、従来の茶飲料や茶抽出物が持つ強い渋みが効果的
に改善されている。そのため、このものは飲食物のみな
らず、嗜好品,化粧品,医薬部外品,医薬品などの広い
分野に応用可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、渋味を低減した茶抽出
物または茶飲料とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、缶飲料やインスタント飲料をはじ
めとして茶葉を原料として含む食品が大量に販売されて
いる。また、一方で茶の渋み成分が、コレステロール上
昇抑制作用(特公平2−44449号公報)、抗菌作用
(特開平2−276562号公報)、抗酸化作用(特公
平1−44234号公報)、抗腫瘍作用(特開昭60−
190719号公報)、血圧上昇抑制作用および酵素活
性阻害作用(特開平3−133928号公報)などの生
理活性作用を持つことが知られている。茶の渋み成分の
主成分であるポリフェノール類としては、緑茶や烏龍茶
ではエピガロカテキンガレートやエピガロカテキン,エ
ピカテキンガレートが、紅茶ではこれらの他に、さらに
テアルビジンやテアフラビンが知られている。しかしな
がら、茶はこれらのポリフェノール類の持つ特徴的な渋
みのために、いわゆる茶として飲用されている他には、
数種類の食品原料として使用されているのみであり,食
品原料としての使用用途は限定されている。
【0003】食品原料としての用途開発のため、あるい
は茶飲料の呈味性改善のために、茶の渋みを低下させる
試みがなされており、これまでに提案された方法として
は、ポリビニルピロリドンで茶抽出液中の渋み成分を取
り除く方法(特開平1−218550号公報)、原茶製
造時にアルコール水溶液で処理する方法(特開昭60−
115170号公報)、サイクロデキストリンやグルタ
ミン酸塩を添加する方法(特開昭61−271969号
公報)、さらにはサポニンを配糖化することによって呈
味性を改善する方法(特開昭63−39597号公報、
特公平3−68664号公報)が挙げられる。しかしな
がら、ポリビニルピロリドンの使用では、茶の生理活性
成分であるポリフェノール類が除去されてしまう。ま
た、原茶製造時の処理方法は、該処理が可能な機械でし
か目的とする茶の製造ができないという課題がある。さ
らに、サイクロデキストリンやグルタミン酸塩の使用
は、一時的なマスキング効果しか持たない。また、茶サ
ポニンは茶の渋み成分の主成分ではないため、サポニン
を配糖化するだけで茶抽出物や茶飲料の渋みの低減を図
ることは困難である。従って、茶の特性を生かした上で
渋みを低減し、さらに茶飲料や茶抽出物の用途を拡大す
ることは従来の技術では困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、茶に
含まれる生理活性成分を含んだままで、渋みを低減した
茶抽出物または茶飲料を提供することである。さらに、
渋みを低減した茶抽出物または茶飲料を飲食物をはじめ
として、化粧品,医薬品などの広い分野で十分に活用で
きるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは茶抽出物ま
たは茶飲料の渋みの低減に関して、鋭意研究を重ねた結
果、茶抽出物または茶飲料をデキストリン,サイクロデ
キストリン,澱粉もしくはこれらの混合物と混ぜ、これ
にサイクロマルトデキストリングルカノトランスフェラ
ーゼを作用させることによって、渋みを低減した茶抽出
物または茶飲料が得られることを見いだした。
【0006】本発明は、渋みを低減した茶抽出物または
茶飲料、より具体的にはポリフェノール類を配糖化する
ことにより渋みを低減した茶抽出物または茶飲料に関
し、さらに茶抽出物または茶飲料をデキストリン,サイ
クロデキストリンおよび澱粉のうちの少なくとも1種と
混ぜ、これにサイクロマルトデキストリングルカノトラ
ンスフェラーゼを作用させることを特徴とする渋みを低
減した茶抽出物または茶飲料の製造方法に関する。ま
た、本発明は、上記の渋みを低減した茶抽出物または茶
飲料を含有する飲食物に関する。
【0007】以下に、本発明を詳しく説明する。本発明
に用いる茶抽出物や茶飲料は制限がなく、既知の方法に
よって得られるものを任意に使用できる。茶飲料の一般
的な製造方法は、緑茶,烏龍茶,紅茶,プアール茶など
の茶葉を原料として抽出を行い、濾過、遠心沈殿などに
