JPH08229882A - シート材切断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 円板刃を用いた切断装置において、安価で確
実な円板刃の強制回転機構と円板刃保持台の移動機構を
持ったシート材切断装置を提供する。 【構成】 円板刃保持台に円板刃プーリと互いに一体的
に回転可能に軸支された円板刃と、切断装置の両端近傍
に装着された駆動側プーリおよび従動側プーリと、前記
円板刃保持台が装着され、前記駆動側プーリおよび前記
従動側プーリに張架されて、前記円板刃プーリを回転さ
せるタイミングベルトと、前記円板刃と相互に圧接され
てシート材を切断する相手刃とからなり、前記タイミン
グベルトが前記駆動側プーリの回転により移動して、前
記円板刃を回転駆動することを特徴とする。第２発明
は、円板刃と相互に圧接されてシート材を切断する相手
刃が、円板刃と共に円板刃保持台に回転自在に軸支され
て円板刃と同時に移動する第二円板刃、または切断方向
に平行で真直な刃先を有する固定刃であることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、円板刃同士の刃先を圧
接するか、または円板刃の刃先を真直な刃先を有する固
定刃に圧接して円板刃を左右に往復移動しながら、紙、
布、フィルム等のシート材の切断を行なうシート材切断
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】シート材切断装置は、構造的には主とし
てローラ式、ロータリ式、スライド式（ギロチン式）、
スリッタ式等に分類されており、用途に応じて最適な構
造のものを適宜選択して用いる。そのうち、円板刃を真
直な固定刃に圧接して円板刃を左右に往復移動させ、圧
接力によって円板刃を自在に回転させて切断するスリッ
タ式に良く似た切断装置も良く知られている。

【０００３】この円板刃と真直な固定刃からなるシート
材切断装置は、ローラ式とも呼ばれており、真直な固定
刃の長手方向に対し平行に設けられた案内レールに摺動
可能に保持された円板刃保持台上に、自由に回転できる
ように円板刃が軸支されている。そして、円板刃保持台
に駆動力が伝達されることにより、互いに圧接された固
定刃と円板刃のうちの円板刃が左右に移動して、固定刃
と案内レールの間に挿入されたシート材を切断する。こ
の構造の切断装置は、特公昭５０−２４４６６号に記載
されたものが知られている。

【０００４】また、一対の円板刃からなるスリッタ式の
シート材切断装置は、切断方向に対し、平行に設けられ
た案内レールに摺動可能に円板刃保持台が支持され、こ
の円板刃保持台上に、自在に回転でき、互いに刃先が交
差圧接するよう一対の円板刃が軸支されている。円板刃
保持台が左右に移動すると共に、切断しようとする方向
へ移動した時に、シート材を噛み込む方向へ回転させる
ことにより、シート材を切断する。この構造の切断装置
は、特開平５−１７７５８５号に記載されたものが知ら
れている。前述したようなスリッタ式のシート材切断装
置は、少なくとも一方の円板刃を強制的に回転させる必
要がある。また、ローラ式のシート材切断装置は、円板
刃と固定刃との摩擦力により円板刃が自然に回転するた
め、必ずしも強制回転機構が必要なわけではないが、安
定してシート材を切断できるように強制回転させる構造
にする場合もある。

【０００５】円板刃の強制回転機構は、円板刃をローラ
を介して案内レールと固定刃に圧接するように配置し、
円板刃保持台と共に円板刃が案内レールに沿って移動す
ると摩擦力によりローラが回転し、この回転により円板
刃が強制的に回転させられる構造の切断装置が実開平４
−１７０９１号に記載されている。さらに、実公平４−
２２９５５号には、切断装置の両端にプーリを設け、こ
れにワイヤが輪状に周回するように取り付けられ、この
ワイヤの動作により円板刃保持台を移動させるシート材
切断装置において、円板刃と一体に取付けられて同軸で
回転するプーリに前記ワイヤを押圧し、押圧力を増大す
る目的で２個のアイドルプーリを設け、円板刃保持台を
動作させて、円板刃を強制回転させる切断装置が記載さ
れている。一方で出願人は、特願平６−２３８７９２号
でローラ式切断装置を提案し、タイミングベルトを用い
て円板刃保持台を移動させているが、円板刃は強制回転
しないで、真直な固定刃に圧接することによって回転す
るようにしている。すなわち円板刃は、タイミングベル
トによる円板刃保持台の移動により前後するが、回転は
固定刃との摩擦力により自由回転するものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】近年、シート材切断装
置が搭載されるファクシミリやプリンタ等は、小型化、
軽量化、低価格化が要求されており、それに伴って、シ
ート材切断装置も小型化、軽量化、低価格化が必要にな
り、種々の対策がなされている。円板刃に円板刃を圧接
したスリッタ式の切断装置では、一方の円板刃を強制的
に回転しなければならないし、真直な固定刃に円板刃を
圧接したローラ式の切断装置では、円板刃が固定刃に圧
接されて移動すれば自然に回転するので、必ずしも円板
刃を強制的に回転させる必要はないが、円板刃を強制的
に回転してやればより円滑な切断ができるので、円板刃
に強制回転装置を装着することもある。そして、この強
制回転装置についても、装置全体の小型化、軽量化、低
価格化の観点からできるだけ、種々の部品を増加させな
いで、管理が簡単で、しかも確実に円板刃を強制回転で
きる装置が必要になる。

