JPH08245462A - フェニルフェノールの製造方法 - Google Patents

フェニルフェノールの製造方法

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JPH08245462A
JPH08245462A JP7048327A JP4832795A JPH08245462A JP H08245462 A JPH08245462 A JP H08245462A JP 7048327 A JP7048327 A JP 7048327A JP 4832795 A JP4832795 A JP 4832795A JP H08245462 A JPH08245462 A JP H08245462A
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JP
Japan
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phenylphenol
acid
biphenyl
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producing
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JP7048327A
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Inventor
Takayuki Shimokawadoko
隆幸 下川床
Satoshi Yutsu
敏 遊津
Kazuyuki Ogata
和幸 緒方
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 モノイソプロピルビフェニルペルオキシド
(HP)とカルビノール類(CA)とを含有する原料混
合物を過酸化水素の存在下で酸性触媒により酸分解す
る。モノイソプロピルビフェニル(MIPB)を4級ア
ンモニウム塩の存在下で分子状酸素により酸化してHP
を含有する原料混合物を製造する。HPの酸分解生成物
をアルカリ水溶液で抽出−アルカリ塩を酸で分解した
後、脂肪族炭化水素で抽出−晶析又は蒸留することによ
り精製する。 【効果】 比較的安価な原料であるMIPBから高収率
でフェニルフェノールを製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、モノイソプロピルビフ
ェニルの酸化方法、モノイソプロピルビフェニルヒドロ
ペルオキシドを含有する過酸化生成物の製造方法、フェ
ニルフェノールの製造方法及びフェニルフェノールの精
製方法に関する。詳しくは、本発明は、モノイソプロピ
ルビフェニルを出発原料としてフェニルフェノールを製
造する方法、そのために好適なモノイソプロピルビフェ
ニルの酸化方法及びモノイソプロピルビフェニルからモ
ノイソプロピルビフェニルヒドロペルオキシドを含有す
る過酸化生成物を製造する方法並びに粗フェニルフェノ
ールの精製方法に関する。フェニルフェノールは、高機
能性ポリマーの原料や、農薬用中間原料、抗カビ剤等、
種々の工業製品の原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】フェニルフェノールの製造方法として種
々の方法がある。例えば、銅又は銅化合物の存在下でビ
フェニルを酸化する方法が知られている(特開平2−1
38233号公報)。また、o−シクロヘキシルフェノ
ールを脱水素する方法が知られている(特開昭49ー3
5365号公報)。この方法において原料として使用す
るo−シクロヘキシルフェノールの製造方法は、特開昭
49ー42652号公報に記載されている。その他、本
発明者の知見によると、クメン法の応用として、アルカ
リ性溶媒中で分子状酸素によりアルキル化ビフェニルを
酸化し、過酸化物とした後、酸触媒で酸分解してフェニ
ルフェノールを合成することも可能である。また、スル
ホン化アルカリ溶融法によるフェニルフェノールの製造
方法も知られている(特開昭49−1541号公報)。
【0003】これら従来公知の方法には、いずれも、異
性体間の選択率が悪い又は工程が複雑である等の欠点が
ある。また、これらの方法には、廃液処理の問題もあ
る。例えば、特開平2−138233号公報に記載の方
法には、o、m、pの各異性体が同時に生成するため、
これらの分離が困難であるという欠点がある。アルキル
化ビフェニルの酸化−酸分解による方法には、収率が極
めて低いという欠点がある。スルホン化アルカリ溶融法
には、廃液等の環境対策上の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、必要
に応じて特定の異性体を選択的に合成できるフェニルフ
ェノールの製造方法を提供することにある。本発明の目
的は、短時間に高収率でフェニルフェノールを製造でき
いる方法を提供することにある。本発明の目的は、廃液
等の環境対策上の問題がないクリーンな製造方法を提供
することにある。本発明の目的は、フェニルフェノール
の製造中間体となるモノイソプロピルビフェニルペルオ