より清澄化を行った後に、香料,添加物やビタミンCな
どを適宜添加して味を整え、さらに加熱殺菌を行い茶飲
料にする方法である。次に、茶抽出物の製造方法は、茶
飲料と同様、あるいはさらに濃い濃度で抽出を行った
後、清澄化等の処理を行ってから濃縮してエキスにする
方法、あるいは該エキスに凍結乾燥,噴霧乾燥等の乾燥
手段を適用して粉末にする方法である。
【0008】茶抽出物または茶飲料の渋みを低減する具
体的な方法としては、上記の茶抽出物(粉末の場合は液
化する)または茶飲料に、デキストリン,サイクロデキ
ストリン,澱粉あるいはこれらの混合物を添加し、これ
にサイクロマルトデキストリングルカノトランスフェラ
ーゼを作用させる方法を用いることができる。サイクロ
マルトデキストリングルカノトランスフェラーゼとして
は、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus ste
arothermophilus)由来の酵素がポリフェノール類への配
糖化能が高く、渋みをよく低減できるので、有利に利用
できる。
【0009】酵素反応の条件としては、反応のpHを3
〜9、好ましくは5〜8、反応温度を20〜80℃、好
ましくは30〜70℃とし、基質濃度としてポリフェノ
ール類を0.1〜20%(w/w)、好ましくは5〜1
5%(w/w)、デキストリン,サイクロデキストリン
および澱粉のうちの少なくとも1種を1〜40%(w/
w)、好ましくは2〜35%(w/w)含む反応液を用
いるのがよい。酵素量や反応時間は、上記反応条件に合
わせ適宜に設定することができる。本発明の方法には、
上記のように、茶抽出物や茶飲料に直接酵素を作用させ
て渋みを低減させる方法だけでなく、茶抽出物や茶飲料
の製造工程の途中で上記の酵素反応を行うことによっ
て、渋みを低減した茶抽出物や茶飲料を製造する方法も
包含される。
【0010】以上述べたようにして得られる茶抽出物ま
たは茶飲料は、従来の茶抽出物や茶飲料と比べて苦味、
渋味、えぐみや収斂性などの嫌味がなく、そのままで渋
みを低減した茶飲料等として飲用に供することができる
だけでなく、他の素材と共に含有せしめて飲食物として
用いる他、嗜好品,医薬部外品,化粧品,医薬品などの
広い分野に自由に用いることができる。また、本発明の
渋みを低減した茶抽出物または茶飲料に含まれる配糖化
されたポリフェノール類は、これらを摂取したとき、体
内のα−アミラーゼ,α−グルコシダーゼなどの作用に
より容易に元のポリフェノール類に戻ることから、その
機能性の低下を懸念することなく、茶本来の例えば、コ
レステロール上昇抑制作用,生体内抗酸化作用などの生
理活性機能を発揮できるため、健康増進食品,健康維持
食品,健康回復食品などとして有利に利用することがで
きる。本発明の渋みを低減させた茶抽出物または茶飲料
の利用分野を例示すれば、調味料,和菓子,洋菓子,氷
菓子,シロップ類,果実加工品,野菜加工品,漬物類,
畜肉製品,魚肉製品,珍味類,缶・ビン詰類,酒類,清
涼飲料,即席飲食物などの食品類、タバコ,練り歯磨
き,口紅,リップクリーム,内服薬,トローチ,肝油ド
ロップ,口中清涼剤,口中香錠,うがい薬などの各種固
形状,ペースト状,液状の嗜好品、化粧品、医薬品など
である。
【0011】
【実施例】以下に、本発明を実施例により説明するが、
本発明はかかる説明によって何ら制限されるものではな
い。 実施例1 紅茶濃縮エキス(三井農林株式会社製)60gを熱水1
590gで希釈して飲用濃度にした。この希釈液135
0gに対してデキストリン(商品名:パインデックス#
1、松谷化学株式会社製)50g(希釈紅茶エキスのB
rixの3倍量)を加え、さらにバチルス・ステアロサ
ーモフィラス由来のサイクロマルトデキストリングルカ
ノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所
製)をデキストリン1グラム当たり1000単位加え、
NaOHでpHを5.5に調整後、50℃で12時間反
応させた。
【0012】一方、対照例として上記の希釈紅茶エキス
のBrixに対して3倍量のデキストリン(上記と同
じ)を溶解したものを作成した。10人のパネラーによ
り、実施例と対照例の各製品の渋みについて3点比較法
で試験を行い、渋味が強いと感じられるものを選択して
貰い評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0013】
