JPH08281592A - シート切断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 反転のための制御回路を不要とすることがで
き、切断装置からの異音の発生を抑えるとともに、小
型、低コスト化に対応できるシート切断装置を提供。 【構成】 本発明は、切断刃物を切断方向および復帰方
向に往復させる刃物移動装置を備えたシート切断装置で
あって、前記刃物移動装置は、切断方向終端付近で連続
した互いに逆巻きの関係にある螺旋を有する切断方向の
案内路と復帰方向の案内路とを具備しており、刃物を前
記案内路に沿って切断方向から復帰方向へ連続して移動
可能である。好ましくは、切断方向の螺旋と復帰方向の
螺旋とは切断方向始点と終点において連続し、エンドレ
スの案内路を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シート状の被切断物を
切断するためのシート切断装置に関するものであり、特
に切断刃物の移動装置の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】複写機、プリンタ、ファクシミリなどの
記録装置に搭載されているシート切断装置としては、例
えば特公昭５０−２４４６６号公報に記載されるような
切断幅に対応する幅を持つ２つの刃物を使用して、一方
の刃物を旋回動作させ他方の刃物に交差圧接することに
よりシート材を切断する、いわゆるロータリ式切断装置
がある。また、実公昭５８−３７５９４号公報に記載さ
れるような切断幅に対応する幅を有する２つの刃物を使
用して、一方の刃物を上下動させ他方の刃物と圧接摺動
させてシート材を切断する、いわゆるギロチン式シート
切断装置がある。これらの装置は、切断幅に対応する２
つの刃物を使用するため、シート材をすばやく切断でき
るという利点がある。なお、これらのシート材切断装置
は切断幅に対応する刃物を駆動する必要があるため、切
断幅が広くなるとサイズの大きい刃物を駆動することに
なり駆動機構の負荷が大きくなるという問題がある。し
たがって、これらのシート材切断装置は切断幅の広いシ
ート材を切断する装置としての小型化にとっては不利で
ある。

【０００３】上述したシート材切断装置に対して、実開
平４−１２８１９５号公報あるいは実開平３−８８６８
８号公報に記載されるような切断幅に対応する幅を有す
る固定刃物に対して、円形刃もしくはナイフエッジ状の
刃物を圧接摺動させながら移動させて、この移動距離分
の切断を行う刃物移動型のシート材切断装置が提案され
ている。この刃物移動型のシート材切断装置は、切断刃
物自体が移動するものであり、移動する刃物のサイズは
切断幅に制約されず小型で良いため、刃物の駆動機構の
負荷が上述したロータリ式やギロチン式の刃物に比べて
少なく、幅の広いシートを切断する装置の小型化にとっ
て有利である。さらに、特開平７−５２０８５号公報、
特開平２−２５０７９３号公報あるいは実開平１−１４
９２８８号公報に記載されるように、２つ円形の刃物が
お互いに圧接するように組み合わせて組体とし、この組
体そのものを、刃物の圧接部にシート材がくるように移
動させてシート材を切断する別のタイプの刃物移動型の
シート材切断装置が提案されている。この組体を移動す
るタイプのシート切断装置は、上述した固定刃物を有す
る刃物移動型の切断装置に比べて、小型の２枚の円形刃
だけでよく、さらに装置の小型化および軽量化が可能で
あるという利点がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述した刃物移動型の
シート材切断装置はシート材切断装置の小型化に対して
有利な構造である。ところで、この刃物移動型のシート
材切断装置においては、当然ながら刃物を移動するため
の移動機構が必要である。従来使用されている移動機構
としては、特開平７−５２０８５号公報に記載されるよ
うに移動すべき刃物の支持部材をワイヤに接続し、この
ワイヤを移動することにより、刃物を移動する構造が知
られている。また、特開平１−２４０２９５号公報に記
載されるように上述したワイヤに変えてラック状の刃型
を有するベルトを使用するものもある。

【０００５】また、特開平３−８８６８８号公報あるい
は特開平４−３１５５９４号公報に記載されるようなス
クリュネジ状の案内路に刃物の支持部材を摺動させてス
クリュネジの延長する方向に移動する機構も採用されて
いる。このような移動機構に共通して、刃物を切断方向
に移動した後に、復帰方向に戻す動作が必要になる。従
来の切断方向と復帰方向への切り替えは、通常、切断後
端で、リミットスイッチ等により移動を停止するととも
に、モータ等の駆動機構を逆に切り替えて復帰させる動
作を行っていた。