キシドを含有する過酸化生成物の製造方法及びそのため
のモノイソプロピルビフェニルの酸化方法を提供するこ
とにある。本発明の目的は、粗フェニルフェノールを効
率的に精製する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な課題を解決するため鋭意研究を行い、モノイソプロピ
ルビフェニルを4級アンモニウム塩の存在下で酸化して
得られる酸化混合物を酸分解することにより、フェニル
フェノールを効率よく製造できること、及び、原料とし
てモノイソプロピルビフェニルの特定の異性体を使用す
ることにより、対応するフェニルフェノールの特定の異
性体を選択的に製造できることを見出して本発明を完成
した。
【0006】本発明は、酸化剤として分子状酸素を使用
し、触媒として4級アンモニウム塩を使用するモノイソ
プロピルビフェニルの酸化方法にある。本発明は、モノ
イソプロピルビフェニルを4級アンモニウム塩の存在下
で分子状酸素により酸化するイソプロピルビフェニルヒ
ドロペルオキシドを含有する過酸化生成物の製造方法に
ある。
【0007】本発明は、モノイソプロピルビフェニルペ
ルオキシドとカルビノール類とを含有する原料混合物を
(過酸化水素の存在下で酸触媒により)酸分解するフェ
ニルフェノールの製造方法にある。本発明は、粗フェニ
ルフェノールをアルカリ水溶液で抽出し、生成するフェ
ニルフェノールのアルカリ塩を酸で分解した後、脂肪族
炭化水素で抽出し、晶析すること又は蒸留するフェニル
フェノールの精製方法にある。
【0008】モノイソプロピルビフェニル(MIPB)
の酸化 酸化剤として分子状酸素を使用し、触媒として4級アン
モニウム塩を使用してMIPBを酸化する。MIPBを
酸化することにより、イソプロピルビフェニルペルオキ
シド(HP)とカルビノール類(CA)とを含有する酸
化生成物を得ることができる。この酸化物生成物は、C
Aとして、例えば、2−ヒドロキシイソプロピルビフェ
ニル等を含有し、フェニルフェノールの製造原料として
好適である。
【0009】MIPBには、2−モノイソプロピルビフ
ェニル(2−MIPB)、3−モノイソプロピルビフェ
ニル(3−MIPB)及び4−モノイソプロピルビフェ
ニル(4−MIPB)の異性体がある。本発明において
は、原料としてMIPBの各異性体を単独で又は任意の
混合物として使用することができる。
【0010】分子状酸素としては、酸素ガス又は空気を
使用することができる。酸素ガスを使用する場合には、
窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスで任意の濃度
に希釈したものを使用することができる。工業的に実施
する場合には、空気を使用することが有利である。分子
状酸素によるMIPBの酸化を4級アンモニウム塩の存
在下で行うことにより、反応時間を短縮することがで
き、また、HP及びCAを高収率で製造することができ
る。
【0011】4級アンモニウム塩は、次式で表される化
合物である: 〔R1N(R2)(R3)R4+- 但し、R1、R2、R3及びR4は、それぞれアルキル基を
示し、Xは、ハロゲン(Cl、Br等)、水酸基等のア
ニオンを示す。本発明において使用する4級アンモニウ
ム塩としては、アルキル基の炭素数の合計が10以上の
ものが特に好ましい。
【0012】4級アンモニウム塩の具体例としては、テ
トラブチルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルア
ンモニウムブロマイド、オクチルトリメチルアンモニウ
ムクロライド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロマ
イド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、セチル
トリメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジ
ルアンモニウムクロライド、オクチルジメチルベンジル
アンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブ
ロマイド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、トリブチルベンジルアンモニウムクロライド、ラウ
リルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ブチル
トリプロピルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチ
ルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウ
ムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒド
ロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシ
ド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド等を挙げ
ることができる。
【0013】4級アンモニウム塩は、単独で又は2種類