【０００７】前述の実開平４−１７０９１号公報に開示
された切断装置では、部品点数が増加する上に、摩擦力
だけを利用して強制回転させるため、環境条件の変化
（例えば温度の上昇）およびそれらに伴う接触面積や圧
力の変化等により、円板刃に加えられる回転力が変化し
てしまい、安定した回転力が得られないという欠点があ
った。そのため、前述した実公平４−２２９５５号に記
載された切断装置では、ワイヤをプーリにより強く押圧
するため、別のローラを２個設けているのである。とこ
ろが、ワイヤをプーリに押圧しただけの構造であるた
め、状況によっては、ワイヤとプーリとの間に滑りが生
じてしまって円板刃の回転や円板刃支持台の移動が不均
一になり、滑らかな切断ができなくなったり、切断の所
要時間にばらつきが発生して滑らかな切断を得るという
初期の目的が達成できなくなることがある。本発明は上
述した従来の切断装置の不具合を解消し、安価で確実な
円板刃の強制回転機構と円板刃保持台の移動機構を持っ
たシート材切断装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者は、特願平６−
２３８７９２号で円板刃の位置を検出するセンサーの機
構を提案した切断装置も、円板刃は真直な固定刃に圧接
され、相手刃との摩擦だけで回転しているため、回転が
不安定になるので、安定した回転が得られるように検討
した。その結果、円板刃保持台を移動させるためのタイ
ミングベルトの往復の移動を利用して円板刃に回転を与
えてやればよいことを見出した。そして、円板刃と一体
的に円板刃プーリを軸支して、この円板刃プーリにタイ
ミングベルトの移動を伝達してやるようにした。したが
って、本発明におけるタイミングベルトの往復の移動の
うち、一方には円板刃保持台を移動する機構を、他方に
は円板刃を回転させるという二つの駆動機能を持たせて
いるのである。

【０００９】すなわち、具体的に本発明は、円板刃保持
台に円板刃プーリと互いに一体的に回転可能に軸支され
た円板刃と、切断装置の両端近傍に装着された駆動側プ
ーリおよび従動側プーリと、前記円板刃保持台が装着さ
れ、前記駆動側プーリおよび前記従動側プーリに張架さ
れて、前記円板刃プーリを回転させるタイミングベルト
と、前記円板刃と相互に圧接されてシート材を切断する
相手刃とからなり、前記タイミングベルトが駆動側プー
リの回転により移動して、前記円板刃を回転駆動するこ
とを特徴とするシート材切断装置である。そして、通常
は円板刃と相互に圧接されてシート材を切断する相手刃
として、円板刃と共に円板刃保持台に回転自在に軸支さ
れ、前記円板刃と同時に移動する第二円板刃、またはシ
ートの切断方向に平行で真直な刃先を有する固定刃が使
用される。

【００１０】歯形を有するタイミングベルトを用いて回
転駆動力を伝達する方法は、種々の機械装置で多用され
ている。本願発明が対象とするスリッタ式またはローラ
式の切断装置においては、従来のタイミングベルトは、
円板刃保持台を移動させるだけの働きのみさせていた。
しかし本願発明は、円板刃保持台が装着されたタイミン
グベルトが往復移動する時、この移動を利用して、同時
に円板刃保持台を軸支された円板刃をも回転駆動させる
という新規な機構である。そして、タイミングベルトの
往復動を共に利用して円板刃を駆動させることで、従来
のように円板刃が相手刃との摩擦力で回転するという不
安定なシート切断装置と比較して、はるかに切断安定性
の高いシート材切断装置が実現するものである。

【００１１】

【作用】シート材切断装置の両端には、プーリが設けら
れ、無端で輪状に形成したタイミングベルトがこのプー
リを周回するように張架されている。このタイミングベ
ルトには、円板刃保持台を装着する。円板刃保持台のタ
イミングベルトに装着される部位には、タイミングベル
トと同じ歯形を成形しておけば円板刃保持台のタイミン
グベルトへの装着が確実に行なえる。切断装置の両端に
設けられたプーリに、円板刃保持台を装着したタイミン
グベルトを張架させた時、円板刃保持台の装着位置と相
対する位置で、円板刃と同軸上に円板刃と一体的に装着
された円板刃プーリと、タイミングベルトとを互いに押
圧しておく。