【０００６】ところが、本発明者の検討によれば、切断
方向の後端におけるリミットスイッチによる刃物の移動
の停止は、部品点数が増えることに加えて、刃物移動に
よる慣性により、刃物が終端部で装置やブレーキ機構と
衝突して衝突音を生じたりするため、静粛性が求められ
る装置としては、好ましくないものであった。また、モ
ータ等の駆動機構を切断後端で切り替えることは、反転
のための余分な制御回路を必要とするため、小型、低コ
ストの切断装置としては問題であった。本発明の目的
は、上述した刃物移動型のシート材切断装置の問題点に
鑑み、リミットスイッチや反転のための制御回路を不要
とする機構により、切断装置からの異音の発生を抑える
とともに、小型、低コスト化に対応できるシート切断装
置を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した刃
物移動型のカッタの移動機構を簡素化することを検討
し、お互いに逆巻きの関係にある螺旋状の案内路を切断
方向終端で連続させることによって、一筆書きの如く切
断方向から復帰方向への方向転換を行う機構を採用する
ことが刃物移動型のカッタにとって有効であることを見
いだし本発明に到達した。すなわち、本発明は、切断刃
物を切断方向および復帰方向に往復させる刃物移動装置
を備えたシート切断装置であって、前記刃物移動装置
は、切断方向終端付近で連続した互いに逆巻きの関係に
ある螺旋を有する切断方向の案内路と復帰方向の案内路
とを具備しており、刃物を前記案内路に沿って切断方向
から復帰方向へ連続して移動可能なシート切断装置であ
る。

【０００８】本発明の望ましい具体的な移動装置として
は切断方向および復帰方向に延長された軸体と、該軸体
の表面に形成された螺旋状の案内路と、前記軸体を回転
駆動する駆動手段と、刃物を支持し前記軸体の回転によ
り前記案内路を摺動して切断方向および復帰方向に往復
に移動する移動体とを具備しており、さらに、前記軸体
に形成された案内路は切断方向の案内路を形成する切断
方向の螺旋と、復帰方向の案内路を形成する復帰方向の
螺旋で構成され、前記切断方向の螺旋と前記復帰方向の
螺旋とは互いに逆巻きの関係を有し、かつ切断方向の螺
旋と復帰方向の螺旋とが切断方向の終端付近で連続して
いるシート切断装置である。

【０００９】本発明において、好ましくは切断方向の螺
旋と復帰方向の螺旋とは切断方向始点と終点において連
続し、エンドレスの案内路を形成することにより、軸体
の回転方向を変えずに、切断方向および復帰方向の連続
的な方向転換を可能にすることが望ましい。また、本発
明においては、螺旋のピッチを変えて刃物の移動速度を
可変することが可能である。例えば切断方向の螺旋のピ
ッチに対して、復帰方向の螺旋のピッチを大きくするこ
とにより、負荷の少ない復帰方向の速度を速くすること
ができ、速やかに切断刃物を最初の待機位置に戻せるの
で有効である。

【００１０】また、後述する実施例の図１に示すよう
に、上述した軸体１を、この軸体１と同方向に延長され
た開口部を有する中空棹３に内包するように配置し、該
中空棹と移動体４とが摺動し、切断方向および復帰方向
の移動体ガイドを形成するようにすれば、回転部分が露
出することがなく、小型化にとって有利である。また、
上述の移動体４に、案内路の幅よりも長い案内路接触面
を有し、該接触面を案内路に対して摺動させて移動体に
切断方向もしくは復帰方向の駆動力を伝達する、移動体
誘導部材を具備することが、案内路からの脱線を防ぐ点
で望ましい。移動体誘導部材は、例えば図７に示すの如
く案内路２を摺動するものである。