以上を混合して使用することができる。4級アンモニウ
ム塩の使用量は、原料(MIPB)に対し1〜200m
mol/kg、好ましくは5〜100mmol/kgと
するのがよい。4級アンモニウム塩の使用量が少なすぎ
ると反応(酸化)を十分に進行させることができず、逆
に多すぎると副反応が多く進行するため好ましくない。
【0014】MIPBの分子状酸素による酸化反応は、
一般に、塩基性条件下で行わせるのがよく、具体的に
は、例えば、クメン法等と同様に、塩基性水溶液中で行
わせるのがよい。塩基性水溶液を構成する塩基性化合物
としては、アルカリ金属化合物が好ましい。アルカリ金
属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸
塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカ
リ金属重炭酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、
リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のア
ルカリ金属リン酸塩等を挙げることができる。これらの
中でも特にアルカリ金属炭酸塩が特に好ましい。塩基性
化合物は、単独で又は2種類以上を任意に混合して使用
することができる。
【0015】塩基性化合物は、濃度0.05〜5mmo
l/l、好ましくは0.1〜2mol/lの塩基性水溶
液として使用するのがよい。塩基性水溶液を使用する場
合の塩基性水溶液の使用量は、原料混合物(反応混合
物)のpHを8以上に保つ量であればよく、通常、原料
(MIPB)に対し、重量で0.1〜10倍量、好まし
くは1〜5倍量とするのがよい。塩基性水溶液の使用量
が少なすぎたり、また、濃度が低すぎたりすると、反応
が十分に進行し難くなり、不利である。一方、塩基性水
溶液の使用量を必要以上に多くしても、効果にあまり差
はなく、塩基性廃液の量が増えることになるので工業的
に実施する場合には不利である。また、塩基性水溶液の
濃度を必要以上に高くしても効果にあまり差はない。
【0016】MIPBの酸化には、ラジカル開始剤を使
用することができる。本発明においては、ラジカル開始
剤を使用しなくてもかまわないが、ラジカル開始剤を使
用することにより反応時間を短縮することができる。ラ
ジカル開始剤の使用量は、通常、原料(MIPB)に対
し0.5〜2重量%とするのが好ましい。なお、MIP
Bの酸化反応で生成する過酸化物もラジカル開始剤とし
て作用するので、工業的に実施する場合には、酸化反応
において生成した過酸化生成物を、その後の酸化反応の
ラジカル開始剤として使用するのが好ましい。
【0017】MIPBの酸化反応の反応温度は、60〜
160℃、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは
90〜190℃とするのがよい。分子状酸素によるMI
PBの酸化反応は、一般に、反応系中の酸素分圧を高く
することにより、速やかに進行させることができる。実
用上の見地からは、反応系の酸素分圧0.1kg/cm
2−abs以上、好ましくは0.2〜3.0kg/cm2
−abs程度とするのがよい。反応時間は、10時間を
超えてもかまわないが、好ましくは4〜10時間とする
のがよい。
【0018】フェニルフェノールの製造方法 モノイソプロピルビフェニルペルオキシドとカルビノー
ル類とを含有する原料混合物を酸分解することによりフ
ェニルフェノールを得ることができる。特に限定するも
のではないが、カルビノール類として、2−ヒドロキシ
イソプロピルビフェニル等を含有する原料混合物を使用
するのがよい。本発明において使用する原料混合物とし
ては、モノイソプロピルビフェニルペルオキシドの含有
量及びカルビノール類の含有量がそれぞれ10〜50重
量%、好ましくは20〜45重量%、更に好ましくは3
0〜40重量%の範囲にあるものが好ましい。
【0019】具体的には、モノイソプロピルビフェニル
を酸化して得られる酸化生成物を原料混合物として使用
することができ、例えば、モノイソプロピルビフェニル
を4級アンモニウム塩の存在下で分子状酸素により酸化
して得られるイソプロピルペルオキシドを含有する過酸
化物生成物を使用することができる。
【0020】原料混合物を酸触媒と反応させることによ
り原料混合物を酸分解することができる。酸触媒として
は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、固体酸、イオン交換
樹脂、有機酸等を使用することができ、これらを単独で
又はこれらの2種以上を任意に混合して使用することが
できる。本発明において使用する酸触媒としては、無機
酸が特に好ましい。酸触媒の好ましい使用量は、原料混
合物の組成、酸触媒の種類等により異なるが、通常、原
料混合物に対して0.1〜20重量%の酸触媒を使用す
ることができる。
【0021】原料混合物と酸触媒との反応を過酸化水素
の存在下で行わせることにより、CAのHPへの酸化反
応を促進し、結果として、HPの酸分解によるフェニル
フェノールの生成を促進することができる。また、過酸