【００１２】このような構造にして、駆動部によりタイ
ミングベルトを動作させ、円板刃保持台を移動させる
と、円板刃プーリに押圧される位置のタイミングベルト
は、円板刃保持台と反対の方向に移動するため、ベルト
が押圧されている円板刃プーリが回転し、円板刃が強制
的にシート材を噛み込む方向に回転して円滑な切断が可
能になるのである。このような構造のシート材切断装置
では、タイミングベルトは切断装置の両端に配置された
プーリを周回するように張架する必要がある。そして、
回転駆動される円板刃は、切断されるシート材に接近し
ていなければならないから、プーリを周回するタイミン
グベルトはシート材に近い方で、円板刃に一体的に装着
された円板刃プーリに押圧し、シート材に遠い部位で円
板刃保持台が装着される。さらにタイミングベルトをシ
ート材切断装置の両端のプーリを周回させた時、輪状の
タイミングベルトの外側にシート材の通路が配置される
構造になる。

【００１３】

【実施例】次に実施例と図面に基づいて本発明をさらに
詳細に説明する。図１および図２は、本発明の第一実施
例を示す図で、図１は本発明に係るスリッタ式のシート
材切断装置の斜視図、図２は円板刃保持台近傍の断面図
である。図１、図２では、シート材の切断に直接関与す
る刃物を円板刃１および相手刃２を第２円板刃２１とし
て、通常のスリッタ式の切断装置としてある。フレーム
４を板金製として曲げ加工を施し、このフレーム４と一
体的に成形した案内レール４１に摺動可能に円板刃保持
台３が取り付けられている。円板刃保持台３は保持台Ａ
３１、保持台Ｂ３２、保持台Ｃ３３および保持台Ｄ３４
の各部材で組立成形し、円板刃支軸１３および第２円板
刃支軸２１ａを介して円板刃１および第２円板刃２１を
回転可能に円板刃保持台３に軸支し、その刃先同士をば
ね１２により圧接した。さらに円板刃１には円板刃プー
リ１１が一体的に固定してある。

【００１４】切断装置の一方の端部にある駆動源５のモ
ータ５１側は、ギヤ５３と駆動側プーリ５４を一体的に
固定して配設し、モータ５１の反対側には、従動側プー
リ５５を回転可能にフレーム４に軸支し、駆動側プーリ
５４と従動側プーリ５５とを周回するように輪状のタイ
ミングベルト６を取り付けた。そのタイミングベルト６
のシート材から離れた方の６１を保持台Ｄ３４に固定す
るように取付け、シート材に近い方６２は円板刃１と同
軸で一体化するよう取り付けられた円板刃プーリ１１に
押圧するようにした。

【００１５】モータ５１を回転することにより、ピニオ
ンギヤ５２を介し、ギヤ５３と駆動側プーリ５４が回転
しタイミングベルト６が動作することにより、円板刃保
持台３が図面上の右から左へ移動し、円板刃１と第２円
板刃２１が協働してシート材７を切断する。この時のタ
イミングベルト６の動作により、円板刃プーリ１１が回
転させられるので、円板刃１はシート材７を噛み込む方
向に回転力が付与されて強制回転する。従来の切断装置
では、円板刃への回転の付与が相手刃との摩擦力に依存
するので回転が不安定になり易く、切断も不安定になる
という傾向が大きかった。本発明では、円板刃自体をタ
イミングベルトで駆動するので、確実に安定した回転を
することが可能になり、ひいては安定したシート材の切
断ができるのである。切断後、モータ５１への入力電源
の極性を変えることにより、モータ５１が逆転して図面
上の切断装置の左から右へ円板刃保持台３が移動し、待
機位置に復帰する。

【００１６】図３、図４は、本発明の第２実施例を示す
図で、図３は本発明に係るローラ式の切断装置の斜視
図、図４は円板刃保持台３の近傍の断面図である。本実
施例では、フレーム４を板金製として曲げ加工を施し、
このフレーム４と一体的に成形した案内レール４１と平
行に、相手刃２である真直な刃先線を有する固定刃２２
を取り付けた。案内レール４１に摺動可能に取り付けら
れた円板刃保持台３は保持台Ａ３１と、保持台Ｂ３２と
の２個の部材で成形し、円板刃支軸１３を介して円板刃
１を回転可能に軸支し、その刃先を固定刃２２にばね１
２により圧接した。