【表1】 第1表 実施例の製品 対照例の製品 渋味が強いと評価した人数 1人 9人
【0014】第1表から明らかなように、渋みの弱いも
のとして実施例の製品を選択したパネラーが有意に多か
った。また、実施例と対照例の各製品を冷蔵庫中で保存
したところ、対照例の製品は紅茶特有のクリームダウン
現象による顕著な濁りを生じたのに対して、実施例の製
品は濁りの低減が認められた。従って、渋みを低減する
反応に伴って紅茶特有の問題であるクリームダウンも低
減できることが判った。このように呈味性が改善された
ことによって、本発明の渋みを低減した紅茶飲料は、飲
料の他に食品,嗜好品,化粧品等を問わず様々な物品に
応用することができる。
【0015】実施例2 実施例1で得られた渋みを低減した紅茶エキスが、本発
明の方法により配糖化することによって渋みを低減した
茶抽出物であることを定性的に確認するため、以下のよ
うな操作を行った。実施例1で得られた紅茶エキス5m
lを秤取り、グルコアミラーゼ(商品名:グルクザイム
AF6、天野製薬株式会社製)1.6mgとα- グルコ
シダーゼ(シグマ社製)0.23mgを加えてよく撹拌
後、37℃で3時間インキュベートした。次いで、反応
液に酢酸エチル1mlを加えてよく混合した後、300
0回転/分で5分間遠心して、酢酸エチル層と水層に分
離し、酢酸エチル層を回収した。この操作を4回繰り返
した。得られた酢酸エチル層を遠心濃縮機で濃縮して酢
酸エチルを留去後、得られた固形物を水で25mlにメ
スアップした。これを処理画分とした。
【0016】一方、実施例1で得られた紅茶エキスを5
ml秤取って酢酸エチル1mlを加えてよく混合した
後、3000回転/分で5分間遠心して、酢酸エチル層
と水層に分離し、酢酸エチル層を回収した。この操作を
4回繰り返した。得られた酢酸エチル層を遠心濃縮機で
濃縮して酢酸エチルを留去後、得られた固形物を水で2
5mlにメスアップした。これをコントロール画分とし
た。
【0017】上記処理画分およびコントロール画分中の
茶ポリフェノールを酒石酸鉄法を用いて以下のように測
定した。処理画分とコントロール画分をそれぞれ5ml
ずつとり、硫酸第一鉄(1mg/ml)と酒石酸カリウ
ムナトリウム(5mg/ml)の混合溶液5mlを加え
た後で、1/15Mのリン酸ナトリウム−リン酸カリウ
ム緩衝液(pH7.5)で25mlにメスアップした。
得られた反応液の540nmにおける吸光度をそれぞれ
測定した。結果を第2表に示す。
【0018】
【表2】 第2表 540nmの吸光度 処理画分 0.549 コントロール画分 0.371
【0019】第2表から明らかなように、処理画分では
コントロール画分に比べて吸光度が約20%増加した。
これは処理画分の方がコントロール画分に比べて酢酸エ
チル層に移りやすい遊離のポリフェノール類の量が多い
ことを示すものであり、実施例1で配糖化されていたポ
リフェノール類が元のポリフェノール類に戻ったことを
示すものである。従って、この結果は、本発明の方法に
よって紅茶中の渋み成分である茶ポリフェノールが配糖
化されていたことを示すものである。さらには、この方
法が本発明の渋みを低減した茶抽出物または茶飲料の確
認方法となることを示すものである。
【0020】実施例3 緑茶抽出物(商品名:ポリフェノン60、三井農林株式
会社製)1.5gとα−サイクロデキストリン(株式会
社林原生物化学研究所製)6.0gを10mM塩化カル
シウム溶液30mlに溶解後、pHを5.5に調整し
た。この溶液にバチルス・ステアロサーモフィラス由来
のサイクロマルトデキストリングルカノトランスフェラ
ーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)500単位を添
加して50℃で24時間インキュベートした。酵素反応
を100℃で30分間加熱して停止後、反応生成物を凍
結乾燥して粉末7.6gを得た。
【0021】一方、対照例として、緑茶抽出物(上記と
同じ)1.5gとα−サイクロデキストリン(株式会社
林原生物化学研究所製)6.0gを10mM塩化カルシ
ウム溶液30mlに溶解してpHを5.5とした後、5
0℃で24時間インキュベートした。次に、バチルス・
ステアロサーモフィラス由来のサイクロマルトデキスト
リングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化