化水素には、HPの酸分解時の副反応である縮合反応を
抑制する作用があり、この点からも使用することが好ま
しい。過酸化水素については、過酸化水素又は過酸化水
素水溶液として原料混合物に添加してもよく、また、酸
分解の反応条件下で過酸化水素を発生する物質、例え
ば、過酸化ナトリウムや過酸化カルシウム等を原料混合
物に添加し、反応中に過酸化水素を発生させるようにし
てもよい。但し、過酸化水素水溶液を使用することが好
ましい。過酸化水素の使用量は、CAのアルコール性水
酸基1モル当たり1.0〜1.5モルの割合とするのが
よい。
【0022】原料混合物の酸分解に当たっては、原料混
合物に溶媒を加えることができる。溶媒としては、メタ
ノール、エタノール等のアルコール類;アセトン、MI
BK等のケトン類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化
水素類;ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;水等を使用す
ることができる。溶媒の使用量は、原料混合物に対し、
重量で1〜5倍量とするのがよい。
【0023】フェニルフェノールの精製方法 前記のようにして得られら反応液(粗フェニルフェノー
ル)からのフェニルフェノールの回収方法、精製方法は
特に限定されない。例えば、粗フェニルフェノールから
アルカリ水溶液でフェニルフェノールを抽出し、生成し
たフェニルフェノールのアルカリ塩を酸で分解した後、
抽出−晶析、蒸留等によりフェニルフェノールを回収す
る方法により、高純度のフェニルフェノールを効率よく
回収することができる。
【0024】(1)アルカリ水溶液による抽出 酸分解により得られた反応液に、アルカリ性を呈するま
で、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等
のアルカリ水溶液を加える。この際、反応液中のフェニ
ルフェノールはアルカリ塩となってアルカリ水溶液相へ
移動する。アルカリ水溶液の使用量は、アルカリ塩の分
解に使用する酸(酸触媒)の種類により好ましい範囲が
異なるが、一般に、反応溶液がアルカリ性を呈する量で
あればよく、通常、添加時の反応液の1〜5倍程度でよ
い。例えば、アルカリ水溶液の原液として、48%水酸
化ナトリウム水溶液を使用する場合には、反応液の0.
1〜0.5倍重量程度の原液を使用し、水を加えて反応
液の1〜5倍重量程度に希釈して使用することができ
る。
【0025】アルカリ水溶液を加える際には、必要に応
じて反応液から溶媒を除去し、また、必要に応じてトル
エン、キシレン、ヘキサン等の水と混和しない有機溶媒
を加えることにより反応液組成、フェニルフェノールの
濃度等を調節することができる。有機溶媒の使用量は、
添加時の反応液の1〜5倍重量程度でよい。酸分解反応
の溶媒が、水に混和しない溶媒の場合は溶媒を除去せ
ず、そのまま全量又は一部を代用してもよい。
【0026】(2)酸による分解 フェニルフェノールのアルカリ塩を含有するアルカリ水
溶液相を分離し、トルエン、キシレン、ヘキサン等の水
と混和しない有機溶媒を加え、更に、塩酸、硫酸、硝酸
等の酸(酸性触媒)を加えて酸性にする。この際、フェ
ニルフェノールのアルカリ塩は分解され、生成するフェ
ニルフェノールは有機溶媒相へ移動する。有機溶媒の使
用量は、アルカリ水溶液相の1〜5倍重量程度でよい。
酸(酸性触媒)の使用量は、アルカリ水溶液相が、酸性
を呈するだけの量及び濃度であればよい。酸(酸触媒)
の使用量は、フェニルフェノール(アルカリ塩)の抽出
に使用したアルカリ水溶液の種類により好ましい範囲が
異なり、一概に規定することはできないが、所望の効果
を奏する範囲で、なるべく少ない量で済むようにするの
がよい。このようにして、粗フェニルフェノールの溶解
した有機溶媒相を取得することができる。
【0027】(3)有機溶媒相からのフェニルフェノー
ルの回収 (i)脂肪族炭化水素による抽出−晶析 粗フェニルフェノールの溶解した有機溶媒相に脂肪族炭
化水素を加える。この時、加える脂肪族炭化水素が有機
溶媒相と混和する場合は、有機溶媒相の溶媒を除去した
後に脂肪族炭化水素を添加するのがよい。得られた混合
液を、加熱するとフェニルフェノールが脂肪族炭化水素
相へ移動する。混合液を十分加熱した後、脂肪族炭化水
素相を分離し、冷却することにより、フェニルフェノー
ルを析出させることができる。析出した結晶を濾過して
取得することにより、精製フェニルフェノールを得るこ
とができる。
【0028】脂肪族炭化水素としては、特に限定されな
いが、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン等を挙げることができる。ただし、工業的
に実施する場合には、安価に入手し易いものが好まし
い。脂肪族炭化水素の使用量は、粗フェニルフェノール
が溶解した有機溶媒相の2〜20倍重量程度が好まし
い。
【0029】(ii)蒸留 粗フェニルフェノールの溶解した有機溶媒相を蒸留する
ことにより、不純物を釜残として除去することができ、
白色のフェニルフェノールを得ることができる。まず、