【００１１】

【作用】上述したように、本発明の最大の特徴とすると
ころは、切断方向終端で連続した互いに逆巻きの関係に
ある螺旋を有する切断方向の案内路と復帰方向の案内路
を形成し、刃物を上述した案内路上を移動させ、刃物の
切断方向と復帰方向の連続的な移動を可能にしたことに
ある。案内路は、例えば図３に示す如く切断方向および
復帰方向に延長した軸体の表面に上述の螺旋を形成した
ものとする。モータ等の駆動手段を用いて、軸体を回転
して、案内路と刃物を支持する移動体とを摺動させれ
ば、螺旋の回転運動が直線運動に変換され、刃物を移動
することができる。このとき、まず切断方向始点から終
点に向かって移動させ、切断方向の終点で復帰方向の螺
旋側に向きを変えつつ移動し、図３に示す矢印のように
復帰方向に一筆書きの如く移動するものとなる。つま
り、本発明は螺旋の軸を一方向に回転するだけで、切断
方向と復帰方向の移動が可能であり、切断方向と復帰方
向での駆動装置の移動方向の切り替え機構が不要とな
り、装置の小型化が達成できる。

【００１２】また、この構造は、一方向のみに切断する
シート切断装置においては、切断方向後端に必要であっ
たリミットスイッチなどの制御装置が不要となる。さら
に、連続した螺旋を案内路とすることにより、従来のシ
ート切断装置では問題になっていた切断方向後端での刃
物の慣性によるストッパ等の構成部品との衝突による異
音の発生を防止することができるという利点がある。こ
のような異音の発生を防止するには切断方向と復帰方向
の連続部分は、滑らかな連続曲線となっていることが好
ましい。なお、本発明においては、図１に示す溝状の螺
旋だけではなく、突起状の螺旋であってもかまわない。
ただし、突起状の螺旋では、切断方向の螺旋と復帰方向
の螺旋が交差する部分では、例えば鉄道の軌道が交差す
る点で隙間を設けてあるが如く、螺旋部に隙間を設けて
移動体と突起状の螺旋のとの干渉を防ぐ必要がある。

【００１３】本発明においては、切断方向の螺旋と復帰
方向の螺旋とは切断方向始点と終点において連続させ、
エンドレスの案内路を形成すれば、モータ等の駆動手段
による軸体の回転方向を逆転しなくても、切断方向およ
び復帰方向の連続的な方向転換が可能になる。これによ
り、駆動装置の逆転のための制御回路が不要となるた
め、さらに低コスト化が可能になる。また、エンドレス
であるため復帰時に刃物の慣性によるストッパ等との衝
突による異音の発生を防止できるため、静粛性の要求さ
れるファクシミリ等のＯＡ機器に使用するシート切断装
置として好ましいものとなる。

【００１４】また、本発明においては、螺旋のピッチを
変えて刃物の移動速度を可変することが可能である。シ
ート切断装置において、例えば切断方向の螺旋のピッチ
に対して、復帰方向の螺旋のピッチを長くすると、軸体
の回転数が同じであれば、復帰方向の速度を高めること
が可能となる。切断を行わないで復帰方向に刃物を移動
させる場合は、復帰方向における移動に伴う負荷が少な
くてよく、このように螺旋のピッチを広くとり、速やか
な復帰を行うことが望ましい。

【００１５】また、シート切断装置としては、ファクシ
ミリ等のＯＡ機器に組み込まれて使用される場合が多い
ため、装置としての小型化だけではなく、安全のために
駆動部ができるだけ露出しないこと、あるいは装置の形
状をできるだけ単純化して組み込み先の装置との干渉を
できるだけ避ける必要がある。本発明において、図１に
示すような軸体１を中空棹３に内包するように配置し、
該軸体と同方向に延長された開口部を有する中空棹３に
内包するように配置し、該中空棹と移動体とが摺動し、
切断方向および復帰方向の移動体ガイドを形成するよう
にすれば、回転部分が露出することがなく、小型化にと
って有利であり、しかも装置の外形が実質的に中空棹と
移動する刃物部の単純形状となるため、ファクシミリ等
に組み込む場合の他の装置との干渉を低減することが可
能となる。しかし、他の装置の配置によっては本発明の
シート切断装置との干渉は問題にならない場合もあるの
で、本発明における軸体と中空棹の組み合わせは必ずし
も必須条件ではない。

【００１６】また、本発明においては、切断方向の螺旋
と復帰方向の螺旋を互いに逆巻きとなるように設けるた
め、図１に示すように切断方向の螺旋と復帰方向の螺旋
の交差部分が存在するものとなる。刃物を支持する移動
体がこの交差部分を通過する際には、負荷が大きかった
りすると正規の軌道を外れてしまう恐れがある。より確
実に正規の螺旋状の案内路上を移動させるためには、上
述の移動体に、案内路の幅よりも長い案内路接触面を有
し、該接触面を案内路に対して摺動させて移動体に切断
方向もしくは復帰方向の駆動力を伝達する、例えば後述
する実施例の図７に示す如き、移動体誘導部材１８を設
け、上述した交差部分において移動体が軌道から外れる
のを防止すると良い。