学研究所製)500単位を添加して、直ちに100℃で
30分間加熱して酵素を失活させた。得られた溶液を凍
結乾燥して粉体7.7gを得た。
【0022】上記の実施例および対照例で得た各粉末な
らびに原料の緑茶抽出物(商品名:ポリフェノン60、
三井農林株式会社製)を該緑茶抽出物の濃度で2000
ppm相当となるように溶解した。これら3種類のサン
プルについて3点比較法で試験を行い、渋味が少ないも
のを選択させ評価した。なお、官能検査は20人のパネ
ラーに対して行った。結果を第3表に示す。
【0023】
【表3】 第3表 実施例の製品 対照例の製品 原料 渋味が弱いと評価した人数 17人 2人 1人
【0024】実施例の製品は、原料の緑茶抽出物に対し
ても、対照例の製品に対しても、明らかに渋みが低減し
ていた。このように、呈味性が改善されたことによっ
て、本発明の渋みを低減した茶抽出物は飲料原料以外に
も食品,嗜好品,化粧品等の別を問わず様々な物品に応
用できるものである。
【0025】実施例4 実施例3で得た緑茶抽出物約150mgを秤取り、水1
mlに溶解後、実施例2と同様の方法で酵素処理と酢酸
エチル抽出を行った。得られた酢酸エチル層を遠心濃縮
機で濃縮して酢酸エチルを留去し、得られた固形物を水
で50mlにメスアップした。これを処理画分とした。
【0026】一方、実施例3で得た緑茶抽出物150m
gを秤取り、水1mlに溶解後、実施例2の対照例と同
様の方法で酢酸エチル抽出を行った。得られた酢酸エチ
ル層を遠心濃縮機で濃縮して酢酸エチルを留去し、得ら
れた固形物を水で50mlにメスアップした。これをコ
ントロール画分とした。処理画分とコントロール画分を
実施例2と同様にして酒石酸鉄法で分析した。結果を第
4表に示す。第4表から明らかなように、処理画分の吸
光度はコントロール画分に比べて約30%増加した。
【0027】
【表4】 第4表 540nmの吸光度 処理画分 0.279 コントロール画分 0.215
【0028】次に、上記の処理画分およびコントロール
画分を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法で以
下の通り分析した。カラムは資生堂 CAPCELLPAK C-18 A
G1204.6×250mmを40℃に加温して、移動相に
は酢酸エチル:アセトニトリル:0.05%リン酸水=
0.6:12:90の混合溶媒を移動相流速1ml/m
inで使用した。検出はUV280nmで行った。結果
を図1および図2に示す。すなわち、図1はコントロー
ル画分の、図2は処理画分のHPLCでの分析結果を示
す。図2における各ピークの保持時間(分)はピークA
が5.68、ピークBが7.83、ピークCが4.42
である。また、第5表に茶成分の中で配糖化反応で配糖
化されないことが明らかなカフェイン(ピークA)の面
積値を1としたときの主要なポリフェノールであるエピ
ガロカテキンガレート(ピークB)およびエピガロカテ
キン(ピークC)の相対面積値を示した。第5表から明
らかなように、処理画分ではコントロール画分に比べて
ピークBとピークCの相対面積値がそれぞれ約25%、
26%ずつ増加した。
【0029】
【表5】 第5表 ピークAに対するピークBとCの相対面積値 ピークB ピークC 処理画分 0.446 0.046 コントロール画分 0.361 0.037
【0030】酒石酸鉄法で測定した処理画分の吸光度が
増加していることは、実施例2の場合と同様に、本緑茶
抽出物が配糖化されていたことを示すものであり、HP
LC法で認められたピークBとピークCの面積値の増加
は、エピガロカテキンガレートやエピカテキンといった
ポリフェノール類が配糖化されていたことを示すもので
ある。従って、本緑茶抽出物が配糖化することによって
渋みが低減した緑茶抽出物が得られたことを示すもので
ある。さらに、本茶抽出物はα−グルコシダーゼやグル
コアミラーゼによって加水分解されてエピガロカテキン
ガレートやエピガロカテキンを遊離することから、本緑
茶抽出物も生体内のα−グルコシダーゼやα−アミラー
ゼ等の酵素によっても容易に加水分解されて、生理活性
機能を持つエピガロカテキンガレートなどのポリフェノ
ール類を遊離して、ポリフェノール類本来の生理活性機
能を示すものと考えられる。
【0031】実施例5 実施例3で得られた渋みを低減した茶抽出物を使用して