【００１７】第一実施例と同様に切断装置の両端に駆動
側プーリ５４と従動側プーリ５５を配置し、これに輪状
のタイミングベルト６を周回するように取付け、タイミ
ングベルト６のシート材７から離れた６１の方を保持台
Ａ３１に固定するように取付け、シート材７に近い方の
６２は、円板刃１と同軸で一体化するよう取り付けられ
た円板刃プーリ１１に押圧するようにして、円板刃１が
強制回転するようにした。したがって、第一実施例と同
じように、モータ５１を回転することにより、円板刃保
持台３が作動するとともに円板刃１がシート材７を噛み
込む方向に回転が与えられ、シート材７をスムーズに切
断することができる。

【００１８】図５は、本発明のシート材切断装置におけ
るタイミングベルト６と円板刃保持台３との組合せ状況
およびタイミングベルト６と円板刃プーリ１１との噛み
合わせ状況の概念を実施例１に示すスリッタ式の切断装
置を用いて説明する図である。円板刃保持台３の一部に
タイミングベルトの歯形とほぼ同じ形状の歯形を加工し
て、この歯形にタイミングベルトの歯形を嵌め込んでお
けば、円板刃保持台のタイミングベルトへの装着が容易
にしかも確実に行なえる。また、円板刃プーリ１１、駆
動側プーリ５４、および従動側プーリ５５には、タイミ
ングベルトと同じ歯形を設けておくと駆動の伝達がより
確実になる。

【００１９】このような構造にして、タイミングベルト
６により円板刃プーリ１１を回転させる時、タイミング
ベルト６との噛み合いが外れる方向の力が働くことがあ
るので、これを抑えて安定に円板刃１が回転するよう、
第６図に示すように円板刃プーリ１１と共にタイミング
ベルト６を挟持するように反対側にバックアップ８を設
けるとよい。バックアップは、図６に示すように平板状
とローラ形状等種々のものを任意に用いればよい。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のシート材
切断装置によれば、従来のワイヤを用いた摩擦力のみに
よる円板刃の強制回転ではなく、タイミングベルトとプ
ーリを組み合わせた強制回転であるため、安価で確実な
円板刃の強制回転が得られるし、一方の軸から他方の軸
へ回転力を伝達するために多用されているタイミングベ
ルトを用いて、タイミングベルトに円板刃保持台を固定
すると共に、円板刃プーリをも組み合わせる構造とする
使用方法によって、円板刃保持台の往復移動も円滑に確
実に行なえるので、モータの駆動力のロスもなくなる。
またタイミングベルトは、組成的に音の出ない材質を使
用するので切断装置として騒音のでないものが得られ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のシート材切断装置に係る第一実施例を
示すスリッタ式切断装置の斜視図である。

【図２】本発明のシート材切断装置に係る第一実施例を
示すスリッタ式切断装置の断面図である。

【図３】本発明のシート材切断装置に係る第二実施例の
ローラ式切断装置の斜視図である。

【図４】本発明のシート材切断装置に係る第二実施例の
ローラ式切断装置の断面図である。

【図５】本発明のシート材切断装置に係り、タイミング
ベルトとの組み合わせ状況を示す概念図である。

【図６】本発明のシート材切断装置に係り、タイミング
ベルトの外れを防止する装置の概略図である。

【符号の説明】

１ 円板刃、１１ 円板刃プーリ、１２ ばね、１３
円板刃軸、２ 相手刃、２１ 第２円板刃、２１ａ 第
２円板刃支軸、２２ 固定刃、３ 円板刃保持台、３１
保持台Ａ、３２ 保持台Ｂ、３３ 保持台Ｃ、３４
保持台Ｄ、４フレーム、４１ 案内レール、５ 駆動
源、５１ モータ、５２ ピニオンギア、５３ ギヤ、
５４ 駆動側プーリ、５５ 従動側プーリ、６ タイミ
ングベルト、６１ シート材から遠い部位、６２ シー
ト材に近い部位、７ シート材、８ バックアップ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円板刃保持台に円板刃プーリと互いに一
   体的に回転可能に軸支された円板刃と、切断装置の両端
   近傍に装着された駆動側プーリおよび従動側プーリと、
   前記円板刃保持台が装着され、前記駆動側プーリおよび
   前記従動側プーリに張架されて、前記円板刃プーリを回
   転させるタイミングベルトと、前記円板刃と相互に圧接
   されてシート材を切断する相手刃とからなり、前記タイ
   ミングベルトが駆動側プーリの回転により移動して、前
   記円板刃を回転駆動することを特徴とするシート材切断
   装置。
2. 【請求項２】 円板刃と相互に圧接されてシート材を切
   断する相手刃が、前記円板刃と共に円板刃保持台に回転
   自在に軸支され前記円板刃と同時に移動する第二円板
   刃、またはシートの切断方向に平行で真直な刃先線を有
   する固定刃であることを特徴とする請求項１に記載のシ
   ート材切断装置。