減圧下又は常圧で蒸留し、有機溶媒を除去する。この際
の減圧度及び蒸留温度は、除去すべき有機溶媒の種類に
より、適宜選定することができる。有機溶媒を除去した
後、減圧下で蒸留することにより、フェニルフェノール
を留出させ回収することができる。この際の減圧度は5
0mmHg以下とするのが好ましい。蒸留温度は、減圧
度によって異なるが、通常、減圧度20mmHg程度の
場合、180〜200℃程度である。
【0030】(4)酸触媒の除去 必要に応じて、精製工程においてフェニルフェノールア
ルカリ塩の酸分解反応に使用した酸(酸触媒)を除去す
ることができる。酸触媒の除去方法は、酸触媒の種類に
よって適宜選定することができる。固体酸等の濾過等に
より容易に除去できる酸触媒の場合は、濾過等により除
去することができる。この場合の酸触媒の除去は、例え
ば、アルカリ水溶液による抽出工程の前後又は途中の任
意のタイミングで行うことができる。無機酸、有機酸等
の場合は、中和処理により除去することができる。例え
ば、アルカリ溶液による抽出工程においてアルカリ水溶
液を添加する際に、混合液が中性に達した段階で、アル
カリ水溶液の添加を一旦中止し、アルカリ水溶液相を除
去することにより、酸触媒を塩として除去することがで
きる。また、無機酸、有機酸等は、アルカリ水溶液によ
る抽出工程の前に、水等による溶媒抽出により、除去す
ることができる。
【0031】
【実施例】実施例1 1リットルのオートクレーブに3−MIPB含有量9
8.6%、4−MIPB含有量1.2%のMIPBを1
00g、炭酸ナトリウム8.0g、蒸留水100g、ア
ゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ラジカル開始
剤)0.5g、テトラブチルアンモニウムブロマイド
(4級アンモニウム塩)の50%水溶液0.64g
(1.2ミリモル)を仕込んだ。オートクレーブ内に空
気をゲージ圧で5kg/cm2の圧力で導入し、反応液
を1500rpmで撹拌しながら反応開始から2時間ま
では反応温度120℃で、2時間から8時間までは11
0℃で反応を行った。反応中、空気は20Nl/hで反
応系の圧力が5kg/cm2Gに保たれるように連続的
に導入した。
【0032】その結果、粘稠な液体(酸化生成物)が得
られた。得られた液体を高速液体クロマトグラフィーで
分析したところ、MIPBの転化率は92.0%で、H
Pの収率は38.9%、CAの収率は36.5であっ
た。但し、 MIPBの転化率=100−MIPB液クロ純度(面積
百分率) HPの収率=HP液クロ純度(面積百分率) CAの収率=CAの収率(面積百分率)である。
【0033】実施例2 HP:39.1重量%及びCA:35.6重量%を含む
酸化生成物45gを300mlのセパラブルフラスコに
仕込み、メタノールを90g、96%硫酸を8g、30
%過酸化水素を15.4g加え、撹拌しながらメタノー
ル還流温度で5時間反応させた。その反応液を高速液体
クロマトグラフィーで分析した結果、フェニルフェノー
ルが酸分解反応収率88.6%で得られたことが判っ
た。但し、 酸分解反応収率=フェニルフェノール液クロ純度(面積
百分率)÷HP及びCA合計の液クロ純度(面積百分
率) である。
【0034】実施例3 3−フェニルフェノール含有量53.5%、4−フェニ
ルフェノール含有量0.8含有量0.8%の酸分解反応
液45gに水45gを加え、エバポレーションにより酸
分解溶媒として使用したメタノールを除去した。トルエ
ン45gを加えよく撹拌した後、トルエン相を相分離し
た。この時、酸触媒は水相側に除去された。次にアルカ
リ水溶液による抽出を行うため、トルエン相に48%水
酸化ナトリウム水溶液18g及び水45gを加え、よく
撹拌した後、水相を分離した。水相にトルエン90gと
30%硫酸120mlを加えよく撹拌した後、トルエン
相を相分離した。
【0035】得られた粗フェニルフェノールを含有する
トルエン相の半分をとり、エバポレーションにより、ト
ルエンを留去した後、ヘキサン50gを加え、還流温度
まで加熱した後、ヘキサン相を分離し冷却した。析出し
た結晶を濾過で分離した。その結果、5.6gの白色結
晶が得られた。得られた白色結晶をガスクロマトグラフ
ィーで分析したところ、3−フェニルフェノール含有量
98.6%、4−フェニルフェノール1.4%であっ
た。精製収率は46.5%であった。
【0036】実施例4 実施例3で得られた粗フェニルフェノールを含有するト
ルエン相の残り半分について、トルエンを留去した後、
20mmHg,180℃で単蒸留した。
【0037】その結果、8.5gの白色結晶が得られ
た。得られた白色結晶をガスクロマトグラフィーで分析
したところ、3−フェニルフェノール含有量98.0
%、4−フェニルフェノール1.7%であった。精製収
率は70.4%であった。但し、 精製収率=精製結晶重量×フェニルフェノール液クロ純
度(面積百分率)÷〔酸分解反応液重量×フェニルフェ
ノール液クロ純度(面積百分率)〕 である。
【0038】実施例5 4級アンモニウム塩としてテトラブチルアンモニウムブ
ロマイドの50%水溶液の代わりに、テトラプロピルア
ンモニウムブロマイドの50%水溶液0.54g(1.