清涼飲料を試作した。レシピーは第6表の通りである。
また、対照例では緑茶抽出物(商品名:ポリフェノン6
0、三井農林株式会社製)を使用した。渋みの比較のた
めに実施例3の茶抽出物中の緑茶抽出物の量と対照例で
使用した緑茶抽出物の量を同じとした。結果を第6表に
示す。
【0032】
【表6】 第6表 清涼飲料のレシピー 原 料 実施例(kg) 対照例(kg) 果糖ぶどう糖液糖 5.0 5.0 砂 糖 4.0 4.0 クエン酸(結晶) 0.2 0.2 1/5柑橘混合果汁 6.0 6.0 カロチン色素 0.02 0.02 オレンジ香料 0.05 0.05 茶抽出物 1.2 0.2
【0033】上記レシピーで試作した2種類の清涼飲料
について、渋みに対する官能検査を実施した。試験は2
0人のパネラーに対して3点比較法を用いて行った。結
果を第7表に示す。実施例の飲料の方が有意に渋みが少
ないという結論であった。従って、渋みが低減して呈味
性を改善したことによって、本発明の渋みを低減した茶
抽出物は飲料の風味を損なうことなく飲料原料として使
用できることが確認された。
【0034】
【表7】 第7表 実施例の飲料 対照例の飲料 渋みが強いと評価した人数 2人 18人
【0035】実施例7 実施例1で得られた渋みを低減した紅茶飲料を使用して
ゼリー菓子の製造を行った。カップリングシュガー(登
録商標、株式会社林原生物化学研究所製)126g、オ
リゴメイト50(商品名、ヤクルト薬品工業株式会社
製)136g、乳糖6g、アスパルテーム(商品名、味
の素株式会社製)、実施例1で得られた渋みを低減した
紅茶飲料100gおよび水50gを加えて溶解した後、
撹拌しつつ加熱溶解した。この溶液にペクチン4.5g
を徐々に加えて溶解後、50%クエン酸溶液3.3g、
1/5濃縮レモン果汁6g天然色素0.1gおよびレモ
ンフレーバー0.2gを加えて十分に混合し、この溶液
を型に流し込み、室温で12時間放冷して固化させてペ
クチンゼリーを作成した。本品はポリフェノール類特有
の渋みがなく、風味が優れたゼリー菓子である。また、
ポリフェノール類の機能性を有するゼリー菓子として好
適である。
【0036】
【発明の効果】本発明の渋みを低減した茶抽出物および
茶飲料は、生理活性成分であるポリフェノール類を含ん
だままで、従来の茶飲料や茶抽出物が持つ強い渋みが効
果的に改善されている。そのため、このものは飲食物の
みならず、嗜好品,化粧品,医薬部外品,医薬品などの
広い分野に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例4のコントロール画分のHPLCでの
分析結果を示す。
【図2】 実施例4の処理画分のHPLCでの分析結果
を示す。
フロントページの続き (72)発明者 万代 隆彦 岡山県岡山市政津1428番地 (72)発明者 渋谷 孝 岡山県総社市下原318番地

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 渋みを低減した茶抽出物または茶飲料。
  2. 【請求項2】 ポリフェノール類を配糖化することによ
    り渋みを低減した茶抽出物または茶飲料。
  3. 【請求項3】 茶抽出物または茶飲料が、不発酵茶,半
    発酵茶,発酵茶,後発酵茶などの茶葉を原料としたもの
    である請求項1記載の渋みを低減した茶抽出物または茶
    飲料。
  4. 【請求項4】 茶抽出物または茶飲料をデキストリン,
    サイクロデキストリンおよび澱粉のうちの少なくとも1
    種と混ぜ、これにサイクロマルトデキストリングルカノ
    トランスフェラーゼを作用させることを特徴とする渋み
    を低減した茶抽出物または茶飲料の製造方法。
  5. 【請求項5】 サイクロマルトデキストリングルカノト
    ランスフェラーゼがバチルス・ステアロサーモフィラス
    由来のものである請求項4記載の茶抽出物または茶飲料
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の渋みを低減した茶抽出物
    または茶飲料を含有する飲食物。
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Cited By (18)

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