【００１７】移動体において、案内路の幅よりも長い案
内路接触面を有すると安定した走行を容易にする。特に
溝状の案内路であると、幅よりも狭い接触面では、交差
部において移動体を支えることができない。なお、螺旋
の半周以上の長さの接触面では、実質的に切断方向の終
端で方向転換することが難しいので、好ましくは螺旋の
半周よりも短い接触面とする。また、本発明では、切断
方向の終端で螺旋が反転するものであるため、移動体誘
導部材にあっては、前記反転時の角度の変化に追従すべ
く回動自在に移動体の本体に設けることが望ましい。

【００１８】

【実施例】以下、本発明を実施例と図面に基づいて詳し
く説明する。図１は本発明のシート切断装置の一例を示
す組立て概念図であり、図２は図１に基づくシート切断
装置の正面図である。図１および図２において、軸体１
は、断面略コの字の中空棹３に内包され、かつ側板１２
との間に軸受１１を介して回転可能に支持されており、
軸体１の側板１２側端部には歯車１３が軸体１に固定さ
れ、回転の駆動源１４となるモータのピニオンギヤと噛
み合い駆動力を伝達する。移動体４は、軸体１の外周面
と中空棹３の内面との間を摺動するように移動可能に取
り付けられている。また接触面を案内路に対して摺動さ
せて移動体４に駆動力を伝達するための移動体誘導部材
１８が移動体４に回動自在にとりつけられている。そし
て移動体誘導部材は図７に示すように、案内路１２の幅
よりも長い接触面を有するものであり、案内路の交差部
において、軌道を外れるのを防止できるものである。

【００１９】また第一円板刃軸６ａに固定された第一円
板刃５ａと、第二円板刃軸６ｂに固定された第二円板刃
５ｂとは互いに交差する様に配置される。これらは圧縮
コイルバネ８により圧接された状態で取り付けネジ１５
によって第一円板刃軸軸受９と第一円板刃軸軸受１０に
より回転可能に取り付けられる。また、第一円板刃軸軸
受９に固定された弾性ローラ７は、図１における中空棹
３の上面と接触し、移動体４の移動とともに第１円板刃
５ａに回転力を付与する構成となっている。また、復帰
完了を検出するための位置検出用スイッチ１７は図２に
示すように、側板１２に取り付けた。

【００２０】本発明の特徴である移動装置を構成する案
内路２は、図３に示す切断方向の螺旋と復帰方向の螺旋
とは軸体１表面に形成した溝によって構成されるもので
あり、切断方向始点と終点において連続した曲線状の溝
によって形成したものである。すなわち、図１ないし図
３に示す案内路２は、エンドレスの案内路２を形成した
ものである。以下に図２に基づき、本発明のシート切断
装置の動作を説明する。まず動源１４より歯車１３を介
して軸体１に回転力が伝達されることにより、軸体１が
回転する。軸体１が回転すると、案内路２にはめ込まれ
た移動体誘導部材に切断方向の力が加わり、移動体誘導
部材１８は案内路２を摺動しながら移動体４を切断方向
に移動する。このとき、中空棹３の上面に図示しないシ
ート材を配置することにより、第一円板刃５ａと第二円
板刃５ｂ間でシート材を切断することができる。

【００２１】本発明においては、図１に示すように、シ
ート材の切断位置に誘導するためには、中空棹３の上面
を平面とすることが望ましいものである。このとき、第
一円板刃５ａは、弾性ローラ７により、シート材を引き
込む方向に回転が与えられる。そして、シート材の切断
終了後、図２の右端である切断方向後端に移動体４が達
すると、移動体誘導部材２が案内路の曲率の変化に追従
して回動し、切断方向の螺旋から復帰方向の螺旋に切り
換わる。