0ミリモル)を使用した以外は実施例1と同様に反応を
行わせた。その結果、粘稠な液体(酸化生成物)が得ら
れた。得られた液体を高速液体クロマトグラフィーで分
析したところ、MIPBの転化率は89.7%で、HP
の収率は40.8%、CAの収率は34.4であった。
【0039】実施例6 4級アンモニウム塩としてテトラブチルアンモニウムブ
ロマイドの50%水溶液の代わりに、テトラオクチルア
ンモニウムブロマイドの50%水溶液0.42g(1.
0ミリモル)を使用した以外は実施例1と同様に反応を
行わせた。その結果、粘稠な液体(酸化生成物)が得ら
れた。得られた液体を高速液体クロマトグラフィーで分
析したところ、MIPBの転化率は91.0%で、HP
の収率は35.3%、CAの収率は39.6であった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、比較的安価な原料であ
るMIPBから高収率でフェニルフェノールを製造する
ことができる。
【0041】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化剤として分子状酸素を使用し、触媒
    として4級アンモニウム塩を使用することを特徴とする
    モノイソプロピルビフェニルの酸化方法。
  2. 【請求項2】 モノイソプロピルビフェニルを4級アン
    モニウム塩の存在下で分子状酸素により酸化することを
    特徴とするイソプロピルビフェニルヒドロペルオキシド
    を含有する酸化生成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 モノイソプロピルビフェニルヒドロペル
    オキシドとカルビノール類とを含有する原料混合物を酸
    分解することを特徴とするフェニルフェノールの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 モノイソプロピルビフェニルペルオキシ
    ドとカルビノール類とを含有する原料混合物を過酸化水
    素の存在下で酸触媒により酸分解することを特徴とする
    フェニルフェノールの製造方法。
  5. 【請求項5】 原料混合物が、モノイソプロピルビフェ
    ニルを酸化して得られた酸化生成物である請求項3又は
    4に記載のフェニルフェノールの製造方法。
  6. 【請求項6】 モノイソプロピルビフェニルが3−イソ
    プロピルビフェニルである請求項3〜5のいずれかに記
    載の3−フェニルフェノールの製造方法。
  7. 【請求項7】 モノイソプロピルビフェニルが4−イソ
    プロピルビフェニルである請求項3〜5のいずれかに記
    載の4−フェニルフェノールの製造方法。
  8. 【請求項8】 モノイソプロピルビフェニルが2−イソ
    プロピルビフェニルである請求項3〜5のいずれかに記
    載の2−フェニルフェノールの製造方法。
  9. 【請求項9】 粗フェニルフェノールをアルカリ水溶液
    で抽出し、生成するフェニルフェノールのアルカリ塩を
    酸で分解した後、脂肪族炭化水素で抽出し、晶析するこ
    とを特徴とするフェニルフェノールの精製方法。
  10. 【請求項10】 粗フェニルフェノールをアルカリ水溶
    液で抽出し、生成するフェニルフェノールのアルカリ塩
    を酸で分解した後、蒸留することを特徴とするフェニル
    フェノールの精製方法。
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