【００２２】具体的には、図３に示す矢印ａの方向を向
いていた移動体誘導部材１８は、終端部で矢印ｂの方向
に回動し、ついで矢印ｃの向きとなり、さらに回動して
矢印ｄの復帰方向を向くものである。そして移動体誘導
部材１８には、今度は復帰方向の力が加わることにな
り、移動体を復帰方向に移動する。復帰方向の螺旋の終
点に到達した移動体４は、図３に示す矢印の如く、切断
方向終端に達した時と同様に復帰方向の螺旋から切断方
向の螺旋に切り換わる。この時待機位置を検出する位置
検出スイッチ１７により、駆動力が切断され移動体は待
機位置で停止し、切断動作が終了する。

【００２３】このように、図１および図２に示す本発明
のシート切断装置によれば、駆動源１４を一方向に回転
させるだけで、切断方向および復帰方向への刃物の移動
が可能である。したがって、軸体１を反転する制御回路
は不要である。また、切断方向終端におけるリミットス
イッチも不要となり、シート切断装置の簡素化、低コス
ト化が達成できる。また、図１および図２に示す装置に
おいては、螺旋が連続的に反転するものであるため、切
断方向後端あるいは復帰方向後端での衝突音の発生も防
ぐことができ、静粛性も優れたものとなる。

【００２４】さらに、付加的な作用として、駆動源の回
転方向を間違えた場合であっても、切断方向と復帰方向
の動作が可能であり、モータの極性を間違えてモータが
加熱破損するという事故を防ぐことができる。また、図
２に示すように、このシート切断装置におけるシート切
断部分は、中空棹３の外形をもつ単純な形状であり、移
動体４とこれに設置された刃物の移動空間さえ設ければ
良いものとなる。このように本発明の単純形状のシート
切断装置は、ファクシミリ等に組み込まれた際に他の部
品との干渉を少ないものとすることができる。

【００２５】次いで、本発明のシート切断装置の刃物移
動装置の他の例について説明する。図４は、切断方向の
螺旋と復帰方向の螺旋が切断方向の螺旋の終端のみで連
続し、切断方向初端においては連続していない案内路２
を有する軸体の例である。この軸体１を上述した図１な
いし図３のようなエンドレスの案内路を有する軸体１と
入れ替えた場合、復帰動作の終了後、次の切断動作を行
うためには、軸体を逆回転する必要がある。図４に示す
軸体においては、復帰動作の後に、軸体１の回転を逆に
する必要があり、制御回路が必要である点において、小
型化およびコスト的に図３に示すエンドレスの案内路を
有する軸体を用いる場合に比べて不利である。しかし、
切断開始位置における正確な停止位置の検出が容易であ
るという点においては、端のある図４に示す軸体が有利
である。また、図４に示す装置においては復帰方向の終
端でトルクの変化によって停止することが可能であると
いう利点もある。

【００２６】また、図５は、図３に示す切断方向のピッ
チに対して復帰方向の螺旋のピッチが大きい案内路を形
成した例である。図５のように復帰方向のピッチを大き
くすると、負荷の少ない復帰方向への移動を短時間に終
了でき、切断動作を短くできるという利点がある。ま
た、図６は、切断方向の初端と終端部のピッチを切断方
向の中央部よりも小さくしたものである。図６のように
構成すると、切断初期および切断方向から復帰方向への
方向の転換の際の移動速度が遅くなるため、軸体にかか
る負荷を低減することができる。また、図６に示すよう
切断方向後端のピッチを小さくすることは、例えば切断
されたシートを除去されるまでの時間を確保する必要が
ある場合に有効である。

【００２７】上述した刃物移動装置は、移動体４に２枚
の円板刃を組み合わせたタイプを示したが、本発明のシ
ート切断装置としては、図８に示すような固定刃１６と
第１円板刃５ａを組み合わせで切断を行うシート切断装
置の刃物移動装置としても使用することが可能である。
図８に示すシート切断装置は、移動体４をガイドする案
内軸１９を具備するものであるが、図１に示した中空断
面を持つ中空棹を案内軸１９の変わりに用いて良い。

【００２８】

【発明の効果】本発明によれば、シート切断装置におい
て必須であった、従来の切断方向と復帰方向への切り替
えに伴う制御回路を不要とすることができ、部品点数も
少なくすることができる。また、本発明は刃物の移動の
停止に必要であったリミットスイッチ等を不要とし、さ
らに切断位置後端に発生していた慣性による衝突音をな
くすことができ、静粛性が要求されるＯＡ機器のシート
切断装置として有用である。また、エンドレスの案内路
を有するようにすれば、復帰方向後端においても慣性に
よる衝突音の発生をなくすことができ、また軸体の回転
方向が一方向だけであっても切断方向および復帰方向の
転換が連続して可能となり、部品点数をさらに減らすこ
とが可能であり、シート切断装置の簡素化、低コスト化
を一段と進めることができる。また、本発明において、
軸体を中空棹内に内包するようにすれば、回転部分を表
面に出さなくても良い構成になるため安全であるととも
に、単純形状のシート切断装置となる。したがってファ
クシミリ等の内部に設置する際の他の部品との干渉が少
なく、ファクシミリ等のＯＡ機器自体の小型化にも有用
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のシート切断装置の一例を示す組立概念
図である。

【図２】本発明のシート切断装置の一例を正面図であ
る。

【図３】本発明のエンドレスの案内路の一例を示す図で
ある。

【図４】本発明の復帰方向後端で螺旋が連続しない案内
路の一例を示す図である。

【図５】本発明の復帰方向のピッチを切断方向のピッチ
より大きくした案内路の一例を示す図である。

【図６】本は積の切断方向初端および後端部のピッチを
切断方向中央よりも小さくした案内路の一例を示す図で
ある。

【図７】本発明に使用する移動体誘導部材と案内路の関
係の一例を示す図である。

【図８】本発明のシート切断装置の別の例を示す斜視図
である。

【符号の説明】

１ 軸体、２ 案内路、３、中空棹、４ 移動体、 ５
ａ 第一円板刃、５ｂ 第二円板刃、６ａ 第一円板刃
軸、６ｂ第二円板刃軸、７ 弾性ローラ、８ 圧縮コイ
ルバネ、９ 第一円板刃軸受、１０第二円板刃軸受、１
１ 軸受、１２ 側板、１３ 歯車、１４ 駆動系 １５ 取付ネジ、１６ 固定刃、１７ 位置検出用スイ
ッチ、１８ 移動体誘導部材 、１９ 案内軸

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 切断刃物を切断方向および復帰方向に往
   復させる刃物移動装置を備えたシート切断装置であっ
   て、前記刃物移動装置は、切断方向終端付近で連続した
   互いに逆巻きの関係にある螺旋を有する切断方向の案内
   路と復帰方向の案内路とを具備しており、刃物を前記案
   内路に沿って切断方向から復帰方向へ連続して移動可能
   であることを特徴とするシート切断装置。
2. 【請求項２】 切断刃物を切断方向および復帰方向に往
   復させる刃物移動装置を備えたシート切断装置であっ
   て、前記刃物移動装置は、切断方向および復帰方向に延
   長された軸体と、該軸体の表面に形成された螺旋状の案
   内路と、前記軸体を回転駆動する駆動手段と、刃物を支
   持し前記軸体の回転により前記案内路を摺動して切断方
   向および復帰方向に往復に移動する移動体とを具備して
   おり、 さらに、前記軸体に形成された案内路は切断方向の案内
   路を形成する切断方向の螺旋と、復帰方向の案内路を形
   成する復帰方向の螺旋で構成され、 前記切断方向の螺旋と前記復帰方向の螺旋とは互いに逆
   巻きの関係を有し、かつ切断方向の螺旋と復帰方向の螺
   旋とが切断方向の終端付近で連続していることを特徴と
   するシート切断装置。
3. 【請求項３】 切断方向の螺旋と復帰方向の螺旋とは切
   断方向始点と終点において連続し、エンドレスの案内路
   を形成していることを特徴とする請求項１または２に記
   載のシート切断装置。
4. 【請求項４】 切断方向の螺旋のピッチに対して、復帰
   方向の螺旋のピッチが大きいことを特徴とする請求項１
   ないし３のいずれかに記載のシート切断装置。
5. 【請求項５】 軸体は、軸体と同方向に延長された開口
   部を有する中空棹に内包されており、該中空棹と移動体
   とが摺動し、切断方向および復帰方向の移動体ガイドを
   形成していることを特徴とする請求項２に記載のシート
   切断装置。
6. 【請求項６】 移動体には、案内路の幅よりも長い案内
   路接触面を有し、該接触面を案内路に対して摺動させて
   移動体に切断方向もしくは復帰方向の駆動力を伝達する
   移動体誘導部材を具備する請求項２に記載のシート切断
   装置。